- 英
- cytomegalovirus, CMV
- 関
- ウイルス、白血球中サイトメガロウイルスpp65抗原
ウイルス学
- ヘルペスウイルス科ベータヘルペスウイルス亜科サイトメガロウイルス属
- 二本鎖DNAゲノム。
- あらゆる臓器・組織に潜伏感染
- 感染細胞が巨大化
- 初感染はほとんどの場合は不顕性
- CMVの増殖には2-3日かかるので、病変の進行には約2週間かかる
- HSV:6-8hr, VZV:約14hr, CMV:48-72hr
病原性を示す場合
- 経胎盤感染:妊娠中に妊婦が初感染した場合:胎児:経胎盤感染→巨細胞封入体症
- 新生児・乳児期:未熟児として出生して以降抗体が不十分な場合
- 免疫不全患者:日和見感染症として再活性化して感染症を起こす。
- 免疫抑制患者(臓器移植):間質性肺炎
感染症
疫学
- 小児期にほとんど感染 → 近年成人の罹患率が低下しつつある。
感染経路
- 垂直感染:母子感染(経胎盤。経産道。経母乳)
- 水平感染:唾液、尿、精液、子宮頸管分泌液。医原性(臓器移植。輸血)。
WordNet
- any of a group of herpes viruses that enlarge epithelial cells and can cause birth defects; can affect humans with impaired immunological systems (同)CMV
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/10/12 19:11:02」(JST)
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サイトメガロウイルス(Cytomegalovirus:CMV)あるいはヒトサイトメガロウイルス(Human cytomegalovirus:HCMV)は、ヘルペスウイルス科ベータヘルペスウイルス亜科に属するウイルスのひとつである。学名は、HHV-5(Human herpesvirus 5)。
また、ヒト以外を固有宿主とする近縁種(マウスサイトメガロウイルス(ムロメガロウイルス、MCMV)など)も含めた、感染細胞が下記のような特徴を示すベータヘルペスウイルスの総称。
目次
- 1 特徴
- 2 疫学
- 3 感染症
- 4 出典
- 5 参考文献
- 6 脚注
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
特徴
サイトメガロウイルスが感染した細胞の光顕像。特徴的な核内封入体(中央)が見られる。
DNAウイルスのヘルペスウイルス科に属し、ゲノムの大きさは、大型のDNAウイルスであるヘルペスウイルスの中でも最大級である。感染した細胞の核内で増殖するとき、光学顕微鏡下で観察可能な「フクロウの目(owl eye)」様の特徴的な核内封入体を形成する。
疫学
日本では、成人期での抗体保有率は高く、多くの人が幼児期に不顕性感染していると言われている。
感染症
臨床像
サイトメガロウイルスは、初期感染と再賦活することで生じる日和見感染として生じる。胎内感染では新生児に先天性の感染症を生じる。輸血の際、白血球内に感染したサイトメガロウイルスが感染し、2 - 4週間後に発熱、まれに肝炎を発症することもある[1]。また、免疫抑制療法中に生じた腸炎や大腸穿孔[2]が報告されている。
- 網膜出血等を生じる[3][4]。
- 化学療法後や後天性免疫不全症候群などの免疫力低下している状態に引き起こる[5]。
- 化学療法後や後天性免疫不全症候群などの免疫力低下している状態に引き起こる。
- 潰瘍性大腸炎等のステロイド治療中に引き起こる[6]。
検査
検査法は主に以下が用いられる。
- 抗体検査
- CMV-IgG:既感染者で陽性を示す。日本では成人の90%以上が陽性
- CMV-IgM:初期感染・再賦活時に上昇を示す
- 抗原検査
- C7-HRP:CMVpp65抗原をペルオキシダーゼ標識ヒトモノクローナル抗体で染色し、鏡検下に細胞質が栓塞された好中球数を検索し評価していく。陽性細胞数/好中球10万個
- C10/C11:CMVp65抗原のモノクローナル抗体とアルカリホスファターゼ標識2次抗体で染色し、鏡検下に細胞質が栓塞された好中球数を検索し評価していく
- ウイルス検査
- CMV-DNA:PCR法にてウイルス量を直接測定する
治療
基本的に、初期感染時と再賦活時による感染活動期に治療適応となる。抗ウイルス薬としては以下が用いられる。
- 点滴製剤
- 経口内服製剤
- 点滴製剤。適応はサイトメガロウイルス網膜炎のみ
- 耐性ウイルスの場合に施行。現在日本では未承認
出典
- サイトメガロウイルス感染症(国立感染症研究所 感染症情報センター)
- サイトメガロウイルス感染症の臨床病理学的研究 感染症学雑誌 Vol.63 (1989) No.10 P1171-1177
参考文献
- 技術解説「サイトメガロウイルス」 共著:本田順一、大泉耕太郎 ISSN:0485-1420
脚注
- ^ 健常成人に発症したサイトメガロウイルス肝炎症例の検討 EBウイルス肝炎との比較を含めて 肝臓 Vol.37 (1996) No.10 P549-555
- ^ 免疫抑制療法中に発症したサイトメガロウイルス感染による大腸穿孔の1例 日本腹部救急医学会雑誌 Vol.34 (2014) No.7 p.1369-1373
- ^ CMV感染症-眼科 日本エイズ学会誌 Vol.6 (2004) No.1 P4-5
- ^ 急性リンパ性白血病の維持療法中に合併したサイトメガロウイルス網膜炎の1例 日本小児血液学会雑誌 Vol.16 (2002) No.5 P312-316
- ^ HAART時代の日和見感染症 日本エイズ学会誌 Vol.6 (2004) No.1 P1
- ^ ステロイド治療中に穿孔性サイトメガロウイルス腸炎を繰り返した1例 日本臨床外科学会雑誌 Vol.72 (2011) No.12 p.3089-3093
関連項目
外部リンク
- サイトメガロウイルス感染症 メルクマニュアル家庭版
- 【トーチの会】先天性トキソプラズマ&サイトメガロウイルス感染症患者会
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Japanese Journal
- DIHS(drug-induced hypersensitivity syndrome) (内科医がおさえておくべき皮膚科の基本) -- (内科医がまずおさえておくべき重要な皮膚疾患)
- サイトメガロウイルス (特集 新生児感染症up to date) -- (感染源別各種感染症の診断・治療・予防法 ウイルス性感染症)
- 腎移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染症の診断と治療--日本臨床腎移植学会"腎移植後サイトメガロ感染症ガイドライン" (第5土曜特集 臓器移植の新時代) -- (臓器移植の感染症克服)
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、50~52の問いに答えよ。
- 43歳の男性。発熱を主訴に来院した。
- 現病歴:半年前から全身倦怠感を自覚していた。1か月前から37℃前半の微熱と乾性咳嗽とが出現した。2週前に自宅近くの診療所を受診し総合感冒薬を処方されたが改善しなかった。そのころから体温は38℃を超えるようになり、1週前から階段昇降時に呼吸困難を自覚するようになった。精査のため診療所から紹介されて受診した。
- 既往歴:22歳時にB型急性肝炎。35歳時に帯状疱疹。
- 生活歴:会社員。独身。一人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:父親がうつ病で通院治療中。
- 現症:意識は清明。身長173cm、体重58kg(半年前は68kg)。体温 38.6℃。脈拍 96/分、整。血圧 104/58mmHg。呼吸数 20/分。SpO2 94%(room air)。前額と鼻唇溝とに黄白色の鱗屑を伴う紅斑を認める。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。口腔内に多発する白苔を認める。頸静脈の怒張を認めない。径1~2cmのリンパ節を右頸部に7個、左頸部に5個触知する。心音に異常を認めない。両側の胸部にfine cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腸雑音は正常である。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 454万、Hb 15.1g/dL、Ht 42%、白血球 3,100、血小板 12万。血液生化学所見:総ビリルビン 0.9mg/dL、クレアチニン 1.0mg/dL。免疫血清学所見:CRP 0.6mg/dL、β-D-グルカン 486pg/mL(基準 10以下)。動脈血ガス分析(room air):pH 7.47、PaCO2 34Torr、PaO2 76Torr、HCO3- 24mEq/L。胸部エックス線写真(別冊No. 6A)と胸部CT(別冊No. 6B)とを別に示す。
- 肺病変の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109B050]←[国試_109]→[109B052]
[★]
- 次の文を読み、33、34の問いに答えよ。
- 1歳1か月の男児。嘔吐と発熱とを主訴に来院した。
- 現病歴 : 2日前の夕方から嘔吐が出現した。昨日、発熱し、嘔吐が頻回になったため近医を受診した。制吐薬を処方されたが服用できず、白色下痢も加わった。水分も摂取できなくなった。
- 既往歴・家族歴 : 特記すべきことはない。
- 現症 : 意識は清明だがぐったりしている。身長72 cm、体重10.3 kg(1週前の1歳児健康診査では11.0 kg)。体温 39.2 ℃。呼吸数 26/分。脈拍 140/分、整。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は軟で、肝・脾を触知しない。尿所見:比重 1.025、蛋白(-)、糖(-)、ケトン体3+。血液所見:赤血球 450万、Hb 12.3 g/dl、Ht 40 %、白血球 14,900(桿状核好中球 11%、分葉核好中球 62%、単球 3%、リンパ球 24%)、血小板 49万。血液生化学所見:血糖 88 mg/dl、総蛋白 6.6 g/dl、尿素窒素 15 mg/dl、クレアチニン 0.4 mg/dl、尿酸 6.9 mg/dl、総ビリルビン0.4 mg/dl、AST 66 IU/l、ALT 31 IU/l、LD 630 IU/l(基準260~530)、Na 133 mEq/l、K 4.4 mEq/l、Cl 90 mEq/l。CRP 1.3 mg/dl。
[正答]
※国試ナビ4※ [103H033]←[国試_103]→[103H035]
[★]
- 6か月の乳児。呼吸不全のため来院した。生後5か月から咳嗽が出現しており、昨日から多呼吸も出現するようになったため救急外来を受診した。身長 66.5cm、体重 5.3kg。体温 37.2℃。脈拍 180/分、整。血圧 88/52mmHg。呼吸数 50/分。SpO2 86%(room air)。咽頭は発赤を認めないが、口腔粘膜に鵞口瘡を認める。心音に異常を認めない。両側の胸部にびまん性にfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球 403万、Hb 10.4g/dL、Ht 31%、白血球 2,300(好中球 64%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 7%、リンパ球 27%)、血小板 37万。血液生化学所見:総蛋白 6.1g/dL、IgG 152mg/dL(基準 440~880)、IgA 5mg/dL(基準 31~77)、IgM 13mg/dL(基準 19~55)。免疫血清学所見:CRP 0.1mg/dL、β-D-グルカン 26pg/mL(基準 10以下)。人工呼吸管理を開始し、胃管と中心静脈カテーテルを挿入した。胸部エックス線写真(別冊No. 11A)と肺野条件の胸部CT(別冊No. 11B)とを別に示す。
- 考えられる原因微生物はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111D031]←[国試_111]→[111D033]
[★]
- 2歳の男児。白血球増多と血小板減少の精査のため入院した。4日前から38℃以上の発熱と下痢のため近医で治療を受けていた。症状は改善傾向にあった。意識は清明で活気がある。身長 83cm、体重 11.8kg。体温 37.2 ℃。脈拍 124/分、整。血圧 100/56 mmHg。頸部に径1cmのリンパ節を数個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。右肋骨弓下に肝を4cm、左肋骨弓下に脾を3cm触知する。血液所見:赤血球 443万、Hb 11.6g/dl、Ht 34%、白血球 21,300、血小板 9.6万。血液生化学所見:総蛋白5.8 g/dl、アルブミン 3.2 g/dl、尿素窒素 3.0 mg/dl、クレアチニン 0.2 mg/dl、尿酸4.1 mg/dl、総ビリルビン0.4 mg/dl、AST 423 IU/l、ALT 586 IU/l、LD<LDH> 1,059 IU/l(基準260~530)。CRP 0.9 mg/dl。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- 病原体として考えられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103I071]←[国試_103]→[103I073]
[★]
- 28歳の男性。乾性咳、全身倦怠感および呼吸困難を主訴に来院した。2か月前から乾性咳と全身倦怠感とが出現し、1か月前から労作時に呼吸困難を感じるようになった。1週前に38.2℃の発熱があり呼吸困難が安静時でもみられるようになった。意識は清明。身長176cm、体重52kg。体温37.8℃。脈拍104/分、整。血圧104/64mmHg。顔面蒼白で口唇にチアノーゼを認める。血液所見:赤血球364万、Hb1O.4g/dl、白血球13,200(桿状核好中球7%、分葉核好中球78%、好酸球3%、好塩基球1%、単球8%、リンパ球3%)、血小板26万。免疫学所見:CRP6.8mg/dl、Tリンパ球CD4/CD8比0.2(基準0.6~2.9)、β-D-グルカン26.0 pg/mg(基準20以下)、寒冷凝集素陰性。動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH7.42、PaO2 48Torr、PaCO2 32Torr。呼吸困難の原因病原体として最も可能性の高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I074]←[国試_102]→[102I076]
[★]
- 57歳の女性。全身性エリテマトーデス(SLE)の治療のため入院中である。6週前に副腎皮質ステロイドとシクロホスファミドとの点滴を受け、現在はプレドニゾロン40mg/日とプロトンポンプ阻害薬とを内服している。3日前から腹痛と下痢とが続いている。意識は清明。体温 37.6℃。脈拍96/分、整。血圧 140/80mmHg。呼吸数 18/分。口腔内に異常を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は膨満し、臍部を中心に強い圧痛がある。筋性防御はない。肝・脾を触知しない。原因検索のため行った下部消化管内視鏡像(別冊No. 24A、B)と粘膜生検のH-E染色標本(別冊No. 24C)とを別に示す。
- 腹痛と下痢の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I067]←[国試_109]→[109I069]
[★]
- 24歳の女性。発熱、頭痛および嘔吐を主訴に救急車で搬入された。一昨日の夜から高熱、強い頭痛および嘔吐が出現し、背部痛を伴っている。身長156cm、体重51kg。体温38.6℃。呼吸数22/分。脈拍112/分、整。血圧80/56mmHg。胸部に異常を認めない。項部硬直とKernig徴候とを認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)。脳脊髄液所見:外観混濁、圧240mmH2O(基準70~170)、細胞数2,560/μl(基準0~2)(多核球95%)、蛋白500mg/dl(基準15~45)、糖15mg/dl(基準50~75)。血液所見:赤血球420万、Hb13.2g/dl、Ht42%、白血球23,000。
- 推定される病原体はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100F047]←[国試_100]→[100F049]
[★]
- 33歳の男性。発熱と顔面の皮疹とを主訴に来院した。幼少期からアトピー性皮膚炎があり、治療を受けていた。2日前から38℃台の発熱、顔面の紅斑、びらん及び小水疱が出現している。顔面の写真(別冊No.8A)と水疱内容のTzanck試験のMay-Giemsa染色標本(別冊No.8B)とを別に示す。
- 原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107I044]←[国試_107]→[107I046]
[★]
- 46歳の男性。右上頭部腫瘤を主訴に来院した。4か月前から右耳の閉塞感と難聴とを自覚したが放置していた。2か月前から鼻汁に少量の血液が混じるようになった。1か月前から右上頭部の腫瘤が増大した。頭蓋底単純CTと右耳の聴力像とを以下に示す。
※国試ナビ4※ [095D011]←[国試_095]→[095D013]
[★]
- 26歳の女性。子宮頚がん検診のために来院したところ、外陰部の皮膚病変を認めた。病変は淡赤色で鶏冠状の小結節であり、会陰から肛門周囲の皮膚まで広がっている。痒みと痛みとを訴えていない。
- この疾患の原因として考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106I042]←[国試_106]→[106I044]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104E050]←[国試_104]→[104E052]
[★]
- 61歳の男性。急性骨髄性白血病に対する抗がん化学療法開始後13日。今朝から悪寒戦慄を伴う39℃台の発熱を認める。白血球1,100(好中球10%、好酸球1%、好塩基球1%、単球7%、リンパ球81%)。 CRP23mg/dL。
- 発熱の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106E048]←[国試_106]→[106E050]
[★]
- 母体感染の病原体と対応の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E004]←[国試_104]→[104E006]
[★]
- 成人の病態と関連性が強いウイルスとの組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D002]←[国試_110]→[110D004]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106A008]←[国試_106]→[106A010]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095B017]←[国試_095]→[095B019]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [099E017]←[国試_099]→[099E019]
[★]
- 易感染性宿主(compromised host)における間質性肺炎の原因として頻度が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099E069]←[国試_099]→[099E071]
[★]
- 胎児期の感染が感音難聴の原因となるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [107D013]←[国試_107]→[107D015]
[★]
- 英
- mother-to-child transmission MTCT
- 関
- 垂直感染, vertical disease transmission, vertical transmission、周産期感染症
母子感染において重要なウイルス
- RV :風疹ウイルス:先天性風疹症候群
- CMV :サイトメガロウイルス巨細胞封入体症
- HSV :単純ヘルペスウイルス:新生児ヘルペス
- VZV :水痘・帯状疱疹ウイルス:先天性水痘帯状疱疹症候群
- B19V:パルボウイルス:非免疫性胎児水腫
- HPV :ヒトパピローマウイルス:咽頭乳頭症
その他
- HBV :B型肝炎ウイルス感染症
- HCV :C型肝炎ウイルス感染症
- HIV :ヒト免疫不全ウイルス感染
- HTLV:ヒトT細胞白血病ウイルス感染症
TORCHS症候群
- TO:トキソプラズマ
- R :風疹ウイルス
- C :サイトメガロウイルス
- H :ヘルペスウイルス(単純ヘルペス、水痘・帯状疱疹ウイルス)
- S :梅毒
母子感染の経路
- 資料2
1. 胎内感染
- 1. 母体が感染した場合,あるいは持続感染した微生物が再活性化した場合に,母体血を介し胎盤から臍帯を通じ児に感染
- 2. 胎盤に感染した微生物が増殖し児に感染
- 3. 子宮頸部や腟から上行性に羊膜や羊水を介し感染
2. 分娩時感染
- 1. 産道感染:
- 1. 子宮頸部,腟,外陰部などに感染している微生物が分娩時に産道内で児の粘膜などから感染
- 2. 産道内の母体血中の微生物が児の粘膜などから感染
- 2. placental leakage : B 型肝炎ウイルスやHIV の胎内感染率が切迫早産既往群に多いことから推定された.母体血の新生児血中への混入量を胎盤性アルカリフォスファターゼを指標として測定した場合,予定帝切群で0.8ml/kg(新生児体重)、経腟分娩群で1.2ml/kg と有意差があるという報告もある
3. 経母乳感染
- 母乳中の微生物や感染リンパ球が経口的に児に感染。
- サイトメガロウイルスは経母乳感染をするが、成熟児はこの感染により自然免疫を得て,成人してから初感染することは防げる。
- 1,500g 未満の極低出生体重児では経母乳感染により,肝炎などを発症する可能性がある。
母子感染症
- G10M.168
- G10M.182改変
感染時期と胎児影響
- 妊娠初期:早産、先天性胎児奇形:風疹ウイルス、水痘ウイルス、麻疹ウイルス、HHV-6、パルボウイルスB19
- 妊娠中期~末期:新生児ウイルス感染:単純ヘルペスウイルス、水痘ウイルス、サイトメガロウイルス、梅毒トレポネーマ(妊娠13週までは胎児感染しにくい)
資料
- http://www.jsog.or.jp/PDF/58/5809-416.pdf
- http://www.jsog.or.jp/PDF/56/5609-535.pdf
[★]
- 英
- myocarditis
- 関
概念
- 種々の原因により心筋が局所的・びまん性に炎症性が生じた病態
分類
経過
病理学的
- (特発性)巨細胞性心筋炎:心筋生検あるいは剖検による組織学的検索で、炎症巣に多核巨細胞を認める場合で、なおかつ心臓サルコイドーシスが除外されるもの。好酸球とリンパ球の浸潤が強く、心筋壊死が高度である。
- 好酸球性心筋炎:心筋生検にて好酸球の浸潤・脱顆粒、心筋の破壊、末梢血における好酸球の増加が認められるもの。
類縁疾患
年齢
ガイドラインによる分類
病因分類
|
組織分類
|
臨床病型分類
|
ウイルス
|
リンパ球性
|
急性
|
細菌
|
巨細胞性
|
劇症型
|
真菌
|
好酸球性
|
慢性(遷延性/不顕性)
|
リケッチア
|
肉芽腫性
|
|
スピロヘータ
|
|
|
原虫,寄生虫
|
|
|
その他の感染症
|
|
|
薬物,化学物質
|
|
|
アレルギー,自己免疫
|
|
|
膠原病,川崎病
|
|
|
サルコイドーシス
|
|
|
放射線,熱射病
|
|
|
原因不明,特発性
|
|
|
疫学
病因
- 参考1より
YN.C-137
- ウイルス(コクサッキーB、エコーウイルス、ヘルペスウイルス。風疹ウイルス、ムンプスウイルス、インフルエンザウイルスでも生じる)、細菌、心筋、原虫(シャーガス病)。
- 化学物質、放射線、膠原病、特発性
病理
- 実質性心筋炎 parenchymatous myocarditisと間質性心筋炎 interstitial myocarditisの像がみられる。
- 心筋細胞の融解、間質浮腫、円形細胞浸潤、壊死巣形成
病態
- ウイルス性の場合、免疫反応に基づき心筋を障害する。
- 薬剤性の場合は、薬剤による心筋障害
- 心筋の障害 → 伝導障害、不整脈、心不全、ショック
経過
- 急性の場合、かぜ症状や消化器症状に続発。これらの初発症状から数時間から数日で心症状が出現(YN.C-137)。
身体所見
心臓
- (重症の場合)muffled first heart sound, along with a third heart sound (HIM.1486)
- (心不全に至れば)奔馬調律(gallop rhythm) (YN.C-138)
- 心雑音:(重症の場合)a murmur of mitral regurgitation (HIM.1486)
- 心膜摩擦音:心膜炎を伴った場合に聴取
肺
症状
検査
- 心電図、心エコー所見、単純胸部X線写真、及び症状がが短時間に変化していくのはacute myocarditisを示唆(IMD)
- 心電図:(特異的な変化はない)非特異的ST-T変化、QRS低電位、異常Q、ST上昇(心膜炎があれば)、心室内伝導障害、房室ブロック
- 血液検査:心筋障害、炎症を示唆する様な結果
- CK-MB、LDH、AST上昇、CRP陽性、ESR亢進、WBC増加
- ウイルス学的検査:
- 心エコー:壁運動低下、(間質に浮腫が認められれば)壁肥厚、心室腔拡大(心不全)、心嚢液貯留(心膜炎)
- 心筋生検:心臓への炎症細胞の浸潤。
- 好酸球増加性心疾患による心筋炎:急性期に心内膜を中心とした好酸球の浸潤:*自己免疫疾患(劇症型心筋炎、重症筋無力症、潰瘍性大腸炎など)による心筋炎:多核巨細胞の出現
- 核医学検査:67Ga,99Tc-ピロリン酸の心臓への集積。
診断
鑑別疾患
- 心筋梗塞
- 甲状腺機能低下症、心筋障害を伴うミオパチー
- 膠原病
- (慢性心筋症の鑑別)拡張型心筋症
治療
- ウイルス性心筋炎では根治療法がなく、対症療法にとどまる。
- 不整脈:(完全房室ブロック)体外式一時ペーシング、(頻脈性不整脈)除細動・抗不整脈薬
- 心不全:SGカテーテルで血行動態を見ながら、利尿薬、血管拡張薬、カテコラミンを使用する。
- 重症心不全・ショック:経皮的心肺補助(PCPS)、大動脈内バルーンパンピング(IABP)
- ステロイド、免疫グロブリン:考慮されることがあるがエビデンスなし。
予後
- 急性型は予後良好であるが、劇症型心筋炎、拡張型心筋症にいたる場合もある。
参考
- 1. 急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン - 日本循環器学会
[★]
- 英
- cytomegalovirus infection
- 同
- CMV感染症
- 関
- サイトメガロウイルス、巨細胞封入体症。日和見病原体、不顕性感染
概念
- ヘルペスウイルス科ベータヘルペスウイルス亜科に属するサイトメガロウイルスによる感染症である。
- 宿主の状態により臨床像が異なる。
- 一般に弱毒で、健康な成人に感染しても発症することはまずない。
- ほとんどの成人(80~90%)が罹患しているが、不顕性のまま経過し、持続感染/潜伏感染している。
- 感染によりCMV-IgG抗体を有することになる。
- 既感染者の尿、唾液、精液、血液、乳汁にサイトメガロウイルスが分離されるため、体液や粘膜を介した接触、尿や唾液を介した接触感染、母乳を介した感染が起こりうる。
- 初感染の場合、細胞免疫が低下した者で再活性化した場合に症状を呈する(免疫抑制薬投与、AIDS患者)。
- 乳児幼児の初感染、妊婦の初感染、易感染性宿主の再活性化
- 胎児が感染した場合は、黄疸、肝脾腫、出血、小頭症、網膜炎、知能障害などが、移植患者などでは肺炎が起こりやすい。
- 妊婦の初感染により、胎内感染による流産や先天性奇形をきたしうる。
臨床型
先天性サイトメガロウイルス感染症
- 先天性巨細胞封入体症
- 妊婦がサイトメガロウイルスの初感染、再感染、あるいは再活性化により経胎盤的に胎児に感染する。妊婦が初感染の場合には重症となる。
- 症状:低出生体重、黄疸、出血斑、肝脾腫、小頭症、脳内石灰化/脳室周囲石灰化、肝機能異常、血小板減少、難聴、脈絡網膜炎、DIC、知的障害
- 出生時には無症状~一部の症状のみ呈する場合がある。
新生児・乳児・幼児の初感染
- 産道での感染、母乳を介した感染、尿や唾液を介した水平感染が主である。
- 正常な妊娠で出生した場合、母体からの移行抗体によりほとんどが不顕性感染かあるいは軽症で経過する。
- 早産児や低出生体重児の場合、母体からの移行抗体が不十分であるため重症化することが多い。結果として肝炎、肺炎、単核球症を生じうる。よって、このような児に対しては接触予防策を徹底すべきであり、またCMV既感者からの授乳や輸血は回避する必要がある。
成人の初感染
- サイトメガロウイルスに未感染の者が、思春期以降に唾液、精液、血液などを介して初感染を受けた場合には、伝染性単核症様の症状を呈することが多い。
- 発熱、肝機能異常、頚部リンパ節腫脹、肝脾腫などが主な症状であり、EBウイルスの初感染との鑑別が困難である。
- ただし、EBウイルスの場合と違って、滲出性扁桃炎を起こすことは少ない。
- 伝染性単核症様の症状が出たとしても1-2週間で軽快する。
臓器移植による感染
- 臓器移植において、CMV-IgGパターンとしては、ドナー陽性・レシピエント陰性、ドナー陽性・レシピエント陽性の場合が考えられる。
- 前者の場合、ドナーの臓器内に潜伏しているサイトメガロウイルスにより初感染を受けることになる。
- 後者の場合、ドナーからの臓器に拒絶反応を起こさないようにレシピエントは免疫抑制薬により細胞免疫が徹底的に抑制されるが、そのためレシピエントに潜伏していたサイトメガロウイルスが再活性化して発症することがある。
骨髄移植による感染
- 骨髄移植において、CMV-IgGパターンとして、ドナー陰性、レシピエント陽性のパターンで、サイトメガロウイルスが再活性化した場合に重篤化する。
- 免疫を担当する細胞はもっぱらドナー由来の細胞となるが、サイトメガロウイルスは初感染となるため、その他のパターンより重篤化しやすい。
症状
- 脳 :脳炎
- 肺 :間質性肺炎
- 肝臓:ウイルス性肝炎の病態となる
- 網膜:網膜炎。サイトメガロウイルス網膜症
- 消化管:腸炎(潰瘍、びらん)
- 感染症専門医テキスト 第1部 解説編より
症候
|
頻度(%)
|
出血斑
|
54
|
胎児発育不全
|
47
|
肝腫
|
47
|
脾腫
|
44
|
脳石灰化
|
43
|
出生時の黄疸
|
36
|
小頭症
|
40
|
聴覚障害
|
41
|
溶血性貧血
|
13
|
脈絡網膜炎
|
11
|
痙攣
|
8
|
肺炎
|
11
|
肝機能障害
|
30
|
死亡
|
8
|
疾患
|
新生児
|
乳児
|
臓器移植
|
骨髄移植
|
AIDS
|
発熱/肝障害
|
++
|
++
|
++
|
+
|
+
|
消化器感染症
|
+
|
+
|
+
|
+
|
+
|
網膜炎
|
|
|
+
|
+
|
++
|
間質性肺炎
|
+
|
+
|
+
|
++
|
|
骨髄抑制
|
|
|
|
++
|
+
|
脳炎・脳障害
|
+
|
|
|
|
+
|
PTLDリスク
|
|
|
+
|
+
|
|
検査
- 血液像:異型リンパ球増加、単核球の増加
- CMV-IgM:初感染、既感染者の再活性化で陽性となる
- CMV-IgG:既感染者で陽性となる
診断
先天性CMV感染症
- 3. 抗原血症
- 4. DNAの検出
- 5. mRNAの検出
CMV感染症
- 1. NASBA法(nucleic acid sequence based amplification法):mRNA検出。mRNAの検出はウイルスの活動性を反映
- 2. antigenemia法:ウイルス抗原(方法:C7HRP 、C10C11)
- 白血球を単離してCMV抗原に対するモノクローナル抗体で染色し、陽性細胞を計測する。陽性細胞の数で判定する。
- 3. PCR法:DNA検出
- 4. 直接的なウイルス分離
- 5. ウイルス特異的IgM 抗体の検出
治療
予防
- pre‐emptive therapy
- 造血幹細胞移植:ホスカルネット(ガンシクロビルの骨髄抑制)
- 腎移植 :ガンシクロビル(ホスカルネットによる腎障害)
参考文献
[★]
- 英
- infectious mononucleosis
- 同
- キス病 kissing disease、伝染性単核症、EBウイルス感染症 Epstein-Barr virus infection、腺熱 glandular fever
- 関
- 単核球症、EBウイルス
概念
疫学
- 多く(90%以上)は幼児期に初感染し、無症状(不顕性感染)か軽症である。
- 学童期から青年期(14-18歳)に多い。成人になってからの初感染では症状が出る。 → 肝炎様症状
- 日本では成人の80%が既感染者。健常者咽頭粘液:10-20%陽性
潜伏期間
- 4-6週(YN.H-75, ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
病原体
感染経路
病態
- 飛沫感染 → 咽頭粘膜上皮細胞やリンパ組織で増殖 → Bリンパ球を介して全身に散布 → 増殖能を獲得したBリンパ球によるIgの産生(ポール・バンネル反応、ペニシリンアレルギーと関連)・腫瘍化したBリンパ球対して活性化した細胞障害性T細胞(異型リンパ球)の増加
- EBウイルスがB細胞に感染して癌化させる。ガン化にはEBウイルスが産生する核内抗原(EBNA)と表面抗原(LMA)が重要な役割りを果たす。ガン化したB細胞に対する傷害性T細胞が異型リンパ球として観察される。
経過
- その後、EBウイルスは持続感染する
症候
- 発熱、全身性リンパ節腫脹、絶対的リンパ球増加(10%以上の異型リンパ球)
- 発熱(1-2週間持続,90%)、扁桃炎・咽頭炎(咽頭痛・嚥下困難、発赤・腫脹)、全身性リンパ節腫脹(圧痛)、肝脾腫(10-50%)、結膜の充血、麻疹様・風疹様の発疹(10-40%)
- 扁桃炎・咽頭炎は溶連菌による扁桃炎に似て発赤が強く膿苔を伴うことが多い (SPE.340) → 扁桃白苔とも表現される(滲出性扁桃炎の所見)
- リンパ節腫脹:
- 年齢と共に咽頭、頸部リンパ節腫脹の所見は低下する。40歳以下で頸部リンパ節腫脹94%, 扁桃腺腫大84%, 40歳以上では頸部リンパ節腫脹47%, 扁桃腫大43%
- 後頸部リンパ節腫脹(陽性尤度比 3.1 95%CI 1.6~5.9)
検査
血算
- 末梢血白血球↑、
単核球↑?:白血球分画のリンパ球・単核球?が60%以上となる。 ← Bリンパ球で増殖するため減少、Tリンパ球は反応性に増殖
- 末梢血異型リンパ球(~50%)
- IMにおける異型リンパ球の陽性尤度比
異型リンパ球
|
陽性尤度比
|
95% CI
|
≧10%
|
11.4
|
2.7~35
|
≧20%
|
26
|
9.6~68
|
≧40%
|
50
|
38~64
|
- まれ:溶血性貧血、血小板減少症、再生不良性貧血、TTP、HUS、DIC (QB.H-196 参考1) ← 時に見られる造血系の異常は、EBウイルスにたいする抗体との交差反応によるもの、らしい(参考1)
免疫血清検査
- 1. ペア血清:VCA-IgM↑、VCA-IgG↑ ← VCA-IgMは一過性上昇 ← 急性期に上昇
- VCAとはウイルスキャプシド抗原(virus capsid antigen)
- 陽性→潜伏感染
- EBNA抗原はゆっくりと上昇し3ヶ月後に陽転する。3-6週後に陽転(ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
肝臓酵素
- 肝逸脱酵素↑:AST、ALT、ALP、γ-GTP。ビリルビンも上昇する。
- 肝障害は80-90%の例にみられる。
診断
- 若年者の場合はCMVとEBVの両方を考慮して血清学的検査(VCA-IgG, VCA-IgM, EBNA, CMV-IgG, CMV-IgM)を提出する。
- トランスアミナーゼ上昇が認められているので、肝胆膵をスクリーニングするために腹部エコーを行うと良いのかもしれない。
鑑別診断
治療
- 特異的治療法無し
- 対症療法:解熱薬や肝庇護薬の投与、輸液など
合併症
注意
- ペニシリン系・セフェム系薬物の投与は禁忌:発疹などのアレルギー反応が起こる
- ペニシリン系抗菌薬では30-100%の割合で皮疹が生じるが、その際にはセフェム系抗菌薬を使う方がよいとされている(ウイルス感染症 - 日本内科学会雑誌106巻11号)
予防
予後
参考
- 1. [charged] Infectious mononucleosis in adults and adolescents - uptodate [1]
国試
[★]
- ☆case16 膝の痛み
- ■glossary
- indigestion 消化障害、消化不良
- ■症例
- 80歳 男性
- 主訴:左膝の痛みと腫脹
- 現病歴:左膝の痛みを2日前から認めた。膝は発熱・腫脹しており、動かすと疼痛を生じる。時々胸焼けと消化不良が見られる。6ヶ月前のhealth checkで、高血圧(172/102mmHg)と血中クレアチニンが高い(正常高値)こと以外は正常といわれた。その4週間数回血圧を測定したが、高値が継続したため、2.5mg bendrofluamethizide(UK)/ベンドロフルメチアジドbendroflumethiazide(US)で治療を開始した。最近の血圧は138/84 mmHgであった。
- 喫煙歴:なし。
- 飲酒歴:一週間に平均4unit。
- 既往歴:股関節に中程度(mild)の変形性関節症
- 家族歴:特記なし
- 服薬歴:アセトアミノフェン(股関節の疼痛に対して)
- 身体所見 examination
- 血圧 142/86mmHg。体温37.5℃。脈拍88/分。grade 2 hypertensive retinopathy(高血圧症性網膜症)。心血管系、呼吸器系に検査場異常なし。手にDIPにヘバーデン結節なし。
- 左膝が発熱し腫脹している。関節内に液、patellar tap陽性。90℃以上膝関節を屈曲させると痛みを生じる。右の膝関節は正常に見える。
- 検査 investigation
- 生化学:白血球増多、ESR上昇、尿素高値、グルコース高値
- 単純X線:関節間隙やや狭小。それ以外に異常は認めない。
- ■problem list
- #1 左膝の痛み
- #2 胸焼け
- #3 消化不良
- #4 高血圧
- #5 クレアチニン正常高値
- #6 股関節の変形性リウマチ
- #7 高血圧性網膜症
- ■考え方
- ・関節痛の鑑別診断を考える。
- ・VINDICATEで考えてみてもよいでしょう。
- ・関節痛の頻度としては 外傷>慢性疾患(OAなど)>膠原病>脊椎疾患>悪性腫瘍
- ■関節痛の鑑別疾患
- DIF 282
- V Vascular 血友病 hemophilia, 壊血病 scurvy, 無菌性骨壊死 aseptic bone necrosis (Osgood-Schlatter diseaseとか)
- I Inflammatory 淋疾 gonorrhea, ライム病 lyme disease, 黄色ブドウ球菌 Staphylococcus, 連鎖球菌 Streptococcus, 結核 tuberculosis, 梅毒 syphilis, 風疹 rubella, 単純ヘルペス herpes simplex, HIV human immunodeficiency virus, サイトメガロウイルス cytomegalovirus
- N Neoplastic disorders 骨原性肉腫 osteogenic sarcoma, 巨細胞腫 giant cell tumors
- D Degenerative disorders degenerative joint disease or 変形性関節症 osteoarthritis
- I Intoxication 痛風 gout (uric acid), 偽痛風 pseudogout (calcium pyrophosphate), ループス症候群 lupus syndrome of hydralazine (Apresoline) and procainamide, gout syndrome of diuretics
- C Congenital and acquired malformations bring to mind the joint deformities of tabes dorsalis and syringomyelia and congenital dislocation of the hip. Alkaptonuria is also considered here.
- A Autoimmune indicates (多い)関節リウマチ RA (可能性)血清病 serum sickness, 全身性エリテマトーデス lupus erythematosus, リウマチ熱 rheumatic fever, ライター症候群 Reiter syndrome, 潰瘍性大腸炎 ulcerative colitis, クローン病=限局性回腸炎 regional ileitis, 乾癬性関節炎 psoriatic arthritis (老人であり得る)リウマチ性多発筋痛症 polymyalgia rheumatica
- T Trauma 外傷性滑膜炎 traumatic synovitis, tear or rupture of the collateral or cruciate ligaments, 亜脱臼 subluxation or laceration of the meniscus (semilunar cartilage), 脱臼 dislocation of the joint or patella, a 捻挫 sprain of the joint, and fracture of the bones of the joint.
- E Endcrine 先端肥大症 acromegaly, 閉経 menopause, 糖尿病 diabetes mellitus
- ■答え
- 骨格筋系-関節炎-単関節炎-急性単関節炎
- 痛風 尿酸 → 発熱、ESR↑、白血球↑
- 偽痛風 ピロリン酸カルシウム
- 高齢女性でチアジド系利尿薬の使用により痛風が誘発されやすい。特に腎機能低下、糖尿病の人はこのリスクが高まる。
- ■(BSTからの知識「)循環器領域での利尿薬
- ・心不全の治療において、循環血漿量を減らし、心臓の前負荷を軽減する。
- ・利尿薬は高尿酸血症を起こす。(けど、心不全の治療において高尿酸血症になったからといって痛風を発症している患者はみたことない)
- ・電解質異常を起こしやすいので、血液生化学の検査でモニタして注意する。たとえば低Kで不整脈のリスクが高まる。
- ・チアジド系の利尿薬は血糖を上げるし、尿酸を上げる
- ・長期の使用で腎機能を低下させる
- ■initial plan
- Dx 1. 関節液の吸引:関節液の一般検査、生化学検査、培養検査、
- ・白血球が増加していれば急性炎症性であることを示す。
- ・偏光顕微鏡で関節液を検鏡する。
- ・尿酸の結晶:針状結晶。negatively birefringent
- ・ピロリン酸カルシウムの結晶:positively birefringent
- Tx 1. 関節液の吸引:炎症が軽度改善
- 2. NSAIDによる疼痛管理
- 3. PPI:NSAID潰瘍を予防するため
- 4. ACE inhibitorの導入