出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2017/12/06 04:24:31」(JST)
肝炎 | |
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アルコール性肝炎
|
|
分類および外部参照情報 | |
診療科・ 学術分野 |
消化器学 |
ICD-10 | K75.9 |
ICD-9-CM | 573.3 |
DiseasesDB | 20061 |
MeSH | D006505 |
肝炎(かんえん、英語:Hepatitis)は、何らかの原因で肝臓に炎症が起こり発熱、黄疸、全身倦怠感などの症状を来たす疾患の総称である。日本ではウイルス性による肝炎が80%を占める。日本では特にA、B、C型が多い[要出典]。
肝炎の主な原因には以下が存在する。
肝炎ウイルスによる肝炎発症の機序は、ウイルス自体が肝細胞を破壊するために起こるのではなく、肝細胞内で増殖しているウイルスに対する生体の免疫反応によって、ウイルスだけではなく肝細胞も一緒に障害を受けてしまうことによる。
肝の急性の炎症。頻度としてはA型肝炎が多く、一過性に重篤な肝障害、劇症肝炎を起こすことがある。また、成人発症のB型肝炎もほとんどは急性肝炎で発症する。HBVによる慢性肝炎も有名であるが、これは垂直感染によってキャリア化した場合がほとんどである。ただし、キャリアが急性増悪を起こし、急性肝炎のような経過を取ることはよくある。また、薬剤性肝障害も急性の発症をする。アルコール性肝障害のひとつであるアルコール性肝炎も急性肝炎の発症をする。アルコール性肝炎は劇症肝炎に近い経過をとることも多く、急性膵炎と同様、非常に重篤な病態である。ウィルソン病、バッド・キアリ症候群は急性、慢性両方の経過を取りえる。
発症後8週間以内に高度の肝機能異常、肝性昏睡II度以上を来たし、プロトロンビン時間が40%以下であるものを指す(第12回犬山シンポジウム、1981年)。肝性脳症による昏睡出現までの期間で「急性型」と「亜急性型」に分類される。
亜急性型のほうが急性型と比較して圧倒的に予後が悪い。亜急性型劇症肝炎の救命率は未だに10%程度である。基本的に、急性型はA型肝炎ウイルス(HAV)、B型肝炎ウイルス(HBV)が原因であることが多いが、亜急性型は原因不明であることが多く、両者は別疾患であるのではないかと考える学者もいる。亜急性型では予後が悪いとわかっているので肝移植を検討することが多い。また、劇症肝炎は有効な内科的治療法がほとんど確立していない。血漿交換、ステロイド、グルカゴン・インスリン療法など一応治療法と呼ばれるものはあるが、効果の無さは救命率が示している。劇症肝炎の合併症としては消化管出血、脳浮腫、DICなどがあげられる。
総合感冒薬や解熱鎮痛薬に含まれるアセトアミノフェンは大量服薬をすると劇症肝炎を起こすことが知られている。
発症後8週以降、6ヵ月未満に肝性昏睡II度以上、プロトロンビン時間40%以下を示すものを指す。劇症肝炎亜急性型と同様に予後は悪い。
慢性肝炎とは、臨床的には6ヶ月以上の肝機能検査の異常とウイルス感染が持続している病態を指す。組織学的には、門脈域にリンパ球を主体とした細胞浸潤と線維化を認め、肝実質内には種々の程度の肝細胞の変性・壊死所見を認める。慢性肝炎の活動性は piecemeal necrosis, 小葉内細胞浸潤, 肝細胞の変性・壊死(spotty necrosis, bridging necrosisなど)によりNone(A0), Mild(A1), Moderate(A2), Severe(A3)の4段階に分ける。さらに線維化の程度により4段階、線維化なし(F0)、門脈域の線維性拡大(F1)、bridging necrosis(F2)、小葉のひずみを伴うbridging fibrosis(F3)に分ける。以上は「新犬山分類」[1](第19回犬山シンポジウム、1995年)の骨子である。また、欧米ではDesmetらの新ヨーロッパ分類も用いられている[1]。
肝硬変や肝細胞癌へと進行する恐れがある。頻度としてはC型肝炎が最も多いが、鑑別として、AST、ALTといったトランスアミナーゼ上昇が目立つ場合は自己免疫性肝炎、ALP、γ-GTPといった胆道系酵素が目立つ場合は原発性胆汁性胆管炎、原発性硬化性胆管炎を疑うべきである。B型肝炎が原因である可能性もあり、ウイルスの抗原、抗体を検査する必要がある。自己免疫性肝炎なら、抗核抗体、抗平滑筋抗体、抗肝可溶性抗原抗体を測定し、原発性胆汁性胆管炎ならば抗ミトコンドリア抗体を測定するべきである。原発性硬化性胆管炎ならば、画像所見で比較的診断をつけやすい。
一般に慢性肝機能障害では高グロブリン血症をきたすことが知られている。トランスアミナーゼの上昇が軽度で、肝の予備能が明らかに低下している肝硬変まで至らないような状況である場合は、この所見は非常に重要となる。IgG、IgMを測れば良いのであるが測定に簡便さという点で、ZTTやTTTがよく利用される。TTTは血清IgM量を、ZTTは血清IgG量を反映する。ただし、高グロブリン血症は炎症が起こっている場合は、大抵は起こる非特異的な所見である。A型肝炎ではTTTが上昇するがIgMは上昇するのだから当然である。あくまで、検査値で肝機能障害がわかりにくい場合に測定する項目である。
慢性肝炎では肝硬変の移行がないのかを確認することが重要である。具体的には血小板数、コリンエステラーゼ、アルブミン、プロトロンビン時間などで肝機能を調べつつ、血清ヒアルロン酸で肝の線維化をみて、エコーで形態変化をみる。ウイルス性肝炎の場合は肝硬変に至る前にインターフェロン治療等を行うのが望ましい。また、慢性肝炎では幅広い鉄過剰のあることが指摘されている[2]。
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A
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中枢性刺激 | 化学受容器引金帯刺激 | 薬物 | アポモルヒネ、モルヒネ、ジギタリス、抗菌薬、抗癌薬、降圧薬、アミノフイリン、コルヒチン、アルコール |
毒物 | 重金属、ガス | ||
放射線 | 各種癌治療後 | ||
感染症 | 細菌毒素 | ||
内分泌疾患 | 肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス/高血糖高浸透圧症候群、尿毒症、妊娠悪阻、妊娠高血圧症候群 | ||
代謝疾患 | 甲状腺クリーゼ、副腎不全、Addison病 | ||
直接刺激 | 脳圧亢進 | 頭部外傷、脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜炎、脳への放射線療法後 | |
脳循環障害 | ショック、低酸素脳症、脳梗塞、片頭痛、脳炎、髄膜炎 | ||
上位中枢刺激 | 神経性食思不振症、不快感、てんかん、ヒステリー、抑うつ状態、うつ病、過度の嫌悪感、不快感、拘禁反応による恐怖、ストレス、視覚・嗅覚・味覚的刺激 | ||
末梢性刺激 | 消化管疾患 | 舌咽頭疾患 | アデノイド、咽頭炎 |
食道疾患 | 胃食道逆流症、食道裂孔ヘルニア、食道癌 | ||
胃腸疾患 | 急性胃炎、急性胃十二指腸粘膜病変、急性腸炎、急性虫垂炎、消化性潰瘍、食中毒、消化管腫瘍、寄生虫、食中毒、Mallory-Weiss症候群 | ||
消化管通過障害 | 腸閉塞、胃幽門部狭窄、輸入脚症候群 | ||
腹膜疾患 | 腹膜炎 | ||
胆膵疾患 | 急性胆嚢炎、急性胆管炎、急性膵炎、膵癌、胆管癌 | ||
肝疾患 | 急性肝炎 | ||
循環器疾患 | うっ血性心不全、狭心症、急性心筋梗塞 | ||
泌尿器科疾患 | 尿路結石、腎結石、急性腎炎、腎盂腎炎、腎不全 | ||
耳鼻咽喉科疾患 | 中耳炎、Meniere病、乗り物酔い | ||
眼科疾患 | 緑内障 | ||
呼吸器科疾患 | 肺結核、胸膜炎、肺癌、咳嗽発作 | ||
婦人科疾患 | 子宮付属器炎、月経前症候群、更年期障害 | ||
脊髄疾患 | 脊髄癆、多発性硬化症 | ||
膠原病 | 結節性多発動脈炎、強皮症、側頭動脈炎 |
新生児 | 乳児 | 幼児~学童 | |
消化器疾患以外で見・落とさないよう注意する疾患 | 敗血症・髄膜炎・水頭症・脳奇形・尿路感染症 | 髄膜炎・脳炎・脳症・虐待児・尿路感染症・呼吸器感染症・心疾患・薬物中毒・誤嚥 | 脳炎・脳症・脳腫瘍・肺炎・中耳炎・頭部外傷・薬物中毒・心筋炎・不整脈 |
よくある消化器疾患 | 溢乳・空気嚥下・哺乳過誤・初期嘔吐・胃食道逆流現象・胃腸軸捻転・腸管感染症・壊死性腸炎 | 食事過誤・空気嚥下・便秘・腸管感染症・幽門狭窄症・腸重積症・胃食道逆流現象・胃長軸捻転・食事アレルギー | 腸管感染症・急性虫垂炎・肝・腹部外傷・肝炎・胆嚢炎・膵炎・腹部外傷・食事アレルギー・好酸球性胃腸症 |
主な代謝性疾患 | 先天性副腎過形成・ガラク卜ース血症 | 先天性副腎過形成・Reye症候群 | アセトン血性嘔吐症・ケトン性低血糖症・糖尿病性ケトアシドーシス・Reye症候群 |
その他 | 起立性調節障害・神経性食思不振症 | ||
外科的疾患 | 食道閉鎖・狭窄症・胃軸捻転・十二指腸閉鎖・狭窄症・腸回転異常・捻転・小腸閉鎖症・Hirschsprung病・胎便性イレウス・稀に腸重積・肥厚性幽門狭窄・特発性腸管偽性閉鎖症 | 肥厚性幽門狭窄症・腸重積・腸回転異常・捻転・Hirschsprung病・虫垂炎 | 虫垂炎・腸重積・腸回転異常・捻転・上腸間膜動脈症候群・腫瘍・嚢胞 |
[★] ;英:α-fetoprotein AFP, alpha fetoprotein, alpha-fetoprotein
心窩部 | 食道潰瘍 | 胸焼け、嚥下困難 |
急性胃炎 | 悪心、嘔吐を伴う | |
消化性潰瘍 | 空腹時悪化傾向 | |
胃癌 | 進行しないと痛まず | |
虫垂炎初期 | 回盲部に圧痛 | |
急性膵炎 | 激烈な腹痛、背部痛、膵酵素の上昇 | |
慢性膵炎 | 不定の上腹部症状で神経症的にみえる | |
膵臓癌 | 浸潤すると疼痛強し | |
右季肋部 | 胆石症 | 右肩に放散、発作間は痛みほとんどなし |
急性胆嚢炎 | 発熱、圧痛著明、肝胆道系酵素上昇 | |
急性肝炎 | 肝腫大、鈍痛、黄疸-肝酵素著明に上昇 | |
肝膿瘍 | 激しい発熱、叩打痛は肋骨弓部付近など | |
肝癌 | 鈍痛、破裂すると激しい痛み | |
左右側腹部 | 尿管結石 | 肋骨脊椎角の叩打痛、血尿、超音波検査で水腎症 |
腎盂腎炎 | 急激な発熱と叩打痛、膿尿 | |
腎梗塞 | 時に一過性の激しい痛み、血尿 | |
回盲部 | 虫垂炎 | 他疾患除外の目的で、超音波検査が有用 |
右側結腸憩室炎 | 虫垂炎との鑑別困難 | |
回腸末端炎 | 虫垂炎との鑑別が必要 | |
クローン病 | 回盲部潰瘍をきたしやすい | |
大腸癌 | 右側結腸癌は腫癌を触知することが多い | |
左腸骨窩部 | 虚血性大腸炎 | 急激な腹痛と下血 |
S状結腸憩室炎 | 腹痛、圧痛、発熱 | |
急性大腸炎 | 下痢、嬬動の元進 | |
S状結腸軸捻転 | 便秘老人、鼓腸強い、内視鏡的修復 | |
下腹部 | 子宮付属器炎 | 発熱、圧痛 |
卵巣嚢腫茎捻転 | ショックに陥ることもあり、超音波検査が有用 | |
子宮外妊娠破裂 | 急激に貧血が進行、ショックなど | |
生理痛 | 内膜症がある場合は強い | |
全体 | 腹膜炎 | 原発性、結核性、癌性など症状が微妙に異なる |
潰瘍穿孔 | 腹壁防御、板状硬、緊急手術 | |
腸間膜血栓症 | 鼓腸、腸麻痺、ショック、最も重篤 |
疾患 | 原因 | |
肝疾患 | 原発性胆汁性肝硬変症 | 胆汁 |
急性肝炎 | ||
血液疾患 | 悪性リンパ腫 Hodgkin病 菌状息肉症 |
不明 |
真性多血症 | ||
鉄欠乏性貧血 | ||
代謝・内分泌疾患 | 糖尿病 | 乾燥,カンジダ症 |
甲状腺機能低下症 | 乾燥 | |
甲状腺機能亢進症 | 体温上昇 | |
力ルチノイド | セロトニン | |
腎疾患 | 慢性腎不全(透析) | 乾燥, 皮脂欠乏? |
神経疾患 | 多発性硬化症 | 不明 |
脳梗塞 | ||
心因性 | 情動性 | 不明 |
肝炎ウイルス.xls
感染症 | A型肝炎 | B型肝炎 | C型肝炎 | D型肝炎 | E型肝炎 | |
ウイルス | HAV | HBV | HCV | HDV | HEV | |
科 | ピコルナウイルス科 | ヘパドナウイルス科 | フラビウイルス科 | 未分類 | ヘペウイルス科 | |
属 | ヘパトウイルス属 | オルソヘパドナ属 | ヘパシウイルス属 | デルタウイルス属 | ヘペウイルス属 | |
ゲノム | ssRNA+ | dsDNA | ssRNA+ | ssRNA- | ssRNA+ | |
エンベロープ | - | + | + | + | - | |
逆転写酵素 | - | + | - | - | - | |
潜伏期 | 文献1 | 15-40days | 50-180days | 1-5months | 21-90days | 2-9weeks |
文献2 | 約4週 | 1-6ヶ月 | 平均6-8週 | 平均7週 | 平均5-6週 | |
type of onset | 急性 | 潜行性 | 潜行性 | 急性 | 急性 | |
前駆症状 | 関節炎、皮疹 | 関節炎、皮疹 | ||||
感染経路 | 経口・糞光 | ○ | 無 | 無 | 無 | ○ |
非腸管 | 稀 | ○ | ○ | ○ | 無 | |
その他 | 食物、水 | 性的接触、周産期感染。血液、体液、垂直感染 | 性的接触(稀)。血液、体液 | 性的接触(稀) | 水 | |
後遺症 | キャリアー | × | ○(約10%) | ○(約50-70%) | ○(重複感染:2-20%) | × |
慢性肝炎 | × | ○ | ○ | ○ | × | |
肝硬変→肝細胞癌 | × | 2.5-3 %/年 | 5-7 %/年 | × | ||
劇症肝炎 | 0.1% | 0.2 % | 0.2 % | 0.3-5.0% | ||
死亡率 | 0.1-0.2% | 0.5-2.0%(健常者) | 1-2%(健常者) | 2-20% | 2%(一般)。20%(妊婦) | |
発熱 | ○ | ? | ? | ? | ? | |
予防 | A型肝炎ワクチン(不活化) | B型肝炎ワクチン(成分, HBs抗原)、HBIG | なし | B型肝炎ワクチン(成分, HBs抗原) | ワクチン | |
治療 | なし | IFN ラミブジン アデフォビル エンテカビル テルビブジン |
INF+リバビリン IFN(著効率:30%。2a 60%, 2b 45%, 1b 15%) |
IFN? | なし | |
その他 | CPEなし | Gianotti病 | HBVと同時感染、Ribozyme活性 | 風土病。人獣共通感染症(豚、イノシシ、鹿) |
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