- 英
- amiodarone
- 化
- 塩酸アミオダロン amiodarone hydrochloride
- 商
- アンカロン、Cordarone
- 関
- 抗不整脈薬
分類
Sicillian Gambitの分類
薬剤
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VW 分類
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チャネル
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受容体
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pump
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臨床効果
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心電図
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Na
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Ca
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K
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I.f
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α
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β
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M2
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A1
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Na-K ATPase
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左室 機能
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洞調律 への 影響
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心外 性の 副作用
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PQ
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QRS
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JT
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fast
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med
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slow
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アミオダロン
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III
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○
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○
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●
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▲
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▲
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|
|
→
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↓
|
●
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↑
|
|
↑
|
If:過分極活性化内向き電流 JT:Q-Q間隔 M2:M2受容体 A1:アデノシン受容体
◯低 ▲中 ●高 ※作動薬
A:活性化チャネルブロッカー I:不活性化チャネルブロッカー
作用機序
- Kチャネル(遅発性整流性)を抑制し、活動電位持続時間(APD延長)および不応期を延長する
- I群、II群、III群、IV群の作用を併せ持つ
薬理作用
- ↓conduction velocity → ↓reentry
- ↓rating of firing(↓phase 4 slope) → ↓automaticity
- 洞結節での発火頻度を低下、自動能の抑制、リエントリー回路の切断、心電図上でPR,QRS,QT間隔延長。(PHD.428)
適応
- 心機能低下症例にも使用可能
- 致死的、再発性の心室頻拍、心室細動予防
- 肥大型心筋症に伴う心房細動に用いる
- 心肺蘇生:心室頻拍や心室細動
禁忌
- アンカロン注150
- 1. 洞性徐脈、洞房ブロック、重度伝導障害(高度な房室ブロック、二束ブロック又は三束ブロック)又は洞不全症候群があり、ペースメーカーを使用していない患者[洞停止のリスクがある。]
- 2. 循環虚脱又は重篤な低血圧のある患者(血行動態不安定な心室細動又は心室頻拍発作発現中を除く)
- 3. 本剤の成分又はヨウ素に対し過敏症の既往歴のある患者
- 4. リトナビル、サキナビル、サキナビルメシル酸塩、インジナビル硫酸塩エタノール付加物、ネルフィナビルメシル酸塩、クラスIa及びクラスIII(ソタロール、ニフェカラント)の抗不整脈薬、ベプリジル塩酸塩水和物、スパルフロキサシン、モキシフロキサシン塩酸塩、エリスロマイシン(注射剤)、ペンタミジンイセチオン酸塩又はトレミフェンクエン酸塩を投与中の患者[「3.相互作用」の項参照]
- 5. 重篤な呼吸不全のある患者
原則禁忌
- アンカロン注150
- 1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人[「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
- 2. 甲状腺機能障害又はその既往歴のある患者[甲状腺機能障害を増悪させることがある]
効能又は効果
- アンカロン注150
- 生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合
- 心室細動、血行動態不安定な心室頻拍
用量
- 常用量血中濃度(外国) : 0.5-1.0μg/ml、消失半減期: 13.4時間
- 有効血中濃度:0.5-2.0μg/ml、半減期30日 (SPC.246)
- VF/pulseless VTによる心肺停止でCPR, shock, vasopressorが無効な場合の心肺蘇生:(初回) 300mg、(2回目)150mg (Advanced Cardiovascular Life Support Provider manual ISBN 978-1-61669-010-6 p.166)
副作用
添付文書
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|
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アミオダロン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
(2-{4-[(2-butyl-1-benzofuran-3-yl)carbonyl]-2,6-diiodophenoxy}ethyl)diethylamine |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
D(US) |
法的規制 |
℞ Prescription only |
投与方法 |
oral or intravenous |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
20 - 55% |
代謝 |
Liver |
半減期 |
58 days (range 15-142 days) |
排泄 |
Primarily Hepatic and Biliary |
識別 |
CAS登録番号 |
1951-25-3 |
ATCコード |
C01BD01 |
PubChem |
CID 2157 |
DrugBank |
APRD00288 |
ChemSpider |
2072 |
KEGG |
D02910 |
化学的データ |
化学式 |
C25H29I2NO3 |
分子量 |
645,31 g/mol |
SMILES
- Ic1cc(cc(I)c1OCCN(CC)CC)C(=O)c2c3ccccc3oc2CCCC
|
アミオダロン (amiodarone) とは、Vaughan-Williams分類でIII群に分類される抗不整脈薬である[1]。作用機序は複雑であり他の抗不整脈薬が無効でも効果が期待できる一方で、重篤な副作用を惹起する危険性がある薬剤である。
アミオダロンの塩酸塩が製剤化され医薬品として承認を得ている[1]。
目次
- 1 効能
- 2 使用方法
- 3 副作用
- 4 脚注
- 5 参考文献
|
効能 [編集]
生命に危険のある心室細動、心室性頻拍、肥大型心筋症に伴う心房細動の再発性不整脈で他の抗不整脈薬が無効か、または使用できない場合[2]
使用の限定 [編集]
難治性、致死性の不整脈に有効であるが、多彩でときに重篤な副作用が高率で発現するため、米国では他剤が無効な致死的不整脈に限定して使用が承認され、日本においても同様に適応患者が限定されて承認されているほか、致死的不整脈治療の十分な経験のある医師、諸検査の実施、緊急対応可能な設備の整った施設でのみ使用するなどの条件が付されている[1][3][4]。
使用方法 [編集]
内服の場合一日量を400mg~800mgとして開始し、血中濃度を測定しながら1~2週間で1日量として100~200mg程度に減量する事が多い。有効血中濃度は500~1000ng/dlであるが、分布容積が巨大なため血中濃度半減期が非常に長く(平均58日)、投薬を中止しても血中濃度低下に時間を要するため注意が必要である。
副作用 [編集]
副作用として間質性肺炎、甲状腺機能異常症、角膜沈着物、肝機能障害、消化器症状、皮膚症状などが知られている[5]。特に間質性肺炎は致死的となり得るため、投与中は聴診を欠かさずKL-6などの血中マーカーを定期的に測定することが多い。
脚注 [編集]
- ^ a b c サノフィ・アベンティス、p1。
- ^ サノフィ・アベンティス、p11。
- ^ 山口巌「アミオダロン」、『月刊治療学』1996年4月号1996年4月、2010年2月24日閲覧。
- ^ サノフィ・アベンティス、p23。
- ^ サノフィ・アベンティス、p27-31。
参考文献 [編集]
- “医薬品インタビューフォーム:アンカロン錠100 (PDF)”. サノフィ・アベンティス (2006年3月). 2010年2月24日閲覧。
心血管疾患 |
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疾患 |
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心疾患
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不整脈
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徐脈性
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洞不全症候群 | 房室ブロック | 脚ブロック(右脚ブロック · 完全右脚ブロック · 左脚ブロック)
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頻脈性
|
上室性
|
洞性頻脈 | 心房細動 | 心房粗動 | ブルガダ症候群 | QT延長症候群 | WPW症候群
|
|
心室性
|
心室細動 | 心室頻拍
|
|
|
|
虚血性心疾患
|
狭心症 | 急性冠症候群 | 心筋梗塞 | 冠動脈血栓症
|
|
弁膜性心疾患
|
僧帽弁狭窄症 | 僧帽弁閉鎖不全症 | 三尖弁狭窄症 | 三尖弁閉鎖不全症 | 大動脈弁狭窄症 | 大動脈弁閉鎖不全症
|
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先天性心疾患
|
心房中隔欠損 | 心室中隔欠損 | 心内膜床欠損症 | 動脈管開存症 | ファロー四徴症(極型ファロー四徴症) | 大血管転位(左旋性 · 右旋性) | 総肺静脈還流異常症 | 大動脈縮窄 | 左心低形成症候群 | 両大血管右室起始症 | 三尖弁閉鎖
|
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心内膜・心筋
・心膜疾患
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心内膜疾患
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感染性心内膜炎
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|
心膜疾患
|
心膜炎(急性心膜炎 · 慢性収縮性心膜炎) | 心タンポナーデ
|
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心筋疾患
|
心筋症(特発性拡張型心筋症 · 肥大型心筋症 · 拘束型心筋症 · 特発性心筋症) | 心筋炎
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心臓腫瘍 | 心臓神経症 | 心臓性喘息 | 肺性心
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血管疾患
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動脈
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動脈硬化 | 大動脈瘤 | 大動脈解離 | 大動脈炎症候群 | 動静脈瘻 | 閉塞性動脈硬化症 | 閉塞性血栓性血管炎 | レイノー病
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静脈
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静脈瘤 | 血栓性静脈炎 | 静脈血栓塞栓症 | 脂肪塞栓症
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病態・症候 |
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心不全
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左心不全 | 右心不全
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血圧異常
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高血圧
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本態性高血圧症 | 二次性高血圧 | 悪性高血圧症
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低血圧
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心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
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所見・検査 |
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血圧計 | 聴診 | 心雑音 | 心電図 | 心電図モニタ | 心臓超音波検査 | 胸部X線写真 | 胸部X線CT | 心臓カテーテル検査(肺動脈カテーテル) | 心臓核医学検査
|
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治療 |
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外科的治療
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冠動脈大動脈バイパス移植術 | 経皮的冠動脈形成術 | 植え込み型除細動器 | バチスタ手術 | 人工心臓 | 心臓ペースメーカー
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内科的治療
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心臓作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド, プロパフェノン
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤
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狭心症治療薬
|
交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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血管作動薬
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高血圧治療薬
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利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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循環器系の正常構造・生理 |
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- アミオダロン誘発性甲状腺機能低下症のリスクファクターについて
- 研究・症例 SP-Dの著高を認めた,アミオダロンによると思われる肺障害の1例
- 心不全を有する心房細動の薬物的治療法の戦略とその実際
- 平尾 見三
- 心電図 31(2), 199-201, 2011
- … めNaチャネル遮断作用を有するI群抗不整脈薬はその陰性変力作用によりかえって心不全を悪化させる危険性があり,使用すべきでない.陰性変力作用が少なくK+チャネル遮断作用を有するベプリジル,アミオダロンなどの使用が推奨されるものの,基本的には,心不全例ごとに左室収縮能や合併する疾患を考慮し,最適な薬剤を選択することが重要である.この際,遅延造影MRIによる左房線維化の量的評価を含めた病 …
- NAID 130001013896
- P2-204 アミオダロン塩酸塩50mg規格製剤の開発(一般演題 ポスター発表,後発医薬品,臨床から学び臨床へと還元する医療薬学)
- 石川 達也,菊池 浩一,別府 秀志,野本 悟志,山口 恭史,長井 晶彦
- 日本医療薬学会年会講演要旨集 20, 424, 2010-10-25
- NAID 110008109203
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- アンカロンとは?アミオダロンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる( おくすり110番:薬事典版)
- 2009年2月8日 ... ACLSのアルゴリズムに出てくる薬で「アミオダロン」と言うのがあります。商品名は「 アンカロン」です。 AHAは電気ショックに抵抗性の心室細動で投与する抗不整脈薬 として一番に挙げています。生存入院率がリドカイン(商品名キシロカイン)に ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
アミオダロン塩酸塩錠100mg「トーワ」
組成
1錠中の有効成分:
添加物:
- 乳糖水和物、ポビドン、トウモロコシデンプン、無水ケイ酸、ステアリン酸Mg
禁忌
重篤な洞不全症候群のある患者
- [洞機能抑制作用により、洞不全症候群を増悪させるおそれがある。]
2度以上の房室ブロックのある患者
- [刺激伝導抑制作用により、房室ブロックを増悪させるおそれがある。]
本剤の成分又はヨウ素に対する過敏症の既往歴のある患者
※※リトナビル、サキナビル、サキナビルメシル酸塩、インジナビル硫酸塩エタノール付加物、ネルフィナビルメシル酸塩、スパルフロキサシン、モキシフロキサシン塩酸塩、バルデナフィル塩酸塩水和物、シルデナフィルクエン酸塩、トレミフェンクエン酸塩、テラプレビル又はフィンゴリモド塩酸塩を投与中の患者(「相互作用」の項参照)
効能または効果
生命に危険のある下記の再発性不整脈で他の抗不整脈薬が無効か、又は使用できない場合
- 心室細動、心室性頻拍
※心不全(低心機能)又は肥大型心筋症に伴う心房細動
導入期:
- 通常、成人にはアミオダロン塩酸塩として1日400mgを1〜2回に分けて1〜2週間経口投与する。
維持期:
- 通常、成人にはアミオダロン塩酸塩として1日200mgを1〜2回に分けて経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
慎重投与
間質性肺炎、肺胞炎、肺線維症のある患者及び肺拡散能の低下した患者、並びに肺に既往歴のある患者
軽度の刺激伝導障害(1度房室ブロック、脚ブロック等)のある患者
- [刺激伝導抑制作用により、刺激伝導障害を悪化させるおそれがある。]
心電図上QT延長のみられる患者
- [活動電位持続時間延長作用により、心電図上QT時間を過度に延長させるおそれがある。]
重篤なうっ血性心不全のある患者
重篤な肝、腎機能低下のある患者
甲状腺機能障害又はその既往歴のある患者
- [甲状腺機能障害を増悪させるおそれがある。](「重要な基本的注意」の項参照)
重大な副作用
間質性肺炎、肺線維症、肺胞炎:
(頻度不明)
- 間質性肺炎、肺線維症及び肺胞炎があらわれることがあり、致死的な場合もある。胸部レントゲン検査や胸部CT検査にて異常陰影が出現した場合、また咳、呼吸困難及び捻髪音等が認められた場合には上記副作用を疑い、投与を中止し、必要に応じてステロイド療法等の適切な処置を行うこと。
なお、肺拡散能の15%以上の低下が認められた場合にも上記副作用の出現の可能性を有するため、各種検査を、より頻回に行うこと。
既存の不整脈の重度の悪化、Torsades de pointes、心不全、徐脈、心停止、完全房室ブロック、血圧低下:
(頻度不明)
- 既存の不整脈を重度に悪化させることがあるほか、Torsades de pointes、心不全、徐脈、徐脈からの心停止、完全房室ブロック及び血圧低下があらわれることがある。定期的に心電図検査等を行い、異常が認められた場合は、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
劇症肝炎、肝硬変、肝障害:
(頻度不明)
- 劇症肝炎、肝硬変、肝障害があらわれることがあり、致死的な場合も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。
甲状腺機能亢進症、甲状腺炎、甲状腺機能低下症:
(頻度不明)
- 甲状腺機能亢進症、甲状腺炎、甲状腺機能低下症があらわれることがあり、甲状腺機能亢進症及び甲状腺炎においては致死的な場合も報告されている。甲状腺機能検査を行い、異常が認められた場合には、投与を中止する等の適切な処置を行うこと。これらの副作用は本剤投与中だけでなく、投与中止後数ヵ月においてもあらわれることがあるため、本剤投与中だけでなく投与中止後数ヵ月においても、甲状腺機能検査を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH):
(頻度不明)
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、低浸透圧血症を伴う低ナトリウム血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、痙攣、意識障害等の症状があらわれた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
肺胞出血:
(頻度不明)
- 肺胞出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
- (頻度不明)
- 本剤投与中の患者の心臓、心臓以外の手術後に、急性呼吸窮迫症候群があらわれることがある。
薬効薬理
Vaughan-Williams の分類による第III群の抗不整脈薬。心筋細胞膜のK+チャネルを抑制し、活動電位持続時間、有効不応期を延長させる。また、Na+及びCa2+チャネル抑制作用や弱いβ遮断作用(心拍数の増加抑制及び血圧低下抑制)などもあり、これらが複雑に薬効や副作用に関与する。
有効成分に関する理化学的知見
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、44、45の問いに答えよ。
- 74歳の女性。持続する前胸部痛のため来院した。
- 現病歴:本日午前7時45分、朝食の準備中に突然、咽頭部に放散する前胸部全体の痛みと冷汗とを自覚した。意識消失、呼吸性の痛みの変動および胸部の圧痛はなかったという。ソファに横になっていたが症状が持続するため、家族に連れられて自家用車で午前8時15分に来院した。症状を聞いた看護師が重篤な状態と判断し、直ちに救急室に搬入した。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:特記すべきことはない。
- 家族歴:父親が80歳時に脳出血で死亡。母親が84歳時に胃癌で死亡。
- 現症:意識は清明。身長 158cm、体重 56kg。体温 36.5℃。脈拍 92/分、整。血圧 120/80mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 99%(room air)。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。直ちに施行した心電図(別冊No. 5)を別に示す。▲112B005▲
- 検査所見(午前8時25分の採血):血液所見:赤血球 416万、Hb 12.6g/dL、Ht 36%、白血球 9,800、血小板 20万、Dダイマー 0.7μg/mL(基準1.0以下)。血液生化学所見:AST 26U/L、ALT 30U/L、LD 254U/L(基準 176~353)、CK 118U/L(基準 30~140)、尿素窒素 16mg/dL、クレアチニン 1.6mg/dL、血糖 98mg/dL、心筋トロポニンT陰性。胸部エックス線写真で異常を認めない。
- 緊急処置の準備中、突然、うめき声とともに意識消失した。呼吸は停止しており脈を触れない。胸骨圧迫とバッグバルブマスクによる換気を開始した。このときのモニター心電図(別冊No. 6)を別に示す。
- この患者に直ちに行うべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112B044]←[国試_112]→[112B046]
[★]
- 次の文を読み、61~63の問いに答えよ。
- 72才の男性。全身倦怠感を主訴に来院した。
- 現病歴:7日前に自宅を出たところでつまずいて転倒し、腰痛が生じたため自宅近くの診療所にて鎮痛薬を処方されて頻回に服用していた。3日前から全身倦怠感と食欲低下とを自覚していたが、今朝になり食事がとれなくなったため家族に付き添われて受診した。
- 既往歴:中学生時に虫垂炎。高血圧症、糖尿病および脂質異常症で内服治療中。
- 生活歴:喫煙は60歳まで20本/日を40年間。12年前から禁煙している。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親が肺癌で死亡。母親が脳卒中で死亡。
- 現症:意識レベルはJCS I-1。身長 160cm、体重 66kg。体温 36.4℃。脈拍 52/分、整。血圧 120/60mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸静脈の怒張を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。浮腫を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 383万、Hb 11.0g/dL、Ht 34%、白血球 8,400、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、アルブミン 3.5g/dL、総ビリルビン 0.9mg/dL、AST 34IU/L、ALT 42IU/L、LD 341IU/L(基準 176~353)、ALP 281IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 48IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 74IU/L(基準 37~160)、CK 162IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 32mg/dL、クレアチニン 1.6mg/dL、尿酸 8.4mg/dL、血糖 124mg/dL、HbA1c 6.8%(基準 4.6~6.2)、Na 138mEq/L、K 7.8mEq/L、Cl 108mEq/L。CRP 0.3mg/dL。
- 投与すべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109G061]←[国試_109]→[109G063]
[★]
- 英
- drug-induced liver injury, drug-induced hepatopathy, drug-induced liver disease
- 同
- 薬剤性肝障害
- 関
- 薬物性肝炎 drug-induced hepatitis
[show details]
概念
疫学
分類
- 中毒性肝障害:薬物が肝細胞を障害
- アレルギー性肝障害:IV型アレルギーの機序により肝細胞が障害
原因薬物
- 抗菌薬(21.9%)が最も多く、抗炎症薬(11.86%)がこれに次ぐ。(第32回日本肝臓学会西部会より)
薬物と障害部位
肝細胞傷害型
|
肝壊死型
|
中心帯壊死(zone 3)
|
四塩化炭素,アセトアミノフェン,ハロタン
|
中間帯壊死(zone 2)
|
フロセミド
|
周辺帯壊死(zone 1)
|
リン,硫酸鉄
|
肝炎型
|
イソニアジド,メチルドパ,ケトコナゾール
|
肝線維症型
|
メトトレキサート,塩化ビニル,ビタミンA
|
脂肪肝型
|
小滴性
|
テトラサイクリン,バルプロ酸,リン
|
大滴性
|
エタノール,メトトレキサート
|
リン脂質症
|
アミオダロン,DH剤
|
胆汁うっ滞型
|
hepatocanalicular
|
クロルプロマジン,エリスロマイシンエストレート
|
canalicular
|
C-17アルキル化ステロイド,経口避妊薬,シクロスポリンA
|
ductular
|
ベノキサプロフェン
|
血管障害型
|
肝静脈血栓
|
経口避妊薬,抗腫瘍薬
|
門脈血栓
|
経口避妊薬
|
静脈閉塞性疾患
|
蛋白同化ステロイド,経口避妊薬,抗腫瘍薬
|
肝紫斑病
|
蛋白同化ステロイド,経口避妊薬,トロトラスト,アザチオプリン,ファロイジン,塩化ビニル
|
肉芽腫形成型
|
アロプリノール,カルバマゼピン
|
腫瘍形成型
|
限局性結節性過形成
|
経口避妊薬
|
腺腫
|
経口避妊薬,蛋白同化ステロイド
|
癌腫
|
経口避妊薬,蛋白同化ステロイド,トロトラスト,塩化ビニル
|
血管肉腫
|
トロトラスト,塩化ビニル,蛋白同化ステロイド
|
病態
- 投与開始から5-90日の経過で発症し、肝障害に基づく症状・検査値異常をきたす。 ← 長期間服用(例えば2年)している薬物は除外できる。最近服用を始めた薬物の問診が重要
身体所見
症状
検査
治療
薬物性肝障害判定基準
- 参考1
表 DDW-J 2004薬物性肝障害ワークショップのスコアリング(肝臓 2005; 46: 85-90より引用)
|
|
肝細胞障害型
|
|
胆汁うっ滞または混合型
|
|
スコア
|
1. 発症までの期間
|
初回投与
|
再投与
|
初回投与
|
再投与
|
|
a.投与中の発症の場合 投与開始からの日数
|
5~90日
|
1~15日
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5~90日
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1~90日
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2
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<5日、>90日
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>15日
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<5日、>90日
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>90日
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1
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b.投与中止後の 発症の場合 投与中止後の日数
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15日以内
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15日以内
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30日以内
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30日以内
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1
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>15日
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>15日
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>30日
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>30日
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0
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2. 経過
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ALTのピーク値と正常上限との差
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ALPのピーク値と正常上限との差
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投与中止後のデータ
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8日以内に50%以上の減少
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(該当なし)
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3
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30日以内に50%以上の減少
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180日以内に50%以上の減少
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2
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(該当なし)
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180日以内に50%未満の減少
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1
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不明または30日以内に50%未満の減少
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不変、上昇、不明
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0
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30日後も50%未満の減少か再上昇
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(該当なし)
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-2
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投与続行および不明
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0
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3. 危険因子
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肝細胞障害型
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胆汁うっ滞または混合型
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飲酒あり
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飲酒または妊娠あり
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1
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飲酒なし
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飲酒、妊娠なし
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0
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4. 薬物以外の原因の有無2)
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カテゴリー1、2がすべて除外
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2
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カテゴリー1で6項目すべて除外
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1
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カテゴリー1で4つか5つが除外
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0
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カテゴリー1の除外が3つ以下
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-2
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薬物以外の原因が濃厚
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-3
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5. 過去の肝障害の報告
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過去の報告あり、もしくは添付文書に記載
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1
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なし
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0
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6.好酸球増多(6%以上)
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あり
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1
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|
なし
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0
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7. DLST
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陽性
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2
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擬陽性
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1
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陰性および未施行
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0
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8.偶然の再投与が行われた時の反応
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肝細胞障害型
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胆汁うっ滞または混合型
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単独再投与
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ALT倍増
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ALP(T.Bil)倍増
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3
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初回肝障害時の併用薬と共に再投与
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ALT倍増
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ALP(T.Bil)倍増
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1
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偶然の再投与なし、または判断不能
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|
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0
|
1) 薬物投与前に発症した場合は「関係なし」、発症までの経過が不明の場合は「記載不十分」 と判断して、スコアリングの対象としない。 投与中の発症か、投与中止後の発症化により、a またはb どちらかのスコアを使用する。 2) カテゴリー1:HAV、 HBV、 HCV、 胆道疾患(US)、アルコール、ショック肝 カテゴリー 2:CMV、 EBV. ウイルスはIgM HA 抗体、HBs 抗原、HCV 抗体、IgM CMV 抗体、IgM EB VCA 抗体で判断する。 判定基準:総スコア 2点以下:可能性が低い 3、4点:可能性あり 5点以上:可能性が高い
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参考
- 1. 重篤副作用疾患別対応マニュアル 薬物性肝障害 平成20年4月 厚生労働省
- http://www.info.pmda.go.jp/juutoku/file/jfm0804002.pdf
- 2. 薬物性肝障害スコア計算ソフト 帝京大学医学部内科 滝川一 田辺三菱製薬 提供
- http://www.jsh.or.jp/medical/date/scoresoft.xls
- http://www.jsh.or.jp/medical/date/dil05.pdf
-薬剤性肝障害
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬:
[★]
- 英
- chronic heart failure CHF, chronic cardiac failure
- 関
- 心不全
薬物療法
- 以下、左室収縮能不全に対する治療のみ採り上げる
- 左室収縮能不全の原因は非虚血性の拡張型心筋症と虚血性心筋症に大別できる。これらの疾患においては交感神経系とRAA系が賦活化され、進行性の左室拡大と収縮性の低下、すなわちリモデリングが生じ病態の悪化に繋がっていると考えられている。治療の焦点は神経内分泌系の抑制、心不全に伴う症状の緩和である。
- (PHD.244)慢性心不全の治療のゴールは5つある:(1)病因の同定、(2)増悪因子の除去、(3)心不全症状の管理(前方障害、後方障害の軽減)、(4)神経ホルモン系の調節、(5)長期予後の改善
治療に用いられる薬物
- 参考(1))
- 配糖強心薬(ジギタリス)
- 利尿薬:静脈還流量の減少 → 前負荷の軽減 → 左室拡張終期圧低下 → 肺うっ血の改善 → 低血圧誘発がありうる
- 血管拡張薬(vasodilator)
- venous dilator(ex.硝酸薬):静脈のcapacitanceを増加させる。利尿薬と同じ薬理作用。
- arteriolar dilator(ex.ヒドララジン):後負荷を低下させSVを上昇させる。血圧は下がりそうだが、SVが上昇する結果、血圧は軽度低下あるいは保たれる(PHD.246)
- "balanced vasodilator:「アンジオテンシン転換酵素阻害薬」心不全で起こる血管収縮、体液貯留(volume retension)、心室モデリングを防ぎ、回復(reverse)させうる?CHF患者の生命予後改善効果がある(PHD.245,246)。ACE阻害薬は循環血液中のブラジキニンを増加させる。ブラジキニンは心不全の患者において血管拡張という重要な働きをしている(PHD.247)。「アンジオテンシンII受容体拮抗薬」はACE阻害薬とほぼ同等であり、ACE阻害薬による副作用が問題となる場合に用いる。(PHD.247)。これらの薬剤は腎不全と高カリウム血症が存在する場合には適さない。「nesiritide」human recombinant B-type natriuretic peptide。静注薬。速効で強力な血管拡張、心拍出量増加、RAA系の抑制、利尿作用(PHD.247)
カルシウム拮抗薬:長期に用いると心不全を悪化させる危険があり推奨されない。
- β遮断薬
- 抗アルドステロン薬
- アミオダロン
- 末梢血管拡張薬
- 経口強心薬
- ナトリウム利尿ペプチド:ANP製剤(カルペリチド) → 静注薬しかないので急性心不全の時に用いる。
治療に用いられる薬物名
参考
- 1. 慢性心不全治療ガイドライン(2010年改訂版)
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2010_matsuzaki_h.pdf
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0049/1/0049_G0000132_0127.html
国試
[★]
- 英
- interstitial pneumonitis, interstitial lung disease, pneumonitis, interstitial pneumonia
- 同
- びまん性間質性肺炎 diffuse interstitial pneumonia、びまん性線維性肺胞炎 diffuse fibrosisalveolitis、肺臓炎 pneumonitis
- 関
- 肺炎、間質性肺疾患
間質性肺炎と実質性肺炎
- 実質性肺炎・・・いわゆる肺炎。実質(肺胞上皮細胞および肺胞腔)の炎症。区域性の分布
- 間質性肺炎・・・実質の間を埋める間質が炎症の場。胞隔炎。びまん性の分布
定義
- 間質(肺胞壁や細気管支、細動静脈周囲など)を病変の主座とする炎症性疾患に対する病理組織学的総称。大葉性・小葉性肺炎(肺胞、肺胞道などの気腔内への滲出性病変)に対比して用いられる。
検査
病因による分類
- 間質性肺炎を来す疾患として、塵肺(無機塵・有機塵、エアロゾル?)、膠原病(PSS, SLE, RAなど)、感染症(ウイルス感染、細菌感染)、薬物誘起性肺炎、放射線肺炎など
[★]
- 英
- dabigatran
- 化
- ダビガトランエテキシラート dabigatran etexilate、ダビガトランエテキシラートメタンスルホン酸塩 dabigatran etexilate methanesulfonate
- 商
- プラザキサ
- 関
- 抗凝固薬
- 適応は非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中及び全身性塞栓症の発症抑制
- 用量:通常は1回150mg 1日2回。減量が必要な場合は1回110mg 1日2回とする。
- 通常、成人にはダビガトランエテキシラートとして1回150mg(75mgカプセルを2カプセル)を1日2回経口投与する。なお、必要に応じて、ダビガトランエテキシラートとして1回110mg(110mgカプセルを1カプセル)を1日2回投与へ減量すること。
- 用量を調整する必要がある場合
-
- 1. 本薬品の過敏症の既往
- 2. 透析中の患者、及びCcr 30mL/minの患者
- 3. 出血症状、出血素因、および止血障害のある患者
- 4. 出血リスクのある器質的病変を有する患者(6ヶ月以内の出血性脳梗塞を含む)
- 5. 脊椎・硬膜外カテーテルを留置している患者及び抜去後1時間以内の患者
- 6. イトラコナゾール(経口剤)を服用中
[★]
- 英
- amiodarone hydrochloride
- 関
- アミオダロン、アミオダロン塩酸塩
-アミオダロン
[★]
- 英
- amiodarone-induced thyrotoxicosis