シクロスポリン
Japanese Journal
- シクロスポリン点眼液(パピロックミニ^【○!R】点眼液0.1%)の基礎および臨床
- 椎 大介,阪中 浩二,西野 一,島田 久生
- 眼薬理 = Japanese journal of ocular pharmacology 20(1), 12-17, 2006-09-08
- NAID 10018256986
- 新薬くろ〜ずあっぷ(64)パピロックミニ点眼液0.1%
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
パピロックミニ点眼液0.1%
組成
有効成分
含量(1mL中)
添加物
- エタノール、エデト酸ナトリウム水和物、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、ステアリン酸ポリオキシル40、ヒプロメロース、pH調節剤
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 眼感染症のある患者[免疫抑制により感染症が悪化するおそれがある]
効能または効果
- 眼瞼結膜巨大乳頭の増殖が認められ抗アレルギー剤により十分な効果が得られないと判断した場合に使用すること。
薬効薬理
サイトカイン産生抑制作用1)
- シクロスポリンはin vitroにおいてヒト末梢血由来単核球からのサイトカイン(IL-2、IL-4、IL-5、IFN-γ)産生を抑制した(IC50値:0.021〜0.173μM)。
実験的アレルギー性結膜炎モデルに対する作用6)
- シクロスポリンの点眼は、即時型アレルギー性結膜炎モデルにおいて0.1%以上の濃度で結膜組織からのヒスタミン遊離を抑制した(モルモット)。
- シクロスポリンの点眼は、遅延型アレルギー性結膜炎モデルにおいて0.05%以上の濃度で結膜組織への好中球浸潤を抑制した(モルモット)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- cyclo{-[(2S,3R,4R,6E)-3-Hydroxy-4-methyl-2-methylaminooct-6-enoyl]-L-2-aminobutanoyl-N-methylglycyl-N-methyl-L-leucyl-L-valyl-N-methyl-L-leucyl-L-alanyl-D-alanyl-N-methyl-L-leucyl-N-methyl-L-leucyl-N-methyl-L-valyl-}
分子式
分子量
性状
- 本品は白色の粉末である。本品はアセトニトリル、メタノール又はエタノール(95)に極めて溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けやすく、水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
商品
[★]
- 英
- cyclosporine, CyA, CsA, ciclosporin
- 同
- シクロスポリンA cyclosporine A cyclosporin A、サイクロスポリン、サイクロスポリンA
- 商
- アマドラ、サンディミュン Sandimmun、シクポラール、ネオーラル Neoral、パピロックミニ
- 関
- 免疫抑制薬、
- シクロスポリンはシクロスポリンA、CsAともよばれ、1976年にT細胞を介する免疫抑制剤であり、臓器移植を可能にした薬剤である。
- 1970年代初めにノルウェーの土壌中の真菌(Tolypocladium inflatum)の培養液から分離された、分子量1202の環状ポリペプチドで環状部分は10個のアミノ酸から構成される。
- C62H111N11O12の分子式で表される。
- 拒絶反応抑制効果が強く、1980年代になって副腎皮質ステロイドとの併用によって、従来の肝移植の1年生存率25%が80%に上昇し、臓器移植が現在のように医療として定着することに貢献した。
- 宿主の移植片に対する反応のみならずGVH反応にも有効であるとされる。
- シクロスポリンは活性化T細胞のIL-2産生を抑制する。
- IL-2はT細胞により自己分泌/傍分泌されT細胞の活性化と増殖を起こす。
- 細胞質に存在するリン酸化された転写因子NFAT(nuclear factor of activated T cells)は、活性型のカルシニューリン(Ca2+とカルモジュリンが結合した形)により脱リン酸化されると、活性化したNFATとなる。
- 活性化したNFATは核内に移行しIL-2の転写しIL-2 mRNAが産生され、結果としてIL-2合成に繋がる。
- さて、細胞内に入ったシクロスポリン(CsA)はシクロフィリン(cyclophilin)と結合する。
- CsA-cyclophilin複合体はカルシニューリンに結合し、結果としてカルシニューリンを不活化して、脱リン酸化活性を抑制する。
- 副作用として、腎毒性、高血圧、脂質異常症、神経毒性、肝毒性がある。
- シクロスポリンの腎毒性は、シクロスポリンがTGF-β産生を刺激することと関係があるらしい。
- TGF-βは細胞外基質の産生を促し、間質の線維化を来す。
- ヘルパーT細胞の作用を抑制するがサプレッサーT細胞には影響しない。
- 移植当日から10~15mg/kgで投与開始し,次第に4mg/kg程度に減量する。
- トラフ値は50-250ng/mlが目標となる。
- 肝・腎移植後は150-250ng/mlで維持されるが、最終的には100ng/ml以下まで減量される。
- 骨髄移植では150-250ng/ml、再生不良性貧血では250ng/ml以下、ネフローゼ症候群では150ng/ml以下で維持される。
- 自己免疫疾患では血中濃度と効果の相関は、明確ではないが、一般的にBehcet病・乾癬では50-200ng/mlに維持される。
- もともとのシクロスポリンは腸管からの吸収が悪く,マイクロエマルジョン化したサンディミュンやネオーラルはこの問題を軽減した。
- 代謝は肝臓でP450によって行われるので,この酵素に関与する薬剤との併用時には血中濃度に注意する。