- 英
- adrenocorticotropic hormone (Z), ACTH
- 同
- コルチコトロピン corticotropin、アドレノコルチコトロピン adrenocorticotropin
- 関
- 副腎皮質ホルモン、ホルモン
分類
性状
- sysmehfrwgkpvgkkrrpvkvypngaedesaeafplef (39 aa)
- region_name="ACTH_domain"
- /note="Corticotropin ACTH domain; pfam00976"
- /db_xref="CDD:144534"
産生組織
標的組織
作用
- (1-13位のアミノ酸はα-MSHに一致し、MSH様作用を併せ持つ
分泌の調整
SP.890
- CRH、VP → 細胞内Ca濃度↑ → 開口分泌
- カテコラミン、アンジオテンシン → 開口分泌
分子機構 HBC 446
- ACTHはエステラーゼを活性化して、副腎の細胞質中のコレステロールエステルをコレステロールに変換する。
- ACTH依存性のsteroidogenic acute regulatory protein(StAR protein)がステロイドをミトコンドリア内膜にあるP450sccに運ぶのに重要である
臨床関連
ACTH高値
コルチゾール高値
コルチゾール低値
ACTH低値
基準値
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/07/19 22:47:27」(JST)
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副腎皮質刺激ホルモン(ふくじんひしつしげき-。adrenocorticotropic hormone,ACTH)は下垂体前葉から分泌されるホルモンのひとつ。視床下部-下垂体-副腎系(hypothalamo-pituitary-adrenal axis)を構成するホルモンである。39個のアミノ酸からなる。ACTHの1-13番アミノ酸までは、切断されてα-メラニン刺激ホルモン(MSH)となる。
視床下部からの副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)により分泌が刺激される。また、糖質コルチコイドにより分泌が抑制される(ネガティブフィードバック)。
副腎皮質に作用し、糖質コルチコイドなどの副腎皮質ホルモンの分泌を促進する。
目次
- 1 副腎皮質刺激ホルモンに関連する疾患
- 2 関連項目
副腎皮質刺激ホルモンに関連する疾患
本症に関連する疾患は全て、視床下部(CRH)-下垂体(ACTH)-副腎皮質(主に糖質コルチコイド)系の生理的な機能から論理的に納得できる。以下を理解するためには、自律的分泌亢進と、ネガティブフィードバック機構についての理解が必要である。
増える病気
- ACTHの分泌が自律的に亢進する場合
- クッシング病
- 下垂体前葉に生じた副腎皮質刺激ホルモン産生腫瘍によっておこる。本症のACTH自律分泌能はそれほど高くはないので、MSHの作用は問題にならず、臨床症状は主に下流の糖質コルチコイドの過剰による。
- クッシング症候群のうち、異所性ACTH産生腫瘍によるもの
- 下垂体以外に生じた腫瘍(通常癌)がACTHを過剰に産生する場合に起こる。原因は肺小細胞癌などで、クッシング病と比較するとかなり多量のACTHが産生され、下流の糖質コルチコイド分泌量も多く、臨床像も強い。クッシング病とは異なり、過剰のACTHに伴うかなり多量のMSHも問題となり、皮膚に色素沈着が起こる。
クッシング症候群の概要。ACTH依存性のクッシング症候群(クッシング病と異所性ACTH産生腫瘍)ではACTHの産生が増加するが、ACTH非依存性のクッシング症候群(コルチゾール産生腫瘍)ではACTH産生は逆に低下する。
- 二次的にACTH分泌が亢進する場合
- 原発性副腎皮質機能低下症
- 副腎皮質に起因する糖質コルチコイドの分泌低下を主態とする疾患群である。糖質コルチコイド低下に対するネガティブフィードバック欠如により、上流である副腎皮質刺激ホルモンの分泌過多が生じる。糖質コルチコイド自体は低下しておりそれによる症状に加え鉱質コルチコイド低下による症状、さらにACTH過剰分泌に伴うMSHによる皮膚色素沈着が起こる。原因は、アジソン病、結核、悪性リンパ腫、ウォーターハウス・フリードリヒセン症候群など。
- 先天性副腎過形成症
- 副腎酵素欠損症の中の、リポイド過形成症、21水酸化酵素欠損症、11β-水酸化酵素欠損症、17α-水酸化酵素欠損症、3β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ欠損症が、ACTH高値およびコルチゾール低値となる。コルチゾール生産に必須な酵素が欠損するため、コルチゾールが作られない。そのため、下垂体が副腎皮質刺激ホルモンであるACTHを過剰に分泌させて、コルチゾールを生産するように、副腎に指令し続ける。これにより副腎が過形成をきたすものを、先天性副腎過形成症という。
減る病気
- ACTH単独欠損症
- 下垂体ホルモンのうちACTHだけの分泌が低下する病気。ACTHが低下することで、下流の糖質コルチコイドの分泌も低下する。生理学的にはACTH低下によるネガティブフィードバックで副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)が過剰分泌されることによりプロラクチン分泌が上昇し甲状腺刺激ホルモン分泌が低下するはずであるが、そのような症状を呈する患者の報告もある。
- 下流の糖質コルチコイドの産生そのものが低下している病気である原発性副腎皮質機能低下症とは少し臨床像が異なっていて、色素沈着がおきないほか(副腎不全では、下流の産生低下に対するネガティブフィードバック欠如を反映した上流のACTH過剰産生に伴いMSHが過剰産生されている)、通常の状態では自覚症状はない場合が多い。ストレス状態に置かれると、それに反応したACTH分泌を行うことができない点が主要な病態であって、普段通常に暮らしている人が、普通の風邪にかかって突然生命の危険に陥る(急性副腎不全を発症する)という臨床的特徴がある。
- 原因は明らかではないが、自己免疫疾患ではないかとといわれている。抗下垂体抗体が関連があるとされているが保険適用はない。
- 汎下垂体機能低下症
- 下垂体の全てのホルモンの分泌が低下している病気。この病気にかかった患者の臨床像をひとことで言うならば、「元気がない」。副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、プロラクチンの低下を反映した症状を示す。成人に起こる場合、成長ホルモンの分泌低下を示す明らかな症状はない。
- 原因は、頭蓋咽頭腫による下垂体の圧迫や、結核、サルコイドーシス、シーハン症候群、転移性悪性腫瘍など。
- 副腎性のクッシング症候群
- この疾患は自律的に糖質コルチコイドが過剰となる疾患なので、ネガティブフィードバックによりACTHは低下する。ACTH低下はまさに二次的なものに過ぎず、これが原因で何か症状が起こるということはないが、本症の片側副腎摘出術後に一過性(一年程度)の副腎皮質機能低下症が起こるのは、ACTH分泌が抑制されていたことと、それによる反対側副腎皮質の低形成が原因である。
関連項目
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
|
視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部
|
GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
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|
脳下垂体後葉
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バソプレッシン - OXT
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脳下垂体中葉
|
MSH(インテルメジン)
|
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脳下垂体前葉
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αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - エンドルフィン - リポトロピン)
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副腎 |
副腎髄質
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副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
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副腎皮質
|
副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
|
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甲状腺 |
甲状腺
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甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
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副甲状腺
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PTH
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生殖腺 |
精巣
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テストステロン - AMH - インヒビン
|
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卵巣
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エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
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その他の内分泌器 |
膵臓
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グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
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松果体
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メラトニン
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内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
|
|
誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
|
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 新規生理活性神経ペプチドキスペプチンと性機能調節 : 脳が制御する思春期発動と高次神経活動への影響
- 専門医部会 内科医に必要な救急医療 急性副腎不全(副腎クリーゼ)
- 選択的副腎静脈サンプリングを施行した原発性アルドステロン症9例の検討
- 中内 佳奈子,宮井 優,近藤 絵里,金崎 淑子,新谷 保実,宮 恵子,生野 雅也,清水 千尋,木下 光博,池山 鎭夫,城野 良三,木内 慎一郎,笠井 和則,上間 健造
- 徳島赤十字病院医学雑誌 = Tokushima Red Cross Hospital Medical Journal 17(1), 16-20, 2012-03-25
- … 偶発腫瘍などを契機として、血漿アルドステロン濃度(PAC)/血漿レニン活性(PRA)比>200からPA が疑われた9例(平均年齢58歳)で、全例にAVSによる局在診断を行った.その結果、PAとして診断的な副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)負荷後PACの絶対値基準は71%で満たされており、絶対値・相対比基準をともに満たした4例ではCTでの腫瘍局在にも一致した.しかし、3例はこれらの基準を満たさず、画像所見やPAC の日内変動 …
- NAID 120004608652
- Footshock により誘発される覚せい剤メタンフェタミン探索行動における副腎皮質刺激ホルモン放出因子(CRF)の促進的関与
- 縄田 陽子,北市 清幸,山本 経之
- 日本神経精神薬理学雑誌 = Japanese journal of psychopharmacology 31(2), 73-75, 2011-04-25
- NAID 10029094116
Related Links
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[★]
- 32歳の女性。1回経妊、1回経産。1年間の無月経を主訴に来院した。1か月前からのぼせとイライラ感とが出現している。挙児希望がある。経腟超音波検査で子宮はやや萎縮しており、卵巣には卵胞が認められない。
- 高値を示すのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D045]←[国試_105]→[105D047]
[★]
- 59歳の女性。6年前から一過性に顔面のほてり、発汗および動悸が起こり、不眠が持続するため来院した。閉経は52歳。脈拍72/分、整。血圧138/74mmHg。甲状線機能検査と副腎髄質機能検査とに異常はない。この病態で分泌亢進が予想される下垂体ホルモンはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095C010]←[国試_095]→[095C012]
[★]
- 顔面の写真(別冊No.4)を別に示す。
- この疾患で異常値となるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105E027]←[国試_105]→[105E029]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [109G032]←[国試_109]→[109G034]
[★]
- 急性ストレスによって血中濃度が低下するのはどれか。 2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B032]←[国試_105]→[105B034]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [098G042]←[国試_098]→[098G044]
[★]
- 英
- pituitary adenoma
- 関
- 脳腫瘍、下垂体腫瘍、下垂体前葉ホルモン、下垂体
概念
- 脳下垂体前葉(の内分泌腺細胞)を発生母地とする良性腫瘍。
分類
-
- 成長ホルモン産生腺腫 GH産生腺腫
- プロラクチン産生腺腫 PRL産生腺腫
- 副腎皮質刺激ホルモン産生腺腫 ACTH産生腺腫
- 甲状腺刺激ホルモン産生腺腫 TSH産生腺腫
- ゴナドトロピン産生腺腫
- 混合腺腫
- 非機能性腺腫
放射線診断学的分類
- 鞍内型(enclosed type):手術による治療率が高い、とかなんとか?
- 浸潤型
大きさによる分類
- マクロアデノーマ macroadenoma:10mm以上
- 微小腺腫 マイクロアデノーマ microadenoma:10mm以下
疫学
- 原発性脳腫瘍の16%(IMD.1040)。(頭蓋内腫瘍の約10%。全脳腫瘍の約17%(2000年統計)。)
- 成人の下垂体の5-20%に腺腫が存在するらしい(IMD.1040)。
- 好発年齢:成人(30-50歳)。小児はまれ。
症状
- 下垂体の上に視交叉があるため、下垂体が広がるとトルコ鞍の骨を薄くし風船のように膨らむので視交叉を圧迫するので、視力低下が進行し両耳側半盲などになる。
- 腫瘍組織による下垂体前葉機能低下
- 腫瘍組織より分泌されるホルモンによる機能障害
下垂体腺腫 鞍上部腫瘍の圧迫による内分泌障害
- 生殖・成長に関わるホルモンは真っ先に切られる。
- TSHは代謝のアクセル。代謝をゆるめてみる?
- ACTHはストレス耐性、異化・同化に関わるから重要。
- PRL・・・授乳は生命維持と必要ない・・・けど、下垂体前葉の内分泌細胞数として2番目に多いからと理解?
病理
- 組織学的に一様な腺腫細胞が、血管に富んだ結合組織の隔壁によって分画。(IMD)
検査
画像検査 IMD.1041,YN J-198
- トルコ鞍の拡大(ballooning)。前後13mm、深さ17mm以上
- トルコ鞍底の二重輪郭(double floor)。
- 血管造影:前大脳動脈水平部(A1)および前交通動脈の挙上。
- 頭部CT:トルコ鞍から鞍上槽部へ進展する
- 単純:等吸収~高吸収。微小腺腫は低吸収
- 造影:ほぼ均一に増強
- MRI:腫瘍と周囲組織との関係が明瞭。術前検査として有効。矢状断と前頭断で微小腺腫の診断を行う
- T1強調像:低信号
- T2強調像:高信号
- 造影:ほぼ均一に増強
内分泌検査
ホルモン名称
|
腫瘍
|
頻度 (IMD.1040)
|
頻度 (RNT. 64)
|
症候
|
検査(IMD.1041より引用)
|
成長ホルモン
|
成長ホルモン産生腺腫
|
20%.
|
20%.
|
頭痛、視野欠損、手足の成長、顔貌粗造、手根管症候群、いびきおよび閉塞性睡眠時無呼吸、下顎成長および下顎前突症、骨関節炎および関節痛、過剰発汗、醜形恐怖
|
・安静空腹時のGHが10ng/ml以上と持続的に高値。 ・75gOGTTによっても5ng/ml以下にならない。 ・TRHおよびLH-RH負荷に反応してGH増大。 ・L-ドパまたはブロモクリプチンに対する増加反応がない。(正常:DRアゴニスト→GH↑) ・ソマトメジンC(IGF-I)高値。
|
プロラクチン
|
プロラクチン産生腺腫
|
32%.
|
30%.
|
頭痛、視野欠損、希発月経または無月経、妊孕性の低下、性欲喪失、勃起不全、エストロゲンで初回刺激を受けた(estrogen-primed)女性乳房における乳汁漏出
|
・抗精神病薬、乳房刺激などの原因を除外しても血清PRL濃度が100ng/ml以上。 ・インスリン負荷(IRI)(0.1U/kg)による低血糖刺激(正常:低血糖→TRH↑→PRL↑)、TRH負荷(500μg)(正常:TRH↑→PRL↑)、クロルプロマジン負荷(25mg)(正常:D2R↓→PRL↑)による反応減少。
|
副腎皮質刺激ホルモン
|
ACTH産生腺腫
|
3%.
|
5%.
|
頭痛、視野欠損、近位筋障害、求心性の脂肪分布、神経精神医学的症状、線条、易傷性、皮膚の菲薄化、多毛、骨減少
|
・血中コルチゾールが高値、かつ日内変動なし。 ・尿中17-ヒドロキシコルチコステロイド(17-OHCS)、尿中17-ケトステロイド(17-KS)、尿中コルチゾールが高値。 ・CRH試験(CRH100μg静注) ・健常者:血中ACTHは30分後に、血中コルチゾールは60分後に、それぞれ前値の約2倍に上昇。 ・Cushing病:過剰反応 ・副腎腫瘍・異所性ACTH産生腫瘍によるCushing症候群:無反応
|
甲状腺刺激ホルモン
|
|
|
|
動悸、振戦、体重減少、不眠、過剰な排便(hyperdefecation)、発汗
|
*freeT3、freeT4上昇。 *TSHが、(1)上昇、(2)T3で抑制されない、(3)TRH負荷で無反応。
|
卵胞刺激ホルモン
|
ゴナドトロピン産生腺腫
|
10%.
|
|
|
|
黄体形成ホルモン
|
|
|
|
|
非機能性腺腫
|
18%.
|
40%.
|
頭痛、視野欠損、下垂体不全、などmassの圧排による続発性性腺機能低下症。まれに、卵巣過剰刺激、精巣増大、またはテストステロン値の上昇、
|
|
診断
- トルコ鞍を中心とした脳内局所圧迫症状 + 下垂体ホルモンの過剰・欠乏症状 + 画像所見(CT、MRI)
合併症
- 下垂体卒中:発生頻度は7-9%。血管に富んでいるため腫瘍内出血や梗塞が起こりやすく、急激かつ高度に生じた場合に致命的となる。病理的には出血性壊死による下垂体腫瘍の突然の腫大がみられ、鞍隔膜の破裂をきたすとくも膜下出血となる。脳動脈瘤の合併率は高いらしい。髄膜刺激症状+血性髄液がみられ、クモ膜下出血と誤診されることがある。(IMD.1040)
治療
治療法別
薬物療法
- ブロモクリプチン:ドパミンD2受容体作動薬
- 麦角アルカロイド系:ドパミンD2受容体作動薬
- PRL分泌、GH分泌に対する生理的抑制因子。血漿PRL値、GH値の低下、腫瘍縮小の効果がある。
- ブロモクリプチンで効果不十分な例、外科手術困難例に用いる。
- 50%で腺腫の縮小がみられる。
外科的治療
腫瘍別
プロラクチン産生下垂体腫瘍(2)
- ドパミンアゴニスト(カベルゴリン(麦角由来)・ブロモクリプチン)で腫瘍の縮小・症状の寛解を狙う。手術は一般に、ドパミンアゴニストに耐えられない患者、治療中に下垂体卒中を被る患者、またはマクロプロラクチノーマが医学療法に反応しない患者にのみ行われる。最終的に放射線療法を必要とする。
- ほとんどの微小腺腫と大腺腫はドパミンアゴニストに反応。
- カベルゴリンは、ブロモクリプチン副作用が少なく、ブロモクリプチンに抵抗性の患者また不耐性の患者に有用。
- 妊孕性の回復を目標とする場合、妊娠中の安全性を考慮しブロモクリプチンが第一選択となる。
- 薬物療法に対して微小腺腫では大きさに変化はほとんど認められないが、大腺腫では縮小が期待できる。
参考
- 1. 日本脳神経外科学会 脳神経外科疾患情報ページ
- http://square.umin.ac.jp/neuroinf/medical/205.html
- 2. がん情報サイト|PDQR日本語版(医療専門家向け)下垂体腫瘍の治療(PDQR)
- http://cancerinfo.tri-kobe.org/pdq/summary/japanese-s.jsp?Pdq_ID=CDR0000062915
- 3. プロラクチン(PRL)分泌過剰症の診断と治療の手引き(平成22年度改訂)
- http://square.umin.ac.jp/kasuitai/doctor/guidance/prolactin_surplus.pdf
名称
|
構造
|
分泌細胞
|
下垂体前葉細胞 全細胞に対する 産生細胞の割合
|
染色性
|
腫瘍
|
頻度 (IMD.1040)
|
頻度 (RNT. 64)
|
症候
|
成長ホルモン
|
GH
|
ペプチド
|
somatotroph
|
40-50%
|
好酸性
|
|
成長ホルモン産生腺腫
|
成長ホルモン分泌細胞腺腫
|
20%.
|
20%.
|
頭痛、視野欠損、手足の成長、顔貌粗造、手根管症候群、いびきおよび閉塞性睡眠時無呼吸、下顎成長および下顎前突症、骨関節炎および関節痛、過剰発汗、醜形恐怖
|
プロラクチン
|
PRL
|
mammotroph
|
10-25%
|
好酸性
|
|
プロラクチン産生腺腫
|
プロラクチノーマ
|
32%.
|
30%.
|
頭痛、視野欠損、希発月経または無月経、妊孕性の低下、性欲喪失、勃起不全、エストロゲンで初回刺激を受けた(estrogen-primed)女性乳房における乳汁漏出
|
副腎皮質刺激ホルモン
|
ACTH
|
corticotroph
|
0.1
|
好塩基性
|
嫌色素性
|
ACTH産生腺腫
|
コルチコトロフ腺腫
|
3%.
|
5%.
|
頭痛、視野欠損、近位筋障害、求心性の脂肪分布、神経精神医学的症状、線条、易傷性、皮膚の菲薄化、多毛、骨減少
|
甲状腺刺激ホルモン
|
TSH
|
糖タンパク
|
thyrotroph
|
0.05
|
好塩基性
|
|
|
甲状腺刺激ホルモン分泌細胞腺腫
|
|
|
動悸、振戦、体重減少、不眠、過剰な排便(hyperdefecation)、発汗
|
卵胞刺激ホルモン
|
FSH
|
gonadotroph
|
10-15%
|
好塩基性
|
|
ゴナドトロピン産生腺腫
|
|
10%.
|
|
|
黄体形成ホルモン
|
LH
|
好塩基性
|
|
|
|
|
|
非機能性腺腫
|
非機能性腺腫
|
18%.
|
40%.
|
頭痛、視野欠損、下垂体不全、などmassの圧排による続発性性腺機能低下症。まれに、卵巣過剰刺激、精巣増大、またはテストステロン値の上昇、
|
[★]
- 英
- adrenocortical hormone
- 同
- 副腎皮質ステロイド adrenocorticoids
- 関
- 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン
- ステロイド
- 関
- 副腎、副腎皮質、ステロイド、コルチコステロイド、ステロイドホルモン、コルチコイド。副腎皮質ホルモン剤
種類(主要なもののみ)
- 球状層から分泌される。アルドステロン
- 索状層から分泌される。コルチゾール
- 網状層から分泌される。アンドロステンジオン
臨床関連
- 21-hydroxylaseが正常に機能しないことにより生じる (L.320)
薬理学
副腎皮質から分泌されるホルモン (SP.895)
[★]
- 英
- anterior pituitary hormone
- 関
- 下垂体前葉、下垂体、下垂体ホルモン、ホルモン
分泌されるホルモン
GOO. chapter 55
HIM.2196
Table 333-1 Anterior Pituitary Hormone Expression and Regulation
|
Cell
|
corticotrope
|
somatotrope
|
lactotrope
|
thyrotrope
|
gonadotrope
|
Tissue-specific transcription factor
|
T-Pit
|
Prop-1, Pit-1
|
Prop-1, Pit-1
|
Prop-1, Pit-1, TEF
|
SF-1, DAX-1
|
Fetal appearance
|
6 weeks
|
8 weeks
|
12 weeks
|
12 weeks
|
12 weeks
|
Hormone
|
POMC
|
GH
|
PRL
|
TSH
|
FSH LH
|
Chromosomal locus
|
2p
|
17q
|
6
|
-6q; -1p
|
-11p; -19q
|
Protein
|
ポリペプチド
|
糖タンパク
|
Amino acids
|
266 (ACTH 1–39)
|
191
|
199
|
211
|
210 204
|
Stimulators
|
CRH, AVP, gp-130 cytokines
|
GHRH, ghrelin, bromocriptine(1)
|
estrogen, TRH, VIP
|
TRH
|
GnRH, activins, estrogen
|
Inhibitors
|
glucocorticoids
|
somatostatin, IGF-I
|
dopamine
|
T3, T4, dopamine, somatostatin, glucocorticoids
|
sex steroids, inhibin
|
Target gland
|
adrenal
|
liver, other tissues
|
breast, other tissues
|
thyroid
|
ovary, testis
|
Trophic effect
|
steroid production
|
IGF-I production, growth induction, insulin antagonism
|
milk production
|
T4 synthesis and secretion
|
sex steroid production, follicle growth, germ cell maturation
|
- (1):QB.D-253
分泌の制御
[★]
- 英
- insulin preparation
- 関
- インスリン、糖尿病、薬理学
- ヒトインスリン製剤
- 超速効型インスリン:Lys(B28)Pro(B29)インスリン
- 水溶性保持型インスリン
適応
- 食事療法・運動療法や経口血糖降下薬でコントロール不良の場合
- 経口血糖降下薬の使用禁忌
- 重症ケトーシス、糖尿病性昏睡・前昏睡、重篤な肝障害・腎障害、重症感染症、手術前後、重篤な外傷、下痢・嘔吐などの胃腸障害、薬物過敏、妊婦または妊娠の可能性
- そのた:血管障害、慢性膵炎の合併。ステロイド使用例
注意
副作用
- 経口摂取可能かつ意識があれば、砂糖15g-20g or グルコース10g摂取。 ← 20gのブドウ糖相当の食品を摂取せよという記載もあり
- 無意識の場合は、グルコースの静注50%(20-50ml)。
- 注射部位の発赤・蕁麻疹
- インスリン注射部位の脂肪組織の萎縮→注射部位・インスリン製剤の変更
- 動物インスリンを使った場合に特に見られる。
- インスリンの腎尿細管への作用。Na+-K+ ATPase活性化。
- 塩分制限をする
薬物相互作用
- *タンパク同化ステロイド
参考
- http://www.nichiyaku.or.jp/anzen/wp-content/uploads/2011/05/insulin_h23_s3.pdf
- http://byoukigard.water-ice.info/article/51941745.html
[★]
- 英
- pituitary hormone
- 関
- 下垂体、下垂体前葉、下垂体後葉、ホルモン
[★]
- 英
- adrenocorticotropic hormone test ACTH test
- 同
- (国試)ACTH試験、ACTH負荷試験
- (投与)ACTH、(検査)コルチゾール。ACTH dependentな広義のクッシング症候群(クッシング病と異所性ACTH症候群)では(多分副腎皮質の過形成していることで)過剰反応する
[★]
- 英
- ectopic corticotropin-releasing hormone-producing tumor
- 同
- CRH
[★]
- 英
- corticotroph adenoma
- 関
- ACTH分泌性下垂体腺腫症
[★]
- 英
- corticotropin-releasing hormone-binding protein, CRH-BP
[★]
- 英
- isolated ACTH deficiency
- 関
- ACTH単独欠損症
[★]
- 英
- hormone
古典的な定義
- 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)
例外
- 消化管ホルモン (PT.403)
- 視床下部ホルモン (PT.403)
- 甲状腺濾胞ホルモン?
- カルシトニン?
ホルモンの一覧表
[★]
- 英
- adrenal gland (KH), suprarenal gland (Z)
- 同
- 腎上体
解剖
血管(図:N.322)
- ref(renal_gland_av.png,副腎)
組織
機能
[★]
- 英
- adrenal cortex (Z)
- 関
- 副腎
- ATCHは副腎皮質の索状層、網状層に作用して、それぞれの層で糖質コルチコイドと副腎アンドロジェンの産生を促す(2007年後期生理学授業プリント)
構造
ホルモン
まとめ
[★]
- 英
- (刺激そのもの)stimulus、stimuli。(行為)stimulation、、stimulate、irritate、incite、(薬物や抗原で)prime
- 同
- impulse
- 関
- 刺激作用、煽動、抗原刺激、扇動、予備刺激
[★]
- 英
- renal cortex (Z)
- ラ
- cortex renalis
- 関
- 腎臓、腎髄質