- 英
- bladder carcinoma, bladder cancer, cystocarcinoma
- 関
- 腫瘍、膀胱腫瘍、膀胱
概念
疫学
- 50歳代以降に発生しやすい。
- 日本では移行上皮癌が多い
- 中国、ザンビアでは別の型の膀胱癌が多い→環境要因が関わっている。
- 乳頭状に内腔に増殖
- 腺癌にも扁平上皮癌にも変化しうる
リスクファクター
- 3. その他(40歳以上の男性、肉眼的血尿、泌尿器科系疾患、排尿刺激症状、尿路感染の既往、骨盤放射線照射歴、喫煙)
- 喫煙:喫煙者は非喫煙者の2-10倍相対危険度が高い。また、膀胱癌の30-40%は喫煙が原因と考えられている。(SURO.246)
リスク分類
- EAUガイドライン
- http://www.uroweb.org/fileadmin/tx_eauguidelines/2009/Full/TaT1_BC.pdf
- NCCNガイドライン
- http://www.nccn.org/professionals/physician_gls/PDF/bladder.pdf
- 登録が必要
EAUガイドラインの筋層非浸潤性膀胱癌のスコア化
因子
|
再発スコア
|
進展スコア
|
腫瘍数
|
単発
|
0
|
0
|
2-7個
|
3
|
3
|
8個以上
|
6
|
3
|
腫瘍サイズ
|
<3cm
|
0
|
0
|
≧3cm
|
3
|
3
|
再発歴
|
初発
|
0
|
0
|
≦1再発/年
|
2
|
2
|
>1再発/年
|
4
|
2
|
T因子
|
Ta
|
0
|
0
|
T1
|
1
|
4
|
併発CIS
|
なし
|
0
|
0
|
あり
|
1
|
6
|
異型度(1973WHO)
|
G1
|
0
|
0
|
G2
|
1
|
0
|
G3
|
2
|
5
|
合計スコア
|
0~17
|
0~23
|
- 再発スコア値 0:低リスク、1-9:中リスク、10-17:高リスク
- 進展リスク値 0:低リスク、2-6:中リスク、7-23:高リスク
計算ソフト
- http://www.eortc.be/tools/bladdercalculator/
- 使いづらい
TNM分類
- TX 原発腫瘍が評価されていないとき
- T0 腫瘍なし
- Tis 上皮内癌(CIS)
- Ta 浸潤なし
- T1 粘膜下結合組織までの浸潤
- T2 筋層浸潤があるもの
- T2a: 筋層の半ばまでの浸潤
- T2b: 筋層の半ばを越えるもの
- T3a: 顕微鏡的浸潤
- T3b: 肉眼的(壁外に腫瘤があるもの)
- T4 腫瘍が以下のいずれかに浸潤するもの:前立腺、子宮、膣、骨盤壁、腹壁
- T4a: 前立腺、子宮あるいは膣への浸潤
- T4b: 骨盤壁あるいは腹壁への浸潤
- NX 所属リンパ節が評価されていないとき
- N0 所属リンパ節転移なし
- N1 2cm以下の1個の所属リンパ節転移を認める
- N2 2cmを超え5cm以下の1個の所属リンパ節転移、または5cm以下の多数個の所属リンパ節転移を認める
- N3 5cmを超える所属リンパ節転移を認める
- MX 遠隔転移の有無不詳
- M0 遠隔転移なし
- M1 遠隔転移あり
所属リンパ節
検査
[show details]
- 乳頭様の増殖をしている、おそらく筋層に浸潤していない腫瘍。上皮内癌と違って筋層浸潤しにくい。
治療
- CIS → 問題となるのは、膀胱鏡下で正常な粘膜と区別できないこと(参考6,8)。このためTUR-Btが1st lineとはならないと思う。
- BCG膀胱内注入療法:月に1回、6-8週間。日本で用いられているBCG株は東京株とコンノート株。再発した場合には2nd line BCG注入療法を行う。無効の場合には膀胱全摘術を考慮する。(参考1)
- 男性:膀胱、周囲組織、前立腺、精嚢、(尿道再発リスクが高いとき)尿道
- 女性:膀胱、周囲組織、尿道、(子宮、膣の前壁、卵巣を含めることがある)
- 骨盤内臓器:(適応があれば)骨盤内臓器摘除
- 下部尿管:尿路変更に必要な長さを残し摘出
- 骨盤リンパ節郭清:所属リンパ節(内腸骨リンパ節、外腸骨リンパ節、閉鎖リンパ節)
- 尿路変更:回腸導管、新膀胱造設術
参考
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0076/1/0076_G0000211_GL.html
- http://ganjoho.ncc.go.jp/public/cancer/data/bladder.html
- 3. 膀胱癌 - 診療ガイドラインについて - 医療関係者の方へ - 香川県立中央病院
- http://www.chp-kagawa.jp/ganshinryou/boukougan.pdf
- http://www.chp-kagawa.jp/docs/boukougan.pdf
- 5. eMedicine - Carcinoma In Situ of the Urinary Bladder
- http://emedicine.medscape.com/article/444061-overview
- 6. 大阪府立成人病センター 治療実績〔膀胱がんの解説〕
- http://www.mc.pref.osaka.jp/kabetsu-shoukai/hinyouki/setsumei/boukougansetsumei.htm
- 7. [charged] Treatment of non-muscle-invasive bladder cancer - uptodate [1]
- 8. [charged] Clinical presentation, diagnosis, and staging of bladder cancer - uptodate [2]
国試
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/07/02 13:48:36」(JST)
[Wiki ja表示]
膀胱癌 |
分類及び外部参照情報 |
膀胱癌の病理写真
|
ICD-10 |
C67, C67.9 |
ICD-9 |
188, 188.9 |
OMIM |
109800 |
DiseasesDB |
1427 |
eMedicine |
radio/711 med/2344 med/3022 |
NCI |
膀胱癌 |
Patient UK |
膀胱癌 |
MeSH |
D001749 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
膀胱癌(ぼうこうがん、英: Bladder cancer)は、膀胱から発生する上皮性悪性腫瘍。
目次
- 1 原因
- 2 症状
- 3 疫学
- 4 病理組織学
- 5 病期分類
- 6 検査
- 7 治療
- 8 膀胱全摘除の尿路変向(変更)術
- 9 予後
- 10 関連する人物
- 11 脚注
原因
第9染色体長腕ヘテロ接合性の消失、第17染色体短腕ヘテロ接合性消失が関与するタイプも指摘されている
発癌の危険因子としては、不衛生な環境、化学物質、ビルハルツ住血吸虫による感染症、喫煙、などが指摘されている。
症状
- 排尿痛などの見られない、無症候性肉眼的血尿が唯一の症状であることも多い。上皮内癌や浸潤癌では頻尿や排尿痛などを伴うこともある。
疫学
2004年における10万人毎の膀胱がんによる死亡者数(年齢標準化済み)[1]
データなし
1.5以下
1.5-3
3-4.5
4.5-6
6-7.5
7.5-9
9-10.5
10.5-12
12-13.5
13.5-15
15-16.5
16.5以上
- 死亡数は、男性が悪性腫瘍の第11位、女性は第14位。
- 発生率は男性が女性の3倍多い。
- 70歳代での発症が多く、50歳以下の若年発症はまれ。
病理組織学
- 90%以上が尿路上皮癌(移行上皮癌)。
- 次いで扁平上皮癌、腺癌の順である。
- 細胞異型と構造異型によって組織学的異型度をG1〜G3までの3段階に分類する。G3のほうが異型が強い。
病期分類
TNM分類によって決定される。T1N0M0である場合表在癌とされる。T2以上では浸潤癌とされる。
- T0 腫瘍なし
- Ta 非浸潤性乳頭癌
- Tis 上皮内癌
- T1 粘膜下結合組織までの浸潤
- T2 筋層への浸潤
- T2a 筋層半ばまで
- T2b 筋層半ばを越える
- T3 膀胱周囲への浸潤
- T3a 顕微鏡レベルの浸潤
- T3b 肉眼的レベルの浸潤
- T4 前立腺、子宮、膣、骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤
- T4a 前立腺、子宮、膣のいずれかに浸潤
- T4b 骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤
- N0 リンパ節転移なし
- N1 2cm以下の1個の所属リンパ節転移
- N2 2cmを超え5cm以下の1個の所属リンパ節転移または5cm以下の複数の所属リンパ節転移
- N3 5cmを超える所属リンパ節転移
- M0 遠隔転移なし
- M1 遠隔転移あり
検査
- 検尿・尿沈渣
- 尿細胞診
- 超音波断層撮影
- 膀胱鏡
- CT
- MRI
治療
- 外科的治療
- 内視鏡手術(経尿道的腫瘍切除術、TUR-Bt)
- 腰椎麻酔をかけて尿道から膀胱に内視鏡を入れて観察し電気メスで腫瘍を切り取るまたは焼き尽くす手術で、表在性膀胱がんに対する治療である。ただし、膀胱上皮内がんや浸潤性の診断のためにも行う必要がある。
- 1回の手術では肉眼で確認できない腫瘍が残存している可能性もあるため、期間をおいてさらに広範囲に施行することもある。
- 膀胱全摘除術
- 膀胱上皮内がんでBCG療法が無効なもの、浸潤性膀胱がんの治療として行う。
- 膀胱だけでなく男性では前立腺、精嚢、女性では子宮も同時に摘出する。また骨盤内のリンパ節も摘出する。また、尿道も摘除することがある。男性は勃起不全(旧称インポテンツ)になる場合が多かったが、勃起機能の温存手術もある。ただし、前立腺、精嚢をとってしまうため、射精不可能になる。
- 放射線療法
- 局所療法であるので、効果はあるがこれだけで根治する事は困難な療法でもある。
- 抗がん剤による化学療法
- 再発リスクを減少させるため、(術後)補助化学療法として、外科的手術と併用する場合も多い。
- 膀胱内注入療法
- 膀胱内に抗がん剤やBCG(いわゆる弱毒性結核菌)を注入してがんの治療あるいは再発予防をはかる治療。
- 膀胱上皮内がんを対象とし、BCGを用いる。表在性膀胱がんの手術後の再発予防としてこの治療を行うこともある。
膀胱全摘除の尿路変向(変更)術
-
- 回腸導管:回腸の末端部付近を約30cm程切り取り、口側を閉鎖、両側尿管をそれぞれその付近に吻合。反対側(肛門側)を腹部にストーマとして開口、開口部ストーマより排尿する。パウチの貼付が必須である。
- 尿管皮膚瘻:尿管をそのまま腹部皮膚に開口、開口部(ストーマ)より排尿する。パウチの貼付が必須である。
- 自排尿型新膀胱:回腸で人工的な膀胱を作り尿道につなぎ、手術前と同様に尿道より排尿する(ストーマはない)。
- 導尿型新膀胱:回腸で人工的な膀胱を作り、コックを付け腹部に開口。開口部(ストーマ)にその都度カテーテルを挿入し、カテーテルにより排尿する。パウチの貼付は原則として不要である。
- 膀胱全摘除によりストーマを増設した人をオストメイト(人工膀胱保有者)という。オストメイトは障害者(内部障害)として扱われる。
予後
表在癌は再発率が高く、細胞異型が高いほど、癌が進行しているほど再発しやすい。TUR-Btのみを行った場合、G1、G2で約50%、G3で80%の確率で再発する。また、浸潤癌への伸展も同様の傾向がある。特に上皮内癌は再発率、浸潤癌への伸展率ともに高い。
関連する人物
- 周恩来
- やなせたかし
- 松田優作
- レオナルド熊
- 菅原文太
- 立花隆
- 内海賢二
- 芦田均
- 西沢利明
- 徐才厚
- 竹原慎二[2]
脚注
- ^ “WHO Disease and injury country estimates”. World Health Organization (2009年). 2009年11月11日閲覧。
- ^ 元世界王者・竹原慎二、ぼうこうがんで闘病中…リンパ節にも転移 サンケイスポーツ、2014年11月14日閲覧
|
この項目は、医学に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(プロジェクト:医学/Portal:医学と医療)。 |
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 浸潤性膀胱癌との鑑別に苦慮した好酸球性膀胱炎の1例
- 岡崎 智,堀 淳一,北 雅史 [他]
- 泌尿器科紀要 = Acta urologica Japonica 60(12), 635-639, 2014-12
- NAID 40020311601
- 浸潤性膀胱癌との鑑別に苦慮した好酸球性膀胱炎の1例
- 岡崎 智,堀 淳一,北 雅史,山口 聡,川上 憲裕,柿崎 秀宏
- 泌尿器科紀要 = Acta urologica Japonica 60(12), 635-639, 2014-12
- A 60-year-old woman was referred to our hospital because of gross hematuria, right lumbar pain and lower abdominal pain. Computed tomography (CT) scan revealed hydronephrosis of the right kidney, irre …
- NAID 120005528118
- 上田 倫央,川村 正隆,中澤 成晃 [他]
- 泌尿器科紀要 = Acta urologica Japonica 60(10), 501-506, 2014-10
- NAID 40020242473
Related Links
- 2016年01月08日 タブ形式への移行と、「腎盂・尿管・膀胱癌取扱い規約 2011年4月(第1版)」「膀胱癌診療ガイドライン2015年版」より、内容の更新をしました。 2006年10月01日 更新しました。 1996年09月20日 掲載しました。
- 膀胱癌は何回も繰り返すのでしょうか <20代後半男性からのご相談> 父(77歳)が膀胱癌になり、膀胱鏡でガン切除の手術をしました。三ヶ月毎に通院し再発を調べていくとのことですが、半年後に再発が見つかりまた同じ手術をする ...
- 膀胱癌 疫学 膀胱癌は男性に多く、年齢は70歳代がもっとも多いといわれています。 また、喫煙者に多く、特殊なものとしては、染料や化学物質を扱う職業性膀胱腫瘍があります。 これらはアニリン、ベンジン、ナフチルアミンなどの ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 70歳の男性。のどの違和感と出血とを主訴に来院した。数日前からのどに違和感があり、昨日のどの奥から出血があった。喫煙は40本/日を30年間であったが、3年前から禁煙している。飲酒は日本酒2台/日を45年間。3年前に膀胱癌治療の既往がある。体温37.2℃。嗄声はない。頭部リンパ節を触知しない。血液所見:赤血球 436万、Hb 13.5g/dl、Ht 41%、白血球 5,800、血小板 35万。CRP 0.3mg/dl。頚部造影CTでリンパ節の腫大を認めない。喉頭内視鏡写真(別冊No.20A)と生検組織のH-E染色標本(別冊No.20B)とを別に示す。
- 治療法として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I063]←[国試_105]→[105I065]
[★]
- 67歳の男性。凝血塊を伴う肉眼的血尿を主訴に来院した。膀胱内視鏡写真(別冊No. 16)を別に示す。
- この疾患で正しいのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A036]←[国試_104]→[104A038]
[★]
- 60歳の男性。定期健康診断を受けに来院した。高校卒業後から、染料工場に勤務していた。現在では製造中止となっているβ-ナフチルアミンを使用する仕事に数年間従事したことがある。現在とくに自覚症状はない。最も気をつけるべき疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095C008]←[国試_095]→[095C010]
[★]
- がん検診に用いられる検査と対象疾患の組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [110C002]←[国試_110]→[110C004]
[★]
- 原因物質と疾患の組み合わせで間違っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101F078]←[国試_101]→[101F080]
[★]
- 産業中毒物質と健康への影響の組み合わせで正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I030]←[国試_105]→[105I032]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B077]←[国試_100]→[100B079]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097H075]←[国試_097]→[097H077]
[★]
- 異所性ホルモン産生腫瘍とホルモンの組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096H057]←[国試_096]→[096H059]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106E020]←[国試_106]→[106E022]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107A060]←[国試_107]→[107B002]
[★]
- 習慣的な運動によって発症リスクが低下するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109F014]←[国試_109]→[109F016]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106G001]←[国試_106]→[106G003]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107I026]←[国試_107]→[107I028]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102G030]←[国試_102]→[102G032]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107F011]←[国試_107]→[107F013]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [104F008]←[国試_104]→[104F010]
[★]
[★]
- 英
- bladder tumor BT, bladder neoplasm, urinary bladder neoplasm
- ラ
- tumor vesicalis
- 関
- 膀胱癌
疫学
- 大部分が悪性腫瘍(死亡率は全悪性腫瘍の1.5%)
- 50-70歳代に多く、男女比は3:1。
- 発生年齢は男女とも40歳代以降で年齢とともに高くなる。50歳代以降に発生しやすい(IMD)。
- 年齢調整死亡率:男性 3.8/10万人、女性 1.0/10万人
- 罹患率:男性 6.8人、女性 1.7人(IMD)。
好発部位
転移
病理
悪性腫瘍
- 膀胱癌の80%以上
- 表在性・乳頭状であることが多い
- 多発性・異所性再発癌の傾向がある
- そのため上皮内癌でも悪性度は高い
良性腫瘍
病因
- ゴム工業、石油化学工業、ペンキ工など芳香族アミンを扱う職業人は発生率が非常に高い(職業性膀胱癌)。またこの場合、潜伏期は平均18年。
- 2-ナフチルアミン、ベンチジン、4-アミノジフェニルなど
- 2. トリプトファン代謝物
- 3. 喫煙
- 4. コーヒー
- 5. 慢性機械的刺激:扁平上皮癌が多い
- 膀胱結石:長年放置され、継続的に刺激を受けた場合
- ビルハイツ住血吸虫:虫卵による刺激。
- 第9番染色体の欠失:膀胱粘膜に発生する乳頭状の癌に関与
- 第17番染色体短腕の癌抑制遺伝子の障害:上皮内癌の発生に関与
症状
- 初発症状は無症候性血尿(症例の約80%)
- 突然の血尿と自然止血を繰り返し、次第に血尿の持続時間が長くなる
- 腫瘍部血管の破裂、潰瘍、壊死による血管損傷で起こる出血と、凝血による止血のため
- (1)排尿痛
- (2)側腹部痛・背痛
- (3)腰部神経痛性疼痛
- (4)腎部痛・発熱
- 4. 全身症状…腫瘍の進展により体重減少、倦怠感、貧血など悪液質の症状を呈する
=腫瘍合併症、腫瘍の進展による症状
診断
- 診断は膀胱鏡検査によるが、生検にて分化度と浸潤などを調べる。
内視鏡検査(膀胱鏡)
- 経尿道的に膀胱鏡を挿入し、膀胱内を観察。膀胱腫瘍の診断に最も重要な検査(膀胱癌の確定診断)
- 腫瘍の発生部位、数、大きさ、正常を確認。
- フォローアップやスクリーニング目的で施行
- 尿中に脱落した腫瘍を染色する。膀胱内を生食にて洗浄し、この洗浄液について細胞診をおこなうこともある。細胞診は膀胱鏡にて診断の困難な上皮内癌に有効。
- 悪性度III, IV, Vで確定診断に繋がる。
その他
- 膀胱造影、排泄性腎盂造影、超音波検査、CTスキャン、麻酔下双手診
画像診断
- 排泄性尿道造影(IVP)、超音波診断(経尿道的、経腹的)、CTにより腫瘍の広がり(浸潤度)と上部尿道の精査を行う。
治療
- 治療方針の決定に大切なのは浸潤度と分化度。
- 浸潤度:表在性癌 → 経尿道的切除術・抗悪性腫瘍薬の膀胱内注入療法。浸潤癌 → 膀胱全摘出術
- 分化度の低いものや、浸潤度T3以上のものは原則、膀胱全摘除術。
- 1. 表在性腫瘍(浸潤が粘膜下層までのもの:TaとT1)
- 膀胱温存かつ根治治療を目指す。
- 病理所見でCISを認める場合や,再発の可能性の高い多発性低分化癌症例ではTUR-Bt後にBCGの膀胱内注入療法を行う
- 2. 表在性腫瘍であるが、上皮内癌(CIS)である場合
- 悪性度が高いため、根治のために膀胱全摘除が選択肢となる。
- BCG膀胱内注入療法(第一選択)
- 膀胱全摘除術(浸潤度に準じる)
- 骨盤リンパ節郭清術→根治的膀胱全摘除術
- 転移のあるもの(T3以上)など切除不能な進行癌では化学療法(M-VAC療法)を行う。
合併症
予後
- 浸潤度と組織型によって決まる。
- 表在性癌:良好
- 浸潤性癌:不良
- 表在癌 + 経尿道的切除術:5年生存率約80%
- 浸潤癌 + 膀胱全摘出術 :5年生存率約20%
種類
- a. 良性上皮性腫瘍
- 1)上皮性乳頭腫 urothelial papilloma
- 2)尿路上皮乳頭腫:内反型 urothelial papilloma ; inverted type
- 3)扁平上皮乳頭腫 squamous cell papilloma
- 4)絨毛腺腫 villous adenoma
- b. 悪性上皮性腰痛
- 1)上皮内癌 carcinoma in situ(CIS)
- 2)尿路上皮癌 urothelial carcinoma (UC)
- 3)扁平上皮癌 squamous cell carcinoma(SCC)
- 4)腺癌 adenocarcinoma(AC)
- (1)通常型
- (2)特殊型
- ①尿膜癌 urachal carcinoma
- ②印環細胞癌 signet-ring cell carcinoma
- ③中腎癌 clear cell carcinoma
- 5)小細胞癌 small cell carcinoma(NEC)
- 6)未分化癌 undifferentiated carcinoma
- 7)その他 others
- 繊毛癌、カルテノイドなど
- c. 良性非上皮性腫瘍
- d. 悪性非上皮性腫瘍
- e. 腫瘍性病変ないし異常上皮
- 1)炎症性偽腫瘍 inflammatory pesudotumor
- 2)尿路上皮過形成 urothelial hyperplasia
- ①平坦状尿路上皮過形成 flat urothelial hyperplasia
- ②乳頭状尿路上皮過形成 papillary urothelial hyperplasia
- 3)異形成 dysplasia
- 4)扁平上皮化生 squamous metaplasia
- 5)腎原性化生 nephrogenic metaplasia
- 6)増殖性膀胱炎 proliferative cystitis
- ①ブルン細胞巣 von Brunn's nest
- ②腺性膀胱炎 cystitis glandularis
- ③嚢胞性膀胱炎 cystitis cystica
- 7)乳頭状またはポリープ状膀胱炎 papillary or polypoid cystitis
- 8)マラコプラキア malacoplakia
- (日本泌尿器科学会,日本病理学会編:泌尿器科・病理 膀胱癌取扱い規約,第3版, pp50-51,金原出版. 2001より引用)
TNM分類
- T-原発腫瘍の壁内深達度
- TX 原発腫瘍の評価なし
- T0 腫瘍なし
- Ta 非浸潤性乳頭状癌
- Tis 上皮内癌(平坦癌)
- T1 粘膜下結合組織までの浸潤
- T2 筋層への浸潤
- T2a 筋層の半ばまでの浸潤
- T2b 筋層の半ばを越える浸潤
- T3 膀胱周囲への浸潤
- T3a 顕微鏡的レベルの浸潤
- T3b 肉眼的的レベルの浸潤(壁外腫癌)
- T4 腫瘍が前立腺,子宮,膣,骨盤壁,腹壁のいずれかに浸潤
- T4a 前立腺,子宮,膣のいずれかに浸潤
- T4b 骨盤壁,腹壁のいずれかに浸潤
- N-所属リンパ節転移
- NX 所属リンパ節の評価なし
- N0 所属リンパ節転移なし
- N1 2cm以下の1個の所属リンパ節転移を認める
- N2 2cmを超え5cm以下の1個の所属リンパ節転移,または5cm以下の多数個の所属リンパ節転移を認める
- N3 5cmを超える所属リンパ節転移を認める
- M-遠隔転移
- MX 遠隔転移の有無不詳
- MO 遠隔転移なし
- M1 遠隔転移あり
- (TNM分類,第6版, 2002より引用)
[★]
;英:α-fetoprotein AFP, alpha fetoprotein, alpha-fetoprotein
- 同
- αフェトプロテイン、α胎児性タンパク
- 関
- トリプルマーカーテスト。腟分泌液中α-フェトプロテイン、AFP-L3分画
産生部位
- 出生後の産生はほとんどみられない。
- 肝細胞癌、肝細胞の再生局面で再び産生されるようになることがある
- 妊娠初期の異常高値は、胎児の中枢神経系異常を疑わせる所見となる。
- 本蛋白質は胎生期初期には卵黄嚢で、その後は内胚葉、肝臓で産生された後血清中に放出される。
意義
- 肝細胞癌、卵黄嚢腫瘍、肝芽腫の腫瘍マーカー、炎症性肝疾患における肝再生の指標
先天異常の診断
破水の診断
- 羊水中に多量に存在するため、膣分泌物のAFPを同定することで破水の診断に利用される
腫瘍マーカー
- 腫瘍径:腫瘍径とAFP値との間に相関はない。3cmの以下の早期肝癌では陽性率は25%。
- 組織型:(高分化・未分化)産生能低い、(中分化)産生能高い。
QB.Q-14
基準値
- 高値
- 臨床検査データブック
AFPの分画
- レクチンとの親和性により、L1,L2,L3の分画に分けられる。
- L1分画上昇:肝硬変
- L3分画上昇:肝細胞癌
AFP-L3分画、PIVKA-IIとの関係
- AFP-L3分画、PIVKA-IIと相関関係は見られない。
- 肝細胞癌において、AFPとPIVKA-IIとの間に相関関係が見られないため、併用により診断率の向上が期待できる(LAB.631)
- AFP, AFP-L3分画, PIVKA-IIが高い例では予後不良である。(参考1,2)
妊婦の生理的な変動
- 妊娠3ヶ月以降上昇、8ヶ月でピーク(300-800ng/ml)。
乳児の生理的な変動
参考
- 1. AFP・AFP-L3・PIVKA-IIの3因子陽性例は脈管浸潤が多く予後不良【肝癌研究会2011】
- http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/search/cancer/news/201107/520980.html&cnavi=1
- 3マーカーがいずれも陽性の場合、組織学的に脈管浸潤が多く認められ、Edmondson分類グレードIII、IVの頻度が高い
- 2. Triple Positive Tumor Markers for Hepatocellular Carcinoma Are Useful Predictors of a Poor Survival.
- Kiriyama S, Uchiyama K, Ueno M, Ozawa S, Hayami S, Tani M, Yamaue H.SourceFrom the Second Department of Surgery, Wakayama Medical University, School of Medicine, Wakayama, Japan.
- Annals of surgery.Ann Surg.2011 May 20. [Epub ahead of print]
- OBJECTIVE: To determine the importance of the expression pattern of multiple tumor markers for hepatocellular carcinoma (HCC) with regard to the tumor malignancy and patient survival.BACKGROUND: Several studies have indicated that HCC tumor markers, including alpha-fetoprotein (AFP), Lens culinaris
- PMID 21606837
[★]
- 英
- lifestyle-related disease
生活習慣病などのリスクファクター (サブノート.155 改変)
[★]
- 英
- metastatic lung cancer
- 同
- 転移性肺腫瘍 metastatic lung tumor ← 転移する癌は悪性なのでは?
転移性肺腫瘍の頻度(剖検例 SPU.334)
- 全悪性腫瘍の30-50%
- 乳癌:40-50%
- 肺癌:30-50%
- 肝癌:20-40%
- 大腸癌:30-40%
- 胃癌:20-40%
肺転移の頻度(内科診断学第2版 p.755)
肺転移する場所(内科診断学第2版 p.755)
[★]
- 英
- nuclear matrix protein 22, NMP22
- 同
- 核マトリックス蛋白質22、核マトリックス蛋白22、核マトリックスタンパク質22、核マトリックスタンパク22
[show details]
概念
- 核マトリックス蛋白質を抗原として作成された2種類のモノクローナル抗体には302-22と302-18があり、これらは核タンパク質のNMP22を認識する。この二つのモノクローナル抗体は細胞核内に存在する核有糸分裂装置タンパク質 NuMAを認識する。細胞核内に存在するNuMAが細胞死により可溶化型となり、体液中に出現した蛋白質がNMP22であり、モノクローナル抗体に認識される。尿中のNMP22は尿路上皮癌でで上昇する。診断、治療・再発モニタリングに有用とされる。
判別
参考
- 1. 核マトリックスプロテイン22, Nuclear Matrix Protein22(NMP22)
- http://www.okayama-u.ac.jp/user/hos/kensa/tm/nmp22.htm
- 2. 尿中核マトリックスプロテイン22(NMP22) - SEL
- http://www.srl.info/srlinfo/kensa_ref_CD/KENSA/SRL2619.htm
[★]
- 英
- industrial bladder cancer, occupational bladder cancer
- 関
- 膀胱腫瘍
[★]
- 英
- non-muscle invasive bladder cancer
[★]
- 英
- muscle-invasive bladder cancer
[★]
- 英
- invasive bladder cancer
[★]
- 英
- cancer
- 関
- 悪性腫瘍
種類
- 癌腫(carcinoma):上皮性
- 肉腫(sarcoma):間葉系
- carcinoma:腺癌(adenocarcinma)、扁平上皮癌(squamous cell carcinoma)、移行上皮癌(transitional cell carcinoma)
- sarcoma:骨肉腫、横紋筋肉腫、平滑筋肉腫、脂肪肉腫、線維肉腫
Neoplasm
|
Causes
|
Effect
|
Small cell lung carcinoma
|
ACTH or ACTH-like peptide
|
Cushing’s syndrome
|
Small cell lung carcinoma and intracranial neoplasms
|
ADH
|
SIADH
|
Squamous cell lung carcinoma, renal cell carcinoma, breast carcinoma, multiple myeloma, and bone metastasis (lysed bone)
|
PTH-related peptide, TGF-β, TNF-α, IL-1
|
Hypercalcemia
|
Renal cell carcinoma, hemangioblastoma
|
Erythropoietin
|
Polycythemia
|
Thymoma, small cell lung carcinoma
|
Antibodies against presynaptic Ca2+ channels at neuromuscular junction
|
Lambert-Eaton syndrome (muscle weakness)
|
Leukemias and lymphomas
|
Hyperuricemia due to excess nucleic acid turnover (i.e., cytotoxic therapy)
|
Gout, urate nephropathy
|
- http://ganjoho.ncc.go.jp/public/statistics/pub/statistics01.html
●2005年の死亡数が多い部位は順に
|
|
1位
|
2位
|
3位
|
4位
|
5位
|
|
男性
|
肺
|
胃
|
肝臓
|
結腸
|
膵臓
|
結腸と直腸を合わせた大腸は4位
|
女性
|
胃
|
肺
|
結腸
|
肝臓
|
乳房
|
結腸と直腸を合わせた大腸は1位
|
男女計
|
肺
|
胃
|
肝臓
|
結腸
|
膵臓
|
結腸と直腸を合わせた大腸は3位
|
|
●2001年の罹患数が多い部位は順に
|
|
1位
|
2位
|
3位
|
4位
|
5位
|
|
男性
|
胃
|
肺
|
結腸
|
肝臓
|
前立腺
|
結腸と直腸を合わせた大腸は2位
|
女性
|
乳房*1
|
胃
|
結腸
|
子宮*1
|
肺
|
結腸と直腸を合わせた大腸は1位
|
男女計
|
胃
|
肺
|
結腸
|
乳房*1
|
肝臓
|
結腸と直腸を合わせた大腸は2位
|
*1上皮内がんを含む。
|
癌の素因となる遺伝子
- HIM.494
Table 79-1 Cancer Predisposition Syndromes and Associated Genes
|
Syndrome
|
Gene
|
Chromosome
|
Inheritance
|
Tumors
|
ataxia telangiectasia
|
ATM
|
11q22-q23
|
AR
|
breast cancer
|
autoimmune lymphoproliferative syndrome
|
FAS
|
10q24
|
AD
|
lymphomas
|
FASL
|
1q23
|
|
Bloom syndrome
|
BLM
|
15q26.1
|
AR
|
cancer of all types
|
Cowden syndrome
|
PTEN
|
10q23
|
AD
|
breast, thyroid
|
familial adenomatous polyposis
|
APC
|
5q21
|
AD
|
intestinal adenoma, colorectal cancer
|
familial melanoma
|
p16INK4
|
9p21
|
AD
|
melanoma, pancreatic cancer
|
familial Wilms tumor
|
WT1
|
11p13
|
AD
|
pediatric kidney cancer
|
hereditary breast/ovarian cancer
|
BRCA1
|
17q21
|
AD
|
breast, ovarian, colon, prostate
|
BRCA2
|
13q12.3
|
|
hereditary diffuse gastric cancer
|
CDH1
|
16q22
|
AD
|
stomach cancers
|
hereditary multiple exostoses
|
EXT1
|
8q24
|
AD
|
exostoses, chondrosarcoma
|
EXT2
|
11p11-12
|
|
hereditary prostate cancer
|
HPC1
|
1q24-25
|
AD
|
prostate carcinoma
|
hereditary retinoblastoma
|
RB1
|
13q14.2
|
AD
|
retinoblastoma, osteosarcoma
|
hereditary nonpolyposis colon cancer (HNPCC)
|
MSH2
|
2p16
|
AD
|
colon, endometrial, ovarian, stomach, small bowel, ureter carcinoma
|
MLH1
|
3p21.3
|
|
MSH6
|
2p16
|
|
PMS2
|
7p22
|
|
hereditary papillary renal carcinoma
|
MET
|
7q31
|
AD
|
papillary renal tumor
|
juvenile polyposis
|
SMAD4
|
18q21
|
AD
|
gastrointestinal, pancreatic cancers
|
Li-Fraumeni
|
TP53
|
17p13.1
|
AD
|
sarcoma, breast cancer
|
multiple endocrine neoplasia type 1
|
MEN1
|
11q13
|
AD
|
parathyroid, endocrine, pancreas, and pituitary
|
multiple endocrine neoplasia type 2a
|
RET
|
10q11.2
|
AD
|
medullary thyroid carcinoma, pheochromocytoma
|
neurofibromatosis type 1
|
NF1
|
17q11.2
|
AD
|
neurofibroma, neurofibrosarcoma, brain tumor
|
neurofibromatosis type 2
|
NF2
|
22q12.2
|
AD
|
vestibular schwannoma, meningioma, spine
|
nevoid basal cell carcinoma syndrome (Gorlin's syndrome)
|
PTCH
|
9q22.3
|
AD
|
basal cell carcinoma, medulloblastoma, jaw cysts
|
tuberous sclerosis
|
TSC1
|
9q34
|
AD
|
angiofibroma, renal angiomyolipoma
|
TSC2
|
16p13.3
|
|
von Hippel–Lindau
|
VHL
|
3p25-26
|
AD
|
kidney, cerebellum, pheochromocytoma
|
- 癌遺伝子、癌抑制遺伝子
癌の危険因子
- 生活習慣病#生活習慣病などのリスクファクターを改変
[★]
- 英
- urinary bladder (M,N), bladder (Z)
- ラ
- vesica urinaria
- 関
- 膀胱容量
組織
- 粘膜には多くのヒダが存在し、膀胱が伸展すると消える (HIS.388)
- 被蓋細胞+移行上皮細胞 (HIS.388)
血管(M.210)