- 英
- docetaxel DTX
- 化
- ドセタキセル水和物 docetaxel hydrate
- 商
- Taxotere タキソテール TXT?
- 関
- 抗腫瘍性植物成分製剤
作用機序
- タキソテール点滴静注用80mg/タキソテール点滴静注用20mg
- ドセタキセルはチューブリンの重合を促進し、安定な微小管を形成するとともに、その脱重合を抑制する。また、細胞内においては形態的に異常な微小管束を形成する。以上の作用により細胞の有糸分裂を停止させる。
添付文書
- タキソテール点滴静注用80mg/タキソテール点滴静注用20mg
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/4240405A1037_1_02/4240405A1037_1_02?view=body
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ドセタキセル
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IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
(2R,3S)-N-carboxy-3-phenylisoserine, N-tert-butyl ester, 13-ester with 5, 20-epoxy-1, 2, 4, 7, 10, 13-hexahydroxytax-11-en-9-one 4-acetate 2-benzoate, trihydrate
|
臨床データ |
投与方法 |
点滴静注 |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
NA |
血漿タンパク結合 |
>98% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
86 hours |
排泄 |
胆汁排泄 |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
114977-28-5 |
ATCコード |
L01CD02 (WHO) |
PubChem |
CID: 148124 |
DrugBank |
APRD00932 |
KEGG |
D07866 |
化学的データ |
化学式 |
C43H53NO14 |
分子量 |
807.879 g/mol |
ドセタキセル(docetaxel、略称:DTX、TXT)は、タキサン系の抗がん剤の一つである。重合した微小管に結合して細胞の有糸分裂を阻害(英語版)する。商品名はタキソテール(taxotere、サノフィ社)。
先行して開発されたパクリタキセル(商品名タキソール)と名称が非常に似ていて、作用機序も同じだが、抗腫瘍効果や溶解性の点で改良がなされており、重篤な副作用の発症率が低いという報告がある[1]。
目次
- 1 効能・効果
- 1.1 類似名称薬剤による誤投与問題
- 1.2 注射剤の調製
- 2 作用機序
- 3 副作用
- 4 出典
- 5 参考文献
効能・効果
- 乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌、卵巣癌、食道癌、子宮体癌、前立腺癌
- 子宮体癌においては術後補助化学療法の有効性は確立されていない。
類似名称薬剤による誤投与問題
「パクリタキセル#類似名称による問題」を参照
上述のように、タキソテールはタキソール(パクリタキセル:1日の投与量上限が210mg/m2)よりも少ない用量となるため、名称を間違わないように注意が必要となる。
2011年7月、タキソテール(従来は粘調性のある液状。バイアル入り)の溶解済み製剤が発売され、名称が「ワンタキソテール点滴静注」とされたが、「タキソテール点滴静注用」も引き続き販売されている。
注射剤の調製
パクリタキセルと同様に水に難溶なため、無水エタノールに溶かして使用される[2]。タキソテール注はタキソール注(パクリタキセル)と異なり、添付溶解液として13%エタノール溶液が添付されており、これに用時溶解して使用する。ただし、エタノールに過敏な患者に用いる場合は、生理食塩水または5%ブドウ糖液を用いることもできる。
一方、ワンタキソテールは溶解済みの1バイアル製剤であるが、溶液に39.5%のエタノールが含まれており[3]、エタノールに過敏な患者に用いることが難しかった[4]。2008年にタキソテールの再審査が終了[5]すると、後発品が一斉に発売され、その中には「エタノールフリー」を謳う製品が複数存在した。2015年5月になって、ワンタキソテールの組成を変更してアルコールを含まない製剤とする旨の変更承認申請が提出された[6]が、2016年11月現在では変更承認されていない。
なお、ワンタキソテール点滴静注のドセタキセル濃度は、添付文書に従ってタキソテール点滴静注用を溶解した場合の2倍となっている。
作用機序
パクリタキセルと同様、微小管に結合して安定化させ脱重合を阻害することで、腫瘍細胞の分裂を阻害する。
副作用
重大な副作用として添付文書に記載されているものは、
- 骨髄抑制(汎血球減少、白血球減少(97.4%)、好中球減少(発熱性好中球減少を含む)(95.8%)、ヘモグロビン減少(57.3%)、血小板減少(11.8%)等)、
- ショック(0.2%)、アナフィラキシー(0.2%)、黄疸、肝不全、肝機能障害、急性腎不全(< 0.1%)、間質性肺炎(0.6%)、肺線維症(< 0.1%)、急性呼吸促迫症候群(< 0.1%)、急性膵炎、
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)(0.2%)、腸管穿孔(< 0.1%)、胃腸出血(0.4%)、虚血性大腸炎、大腸炎(< 0.1%)、イレウス(0.2%)、
- 皮膚粘膜眼症候群(スティーブンス・ジョンソン症候群)、中毒性表皮壊死症(ライエル症候群)、多形紅斑(< 0.1%)、重篤な口内炎等の粘膜炎、
- 心タンポナーデ、肺水腫(< 0.1%)、浮腫・体液貯留(0.7%)、心筋梗塞(< 0.1%)、心不全(< 0.1%)、静脈血栓塞栓症、感染症(2.5%)
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群、血管炎、末梢神経障害、四肢の脱力感等の末梢性運動障害、Radiation Recall現象
である[7]。(頻度未記載は頻度不明)
パクリタキセルに比べ骨髄抑制(白血球減少など)の発現頻度は高いが、神経毒性が少ないので神経障害(麻痺、しびれ、難聴など)は少ない[1]。累積投与量が増すと、浮腫や爪の変性が見られる。
パクリタキセル製剤と同様に、ドセタキセル製剤にも無水エタノールが含まれるため、投与後に急性アルコール中毒を呈する患者がいることについて米国FDAは警告した。なお、パクリタキセルに比べ、ドセタキセルの方がアルコール量は少ない[8][2]。
出典
- ^ a b Journal of the National Cancer Institute, November 17, 2004
- ^ a b 抗がん剤のアルコールについて 国立がん研究センター
- ^ “ワンタキソテール点滴静注20mg/1mL/80mg/4mL 添付文書” (2016年10月). 2016年11月5日閲覧。
- ^ “ワンタキソテール点滴静注の適正使用について”. 埼玉県病院薬剤師会 (2011年8月10日). 2015年5月22日閲覧。
- ^ “新医薬品等の再審査結果 平成19年度(その4)について (pdf)”. 厚生労働省医薬食品局長 (2008年2月26日). 2015年5月22日閲覧。
- ^ “サノフィ 抗がん剤ワンタキソテールのエタノール除外製剤を承認申請”. ミクス (2015年5月22日). 2015年5月22日閲覧。
- ^ “タキソテール点滴静注用80mg/20mg 添付文書” (2016年10月). 2016年11月5日閲覧。
- ^ “FDA Drug Safety Communication: FDA warns that cancer drug docetaxel may cause symptoms of alcohol intoxication after treatment”. 2014年11月2日閲覧。
参考文献
- 『タキソテール点滴静注用』医薬品インタビューフォーム・2013年10月(新様式第12版)(サノフィ)
- 『ワンタキソテール点滴静注』医薬品インタビューフォーム・2014年9月(新様式第6版)(サノフィ)
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Japanese Journal
- ドセタキセルとネダプラチンによる化学療法中に生じた口腔内・陰部潰瘍の1例
- 藤田 美穂,大久保 ゆかり,坪井 良治,小出 綾希
- Journal of environmental dermatology and cutaneous allergology = / the Japanese Society for Dermatoallergology and Contact Dermatitis 5(4), 400-403, 2011-07-31
- NAID 10029330146
- PS-091-6 腹膜播種陽性胃癌に対するドセタキセル腹腔内投与の経験(PS-091 ポスターセッション(91)胃:化学療法-3,第111回日本外科学会定期学術集会)
- PS-049-4 進行・再発食道癌に対する二次治療としてのドセタキセル・ネダプラチン療法についての検討(PS-049 ポスターセッション(49)食道:悪性・化学療法,第111回日本外科学会定期学術集会)
- 鈴木 彰,小出 直彦,竹内 大輔,平賀 理佐子,芳澤 淳一,北沢 将人,宮川 眞一
- 日本外科学会雑誌 112(臨時増刊号_1・2), 590, 2011-05-25
- NAID 110008684653
Related Links
- ドセタキセル(タキソテール)は転移・再発乳がんや進行肺がんの標準治療薬の1つです。細胞分裂に関与する微小管のはたらきを阻害して、がん細胞を死滅させるとされています。特に乳がんに有効とされ、手術の前後に補助療法と ...
- -3 - 現在、他のくすりを服用されている方は事前に 医師または医療スタッフにお知らせ下さい。 注射名 : ドセタキセル (タキソテール®注) ドセタキセルは、イチイ科の植物成分を原料として半合成さ れた化合物です。
- 「sawai oncology(サワイ オンコロジー)」は沢井製薬が運営する医療関係者向けがん情報サイトです。ドセタキセルに関する製品情報をご紹介しています。 ... 乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌、卵巣癌、食道癌、子宮体癌 ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
タキソテール点滴静注用80mg
禁忌
- 重篤な骨髄抑制のある患者[重症感染症等を併発し、致命的となることがある。]
- 感染症を合併している患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。]
- 発熱を有し感染症の疑われる患者[感染症が増悪し、致命的となることがある。]
- 本剤又はポリソルベート80含有製剤注)に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者[本剤はポリソルベート80を含有する。]
- 注)主なポリソルベート80含有製剤についてはインタビューフォームをご参照ください。
- 妊婦又は妊娠している可能性のある患者[「6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照]
効能または効果
乳癌、非小細胞肺癌、胃癌、頭頸部癌
- 通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして60mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3〜4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜増減すること。ただし、1回最高用量は75mg/m2とする。
卵巣癌
- 通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして70mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3〜4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜増減すること。ただし、1回最高用量は75mg/m2とする。
食道癌、子宮体癌
- 通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして70mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3〜4週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。
前立腺癌
- 通常、成人に1日1回、ドセタキセルとして75mg/m2(体表面積)を1時間以上かけて3週間間隔で点滴静注する。なお、患者の状態により適宜減量すること。
- 子宮体癌での本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立されていない。
- 前立腺癌では本剤は外科的又は内科的去勢術を行い、進行又は再発が確認された患者を対象とすること。
(注射液の調製法※4)
- 本剤は調製時の損失を考慮に入れ、表に示すように過量充てんされているので、必ず下記調製法[1]に従い注射液の調製を行うこと。ただし、添付溶解液にはエタノールが含まれているので、アルコールに過敏な患者に投与する場合は、調製法[2]の方法によること。
調製法[1]
- タキソテール点滴静注用バイアルに、添付溶解液全量(80mgバイアル;約7mL、20mgバイアル;約1.8mL)を加えて澄明で均一になるまでゆっくりと泡立てないように転倒混和する(約45秒間)。溶液が均一であることを確認後、ある程度泡が消えるまで数分間放置する。この溶液(プレミックス液)は1mL中に10mgのドセタキセルを含有する。
- プレミックス液から必要量を注射筒で抜き取り、生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和する。
調製法[2]
- タキソテール点滴静注用の80mgバイアルには7mL、20mgバイアルには1.8mLの生理食塩液又は5%ブドウ糖液を加え、液が澄明で均一になるまで激しく振り混ぜる。
ある程度泡が消えるまでバイアルを倒立させて放置(約10分間)し、溶液が均一であることを確認する。均一でない場合は均一になるまで混和を繰り返す。この溶液(プレミックス液)は1mL中に10mgのドセタキセルを含有する。
- プレミックス液から必要量を注射筒で抜き取り、生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和する。
- ※4:詳しい調製法については、8頁の調製方法をご参照ください。
バイアル |
実充てん量:80mg製剤 |
実充てん量:20mg製剤 |
タキソテール点滴静注用(ドセタキセルとして) |
2.36mL(94.4mg) |
0.61mL(24.4mg) |
添付溶解液(95%エタノール) |
7.33mL(933.8mg) |
1.98mL(252.3mg) |
- 本剤の投与にあたっては、特に本剤の用量規制因子である好中球数の変動に十分留意し、投与当日の好中球数が2,000/mm3未満であれば、投与を延期すること。
- 本剤の投与量が増加すると、骨髄抑制がより強くあらわれるおそれがあるので注意すること。[「2.重要な基本的注意」の項(1)、「4.副作用」〈国内臨床試験成績〉の「臨床検査値異常」及び「重大な副作用」の項1)参照]
- 本剤の投与時には、通常、添付溶解液全量に溶解して10mg/mLの濃度とした後、必要量を注射筒で抜き取り、直ちに250又は500mLの生理食塩液又は5%ブドウ糖液に混和し、1時間以上かけて点滴静注すること。[下記(注射液の調製法)及び「9.適用上の注意」の項参照]
慎重投与
- 骨髄抑制のある患者[骨髄抑制が増悪し、重症感染症等を併発するおそれがある。]
- 間質性肺炎又は肺線維症のある患者[症状を増悪させるおそれがある。]
- 肝障害のある患者[本剤の血中濃度が上昇し、副作用が強くあらわれるおそれがある。「10.その他の注意」の項(2)及び【薬物動態】の項参照]
- 腎障害のある患者[腎障害を増悪させるおそれがある。]
- 浮腫のある患者[浮腫を増悪させるおそれがある。]
- 妊娠する可能性のある患者[「2.重要な基本的注意」の項(5)参照]
重大な副作用
骨髄抑制(頻度上記)
- 汎血球減少、白血球減少、好中球減少(発熱性好中球減少を含む)、ヘモグロビン減少、血小板減少等があらわれるので、血液検査を十分に行い、異常が認められた場合には、投与間隔の延長、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。また、本剤の投与にあたってはG‐CSF製剤の適切な使用に関しても考慮すること。
ショック症状(0.2%)・アナフィラキシー様反応(0.2%)
- 呼吸困難、気管支痙攣、血圧低下、胸部圧迫感、発疹等のショック症状・アナフィラキシー様反応があらわれることがあるので、十分に観察を行い、関連する徴候が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
黄疸、肝不全、肝機能障害(頻度不明)
- 黄疸、肝不全、AST(GOT)・ALT(GPT)・Al‐Pの著しい上昇等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、肝機能検査の値に注意して観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性腎不全(0.1%未満)
- 急性腎不全等の重篤な腎障害があらわれることがあるので、腎機能検査の値に注意して観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
間質性肺炎(0.6%)、肺線維症(0.1%未満)
- 間質性肺炎、肺線維症があらわれることがある。[「10.その他の注意」の項(5)参照]また、放射線療法を併用している患者で同様の臨床症状(放射線肺臓炎)があらわれることがある。[「3.相互作用」の項参照]観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心不全(0.1%未満)
- 心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
播種性血管内凝固症候群(DIC)(0.2%)
- 播種性血管内凝固症候群(DIC)があらわれることがあるので、血小板数、血清FDP値、血漿フィブリノーゲン濃度等の血液検査を適宜行うこと。症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
腸管穿孔(0.1%未満)、胃腸出血(0.4%)、虚血性大腸炎(頻度不明)、大腸炎(0.1%未満)
- 腸管穿孔、胃腸出血、虚血性大腸炎、大腸炎があらわれることがあるので、腹痛、吐血、下血、下痢等の症状があらわれた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
イレウス(0.2%)
- イレウスがあらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性呼吸促迫症候群(0.1%未満)
- 急性呼吸促迫症候群があらわれることがあるので、呼吸障害等がみられた場合には観察を十分に行い、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
急性膵炎(頻度不明)
- 急性膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血清アミラーゼ値等に異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)(頻度不明)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)(頻度不明)、多形紅斑(0.1%未満)
- 皮膚粘膜眼症候群(Stevens‐Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)、多形紅斑等の水疱性・滲出性皮疹があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心タンポナーデ(頻度不明)、肺水腫(0.1%未満)、浮腫・体液貯留(0.7%注))
- 心タンポナーデ、肺水腫、緊急ドレナージを要する胸水、腹水等の重篤な浮腫・体液貯留が報告されている。[「10.その他の注意」の項(1)参照]
心筋梗塞(0.1%未満)、静脈血栓塞栓症(頻度不明)
感染症(2.5%注))
- 敗血症、肺炎等の感染症が報告されている。異常が認められた場合には直ちに適切な処置を行うこと。[「2.重要な基本的注意」の項(1)参照]
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)(頻度不明)
- 抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)があらわれることがあるので、低浸透圧血症を伴う低ナトリウム血症、尿中ナトリウム排泄量の増加、痙攣、意識障害等の症状があらわれた場合には投与を中止し、水分摂取の制限等適切な処置を行うこと。
- その他、重篤な口内炎等の粘膜炎、血管炎、末梢神経障害、四肢の脱力感等の末梢性運動障害、Radiation Recall現象が報告されている。
薬効薬理
抗腫瘍効果2,18〜26)
において、ドセタキセルはマウスのMA16/C乳癌、MA13/C乳癌、MA44乳癌、Lewis肺癌、C38結腸腺癌、C51結腸腺癌、P03膵管腺癌、B16黒色腫及びL1210白血病、P388白血病に対して退縮を含む抗腫瘍作用を示した。また、ヒト乳癌株であるMC‐8‐JCK(充実腺管癌)、MC‐2‐JCK(充実腺管癌)、H‐31(乳頭腺管癌)、及びヒト非小細胞肺癌株であるLu‐99(大細胞癌)、Lu‐61(中分化扁平上皮癌)、LC‐11‐JCK(乳頭型腺癌)に対し、腫瘍増殖抑制効果にとどまらず、腫瘍縮小効果を示した。この他にヒト胃癌細胞株(MKN‐28、MKN‐45、KKLS)、ヒト卵巣癌株(OVCAR‐3)、ヒト食道癌株(H‐190、H‐204)、ヒト子宮体癌株(AN3CA)、ヒト前立腺癌株(DU145)等にも抗腫瘍効果が認められている。
In vitroにおいて、ドセタキセルはドキソルビシン耐性P388白血病細胞では部分交叉耐性を示したが、カンプトテシン耐性株及び白金製剤耐性株に対する交叉耐性は認められなかった。
作用機序27)
- ドセタキセルはチューブリンの重合を促進し、安定な微小管を形成するとともに、その脱重合を抑制する。また、細胞内においては形態的に異常な微小管束を形成する。以上の作用により細胞の有糸分裂を停止させる。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- ドセタキセル水和物(Docetaxel Hydrate)
化学名
- (−)‐(1S,2S,3R,4S,5R,7S,8S,10R,13S)‐4‐Acetoxy‐2‐benzoyloxy‐5,20‐epoxy‐1,7,10‐trihydroxy‐9‐oxotax‐11‐ene‐13‐yl (2R,3S)‐3‐tert‐butoxycarbonylamino‐2‐hydroxy‐3‐phenylpropionate trihydrate
分子式
分子量
性 状
- 本品は白色の粉末である。
本品はN,N‐ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノール、エタノール(95)及びジクロロメタンにやや溶けやすく、ジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
★リンクテーブル★
[★]
- 50歳の女性。全身の皮下出血と鼻出血とを主訴に来院した。特に誘引なく右肩の紫斑が出現した。その後大腿や下腿にも紫斑が出現し、今朝から鼻出血が止まらないため受診した。5年前に乳癌に対して手術と抗癌化学療法とを受けた。血液所見:赤血球 278万、Hb 8.8g/dL、Ht 25%、白血球 700、血小板 5.1万、PT-INR 1.2(基準 0.9~1.1)、APTT 30.6秒(基準対照 32.2)、血漿フィブリノゲン 74mg/dL(基準 200~400)、血清FDP 110μg/mL(基準 10以下)、Dダイマー 9.6μg/mL(基準 1.0以下)。骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本(別冊No. 2)を別に示す。
- この患者に対する治療薬として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A015]←[国試_112]→[112A017]
[★]
- 英
- terfenadine
- 商
- トリルダン, Seldane
- 関
- 抗ヒスタミン薬
-
副作用
[★]
- 英
- taxanes
- 関
- 抗悪性腫瘍薬、タキサン系抗癌薬、タキサン系薬剤。
[★]
ドセタキセル、タキソテール taxotere
[★]
[★]
ドセタキセル、ドセタキセル水和物