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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2016/02/03 01:08:55」(JST)
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神経ブロック(しんけいブロック、英: Nerve block)とは、麻酔を用いた治療法の一種。神経痛などの恒常的な痛みを訴えている患者に行なわれる。一般的に専門の麻酔科医が行う。
目次
- 1 種類
- 2 治療の概略
- 3 治療の注意点
- 4 関連項目
- 5 脚注
- 6 参考文献
種類
- 星状神経節ブロック(せいじょうしんけいせつ-)
- 痛みの原因となる神経線維の末梢神経や交感神経節に対し、局所麻酔薬を浸透させることで、神経そのものの機能を一時的に麻痺させ、交感神経を抑制し痛みの伝達をブロックする。交感神経節ブロックとも呼ばれる。神経痛だけでなく顔面神経麻痺・突発性難聴・多汗症の治療などにも用いられる。
- 星状神経節は首の付け根付近にあり、ここには頭・顔・首・腕・胸・心臓・気管支・肺などを支配している交感神経が集まっているため施術の応用範囲が広く、神経ブロック療法の中では最もポピュラーな方法と言える。
- 硬膜外ブロック
- 硬膜外麻酔と同様の方法で行う方法。硬膜は脊髄を取り囲んでいる一番外側の膜で、硬膜と黄色靭帯との隙間のことを硬膜外腔と言い、ここに局所麻酔薬などを注入する。
- トリガーポイント注射
- 筋肉などにある痛みのポイント(圧痛点)に直接、局所麻酔薬などを注射する方法。厳密に言えば上記のような神経ブロック注射というよりは、その他一般的な麻酔注射に近い。
- 近赤外線照射
- 高出力の近赤外線を皮膚を通して星状神経節に照射する方法。麻酔を使う方法より効果が穏やかだが、注射や切開の必要がないため副作用や痛みが無く、患者への負担が極めて軽い。
治療の概略
神経ブロック療法を行う前には、まず痛みの場所や痛み方を問診票や、フェイススケール(笑顔から泣き顔までの数種類の顔から痛み度を患者に示してもらう。VAS(Visual Analogue Scale)とも)、電流知覚閾値検査装置(PainVision、ニューロメーター)などで痛みの度合いを客観的にみた後、それが心因性からくる痛みが疑われる場合は、更にうつ病尺度を測る検査を行う。
そして、患者と病歴などを会話しながら視診や触診をして、必要ならばMRIやCTといった画像診断を行うとか、筋電図などの診断をするとか、他科と連携して治療にあたったほうがいいかなどの検査・治療方針を患者とともに立てていく。
実際の施術では、星状神経節や硬膜外腔などに注射するためにはミリ単位の位置調整が求められるため、熟練した麻酔医が強く指で圧迫しながらそのポイントをさぐっていく。星状神経節ブロック注射の場合は首の術部が露出しているため一般的にそのまま薬剤を注射するが、硬膜外腔に硬膜外ブロック注射を行うためには奥深くに針を到達させなければならないため、あらかじめ痛み止めの注射を術部に行った後、施術を行う。
施術が終わった後は、止血と術後観察のため、しばらく安静にする。
術後、局所麻酔薬で交感神経がブロックされると、末梢の血管が拡張して血行が改善され、また知覚神経がブロックされると患部の痛みの緩和が期待できる。
ただ、多くの神経ブロック療法は、一回の施術で痛みが完治するというものではなく、ガバペンチン製剤(製品名:ガバペン)や、痛みに応じた解熱鎮痛消炎剤、抗うつ薬などを患者にあわせて投与しつつ、様子を見ながら複数回行われることが一般的である。
治療の注意点
神経ブロック療法は実績のある比較的安全な施術方法ではあるが、次のような場合は必ず事前に医師に申告しなければならない。
- アレルギーがある場合(特に局所麻酔剤や薬剤など)
- 血液が凝固しにくい体質の場合
- 薬、特に抗凝固剤や市販の風邪薬や痛み止めを飲んでいる場合(血液が凝固しにくくなる場合がある)
- 血液疾患、肝臓病がある場合
- 血圧が高い場合
- 皮膚炎があるなど皮膚が弱い場合
- 糖尿病などで免疫機能が弱い場合
- 大きな手術歴・病歴がある場合
- 他の病院でも治療を受けている場合
- 当日の体調が悪い場合
また、施術直後の飲食、および当日の運動・入浴・シャワーなどは必ず医師の指示に従うこと。
関連項目
脚注
参考文献
- 日本ペインクリニック学会 インターベンショナル痛み治療ガイドライン作成チーム(編集) 『インターベンショナル痛み治療ガイドライン』 真興交易医書出版部、2014年2月28日。ISBN 978-4-88003-882-7。
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Japanese Journal
- 症例 胸部交感神経ブロック後に発症した血気胸の1例
- 境 雄大,佐野 淳,松倉 聡 [他]
- 胸部外科 = The Japanese journal of thoracic surgery 67(7), 599-601, 2014-07
- NAID 40020135057
- バージャー病に伴った難治性の痛みの主因に神経障害痛を疑った2症例
- 瀬藤 容子,角谷 哲也,小川 幸志,中田 亮子,水本 一弘
- 日本臨床麻酔学会誌 33(7), 956-960, 2013
- … バージャー病に伴う難治性の痛みは虚血性組織傷害が主因と考えられており,血流改善を目的とした治療法が推奨されている.今回われわれは,血流改善を目的として抗凝固療法や交感神経ブロックなどを行ったにもかかわらず,長期の難治性の痛みが持続していたバージャー病患者の治療を経験した.患者は2名とも神経障害痛の臨床症状を呈していたため,その治療ガイドラインに従って治療を行ったところ数週 …
- NAID 130004450217
- 麻酔下雑種成犬を用いた2%メピバカイン、クリッピング、高周波熱凝固による交感神経ブロックの末梢動脈血流量の増加時間と増大作用の比較
- 大谷 太郎,篠崎 未緒,高橋 良享,木村 嘉之,池田 知史,永尾 勝,山口 重樹,北島 敏光
- Dokkyo journal of medical sciences 38(2), 194, 2011-07-25
- NAID 110009673714
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- 星状神経節ブロック; 胸部交感神経節ブロック; 腰部交感神経節ブロック; 腹腔神経叢 ブロック; 内臓神経ブロック; 下腸管膜動脈 ... 交感神経ブロックは、診断的交感神経 ブロックやフェントラミンテストードラッグ・チャレンジ・テストで症状緩和がみられるSMP が ...
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★リンクテーブル★
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- 78歳の男性。悪心と嘔吐とを主訴に来院した。
- 現病歴: 1年前に肺癌と診断され、右上葉切除術と抗癌化学療法とを受けた。その後、定期的に通院をしていたが、 1か月前に背部から右の側胸部にかけて疼痛が出現した。外来受診の際、骨シンチグラフィで胸椎と右肋骨とに骨転移巣が判明した。疼痛に対して消炎鎮痛薬を処方された。その後も疼痛が増悪し、呼吸困難が出現したため、昨日の外来受診時にオピオイドの処方が追加された。昨夕からオピオイドの内服を開始したが、吐き気が出現し食物を嘔吐したため、家族に伴われて来院した。頭痛や腹痛はないという。
- 既往歴: 65歳時から高血圧症と脂質異常症とで治療中。
- 生活歴:喫煙は20本/日を57年間。 1年前の手術時から禁煙している。
- 家族歴 :兄が肺癌のため75歳で死亡。
- 現 症:意識は清明。身長168cm、体重57kg。体温36.8℃。脈拍72/分、整。血圧128/72 mmHg。呼吸数20/分。 SpO2 93 %(room air)。眼瞼結膜に貧血を認めない。眼球結膜に黄染を認めない。咽頭に異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。腸雑音は低下している。背部と右肋骨部とに圧痛を認める。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球402万、Hb11.9g/dL、 Ht36%、白血球9,300、血小板39万。血液生化学所見:アルブミン 3.2g/dL、クレアチニン 0.8mg/dL、 AST 28IU/L、 ALT 26IU/L、 LD 421IU/L(基準176-353)、 ALP 403IU/L(基準115-359)、アミラーゼ 150IU/L(基準37-160)、CK 42IU/L(基準30-140)、 Na 131mEq/L、 K 4.4mEq/L、 Cl 97mEq/L、 Ca 9.7mg/dL、 P 2.5mg/dL。 CRP 3.4mg/dL。胸部エックス線写真で浸潤影を認めない。腹部立位エックス線写真ではガス像がやや多いが、鏡面形成を認めない。
- この患者の骨転移による疼痛のコントロールに有効なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106H035]←[国試_106]→[106H037]
[★]
- 英
- nerve
- ラ
- nervus
- 関
- ニューロン
解剖で分類
- 中枢神経 central nervous systen CNS
- 末梢神経 peripheral nervous system PNS
情報で分類
- 感覚神経 sensory nerve = 求心性線維 afferent nerve
- 運動神経 motor nerve = 遠心性線維 efferent nerve
機能で分類
- 体性神経 somatic nervous system SNS
- 自律神経 autonomic nervous system ANS
[★]
- 英
- sympathetic nerve (B), sympathetic nervous system
- ラ
- pars sympathica
- 関
- 自律神経、交感神経系、交感神経節前線維、交感神経節後線維
[★]
- 英
- block, Bloch
- 関
- 塊、遮断、阻止、封鎖
[★]
- 英
- sympathetic
- 関
- 交感神経性