- 英
- dopamine DA DOA 3,4-dihydroxyphenethylamine
- 同
- ドーパミン
- 化
- 塩酸ドパミン, dopamine hydrochloride, ドパミン塩酸塩
- 商
- イノバン、イブタント、カコージンD、カコージン、カタボン、ガバンス、クリトパン、ツルドパミ、ドパラルミン、ドミニン、トロンジン、プレドパ、マートバーン、ヤエリスタ
- 関
- ドパミン受容体、カテコラミン。強心剤
概念
生合成
視床下部-下垂体系
- 視床下部弓状核や脳室周辺の隆起漏斗系ドパミンニューロンで産生される。
- 下垂体のD2受容体を介してホルモン分泌の調節を受けている。 → e.g. プロラクチン放出抑制ホルモン(PIF)
- 低用量での血管拡張はこの受容体を介して起こる (GOO.249)
- 中枢神経系に存在
神経伝達物質の薬理 (GOO.324)
薬理学
- D1受容体に作用して血管拡張→腎血流量↑→GFP↑→Na排出↑→利尿
- β1受容体に作用→心拍出量↑・心収縮力↑(頻脈はない)・収縮期圧↑・拡張期圧不変
- アドレナリン低用量投与と同じ?
- α1受容体に作用→血管平滑筋収縮(→収縮期圧↑、拡張期圧↑???)
- アドレナリン高用量投与と同じ?
ran]]
(PT.218)
- 中脳に細胞体を持つものが多く、黒質から線条体に至る黒質線条体系と黒質や腹側被蓋野から報酬系の神経核、辺縁系、前頭葉に至る中脳皮質系がある。視床下部やその周辺にもドーパミン作動性線維の細胞体とその終末があり、隆起漏斗系、隆起下垂体系、不確帯視床下部系、脳室周囲系を形成する。黒質線条体系の変性はパーキンソン病をもたらす。ドーパミン誘導体には幻覚剤となるものがある。ドーパミンの分泌増大や脳のD2受容体の増加は精神分裂病(統合失調症)の発病に関与している可能性がある。モルヒネはドーパミンの分泌を促進する。コカインは輸送体によるドーパミンの取り込みを阻害し作用の持続時間を延長する。一部の覚醒剤中毒はドーパミン輸送体の抑制による。
ホルモンの調節
- プロラクチンは視床下部でドパミンの産生を促進 ← プロラクチン抑制因子として作用
- ドパミンは視床下部でGnRHの分泌を抑制 → 卵巣機能の抑制
- ドパミンは下垂体前葉?でD受容体に作用してプロラクチンを抑制 ← 抗精神病薬(D2受容体をブロックする)を使うと高プロラクチン血症となる。
循環不全治療薬として
- イノバン
- 下記のような急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)
- (1) 無尿、乏尿や利尿剤で利尿が得られない状態 ← 低濃度で用いれば、腎血流を増加させ尿量の増加が期待できる → ドパミン#薬理学
- (2) 脈拍数の増加した状態 ← 高濃度でなければ、頻脈を起こさず心拍出量を増やす。 → ドパミン#薬理学
- (3) 他の強心・昇圧剤により副作用が認められたり、好ましい反応が得られない状態
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/12/11 09:14:59」(JST)
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ドーパミン |
|
|
IUPAC名
4-(2-アミノエチル)ベンゼン-1,2-ジオール
|
別称
ドパミン, DA
2-(3,4-ジヒドロキシフェニル)エチルアミン
3,4-ジヒドロキシフェネチルアミン
3-ヒドロキシチラミン
Intropin Revivan
オキシチラミン
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
51-61-6 |
KEGG |
D07870 |
|
特性 |
化学式 |
C8H11NO2 |
モル質量 |
153.178 g/mol |
融点 |
128 ℃ (401 K)
|
特記なき場合、データは常温(25 °C)・常圧(100 kPa)におけるものである。 |
ドーパミン(英: Dopamine)は、中枢神経系に存在する神経伝達物質で、アドレナリン、ノルアドレナリンの前駆体でもある。運動調節、ホルモン調節、快の感情、意欲、学習などに関わる。セロトニン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ヒスタミン、ドーパミンを総称してモノアミン神経伝達物質と呼ぶ。またドーパミンは、ノルアドレナリン、アドレナリンと共にカテコール基をもつためカテコールアミンとも総称される。医学・医療分野では日本語表記をドパミンとしている[1]。
統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想など)は基底核や中脳辺縁系ニューロンのドーパミン過剰によって生じるという仮説がある。この仮説に基づき薬物療法で一定の成果を収めてきているが、一方で陰性症状には効果が無く、根本的病因としては仮説の域を出ていない。覚醒剤はドーパミン作動性に作用するため、中毒症状は統合失調症に類似する。強迫性障害、トゥレット障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)においてもドーパミン機能の異常が示唆されている。
一方、パーキンソン病では黒質線条体のドーパミン神経が減少し筋固縮、振戦、無動などの運動症状が起こる。また抗精神病薬などドーパミン遮断薬の副作用としてパーキンソン症候群が起こることがある。
中脳皮質系ドーパミン神経は、とくに前頭葉に分布するものが報酬系などに関与し、意欲、動機、学習などに重要な役割を担っていると言われている。陰性症状の強い統合失調症患者や、一部のうつ病では前頭葉を中心としてドーパミンD1の機能が低下しているという仮説がある。
下垂体漏斗系においてドーパミンはプロラクチンなどの分泌抑制因子として働く。そのためドーパミン作動薬は高プロラクチン血症の治療薬として使用され、逆にドーパミン遮断薬は副作用として高プロラクチン血症を誘発する。
目次
- 1 生合成過程
- 2 放出・再取り込み・分解
- 3 関連人物
- 4 関連項目
- 5 脚注
- 6 外部リンク
|
生合成過程
ドーパミンの前駆体はL-ドーパである。L-ドーパはフェニルアラニンやチロシンの水酸化によって作られる。
- チロシン→L-ドーパ(L-ジヒドロキシフェニルアラニン)
-
- チロシン水酸化酵素 (tyrosine hydroxylase, TH) EC 1.14.16.2
-
- ドーパ脱炭酸酵素 (dopa decarboxylase, DDC; 芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素 aromatic amino acid decarboxylase, AAAD, AADC, DDCなどと表記される) EC 4.1.1.28
さらに一部のニューロンにおいては、ドーパミンから、ドーパミン-β-モノオキシゲナーゼ (dopamine beta hydroxylase, DBH; あるいは dopamine beta-monooxygenase) (EC 1.14.17.1)によってノルエピネフリン(ノルアドレナリン)が合成される。
放出・再取り込み・分解
ニューロンでは、ドーパミンは合成された後、小胞の中へ充填され(中枢神経系では小胞性モノアミン輸送体2 vesicular monoamine transporter 2 (VMAT2, SLC18A2) の働きによる)、活動電位の発生に伴って、放出される。
放出後のドーパミンは、ドーパミン輸送体 (dopamine transporter, DAT, SLC6A3) によって、ドーパミン作動性の軸索に再取り込みされる。その後、カテコール-O-メチル基転移酵素 (catechol-O-methyl transferase, COMT) EC 2.1.1.6 およびモノアミン酸化酵素 (monoamine oxidase,MAO) EC 1.4.3.4によって、分解される。酵素による分解を免れたドーパミンは、再び小胞へと充填されて再利用されると考えられている。
ドーパミンが関係する薬剤には以下のようなものがある。抗精神病薬は、主にドーパミンD2受容体を遮断することで効果を発現する。抗パーキンソン病薬のほとんどは、ドーパミンの前駆体であったりドーパミン受容体を刺激したりすることでドーパミン作動性に働くことで効果を発現する。
- ドーパミン(イノバン®、カタボン®):急性循環不全治療薬
- L-ドーパ(ドパストン®)、L-ドパ・カルビドパ配合剤(ネオドパストン®)、カベルゴリン(カバサール®)、ブロモクリプチン(パーロデル®)、アマンタジン(シンメトレル®)、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデート など
- 抗精神病薬 、メジャートランキライザーとも呼ばれるクロルプロマジン、ハロペリドールなど。
関連人物
関連項目
- ドーパミン受容体
- ドーパミン作動性ニューロン
- ドーパミン拮抗薬
- ドーパミン-β-モノオキシゲナーゼ
- 神経伝達物質
- 覚醒剤
- 統合失調症
- ドーパミン仮説
- パーキンソン病
- 報酬系
- 大脳基底核
脚注
- ^ 日本神経学会パーキンソン病治療ガイドライン2002 はじめに
外部リンク
- (百科事典)「Dopamine Modulation」 - スカラーペディアにある「ドーパミンによる神経修飾」についての項目。(英語)
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
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視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部
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GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
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脳下垂体後葉
|
バソプレッシン - OXT
|
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脳下垂体中葉
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インテルメジン
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脳下垂体前葉
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αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - MSH - エンドルフィン - リポトロピン)
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副腎 |
副腎髄質
|
副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
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副腎皮質
|
副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
|
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甲状腺 |
甲状腺
|
甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
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副甲状腺
|
PTH
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生殖腺 |
精巣
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テストステロン - AMH - インヒビン
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卵巣
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エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
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その他の内分泌器 |
膵臓
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グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
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松果体
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メラトニン
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内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
|
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誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 2種類のTD誤差を用いた脳における状態価値の計算モデル
- 篠塚 正成,森田 昌彦
- 情報処理学会研究報告. BIO, バイオ情報学 2012-BIO-29(5), 1-6, 2012-06-21
- Schultz らにより,中脳ドーパミンニューロンが強化学習における TD 誤差に相当する活動を示すことが報告されて以来,大脳基底核は強化学習に大きく関与しているという見方が有力であるが,従来の状態価値の計算モデルにはいくつかの疑問点がある.本研究では,予測および実測という 2 種類の TD 誤差を用いることによって,不自然なバッファ回路などを必要としない状態価値の計算モデルを構成した.簡単な報酬 …
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- アプリシア神経細胞における単量体G蛋白ADP-ribosylation factor (Arf) によるD_2型ドーパミン受容体刺激で発生するK^+電流応答の調整作用
- 渡辺 修二,原田 美里,川崎 敏,藤田 玲子,木村 眞吾,渡辺 則之,佐々木 和彦
- 岩手医学雑誌 64(1), 35-49, 2012-04-01
- NAID 110009422778
- ストレスにおけるプロスタグランジン系の役割と抗うつ薬創薬における意義 (特集 多様なライフステージにおける精神疾患発症に関わる環境因子とその創薬標的としての可能性)
- 田中 昂平,古屋敷 智之
- 日本薬理学雑誌 : くすりとからだ : ファーマコロジカ 139(4), 152-156, 2012-04
- NAID 40019255389
- 神経性食欲不振症のバイオマーカー(摂食障害の新たな展開,2011年,第52回日本心身医学会総会ならびに学術講演会(横浜))
- 河合 啓介,山下 さきの,久保 千春,瀧井 正人,須藤 信行
- 心身医学 52(3), 201-208, 2012-03-01
- 神経性食欲不振症(AN)は遺伝,環境など多因子が関与して発症,持続する.多くの生物学的指標の変化は飢餓による二次的変動であるが,それらの変動は食欲や高次中枢機能に影響する.本稿ではANの症状に関連する遺伝子やその他の定量可能な生物学的指標(バイオマーカー)について述べる.1)気分・不安などの精神症状:5-HT(セロトニン)活性の変動,5-HT受容体やBDNF(脳由来神経栄養因子)の遺伝子異常とAN …
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ドパミン液600「トーワ」
組成
容量:
有効成分:
添加物:
- ブドウ糖・・・・・10g
ピロ亜硫酸Na・・・・・60mg
pH調整剤(塩酸、水酸化Na)
禁忌
褐色細胞腫
- [カテコールアミンを過剰に産生する腫瘍であるため、症状が悪化するおそれがある。]
効能または効果
- 急性循環不全(心原性ショック、出血性ショック)
- 下記のような急性循環不全状態に使用する。
- 無尿、乏尿や利尿剤で利尿が得られない状態
- 脈拍数の増加した状態
- 他の強心・昇圧剤により副作用が認められたり、好ましい反応が得られない状態
通常、ドパミン塩酸塩として1分間あたり1?5μg/kgを点滴静脈投与し、患者の病態に応じ20μg/kgまで増量することができる。
投与量は、患者の血圧、脈拍数及び尿量により適宜増減する。
慎重投与
末梢血管障害のある患者(糖尿病、アルコール中毒、凍傷、動脈硬化症、レイノー症候群、バージャー病等)
- [末梢血管収縮作用により症状が悪化するおそれがある。]
未治療の頻脈性不整脈又は心室細動の患者
- [陽性変時作用により症状が悪化するおそれがある。]
擬糖尿病及び糖尿病の患者
- [ブドウ糖含有製剤のため、血糖値が上昇するおそれがある。]
重大な副作用
- (頻度不明)
- 麻痺性イレウスがあらわれることがある。
- (頻度不明)
- 末梢血管の収縮により四肢冷感等の末梢の虚血が起こり、壊疽を生じることもあるので、四肢の色や温度を十分に観察し、変化があらわれた場合には投与を中止し、必要があればα-遮断剤を静脈内投与する。
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、53~55 の問いに答えよ。
- 78歳の男性。異常な言動を心配した家族に伴われて来院した。
- 現病歴:2年前から、前日の出来事を思い出せなかったり、当日の予定を30分おきに確認するようになった。同時期から夜間に大きな寝言を言ったり、手足をバタバタさせていることに家族が気付くようになった。1年前から、家にいるのに、家に帰らないといけない、亡くなった人が来ているというようになった。このころから動作が遅く、食事や着替えに時間がかかるようになった。数日前からは繰り返し、ものをとられた、隣人が自分の悪口を言っているといって騒ぎ立てるようになったため、困惑した家族に伴われて受診した。
- 既往歴:75歳時に両側の白内障手術。
- 家族歴:父親が脳梗塞。母親が胃癌。
- 生活歴:喫煙は65歳まで10本/日を45年間。13年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。76歳の妻と長女夫婦と同居している。
- 現症:意識は清明。身長 168cm、体重 62kg。体温 36.3℃。脈拍 72/分、整。血圧 148/82mmHg。呼吸数 16/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。改訂長谷川式簡易知能評価スケール12点(30点満点)、Mini-Mental State Examination(MMSE)14点(30点満点)。脳神経に異常を認めない。四肢で左右対称性に軽度の筋強剛を認める。腱反射は正常で、Babinski徴候は陰性。運動麻痺、感覚障害および運動失調を認めない。歩行はやや不安定でつまずきやすい。
- 検査所見:尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 418万、Hb 13.2g/dL、Ht 42%、白血球 6,300、血小板 23万、PT 78%(基準 80~120)。血液生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン 4.0g/dL、総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 22IU/L、ALT 38IU/L、LD 328IU/L(基準 176~353)、ALP 254IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 26IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 95IU/L(基準 37~160)、CK 96IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 18mg/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、尿酸 6.3mg/dL、血糖 102mg/dL、HbA1c 5.8%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 242mg/dL、トリグリセリド 186mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 98mEq/L、TSH 3.8μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT3 2.6pg/mL(基準 2.5~4.5)、FT4 1.0ng/dL(基準 0.8~2.2)。CRP 0.4mg/dL。脳血流SPECT(別冊No. 10A)とドパミントランスポーターSPECT(別冊No. 10B)とを別に示す。
- この患者に適切な薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110B054]←[国試_110]→[110B056]
[★]
- 次の文を読み、60-62の問いに答えよ。
- 38歳の女性。強い息苦しさのため搬入された。
- 現病歴 3か月前から歩行時に両下肢の疲労感を自覚していたが、休息にて改善していた。2か月前から家事をする際に、両上肢の疲労感を感じ、特にフライパンを持つのに苦労するようになった。これらの症状は朝に比して夕方に強い傾向があった。1か月前からは両側の眼瞼下垂を自覚するようになった。1週前から風邪気味であったが、昨日から動くと息苦しいと訴えていた。今朝、息苦しさが強くなったため救急車を要請した。
- 既往歴 25歳時に急性虫垂炎で手術。
- 家族歴 特記すべきことはない。
- 現症 意識レベルはJCS II-20。身長156cm.体重51kg。体温37.8℃。呼吸数32/分。脈拍104/分、整。血圧174/66mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)93%。両側の眼瞼下垂を認める。眼球運動はほぼ正常であるが、複視がある。四肢筋力は全体に軽度低下(4/5)している。腱反射は正常。感覚系に異常を認めない。
- 検査所見 尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 463万、Hb 13.2g/dl、Ht 40%、白血球 9,800(分葉核好中球55%、好酸球6%、好塩基球1%、単球5%、リンパ球33%)、血小板28万。血液生化学所見:血糖 85mg/dl、HbA1c 5.2%(基準4.3-5.8)、総蛋白 7.5g/dl、アルブミン 4.5g/dl、尿素窒素 11mg/dl、クレアチニン 0.4mg/dl、尿酸7.2mg/dl、総コレステロール 183mg/dl、トリグリセリド 120mg/dl、総ビリルビン 0.5mg/dl、直接ビリルビン0.3 mg/dl、AST 12IU/l、ALT 7IU/l、LD 183IU/l(基準176-353)、ALP288IU/l(基準115-359)、Na 141mEq/l、K 4.5mEq/l、Cl 102mEq/l。CRP 9.8mg/dl、動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.32、PaCO2 59Torr、PaO2 74Torr、HCO3- 29mEq/l。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E060]←[国試_105]→[105E062]
[★]
- 次の文を読み、61~63の問いに答えよ。
- 72才の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。
- 現病歴:7日前に自宅を出たところでつまずいて転倒し、腰痛が生じたため自宅近くの診療所にて鎮痛薬を処方されて頻回に服用していた。3日前から全身倦怠感と食欲低下とを自覚していたが、今朝になり食事がとれなくなったため家族に付き添われて受診した。
- 既往歴:中学生時に虫垂炎。高血圧症、糖尿病および脂質異常症で内服治療中。
- 生活歴:喫煙は60歳まで20本/日を40年間。12年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が肺癌で死亡。母親が脳卒中で死亡。
- 現症:意識レベルはJCS I-1。身長 160cm、体重 66kg。体温 36.4℃。脈拍 52/分、整。血圧 120/60mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 383万、Hb 11.0g/dL、Ht 34%、白血球 8,400、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、アルブミン 3.5g/dL、総ビリルビン 0.9mg/dL、AST 34IU/L、ALT 42IU/L、LD 341IU/L(基準 176~353)、ALP 281IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 48IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 74IU/L(基準 37~160)、CK 162IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 32mg/dL、クレアチニン 1.6mg/dL、尿酸 8.4mg/dL、血糖 124mg/dL、HbA1c 6.8%(基準 4.6~6.2)、Na 138mEq/L、K 7.8mEq/L、Cl 108mEq/L。CRP 0.3mg/dL。
- 投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109G061]←[国試_109]→[109G063]
[★]
- 次の文を読み、66-68の問いに答えよ。
- 73歳の男性。腹痛を主訴に来院した。
- 現病歴 1週間便が出ていない。2日前に腹痛を自覚したが我慢していた。昨日から尿が出ていない。今朝、家族に伴われて受診した。
- 既往歴 60歳から高血圧症で内服治療中。昨年の人間ドックで便潜血反応陽性のため、精査が必要といわれたが、受診しなかった。
- 現症 意識レベルはJCS I-1。身長160cm、体重60kg。体温38.5℃。呼吸数24/分。脈拍112/分、整。血圧72/42mmHg。表情は苦悶様で、腹部全体に痛みを訴えている。心音に異常を認めない。腹部は膨隆し、板状硬であり、反跳痛を認める。腸雑音を聴取しない。皮膚は暖かい。
- 検査所見 血液所見:赤血球 350万、Hb 9.0g/dl、Ht27%、白血球 15,000(好中球83%、好酸球1%、好塩基球1%、単球2%、リンパ球13%)、血小板 5.2万。血液生化学所見:血糖90mg/dl、HbA1c5.0%(基準4.3-5.8)、総蛋白6.0g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素30mg/dl、クレアチニン1.0mg/dl、尿酸5.0mg/dL、Na 145mEq/l、K 4.0mEq/l、Cl 100mEq/l。免疫学所見: CRP 10.0mg/dl、CEA 20 ng/ml(基準5以下)。
- 急性腹症と診断して、開腹手術が予定された。
- 術前にまず行う治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E065]←[国試_105]→[105E067]
[★]
- 次の文を読み、61~63の問いに答えよ。
- 20歳の男性。目が開きにくいことを主訴に来院した。
- 現病歴:山菜採りに行き、右前腕を虫に刺され痛みを感じたが、そのままにして昼食をとった。食後、約30分してから両眼瞼が開きにくくなり、息苦しさを自覚するようになったため、友人に連れられて来院した。
- 既往歴:5歳で気管支喘息。
- 生活歴:山菜採りが趣味で、虫に刺されることが多い。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識レベルはJCSII-10。体温37.5℃。脈拍100/分、整。血圧80/50mmHg。呼吸数20/分。SpO2 85%(room air)。呼びかけると息苦しさを訴えせき込む。心音に異常を認めない。頸部と胸部とにwheezesを聴取する。頸静脈の怒張を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。体幹に膨疹を多数認める。顔面の写真(別冊No.9)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [107E061]←[国試_107]→[107E063]
[★]
- 60歳の男性。意識障害のため搬入された。3日前から排尿困難と38.0℃の発熱とを生じ、全身倦怠感を訴えていたが今朝から家人の呼びかけに応答しなくなった。5年前に糖尿病を指摘されたが放置していた。1年前に尿の出にくさを自覚し、近医を受診したところ残尿が40mlであった。意識は混濁。身長160cm。体温39.2℃。脈拍112/分、整。血圧66/40mmHg。四肢は温かい。直腸診で前立腺は軟らかく触れる。尿所見:蛋白2+、糖3+、潜血2+、沈さに赤血球20~30/1視野、白血球100以上/1視野。血液所見:赤血球381万、Hb11.5g/dl、白血球13,600、血小板36万。血液生化学所見:血糖320mg/dl、尿素窒素36.0mg/dl、クレアチニン3.2mg/dl。CRP18.5mg/dl。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.30、PaO2 80Torr、PaCO2 35Torr、HCO3- 18mEq/l。直ちに末梢静脈から輸液を開始した。
[正答]
※国試ナビ4※ [102E042]←[国試_102]→[102E044]
[★]
67歳の男性。交通外傷で搬入された。車の運転中、電柱に衝突した。意識は清明。胸痛と呼吸困難とを訴えている。脈拍96/分、整。血圧146/76mmHg。呼吸数20/分。 SpO2 93%(リザーバー付マスク 10L/分酸素投与下)。頸静脈の怒張を認めない。胸郭の奇異性運動を認める。胸骨部に圧痛と皮下出血とを認める。血液所見:赤血球384万、 Hb11.2g/dL、 Ht39%、白血球9,800、血小板23万。 CK57IU/L(基準30-140)。 CRP0.3mg/dL。動脈血ガス分析(自発呼吸、リザーバー付マスク 10L/分酸素投与下) : pH7.21、 PaCO2 60Torr、 PaO2 80Torr、 HCO3- 23mEq/L。胸部エックス線写真と胸部単純CTとで気胸を認めない。胸部単純CT(別冊No. 8A)と胸郭3D-CT(別冊No. 8B)とを別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E050]←[国試_106]→[106E052]
[★]
- 次の文を読み、45、46の問いに答えよ。
- 55歳の男性。呼吸停止状態でマスクによる用手人工呼吸を受けながら救急車で搬入された。
- 現病歴 : 会社で電話中に後頭部に激しい頭痛を訴えて倒れた。同僚がかけつけたときいぴきを伴う大きな呼吸をしていたが、救急車到着時には呼吸停止の状態であった。
- 既往歴 : 高血圧を指摘されたが無治療であった。
- 現症 : 意識は昏睡状態。体温37.0℃。自発呼吸はない。脈拍は微弱。血圧68/40mmHg。左前額部に擦過傷を認める。瞳孔径左右とも3mm、対光反射は左右とも消失。心雑音はない。腹部に異常所見は認めない。
- 救急外来でまず行うべき処置で誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097F044]←[国試_097]→[097F046]
[★]
- 40歳の男性。乏尿と呼吸困難とを主訴に救急外来を受診した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。冷汗と下腿浮腫とを認める。 III音と IV音とを聴取する。両側の胸部に coarse cracklesを聴取する。脈拍 108/分、整。血圧 72/50 mmHg。呼吸数 28/分。血液生化学所見:クレアチニン 1.8 mg/dl、Na 134 mEq/l、K 3.8 mEq/l、 Cl 100 mEq/l、脳性ナトリウム利尿ぺプチド〈BNP〉840 pg/ml(基準 18.4以下)。動脈血ガス分析 ( room air): pH 7.32、PaCO2 30 Torr、PaO2 62 Torr、HCO3 15 mEq/l。心エコー図 (傍胸骨左縁長軸像 )(別冊 No.15A、B)を別に示す。
- まず投与すべき治療薬で適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A040]←[国試_108]→[108A042]
[★]
- 38歳の女性。歩行中乗用車にはねられ救急車で来院した。意識は清明であったが顔面蒼白で低血圧と頻脈とを呈した。肺破裂による腹腔内出血があり、直ちに全身麻酔下に緊急手術が開始された。術中大量輸液と輸血とにより血圧は90/68mmHgに回復したが、気管内に多量のピンク色泡沫状の分泌物を生じた。頚静脈怒張を認め、胸部にギャロップとcoarse crackles(湿性ラ音)とを聴取する。脈拍112/分、整。血液所見:赤血球450万、Hb13.6g/dl、白血球5,800。動脈血ガス分析(人工呼吸、FiO2 0.6):pH7.36、PaO2 92Torr、PaCO2 42Torr、BE -1mEq/l。中心静脈圧17cmH2O。適切な治療薬はどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096A017]←[国試_096]→[096A019]
[★]
- 56歳の男性。四肢の筋けいれんを主訴に来院した。炎天下で道路工事をしていた。午後になり、気分不快とふらつきが出現し、四肢に筋けいれんが生じるようになってきたため同僚に付き添われて受診した。朝から尿が出ていないという。意識レベルはJCSⅠ-2。体温 37.2℃。脈拍 100/分、整。血圧 104/70mmHg。呼吸数 18/分。皮膚、口腔粘膜、舌および腋窩は乾燥している。頸静脈の虚脱を認める。血液生化学所見:総蛋白 8.3g/dL、アルブミン 4.5g/dL、血糖 98mg/dL、尿素窒素 46mg/dL、クレアチニン 2.0mg/dL、尿酸 7.8mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.8mEq/L、Cl 98mEq/L。
- 治療として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110H028]←[国試_110]→[110H030]
[★]
- 60歳の女性。右大腿骨頚部骨折のため入院して手術を受けた。
- 手術前は血圧122/78mmHg で、心電図と胸部エックス線写真とに異常はなかった。術後7日間臥床していたが、リハビリテーションのために歩行訓練を始めたところ、訓練の途中で、突然息苦しくなり、気分が悪くなってうずくまった。呼吸数36/分。脈拍128/分、整。血圧80/42mmHg。顔色は不良で発汗がある。胸部にII音の亢進を認めるがラ音は聴取しない。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):PaO2 48Torr、PaCO2 26Torr。マスクによる酸素吸入を行い、静脈路を確保した。まず投与するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099C014]←[国試_099]→[099C016]
[★]
- 35歳の女性。傾眠状態で搬入された。24歳時から1型糖尿病でインスリン自己注射を行っている。5日前から感冒症状、食思不振および下痢のためインスリン注射を中止していた。意識レベルはJCS II-20。身長 158cm、体重 51kg。体温 36.9℃。脈拍 88/分、整。血圧 98/62mmHg。咽頭に発赤を認めるが、胸・腹部と神経学的所見とに異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖4+、ケトン体3+。血液所見: 赤血球 467万、Hb 14.5g/dl、Ht 44%、白血球 10,400。血液生化学所見: 血糖 562mg/dl、HbA1c 9.8 %。
- まず静注するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I060]←[国試_104]→[104I062]
[★]
- 40歳の女性。意識障害のため搬入された。3年前、第2子出産時に大量の出血があった。
- その後から無月経となり、2年前から恥毛が脱落してきた。1か月前から全身倦怠感を訴えていた。
- 今朝、寝室から起きて来ないので、家族が見に行くと意識がもうろうとしていて呼びかけに反応がなかった。
- 意識レベルはJCSII-30。体温35.5℃。脈拍56/分、整。血圧 100/54 mmHg。
- 血液生化学所見:血糖61mg/dl 、Na 126mEq/dl,K 4.1mEq/l、Cl 92mEq/l。
- 静脈路確保の後、静脈内投与すべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103H022]←[国試_103]→[103H024]
[★]
- 45歳の女性。胸痛と呼吸困難とを主訴に来院した。農作業中に重いものを一気に持ち上げたところ左肩から背部にかけて痛みを自覚し、その後呼吸困難が出現した。既往歴に特記すべきことはない。意識は清明。体温36.6℃。呼吸数27/分。脈拍116/分、整。血圧106/66 mmHg。心音は減弱している。左肺野で呼吸音は消失している。胸部エックス線写真(別冊No.17)を別に示す。
- まず行うべき処置はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105A048]←[国試_105]→[105A050]
[★]
- 22歳の女性。未経妊。無月経と挙児希望とを主訴に来院した。クロミフェンでは排卵が起こらず、ゴナドトロピン療法を行った。両側卵巣が径15cmに腫大し、胸水と大量の腹水との貯留を認める。一日尿量は300ml。血液所見: 赤血球 500万、Hb 16.5g/dl、Ht 55%、白血球 19,000。血液生化学所見: LH 35.8mIU/ml(基準1.8-7.6)、FSH 10.5mIU/ml(基準5.2-14.4)。
- 治療として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I076]←[国試_104]→[104I078]
[★]
- 30歳の女性。下腹部痛を主訴に来院した。
- 無排卵による不妊症のため12日前からゴナドトロピン療法を受け、基礎体温は4日前から高温相となっている。3日前から下腹部痛と腹部膨満とを認め、昨日から尿量が減っていることに気付いた。
- 血液所見:赤血球550万、Hb17.0g/dl、Ht52%、白血球8,800、血小板42万。入院後直ちに輸液を開始した。左右卵巣の経膣超音波写真を以下に示す。
- 次に投与する薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098I027]←[国試_098]→[098I029]
[★]
- 生後3日の新生児。在胎25週、体重774gで出生した。Apgarスコア3点(1分)。出生後暗泣が弱く、直ちに挿管され、人工呼吸管理を受けている。体温37.8℃。心拍数180/分、整。チアノーゼは認めない。心尖拍動を認め、胸骨左緑第2肋間に2/6度の収縮期雑音を聴取する。胸部エックス線写真で心胸郭比は65%である。心エコー図を以下に示す。治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102A059]←[国試_102]→[102B001]
[★]
- 72歳の女性。動悸を主訴に来院した。数年前から労作時の動悸を自覚していた。脳梗塞の既往がある。脈拍104/分、不整。血圧130/74mmHg。心尖部を最強点とする2/6度の全収縮期雑音を聴取する。心電図を以下に示す。治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F019]←[国試_100]→[100F021]
[★]
- 32歳の男性。意識消失のため搬入された。うどんを食べてすぐに運動をしたころ、全身にじんま疹が出現し、その後、意識を消失した。小麦アレルギーの既往がある。呼吸数24/分。脈拍120/分、整。血圧74/52mmHg。まず行うべき処置はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D019]←[国試_101]→[101D021]
[★]
- 英
- schizophrenia
- 同
- 精神分裂病、分裂病
- 関
- 精神疾患、向精神薬、抗精神病薬
ICD-10
- F20.0 Paranoid schizophrenia
- F20.1 Hebephrenic schizophrenia
- F20.2 Catatonic schizophrenia
- F20.3 Undifferentiated schizophrenia
- F20.4 Post-schizophrenic depression
- F20.5 Residual schizophrenia
- F20.6 Simple schizophrenia
- F20.8 Other schizophrenia
- F20.9 Schizophrenia, unspecified
DSM-IV
概念
- 統合失調症 schizophrenia (=精神分裂病 shizo(分裂) + phrenia(心))
- 感情、思考、行動の統合がとれていない。
歴史
- クレペリン Kraepelin,E.(1899):早発性痴呆として統合失調症を分離
- ブロイラー Bleuler,E. (1911):schizophreniaの名称を与えた。ブロイラーの基本症状
- シュナイダー Schneider,K.(1939):シュナイダーの一級症状
疫学
- 100人に1人が罹患している。120人に1人とも(発病危険率0.8%)
- 発症年齢:15-35歳に集中。10歳以下や40歳以降に発症することは少なく、55歳におこるのはまれ。
- 性差:男性の方が発症年齢が少ない。
遺伝性
- 参考1
- 発症には遺伝要因と環境要因の関与が考えられる。
リスクファクター
病前性格
- 非社交的、物静か、控えめ、生真面目、変人
- 臆病、繊細、敏感、神経質、興奮しやすい、自然や書物に親しむ
- 従順、善良、温和、無頓着、鈍感
病型
病因
- 前頭葉、辺縁系、線条体、視床下部 → ドーパミンD2受容体遮断薬が治療薬 (抗精神病薬)
統合失調症の特徴
- 1.意識障害はおこらない
- 2.知的障害は起こらない
- 3. 特異的な症状がない
- 4. 個々の精神機能はそれ自体は障害は起こらない
ブロイラーの4つのA
- ①連合弛緩 Assosiationslockerung
- ②感動鈍麻 Affekverblodung
- ③両価性 Ambivalence
- ④自閉 Autisumus
統合失調症の陽性、陰性症状
- 陽性症状:本来あるべきでないことがあるもの:幻聴
- 陰性症状:本来あるべきものがないもの:感情の鈍麻
症状
- PSY.255-256
- 意欲・感情:不安、緊張、興奮。昏迷、カタレプシー
- 自我:自我の能動性が障害され、自らの思考や行動が他人の意志によって影響されていると思いこむこと。
- 知能:知的能力は低下しない。異常体験に支配されている場合や人格の崩壊が進行した例では、的確な判断能力が損なわれる。
- 疎通性:異常体験に支配されていたり、強い興奮や昏迷を示す場合には疎通性は得られない。
- 病識:統合失調患者は自らが異常な状態にあることを認識できない
診断基準
DSM-IVによる統合失調症の診断基準
A.
|
特徴的症状:以下のうち2つ以上が1ヶ月以上の存在
|
(1) 妄想
|
(2) 幻覚
|
(3) 解体した会話
|
(4) ひどく解体したまたは緊張病性の行動
|
(5) 陰性症状:感情平板化、思考貧困、意欲欠如
|
B.
|
社会的または職業的機能の低下
|
C.
|
期間:少なくとも6ヶ月間存在
|
D.
|
失調感覚障害(統合失調感情障害)と気分障害を除外
|
E.
|
物質や一般身体疾患の除外
|
F.
|
広汎性発達障害との関係:自閉性障害や 他の広汎性発達障害の既往歴がある場合、 顕著な幻覚や妄想が少なくとも1ヶ月存在すること
|
ICD-10による統合失調症の診断基準
- 一ヶ月以上ほとんどいつも明らかに存在すること
検査
治療
- 薬物療法
- 精神療法:支持的精神療法(安定した医師患者関係を樹立する)
- 電気痙攣療法:陽性症状が顕著で薬物療法の効果が見られない場合に適応。陽性症状の有無にかかわらず自殺のおそれがあり、他の治療によって改善に見られない場合も適応。
- 社会復帰のための治療:
- 作業療法:自発性と対人接触が改善。
- レクリエーション療法:
- 認知行動療法:生活技能訓練(ここの患者に適した目標を設定して行動療法を行う。対人及び社会的技能を学習し、実際の生活に応用していく)
参考
- 1. 統合失調症 学習テキスト 病客様とご家族の皆様がともに学んでいただくために 医療法人梁風会高梁病院 心理教育委員会編集
- http://www.ryoufhu.com/hp/sctekisuto.pdf
- 2. 【0738】一卵性双生児の統合失調症について
- http://kokoro.squares.net/psyqa0738.html
[★]
- distress
- 英
- acute respiratory distress syndrome, ARDS
- 同
- 急性呼吸窮迫症候群、成人呼吸促迫症候群 adult respiratory distress syndrome
- 関
- 肺水腫
概念
- 様々な原因に続発する急性の肺損傷であり、その本態は血管内皮細胞が傷害されて生じた透過性肺水腫
- 侵襲により肺の非特異的炎症と肺微小血管内皮の透過性が亢進した非心原性肺水腫
- 心不全は除外する必要がある
病因
- IMD.743
- 胃内容物の誤嚥:22-36%
- 肺挫傷:17-22%
- 敗血症:35-45%
- 頻回の輸血:5-36%
- 多発性長管骨骨折:-%
- ICU.364
ARDSの原因と死亡率
- ICU.364
|
発生率(%)
|
死亡率(%)
|
敗血症
|
41
|
50
|
大量輸血
|
36
|
35
|
肺挫傷
|
22
|
12
|
胃内容誤嚥
|
22
|
21
|
多発骨折
|
11
|
9
|
薬物過量
|
9
|
4
|
全ての高リスク状態
|
26
|
19
|
疫学
病理
- 病理学的にはびまん性肺胞障害(DAD)である。
症状
診断
診断基準
- 1. 急性発症,
- 2. 胸部X線写真で両側浸潤影,
- 3. PaO2/FIO2≦200 50%O2を吸入させてもPaO2 100 mmHgにしかならないというイメージか
- 4. 左心不全の否定
- 上記を満たし、PaO2/FIO2≦300の軽症例は急性肺損傷 ALI acute lung injury、
ARDSとALI
|
経過
|
酸素化
|
単純胸部X線
|
肺動脈楔入圧
|
ALI
|
急性
|
PaO2/FIO2≦300mmHg
|
両側性の浸潤影
|
≦18mmHg or 理学的に左房圧上昇を認めない
|
ARDS
|
急性
|
PaO2/FIO2≦200mmHg
|
両側性の浸潤影
|
≦18mmHg or 理学的に左房圧上昇を認めない
|
鑑別診断
検査
治療
- ICU.368- YN.I-121 参考3
- 呼吸管理:気管挿管し人工呼吸管理とする。 ⇔ 急性肺障害ではNIPPVでよい(低いPEEPで良いから。ARDSの場合はは高いPEEPが要求されるのであろう)。
- 低容量換気とする(機能している肺は減少しており、高用量換気では過膨張による末梢の肺胞を破壊しうる)。
- 管理目標:予測体重を利用した6ml/kgの一回換気量を維持する。30cmH2O未満の呼気終末プラトー圧を維持する。重症呼吸性アシドーシスを避ける。
- 高二酸化炭素許容:Paco2が60-70mmHgで動脈血pH 7.2-7.25ならば大多数の患者で安全。
- PaO2=50-80 or SpO2=88-95%となるように管理。
- PEEP:5-7cmH2Oを付与。
Oxygenation will be maintained in the target ranges using the following PEEP/FiO2 combinations:
|
FiO2
|
0.3
|
0.4
|
0.4
|
0.5
|
0.5
|
0.6
|
0.7
|
0.7
|
0.7
|
0.8
|
0.9
|
0.9
|
0.9
|
1
|
1
|
PEEP(cmH2O)
|
5
|
5
|
8
|
8
|
10
|
10
|
10
|
12
|
14
|
14
|
14
|
16
|
18
|
18
|
20-24
|
- 循環管理:過剰輸液は肺水腫を増悪させるし、利尿剤による循環血液量減少は静脈圧低下から、(人工陽圧換気により)静脈還流量が減少し心拍出量の減少に繋がる。
- 心拍出量の維持のために輸液を行うが、輸液投与の適応がなければ、ドブタミンを投与する。(△血管拡張薬(肺内シャントを増加させガス交換を悪化させる。×ドパミン(肺静脈を収縮させる))
- 血液浄化療法:エンドトキシン吸着療法 + 血液透析:持続的血液濾過透析 敗血症性ショックに対して
- 薬物治療:
-
- (急性期?)ニューモシスチス肺炎、脂肪塞栓、敗血症性ショック。
- (発症後7-14日後)線維増殖期であり、生存率を改善する。コラーゲン分解を促進して線維化を防ぐ。
参考
- http://images.emedicinehealth.com/images/4453/4453-13253-51571-51631.jpg
- http://en.wikipedia.org/wiki/File:AARDS_X-ray_cropped.jpg
- 2. What Is ARDS? - NHLBI, NIH
- http://www.nhlbi.nih.gov/health/health-topics/topics/ards/
- 3. "Clinical Centers for the Clinical Network for the Treatment of the Adult Respiratory Distress Syndrome (ARDS)"
- http://www.nhlbi.nih.gov/funding/inits/archive/HR-01-01.htm
[★]
- 英
- septic shock
- 同
- 敗血症ショック、感染性ショック、細菌性ショック、エキソトキシンショック(厳密には定義が違う?)
- 関
- ショック、敗血症
概念
- 微生物の感染によって起こる。グラム陰性菌(endotoxic shock)で起こるが、グラム陽性菌・真菌でも起こりうる。(BPT.102)
- 必ずしも全身性の菌血症は必須ではない。局所の生物の血管外感染にたいする宿主の炎症反応で十分おこりうる。(BPT.102)
- 敗血症ショックの70%がグラム陰性菌由来のエンドトキシンによる(endotoxic shock)
特徴
- warm shock:LPSによるショックでは末梢血管の血管透過性が亢進し、末梢血管抵抗が低下するが、体液が組織に移行して体が温かく感じられる。
- 血管末梢抵抗の低下により、代償的に高心拍出量状態となるり、ついには低心拍出量状態、多臓器不全となる。末期では体温は下がる。
病態生理 BPT.103
- 1. LPSが血中に放出される
- 2. 循環血液中のLPS-binding proteinと結合する
- 3. 2.の複合体は単球、マクロファージ、好中球上に発現しているCD14に結合する
- 4. CD14と共役しているTLR-4が細胞内にシグナルを伝達する。
- 5. TLR-4からのシグナルにより、IL-1, TNF等のサイトカインを放出
- 6. IL-1, TNFは血管内皮細胞に作用して抗凝固因子(TFPI、thrombomodulin)の産生を低下させる。 ← この作用は血管内皮上のTLR-4-CD14にLPSが結合することで増強される。
低用量のLPS
- 1. 単球、マクロファージ、好中球を活性化。補体系の直接の活性化。
- 2. LPSに反応してTNFを産生した単球性の食細胞はこんどはIL-1を産生する
- 3. 血管内皮はTNFとIL-1に反応してIL-6, IL-8を産生し、接着分子を発現する。
高用量のLPS
- 1. サイトカインにより産生されたエフェクター(NO、血小板活性化因子(PAF))が増加
- 2. 多量のTNFとIL-1によって発熱、急性相反応物(APR)の産生、好中球の増多
- 3. 血管内皮細胞は前凝固状態になる
高用量のLPSによってもたらされる帰結
- (1) 全身性の血管拡張(低血圧)
- (2) 心筋収縮力の減弱
- (3) びまん性の血管内皮障害と活性化、これにより白血球の血管内皮の接着が促進され、肺における肺胞のびまん性血管内皮損傷がおこる。
- (4) 凝固系の亢進がDICを引き起こす。
症状
- warm shock: 初期は発熱を伴う。発汗、呼吸促迫、頚静脈平坦、脈圧増大(高心拍出量状態を反映。低血圧の代償)、頻脈(発熱による)、心拍数増加、末梢血管抵抗低下、意識低下、尿量減少。
- cold shock: 末期には体温は低下する。
- 呼吸性アルカローシス:乳酸蓄積とサイトカイン増加で頻呼吸となるため(CBT QB vol2 p.554)
新生児
治療・管理
対症療法
- 初期におけるショックに対する治療 → 輸液負荷、昇圧薬、
- Dellinger RP, Levy MM, Carlet JM, et al: Surviving Sepsis Campaign: international guidelines for management of severe sepsis and septic shock: 2008. Crit Care Med 2008; 36:296-327.
- Early goal-directed therapy(Grade 1B)
- 敗血症ショックにおける指標を定めた初期輸液療法
- 敗血症ショックの治療開始後6時間の輸液療法はクリスタロイドであれば1-2l/hrとし、5%アルブミン液であれば0.6-1l/hrとする。
- 以下の4項目を達成目標とする
- 輸液負荷により低血圧が持続する場合に適応となる(ICU.646)
- ドパミンは腹腔内臓器の血流を低下させ組織アシドーシスを促進する可能性があるが、ノルアドレナリンにはこれはない。
根治療法
- 感染巣の同定、起炎菌の同定(血液培養の感度は30-40%程度)と薬物感受性の検索
ステロイド治療
- 昇圧薬を必要とする全ての敗血症性ショック患者にステロイドが推奨されている (ICU.646)
[★]
- 英
- growth hormone (Z), GH
- 同?
- ソマトトロピン somatotropin、ソマトトロピックホルモン somatotropic hormone STH
- 関
- 成長ホルモン
- 関
- ホルモン、下垂体成長ホルモン、組換え型成長ホルモン
基準値
- 血清:M:0.4±0.1 ng/ml, F:3.2±0.4 ng/ml → 性差(エストロゲンが分泌促進作用を持つため?生物学的意義は?)
分類
性状
産生組織
標的組織
作用
- SP.883
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- 成長を促進:各組織における細胞分裂による増殖(細胞分裂、DNA,RNA,蛋白合成)と細胞の分化
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- GH存在下でアミノ酸が組織に取り込まれ蛋白合成のために用いられる。内臓臓器、骨格筋、皮膚、および結合組織などほとんど全ての組織がGHに反応して肥大。
- (抗インスリン作用->血糖上昇)筋肉、脂肪へのグルコース取り込みを減少させ、肝臓からのグルコース放出を増加させる。膵臓に作用しインスリン分泌を促進する。 ← GHは何がしたいの?
- (中性脂肪分解作用->血中遊離脂肪酸増加)中性脂肪を分解し、末梢血でFFAを増加させ、グルコースの代わりにエネルギー源として利用される。(おそらくFFA増加により)ケトン体が増加する。
- (骨形成に向かう反応。リン酸濃度上昇、カルシウム濃度上昇)近位尿細管でのリン酸の再吸収促進、腸からのカルシウム促進。Na,K,Cl濃度増加、細胞外液増加
分泌の調整
分子機構
臨床関連
- 成長の遅れ:成長ホルモン分泌が低下している場合、3歳頃から身長の伸びが遅れる。
国試
[★]
- 英
- levodopa
- 同
- L-dopa、L-DOPA、LD、Lドーパ、L-ドーパ、L-ドパ、ドパ、ドーパ、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン 3,4-dihydroxyphenylalanine、ジヒドロキシフェニルアラニン dihydroxyphenylalanine
- 商
- ドパストン、ドパゾール、ドパール、イーシー・ドパール配合、カルコーパ配合、スタレボ配合、デュオドーパ配合、ドパコール配合、ドパゾール、ネオドパストン配合、ネオドパゾール配合、パーキストン配合、マドパー配合、メネシット配合、レプリントン配合
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相互作用
薬剤名等
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臨床症状・措置方法
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機序・危険因子
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レセルピン製剤
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脳内ドパミンが減少し本剤の作用が減弱するおそれ
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脳内のドパミンを減少させてパーキンソン症状を悪化させる。
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テトラベナジン
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血圧降下剤(メチルドパ水和物、レセルピン、節遮断剤等)
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血圧降下剤の作用を増強することがある
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機序は不明であるが、レボドパに血圧降下作用があるためと考えられている。
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抗精神病薬(フェノチアジン系薬剤 (クロルプロマジン等) 、 ブチロフェノン系薬剤 (ハロペリドール等)、ペロスピロン等
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本剤の作用が減弱することがある
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これらの薬剤によりドパミン受容体が遮断される。
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全身麻酔剤(ハロタン等)
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不整脈を起こすことがある
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ハロタン等は交感神経のα、βレセプターの感受性を高める。一方、レボドパとの併用ではレボドパから転換したドパミンがα、βレセプターに作用して、不整脈を起こす可能性がある。
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ピリドキシン
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末梢での本剤の脱炭酸化を促進するため、本剤の作用が減弱することがある
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ピリドキシンはレボドパ脱炭酸酵素の補酵素であり、併用によりレボドパの末梢での脱炭酸化を促進し、レボドパの脳内作用部位への到達量を減少させると考えられる。
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抗コリン剤、アマンタジン塩酸塩、ブロモクリプチンメシル酸塩
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精神神経系の副作用が増強することがある
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併用によりレボドパの効果増加につながるが、同時に精神神経系の副作用が増強される可能性もある。
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NMDA受容体拮抗剤(メマンチン塩酸塩等)
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本剤の作用を増強するおそれ
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これらの薬剤により、ドパミン遊離が促進する可能性がある。
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パパベリン塩酸塩
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本剤の作用が減弱するおそれ
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パパベリン塩酸塩が線条体にあるドパミンレセプターをブロックする可能性がある。
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鉄剤
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本剤の作用が減弱するおそれ
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キレートを形成し、本剤の吸収が減少するとの報告がある。
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イソニアジド
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本剤の作用が減弱するおそれ
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機序は不明であるが、イソニアジドによりドパ脱炭酸酵素が阻害されると考えられている。
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