出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/10/12 18:33:21」(JST)
胆石(たんせき、英: Gallstone)は、肝臓から分泌される、胆汁の成分が固まって胆嚢内・胆管内に溜まったもの。
胆嚢炎などは、ほとんど、胆石が原因である。胆石の成分によって何種類かあり、色も形も多様である。
「胆石」の名前の由来は、固まった胆汁が結石のような物だったため、胆石と付けられている。胆石は古来の欧州から、非常に流行していた病気とされ、紀元前1500~1600年頃のミイラから胆石が発見されている。
女性、肥満、中高年・高TG血症に多いとされ、経口避妊薬内服・急激なダイエットにも多いことが報告されている。また、胆石を保持している人の大半は、症状の無い無症状胆石で、人間ドックで発見されることも多く、胆石症の症状を起こす人は1~3%と言われている。また胆石が明らかな胆嚢癌を生じやすいという証拠はないが、胆嚢癌では高率に胆石が認められる。
胆石の出来る場所によって正式には以下の通り称される。
診療において、上記は単に名称の違いだけではなく、それぞれ治療方法が異なってくるため使い分けられている。
胆石にはそれぞれ種類があり、成分によって異なり主に以下の3種類に類別される。
日本では、カロリーの少ない食事が主流だったため、コレステロール石の患者はほとんど存在しなかったが、近年増加傾向にある。なお、飲酒する人の胆石保有率は低いという報告もある。
コレステロール結石
様々な胆石
(黄色いものがコレステロール結石、その他はビリルビンカルシウム結石)
黒色石
胆石が形成される大きな要因の一つとして胆嚢収縮機能の低下が挙げられる。また、胆汁の中のコレステロールが上昇することも胆石の形成に関係している。このコレステロールの上昇に関しては、レシチンと胆汁酸のバランスが悪くなり、胆汁の粘張度が高くなり、うっ滞もしくは感染等によって凝集を起こした胆汁が、胆嚢・胆管で固まって結石となるためとされている。なお、胆汁にはもともとコレステロールが多く含まれているものの、通常脂溶性である胆汁は、レシチンと胆汁酸の作用によって固まらず、液体のまま十二指腸に送られている。
多くは無症状保持の場合が多いが、胆石そのものの徴候(胆石発作)と、感染を伴う胆嚢炎・胆管炎の徴候としては以下がある。
主な症状は、以下の通りである。
診断には以下の検査がある。
胆石が体内に存在していても、痛みや症状を伴わず、日常生活に支障を来たさないことも多く、症状の無い場合には、特に治療をせず基本的に経過観察で問題ない。しかし、胆石発作や胆嚢炎・胆管炎を生じうる場合には以下の治療を必要としてくる。
ウルソデオキシコール酸(UDCA)を主成分とする経口胆石溶解剤を内服することで、胆汁の流れをよくし胆石を溶かす効果を期待する。しかし、基本的に胆石の完全除去はほとんど無いため予防的に処方されることが多い。
一般に、胆嚢炎・胆管炎等の感染を伴う場合や、総胆管結石等の治療に行われる。ERCPの項目を参照。
胆嚢摘出術は胆石症の原因である胆嚢を摘出する手術で、最も根治的な胆石症の治療法である。近年では腹腔鏡下で行う手術が多くなってきている。
胆嚢の機能は胆汁を一時的に蓄えるだけで、術後も胆汁は肝臓で作られ消化機能に影響がないため、手術により胆嚢を失っても日常生活に支障はないが、油脂を採り過ぎると下痢をしやすい体質になる可能性がある。
体外衝撃波胆石破砕術(Extracorporeal shock wave lithotripsy|ESWL)と呼ばれ、体外から高周波の衝撃波を当てることにより、胆石を砕く治療法。
侵襲が少なく患者への負担が軽い治療ではあるが、適応が「純コレステロール胆嚢結石」のみであり、日本人の多くのコレステロール胆石が石灰化混合胆石で他の胆石に対しては治療適応が無く、また胆石を除去するのではなく粉砕し自然排石を期待する治療で再発が多い。そのため、行う施設が少ない。また、胆嚢炎を生じた場合、胆嚢が肥大化し胆嚢壁が薄くなり、衝撃波を当てると胆嚢壁が破れる危険性があるため、この治療法を施すことはできない。
犬では臨床上問題となる胆石の大部分はビリルビンとカルシウムを主体とする胆汁色素系胆石である。慢性経過では特徴的な症状を示さないことが多い。胆管内に胆石が存在すると疼痛を示す。
ウィキメディア・コモンズには、胆石に関連するカテゴリがあります。 |
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
国試過去問 | 「106F026」「106F027」「108F018」「096A023」「095D028」「087B043」「111G019」「100B037」「103I026」「106I001」「104G036」 |
リンク元 | 「肝腫大」「胆石症」「コレステロール胆石」「ビリルビン胆石」「総胆管結石」 |
拡張検索 | 「体外衝撃波胆石破砕術」「胆石破砕術」「胆石疝痛発作」 |
C
※国試ナビ4※ [106F025]←[国試_106]→[106F027]
C
※国試ナビ4※ [106F026]←[国試_106]→[106F028]
E
※国試ナビ4※ [108F017]←[国試_108]→[108F019]
D
※国試ナビ4※ [096A022]←[国試_096]→[096A024]
D
※国試ナビ4※ [095D027]←[国試_095]→[095D029]
C
※国試ナビ4※ [111G018]←[国試_111]→[111G020]
A
※国試ナビ4※ [100B036]←[国試_100]→[100B038]
A
※国試ナビ4※ [103I025]←[国試_103]→[103I027]
C
※国試ナビ4※ [106H038]←[国試_106]→[106I002]
D
※国試ナビ4※ [104G035]←[国試_104]→[104G037]
V | I | N | D | I | C | A | T | E | |
vascular | infection | neoplasm | degenerative | intoxication | congenital | autoimmune | trauma | endocrine | |
間質 | ウイルス性肝炎 | 肝細胞癌 | 脂肪肝 | アルコール中毒 | 嚢胞性疾患 | ルポイド肝炎 | 肝挫傷 | 甲状腺亢進症 | |
伝染性単核球症 | 転移性肝癌 | 四塩化炭素薬 | 過誤腫 | 肝裂傷 | |||||
アメーバー症 | 薬物 | ||||||||
支持組織 | 肝臓肉腫 | ゴーシェ病 | 結節性動脈周囲炎 | ||||||
溶血性貧血 | 骨髄異形成 | ||||||||
静脈 | 肝静脈血栓症 | 門脈炎 | |||||||
動脈 | 肝動脈結紮 | 肝動脈結紮 | |||||||
リンパ管 | ホジキンリンパ腫 | ||||||||
胆管 | 胆管炎 | 十二指腸乳頭腫 | 母乳による胆汁濃縮 | 胆道閉鎖症 | 胆石 | 胆石 | |||
十二指腸乳頭部癌 | |||||||||
膵癌 | |||||||||
細胆管 | 細菌性胆管炎 | 胆管癌 | チアジド系利尿薬 | デュビン・ジョンソン症候群 | 妊娠 | ||||
避妊用ピル |
.