出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/03/29 12:30:03」(JST)
イレウス(ileus)とは、腸管内容の肛門側への移動が障害される病態。腸閉塞(ちょうへいそく、intestinal obstruction)とも呼ばれる。急性腹症を起こす疾患のひとつである。
腸閉塞のデータ | |
ICD-10 | K56 |
統計 | 出典: |
世界の患者数 | |
日本の患者数 | |
イレウス学会 | |
日本 | 日本消化器外科学会 日本腹部救急医学会 |
世界 | 国際外科学会 |
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腸管が閉塞すると、閉塞部位の口側はガスや腸液により拡張し、静脈還流が障害される。その結果腸管壁が浮腫を起こし、腸管腔へ水やナトリウムが漏出する。そしてさらに腸管内圧が上昇し、動脈血流の障害も起こり、腸管の壊死・穿孔を引き起こす。また、水やナトリウムの漏出によるショックも起こる。
閉塞性イレウスは腫瘍や胆石、回虫などの異物による腸管内の閉塞や、卵巣癌などによる外部からの圧迫、クローン病などの炎症、癒着・屈曲等の要因で発症する。絞扼性イレウスは腸管および腸間膜の絞扼やヘルニアの嵌頓、腸重積症、腸軸捻転症などにより、腸管壁の血行障害も起こしたもので急速に症状が進行する。
腹部手術後などの腸管の運動麻痺、腹膜炎、低カリウム血症や鉛中毒による腸管の痙攣が原因となる。
腹部膨満感、悪心、嘔吐、排便・排ガスの途絶、機能性イレウスでは腹痛も認められ、単純性イレウスでは間欠的な、複雑性では持続的な痛みを伴う。また、機械性イレウスでは腸音が亢進し、特有の金属音(カラコロやペチペチなど金属のような音)が聴取される。麻痺性イレウスでは腸音は低下する。
嘔吐による脱水症状、絞扼性イレウスでは発熱、白血球数増加、ショックが見られる。
腹痛の種類、嘔吐の有無、排便・排ガスの消失、X線検査により単純性か、複雑性か、麻痺性かを診断する。
なお、腹部手術歴がある場合は癒着による絞扼性イレウスの可能性が高く、腹部手術歴のある患者が急性腹症を起こした場合はそれを第一に考える。
単純性イレウスや麻痺性イレウスでは保存的治療が第一選択となる。軽度であれば絶食や輸液のみで軽快するが、腸管拡張が高度であれば経鼻胃管で逆流した腸内容を吸引・減圧したり、イレウス管で腸閉塞部を拡張したりする。また、麻痺性イレウスでは蠕動亢進薬、痙攣性イレウスでは鎮痙薬が使用されることがある。
一方、癒着性イレウスや頻回にイレウスを繰り返す症例、保存的治療が無効である場合等では手術適応となる。また、原疾患が手術によって治療できる場合は、原疾患の治療を行う。また、複雑性イレウスでは緊急手術の適応となる。直ちに絞扼を解除して血流を回復させ、その後壊死した腸管を切除する。
漢方薬の大建中湯にはイレウスを早期に回復させ予防にも効果があり、イレウスを起こしやすい大腸手術後の主治療薬として活用が試みられている [1]。
適切な治療を行えば回復するが、放置すれば徐々に重篤化し、敗血症やショックを引き起こす。複雑性イレウスは放置すれば急激に進行し、数日で敗血症性ショックに進行し死に至る。
消化器外科(腹部外科)、消化器内科、救急診療部
【イレウス】用語解説 - 寺下医学事務所監修『標準治療(日本医療企画)』 - 全辞書一括検索JLogos無料版
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水 | Na | 体液 | 摂取と排出はどうなのか? | 脱水所見 | ||||
IN →○ |
OUT ○→ | |||||||
希釈性低ナトリウム血症 | 過剰 | - | 多い | [3] | ⇒○→ | [3] | →○→ | 無し |
心因性多飲症、低張輸液過多 | SIADH | |||||||
ナトリウム欠乏性低ナトリウム血症 | - | 過少 | 少ない | →○→ | [2] | →○⇒ | 有り | |
摂食不能 | 腎性(Addison病、塩類喪失性腎炎、利尿薬の使用) 腎外性(下痢・嘔吐、熱傷、腸閉塞) | |||||||
大過剰 | 過剰 | [1] | 無し | |||||
うっ血性心不全 肝硬変 ネフローゼ |
低ナトリウム血症のメカニズム | 障害の原因 | 障害の例 | |
effective osmole(Na, K)の欠乏 | 長期間のの下痢・嘔吐・絶食 | ||
浸透圧利尿 | |||
水分過剰 | 口渇感の異常 (多飲) |
尿自由水排泄能力を超えた量の飲水 | 心因性多飲 |
マラソン中の多量飲水 | |||
尿希釈能の低下 (水排泄障害) |
尿細管での 自由水生成障害 |
有効循環血漿量低下 (心不全、肝不全、脱水) | |
極度の低栄養・偏食 | |||
腎障害 | |||
不適切な抗利尿ホルモン作用 | SIADH | ||
有効循環血漿量低下 | |||
甲状腺機能低下 | |||
糖質コルチコイド欠乏 |
脱水 | 水 | Na | 体液 | 病態生理 | 尿中Na | 尿浸透圧 | ADH | 治療 | 原疾患 | ||||
[1] | なし | hyponatremia with hypervolemia |
大過剰 | 過剰 | 細胞外液量増加 | (>20mEq/L) | 分泌される | ・ループ利尿薬+水,Na制限 ・(不十分)サイアザイド追加 ・低Kや体腔液貯留が強い場合スピロノラクトン追加 |
末期腎不全 | ||||
(<20mEq/L) | うっ血性心不全、肝硬変 | ||||||||||||
[2] | あり | hyponatremia with hypovolemia |
ナトリウム喪失型 ナトリウム欠乏性低ナトリウム血症 |
- | 過少 | 細胞外液量減少 | Na OUT →○⇒ |
↑ 80mEq/L (>20mEq/L) |
・Naの補給+等張液輸液(生食,乳酸リンゲル) ・Na排泄率をモニターしIN>OUTを確認 |
腎性:利尿薬の過剰投与、Addison病、尿細管傷害 | |||
↓ 20mEq/L (<20mEq/L) |
腎外性:消化管からの喪失(下痢、嘔吐、腸閉塞)、熱傷、 | ||||||||||||
Na IN →○→ |
↓ 20mEq/L | 経口摂取不能 | |||||||||||
[3] | なし | hyponatremia with normovolemia |
水過剰型 希釈性低ナトリウム血症 |
過剰 | - | 細胞外液量正常 | 水 OUT →○→ |
→ 40mEq/L | ADH excess >320 mOsm/kg (>100mOsm/L) |
分泌抑制不可能 | ・水制限 ・ループ利尿薬+生理食塩水 |
SIADHなど | |
水IN ⇒○→ |
↓ 20mEq/L | <100 mOsm/kg (<100mOsm/L) |
分泌抑制を上回るwater intake | 低張輸液過多、水中毒(心因性多飲) | |||||||||
[4] | 偽性低Na血症 | 高浸透圧性 | 高血糖、マンニトール投与 | ||||||||||
正浸透圧性 | 脂質異常症(高脂血症)、高蛋白血症 |
中枢性刺激 | 化学受容器引金帯刺激 | 薬物 | アポモルヒネ、モルヒネ、ジギタリス、抗菌薬、抗癌薬、降圧薬、アミノフイリン、コルヒチン、アルコール |
毒物 | 重金属、ガス | ||
放射線 | 各種癌治療後 | ||
感染症 | 細菌毒素 | ||
内分泌疾患 | 肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス/高血糖高浸透圧症候群、尿毒症、妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群 | ||
代謝疾患 | 甲状腺クリーゼ、副腎不全、Addison病 | ||
直接刺激 | 脳圧亢進 | 頭部外傷、脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜炎、脳への放射線療法後 | |
脳循環障害 | ショック、低酸素脳症、脳梗塞、片頭痛、脳炎、髄膜炎 | ||
上位中枢刺激 | 神経性食思不振症、不快感、てんかん、ヒステリー、抑うつ状態、うつ病、過度の嫌悪感、不快感、拘禁反応による恐怖、ストレス、視覚・嗅覚・味覚的刺激 | ||
末梢性刺激 | 消化管疾患 | 舌咽頭疾患 | アデノイド、咽頭炎 |
食道疾患 | 胃食道逆流症、食道裂孔ヘルニア、食道癌 | ||
胃腸疾患 | 急性胃炎、急性胃十二指腸粘膜病変、急性腸炎、急性虫垂炎、消化性潰瘍、食中毒、消化管腫瘍、寄生虫、食中毒、Mallory-Weiss症候群 | ||
消化管通過障害 | 腸閉塞、胃幽門部狭窄、輸入脚症候群 | ||
腹膜疾患 | 腹膜炎 | ||
胆膵疾患 | 急性胆嚢炎、急性胆管炎、急性膵炎、膵癌、胆管癌 | ||
肝疾患 | 急性肝炎 | ||
循環器疾患 | うっ血性心不全、狭心症、急性心筋梗塞 | ||
泌尿器科疾患 | 尿路結石、腎結石、急性腎炎、腎盂腎炎、腎不全 | ||
耳鼻咽喉科疾患 | 中耳炎、Meniere病、乗り物酔い | ||
眼科疾患 | 緑内障 | ||
呼吸器科疾患 | 肺結核、胸膜炎、肺癌、咳嗽発作 | ||
婦人科疾患 | 子宮付属器炎、月経前症候群、更年期障害 | ||
脊髄疾患 | 脊髄癆、多発性硬化症 | ||
膠原病 | 結節性多発動脈炎、強皮症、側頭動脈炎 |
新生児 | 乳児 | 幼児~学童 | |
消化器疾患以外で見・落とさないよう注意する疾患 | 敗血症・髄膜炎・水頭症・脳奇形・尿路感染症 | 髄膜炎・脳炎・脳症・虐待児・尿路感染症・呼吸器感染症・心疾患・薬物中毒・誤嚥 | 脳炎・脳症・脳腫瘍・肺炎・中耳炎・頭部外傷・薬物中毒・心筋炎・不整脈 |
よくある消化器疾患 | 溢乳・空気嚥下・哺乳過誤・初期嘔吐・胃食道逆流現象・胃腸軸捻転・腸管感染症・壊死性腸炎 | 食事過誤・空気嚥下・便秘・腸管感染症・幽門狭窄症・腸重積症・胃食道逆流現象・胃長軸捻転・食事アレルギー | 腸管感染症・急性虫垂炎・肝・腹部外傷・肝炎・胆嚢炎・膵炎・腹部外傷・食事アレルギー・好酸球性胃腸症 |
主な代謝性疾患 | 先天性副腎過形成・ガラク卜ース血症 | 先天性副腎過形成・Reye症候群 | アセトン血性嘔吐症・ケトン性低血糖症・糖尿病性ケトアシドーシス・Reye症候群 |
その他 | 起立性調節障害・神経性食思不振症 | ||
外科的疾患 | 食道閉鎖・狭窄症・胃軸捻転・十二指腸閉鎖・狭窄症・腸回転異常・捻転・小腸閉鎖症・Hirschsprung病・胎便性イレウス・稀に腸重積・肥厚性幽門狭窄・特発性腸管偽性閉鎖症 | 肥厚性幽門狭窄症・腸重積・腸回転異常・捻転・Hirschsprung病・虫垂炎 | 虫垂炎・腸重積・腸回転異常・捻転・上腸間膜動脈症候群・腫瘍・嚢胞 |
膵型アミラーゼ活性の異常 | 活性増加 | 急性膵炎 |
慢性膵炎増悪 | ||
膵癌、膵嚢腫、膵仮性嚢胞などでの随伴性膵炎 | ||
胆道系の炎症性疾患 | ||
ERCP後、PS試験後 | ||
ステロイドホルモン投与後 | ||
唾液腺型アミラーゼ活性低下による相対的な膵型優位 | ||
活性低下 | 慢性膵炎 | |
膵癌(末期) | ||
膵切除後 | ||
唾液腺型アミラーゼ活性の異常 | 活性増加 | 流行性耳下腺炎 |
術後、外傷後、ショック後、熱傷後 | ||
糖尿病ケトアシドーシス | ||
人工心肺使用後 | ||
アミラーゼ産生腫瘍(肺癌、卵巣癌など) | ||
肺炎、肺結核 | ||
腎疾患 | ||
唾液腺造影後 | ||
膵型アミラーゼ活性低下による相対的な唾液腺型優位 | ||
活性低下 | 放射線治療後(下顎部、頚部など) | |
シェーグレン症候群 | ||
膵型・唾液腺型共に活性増加 | 腎不全 | |
肝硬変、慢性肝炎の一部 | ||
膵型・唾液腺型に分類不能の活性増加 | マクロアミラーゼ血症 | |
アミラーゼ産生腫瘍の一部 |
回腸結腸総腸間膜症 mesenterium ileocolicum commune
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