ムスカリン受容体
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アセチルコリン受容体(アセチルコリンじゅようたい、英: acetylcholine receptor、AChR)は神経伝達物質であるアセチルコリンの受容体である。アセチルコリンによって刺激されるので、コリン作動性受容体とも呼ばれる。 アセチルコリン受容体は代謝調節型のムスカリン受容体とイオンチャネル型のニコチン受容体の二つに大別される。ムスカリンがムスカリン受容体アゴニストとして、ニコチンがニコチン受容体アゴニストとして働くことからこの名前がある。 アセチルコリンはどちらの受容体にも作用する。アセチルコリン受容体に作用する薬は、その作用する受容体及びその受容体の存在する組織によって異なる作用を示す。薬物の中にはどちらにも作用するものと、どちらか一方により選択的に作用するものがある。
目次
- 1 ムスカリン受容体
- 1.1 サブタイプ
- 1.2 ムスカリン受容体の刺激作用
- 1.3 ムスカリン受容体作動薬
- 1.4 ムスカリン受容体拮抗薬
- 2 ニコチン受容体
- 2.1 ニコチン受容体の分類
- 2.2 ニコチン受容体の刺激作用
- 2.3 ニコチン受容体作動薬
- 2.4 ニコチン受容体拮抗薬
- 3 注釈
- 4 参考文献
- 5 関連項目
ムスカリン受容体
詳細は「:en:Muscarinic acetylcholine receptor」を参照
ムスカリン受容体(mAchR)は代謝調節型の受容体でGタンパク質共役受容体(GPCR)の一種である。末梢では副交感神経の神経終末に存在し、副交感神経の効果器の活動を制御する。中枢にも存在している。尚、ムスカリン受容体はさらに細かくM1~M5のサブタイプで分類され[1]、それぞれの受容体に非選択的に作用する薬と選択的に作用する薬が存在する。副交感神経終末にはM1受容体が多い。
サブタイプ
- M1 - 脳(皮質、海馬)、腺、交感神経に分布
- M2 - 心臓、後脳、平滑筋に分布
- M3 - 平滑筋、腺、脳に分布
- M4 - 脳(前脳、線条体)に分布
- M5 - 脳(黒質)、眼に分布
ムスカリン受容体の刺激作用
- 心臓では、洞房結節に作用し、心拍数を低下させる。
- 消化器では、一般に消化管運動、消化液(胃酸・唾液)の分泌を促進する。
- 血管平滑筋は拡張し、血圧が低下する。
- 気管支平滑筋は収縮する。
- 眼では、縮瞳し、眼圧が低下する。
- 膀胱は収縮し排尿を促す。膀胱にはM2/M3受容体が多い。
ムスカリン受容体作動薬
- ピロカルピン
- セビメリン
- ベタネコール
- ムスカリン
ムスカリン受容体拮抗薬
アセチルコリンがムスカリン受容体を刺激することを阻害する。ムスカリン受容体拮抗薬(M1ブロッカー、Muscarinic antagonist)。
- アトロピン
- トロピカミド
- オキシブチニン
- プロピベリン
- トルテロジン
- ソリフェナシン
- イミダフェナシン
ニコチン受容体
詳細は「:en:Nicotinic acetylcholine receptor」を参照
ニコチン受容体(nAchR)は、イオンチャネル型の受容体で、末梢では自律神経(交感神経と副交感神経)の節前線維終末(副腎髄質での神経終末を含む)及び運動神経終末に存在しており、交感神経も副交感神経もともにニコチン受容体を介して興奮が伝達され、筋肉の運動はニコチン受容体を介して行われる。尚、自律神経節前線維終末受容体(NN受容体)と運動神経終末のニコチン受容体(NM受容体)は厳密には異なる受容体であり、非選択的に作用する薬と選択的に作用する薬がある。
ニコチン受容体の分類
- 筋肉型(NM) - 神経筋接合部に分布
- 末梢神経型(NN) - 自律神経節、副腎髄質に分布
- 中枢神経型(CNS) - シナプスに分布
ニコチン受容体の刺激作用
- NN受容体を介して交感神経及び副交感神経の興奮様作用が起こる。一般に交感神経と副交感神経は「拮抗的二重支配」を行っており、その作用は互いに拮抗することが多い。よってどちらの作が現れるかは、どちらの神経がより優位にその組織を支配しているかによって決まる。
- 心臓は副交感神経が優位に支配しており、心拍数が低下する。
- 血圧(血管平滑筋)の支配は交感神経が優位に支配しており血圧は上昇する。
- 消化器系は副交感神経が優位に支配しており、ムスカリン受容体刺激様作用が生じる。
- NM受容体を介して筋肉の収縮が起こり痙攣を生じる。
ニコチン受容体作動薬
- カルバコール
- ニコチン
- ネオスチグミン(骨格筋の受容体にのみ作用)
ニコチン受容体拮抗薬
アセチルコリンがニコチン受容体に結合することを阻害する。
- スキサメトニウム(スキサメトニウムはアンタゴニストではなく、アセチルコリンよりも長く脱分極させることで次の興奮が伝えられなくなることにより作用を発揮する)
- ヘキサメトニウム
- パンクロニウム
- ベクロニウム
- ツボクラリン
注釈
- ^ meddic - 医学用語集めでぃっく [ムスカリン受容体]
参考文献
松崎 雄 「疼痛伝達機構における帯状回ムスカリン受容体の役割 - 神経因性疼痛モデルを用いた検討」 NAID 110008146938
山崎 良彦「海馬の神経回路におけるニコチンの作用」 NAID 10026544506
関連項目
|
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Japanese Journal
- 神経発火の非同期化を介して起こる海馬てんかん様リズムの抑制
- 橋本 あゆみ,夏目 季代久
- 電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 109(366), 85-90, 2010-01-14
- ラット海馬スライスを用いてpicrotoxin誘導てんかん様発火に対するアセチルコリン受容体活性化の影響について調べた。てんかん様発火の振幅はカルバコール濃度依存的に減少した。この結果は、アセチルコリン受容体の活性化が海馬錐体細胞の同期性を減少させたこと示唆している。さらに、カルバコールによってCA3領域リカレントネットワークにおける集合興奮性シナプス後電位(pEPSP)の振幅は減少した。これらの …
- NAID 110008001773
- 重症筋無力症の進歩 : シナプスの構造・機能と多様な抗体を中心として
- ラット海馬-嗅内皮質におけるピロカルピン誘発てんかん様発火の相互抑制作用(一般,「ニューロハードウェア」及び「一般」)
- 坂口 俊輔,山川 烈,夏目 季代久
- 電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング 106(341), 13-18, 2006-11-03
- … ラットの海馬-嗅内皮質(Hip-EC)スライスにムスカリン性アセチルコリン受容体の作用薬であるピロカルピンを投与した研究で,intcrictal波の発生源は海馬のCA3領域とEC領域の両方に存在し,ictal波の発生源はEC領域にのみ存在することがすでに明らかになっている.今回我々は,2つのてんかん様発火の発生源が排他的に動作している実験結果を得た.これは,CA3領域のinterictal波がEC領域のictal波を抑制し,EC領域のictal波がCA3領域のinteri …
- NAID 110005717654
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- ムスカリン受容体(ムスカリン性アセチルコリン受容体) は、副交感神経の末梢で、 アセチルコリンを受ける 臓器細胞側の受容体として存在しています。 ムスカリン受容体 は、M受容体とも呼ばれ、5種類の サブタイプが存在し、臓器毎にそのサブタイプの 分布 が ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 英
- muscarinic receptor
- 同
- ムスカリン性受容体、ムスカリン性アセチルコリン受容体 muscarinic cholinergic receptors mAChR
- 関
- アセチルコリン受容体、ニコチン受容体、ムスカリン受容体拮抗薬、受容体
- アセチルコリン受容体のサブタイプ
- 7回膜貫通型のGタンパク質共役型受容体 →ニコチン受容体はイオンチャネル型
- β-アドレナリン受容体などと類似の構造と機能を有する (SPC.66)
ムスカリン受容体 (SP.412)
ムスカリン性受容体 (出典?)
ムスカリン性受容体
|
局在
|
反応
|
シグナル伝達系
|
M1
|
自律神経節
|
脱分極
|
Gq→PLC→IP3/DAG
|
中枢神経
|
|
M2
|
心臓
|
洞房結節
|
脱分極の抑制、過分極
|
Gi→K+チャネル開
|
心房
|
収縮力↓
|
Gi→cAMP↓→電位依存性L型Caチャネル閉
|
房室結節
|
伝導速度↓
|
|
心室
|
収縮力↓
|
|
M3
|
平滑筋
|
収縮
|
Gq→PLC→IP3/DAG
|
血管内皮細胞
|
拡張
|
NO産生
|
外分泌腺
|
分泌促進
|
Gq→PLC→IP3/DAG
|
ムスカリン受容体作動薬・拮抗薬の臨床応用
[★]
- 英
- phenothiazine
- 関
- フェノチアジン系
概念
作用機序
薬理作用
[★]
- 関
- muscarinic receptor
[★]
- 英
- receptor
- 同
- レセプター、リセプター
- 関
種類
First Aid FOR THE USMLE STEP 1 2006 p.199
一般的作動薬
|
受容体
|
G protein subunit
|
作用
|
アドレナリン ノルアドレナリン
|
α1
|
Gq
|
血管平滑筋収縮
|
α2
|
Gi
|
中枢交感神経抑制、インスリン放出抑制
|
β1
|
Gs
|
心拍数増加、収縮力増加、レニン放出、脂肪分解
|
β2
|
骨格筋筋弛緩、内臓平滑筋弛緩、気道平滑筋弛緩、グリコーゲン放出
|
β3
|
肥満細胞脂質分解亢進
|
アセチルコリン
|
M1
|
Gq
|
中枢神経
|
M2
|
Gi
|
心拍数低下
|
M3
|
Gq
|
外分泌腺分泌亢進
|
ドーパミン
|
D1
|
Gs
|
腎臓平滑筋弛緩
|
D2
|
Gi
|
神経伝達物質放出を調節
|
ヒスタミン
|
H1
|
Gq
|
鼻、器官粘膜分泌、細気管支収縮、かゆみ、痛み
|
H2
|
Gs
|
胃酸分泌
|
バソプレシン
|
V1
|
Gq
|
血管平滑筋収縮
|
V2
|
Gs
|
腎集合管で水の透過性亢進
|
チャネルの型による分類(SP. 154改変)
イオンチャネル連結型受容体
Gタンパク質共役型受容体
受容体とシグナル伝達系
リガンド、受容体、細胞内情報伝達系
PKA,PKC
癌細胞における
[★]
- 英
- acetylcholine receptor, AChR
- 同
- コリン作動性受容体 (SPC.134)、Ach受容体、アセチルコリン作動性受容体
- 関
- アドレナリン受容体、アセチルコリン
アセチルコリン受容体 (SP.412)
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- acetylcholine (K), ACh
- 化
- 塩化アセチルコリン、アセチルコリン塩化物 acetylcholine chloride
- 商
- オビソート、ノイコリンエー
- 関
- アセチルコリン受容体、アセチルコリンエステラーゼ、muscannic acetylcholine
作用機序
構造式
- 構造式:(CH3)3N+-CH2-CH2-OCO-CH3
代謝
薬理作用
心臓 (SPC.154)
- 洞房結節のK+に対する透過性を高め、静止電位を低下させるため
血管
血圧
平滑筋
分泌腺
骨格筋
交換神経終末
[★]
- 英
- muscarine
- 関
- ムスカリン性受容体、アセチルコリン受容体、ニコチン性受容体
- 四級ammonium alkaloid
- 毒キノコ(ベニテングダケ、キテンングダケ、アセダケ)に含まれるアルカロイド
- アトロピンで完全に拮抗できる (SPC.156)
作用機序
薬理作用
- ニコチン受容体には結合しない
動態
適応
中毒症状
- 流涙、流涎、尿量増加、下痢、消化管蠕動亢進、嘔吐、発汗、縮瞳
注意
禁忌
副作用