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利尿薬(りにょうやく、英: diuretic)は、尿量を増加させる作用を持つ薬物の総称である。
尿は水分や電解質を体外へ排出する最も効果的な手段である。尿は腎臓でつくられるが、腎臓は体内の状況に応じて尿の量や濃度を調節し、全身の体液を一定に保つよう制御している。利尿薬は、この調節機構が適切にはたらかない病態などにおいて、水分を体外に排出するために用いられる。腎臓の項も参照のこと。
目次
- 1 浸透圧利尿薬
- 2 ループ利尿薬
- 3 サイアザイド系利尿薬
- 4 K保持性利尿薬
- 5 その他の利尿薬
- 6 副作用
- 7 関連項目
- 8 参照・脚注
浸透圧利尿薬
浸透圧利尿薬は糸球体で濾過されると再吸収されないため、尿細管内の浸透圧が上昇し、水の再吸収が抑制される。脳圧亢進時などに用いられる。
ループ利尿薬
ヘンレのループにおいてNaとClの再吸収を阻害する。腎機能に悪影響を与えないため、利尿薬の第一選択として使用される。また心不全、高血圧治療薬としても使用される。
- フロセミド(ラシックス®,オイテンシン®, 後発品あり)
- トラセミド (ルプラック®)
- アゾセミド(ダイアート®、長時間作用型)
- ピレタニド(アレリックス®、作用時間はフロセミドに近い)
サイアザイド系利尿薬
遠位尿細管においてNaとClの再吸収を阻害する。降圧剤としても使用される。大規模臨床試験では他剤と遜色ない結果を得ており、現在も高血圧治療薬の代表的なもの。[1]
- ヒドロクロロサイアザイド(HCTZ,ダイクロトライド®)
- トリクロルメチアジド(フルイトラン®)
- インダパミド(ナトリックス®)
- クロルタリドン(ハイグロトン®)
K保持性利尿薬
抗アルドステロン薬とも。遠位尿細管においてアルドステロン(抗利尿ホルモン)に拮抗し、Naの再吸収を阻害する一方、Kの尿中排泄を抑制する。ループ利尿薬等と合わせて、肝硬変、うっ血性心不全などに対して使用される。またセララ®は高血圧に対してしか日本では適応症はない。
- トリアムテレン(トリテレン®)
- スピロノラクトン(アルダクトンA®)
- カンレノ酸カリウム(ソルダクトン®注)
- エプレレノン(セララ®錠)
その他の利尿薬
- アセタゾラミド(ダイアモックス)は、緑内障やメニエール病に対して使用される。
- 塩酸ドパミン(イノバン)は、腎血流量を増やして間接的に利尿作用を示す。
- アミノフィリン(ネオフィリン)や強心薬も利尿作用を示す。
- カルペリチド(ハンプ)は心房性Na利尿ペプチド(ANP)と呼ばれ、重症心不全時の利尿薬として使用される。
- トルバプタンは、世界初のバソプレシンV2-受容体拮抗剤。大塚製薬より「サムスカ®錠 15mg」として2010年12月14日上市された。
副作用
- アロプリノール(ザイロリック®)を服用するのではなく、利尿薬減量のうえ、ロサルタンやシルニジピン併用とするとよい。[2][3]
- ボクシング等の階級制の競技において、体重調整の最後の手段として利尿剤が使用されることがあるが、ドーピング検査においても利尿剤は禁止薬物として指定されていることが多い。副作用も大きく、治療以外の目的で利尿剤を使用することは危険も伴うため、絶対にさけるべきである。
関連項目
参照・脚注
- ^ 木村玄次郎(2006), 高血圧治療と利尿薬, 呼吸と循環, 54(1):71-80.
- ^ シルニジピンの糖尿病合併高血圧症例に関する特定使用成績調査結果 永濱 忍,他:診療と新薬 2009;46:473-491
- ^ N型カルシウム拮抗薬シルニジピンの筋原性高尿酸血症抑制作用 浜田紀宏,他:診療と新薬 2006;43:382-386
薬理学:医薬品の分類 |
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消化器/代謝(A) |
胃酸中和剤(制酸薬、H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬) • 制吐薬 • 瀉下薬 • 止瀉薬/止痢薬 • 抗肥満薬 • 血糖降下薬 • ビタミン • ミネラル
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血液、血液生成器官(B) |
抗血栓薬(抗血小板剤、抗凝固薬、血栓溶解薬) • 抗出血(血小板、凝固・線溶系、抗線維素溶解性)
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循環器系(C) |
心臓療法/狭心症治療薬(強心配糖体、抗不整脈薬、強心剤) • 高血圧治療薬 • 利尿薬 • 血管拡張薬 • 交感神経β受容体遮断薬 • カルシウム拮抗剤 • レニン-アンジオテンシン系(ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬) • 脂質降下薬(スタチン、フィブラート、胆汁酸捕捉因子)
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皮膚(D) |
皮膚軟化剤 • 瘢痕形成剤 • 鎮痒薬 • 乾癬治療薬 • 他の皮膚薬
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泌尿生殖器系(G) |
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内分泌器(H) |
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感染(J、P、QI) |
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悪性腫瘍(L01-L02) |
抗がん剤(代謝拮抗薬、抗腫瘍性アルキル化薬、紡錘体毒、抗悪性腫瘍薬、トポイソメラーゼ阻害薬)
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脳、神経(N) |
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呼吸器(R) |
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静脈
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病態・症候 |
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左心不全 | 右心不全 | 両心不全(en)
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心臓発作 | 心臓肥大 | 心停止 | 心肺停止
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所見・検査 |
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治療 |
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外科的治療
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冠動脈バイパス術(CABG)
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CABG | off-pump CAB(OPCAB) | MIDCAB(en) | TECAB(en)
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弁膜症手術
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小児心臓外科
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心不全外科
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大動脈手術
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大動脈人工血管置換術 | 大動脈基部置換術 (Bentall, David) | ステントグラフト内挿術(en)
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末梢血管手術
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内科的治療
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循環作動薬
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抗不整脈薬
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Ia群: プロカインアミド, キニジン
Ib群: リドカイン, フェニトイン
Ic群: フレカイニド(en), プロパフェノン(en)
II群: 交感神経β受容体遮断薬(プロプラノロールなど)
III群: アミオダロン, ソタロール(en)
IV群: カルシウム拮抗剤(ベラパミル, ジルチアゼムなど)
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心不全治療薬(en)
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利尿薬 | 血管拡張薬 | 強心配糖体 | 強心剤 | PDEⅢ阻害薬
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狭心症治療薬
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交感神経β受容体遮断薬 | 硝酸薬
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高血圧治療薬
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利尿薬 | 交感神経β受容体遮断薬 | レニン-アンジオテンシン系 (ACE阻害薬、アンジオテンシンII受容体拮抗薬、レニン阻害薬(en)) | カルシウム拮抗剤 | アドレナリン作動薬 | 脂質降下薬
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血管内治療
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経皮的冠動脈形成術
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循環器系の正常構造・生理 |
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Japanese Journal
- 浸透圧利尿薬 (先輩ナース 必携 脳神経外科 新人ナース指導育成マニュアル--現場で使えるエビデンスがわかるQ&A) -- (薬剤をわかりやすく教えよう)
- 浸透圧利尿薬--マンニトールとグリセロールはどう違う ? (特集 ERで使う薬剤--ちょっとした疑問とピットフォール) -- (ピットフォールに気をつける)
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- 当サイトの掲載情報の正確性については万全を期しておりますが、本会は利用者 が当サイトの情報を用いて行う一切の行為について何ら責任を負うものではありません。 浸透圧利尿薬
- 浸透圧物質により尿細管内の浸透圧が上昇し,これを等張に保つためナトリウムと水の再吸収が減少する結果として現れる利尿作用の意。病態としては,急性腎不全の利尿期(尿素による),糖尿病の高血糖状態などが代表的である。
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★リンクテーブル★
[★]
- 57歳の男性。発熱と意識障害とのため救急車で搬入された。
- 家族の説明によると、患者は通常の生活を送っていたが、1週前から急に高熱が出現し自宅で臥床していた。この間、ときどき意味不明の言動があった。今朝になり頭痛を訴え、歯肉出血が出現した。呼名には応じるが見当歳障害がある。
- 体温38.7℃。呼吸数24/分。脈拍108/分、整。血圧120/60mmHg。眼瞼結膜は貧血様で、眼球結膜に黄染を認める。四肢と体幹とに点状出血を認める。リンパ節腫脹はない。胸部に特記すべきことはなく、腹部に肝・脾を触知しない。項部硬直はないが腱反射は亢進し、下肢に病的反射を認める。血液所見:赤血球190万、Hb6.5g/dl、Ht20%、網赤血球90‰、白血球12,600、血小板1.2万。血清生化学所見:総蛋白7.0g/dl、アルブミン3.7g/dl、尿素窒素56mg/dl、クレアチニン2.3mg/dl、総ビリルビン3.7mg/dl、直接ビリルビン0.9mg/dl、AST140単位(基準40以下)、ALT45単位(基準35以下)、LDH2,679単位(基準176~353)。CRP1.5mg/dl(基準0.3以下)。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- この患者に対する処置で最も適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097I044]←[国試_097]→[097I046]
[★]
- 63歳の女性。頭痛、嘔気および右眼の霧視と充血とを主訴に来院した。処置をして2時間後に症状の改善が得られた後、レーザーを用いて再発予防手術を行った。術後の右前眼部写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [101D023]←[国試_101]→[101D025]
[★]
- 英
- calcium
- 関
- カルシウムイオン、リン
- calcium channel blockers, calcium channels
基準値
- 血清総Ca 8.6-10.1 mg/dl(臨床検査法提要第32版)
- 8.6-10.2 mg/dL (QB) だいたい 9.4 ± 0.8
- 血清Caイオン 1.15-1.30 mmmol/l(臨床検査法提要第32版), 4.6-5.1 mg/dl
血液ガス
- 血液ガスでは (mEq/l)で出されるが 4倍すれば (mg/dl)に変換できる 原子量が約40ゆえ
溶解度積
リン酸カルシウム
|
366x10-6
|
(30℃)
|
リン酸カルシウム
|
0.35x10-6
|
(38℃)
|
炭酸カルシウム
|
0.0087x10-6
|
(25℃)
|
酒石酸カルシウム
|
0.0077x10-6
|
(25℃)
|
シュウ酸カルシウム
|
0.00257x10-6
|
(25℃)
|
オレイン酸カルシウム
|
0.000291x10-6
|
(25℃)
|
パルチミン酸カルシウム
|
0.000000161x10-6
|
(23℃)
|
カルシウムの吸収(SP.744)
- +健康成人の1日あたりの食物Ca摂取0.6g
- +消化管分泌物と脱落上皮細胞のCa 0.6g
- -吸収されるCa 0.7g
- -そのまま排泄 0.5g
- 正味吸収されるCa 0.1g
カルシウムの吸収部位
カルシウム代謝の調節機構
副甲状腺ホルモン
- 1. 破骨細胞に作用してCa,Pが血中へ。
- 2. 腎の遠位尿細管に作用してCa再吸収の亢進、近位尿細管でのP再吸収の抑制。
- 3. 近位尿細管に作用して酵素を活性化し、1,25水酸化ビタミンD3の産生亢進。
1,25(OH)2D3
- 1. 空腸からのCaとPの吸収。
- 2. 骨形成促進。
- 3. 遠位尿細管でのCaとPの再吸収促進。
- 4. 副甲状腺ホルモンの合成を抑制
尿細管における部位別カルシウム輸送
- 糸球体で濾過されるのはイオン化Caと陰イオン複合型Ca(蛋白結合型Caは濾過されない)
- 濾過されたカルシウムのうち95%が再吸収される。
- 近位尿細管:60-70%
- ヘンレループ:20-25%
- 遠位尿細管、集合管:10-15%
近位尿細管
- Na+依存的に再吸収。受動輸送80%、能動輸送20%
- 基底側のCa2+ ATPase, 3Na+-Ca2+逆輸送系
ヘンレループ
- 太いヘンレループ上行脚で
- 受動輸送:管腔内電位が正であるため
遠位尿細管~集合管
- 糸球体濾過量の10-15%が再吸収されている → 量としては少ないが能動的に吸収が行われる部位。
- 能動輸送:管腔内電位が負であるため。
- PTH、カルシトニンに調節されている
- チアジド系利尿薬により細胞内Na↓となるとCa再吸収↑となる!!!! ← ループ利尿薬と違う点。よって高カルシウム血症が起こることがある。
接合尿細管
- 管腔側:Ca2+チャネル/非選択的カチオンチャネル
- 基底側:Na+-K+ ATPase, 3Na+-Ca2+交換系
尿細管におけるカルシウムの輸送の調節 SP.796
- Ca2+の尿中排泄量はNa+の尿中排泄量と比例。循環血漿量が増加するとCa2+排泄も増加
- Ca2+の尿中排泄量は血漿Ca2+濃度と比例する。
血清カルシウム濃度
- 血液中でCa2+は調節を受けて一定に保たれるが、蛋白と結合しているCaはアルブミンの量によって増減する。
- 血清アルブミン濃度 4 g/dl、血清Ca濃度 9mg/dl。補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- 血清アルブミン濃度 2 g/dl、血清Ca濃度 7mg/dl。 → 大変!!低カルシウム血症!! → ホント? ってことになる。アルブミンの量が減ってAlb-Caが減っただけで生理的に重要なCa2+は保たれているのではないか。 → こんな時に補正Ca濃度を用いるのである
- →補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- つまり、低アルブミン血症ではCa2+は保たれているにもかかわらず、血清Caは低値となりそのままでは評価できないために補正を行う。
- 補正Ca濃度(mg/dl)=Ca実測値(mg/dl)+(4-血清アルブミン濃度(g/dl)) ・・・Payneの式
- アルブミンのpIは7より小さく、アシデミアでは負に帯電しているアルブミンが減少、アルカレミアでは負に帯電しているアルブミンが増加する。すなわち、pHが下がるとアルブミンとくっつなくなったCaが増加するので、血液pH0.1の低下につきfreeイオン化Ca(Ca2+)は0.12mg/dl増加する???????????
循環血液量
血清Ca濃度
- 血清Ca濃度↑→PTH↓
- 生理活性のあるのはイオン化Ca(Ca2+)のみ
- 血清Ca濃度=イオン化Ca(45%) + 蛋白結合型Ca(40%) + 陰イオン複合型Ca(15%)
- イオン化Caは一定に保たれる
pH
- アシドーシス :pHが小さくなると負電荷減少:蛋白のCa結合能↓、イオン化Ca↑
- アルカローシス:pHが大きくなると負電荷増加:蛋白Caの結合能↑、イオン化Ca↓→Ca欠乏(低カルシウム血症)
低蛋白血症
- 低蛋白血症の際、蛋白結合型Caは減少するが、イオン化Ca一定。
尿中カルシウム
血中カルシウムと尿中カルシウム
- 薬剤などの影響がなければ、血中カルシウムと尿中カルシウムは相関がありそうである → 副甲状腺ホルモン
血清カルシウムと心電図
元素
- 金属元素。周期表第2族アルカリ土類金属元素
- 原子番号:20
- 元素記号:Ca
- 原子量 40.078 g/mol
臨床関連
参考
- http://www.orth.or.jp/osteoporose/caseizai.html
[★]
- congestive
- 英
- congestive heart failure, CHF
- 関
- 心不全、急性心不全
診断基準
Framingham criteria
- 大症状2つか、大症状1つおよび小症状2つ以上を心不全と診断する
大症状
小症状
大症状あるいは小症状
- 5日間の治療に反応して4.5kg以上の体重減少があった場合、それが心不全治療による効果ならば大症状1つ、それ以外の治療ならば小症状1つとみなす
治療
- 利尿薬:フロセミド、ヒドロクロロチアジド、スピロノラクトン(重症心不全の予後を改善する)、ANP
治療の禁忌
- 浸透圧利尿効果があり、脳圧亢進時、眼圧亢進時に用いる。
- 心不全に対して用いると、利尿効果を及ぼす前に循環血液量の一次的増加により心不全症状を増悪させる。
国試
[★]
- 英
- isosorbide
- 商
- イソバイド、メニレット
- 関
- 利尿薬。≠(虚血性心疾患治療剤)硝酸イソソルビド
概念
- 構造としては硝酸イソソルビドや一硝酸イソソルビドの骨格となる構造をなしている。
- 体内で浸透圧利尿薬として作用して尿量を増加させる。
分子式
付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2139001S1028_2_03/2139001S1028_2_03?view=body
[★]
- 英
- diuretic, diuretics
- 関
- 尿細管
適応
利尿薬の種類 (GOO.744)
利尿薬の例
-
利尿薬の作用部位
- ホルモンと利尿薬の作用部位についての簡単なまとめは→尿細管
参照
- http://hobab.fc2web.com/sub4-Diuretics.htm
[★]
- 英
- osmotic pressure
- 関
- 圧力、オスモル
[★]
- 英
- osmotic diuresis
- 関
- 利尿
- 尿細管中に非吸収性、あるいは多量の吸収性の浸透圧物質が存在することにより引き起こされる利尿
[★]
- 英
- drug, agent
- 同
- 薬物
- 関
- 作用薬、剤、ドラッグ、媒介物、病原体、麻薬、薬剤、薬物、代理人、薬品
[★]
- 英
- diuresis
- 関
- 多尿、利尿剤、利尿薬