出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/05/27 23:14:54」(JST)
尿路結石 | |
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分類及び外部参照情報 | |
尿路結石の一例(腎結石)
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ICD-10 | N20.0 |
ICD-9 | 592.0 |
DiseasesDB | 11346 |
MedlinePlus | 000458 |
eMedicine | med/1600 |
MeSH | D007669 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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尿路結石(にょうろけっせき)は、尿路系に沈着する結晶の石のこと。もしくは、その石が詰まってしまうことにより起きる症状のこと。
日本人の場合、95%以上は上部尿路結石である。
自覚症状がある場合に関して言うと、しばしば激痛の発作を伴う。尿路結石の疝痛は「痛みの王様(king of pain)」といわれるくらいに激烈な痛みを伴うことが多い。わき腹や背中側あたりの激痛であり、倒れこんだり、まれに痛みにより失神する患者がいるほどの痛みである。
結石というのは多くの人でしばしばできているものではあるが、できた結石の大きさが尿管よりも小さい場合は自然に尿管内を移動して排尿とともに排出され、痛みも発生せず、本人は何ら問題を感じていない。だが、できた結石の大きさが尿管と同等もしくはそれより大きい場合、尿管を塞いでしまい、腎臓で尿が作られるにつれ腎臓から結石の位置までの圧力が高まってゆき激痛が発生する。この状態でCT撮影を行うと、ほとんどの場合、腎臓の肥大が起きている。
日本で全国規模の調査が行われたことがあり、その結果が1995年に発表されたが、それによると日本人の約15人に1人が一生に一度は尿路結石に悩まされる、とされた。男性の発症率は女性の発症率の2倍といわれている。「好発年齢」つまり発症しやすい年齢は30代だとされており、おおまかに言えば青年期から壮年期にかけての人に発症する率が高く、子供では稀である。
尿路結石の要因のひとつが食習慣の欧米化だとされており、生活習慣病に分類される。尿路結石が起きる人は、やがて動脈硬化などの生活習慣病にもかかってゆく傾向がある。
尿路結石は発症すると激痛を伴うことが多いので、早急な対処が求められる。また、5mm以下の尿路結石では結石が尿管を通過するとそれまでの激痛が急激に消失する。およそ10mm未満の結石は自然排出を期待して、水分および鎮痛剤、利尿剤を用いて自然排出されるまで経過観察することがある。(保存的治療法)
5mm以下の尿路結石が疑われる場合には、排石剤のウラジロガシエキス(日本新薬のウロカルン)、鎮痛剤のチキジウム臭化物(アボットジャパンのチアトンカプセル他、ジェネリック品あり)が投与される事がある。また尿をアルカリ性にして排石を促すために、ウラリット錠が処方されることもある。結石が5mm以上で自然排出が期待できない場合には有効な薬剤は存在しない。近年海外のガイドライン(EAU,AUA)に準じてα1ブロッカー(保険適応外使用。前立腺肥大症の排尿困難に用いられる薬剤)が使用される例も増えてきている。
アボカドの生葉を数枚入れたカップに湯を注ぎ、5分後にそのまま飲用する習慣を長期続ける事で、尿管結石を縮小・消滅させる民間療法がトルコに根付いている[1]。
体外衝撃波結石破砕術(ESWL)は、最も負担の少ない治療法の一つである。体外の装置によって造られた衝撃波(音波の一種)を結石にむけて集中させて結石を砕き、砂状にして尿と一緒に体外へと排出させる治療法である。その原理は、衝撃波を楕円の1つの焦点(体外)から発生させて、それを楕円状の反射鏡で収束させ、もう1つの焦点(破砕部位)を対象となる結石に合わせて、周囲との物質の音響インピーダンスの差[尿(液体)と結石(固体)の音の伝わり方の差]を利用して破砕するものである。
ドイツのドルニエ社によって1980年代に初めて製品化され、その後破砕装置が一般化したことにより患者の負担が大いに軽減された。一回は約30〜60分の治療時間で複数回行うこともあるが、体をメスで切らないで治療できる。日本では、1984年9月に、札幌市にある三樹会病院で、丹田均らにより初めてESWL装置が導入され、治療が開始された。ESWL本邦第一号機であるドルニエ社HM-3は、三樹会病院に現存している。
膀胱や尿管に尿を溜めて衝撃波を加えた方が効果的である。また、周辺の消化器にガスが溜まっていたり、肥満など脂肪によって衝撃が緩和され効果が下がる事もある。衝撃波を加えた直後には血尿が排泄されるが心配は無い。3〜4日の入院が必要になる事もあるが、結石の種類や大きさによっては、一泊入院や日帰りでの体外衝撃波結石破砕術を行っている医療機関もあり、この治療方法の更なる普及が望まれている。この際、ガーゼ等で覆った蓄尿瓶を使って結石排出の有無を確認する。
現在この治療には健康保険が適用される。しかし費用は3割負担の場合でも8万円前後はかかり、また一箇所の結石破砕を何回行っても一回分の点数請求しかできない。また、保険会社によっては、当該手術を保険金支払除外手術としている所もある。
経尿道的尿管砕石術(TUL)は、結石が比較的大きいために体外衝撃波結石破砕術(ESWL)では治療困難な場合などに行なわれる治療である。全身麻酔または脊椎麻酔下にて、尿道口から結石の直下までのワイヤーを留置し、そのワイヤーに沿って尿管鏡を挿入する。尿管鏡で結石を確認しながら、結石を鉗子・衝撃波・レーザーなどを用いて細かく破砕する。
体外衝撃波結石破砕術登場以後は、その件数は激減している。
食事に気をつけることで再発を予防することができる[2]。クエン酸は尿をアルカリ性のほうへ傾け結石を溶けやすくさせるが、クエン酸を多く含む野菜や果物を増やすことは、同時に結石形成を促進するシュウ酸の摂取過剰となってしまう可能性があるため、以下の方法のほうが理にかなっている(ただし結石患者の緑黄色野菜の摂取量は不足傾向である)[2]。また、野菜や果物はカリウムを含み塩分(ナトリウム)の排出を促す効果があるため判断の難しい所である。
またシュウ酸の摂取を控えめにすることで結石の主要成分であるシュウ酸カルシウムができるのを防ぐ。リン酸カルシウムは酸性ではない環境で唯一存在できるため、ビタミンCなどの摂取によって結石形成を防ぐことができる。また、シュウ酸カルシウム結石は十分な量のビタミンB群とマグネシウムを摂ることで予防が可能となる。
腎臓・膀胱・尿路の結石については、再発防止には食事制限を伴う都合、体重管理について極めて困難な管理を伴う。このため、たとえばプロスポーツではプロボクシング・競馬・競艇などの様に厳しい体重制限と減量が付いて回る種目の場合、食事制限と減量の両立が困難になることで体重維持も極めて無理を伴う様になり、最終的に職業生命にも関わってくる場合がある[5]。同様に、体重に選手生命に致命的な問題がないスポーツでも、治療の制約が体重増加や体調変化の原因となり、選手活動の全盛期が終わってしまうということが起きてくる。
微生物が尿路結石の核となりうるかどうか、現在議論がある。その始まりは、1998年にフィンランドの研究者らによって、ヒトの腎臓結石から「ナノバクテリア」と名付けた細菌を分離したという発表がされてからである。つづいて、2004年4月に、岡山大泌尿器科の教授と共同研究員らは、ヒトの尿路結石の中に、燐灰石(リン酸カルシウム)の殻を持つ微生物の存在を確認したと、発表した。これは、先のフィンランドの研究者らがおこなった実験を踏襲したものであり、再実験であった。世界的に議論となっている主題は、これらの実験手法についての是非および「微生物がいたからそれが結石の核になった」という、これまでの学説を大きく揺るがす説について、である。
その後2008年に、同じく岡山大学の公文祐巳教授らは”尿路結石などの原因となる微生物”として注目を集めてきた物体の正体は生物ではないと発表した。この物体は大きさが数10ナノメートル〜数百ナノメートルと小さく、本当に生物かどうかの論争が続いていた。公文教授は尿路結石を磨り潰したものを血清で培養。のち、培養液の殺菌に使うガンマ線を当てたところ、10ナノメートルぐらいの核となる部分に脂質が酸化して積み重なり、それはあたかも生物が自己増殖するように振る舞ったが、”尿路結石などの原因となる微生物”説の根拠となる”DNA”は見つからなかった。以上を以て公文教授らはこの核となる物質は、なんらかの生物ではないと結論づけた。
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中枢性刺激 | 化学受容器引金帯刺激 | 薬物 | アポモルヒネ、モルヒネ、ジギタリス、抗菌薬、抗癌薬、降圧薬、アミノフイリン、コルヒチン、アルコール |
毒物 | 重金属、ガス | ||
放射線 | 各種癌治療後 | ||
感染症 | 細菌毒素 | ||
内分泌疾患 | 肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス/高血糖高浸透圧症候群、尿毒症、妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群 | ||
代謝疾患 | 甲状腺クリーゼ、副腎不全、Addison病 | ||
直接刺激 | 脳圧亢進 | 頭部外傷、脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜炎、脳への放射線療法後 | |
脳循環障害 | ショック、低酸素脳症、脳梗塞、片頭痛、脳炎、髄膜炎 | ||
上位中枢刺激 | 神経性食思不振症、不快感、てんかん、ヒステリー、抑うつ状態、うつ病、過度の嫌悪感、不快感、拘禁反応による恐怖、ストレス、視覚・嗅覚・味覚的刺激 | ||
末梢性刺激 | 消化管疾患 | 舌咽頭疾患 | アデノイド、咽頭炎 |
食道疾患 | 胃食道逆流症、食道裂孔ヘルニア、食道癌 | ||
胃腸疾患 | 急性胃炎、急性胃十二指腸粘膜病変、急性腸炎、急性虫垂炎、消化性潰瘍、食中毒、消化管腫瘍、寄生虫、食中毒、Mallory-Weiss症候群 | ||
消化管通過障害 | 腸閉塞、胃幽門部狭窄、輸入脚症候群 | ||
腹膜疾患 | 腹膜炎 | ||
胆膵疾患 | 急性胆嚢炎、急性胆管炎、急性膵炎、膵癌、胆管癌 | ||
肝疾患 | 急性肝炎 | ||
循環器疾患 | うっ血性心不全、狭心症、急性心筋梗塞 | ||
泌尿器科疾患 | 尿路結石、腎結石、急性腎炎、腎盂腎炎、腎不全 | ||
耳鼻咽喉科疾患 | 中耳炎、Meniere病、乗り物酔い | ||
眼科疾患 | 緑内障 | ||
呼吸器科疾患 | 肺結核、胸膜炎、肺癌、咳嗽発作 | ||
婦人科疾患 | 子宮付属器炎、月経前症候群、更年期障害 | ||
脊髄疾患 | 脊髄癆、多発性硬化症 | ||
膠原病 | 結節性多発動脈炎、強皮症、側頭動脈炎 |
新生児 | 乳児 | 幼児~学童 | |
消化器疾患以外で見・落とさないよう注意する疾患 | 敗血症・髄膜炎・水頭症・脳奇形・尿路感染症 | 髄膜炎・脳炎・脳症・虐待児・尿路感染症・呼吸器感染症・心疾患・薬物中毒・誤嚥 | 脳炎・脳症・脳腫瘍・肺炎・中耳炎・頭部外傷・薬物中毒・心筋炎・不整脈 |
よくある消化器疾患 | 溢乳・空気嚥下・哺乳過誤・初期嘔吐・胃食道逆流現象・胃腸軸捻転・腸管感染症・壊死性腸炎 | 食事過誤・空気嚥下・便秘・腸管感染症・幽門狭窄症・腸重積症・胃食道逆流現象・胃長軸捻転・食事アレルギー | 腸管感染症・急性虫垂炎・肝・腹部外傷・肝炎・胆嚢炎・膵炎・腹部外傷・食事アレルギー・好酸球性胃腸症 |
主な代謝性疾患 | 先天性副腎過形成・ガラク卜ース血症 | 先天性副腎過形成・Reye症候群 | アセトン血性嘔吐症・ケトン性低血糖症・糖尿病性ケトアシドーシス・Reye症候群 |
その他 | 起立性調節障害・神経性食思不振症 | ||
外科的疾患 | 食道閉鎖・狭窄症・胃軸捻転・十二指腸閉鎖・狭窄症・腸回転異常・捻転・小腸閉鎖症・Hirschsprung病・胎便性イレウス・稀に腸重積・肥厚性幽門狭窄・特発性腸管偽性閉鎖症 | 肥厚性幽門狭窄症・腸重積・腸回転異常・捻転・Hirschsprung病・虫垂炎 | 虫垂炎・腸重積・腸回転異常・捻転・上腸間膜動脈症候群・腫瘍・嚢胞 |
消化器 | 虫垂炎、腸炎、憩室炎、炎症性腸疾患、虚血性大腸炎、ヘルニア嵌頓(内鼠径/外鼠径、閉鎖孔、大腿)、過敏性腸症候群、S状結腸捻転、腸結核 |
婦人科 | 子宮外妊娠、卵巣腫瘍茎捻転、骨盤内炎症性疾患、子宮内膜症 |
泌尿器 | 尿管結石、膀胱炎、精巣捻転 |
経過 | 婦人科 | 産科 | 消化器/泌尿器/内分泌など |
急性 | 骨盤腹膜炎 | 流産 | 腹部大動脈瘤破裂 |
付属器炎 | 早産 | 急性虫垂炎 | |
子宮内膜炎 | 異所性妊娠 | 小腸閉塞 | |
卵巣茎捻転 | 常位胎盤早期剥離 | 汎発性腹膜炎 | |
卵巣出血 | 子宮破裂 | イレウス | |
卵巣腫瘍 | 消化管穿孔 | ||
子宮留膿症の破裂 | S状結腸軸捻転症 | ||
排卵痛 | ヘルニア | ||
月経モリミナ | 尿管結石 | ||
卵巣過剰刺激症候群 | 腎結石 | ||
大腸憩室炎 | |||
急性胃腸炎 | |||
虚血性腸炎 | |||
糖尿病性ケトアシドーシス | |||
慢性 | 月経困難症 | Crohn病 | |
子宮腺筋症 | 潰瘍性大腸炎 | ||
子宮内膜症 | 過敏性腸症候群 | ||
子宮筋腫 | 便秘症 |
3)急性腹症,がん性疼痛への対応 - 日産婦誌58巻9号
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