- 英
- vincristine, VCR
- 同
- 硫酸リューロクリスチン leurocristine sulfate
- 化
- 硫酸ビンクリスチン vincristine sulfate
- 商
- ONCO-TCS、ONCOVIN、VINCASAR PFS、オンコビン oncovin
- 関
- first aid step1 2006 p.84,310
特徴
構造
作用機序
- M-phase-specific alkaloids that bind to tubulin and block polymerization of microtubules so that mitotic spindle cannot form (first aid step1 2006 p.310)
適応
- part of the MOPP (Oncovin [vincristine]) regimen for lymphoma, Wilms' tumor, choriocarcinoma(first aid step1 2006 p.310)
- MAPP regimen for Hodgkin disease, ALL lymphoma, CNS tumer, sarcoma, Wilms tumor
効能又は効果
副作用
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/02/08 15:30:41」(JST)
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ビンクリスチン
|
IUPAC命名法による物質名 |
methyl (1R,9R,10S,11R,12R,19R)-11-(acetyloxy)-12-ethyl-4-
[(13S,15S,17S)-17-ethyl-17-hydroxy-13-(methoxycarbonyl)-1,11-diazatetracyclo[13.3.1.0 4,12.05,10]nonadeca-4(12),5,7,9-tetraen-13-yl]-8-formyl-10-hydroxy-5-methoxy-8, 16-diazapentacyclo[10.6.1.01,9.02,7. 016,19]nonadeca-2,4,6,13-tetraene-10-carboxylate
|
臨床データ |
胎児危険度分類 |
D(AU) D(US) |
法的規制 |
℞ Prescription only |
投与方法 |
Exclusively intravenous |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
n/a |
血漿タンパク結合 |
~75% |
代謝 |
Hepatic |
半減期 |
19 to 155 hours |
排泄 |
Mostly biliary, 10% in urine |
識別 |
CAS登録番号 |
57-22-7 |
ATCコード |
L01CA02 |
PubChem |
CID 5978 |
DrugBank |
APRD00495 |
ChemSpider |
5758 |
KEGG |
D08679 |
化学的データ |
化学式 |
C46H56N4O10 |
分子量 |
824.958 g/mol |
ビンクリスチン(Vincristine、商品名オンコビン)は、抗癌剤。微小管の重合反応を阻害することにより、細胞の有糸分裂を阻害する。軟部腫瘍、血液腫瘍などに対してよく使われる。
主な副作用として、すべての抗癌剤に共通する骨髄抑制・粘膜障害・脱毛のほか、神経毒性がある。これは神経細胞において微小管輸送が重要だからと考えられる。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 古川 雄祐,平岡 信弥,和田 妙子,菊池 次郎,加納 康彦
- 日本薬理学雑誌 138(1), 26-32, 2011
- … ・難治例が適応となっているが,初発の低悪性度非ホジキンリンパ腫を対象としてリツキシマブ+ベンダムスチンと現在の標準的治療であるリツキシマブ+CHOP(シクロフォスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾロン)を比較する第III相試験が行われ,無増悪生存期間の中央値において前者が有意に優れていた.さらに現在,中悪性度非ホジキンリンパ腫(びまん性大細胞性リンパ腫,末梢性T細胞リ …
- NAID 130000760428
- CVD(シクロフォスファミド・ビンクリスチン・ダカルバジン)療法にαメチルチロシンを併用した悪性褐色細胞腫の1例
- 永田 仁夫,高山 達也,西島 誠聡,麦谷 荘一,牛山 知己,大園 誠一郎
- 日本泌尿器科學會雜誌 101(4), 615-618, 2010-05-20
- 症例は31歳女性.尿中カテコラミンの上昇と^<131>I-MIBGシンチグラフィーでの副腎,全身骨への集積を認め,悪性褐色細胞腫と診断された.CVD療法を開始したが,9コース施行後に悪化したため,カテコラミン産生抑制と抗腫瘍効果を期待してα-methyl-p-tyrosine(以下,αMT)を追加した.CVD25コース後に再度悪化したため^<131>I-MIBG療法予定した …
- NAID 110007619531
- 口腔悪性黒色腫に対するDAVFeron療法による急性の重篤な薬剤性血小板減少症の1例
- 鎌谷 宇明,朽名 智彦,佐藤 大典,吉濱 泰斗,近藤 誠二,代田 達夫,新谷 悟
- 歯科薬物療法 30(1), 25-28, 2010
- … 症は稀な疾患であるも重篤な副作用であり,時として適切な処置を施さなければ致命的である.我々は70歳の日本人女性の口腔悪性黒色腫(T2N0M0,Stage II)に対し,ダカルバジン,塩酸ニムスチン,硫酸ビンクリスチン,インターフェロンβ(DAVFeron)療法を3クール施行したところ,血小板輸血を必要とする急性の重篤な血小板減少症が生じた.数日後には血小板は回復し,その後12ヶ月間再発はなかった.骨髄抑制は否 …
- NAID 130000857040
- P1-226 硫酸ビンクリスチン投与法の変更による注射部位反応(静脈炎)の軽減(一般演題 ポスター発表,がん薬物療法(副作用対策),医療薬学の創る未来 科学と臨床の融合)
Related Links
- ビンクリスチン(オンコビン)は細胞分裂の際に、染色体を新しい細胞に移す役目をする微小管の働きを阻害することで、抗腫瘍効果を発揮します。多剤との併用によりさまざまながん治療に用いられており、とくに小児がんでは ...
- オンコビン(ビンクリスチン)の作用機序:抗がん剤 がんは日本人の死亡原因の一位であるにも関わらず、その治療は難しいことで知られています。完治するにも早期発見である必要があり、症状が進行してしまうほど治療が難しく ...
- 通常、ビンクリスチン硫酸塩として小児0.05~0.1mg/kg、 成人0.02~0.05mg/kgを週1回静脈注射する。ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものと する。2.多発性骨髄腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場 合 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
オンコビン注射用1mg
組成
- オンコビン注射用1mgは、1バイアル中に次の成分を含有する。
有効成分・含有量
添加物・含有量
禁忌
(次の患者又は部位には投与しないこと)
次の患者には投与しないこと
- 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者
- 脱髄性シャルコー・マリー・トゥース病の患者
[「重要な基本的注意」の項参照]
次の部位には投与しないこと
髄腔内
効能または効果
- 白血病(急性白血病、慢性白血病の急性転化時を含む)
- 悪性リンパ腫(細網肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病)
- 小児腫瘍(神経芽腫、ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、睾丸胎児性癌、血管肉腫等)
- 以下の悪性腫瘍に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法
- 多発性骨髄腫
- 悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫
- 通常、ビンクリスチン硫酸塩として小児0.05?0.1mg/kg、成人0.02?0.05mg/kgを週1回静脈注射する。
ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。
多発性骨髄腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
- ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、標準的なビンクリスチン硫酸塩の投与量及び投与方法は、1日量0.4mgを24時間持続静脈注射する。これを4日間連続で行い、その後17?24日間休薬する。これを1クールとし、投与を繰り返す。
悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法の場合
- ビンクリスチン硫酸塩として1.4mg/m2(体表面積)を、2回静脈注射する。1回目の投与の3週間後に2回目の投与を行い、6?8週を1クールとし、投与を繰り返す。
ただし、副作用を避けるため、1回量2mgを超えないものとする。
- 外国では体重10kg以下の小児への初期投与量を0.05mg/kg週1回静脈注射すべきであるとされている。
- ドキソルビシン塩酸塩、デキサメタゾンリン酸エステルナトリウムとの併用において、24時間持続静脈注射を実施する場合は、中心静脈カテーテルを留置して投与すること。
- 悪性星細胞腫、乏突起膠腫成分を有する神経膠腫に対する他の抗悪性腫瘍剤との併用療法(プロカルバジン塩酸塩、ニムスチン塩酸塩、ビンクリスチン硫酸塩)においては、併用薬剤の添付文書及び関連文献(「抗がん剤報告書:プロカルバジン塩酸塩(脳腫瘍)」、「抗がん剤報告書:ビンクリスチン硫酸塩(脳腫瘍)」等)を熟読すること。
慎重投与
- 肝障害のある患者
[本剤の代謝及び排泄が遅延し副作用が増強する可能性がある。]
- 腎障害のある患者
- 骨髄抑制のある患者
[本剤には骨髄抑制作用がある。]
- 感染症を合併している患者
[本剤には骨髄抑制作用があり、感染症を増悪させることがある。]
- 神経・筋疾患の既往歴のある患者
[末梢神経障害及び筋障害が強くあらわれることがある。]
- 虚血性心疾患のある患者
[心筋虚血症状が強くあらわれることがある。]
- 水痘患者
[致命的な全身障害があらわれることがある。]
- 高齢者
[「高齢者への投与」の項参照]
重大な副作用
末梢神経障害(神経麻痺、筋麻痺、痙攣等)
(頻度不明)
- 運動性ニューロパチー(筋麻痺、運動失調、歩行困難、痙攣、言語障害、筋萎縮等)、感覚性ニューロパチー(知覚異常、知覚消失、しびれ感、神経痛、疼痛等)、自律神経性ニューロパチー(起立性低血圧、尿閉等)、脳神経障害(視神経萎縮、味覚障害、眩暈、眼振等の平衡感覚障害等)、下肢深部反射の減弱・消失等があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には減量、休薬、中止等の適切な処置を行うこと。
骨髄抑制
(頻度不明)
- 汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血があらわれることがある。異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。なお、致命的な感染症(敗血症、肺炎等)や臓器出血等に至った報告がある。
錯乱、昏睡
(頻度不明)
- 倦怠感、錯乱、昏睡、神経過敏、抑うつ、意識障害等があらわれることがある。
イレウス
(頻度不明)
- 腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹痛、腹部膨満あるいは腹部弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)をきたし、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には投与を中止し、腸管減圧法等の適切な処置を行うこと。
消化管出血、消化管穿孔
(頻度不明)
- 消化管出血や消化管穿孔があらわれることがあり、致命的な出血や腹膜炎に至ることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)
(頻度不明)
- 低ナトリウム血症、低浸透圧血症、尿中ナトリウム増加、高張尿、意識障害等を伴う抗利尿ホルモン不適合分泌症候群があらわれることがあるので、異常が認められた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等の適切な処置を行うこと。
アナフィラキシー様症状
(頻度不明)
- アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがあるので、このような症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
心筋虚血
(頻度不明)
- 心筋梗塞、狭心症、心電図上虚血所見が発現したとの報告がある。
脳梗塞
(頻度不明)
難聴
(頻度不明)
呼吸困難及び気管支痙攣
(頻度不明)
- 呼吸困難及び気管支痙攣が発現したこと、また、これらの症状はビンカアルカロイド製剤とマイトマイシンCとの併用時に発現しやすいことが報告されている。このような症状が発現した場合には本剤の投与を中止すること。
間質性肺炎
(頻度不明)
- 間質性肺炎があらわれることがあるので異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害、黄疸
(頻度不明)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には本剤の投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
動物移植性腫瘍に対する抗腫瘍効果5)
- 本剤はマウスのP-1534白血病、S-180腹水型腫瘍及びB-82A白血病に対して著明な生存日数の延長をもたらし、また、マウスのRidgeway骨肉腫に対しても、明らかな腫瘍増殖抑制効果を示した。
細胞学的効果6),7)
- 細胞の有糸分裂の中期に紡錘体へ作用し、典型的な中期停止(metaphase arrest)像を示す。
作用機序8)
- 本剤の作用機序の詳細はまだ明らかにされていないが、紡錘体を形成している微小管のチュブリンに結合することにより、細胞周期を分裂中期で停止させると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ビンクリスチン硫酸塩
Vincristine Sulfate
(初期にはLeurocristineの名称で記載された。)
略号
化学名
- Methyl(3aR,4R,5S,5aR,10bR,13aR)-4-acetoxy-3a-ethyl-9-[(5S,7S,9S)-5-ethyl-5-hydroxy-9-methoxycarbonyl-1,4,5,6,7,8,9,10-octahydro-3,7-methano-3-azacycloundecino[5,4-b]indol-9-yl]-6-formyl-5-hydroxy-8-methoxy-3a,4,5,5a,6,11,12,13a-octahydro-1H-indolizino[8,1-cd]carbazole-5-carboxylate monosulfate
分子式
分子量
性状
- ビンクリスチン硫酸塩は、白色?淡黄白色の粉末である。
水に極めて溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。吸湿性である。
★リンクテーブル★
[★]
- 6歳の男児。けいれんのため搬入された。5日前に発熱と咽頭痛とを認め、伝染性単核球症と診断されていた。本日、早朝に全身のけいれんを認めたため救急搬送された。来院時、けいれんはなく意識は清明。体温 38.5℃。脈拍 120/分、整。呼吸数 24/分。心音と呼吸音とに異常を認めない。肝を右季肋下に4cm、脾を左季肋下に5cm触知する。尿中β2-マイクログロブリン 23,000ng/L(基準 230以下)。血液所見:Hb 12.1g/dL、白血球 2,200(桿状核好中球 34%、分葉核好中球 38%、単球 3%、リンパ球 15%、異型リンパ球 10%)、血小板 6.0万、APTT 45.2秒(基準対照 32.2)、血清FDP 80ng/mL(基準 10以下)、Dダイマー 30ng/mL(基準 1.0以下)。血液生化学所見:AST 386IU/L、ALT 341IU/L、LD 2,594IU/L(基準 176~353)、フェリチン 5,000ng/mL(基準 28~280)。
- 治療薬はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109A037]←[国試_109]→[109A039]
[★]
- 24歳の女性。発熱と頸部腫瘤を主訴に来院した。2か月前から左頸部腫瘤を自覚していた。2週間前に発熱と寝汗が出現し、改善しないため受診した。6か月で7kgの体重減少があった。体温 37.8℃。脈拍 96/分、整。左頸部、左鎖骨上窩および両側鼠径部に弾性硬、圧痛のない径2~3cmのリンパ節を4個触知する。左頸部リンパ節の生検組織のH-E染色標本(別冊No. 6)を別に示す。免疫染色ではCD30陽性の細胞を認める。
- この患者に行う治療に含むべき薬剤はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113C046]←[国試_113]→[113C048]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
- 英
- multiple myeloma, MM
- 同
- 形質細胞性骨髄腫、plasma cell myeloma、カーラー病 Kahler disease、カーラー-ボゾーロ症候群 Kahler-Bozzolo syndrome
- 関
- 単クローン性免疫グロブリン血症
- first aid step1 2006 p.219,296
概念
- 免疫グロブリン産生細胞である形質細胞が腫瘍化し、骨髄を主体として増殖する疾患
病因
- 腫瘍細胞の増殖と生存:形質細胞と骨髄間質細胞の産生するIL-6の作用による (APT.77)
- 遺伝子、染色体:t(4;15), which jyxtaposes the IgH locus with fibroblast growth factor receptor 3(FGFR3) gene
疫学
- 罹患率:10万人に対して約2人
- 60歳以上の高齢者に多い。50-60歳でピーク
病変形成&病理
症候
- 全身倦怠、貧血 ← 貧血による症状
- 腰痛
- (進行した例)
- 病的骨折や骨融解(骨融解像)などの骨病変 →腰痛・背部痛、高カルシウム血症
- 腎機能障害:蛋白尿
骨病変 (WCH.2561)
- 骨病変は少なくとも70%の患者に見られ、精度の高い検査方法では殆どの患者で発病変が見いだされる。四肢が冒されるかもしれないが、もっとも頻度が高いのは脊柱である。動きや体重の加重により痛みが増悪するのが特徴である。
- 椎体圧迫骨折や腫瘤により脊椎圧迫症状をきたしうる → 対麻痺、膀胱直腸症状
腰痛 (WCH.2561)
- 5-10%の患者で背中痛を訴える。この痛みは動きと関連しており、咳、くしゃみ、体重の加重によって悪化する。患者は堅苦しく歩き、検査台やx線の台の乗り降りをするのが非常に困難である。
合併症
検査
血算
- 赤血球:中程度の正球性赤血球貧血
- ときに、白血球減少・血小板減少
血液生化学
- 血清総蛋白量:増加
- アルブミン:減少
- γグロブリン(=免疫グロブリン)↑
- 血清蛋白分画Mスパイク出現
- 腫瘍化した形質細胞(骨髄腫細胞)がIgG、IgA、IgD、IgEを産生 (IgMを単クローン性に産生する場合は別の病名がつく。)
血液塗沫標本
- 赤血球の連銭形成:M蛋白(γグロブリンは正に帯電。Mタンパクもおそらく正に帯電)
- 骨髄腫細胞は稀 → 多数なら形質細胞性白血病
免疫グロブリン
骨髄検査
- CD38(+), CD56(+), CD19(-)。(⇔正常な形質細胞:CD56(-), CD19(+)
- 多発性骨髄腫においてCD56(+)は70%、CD56(-)は30%
骨髄穿刺
- 異型性の形質細胞が有核細胞の10%以上認められ,細胞表面抗原検査にて単クローン性形質細胞と同定されることによりなされる。
- →血清中に単クローン性免疫グロブリン↑(=M蛋白)
- 尿中に免疫グロブリンのL鎖(κ,λ鎖)出現
- ベンス・ジョーンズタンパク質
血清蛋白電気泳動
- ガンマグロブリン分画に急峻なピーク(M-peak)
[show details]
尿検査
単純X写真
- 頭部:頭蓋骨の打ち抜き像 punched-out lesion
- 腰部:脊椎の圧迫骨折
[show details]
骨シンチグラム
診断
診断基準(2003年)
- Mタンパク + (高カルシウム血症 + 腎機能障害 + 貧血 + 骨病変) CRAB(calcium, renal insufficiency, anemia, bone lesion)
病期
- 参考3 YN.G-68
- International staging system, ISSが未知いられる。
- 血清アルブミンとβ2ミクログロブリンの値で予後を予測する者である。
- Stage I:アルブミン3.5g/dl以上、β2ミクログロブリン3.5mg/L未満
- Stage II: Stage I ~ Stage III
- Stage III: β2ミクログロブリン5.5以上
- Stage別平均余命:I 62ヶ月、II 44ヶ月、III 29ヶ月
治療
- (参考1)
- 治療方針:初期治療、維持療法、再発・難反応期治療がある。
- 初期治療:
- 化学療法:MP療法と多剤併用療法があるが、後者は奏効率は高いが生存期間延長効果がないため、一般的にはMP療法を行う。化学療法のみで治癒は困難であり、プラトー(臓器障害を認めない状態が3ヶ月以上持続)に達した後に維持療法を行う。
-
- インターフェロン:無事象生存期間、全生存期間の中央値はそれぞれ6ヶ月、7ヶ月の延長効果があったが、副作用を考慮し必ずしも推奨されない。
- プレドニゾロン:50mg投与隔日投与でで有効性が認められたが、副作用の発現リスクが高くなるため日本ではあまり行われていない。
- サリドマイド(認可??):単剤で30%、デキサメタゾンとの併用で40-50%、化学療法との併用では50-60%の奏効率が報告されている。
- ボルテゾミブ(認可??):デキサメタゾンとの併用が推奨されている。副作用は末梢神経障害、血小板減少。
- レナリドマイド(認可??):サリドマイド誘導体。サリドマイドに比べて効果は高く、末梢神経障害、消化器症状、神経症状、DVT等の副作用が軽い。
-
- 口渇・意識障害など明らかな臨床症状:生理食塩水+ビスホスホネート点滴静注。ステロイドやカルシトニンを併用すると有効な場合もある。
- 腎障害:M蛋白による尿細管の障害、高カルシウム血症、高尿酸血症、アミロイドーシス、尿路感染症、骨髄腫細胞浸潤などで腎障害をきたす。輸液、アシドーシス補正、電解質補正、血液透析。腎障害がある場合の化学療法には腎障害の少ないVAD療法()かデキサメタゾン大量療法が推奨される。
- 心臓、腎臓、消化管、舌等の臓器に沈着し、臓器障害をきたす。約30%の症例にみられるが、有償状は10%未満。予後を規定する心機能をモニターするため、心エコーでフォローする。アミロイドーシス自体に対する有効な治療はなく、原疾患の治療を早くすることが必要である。
参考
- http://ganjoho.jp/public/cancer/data/myeloma_therapy.html
- 2. [charged] 多発性骨髄腫の臨床的特徴、検査所見、および診断 - uptodate [1]
- 3. [charged] 多発性骨髄腫における病期分類および予後研究 - uptodate [2]
国試
[★]
- 英
- vasopressin VP
- 同
- バゾプレッシン, arginine vasopressin AVP、抗利尿ホルモン antidiuretic hormon ADH
- 商
- ピトレシン Pitressin
- 関
- デスモプレシン、尿細管
[show details]
分類
性状
産生組織
- PED. 1328
標的組織
- 腎臓の集合管
- 腎臓の細い上行脚、太い上行脚、接合尿細管にも作用する (SP.816)
生理作用
- 血管平滑筋の収縮(V1受容体)
- V1受容体は抗利尿作用を示すより大用量で動作(SAN.189) ← 生理的な量では血管収縮による血圧上昇はない。
- 髄質内層集合管で尿素の再吸収を高める(SP.817)
作用機序
抗利尿作用
|
集合管上皮細胞
|
V2R
|
血管平滑筋収縮(昇圧作用)
|
血管内皮
|
V1R
|
分泌調節
- 血漿浸透圧↑、循環血漿量↓→分泌↑ ( 出血 )
- 血漿浸透圧↓、循環血漿量↑→分泌↓ ( 水の大量摂取 )
ADH分泌促進/作用増強する薬物
- QB.D-331
ADHの作用を修飾する物質
- 糖質コルチコイド:水代謝作用(水利尿):GFR↑させたりADHに拮抗することで細胞内への水移動を抑制する
癌患者とADH
- 日腎会誌 2012:54(7):1016-1022
- Ellison DH, Berl T. Clinical practice. The syndrome of inappropriate antidiuresis. NEJM. 2007;356:2064-2072. PMID 17507705
- 異所性ADH産生腫瘍、抗悪性腫瘍薬の副作用、手術侵襲、嘔気・嘔吐、疼痛
分子機構
ここまで、2007後期生理学授業プリント&想像 でまとめた
- 集合管の上皮の基底側に発現していると思われるV(75%){2};Rを介して、アクアポリン2(AQP2)が発現して尿細管腔側に局在、アクアポリン2から水を細胞内に取り込み、アクアポリン3を介して細胞基底側(血管腔)に水が移動する (2007後期生理学授業プリント, SP.817 図12-63)
- 以下の記述と矛盾する気がする・・・
- 水輸送体apuaporin1(AQP1)に作用して集合管における水透過性を高める(SP.817)。
効能又は効果
- ピトレシン注射液20
薬効薬理
- ピトレシン注射液20
- 遠位尿細管における水の再吸収を促進することにより、抗利尿作用を発揮する1)。
- 腹部内臓の細動脈を収縮させ、門脈血流を減少させるので、一時的に門脈圧が下降するため、門脈圧亢進による食道出血時に止血作用を発揮する。
副作用
- ピトレシン注射液20
- 血管収縮による血圧上昇、狭心症、腹痛がありうる。(QB.D-357)
- 重大な副作用:ショック、横紋筋融解症、心不全・心拍動停止、精神錯乱・昏睡、水中毒、中枢神経障害(中心性橋脱髄症)、無償、心室頻拍
禁忌
- ピトレシン注射液20
- 1. 本剤の成分に対しアナフィラキシー又は過敏症の既往歴のある患者
- 2. 冠動脈硬化症 (心筋梗塞症、狭心症等) の患者[心筋虚血を延長させることがある。]
- 3. 急速な細胞外水分の増加が危険となるような病態 (心不全、喘息、妊娠中毒症、片頭痛、てんかん等) のある患者[水中毒を起こすことにより、それらの病態を悪化させるおそれがある。]
- 4. 血中窒素貯留のある慢性腎炎の患者[水分貯留を起こすことにより、血中窒素の排泄が抑制されるおそれがある。]
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2414402A1035_1_02/2414402A1035_1_02?view=body
臨床検査
基準値
- 0.3-4.2pg/ml (RIA2抗体法) (検査の本)
- 0.3-4.0pg/ml (RIA2抗体法) (LAB.695)
[★]
- 英
- syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone, (国試)SIADH
- syndrome of inappropriate secretion of antidiuresis, SIAD
- 同
- 抗利尿ホルモン不適合分泌、ADH不適合分泌症候群 inappropriate antidiuretic hormone secretion inappropriate secretion of antidiuretic hormone syndrome inappropriate ADH syndrome IADHS、シュワルツ・バーター症候群 Schwartz-Bartter syndrome。抗利尿ホルモン分泌異常症。不適切ADH分泌症候群
- syndrome of inappropriate ADH、syndrome of inappropriate ADH secretion、syndrome of inappropriate antidiuretic hormone、syndrome of inappropriate antidiuretic hormone secretion、syndrome of inappropriate diuresis、syndrome of inappropriate secretion of ADH、syndrome of inappropriate secretion of antidiuretic hormone
- 関
- バソプレシン AVP
病因
- 1. 抗利尿ホルモンが分泌される血漿浸透圧の閾値が異常となっている ← セットポイントの異常
- 2. 何らかの原因によって、恒常的に抗利尿ホルモンが分泌されている
HIM.2222改変
- 癌腫:肺、十二指腸、膵臓、卵巣、膀胱・尿路系
- その他:胸腺腫、中皮腫、気管支腺腫、カルチノイド、gangliocytoma、ユーイング肉腫
- 頭部外傷
- 感染症
- 血管障害
- 神経疾患
- 先天奇形
- 代謝異常
- 薬剤性
病態生理
- なぜ、waterのreabsorptionが増えるにもかかわらず、血圧が上昇しないの?
- HIM.2222
- 何らかの原因による不適切な抗利尿ホルモンの分泌 → 水の過剰な保持 →
- 1. → 細胞外液の増加 → (1)糸球体濾過量の増加と心房性利尿ペプチドの分泌、(2)レニン活性の抑制(supresses plasma renin activity)、(3)尿ナトリウム排泄の増加
- 細胞外液の増加を相殺しているが、その代償としてナトリウムを喪失し、低ナトリウム血症の増悪に繋がっている。 ← このために血圧は正常で、浮腫も起きないし、体液量も増えないと。
- 2. → 低ナトリウム血症 → 脳を含めた全身の細胞内液の増加 → 頭蓋内圧が亢進 → 急性水中毒症状
- 2-3日で脳の組織から水が排除されて症状が寛解する。
- 上記メカニズムに追加。
- 3. 1.の通り、循環血漿量の増加を招き、RAA系抑制などが起こる → 近位尿細管でのNa、水吸収低下(近位尿細管でのNa再吸収にはアンジオテンシンIIが関与) → 尿酸の再吸収低下、尿排泄増加(近位尿細管での挙動はNa、水と同じ、らしい) → 低尿酸血症
症状
- 低ナトリウム血症に基づくもの
- 尿量は変化がない ← 水の再吸収が亢進しているため??
検査
診断基準
- 1.低ナトリウム血症:血清ナトリウム濃度は135mEq/Lを下回る。
- 2.血漿バゾプレシン値:血清ナトリウムが135mEq/L未満で、血漿バゾプレシソ値が測定感度以上である。
- 3.低浸透圧血症:血漿浸透圧は280mOsm/kgを下回る。 ← 基準値:275-295 mOsmol/kg serum water(HIM.A)
- 4.高張尿:尿浸透圧は300mOsm/kgを上回る。 ← 基準値:50-1200 mOsm/l (QB) , 500-800 mOsmol/kg water(HIM.A)
- 5.ナトリウム利尿の持続:尿中ナトリウム濃度は20mEq/L以上である。
- 6.腎機能正常:血清クレアチニンは1.2mg/dl以下である。
- 7.副腎皮質機能正常:早朝空腹時の血清コルチゾールは6μg/dl以上である。
鑑別診断
治療
- 参考1
- 1.根治療 : 原疾患の治療を行う。
- 2.水分摂取制限: 1日の総水分摂取量を体重1 kg当り15~20 mlに制限する。
- 3.Na摂取 :食塩を経口的または非経口的に1日200 mEq以上投与する。
- 4. 自由水排泄 :重症低ナトリウム血症(120 mEq/L以下)で中枢神経系症状を伴うなど速やかな治療を必要とする場合はフロセミドを随時10~20 mg静脈内に投与し、尿中ナトリウム排泄量に相当する3%食塩水を投与する。その際、橋中心髄鞘崩壊を防止するために1日の血清ナトリウム濃度上昇は10 mEq/L以下とする。
- 5.ADH拮抗阻害薬:異所性バゾプレシン産生腫瘍に原因し、既存の治療で効果不十分な場合に限り、成人にはモザバプタン塩酸塩錠(30 mg)を1日1回1錠食後に経口投与する。投与開始3日間で有効性が認められた場合に限り、引き続き7日間まで継続投与することができる。
- 6.ADH拮抗阻害薬:デメクロサイクリンを1日600~1,200 mg経口投与する。
- 注意:急速な低Na血症の補正は橋中心髄鞘崩壊 CPMをきたす。
- ADH拮抗薬としては抗菌薬のデメクロサイクリン(レダマイシン)や抗てんかん薬のジフェニルヒダントイン(フェニトイン)が使われることがあった
参考
- http://square.umin.ac.jp/endocrine/tebiki/001/001008.pdf
国試
- 同
- 不適切ADH分泌症候群
[★]
- 英
- acute leukemia, AL
- 関
- 白血病、FAB分類
概念
分類
- 急性リンパ性白血病:MPO染色において(leukemic blastの)3%未満が陽性の場合
- 急性骨髄性白血病 :MPO染色において(leukemic blastの)3%以上が陽性の場合
M0
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minimally differentiated acute myeloblastic leukemia
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AML
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M1
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acute myeloblastic leukemia, without maturation
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M2
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acute myeloblastic leukemia, with granulocytic maturation
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M3
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promyelocytic, or acute promyelocytic leukemia
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APL
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M4
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急性骨髄単球性白血病
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acute myelomonocytic leukemia
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AMMoL
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M4eo
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myelomonocytic together with bone marrow eosinophilia
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M5
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M5a
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急性単芽球性白血病
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acute monoblastic leukemia
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AMoL
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M5b
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急性単球性白血病
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acute monocytic leukemia
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M6
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M6a
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赤白血病
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acute erythroid leukemias, including erythroleukemia
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M6b
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and very rare pure erythroid leukemia
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M7
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急性巨核芽球性白血病
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acute megakaryoblastic leukemia
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M8
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急性好塩基球性白血病
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acute basophilic leukemia
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L1
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小細胞型
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L2
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大細胞型
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L3
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Burkitt型
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病態
- 白血球系芽球の腫瘍性増殖
- 骨髄機能障害
- 腫瘍細胞の臓器浸潤
- 腫瘍細胞の破壊亢進
徴候
- 全身:息切れ、全身倦怠感、発熱(免疫力低下による感染症、腫瘍細胞の崩壊)
- 皮膚:点状出血、紫斑
- 口腔内:歯肉出血
- 骨・関節:骨痛、関節痛 ← 腫瘍細胞の関節への浸潤
- 肝臓・脾臓:肝脾腫
- リンパ節:腫脹(頚部リンパ節、鼡径リンパ節)
- 唾液腺:顎下唾液腺腫大
検査
治療
小児
- 化学療法:小児のALLでは著効する
- 骨髄移植:小児のALLでは再発例に行う
成人
急性骨髄性白血病
急性前骨髄球性白血病
急性リンパ性白血病
- VACAP
予後
小児急性白血病の予後不良因子
- YN.G-44改変
小児急性白血病の予後不良因子
- 1. 年齢:1歳以下、10歳以上
- 2. 男児
- 3. FAB分類:L2, L3
- 4. 非リンパ球性
- 5. WBC:2万以上
- 6. Ph染色体 t(9;22) (小児のALLの数%)
成人急性白血病の予後不良因子
- YN.G-44改変
AMLの予後不良因子
- 染色体核型、年齢、初発時白血球数、FAB分類、3系統の形態異常、二次性白血病
NCCNガイドラインに基づくAMLの予後分類
- 参考1
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染色体核型
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遺伝子異常
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予後良好群
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inv(16), t(8;21), t(15;17)(付加的染色体異常の有無を問わない)
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正常核型におけるNPM1のみの異常
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中間群
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正常核型, +8, t(9;11),その他の予後良好にも不良にも属さない染色体異常
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t(8;21), inv(16)患者におけるc-kit異常
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予後不良群
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複雑核型(3以上の異常), -5, -7, 5q-, 7q-,11q23異常(t(9;11)を除く), inv(3), t(3;3),t(6;9), t(9;22)
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正常核型におけるFLT3-ITDのみの異常
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参考
- 1. 造血細胞移植ガイドライン - 急性骨髄性白血病
- http://www.jshct.com/guideline/pdf/2009AML.pdf
[★]
- 英
- paclitaxel
- 商
- タキソール taxol TXL、(アルブミン添加)アブラキサン
- 関
- 抗悪性腫瘍薬
分類
適応
- パクリタキセル注
- 卵巣癌、非小細胞肺癌、乳癌、胃癌、子宮体癌、再発又は遠隔転移を有する頭頸部癌、再発又は遠隔転移を有する食道癌、血管肉腫、進行又は再発の子宮頸癌
作用機序
- チューブリンの脱重合を抑制して、中間径フィラメントを安定化させることで有糸分裂期(M期)を停止させ、これにより細胞分裂を阻害 (⇔ ビンクリスチン)
重要な基本的注意
- 骨髄抑制。過敏反応。低血圧、高血圧、徐脈。関節痛(高頻度)、筋肉痛(高頻度)。発熱(高頻度)。末梢神経障害(高頻度)。感染症、出血傾向。
重大な副作用
[★]
- 英
- squirrel
- 関
- シマリス、リス科、ジリス属、プレーリードッグ
[★]
- 英
- bottle
- 関
- ビンづめ