- 英
- hypercalcemia
- 同
- 高Ca血症
- 関
- カルシウム、低カルシウム血症
- 研修医当直御法度 症例帳 p.32
- 組織へのカルシウム蓄積を引き起こしうる (BPT.27)
病因
- 肉芽の構成成分であるマクロファージがビタミンD3を産生?
-
- チアジド系利尿薬の慢性使用により体液量が減少し、近位尿細管での再吸収が亢進するため (GOO.755) ??
- チアジド系利尿薬自体のDCTでの作用による;NCCTを阻害すると細胞内のNa濃度低下、これにより側底膜でのNa+-Ca2+交換系が亢進することでCa2+の再吸収↑ (GOO.755) → ループ利尿薬と違ってチアジド系利尿薬ははCaを排泄しない!! see.利尿薬
- 5. 家族性低Ca尿性高Ca血症
- 6. その他(リチウム???? (ICU.558))
- ECGP.223
USMLEより
- Caused by calcium ingestion (milk-alkali syndrome), hyperparathyroid, hyperthyroid, iatrogenic (thiazides), multiple myeloma, Paget's disease, Addison's disease, Neoplasms, Zollinger-Ellison syndrome, Excess vitamin D, Excess vitamin A, sarcoidosis.
- Calcium ingestion
- Hyperparathyroid/Hyperthyroid
- Iatrogenic
- Multiplemyeloma
- Paget's disease
- Addison's disease
- Neoplasms
- Zollinger-Ellison syndrome: ZES単独ではなく、MEN Iによるparathyroid tumorに続発した病態
- Excessive vitamin D
- Excessive vitamin A
- Sarcoidosis
定義
- 疑い:常に≧10.3 mg/dl
- 確実:≧10.5 mg/dl
↑
基準値
- 血清総Ca 8.6-10.1 mg/dl(臨床検査法提要第32版)
- 血清Caイオン 1.15-1.30 mmmol/l(臨床検査法提要第32版), 4.6-5.1 mg/dl
症候
- 軽度(11-11.5 mg/dL):通常は無症状。(HIM.285)
- 重度(>12-13 mg/dL):傾眠、昏迷、昏睡、消化器症状が出現。(HIM.285)
- 精神・神経症状:錯乱、昏迷、昏睡。イライラ感、うつ傾向(QB.D-339)
- 消化器:食欲不振、悪心・嘔吐、便秘。膵炎、消化性潰瘍。腹部膨満(腸管運動抑制による(QB.D-339))
- 消化性潰瘍:高カルシウム血症は胃酸分泌を促進する
- 急性膵炎:高カルシウム血症は膵液の分泌を亢進する。(YN.B-78) ← 過剰に出ちゃうと炎症が起こってしまうらしい
- 泌尿器:多尿、腎結石(血清Ca 12mg/dLでできやすくなるらしい) ← 多尿は浸透圧利尿による(ICU.558)
-
- 腎不全は一般的に低カルシウム血症となるが、高カルシウム血症に起因する腎不全は例外。
- →高カルシウム血症性腎症 hypercalcemic nephropathy
- 腎の石灰化→髄質に蓄積→尿細管圧迫→尿濃縮力障害 ← 続発性尿崩症の原因???
- 高カルシウム血症は腎の濃縮力を低下させる(HIM.286) ← 腎集合管におけるADHの作用を阻害(QB.D-339)
- 心血管:血管収縮による高血圧(出典不明!!)。徐脈、房室ブロック、QT短縮(HIM.284)。 ← YN.D-147には血圧上昇、ICU.558には低血圧とある。
- 筋 :筋力低下、筋痛
- 全身:易疲労感
- 異所性石灰化 red eye 強膜にカルシウムが沈着
- 多尿による脱水、高血圧、徐脈
心電図
- EAB.114 SP.94,524
- QT短縮、ST短縮 ← 活動電位持続時間が短縮したことを示す。QRS幅については延長する場合もある(EAB.114)
- ↑細胞外カルシウム濃度→↑内向きカルシウム電流(↑流入速度)→さらに脱分極するように思えるが↑外向きカリウム電流により打ち消される→正味、カルシウムの移動が無くなるまでの時間が早まる→↓活動電位持続時間
- 高カルシウム血症→QT短縮: ←高カリウム血症
- 低カルシウム血症→QT延長: ←低カリウム血症 低マグネシウム血症
治療
- 症状が出たときか、症状無く血清Ca 14mg/dL以上の場合(ICU.558)
- 1. 細胞外液の補充
- 2. ナトリウム利尿によるカルシウム排泄の促進
血液透析
高カルシウム血症の鑑別
尿中のCa排泄 PTH PTHrP 1,25(OH)2D3
原発性甲状腺機能亢進症 ↑ ↑ ↓ → or ↑
腫瘍のPTH関連蛋白分泌 ↑ ↓ ↑ ↓
腫瘍の骨破壊 ↑ ↓ ↓ ↓
肉芽腫症 ↓ ↓ ↓ → or ↑
参考
国試
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/12/05 08:16:23」(JST)
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高カルシウム血症 |
分類及び外部参照情報 |
カルシウム
|
ICD-10 |
E83.5 |
ICD-9 |
275.42 |
DiseasesDB |
6196 |
MedlinePlus |
000365 |
eMedicine |
med/1068 emerg/260 ped/1062 |
Patient UK |
高カルシウム血症 |
MeSH |
D006934 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
高カルシウム血症(こうかるしうむけっしょう、英:hypercalcaemia, hypercalcemia)とは血液中のカルシウム濃度が正常の範囲を逸脱し、異常に高値を示す状態。骨や腎臓からのカルシウム再吸収の亢進、消化管からのカルシウム吸収の亢進により生じる。成犬では血清カルシウム濃度が12mg/dl以上で高カルシウム血症と診断され、14mg/dlまでは臨床症状を示さないが、それ以上で多飲多尿、元気消失、嘔吐、便秘、衰弱などを示す。
目次
- 1 人体におけるカルシウムの調節
- 2 一般病棟でのスクリーニング
- 3 腎性尿崩症の原因としての高カルシウム血症
- 4 関連項目
- 5 参考文献
人体におけるカルシウムの調節
血清のCa濃度は8.4~10.2mg/dl程度の範囲に保たれている。正常値を10mg/dlとすると、そのうち4mg/dlはアルブミンと結合しており、1mg/dlはリンなど他のイオンと結合しており、5mg/dlがカルシウムイオンとして存在する。即ち、低アルブミン血症では見かけ上カルシウム濃度が低値になるため、補正した値をだす。補正Ca濃度=Ca濃度(mg/dl)+(4-Alb g/dl)である。我々は合計したCa濃度を測定しているが、生体内で活性があるのは通常は5mg/dlのカルシウムイオンのみであり、これらに調節機構が存在する。副甲状腺ホルモンとビタミンDはどちらかが不足しても低カルシウム血症に陥るため、必須のカルシウム上昇ホルモンである。カルシトニンは甲状腺で作られるカルシウム下降ホルモンである。
一般病棟でのスクリーニング
だが、一般病院では血中カルシウム濃度をルーチンで測定することをしていないところもある。そのため心電図検査をおこなってQT時間の短縮によって高カルシウム血症を発見することがある。さらに稀になるが、低リン血症も溶血性貧血、横紋筋融解症、白血球機能異常を招き、死に至る場合がある。高カルシウム血症、低リン血症をスクリーニングできるように、たまにはCa、IPの測定をすることが望ましいと考えられる。特に、骨粗鬆症の治療のためなどでCa剤を投与している場合は尿中のCa、Crも測定することが望ましい。
腎性尿崩症の原因としての高カルシウム血症
高カルシウム血症は悪性腫瘍に合併したり、副甲状腺機能亢進症に合併したりする。症状としては悪心、嘔吐、中枢神経障害などが知られているが、これらの症状からは本疾患を疑うことはほとんどない。ただ、血液検査で計ってみないとわからないことが多い。特に気をつけることは高カルシウム血症は低カリウム血症と同様に腎性尿崩症の原因となることである。これは集合管におけるADH感受性が低下するためと考えられており、全身状態が悪いがん患者などでは、多尿によって容易に腎前性腎不全となり死にいたる。腎不全の原因がカルシウムを測定しなければ不明となっていまう恐ろしい病気である。糖尿病性昏睡では治療中カリウムの補正が足りないと容易に低カリウム血症となり、もともとの病態が脱水であるにも関わらず、腎性尿崩症となり脱水が助長され死にいたることもある。悪性腫瘍の高カルシウム血症と糖尿病の低カリウム血症は腎性尿崩症によって患者を死にいたらすことがある非常に危険な電解質代謝異常である。
関連項目
- 低カルシウム血症
- 副甲状腺
- ビタミンD
- 腫瘍随伴性高カルシウム血症
- ミルク・アルカリ症候群
参考文献
- 獣医学大辞典編集委員会編集 『明解獣医学辞典』 チクサン出版 1991年 ISBN 4-88500-610-4
- 日本獣医内科学アカデミー編 『獣医内科学(小動物編)』 文永堂出版 2005年 ISBN 4-8300-3200-6
- 水・電解質と酸塩基平衡 ISBN 978-4-524-22422-7
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Japanese Journal
- その他の腫瘍随伴症候群によるホルモン異常症 (内分泌腺腫瘍--基礎・臨床研究のアップデート) -- (異所性ホルモン産生腫瘍)
- 副甲状腺腫瘍の検査・診断 高カルシウム血症の鑑別 (内分泌腺腫瘍--基礎・臨床研究のアップデート) -- (副甲状腺腫瘍)
- 臨床研究・症例報告 乳児特発性高カルシウム血症と考えられる1例
- 20.高カルシウム血症を契機に発見されEBUSにて診断したサルコイドーシスの1例(第134回 日本呼吸器内視鏡学会関東支部会)
- 駒崎 義利,玉岡 明洋,藤井 ゆみ,土屋 公威,坂下 博之,角 勇樹,宮崎 泰成,稲瀬 直彦
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 32(6), 561-562, 2010-11-25
- NAID 110007989672
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[★]
- 次の文を読み、1~3の問いに答えよ。
- 70歳の男性。肺癌の手術目的で入院した。
- 現病歴 : 3か月前から咳が出現した。近医にて胸部エックス線撮影、胸部CTおよび気管支鏡検査を受け、左上葉原発の肺癌と診断された。
- 既往歴 : 38歳から高血圧症で降圧薬を服用中である。40歳から腎不全に対して週3回の血液透析を受け、無尿で経過している。
- 現症 : 身長165cm、体重60kg。脈拍64/分、整。血圧148/88mmHg。皮膚は乾燥し、左前腕に内シャントを認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。
- 検査所見 : 血液所見:赤血球380万、Hb 10.1g/dl、Ht 35%、白血球6,800、血小板32万。血清生化学所見:尿素窒素72mg/dl、クレアチニン7.6mg/dl、Na
- 140mEq/l、K 5.1mEq/l、Cl 104mEq/l。心電図上、洞調律であり虚血を疑う所見はない。手術前日に血液透析を受けた。
- 手術・麻酔経過 : 右側臥位にて左肺上葉切除術を予定した。麻酔は全身麻酔で換気は左右分離肺換気で行った。開胸操作までは脈拍64/分、血圧160/96mmHg前後で推移したが、胸腔内操作が始まって1時間後、肺動脈からの出血が始まり、電解質液、代用血漿製剤1,000mlを投与した。10分後、出血量が1,900mlを超え、血圧が64/48mmHgへと低下した。赤血球濃厚液1,600mlを急速に輸血したところ、心電図上T波が尖鋭化し心室細動となった。純酸素による両肺換気、術者による心マッサージ、電気的除細動によって3分後に回復し、リドカイン1mg/kg/時間と塩酸ドパミン5μg/kg/分の持続投与で、以後洞調律で安定した。心拍再開後の瞳孔径は左右とも2mmであり、麻酔からの覚醒に問題はなかった。心室細動時の動脈血ガス分析(両肺換気、100%酸素)ではpH7.30、PaO2 592Torr、PaCO2 37Torr、BE -6.5mEq/l。Hb 9.6g/dlであった。
[正答]
※国試ナビ4※ [100C001]←[国試_100]→[100C003]
[★]
- 次の文を読み、31、32の問いに答えよ。
- 82歳の女性。意味不明な言動を心配した家族に伴われて来院した。
- 現病歴:1週前までは特に変わった様子はなかった。数日前から食欲が低下し、昨日の朝からつじつまの合わない言動がみられるようになった。今朝はパジャマのまま外出してしまい、連れ戻そうとすると大声で騒ぐため、心配した家族に連れられて受診した。
- 既往歴:60歳時に甲状腺癌で甲状腺・副甲状腺全摘術を受けた。術後から甲状腺ホルモン、活性型ビタミンD及びカルシウム剤を服用している。65歳時から高血圧症で服薬加療中。最近は腎機能障害と高血糖とを指摘されている。
- 生活歴:娘の家族と同居。
- 家族歴:母親が脳卒中のため75歳で死亡。
- 現症:体温36.0℃。脈拍64/分、整。血圧152/74mmHg。呼吸数16/分。舌と皮膚とは乾燥している。開眼しているが、質問に対して返答せず、意味不明の発言を繰り返す。
- 検査所見:血液所見:赤血球367万、Hb 10.5g/dl、Ht 33%、白血球4,200、血小板22万。血液生化学所見:随時血糖167mg/dl、HbA1c(NGSP)6.0%(基準4.6~6.2)、総蛋白6.4g/dl、アルブミン3.3g/dl、総コレステロール212mg/dl、尿素窒素40mg/dl、クレアチニン1.7mg/dl、尿酸8.0mg/dl、Na 142mEq/l、K 4.5mEq/l、Cl 100mEq/l、Ca 13.0mg/dl。CRP 0.5mg/dl。
- この精神障害の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107H030]←[国試_107]→[107H032]
[★]
- 83歳の女性。全身倦怠感を主訴に来院した。高血圧症と骨粗鬆症で自宅近くの診療所に通院し、サイアザイド系利尿薬と経口活性型ビタミンD3製剤を処方されていた。1か月前から腰痛が出現したためNSAIDsを処方され服用していたが、座位や歩行で疼痛が悪化するため、日中も臥床していることが多かった。2週間前から食欲がなく、食事は少量ずつ1日食2で、水分摂取も小さな湯呑茶碗でお茶を1日2~3杯飲む程度だった。3日前から全身倦怠感が出現し、次第に悪化したため受診した。4日前から排便がないが、排尿回数は日中5回、夜間2回で変化はなかった。意識は清明。身長 152cm、体重 41kg(1か月前 45kg)。体温 36.2℃。脈拍 108/分、整。血圧 152/86mmHg。尿所見:比重 1.008、蛋白 (±)、糖 (-)、潜血 1+、沈渣は赤血球 1~4/HPF、白血球 1~4/HPF、細菌(±)。血液所見:赤血球 450万、Hb 15.2g/dL、Ht 45%、白血球 6,800、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン 3.9g/dL、AST 22U/L、ALT 18U/L、LD 250U/L(基準 176~353)、CK 152U/L(基準 30~140)、尿素窒素 52mg/dL、クレアチニン 2.8mg/dL、eGFR 13mL/分/1.73m2、Na 135mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 0.1mg/dL。
- 腎機能障害の原因として考えられるのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [113D074]←[国試_113]→[113E001]
[★]
- 32歳の男性。頸部と鼠径部との腫瘤を主訴に来院した。1か月前に歩行中、右鼠径部の違和感を覚え腫瘤に気付いたが痛みはなかった。その後、髭を剃っている時に偶然右頸部の腫れに気付いた。喫煙30本/日を12年間。体温37.6℃。脈拍76/分、整。血圧122/76mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。体表リンパ節は表面平滑、弾性硬で、右頸部に径2cmを3個、右鎖骨上窩に径3cmを1個、左頸部に径1.5cmを2個、右腋窩に径1.5cmを2個、右鼠径部に径2.5cmを1個触知する。心音と呼吸音とに異常を認めない。左肋骨弓下に脾を3cm触知し、臍下正中部に径5cmの腫瘤を触知する。血液所見:赤血球460万、Hb14.2g/dl、Ht42%、白血球6,700、血小板18万。血清生化学所見:総蛋白6.3g/dl。アルブミン4.2g/dl、尿素窒素20mg/dl、クレアチニン1.3mg/dl。総コレステロール156mg/dl、総ビリルビン1.0mg/dl、AST42IU/l、ALT30IU/l、LDH875IU/l(基準176~353)。免疫学所見:CRP4.2mg/dl、可溶性IL-2受容体2,300U/ml(基準550以下)。右頸部リンパ節生検H-E染色標本を以下に示す。
- 治療開始後に注意すべきことはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A033]←[国試_101]→[101A035]
[★]
- 39歳の男性。朝食前に強いめまいがあり来院した。
- 6か月前から食事前になると動悸とめまいとを感じていた。最近、食欲は亢進気味で肥満の傾向がある。
- 身長165cm、体重70kg。眼瞼結膜に貧血を認めない。血液所見:赤血球445万、Hb14.5g/dl、Ht43%、白血球6,300、血小板21万。
- 血清生化学所見:空腹時血糖46mg/dl、総蛋白7.4g/dl、アルブミン4.5g/dl、AST(GOT)118単位(基準40以下)、ALT(GPT)35単位(基準35以下)。
- 免疫学所見:AFP11ng/ml(基準20以下)、CEA1.6ng/ml(基準5以下)、CA19-9 6U/ml (基準37以下)。腹腔動脈造影写真を以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D030]←[国試_096]→[096D032]
[★]
- 72歳の男性。悪心と意識障害とのために家族に伴われて来院した。6か月前に肺扁平上皮癌と診断され、化学療法を受けた。終了後、外来で観察されていた。2日前から尿量が多くなり、食欲不振と口渇とが出現した。昨日から悪心を伴うようになり、いつも眠っているようになった。意識はやや混濁し、呼びかけに対して容易に反応するが、時と場所に対する失見当識が認められる。脈拍104/分、整。血圧100/64mmHg。ばち指を認める。右下肺にcoarse cracklesを聴取する。心電図でQT時間の短縮を認める。
[正答]
※国試ナビ4※ [098A037]←[国試_098]→[098A039]
[★]
- 30歳の女性。慢性腎不全に対して腎移植を行うことになり、移植前日から免疫抑制薬シクロスポリンが開始された。投与を継続していたところ、移植2日後に心電図でP波が消失し、QRS幅が0.14秒となった。
- 意識は清明。体温37.2℃。脈拍48/分、整。血圧120/80mmHg。血液所見:赤血球312万、Hb9.2g/dl、Ht30%、白血球8,800、血小板15万。血清生化学所見:総蛋白6.5g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素80mg/dl、クレアチニン7.5mg/dl、AST28単位(基準40以下)、ALT26単位(基準35以下)、CK35単位(基準10~40)。
- 可能性の高い電解質異常はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098I022]←[国試_098]→[098I024]
[★]
- 54歳の男性。3日前からの口渇、悪心および嘔吐を訴えて来院した。1か月前から頚部腫瘤に気付いていた。右頚部と両側腋窩とに2×2cm大のリンパ節を数個ずつ触知する。皮膚に隆起性の皮疹を多数認める。血液所見:赤血球347万、Hb 10.2g/dl、白血球9,700、血小板5.8万。末梢血塗抹May-Giemsa染色標本を以下に示す。
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096D033]←[国試_096]→[096D035]
[★]
- 49歳の男性。高カルシウム血症のため入院した。1か月前から食欲不振と全身倦怠感とが強くなったため近医を受診し、血清Ca16.7mg/dl、血清PI.8mg/dlが判明した。入院後、血清生化学検査でPTH1,500pg/ml(基準10~60)、超音波検査で甲状腺右下極に直径1.5cmの腫瘤が描出された。入院後2日目から意識障害が出現し、時間・場所・人に対する見当識が失われている。血清Caは17.5mg/dlこ上昇していた。まず行う治療として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A050]←[国試_097]→[097A052]
[★]
- 59歳の女性。傾眠と背部痛とを主訴に来院した。5年前に左乳癌の摘出術を受けている。身長150cm、体重51kg。血圧150/88mmHg。貧血と黄疸とを認めない。表在リンパ節の腫脹は認めない。血液生化学所見:尿素窒素30.0mg/dl、クレアチニン1.6mg/dl、尿酸 6.0mg/dl、Na 140mEq/l、K 3.6mEq/l、Cl 102mEq/l。腹部超音波検査で腎に異常を認めない。
- 血液生化学検査で必要な項目はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102G051]←[国試_102]→[102G053]
[★]
- 63歳の男性。意識障害のため搬入された。10年前から下腿浮腫を認める。意識は混濁。腹部造影CT(別冊No.25)を別に示す。
- 意識障害の原因として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104I078]←[国試_104]→[104I080]
[★]
- 52歳の男性。今朝から腹痛があり、次第に増悪するので来院した。2年前から狭心症に対してカルシウム拮抗薬とアスピリンとを投与されている。腹部エックス線単純立位写真で腸閉塞症と診断され、緊急手術を受けることとなった。この患者で術中・術後に生じる可能性が最も高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095F022]←[国試_095]→[095F024]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107D008]←[国試_107]→[107D010]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [098G062]←[国試_098]→[098G064]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109I024]←[国試_109]→[109I026]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096H041]←[国試_096]→[096H043]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104E009]←[国試_104]→[104E011]
[★]
- サルコイドーシスで副腎皮質ステロイド薬の全身投与が適応でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099E019]←[国試_099]→[099E021]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105E022]←[国試_105]→[105E024]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [108D002]←[国試_108]→[108D004]
[★]
- 英
- multiple myeloma, MM
- 同
- 形質細胞性骨髄腫、plasma cell myeloma、カーラー病 Kahler disease、カーラー-ボゾーロ症候群 Kahler-Bozzolo syndrome
- 関
- 単クローン性免疫グロブリン血症
- first aid step1 2006 p.219,296
概念
- 免疫グロブリン産生細胞である形質細胞が腫瘍化し、骨髄を主体として増殖する疾患
病因
- 腫瘍細胞の増殖と生存:形質細胞と骨髄間質細胞の産生するIL-6の作用による (APT.77)
- 遺伝子、染色体:t(4;15), which jyxtaposes the IgH locus with fibroblast growth factor receptor 3(FGFR3) gene
疫学
- 罹患率:10万人に対して約2人
- 60歳以上の高齢者に多い。50-60歳でピーク
病変形成&病理
症候
- 全身倦怠、貧血 ← 貧血による症状
- 腰痛
- (進行した例)
- 病的骨折や骨融解(骨融解像)などの骨病変 →腰痛・背部痛、高カルシウム血症
- 腎機能障害:蛋白尿
骨病変 (WCH.2561)
- 骨病変は少なくとも70%の患者に見られ、精度の高い検査方法では殆どの患者で発病変が見いだされる。四肢が冒されるかもしれないが、もっとも頻度が高いのは脊柱である。動きや体重の加重により痛みが増悪するのが特徴である。
- 椎体圧迫骨折や腫瘤により脊椎圧迫症状をきたしうる → 対麻痺、膀胱直腸症状
腰痛 (WCH.2561)
- 5-10%の患者で背中痛を訴える。この痛みは動きと関連しており、咳、くしゃみ、体重の加重によって悪化する。患者は堅苦しく歩き、検査台やx線の台の乗り降りをするのが非常に困難である。
合併症
検査
血算
- 赤血球:中程度の正球性赤血球貧血
- ときに、白血球減少・血小板減少
血液生化学
- 血清総蛋白量:増加
- アルブミン:減少
- γグロブリン(=免疫グロブリン)↑
- 血清蛋白分画Mスパイク出現
- 腫瘍化した形質細胞(骨髄腫細胞)がIgG、IgA、IgD、IgEを産生 (IgMを単クローン性に産生する場合は別の病名がつく。)
血液塗沫標本
- 赤血球の連銭形成:M蛋白(γグロブリンは正に帯電。Mタンパクもおそらく正に帯電)
- 骨髄腫細胞は稀 → 多数なら形質細胞性白血病
免疫グロブリン
骨髄検査
- CD38(+), CD56(+), CD19(-)。(⇔正常な形質細胞:CD56(-), CD19(+)
- 多発性骨髄腫においてCD56(+)は70%、CD56(-)は30%
骨髄穿刺
- 異型性の形質細胞が有核細胞の10%以上認められ,細胞表面抗原検査にて単クローン性形質細胞と同定されることによりなされる。
- →血清中に単クローン性免疫グロブリン↑(=M蛋白)
- 尿中に免疫グロブリンのL鎖(κ,λ鎖)出現
- ベンス・ジョーンズタンパク質
血清蛋白電気泳動
- ガンマグロブリン分画に急峻なピーク(M-peak)
[show details]
尿検査
単純X写真
- 頭部:頭蓋骨の打ち抜き像 punched-out lesion
- 腰部:脊椎の圧迫骨折
[show details]
骨シンチグラム
診断
診断基準(2003年)
- Mタンパク + (高カルシウム血症 + 腎機能障害 + 貧血 + 骨病変) CRAB(calcium, renal insufficiency, anemia, bone lesion)
病期
- 参考3 YN.G-68
- International staging system, ISSが未知いられる。
- 血清アルブミンとβ2ミクログロブリンの値で予後を予測する者である。
- Stage I:アルブミン3.5g/dl以上、β2ミクログロブリン3.5mg/L未満
- Stage II: Stage I ~ Stage III
- Stage III: β2ミクログロブリン5.5以上
- Stage別平均余命:I 62ヶ月、II 44ヶ月、III 29ヶ月
治療
- (参考1)
- 治療方針:初期治療、維持療法、再発・難反応期治療がある。
- 初期治療:
- 化学療法:MP療法と多剤併用療法があるが、後者は奏効率は高いが生存期間延長効果がないため、一般的にはMP療法を行う。化学療法のみで治癒は困難であり、プラトー(臓器障害を認めない状態が3ヶ月以上持続)に達した後に維持療法を行う。
-
- インターフェロン:無事象生存期間、全生存期間の中央値はそれぞれ6ヶ月、7ヶ月の延長効果があったが、副作用を考慮し必ずしも推奨されない。
- プレドニゾロン:50mg投与隔日投与でで有効性が認められたが、副作用の発現リスクが高くなるため日本ではあまり行われていない。
- サリドマイド(認可??):単剤で30%、デキサメタゾンとの併用で40-50%、化学療法との併用では50-60%の奏効率が報告されている。
- ボルテゾミブ(認可??):デキサメタゾンとの併用が推奨されている。副作用は末梢神経障害、血小板減少。
- レナリドマイド(認可??):サリドマイド誘導体。サリドマイドに比べて効果は高く、末梢神経障害、消化器症状、神経症状、DVT等の副作用が軽い。
-
- 口渇・意識障害など明らかな臨床症状:生理食塩水+ビスホスホネート点滴静注。ステロイドやカルシトニンを併用すると有効な場合もある。
- 腎障害:M蛋白による尿細管の障害、高カルシウム血症、高尿酸血症、アミロイドーシス、尿路感染症、骨髄腫細胞浸潤などで腎障害をきたす。輸液、アシドーシス補正、電解質補正、血液透析。腎障害がある場合の化学療法には腎障害の少ないVAD療法()かデキサメタゾン大量療法が推奨される。
- 心臓、腎臓、消化管、舌等の臓器に沈着し、臓器障害をきたす。約30%の症例にみられるが、有償状は10%未満。予後を規定する心機能をモニターするため、心エコーでフォローする。アミロイドーシス自体に対する有効な治療はなく、原疾患の治療を早くすることが必要である。
参考
- http://ganjoho.jp/public/cancer/data/myeloma_therapy.html
- 2. [charged] 多発性骨髄腫の臨床的特徴、検査所見、および診断 - uptodate [1]
- 3. [charged] 多発性骨髄腫における病期分類および予後研究 - uptodate [2]
国試
[★]
- 英
- consciousness disturbance, disturbance of consciousness
- 関
- 意識
分類
時間による分類
- 急性/慢性, 持続性/一過性
PSY.38
- 明識困難状態 < 昏蒙 < 傾眠 < 昏眠 < 昏睡
-
-
意識レベルの分類 覚醒度
- Mayo Clinicの分類
救急 意識障害をみたら
- AIUEOTIPS (also see DIF.96)
|
症候学プリント
|
DIF.95
|
A
|
alcohol
|
アルコール関連
|
accidents, arterial occlusions, arteriosclerosis, aneurysms, autoimmune disorders
|
I
|
insulin
|
インスリン関連(低血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン性高浸透圧性昏睡)
|
inflammatory, intoxication (encephalitis, cerebral abcess, meningitis, alcoholism, opiates, barbiturates)
|
U
|
uremia
|
尿毒症、電解質異常、内分泌異常、肝性脳症
|
undefined disorders (narcolepsy, conversion hysteria)
|
E
|
encephalopathy, endocrinopathy, electrolyte
|
脳症(脳炎、脳血管障害)、てんかん後
|
endocrine disorders(myxedema coma, hyperparathyroidism, diabetic coma, insulin shock), epileptic coma
|
O
|
opiate, other overdose of O2 & CO2
|
薬物中毒
|
organ failure(hepatic coma, respiratory failure, uremia)
|
T
|
trauma, tumor, temparature
|
頭部外傷、脳挫傷、硬膜外血腫、硬膜下血腫
|
|
I
|
infection
|
感染症、髄膜炎
|
P
|
psychogenic
|
精神疾患
|
S
|
syncope, seizure, stroke, shock, senile
|
失神、クモ膜下出血
|
意識障害を来した患者が来た場合:どのような疾患を鑑別に挙げるべきか(IMD.237)
- a. テント上病変(脳幹の圧迫性病変ないし脳ヘルニアをきたす疾患)
- 1) 脳血管障害:脳出血、脳梗塞
- 2) 硬膜下血腫
- 3) 脳腫瘍:原発性、転移性
- 4) 脳膿瘍
- 1) 脳幹出血、脳幹梗塞、小脳出血、小脳梗塞、脳腫痛、多発性硬化症など
- 1) くも膜下出血、中枢神経感染症:髄膜炎、脳炎、 播種性血管内凝固症候群など
-
- 1) ショック:心筋梗塞、大出血など
- 2) 薬物、毒物
- 3) 無酸素ないし低酸素血症
- 4) DIC、全身性感染症:敗血症など
- 5) 肝不全、腎不全、糖尿病性高血糖、重症肝炎、内分泌疾患など
- 6) 低血糖、ビタミンB1欠乏: Wernicke脳症
- 7) 脳振盪、てんかん大発作後
- 8) 酸塩基平衡および電解質異常
- 9) 栄養障害
意識障害をきたす電解質異常
- QB.D-345
- カリウムは静止膜電位にかかわるが、ニューロンの活動にはそれほど関わらないから、意識障害はきたしにくいのかもしれない。
- pHの異常も局所的に干渉されるため意識障害をきたしにくいのかもしれない。
意識障害の評価法
- 英
- evaluation of consciousness disturbance
[★]
- 英
- metabolic alkalosis
- 関
- アルカローシス、酸塩基平衡異常
酸塩基平衡異常とその代償 SP.660
原因
- 低カリウム性代謝性アルカローシス:H+とCl-の喪失:嘔吐、利尿薬など
-
- 細胞内からH+が供給され、K+が細胞内に移動しカリウムが低下する。H+の減少は遠位尿細管におけるHCO3-の排泄を抑制し代謝性アシドーシスが完成する。
- 塩素欠乏は腎臓におけるHCO3-再吸収を刺激(ICU.489)
- アニオンギャップ(AG=[Na+] - [HCO3-] - [Cl-])を保つようにHCO3-が増加したと考えればよいのか。
原因による分類
- ICU.493
- 1. 胃酸の喪失 → H+, Cl-の喪失
- 2. 利尿薬 → 多くの利尿剤でCl-を喪失(see. 利尿薬)
- 3. 循環血液量不足
- 4. 高二酸化炭素症に対する腎性の代償:CO2↑ → 腎で代償的にHCO3-排泄↓ → (おそらく)HCO3-の代替としてCl-が排泄
- 1. ミネラルコルチコイド過剰:尿細管でNa+再吸収、K+排泄亢進。体内では代償的に細胞外へのK+放出、細胞内へのH+取り込みが起こる → 代謝性アルカローシス
- 2. カリウム欠乏
- YN.D-155
- 腎からのH+喪失、重炭酸再吸収の亢進:糖質コルチコイド・鉱質コルチコイド投与、アルドステロン症、クッシング症候群、腎血管性高血圧、バーター症候群、ギテルマン症候群
- 細胞内へのH+移動:
- 消化管からのH+喪失:嘔吐、胃管による消化液吸引、慢性下痢、先天性塩類漏出症
- NaCl喪失に伴う細胞外液の喪失
- その他
- 水・電解質と酸塩基平衡 改訂第2版 p.163
-
- 胃液への排出(嘔吐、胃液吸引)
- 鉱質コルチコイド過剰
- 利尿薬
- 多量のカルベニシリンなどのペニシリン誘導体等よ
- 高カルシウム血症
- 低カリウム血症
- 大量の輸液(大量のクエン酸摂取による)
- NaHCO3の投与
- ミルク・アルカリ症候群
- III. contraction alkalosis
- 出典不明
- 腎でのH+再吸収低下(硫酸イオン、高カルシウム血症、副甲状腺機能低下症、ペニシリン)
症例
- 16歳女性、神経過食症であり、自己誘発性嘔吐を制御できなかった。この女性で予想されるK, HCO3-の状態は?
国試
[★]
- 英
- thiazide diuretic, benzothiazide diuretic
- 同
- サイアザイド系利尿薬
- 関
- 利尿薬、利尿薬の作用部位、sodium-chloride symporter inhibitor。ギテルマン症候群
特徴
- 安価である
- 有効率が高い
- 遠位尿細管前半部に作用するらしい
- Na+とCl-の共輸送体(NCCT)を阻害→Na+,Cl- の再吸収を阻害する
排泄される電解質の変化
- Na↑、K↑、H↑、Ca↓、Mg↑、Cl↑、HCO3↑、H2PO4↑
-
- チアジド系利尿薬の慢性使用により体液量が減少し、近位尿細管での再吸収が亢進するため (GOO.755) ??
- チアジド系利尿薬自体のDCTでの作用による;NCCTを阻害すると細胞内のNa濃度低下、これにより側底膜でのNa+-Ca2+交換系が亢進することでCa2+の再吸収↑ (GOO.755) → つまり管腔側から受動的に引き込まれるということ。
- ループ利尿薬と同様の機序による (GOO.755)
チアジド系利尿薬
効能・効果
禁忌
- 無尿(効果なし)
- 急性腎不全(腎機能悪化):緻密斑より下流にチアジド系利尿薬の作用部位があるため、GFRを増加させたい場合にフィードバックがかかりにくいため?(緻密斑は適正量のNaが排泄されていると検出し、GFRを低下させても、下流では想定より多くのNaを喪失し、hypovolemicになる?)
- 電解質異常
副作用
- 長期間の使用における副作用:低カリウム血症、高尿酸血症、高脂血症、耐糖能低下、光線過敏症、脂質代謝障害。高カルシウム血症(YN.C-62) → (利尿薬参照。ループ利尿薬との違いはカルシウムを排泄するかどうか)
低カリウム血症
- GOO.756
- カリウムは抗高血圧作用があるので、チアジド系利尿薬の利尿作用を打ち消してしまう。
耐糖能の低下
- GOO.756
- 低カリウム血症の関与が示唆されている。K+をチアジド系利尿薬と共に投与すると高血糖が改善されるから。
歴史
- 第二次世界大戦中、衛生状態の悪い兵士の間でシラミを介したバルトネラ属の感染症(塹壕熱、病原体はBartonella quintana)が流行していたが、この治療にサルファ剤が用いられていた。このサルファ剤が有する利尿作用に中臆して開発されたのがチアジド系利尿薬である。1957年にクロロチアジド、1959年に10倍の利尿作用を有するヒドロクロロチアジドが開発された。いずれも光線過敏症が副作用として知られている。日本では光線過敏症がより少ないと言われているトリクロルメチアジド(フルイトラン)がもっぱら用いられている。チアジド系利尿薬は日本では光線性白斑黒皮症と知られており、色素沈着と白斑を伴う。
- 参考:チアジド系利尿剤の副作用の歴史 日本医史学雑誌第58巻第2号(2012)p156
[★]
- 英
- electrolyte abnormality
- 同
- 電解質失調 electrolyte disturbance、電解質平衡異常 electrolyte imbalance
- 関
- 確認テスト 電解質
基準値
|
臨床検査法 提要第32版
|
施設基準値
|
Na+
|
136~145
|
mEq/l
|
138~145
|
mEq/l
|
K+
|
3.4~4.5
|
mEq/l
|
3.5~4.8
|
mEq/l
|
Cl-
|
100~108
|
mEq/l
|
99~107
|
mEq/l
|
HCO3-
|
22~26
|
mEq/l
|
|
|
アニオンギャップ
|
12±4
|
mEq/l
|
|
|
総Ca
|
8.6~10.1
|
mg/dl
|
8.8~10.0
|
mg/dl
|
イオン化Ca
|
1.15~1.30
|
mmol/l
|
|
|
無機リン
|
IP
|
成人
|
2.2~4.1
|
mg/dl
|
2.7~4.5
|
mg/dl
|
小児
|
4.0~7.0
|
Mg
|
1.8~2.3
|
mg/dl
|
1.8~2.4
|
mg/dl
|
心電図との関連
- also see YN.D-149
カリウム
高カリウム血症 YN.D-142
- テント状T、P波消失、QRS延長、サインカーブ、心室細動
- 静止膜電位の上昇(脱分極)
- QRS波延長:(伝導速度の低下)細胞外K濃度が高い→活性化状態にあるNaチャネルが少なく、心筋細胞の脱分極第0相におけるNaの流入速度が低下→活動電位発生の時間が遷延
低カリウム血症 YN.D-141
- 静止膜電位の低下(過分極)
カルシウム
高カルシウム血症
- カルシウムの流入速度が速くなる?
低カルシウム血症
- QT延長(ST延長)、心収縮力低下。QRSの延長なし
- カルシウムの流入速度が遅くなる感じ?
- 低Ca血症+低Mg血症でAPD延長と早期後脱分極(EAD)によるtorsade de pointesのリスクが高まる
マグネシウム
高マグネシウム血症
低マグネシウム血症
[★]
- 英
- malignancy associated hypercalcemia, MAH, MAHC
- 同
- 悪性腫瘍随伴性高カルシウム血症
- 関
- 腫瘍随伴症候群
症状
- 高カルシウム血症に基づく症状
[★]
- 英
- hypercalcemic crisis
- 同
- 高カルシウム血症性クリーゼ
- 関
- 高カルシウム血症
[★]
- 英
- humoral hypercalcemia of malignancy HHM
-humoral hypercalcemia of malignancy
- 同
- HHM
[★]
- 英
- familial hypocalciuric hypercalcemia, FHH
[★]
悪性腫瘍に伴う高カルシウム血症
[★]
- 英
- calcium
- 関
- カルシウムイオン、リン
- calcium channel blockers, calcium channels
基準値
- 血清総Ca 8.6-10.1 mg/dl(臨床検査法提要第32版)
- 8.6-10.2 mg/dL (QB) だいたい 9.4 ± 0.8
- 血清Caイオン 1.15-1.30 mmmol/l(臨床検査法提要第32版), 4.6-5.1 mg/dl
血液ガス
- 血液ガスでは (mEq/l)で出されるが 4倍すれば (mg/dl)に変換できる 原子量が約40ゆえ
溶解度積
リン酸カルシウム
|
366x10-6
|
(30℃)
|
リン酸カルシウム
|
0.35x10-6
|
(38℃)
|
炭酸カルシウム
|
0.0087x10-6
|
(25℃)
|
酒石酸カルシウム
|
0.0077x10-6
|
(25℃)
|
シュウ酸カルシウム
|
0.00257x10-6
|
(25℃)
|
オレイン酸カルシウム
|
0.000291x10-6
|
(25℃)
|
パルチミン酸カルシウム
|
0.000000161x10-6
|
(23℃)
|
カルシウムの吸収(SP.744)
- +健康成人の1日あたりの食物Ca摂取0.6g
- +消化管分泌物と脱落上皮細胞のCa 0.6g
- -吸収されるCa 0.7g
- -そのまま排泄 0.5g
- 正味吸収されるCa 0.1g
カルシウムの吸収部位
カルシウム代謝の調節機構
副甲状腺ホルモン
- 1. 破骨細胞に作用してCa,Pが血中へ。
- 2. 腎の遠位尿細管に作用してCa再吸収の亢進、近位尿細管でのP再吸収の抑制。
- 3. 近位尿細管に作用して酵素を活性化し、1,25水酸化ビタミンD3の産生亢進。
1,25(OH)2D3
- 1. 空腸からのCaとPの吸収。
- 2. 骨形成促進。
- 3. 遠位尿細管でのCaとPの再吸収促進。
- 4. 副甲状腺ホルモンの合成を抑制
尿細管における部位別カルシウム輸送
- 糸球体で濾過されるのはイオン化Caと陰イオン複合型Ca(蛋白結合型Caは濾過されない)
- 濾過されたカルシウムのうち95%が再吸収される。
- 近位尿細管:60-70%
- ヘンレループ:20-25%
- 遠位尿細管、集合管:10-15%
近位尿細管
- Na+依存的に再吸収。受動輸送80%、能動輸送20%
- 基底側のCa2+ ATPase, 3Na+-Ca2+逆輸送系
ヘンレループ
- 太いヘンレループ上行脚で
- 受動輸送:管腔内電位が正であるため
遠位尿細管~集合管
- 糸球体濾過量の10-15%が再吸収されている → 量としては少ないが能動的に吸収が行われる部位。
- 能動輸送:管腔内電位が負であるため。
- PTH、カルシトニンに調節されている
- チアジド系利尿薬により細胞内Na↓となるとCa再吸収↑となる!!!! ← ループ利尿薬と違う点。よって高カルシウム血症が起こることがある。
接合尿細管
- 管腔側:Ca2+チャネル/非選択的カチオンチャネル
- 基底側:Na+-K+ ATPase, 3Na+-Ca2+交換系
尿細管におけるカルシウムの輸送の調節 SP.796
- Ca2+の尿中排泄量はNa+の尿中排泄量と比例。循環血漿量が増加するとCa2+排泄も増加
- Ca2+の尿中排泄量は血漿Ca2+濃度と比例する。
血清カルシウム濃度
- 血液中でCa2+は調節を受けて一定に保たれるが、蛋白と結合しているCaはアルブミンの量によって増減する。
- 血清アルブミン濃度 4 g/dl、血清Ca濃度 9mg/dl。補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- 血清アルブミン濃度 2 g/dl、血清Ca濃度 7mg/dl。 → 大変!!低カルシウム血症!! → ホント? ってことになる。アルブミンの量が減ってAlb-Caが減っただけで生理的に重要なCa2+は保たれているのではないか。 → こんな時に補正Ca濃度を用いるのである
- →補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- つまり、低アルブミン血症ではCa2+は保たれているにもかかわらず、血清Caは低値となりそのままでは評価できないために補正を行う。
- 補正Ca濃度(mg/dl)=Ca実測値(mg/dl)+(4-血清アルブミン濃度(g/dl)) ・・・Payneの式
- アルブミンのpIは7より小さく、アシデミアでは負に帯電しているアルブミンが減少、アルカレミアでは負に帯電しているアルブミンが増加する。すなわち、pHが下がるとアルブミンとくっつなくなったCaが増加するので、血液pH0.1の低下につきfreeイオン化Ca(Ca2+)は0.12mg/dl増加する???????????
循環血液量
血清Ca濃度
- 血清Ca濃度↑→PTH↓
- 生理活性のあるのはイオン化Ca(Ca2+)のみ
- 血清Ca濃度=イオン化Ca(45%) + 蛋白結合型Ca(40%) + 陰イオン複合型Ca(15%)
- イオン化Caは一定に保たれる
pH
- アシドーシス :pHが小さくなると負電荷減少:蛋白のCa結合能↓、イオン化Ca↑
- アルカローシス:pHが大きくなると負電荷増加:蛋白Caの結合能↑、イオン化Ca↓→Ca欠乏(低カルシウム血症)
低蛋白血症
- 低蛋白血症の際、蛋白結合型Caは減少するが、イオン化Ca一定。
尿中カルシウム
血中カルシウムと尿中カルシウム
- 薬剤などの影響がなければ、血中カルシウムと尿中カルシウムは相関がありそうである → 副甲状腺ホルモン
血清カルシウムと心電図
元素
- 金属元素。周期表第2族アルカリ土類金属元素
- 原子番号:20
- 元素記号:Ca
- 原子量 40.078 g/mol
臨床関連
参考
- http://www.orth.or.jp/osteoporose/caseizai.html
[★]
- 英
- sis, pathy