スキサメトニウム
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スキサメトニウムの構造式
|
IUPAC命名法による物質名 |
2,2'-[(1,4-dioxobutane-1,4-diyl)bis(oxy)]bis
(N,N,N-trimethylethanaminium) |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
A(AU) C(US) |
法的規制 |
Prescription Only (S4) (AU) POM (UK) ℞-only (US) |
投与方法 |
静注、筋注 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
? |
血漿タンパク結合 |
? |
代謝 |
偽コリンエステラーゼ
サクシニルモノコリンとコリンに分解
|
半減期 |
? |
排泄 |
腎臓 (10%) |
識別 |
CAS登録番号 |
306-40-1 |
ATCコード |
M03AB01 |
PubChem |
CID 22475 |
IUPHAR ligand ID |
4004 |
DrugBank |
DB00202 |
ChemSpider |
21080 |
UNII |
J2R869A8YF |
KEGG |
D00766 |
ChEBI |
CHEBI:61219 |
ChEMBL |
CHEMBL983 |
化学的データ |
化学式 |
C14H30N2O4 |
分子量 |
290.399 g/mol |
SMILES
- [Cl-].[Cl-].O=C(OCC[N+](C)(C)C)CCC(=O)OCC[N+](C)(C)C
|
InChI
-
InChI=1S/C14H30N2O4.2ClH/c1-15(2,3)9-11-19-13(17)7-8-14(18)20-12-10-16(4,5)6;;/h7-12H2,1-6H3;2*1H/q+2;;/p-2
Key:YOEWQQVKRJEPAE-UHFFFAOYSA-L
|
スキサメトニウム(英:suxamethonium)とは筋弛緩薬の1つ。四級アンモニウム化合物の一つで、医薬品としては塩化物の塩化スキサメトニウム(Suxamethonium chloride)として市販されている。サクシニルコリン(Succinylcholine)の名でも知られる。ツボクラリンの構造をヒントに開発された。商品名はサクシン。
目次
- 1 概要
- 2 副作用
- 3 誤投薬事故
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 参考文献
概要[編集]
神経筋接合部における筋肉終板のニコチン受容体をアセチルコリンと同様に活性化することにより脱分極を起こす。ただし、アセチルコリンと違い、コリンエステラーゼにより解されるのが遅いために脱分極が持続し、Na+チャネルが不活性化状態となり活動電位が発生しなくなる。そのため、コリンエステラーゼ阻害剤はコリンエステラーゼによるスキサメトニウムの分解を抑制する。人工呼吸や気管内挿管を容易にするため麻酔前投与薬として使用される。精神科の電気けいれん療法の筋弛緩にも使われる[1]。
副作用[編集]
強心配糖体との併用で不整脈を起こす可能性がある。眼内圧亢進作用を有するため、緑内障患者への使用は禁忌。
また悪性高熱の原因の一つと目されているため、近年では麻酔科臨床において使用される頻度は減っている。
誤投薬事故[編集]
スキサメトニウムの商品名である「サクシン」は、ヒドロコルチゾン(ステロイド製剤)の「サクシゾン」と名称がよく似ているため、2008年に徳島県の健康保険鳴門病院でサクシゾンと間違え、サクシンの誤投与がなされ患者が死亡するという事故が起きた[2]。
脚注[編集]
- ^ 脳電気ショックの恐怖再び 水野昭夫 現代書館 2007年 ISBN 9784768469507 p34
- ^ 詳しい経緯は健康保険鳴門病院 誤投薬事故調査報告書 (PDF) を参照のこと
関連項目[編集]
- デカメトニウム
- 術中合併症
- 全身麻酔
- 大阪愛犬家連続殺人事件
- 悪性高熱症
- 医薬品一覧
参考文献[編集]
- 伊藤勝昭ほか編集 『新獣医薬理学 第二版』 近代出版 2004年 ISBN 4874021018
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- サクシニルコリンの関与が考えられる横紋筋融解症の1例
- 経口クロニジン前投薬がチアミラール, サクシニルコリンによる麻酔導入と気管内挿管時の循環動態に及ぼす影響
- 合谷木 徹,西川 俊昭
- 日本臨床麻酔学会誌 = The Journal of Japan Society for Clinical Anesthesia 17(10), 606-610, 1997-12-15
- NAID 10011047843
Related Links
- しかし数分後に血漿中の偽アセチルコリンエステラーゼによって分解されるので、作用 時間は極めて短い。 サクシニルコリン succinylcholine. 副作用としては、本剤と ハロタンを併用すると悪性高熱症を生じることがある。 スキサメトニウム suxamethonium,SCC ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 95歳の男性。呼吸困難のため搬入された。
- 現病歴 咳嗽が続くため2か月前に自宅近くの診療所を受診した。胸部エックス線写真にて肺野に異常陰影を認めたため、近くの病院を紹介され、精査の結果、肺腺癌、肺内転移、骨転移および心膜転移と診療された。患者本人や家族と相談の結果、積極的治療は行わない方針となり、診療所の医師が主治医となって自宅で療養していた。昨日から呼吸困難が出現し、今朝になって増強したため、主治医に相談した上で、救急車を要請した。
- 既往歴 7年前に心筋梗塞。
- 生活歴 息子夫婦、孫2人との5人暮らし。喫煙は20本/日を20歳から50年間継続した後、禁煙している。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴 特記すべきことはない。
- 現症 意識は清明。身長160cm、体重52kg。体温37.5℃。呼吸数32/分、努力様。脈拍120/分、整。血圧72/40mmHg。経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)88%。頚静脈の怒張を認める。心音に異常を認めない。両側肺底部にcoarse cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。両側下腿に浮腫を認める。
- 検査所見 血液所見:赤血球 385万、Hb 11.0g/dl、Ht 36%、白血球 9,500、血小板 22万。血液生化学所見:血糖 86mg/dl、総蛋白 5.4g/dl、アルブミン 2.6g/dl、尿素窒素 24mg/dl、クレアチニン 1.1mg/dl、AST 24IU/l、ALT 40IU/l、LD 322IU/l(基準176-353)、ALP 158IU/l(基準115-359)、Na 142mEq/l、K 4.2mEq/l、Cl 101mEq/l。CRP 1.2mg/dl。胸部エックス線写真では原発巣の増大、心陰影の拡大および胸水の貯留を認める。心電図では洞性頻脈と低電位とを認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [105C030]←[国試_105]→[105C032]
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 72歳の女性。突然の頭痛のため搬入された。
- 現病歴:2時間前、突然の後頭部痛と嘔気とが出現した。
- 既往歴:40歳代から高血圧症辱降圧薬を服用中である。
- 生活歴:特記すべきことはない。
- 家族歴:父親が高血圧。母親が大腸癌。
- 現症:意識は清明。身長150cm、体重49kg。体温37.2℃。脈拍68/分、整。血圧164/88mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球415万、Hb13.0g/dl、Ht38%、白血球(桿状核好中球4%、分葉核好中球78%、好酸球1%、好塩基球0%、単球5%、リンパ球12%)、血小板18万。血液生化学所見:血糖181mg/dl、総蛋白6.9g/dl、アルブミン4.2g/dl、尿素窒素14.0mg/dl、クレアチニン0.4mg/dl、総コレステロール194mg/dl、総ビリルビン1.2mg/dl、AST23IU/l、ALT20IU/l、LDH223IU/l(基準176~353)、ALP243IU/l(基準260以下)、Na141mEq/l、K4.2mEq/l、Cl102mEq/l。
- 診察中に全身のけいれんが起こり、持続している。投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102C029]←[国試_102]→[102C031]
[★]
- 24歳の初妊婦。妊娠26週。間欠的な軽い下腹部痛と少量の性器出血とを訴えで来院した。既往歴には特記すべきことはなく、これまでの妊婦健康診査でも異常を指摘されたことはなかった。本日早朝から引っ越しを行っていて、昼ころから腹部緊満感を認めていた。夕刻来院時の診察では子宮口1cm開大、経膣超音波法による子宮頚管長は25mm、膣分泌物のpHは5.5であった。この患者にまず投与すべき薬物はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096I036]←[国試_096]→[096I038]
[★]
- 39歳の男性。急激な意識低下のため搬入された。3か月前から頭痛を自覚していた。既往歴と家族歴とに特記すべきことはない。意識レベルはJCS II-30。不穏がみられ、右瞳孔の直接射光反射はやや遅い。呼吸数10/分。脈拍48/分、整。血圧172/108mmHg。頭部造影MRIのT1強調像(別冊No.18)を別に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A039]←[国試_104]→[104A041]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- 英
- suxamethonium
- 同
- サクシニルコリン succinylcholine、塩化サクシニルコリン succinylcholine chloride, SCC
- 化
- 塩化スキサメトニウム suxamethonium chloride
- 商
- サクシン、レラキシン、Anectin
- 関
- 薬理学
[show details]
分類
構造
作用機序
薬理作用
動態
適応
- 気管内挿管時・骨折脱臼の整復時・喉頭痙攣の筋弛緩
- 精神神経科における電撃療法の際の筋弛緩
- 腹部腫瘤診断時
注意
禁忌
副作用
- SAN.71改変
- 1. 筋肉痛:強い攣縮が起こるために筋痛をきたす。
- a) 外眼筋攣縮:眼圧亢進を来たし、緑内障を生ずることがある。この眼圧亢進は投与後1-6分で5-10mmHgほど上昇
- b) 脳圧亢進
- c) 腹筋の攣縮:胃内圧亢進を来たす。
- 治療:ダントロレン:筋小胞体からのカルシウム遊離を阻害
[★]
- pyrexia
- 英
- malignant hyperpyrexia, MH
- 同
- 悪性高体温症 malignant hyperthermia
- 関
- 悪性高熱
病因
- (最も多い)
- (起こりにくい)
病態生理
- 骨格筋内の筋小胞体からのカルシウムイオンの異常な遊離亢進により筋強直
- 小胞体のカルシウムチャネルにおけるアミノ酸配列に異常が見られることによる
症状
- 高熱(40℃以上)、筋硬直、頻脈、不整脈、高度のアシドーシス、多臓器不全
診断
診断基準
- 15分間で0.5℃以上 or 1時間で1℃以上の体温の上昇
- 発症後にミオグロビン尿が見られる
- ETCO2の上昇
鑑別疾患
発症が疑われたとき
- 疑わしい薬物の投与中止
- 発熱がある場合は、ダントロレンを投与
- 冷却(大量輸血、対外循環)
- 輸液(アシドーシス・電解質の補正)
- 利尿剤の投与
治療
- 麻酔の中止
- 純酸素の吸入
- 全身を冷却
- 対ショック療法
- ダントロレンの投与
[★]
- 英
- depolarizing blocking drugs
- 関
- 非脱分極性遮断薬、神経筋接合部遮断薬
- 効きが早く、持続時間が長い
- 1-2分程度の筋攣縮がおき、Na+チャネルが不活化される (第I相遮断)
[★]
[★]
- 英
- succinylcholine apnea
- 関
- スキサメトニウム無呼吸症
[★]
スキサメトニウム中毒
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- choline
- 化
- 塩化コリン
- 関
- アセチルコリン
- choline + acetylCoA → acetylcholine + CoA