出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/01 01:38:32」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
---|---|
4,4'-(3E)-hex-3-ene-3,4-diyldiphenol | |
臨床データ | |
胎児危険度分類 |
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法的規制 |
?
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投与方法 | IV, oral |
薬物動態的データ | |
代謝 | 肝臓 |
識別 | |
CAS番号 | 56-53-1 |
ATCコード |
G03CB02 G03CC05 , L02AA01 |
PubChem | CID 448537 |
DrugBank | APRD00920 |
ChemSpider | 395306 |
UNII | 731DCA35BT |
KEGG | D00577 |
ChEMBL | CHEMBL411 |
化学的データ | |
化学式 | C18H20O2 |
分子量 | 268.35 g/mol |
SMILES
|
|
InChI
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ジエチルスチルベストロール(Diethylstilbestrol)は、かつて流産防止剤などに用いられた合成女性ホルモン(合成エストロゲン)の薬剤である。略してDESとも呼ばれる。
DESは1938年にイギリス・オックスフォード大学のLeon Goldbergによって合成され、女性ホルモン様作用が発見されて1941年以降安全な切迫流産防止剤として広く用いられた。米国においては、1938年から1971年にかけて500-1000万人に処方されたとされる。また、更年期障害・老人性膣炎・不妊症に対しても処方が行われた。
また、1950年代より家畜の肥育促進用として飼料添加が行われた(現在はほぼ禁止)。
1970代以降、胎児期にDESの暴露を受けた女性に(通例稀な)膣腺ガンや子宮形成不全などの女性器障害が発生するとの報告が相次ぎ、米国のFDAは1971年に妊婦に対するDESの処方を中止するよう勧告した。その一方で多くのヨーロッパ諸国においては1978年まで、第三諸国においては1994年まで使用され続けた。
なお、日本国内では厚生省から1971年に妊娠中の使用を忌避する通達が出された。DESは日本国内の製薬会社により1941年-1973年に製造されているが、多量には使用されなかったとされる。
胎児期における暴露の影響は、女児が男児より強く影響を受けるとされる。女性におけるDESの影響は、摂取者では乳癌発生、胎児暴露者では性器の発がん・性器形成不全など。男性においては性器形成不全・精子濃度低下・不妊などが報告されている。
現在、DESはIARC発がん性リスク一覧のGroup1に分類されている。
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関連記事 | 「ストロー」 |
| 構造式=ビスフェノールAの構造式 | IUPAC= 4,4'-(プロパン-2,2-ジイル)ジフェノール
| 別名= 4,4'-ジヒドロキシ-2,2'-ジフェニルプロパン
4,4'-イソプロピリデンジフェノール | 分子式=C15H16O2 | 分子量=228.29 | CAS登録番号=80-05-7 | 形状=淡いベージュ色の固体 | 密度=1.20 | 融点=157 | 融点注= | 沸点=220 | 沸点注=/4 mmHg | SMILES=C(C)(C1=CC=C(O)C=C1)(C2=CC=C(O)C=C2)C | 出典=ICSC
ビスフェノールA (bisphenol A) は2つのフェノール部位を持つ芳香族化合物である。しばしば BPA と略称される。
ビスフェノールAは2当量のフェノールと1当量のアセトンの反応によって合成される。この反応は酸によって触媒されるが、触媒として塩酸のような鉱酸やスルホン酸型の陽イオン交換樹脂(スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を硫酸などでスルホン化したもの)のような固体酸が使われる。さらに反応速度や選択性の向上を目的に、チオール化合物のような含硫黄化合物を触媒に共存させることが一般に行われている。 一般に、フェノールは大過剰にして反応を行う。
合成された大過剰のフェノールを含む反応液を冷却すると、ビスフェノールA:フェノール=1:1の付加物結晶(アダクト)が得られるので、これを分離・洗浄した後、結晶を加熱・溶融し、フェノールを蒸留などで除去すると、高純度のビスフェノールAが得られる。工業的にはこれを1〜2ミリ程度の球状に粒子化(プリル)して製品化している。
多くのケトンは同様な縮合反応を起こす。この合成法では副産物が水しか生成しないため効率的である<ref name=Fiege>テンプレート:citation</ref>。
1891年にロシアの化学者ディアニン (A. P. Dianin) によって初めて合成された<ref>Dianin, A. P. (1891). Zhurnal russkogo fiziko-khimicheskogo obshchestva 23: 492.</ref><ref>Zincke, Th. (1905). "Mittheilungen aus dem chemischen Laboratorium der Universität Marburg". Justus Liebigs Ann. Chem. 343: 75–131.</ref>。1930年代には合成エストロゲン(女性ホルモン)の1つとして研究されていたが、当時ジエチルスチルベストロールがエストロゲンとして強い活性を持つことが明らかにされたため、ビスフェノールAが合成エストロゲンとして使われることはなかった。
現在ではポリカーボネート製のプラスチックを製造する際のモノマーや、エポキシ樹脂の原料として利用されている。抗酸化剤、あるいは重合禁止剤としてポリ塩化ビニルの可塑剤に添加される。
ポリカーボネートの用途はサングラスやCDから水・食品の容器まで多くの日用品にわたり、壊れにくいため哺乳瓶にも使われている。歯科治療用の歯の詰め物や、缶詰の内側を被覆するエポキシ樹脂の中にも含まれている。
ポリカーボネートやエポキシ樹脂のようなビスフェノールAを原料とする種類の合成樹脂では、強力な洗剤で洗浄した場合や酸・高温の液体に接触させた場合にビスフェノールA成分が溶け出すことが知られている。アメリカ合衆国での調査では、ヒトからかなりの確率で検出された。
ビスフェノールAを摂取するとエストロゲン受容体が活性化されて、エストロゲン自体に類似した生理作用を表す。1930年代に卵巣を除去したマウスにこの物質を投与する実験が行われ、作用が初めて証明された<ref>Dodds, E. C.; Lawson, W. (1936). Nature 137: 996.</ref><ref>Dodds, E. C.; Lawson, W. (1938). Proc. R. Soc. Lond., B, Biol. Sci. 125: 222–232.</ref>。
ビスフェノールAが、従来の無作用量より遥かに低濃度でのみ毒性を有する、という「低用量仮説」が提唱された。これは従来の薬理学とは全く矛盾する内容であったため、大きな議論となった。
フォム・サール (F. vom Saal) とヒューズ (Claude Hughes) の論文(2004年)によると、合成樹脂の製造業者らが行った検証(11件)ではエストロゲン様作用が認められなかったのに対し、他機関の研究では104例中の約9割で上記の症状が出るという結果となった。これをフォム・サールらは、製造業者らが都合の良い試験結果のみを採用したためであると主張した<ref>vom Saal, F.S.; Hughes, C. (2005). Environ. Health Perspect. 113(8): 926–933. PMID 16079060</ref>。アメリカ・プラスチック協会によって資金を提供されているハーバード・リスク分析センターによる以前の報告では、危険性を証明するにはまだ根拠が乏しく、定量的に証明できていないとされていた。ヒューズはハーバード・リスク分析センターの委員を務めていたが、彼は上記の論文の中で、その見解は時代遅れのものである、なぜなら2001年から出版されている低用量のビスフェノールAに関する多くの論文のうちわずかしか考慮していないからだ、と述べている。
2006年、フォム・サールとウェルションス (Wade V. Welshons) は、製造業者の資金提供によって行われた少数の研究が低用量のビスフェノールAの効果を見落としていた原因について、詳細な分析を報告した<ref>vom Saal, F. S.; Welshons, W. (2006). Environ. Res. 100: 50–76. DOI: 10.1016/j.envres.2005.09.001</ref>。また、アメリカ政府機関によって開設された委員会による再調査によると、それらの論文の1つは実際にはビスフェノールAについての影響を発見していたにも関わらず、この結果を否定する内容になっていた。一部の研究では陽性対照を使っておらず、他の研究との比較によって陰性対照が汚染されていた可能性も示された。さらに、エストロゲンに反応しにくい種類のラットを使用した研究もいくつか存在した。
アメリカ化学工業毒性研究所は、フォン・サールらによる「低容量仮説」を慎重に検証し、彼らの実験結果が再現しないと発表した。またハーバード大学リスク分析センターや各国の政府機関(FDA、EFSA、ECBなど)でも低用量仮説を含めた研究結果を集めて詳細に検討し、ビスフェノールAはヒトの健康に影響がないことを報告している。
現在ではビスフェノールAは、他の「環境ホルモン」疑惑を受けた化合物と同様、通常の摂取条件ではヒトに対して大きな影響を及ぼすものではないという考えが強まっている。ただし生態系への影響、胎児や乳幼児への影響に関してはまだ研究が進行中である<ref>「メディア・バイアス」 松永和紀著(2007年,光文社新書)</ref>。
厚生労働省は、「成人への影響は現時点では確認できない」としながらも、「公衆衛生上の見地から、ビスフェノールAの摂取をできるだけ減らすことが適当」と報道発表(2008年7月8日)した。また、同日に一般消費者向けの「ビスフェノールAについてのQ&A」が公表されている。<ref>ビスフェノールAがヒトの健康に与える影響について,厚生労働省 (2008年7月8日)</ref>
<references />
妊娠区分 | 妊娠初期 | |||||||||||||||
胎齢 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | ||
妊娠週数 | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
妊娠月数 | 第1月 | 第2月 | 第3月 | 第4月 | ||||||||||||
器官原基形成 |
催奇形因子 | 先天異常 | |
感染因子 | 風疹 | 白内障,緑内障,心臓異常,聾,歯異常 |
サイトメガロウイルス | 小頭症,盲目,精神発達遅滞,胎児死亡 | |
単純ヘルペスウイルス | 小眼球症,小頭症,網膜異形成 | |
水痘ウイルス | 肢低形成,精神発達遅滞,筋萎縮 | |
HIV | 小頭症,発育遅延 | |
トキソプラズマ症 | 水頭症,大脳実質石灰化,小眼球症 | |
梅毒 | 精神発達遅滞,聾 | |
物理的因子 | X線 | 小頭症,脊椎裂,口蓋裂,四肢の異常 |
高熱 | 無脳症 | |
化学的因子 | サリドマイド | 四肢の異常,心臓異常 |
アミノプテリン | 無脳症,水頭症,唇裂と口蓋裂 | |
ジフェニルヒダントイン(フェニトイン) | 胎児性ヒダントイン症候群:顔面異常,精神発達遅滞 | |
バルプロ酸 | 神経管異常,心,頭蓋顔面,肢異常 | |
トリメタジオン | 口蓋裂,心臓異常,泌尿生殖器と骨格の異常 | |
リチウム | 心臓異常 | |
アンフェタミン | 唇裂と口蓋裂,心臓異常 | |
ワルファリン | 軟骨形成不全,小預症 | |
ACE阻害薬 | 発育遅延,胎児死亡 | |
コカイン | 発育遅延,小頭症,行動異常,腹壁破裂 | |
アルコール | 胎児性アルコール症候群,短眼険裂,上顎骨発育不全,心臓,異常,精神発達遅滞 | |
イソトレチノイン(ビタミンA) | ビタミンA胚子病:小さい異常な形をした耳,下顎骨発育不全,口蓋裂,心臓異常 | |
有機水銀 | 脳性麻痺類似の神経症状 | |
鉛 | 発育遅延,神経学的障害 | |
ホルモン | 男性化ホルモン(工チステロン,ノル工チステロン) | 女性生殖器男性化:陰唇の癒着,陰核肥大 |
ジエチルスチルベストロール(DES) | 子宮,卵管,および腟上部の異常;腟癌;精巣異常 | |
母親の糖尿病 | さまざまな種類の異常;心臓と神経管の異常が最も一般的 |
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