- 英
- calcium carbonate
- 商
- 沈降炭酸カルシウム、炭カル
- 関
- 制酸剤
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%82%AD%E9%85%B8%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0
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炭酸カルシウム |
|
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
471-34-1 |
ChemSpider |
9708 |
特性 |
化学式 |
CaCO3 |
モル質量 |
100.087 g/mol |
外観 |
白色の粉末 |
密度 |
2.711 g/cm3(方解石)
2.93 g/cm3(アラレ石) |
融点 |
825 °C(分解)
1339 °C(102.5気圧)
|
沸点 |
分解
|
水への溶解度 |
0.00015 mol/L (25 °C) |
構造 |
結晶構造 |
三方晶系(方解石)
斜方晶系(霰石) |
分子の形 |
直線形 |
熱化学 |
標準生成熱 ΔfHo |
−1206.92 kJ mol−1(方解石)
−1207.13 kJ mol−1(霰石)[1] |
標準モルエントロピー So |
92.9 J mol−1K−1(方解石)
88.7 J mol−1K−1(霰石) |
標準定圧モル比熱, Cpo |
81.88 J mol−1K−1(方解石)
81.25 J mol−1K−1(霰石) |
危険性 |
主な危険性 |
無し |
NFPA 704 |
|
Rフレーズ |
R36, R37, R38 |
Sフレーズ |
S26, S36 |
引火点 |
無し |
関連する物質 |
関連物質 |
炭酸ベリリウム
炭酸マグネシウム
炭酸ストロンチウム
炭酸バリウム |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
炭酸カルシウム(たんさんカルシウム、calcium carbonate)は、組成式 CaCO3 で表されるカルシウムの炭酸塩である。
貝殻やサンゴの骨格、鶏卵の殻、石灰岩、方解石、霰石、大理石、鍾乳石、白亜(チョーク)の主成分で、貝殻を焼いて作る顔料は胡粉と呼ばれる。土壌ではイタリアのテラロッサに含まれる。
目次
- 1 製法
- 2 利用
- 3 性質
- 4 結晶構造
- 5 参考文献
- 6 関連項目
製法
実験室では、水酸化カルシウムに二酸化炭素を反応させて合成する(石灰水による二酸化炭素の検出原理)。
- Ca(OH)2 + CO2 → CaCO3 + H2O
塩化カルシウムなど可溶性カルシウム塩水溶液に少量のさらし粉を加え不純物の鉄、マンガンを酸化させたあと水酸化カルシウムを加え、不純物を濾別し、炭酸アンモニウムを加えて沈殿を得る[2]。
- Ca2+ (aq) + CO32− (aq) → CaCO3
産業的には「タンカル」と通称され、粉砕した石灰岩を粒度分級した普通品、重質品がほとんどを占めるが、化学反応で微細な結晶を析出させた沈降炭酸カルシウム(薬局方)、軽質炭酸カルシウムも用いられている。粒度をコロイド領域でそろえるなどしたものが、医薬品や食品添加物、填料などに用いられている。
製造法の反応式は実験室と同じで、日本では炭酸ガス反応法(主に生石灰用焼成炉からの)、欧米では可溶性塩反応法によって生産されている。
利用
錠剤の基材、チョーク、窯業、農業、製紙などに用いられる。ゴムや充填剤の添加剤としても使われ、研磨作用を利用し消しゴムや練り歯磨きにも入っている。化粧品原料、食品添加物としても使用が認められている。医薬品としては、胃酸過多に対して制酸剤として使われている。
性質
無色結晶または白色粉末であり、中性の水にほとんど溶けないが、塩酸などの強酸と反応して、二酸化炭素を放出する。
- CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2
25 °C における溶解度積は以下の通りであり、炭酸バリウムよりやや小さく炭酸ストロンチウムよりやや大きい[3]。
- CaCO3 Ca2+(aq) + CO32−(aq), Ksp = 3.6 × 10−9
加熱することにより酸化カルシウムと二酸化炭素に分解する。二酸化炭素の解離圧が1気圧に達するのは 898 °C である。
- CaCO3 → CaO + CO2
水酸化カルシウム水溶液(石灰水)に二酸化炭素を吹き込むと炭酸カルシウムの沈殿が生じる。さらに過剰の二酸化炭素を吹き込むと炭酸水素カルシウム Ca(HCO3)2 となり水に溶解する。
- CaCO3 + CO2 + H2O → Ca(HCO3)2
多少吸い込んでも、肺の中に蓄積しない。血液の中には二酸化炭素があり炭酸カルシウムは炭酸水素カルシウムに変化して溶解するからである。
結晶構造
固体結晶には菱面体、三方晶系のもの(方解石として産出)および斜方晶系(霰石として産出)の多形が存在し、常温常圧では三方晶系の方がやや安定である。他に、六方晶系のヴァテライトが知られているが非常に不安定。三方晶系の格子定数は a = 6.36 Å、α = 46.4°であり、斜方晶系では a = 7.92 Å、b = 5.72 Å、c = 4.94 Å である[4]。
屈折率は三方晶系では通常光線に対して 1.6585、異常光線に対して 1.4864 の複屈折を示す。斜方晶系では 1.681(a軸に平行)、1.685(b軸に平行)、1.530(c軸に平行)と3軸不等である。
室温で塩基性の水溶液から炭酸カルシウムを沈殿させると三方晶系の方解石結晶が生じるが、溶液を煮沸させながら沈殿させると斜方晶系のアラゴナイトが析出する。しかしこの沈殿は放置により三方晶系に変化しやすい。また、中性付近の溶液からだとヴァテライトが最初は沈殿する。
また、天然に産出する含水塩としてモノハイドロカルサイト CaCO3·H2O およびイカ石 CaCO3·6H2O が知られている。
参考文献
- ^ Wagman, D. D.; Evans, W. H.; Parker, V. B.; Schumm, R. H.; Halow, I.; Bailey, S. M.; Churney, K. L.; Nuttal, R. I.; Churney, K. L.; Nuttal, R. I. (1982). "The NBS tables of chemical thermodynamics properties". Journal of Physical Chemistry Ref. Data 11 Suppl. 2.
- ^ 『新実験化学講座 無機化合物の合成II』 日本化学会編、丸善、1977年。
- ^ 中原昭次、小森田精子、中尾安男、鈴木晋一郎 『無機化学序説』 化学同人、1985年。ISBN 978-4759801187。
- ^ 『化学大辞典』 共立出版、1993年。
関連項目
|
ウィキメディア・コモンズには、炭酸カルシウムに関連するカテゴリがあります。 |
- 鉱物 - 方解石、霰石
- 岩石 - 石灰岩、結晶質石灰岩(大理石)
- 鉱石 - 石灰石
カルシウムの化合物 |
|
二元化合物 |
Ca3As2 · CaB6 · CaBr2 · CaC2 · CaCl · CaCl2 · CaF2 · CaH2 · CaI2 · Ca(N3)2 · Ca3N2 · CaO · CaO2 · CaP · Ca3P2 · CaS · CaSe · CaSi · CaSi2 · CaTe
|
|
三元化合物 |
Ca(AlO2)2 · Ca3(AsO4)2 · Ca3(BO3)2 · Ca(BrO3)2 · Ca(ClO)2 · Ca(ClO3)2 · Ca(ClO4)2 · CaCN2 · Ca(CN)2 · CaCO3 · CaC2O4 · CaCrO4 · CaCr2O7 · Ca(IO3)2 · Ca(MnO4)2 · Ca(NO2)2 · Ca(NO3)2 · Ca(OH)2 · Ca2P2O7 · Ca3(PO4)2 · CaSeO4 · CaSiO3 · CaSO3 · CaSO4 · CaTiO3
|
|
四元・五元化合物 |
Ca(CH3COO)2 · Ca(HCO3)2 · Ca(HCOO)2 · CaHPO4 · Ca(H2PO4)2 · Ca(HSO3)2 · Ca(HSO4)2 · Ca(OCN)2 · Ca(SCN)2 · CaCl(OH)2 ·
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 温州ミカンにおける炭酸カルシウム微粉末剤を用いたチャノキイロアザミウマ防除技術
- 炭酸カルシウム施用か国頭マージの水分散土壌コロイドに与える影響
Related Links
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- 株式会社カルファインは、高品質な石灰石の採掘・製造・販売を行っています。金平工場(広島県神石郡)と山宝工場(岡山県高梁市)の合計推定鉱量は約100億トン強(一万年分)。最高品質のCaCO3=炭酸カルシウムをご提供します。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ビオフェルミン錠剤
組成
組成
- 1錠中にビフィズス菌12mgを含有する。
*添加物として、トウモロコシデンプン、デキストリン、沈降炭酸カルシウム、乳糖水和物、アメ粉、タルク、白糖、ステアリン酸マグネシウムを含有する。
効能または効果
- 腸内菌叢の異常による諸症状の改善
- 通常、成人1日3〜6錠を3回に分割経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。
薬効薬理
- 本剤のビフィズス菌をレクチン誘発下痢モデルに投与することにより、糞便菌叢の変動を抑制し、下痢を抑制する傾向が認められた(ラット)1)。
- 本剤のビフィズス菌を低繊維食給餌便秘モデルに投与することにより、糞便菌叢の変動および糞便含水率の低下を抑制し、糞便量の増加、消化管内容物のpH低下が認められた(ラット)2)。
作用機序
- ビフィズス菌は腸内で増殖し、乳酸と酢酸を産生して腸内菌叢の正常化をはかり、整腸作用をあらわす。
有効成分に関する理化学的知見
ビフィズス菌(Bifidobacterium)
菌種
性状
- 白色〜わずかに黄褐色の粉末で、においはないか、又はわずかに特異なにおいがある。
★リンクテーブル★
[★]
- 51歳の男性。左の下腹部から側腹部にかけての痛みを主訴に来院した。昨日、仕事中に左背部に軽度の痛みが出現したが30分ほどで軽快した。本日午前8時ころ、出勤途中の電車の中で、突然、左の下腹部から側腹部にかけての強い痛みが出現したため受診した。来院の途中に悪心と嘔吐があった。意識は清明。体温 36.3℃。血圧 158/94mmHg。顔色は蒼白で冷汗を認める。腹部に反跳痛を認めない。左の肋骨脊柱角に叩打痛を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球 15~30/1視野、白血球1~4/1視野。血液所見:赤血球 460万、Hb 14.6g/dL、Ht 46%、白血球 8,300、血小板 22万。血液生化学所見:総蛋白 7.1g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 1.1mg/dL、AST 35IU/L、ALT 32IU/L、LD 186IU/L(基準 176~353)、γ-GTP45 IU/L(基準8~50)、尿素窒素 23mg/dL、クレアチニン 1.2mg/dL、尿酸 8.6mg/dL、血糖 92mg/dL、Na 136mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 109mEq/L、Ca 9.2mg/dL。CRP 1.2mg/dL。腹部超音波検査で左水腎症、左腎結石および左尿管結石を認める。腹部単純エックス線写真(別冊No. 11A)と腹部単純CT(別冊No. 11B)とを別に示す。
- この患者で予測される結石成分はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110D034]←[国試_110]→[110D036]
[★]
- 次の文を読み、25~27の問いに答えよ。
- 51歳の男性。昨夜から呼吸困難がひどくなり来院した。
- 現病歴 : 32歳時の会社の健康診断で蛋白尿と血尿とを指摘されたが、症状がなく放置していた。42歳ころから高血圧を指摘され、時々降圧薬を服用していた。45歳ころから夜間尿を認めるようになった。5日前から全身倦怠感、食欲不振、悪心および頭痛が出現した。
- 現症 : 意識は清明。身長171cm、体重79kg。体温37.1℃。脈拍98/分、整。血圧166/92mmHg、眼瞼結膜は貧血様である。胸部で心尖拍動を鎖骨中線から4cm外側に触知し、両側下肺野にcoarse crackles(水泡音)を聴取する。肝を右肋骨弓下に1.5cm触知する。腹水を認める。下腿に著明な浮腫を認める。検査所見:尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血2+。血液所見:赤血球230万、Hb6.9g/dl、Ht21%、白血球7,000、血小板20万。血清生化学所見:総蛋白4.6g/dl、アルブミン2.1g/dl、尿素窒素125mg/dl、クレアチニン12.8mg/dl、Na129mEq/l、K6.6mEq/l、Cl100mEq/l、Ca7.3mg/dl、P6.0mg/dl、HCO3 -12mEq/l
[正答]
※国試ナビ4※ [096C026]←[国試_096]→[096C028]
[★]
- 21歳の男性。4日前に交通事故のため搬入された。両側大腿骨骨折と筋肉の挫滅とを認めた。2日前から尿量が減少しフロセミド1,000mgを静注したが、尿量の増加を認めなかった。昨夜から仰臥位での息苦しさが出現した。意識は清明。体温37.2℃。呼吸数24/分。脈拍96/分。血圧160/78 mmHg。胸部両側下部にcoarse crackles を聴取する。血液所見:赤血球 244万、Hb 6.7g/dl、Ht 20%。血液生化学所見:総蛋白5.0g/dl、アルブミン2.6mg/dl、尿素窒素 105 mg/dl、クレアチニン6.9mg/dl、Na 132mEq/l、K 7.0mEq/l、Cl100mEq/l、 Ca 8.4 mg/dl、 P 2.0mg/dl、動脈血ガス分析(自発呼吸、room air):pH 7.36、 PaO2 96Torr、PaCO2 34Torr、 HCO3- 18mEq/l。
- 直ちに行うのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [103E040]←[国試_103]→[103E042]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [099E054]←[国試_099]→[099E056]
[★]
- 英
- urinary sediment
- 関
- 尿沈渣検査 urinary sediment examination、尿沈液
概念
- 尿中に含まれる各種の細胞、円柱、結晶、微生物などの有形成分。
- 尿沈渣の検査は腎・尿路系疾患の診断、進行度、予後の推定を目的に行う。
検体
- 検体は早朝起床時尿(早朝第一尿)の中間尿約10mL。早朝第一尿では円柱がみられやすい
- 検体は採尿後1時間以内になるべく早く観察 → 室温2時間以上放置すると細菌が増殖し、アルカリ化が進む。尿路感染が分からなくなるうえ、円柱や細胞が崩壊して観察できない。
- 古い尿やアルカリ性尿では血球、円柱、上皮細胞の崩壊が強く正しい判定ができないことがある。
- 女性の場合、月経時における血液の混入、腟分泌物の混入(中間尿を採るようにしてもらう)
方法
- 1. 新鮮尿10mLを尿沈渣用試験管にとり500Gで5分間遠心する
- 2. 上清を捨て残液約0.2mLとする
- 3. そのまま、あるいは尿沈渣用染色液を加えて混和する
- 4. 1滴(15μl)をスライドガラスに載せカバーガラスをかけ鏡検する
観察方法
- LPF(low power field 、弱拡大、100倍):3.14 mm2、7.27ul
- HPF(high power field、強拡大、400倍):0.196 mm2、0.45ul
病的所見
- 赤血球と白血球はそれぞれ5/HPF以上、硝子円柱は1/HPF以上、上皮細胞性円柱、顆粒円柱、蝋様円柱、脂肪円柱、赤血球円柱、白血球円柱の各種円柱類、異常結晶(ビリルビン、チロジン、ロイシン、コレステロール、シスチン、2,8-ジヒドロキシアデニンなど)、細菌、真菌、原虫、虫卵、腫瘍細胞の出現
判断基準
赤血球
|
≧5個/HPF
|
白血球
|
≧5個/HPF
|
上皮細胞(正常)
|
扁平上皮細胞をのぞく全て(移行上皮、尿細管上皮、円柱上皮)
|
上皮細胞(異常)
|
すべて(卵円系脂肪体、多核巨細胞、封入体細胞)
|
異型細胞
|
癌細胞
|
大食細胞
|
≧1個/HPF
|
円柱
|
<1個/HPFの硝子円柱をのぞく全て
|
粘液系
|
≧1+
|
結晶
|
病的結晶(シスチン、チロシン、ロイシン、ビリルビン、コレステロール、DHA結晶)。正常結晶(尿酸結晶)で≧2+の時
|
細菌
|
≧1+(>/HPFの桿菌)
|
真菌
|
すべて
|
原虫
|
すべて
|
寄生虫
|
すべて
|
OLM.53
尿沈渣成分の基準値
|
|
強拡大視野あたり(/HPF)
|
赤血球数
|
1/4-7≧
|
白血球数
|
1-2/4-7≧
|
上皮細胞数
|
1/10≧
|
円柱
|
1/20≧
|
結晶 (LAB.217)
- アルカリ性尿で見られる血症はウレアーゼ産生菌のプロテウスやクレブシエラなどによる尿路感染症でみられるが、正常尿でも見られうる。
病的意義のある結晶
急性腎不全を背景とする場合
円柱 (LAB.214)
- 硝子円柱は正常でも見られるので病的意義はない。尿量の少ないとき、運動後や利尿薬の使用時にみられる。
[★]
- 英
- hypocalcemia
- 同
- 低Ca血症
- 関
- カルシウム
病態生理
- 低カルシウム血症 → 2価陽イオンによる膜安定効果が消失(遮蔽効果↓、結合効果↓) → 細胞膜の脱分極傾向 (SP.99)
病因
- 原発性副甲状腺機能低下症(PTHの分泌低下)DiGeorge症候群、自己免疫性
- 副甲状腺ホルモン受容体異常
- 高リン血症
- ビタミンDの欠乏:腎不全→活性型にする酵素は腎臓にあるので活性化されない。
新生児
- QB.O-84
心電図パーフェクトマニュアル.221
症候
急性症状
- 参考1
神経・筋の易刺激性(テタニー)
- 感覚異常(口・四肢)、筋痙攣、手・足の攣縮(carpopedal spasm)、トルソー徴候(手の症状)、クヴォステク徴候(顔面神経の)、てんかん発作、喉頭痙攣、気管支痙攣
- 心臓:QT延長、低血圧、心不全、不整脈 ← 心収縮力低下
慢性症状
- 参考1
- 異所性石灰化(大脳基底核) ← P優位なCa・P積の上昇
- 嚢下白内障(subcapsular cataract)
- 歯牙異常
- 皮膚乾燥
テタニー
- 参考1
- 低カルシウム血症により末梢神経・筋肉の易刺激性亢進。EMG上、1つの刺激で高頻度の放電が見られる。テタニーはイオン化Ca 4.3mg/dL、カルシウム7.0-7.5 mg/dL未満で起こるのが一般的。テタニーは慢性腎不全(低カルシウム血症+代謝性アシドーシス)では稀
- 最初は口の周りあるいは末梢の錯感覚(paresthesia)ではじまる。ぎこちなさとこわばり、筋痛、および筋攣縮・筋痙攣を呈する。呼吸筋と舌の攣縮はチアノーゼを起こしうる。自律神経の症状は発汗、期間攣縮、胆道疝痛 biliary colicを含む。 ← オッディ括約筋が収縮して腹痛を生じるらしい(080A040)
検査
- Chvostek徴候;耳介の前方、顎関節の上の部分をハンマーで軽くたたくと顔面筋と眼輪筋の痙攣が起こる。
- Trousseau徴候;上肢の血圧計マンシェットを巻き、収縮期と拡張期の中間血圧で1~2分圧迫すると上肢の筋の攣縮により、手首と親指が屈曲し他の手指は伸展して手掌が凹む。
心電図
- QTの延長はSTの延長による。T波の幅は変えないので、心房全体の再分極相の不均一化は起こりにくい。だからQT延長で多形性心室頻拍が起こることは少ないらしい(心電図の読み方 p.221-223)。
- STの延長 = 2相(プラトー相) 絶対不応期と考えられる。
- T波 = 3相 受攻期 相対不応期にあたる。ここが延長しなければ不整脈のリスクは高くないということか・・・ほんと?
治療
腎臓内科レジデントマニュアル p.47
- 食事あるいはサプリメントでのカルシウム経口摂取 1日1000mg以上
- 無症候性で中等度(補正Ca濃度<8mg/dL)の場合
-
- →尿Ca/Cre比が0.3g/gCreを越えないように注意する
- 1. カルチコール 10-20mlを5分程度以上掛けて静注する
- 2. カルチコール 2-4ml/hrでCVからDIV
- 1. or 2.に加え)炭酸カルシウム9-12g/日、ビタミンD(アルファカルシドール 3μg/日)を開始して徐々にカルチコールを減少させる。また低マグネシウム血症があれば硫酸マグネシウムIV
参考
- 1. [charged]Clinical manifestations of hypocalcemia - uptodate [1]
[★]
- 英
- vaterite
- 関
- 方解石、石灰石、炭酸カルシウム、バテライト、霰石、大理石
[★]
- 英
- aragonite
- 関
- 方解石、石灰石、炭酸カルシウム、ファーテル石、大理石
[★]
- 英
- limestone
- 関
- 方解石、炭酸カルシウム、ファーテル石、霰石、大理石
[★]
- 英
- precipitated calcium carbonate
- 商
- ATP腸溶、FK配合、HM散、KM散、M・M配合、NIM配合、S・M配合、TM配合散、YM散、アスゾール、アストフィリン配合、アテノート、イリコロンM配合、エヌ・エス配合、オフタルムK配合、ガスペラジン、ガスリック、カルタレチン、カルタン、カルタンOD、キャベジンUコーワ配合、クロルプロマジン塩酸塩、コバマミド、コンスーン、サーカネッテン配合、ジピリダモール、スルカイン配合、セフジニル、チョコラA、つくしA・M散、つくしA・M配合、テナキシル、ナーセット配合、ナトリックス、ニチファーゲン配合、ハロペリドール、ピーマーゲン配合、ビーマス配合、ビオスミン、ビオスミン配合、ビオフェルミン、ビオフェルミンR、ビオフェルミン配合、ファモチジン、フェニルアラニン除去ミルク配合、フラジール、プラノバール配合、プロヘパール配合、ベゲタミン-A配合、ベンコール配合、ボインリール、マゴチロン、マナミンTM、マロゲン、メコバラミン、リーダイMM配合、リン酸ピリドキサール、レチコラン、レナルチン、ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合、塩酸クロルプロマジン、炭カル
- 関
- 炭酸カルシウム
- 関
- その他の循環器官用薬
[★]
- 英
- calcium bicarbonate
- 関
- 炭酸水素カルシウム
[★]
- 英
- calcium
- 関
- カルシウムイオン、リン
- calcium channel blockers, calcium channels
基準値
- 血清総Ca 8.6-10.1 mg/dl(臨床検査法提要第32版)
- 8.6-10.2 mg/dL (QB) だいたい 9.4 ± 0.8
- 血清Caイオン 1.15-1.30 mmmol/l(臨床検査法提要第32版), 4.6-5.1 mg/dl
血液ガス
- 血液ガスでは (mEq/l)で出されるが 4倍すれば (mg/dl)に変換できる 原子量が約40ゆえ
溶解度積
リン酸カルシウム
|
366x10-6
|
(30℃)
|
リン酸カルシウム
|
0.35x10-6
|
(38℃)
|
炭酸カルシウム
|
0.0087x10-6
|
(25℃)
|
酒石酸カルシウム
|
0.0077x10-6
|
(25℃)
|
シュウ酸カルシウム
|
0.00257x10-6
|
(25℃)
|
オレイン酸カルシウム
|
0.000291x10-6
|
(25℃)
|
パルチミン酸カルシウム
|
0.000000161x10-6
|
(23℃)
|
カルシウムの吸収(SP.744)
- +健康成人の1日あたりの食物Ca摂取0.6g
- +消化管分泌物と脱落上皮細胞のCa 0.6g
- -吸収されるCa 0.7g
- -そのまま排泄 0.5g
- 正味吸収されるCa 0.1g
カルシウムの吸収部位
カルシウム代謝の調節機構
副甲状腺ホルモン
- 1. 破骨細胞に作用してCa,Pが血中へ。
- 2. 腎の遠位尿細管に作用してCa再吸収の亢進、近位尿細管でのP再吸収の抑制。
- 3. 近位尿細管に作用して酵素を活性化し、1,25水酸化ビタミンD3の産生亢進。
1,25(OH)2D3
- 1. 空腸からのCaとPの吸収。
- 2. 骨形成促進。
- 3. 遠位尿細管でのCaとPの再吸収促進。
- 4. 副甲状腺ホルモンの合成を抑制
尿細管における部位別カルシウム輸送
- 糸球体で濾過されるのはイオン化Caと陰イオン複合型Ca(蛋白結合型Caは濾過されない)
- 濾過されたカルシウムのうち95%が再吸収される。
- 近位尿細管:60-70%
- ヘンレループ:20-25%
- 遠位尿細管、集合管:10-15%
近位尿細管
- Na+依存的に再吸収。受動輸送80%、能動輸送20%
- 基底側のCa2+ ATPase, 3Na+-Ca2+逆輸送系
ヘンレループ
- 太いヘンレループ上行脚で
- 受動輸送:管腔内電位が正であるため
遠位尿細管~集合管
- 糸球体濾過量の10-15%が再吸収されている → 量としては少ないが能動的に吸収が行われる部位。
- 能動輸送:管腔内電位が負であるため。
- PTH、カルシトニンに調節されている
- チアジド系利尿薬により細胞内Na↓となるとCa再吸収↑となる!!!! ← ループ利尿薬と違う点。よって高カルシウム血症が起こることがある。
接合尿細管
- 管腔側:Ca2+チャネル/非選択的カチオンチャネル
- 基底側:Na+-K+ ATPase, 3Na+-Ca2+交換系
尿細管におけるカルシウムの輸送の調節 SP.796
- Ca2+の尿中排泄量はNa+の尿中排泄量と比例。循環血漿量が増加するとCa2+排泄も増加
- Ca2+の尿中排泄量は血漿Ca2+濃度と比例する。
血清カルシウム濃度
- 血液中でCa2+は調節を受けて一定に保たれるが、蛋白と結合しているCaはアルブミンの量によって増減する。
- 血清アルブミン濃度 4 g/dl、血清Ca濃度 9mg/dl。補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- 血清アルブミン濃度 2 g/dl、血清Ca濃度 7mg/dl。 → 大変!!低カルシウム血症!! → ホント? ってことになる。アルブミンの量が減ってAlb-Caが減っただけで生理的に重要なCa2+は保たれているのではないか。 → こんな時に補正Ca濃度を用いるのである
- →補正Ca濃度 9mg/dl → 正常
- つまり、低アルブミン血症ではCa2+は保たれているにもかかわらず、血清Caは低値となりそのままでは評価できないために補正を行う。
- 補正Ca濃度(mg/dl)=Ca実測値(mg/dl)+(4-血清アルブミン濃度(g/dl)) ・・・Payneの式
- アルブミンのpIは7より小さく、アシデミアでは負に帯電しているアルブミンが減少、アルカレミアでは負に帯電しているアルブミンが増加する。すなわち、pHが下がるとアルブミンとくっつなくなったCaが増加するので、血液pH0.1の低下につきfreeイオン化Ca(Ca2+)は0.12mg/dl増加する???????????
循環血液量
血清Ca濃度
- 血清Ca濃度↑→PTH↓
- 生理活性のあるのはイオン化Ca(Ca2+)のみ
- 血清Ca濃度=イオン化Ca(45%) + 蛋白結合型Ca(40%) + 陰イオン複合型Ca(15%)
- イオン化Caは一定に保たれる
pH
- アシドーシス :pHが小さくなると負電荷減少:蛋白のCa結合能↓、イオン化Ca↑
- アルカローシス:pHが大きくなると負電荷増加:蛋白Caの結合能↑、イオン化Ca↓→Ca欠乏(低カルシウム血症)
低蛋白血症
- 低蛋白血症の際、蛋白結合型Caは減少するが、イオン化Ca一定。
尿中カルシウム
血中カルシウムと尿中カルシウム
- 薬剤などの影響がなければ、血中カルシウムと尿中カルシウムは相関がありそうである → 副甲状腺ホルモン
血清カルシウムと心電図
元素
- 金属元素。周期表第2族アルカリ土類金属元素
- 原子番号:20
- 元素記号:Ca
- 原子量 40.078 g/mol
臨床関連
参考
- http://www.orth.or.jp/osteoporose/caseizai.html
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義