- 英
- thyroid gland
- ラ
- glandula thyroidea
- 関
- 甲状腺ホルモン、副甲状腺(上皮小体)
- 喉頭
- 図:N.24(全面の筋),25(全面の筋),70(血管),71(血管)
解剖学
部位
性状
- 成人の正常重量15-25g、女性の方が少し重い。妊娠中や性周期で重量が変化する。分泌期初期(early secretary phase排卵後2-5日目)には50%も重量が増加する。
大きさ
- よくわかる甲状腺疾患のすべて 永井書店 (2004/01) ISBN 481591673X
- 単位はmm?
|
n
|
峡部
|
横断厚
|
横径
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縦経(右)
|
縦経(左)
|
男性
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34
|
1.8±0.6
|
18±3.0
|
48±4.8
|
49±3.7
|
49±3.8
|
女性
|
16
|
1.3±0.8
|
16±2.2
|
46±3.6
|
45±6.0
|
46±3.0
|
血管
動脈
静脈
神経
- 声帯を支配する神経が甲状腺の裏側を通過 N.71
画像
- (高エコー)筋肉>甲状腺>気道(低エコー) ← 要確認
組織学
- 成人甲状腺全体の0.1%を占める
- カルシトニン産生細胞、HEでは判別困難。
- 銀染色(Glimerius)、免疫組織化学(chromogranin A、synaprophysin, carcitoninなど)により明らかとなる。
- 電顕では、electron dense な顆粒を有する(神経内分泌顆粒)。
機能
発生
神経支配
- 上頚部交感神経節、中頚部交感神経節。交感神経神経線維は濾胞近傍に終末し、分泌に影響を及ぼす。
臨床関連
診察所見と疾患
非腫瘍性疾患
- a) 無形成 Agenesis
- b) 低形成 Hypoplasia
- c) 異所性甲状腺:異残物
- mynocyclineによるblack thyroid:消耗性色素リポフスチンと他の物質(lipid-drug complexによりlysosomeに色素が沈着する)。
- a) 濾胞腺腫 follicular adenoma
- a) 乳頭癌 papillary carcinoma 88%
- b) 濾胞癌 follicular carcinoma 4.2% 甲状腺濾胞癌 thyroid follicular carcinoma
- c) 低分化癌 poorly differentiated carcinoma
- d) 未分化癌 undifferentiated carcinoma 1.5%
- e) 髄様癌(C細胞癌) medullary carcinoma, C-cell carcinoma 1.4%
- f) 悪性リンパ腫 malignant lymphoma 3.5%
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
分類
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/11 22:55:31」(JST)
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甲状腺 |
甲状腺と副甲状腺
|
ラテン語 |
glandula thyroidea |
英語 |
Thyroid |
器官 |
内分泌器 |
動脈
|
上甲状腺動脈
下甲状腺動脈
|
静脈
|
上甲状腺静脈
中甲状腺静脈
下甲状腺静脈
最下甲状腺静脈
|
神経
|
中頚神経節
下頚神経節
|
甲状腺と周囲の組織 図最上部は舌骨、次いで甲状軟骨後方の喉頭 (Larynx)、甲状腺錐体葉 (Pyramidal lobe)、左葉と右葉、甲状腺峡部 (Isthmus of thyroid)、気管 (Trachea) が描かれている。
甲状腺(こうじょうせん、thyroid gland)とは、頚部前面に位置する内分泌器官で、甲状腺ホルモン、カルシトニンなどのホルモンを分泌する。発生的には内胚葉に起源を持つ。
目次
- 1 構造
- 2 甲状腺に関連する疾患
- 3 甲状腺機能検査
- 3.1 TSHが感度以下、FT4が高値か正常
- 3.2 TSHが高値、FT4が低値か正常
- 3.3 TSHが正常、FT4が正常
- 3.4 それ以外
- 4 甲状腺画像診断
- 5 脚注
- 6 関連項目
|
構造
ヒトの甲状腺は、重さが15~20 g程度、上下方向に3~5 cm程度の長さがあり、H型(あるいは蝶が翅を広げたような形)をしていて、のどの部分で、甲状軟骨のやや下方に位置し、気管を前面から囲むように存在する。H型とは、甲状腺の左右の部分(右葉、左葉と呼ばれる)が上下にのびて発達しており、それらは、幅の狭い中央部(峡部)でつながっていることから。
- 超音波断層検査において、甲状腺の大きさは上下長が5cmまで、前後厚は1.5cmまで、峡部厚は4mmまでが正常とされている。
支持組織
甲状腺を支持しているのはベリー靱帯であり、気管に固定されている。
血行
甲状腺には、上部からは外頚動脈の枝である上甲状腺動脈が、下部からは鎖骨下動脈の枝である下甲状腺動脈が入り、栄養を供給している。
組織
甲状腺の組織は、さまざまな直径の甲状腺濾胞(甲状腺小胞) (thyroid follicle) と呼ばれる球状の袋がびっしりと詰まっている。濾胞の壁は濾胞上皮細胞と呼ばれる細胞が一層に並んでつくられており、この細胞が甲状腺ホルモンを分泌する細胞である。濾胞内にはコロイドと呼ばれるゼラチン状の物質が蓄積されている。コロイドの主成分はサイログロブリンと呼ばれる甲状腺ホルモンの前駆体である(甲状腺ホルモンの合成過程については甲状腺ホルモンを参照)。
また、濾胞の外側には、上皮細胞に接して別種の細胞がところどころに存在しており、濾胞傍細胞 (parafollicular cell) またはC細胞 (C cell) と呼ばれる。この濾胞傍細胞がカルシトニンを分泌する。濾胞の隙間には結合組織があるが、ここには毛細血管が非常によく発達している。
甲状腺にはヨウ素が蓄積することが知られており、チェルノブイリ原子力発電所事故の際には小児の甲状腺にヨウ素131が蓄積して癌化する例が見られた。ヨウ素の吸収量には上限があるため、事前にヨウ素剤(劇物であるので注意)を経口飲用することで放射性ヨウ素を吸収させないといった処方がよく知られている。
甲状腺に関連する疾患
- 甲状腺機能亢進症
- バセドウ病
- 甲状腺クリーゼ
- 機能性腺腫
- 下垂体腺腫
- 甲状腺機能低下症
- 甲状腺炎
- 無痛性甲状腺炎
- 亜急性甲状腺炎
- 慢性甲状腺炎(橋本病)
- 急性化膿性甲状腺炎
- 腫瘍
- 甲状腺腫(diffuse goiter)
- 甲状腺腺腫(adenoma)
- 甲状腺癌(carcinoma)
甲状腺機能検査
甲状腺疾患を疑った場合の検査法を以下にまとめる。
- 医原性(甲状腺ホルモン剤の服用、甲状腺の手術、放射線治療の既往)のもの、妊娠の有無を確認する。
- 甲状腺腫の性状を観察する。可能ならば超音波検査で評価する。
- 甲状腺疼痛の有無を確認する。
- TSH、FT4の測定を行う。この時、橋本病を疑うのならばTgAbをバセドウ病を疑うのならばTSH受容体抗体を測定する。日本では食餌由来ヨード摂取率の違いも関与し、橋本病ではTgAbがTPOAbに比べ感度が高い。[1]
測定したTSH、FT4の値から疾患を想定することができる。TSH、FT4の値に関係なく甲状腺の疼痛が強い場合、亜急性甲状腺炎であることが多いが、未分化腫瘍内出血、亜急性化膿性甲状腺炎を視野にいれて鑑別をすすめる。 サイログロブリンは多様な疾患で上昇するため、鑑別診断にはあまり用いられない。
TSHが感度以下、FT4が高値か正常
甲状腺ホルモン亢進症や破壊性甲状腺中毒症である。頻度としてはバセドウ病が最も多いが、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎なども考えられる。
TSHが高値、FT4が低値か正常
甲状腺機能低下症であることが多い。ほとんどが橋本病か萎縮性甲状腺炎である。
TSHが正常、FT4が正常
甲状腺機能に異常はないが甲状腺腫があるという状態である。単純性甲状腺腫、橋本病などびまん性甲状腺腫の他、乳頭癌や腺腫症甲状腺腫など結節性甲状腺腫の場合がある。
それ以外
TSHとFT4の値に乖離が見られる場合は、視床下部、下垂体の異常や甲状腺機能異常の治療中に認められる一時的な下垂体の反応異常、生理的なもの、FT4やTSHの測定に干渉する物質の存在などが考えられる。
甲状腺画像診断
- 甲状腺の正常重量は、男性 15~35g, 女性 10~25gである。推測式; (甲状腺水平断での最大断面の面積) X 5 = (甲状腺重量) によりおおよその重量が推測できる。[2]
- 下垂体性甲状腺疾患の除外のため、頭部CTを撮影することがある。
- 甲状腺の腫瘤検査の他に、眼窩MRIによる外眼筋肥大を検査する。
脚注
- ^ 吉村 弘. 日医雑誌 2013; 141(11): 2425-9.
- ^ 上條桂一: 日医雑誌 2013; 141(11): 2402-6.
関連項目
- エーミール・テオドール・コッハー
- ヨウ素
- 甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン
- 甲状腺刺激ホルモン
- 甲状腺ホルモン
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
|
視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部
|
GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
|
|
脳下垂体後葉
|
バソプレッシン - OXT
|
|
脳下垂体中葉
|
インテルメジン
|
|
脳下垂体前葉
|
αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - MSH - エンドルフィン - リポトロピン)
|
|
|
副腎 |
副腎髄質
|
副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
|
|
副腎皮質
|
副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
|
|
|
甲状腺 |
甲状腺
|
甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
|
|
副甲状腺
|
PTH
|
|
|
生殖腺 |
精巣
|
テストステロン - AMH - インヒビン
|
|
卵巣
|
エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
|
|
|
その他の内分泌器 |
膵臓
|
グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
|
|
松果体
|
メラトニン
|
|
|
内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
|
|
誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
|
|
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 福島の子どもに「甲状腺がん」 いまの段階で、これだけは断言できる
- 「原発との因果関係なし」と言われても…… 福島に住む母親たちの不安と憔悴 わが子が甲状腺がんになった親の気持ちがわかりますか
- 臨床研究・症例報告 PRKAR1A遺伝子変異を認めたホルモン抵抗性を伴うAcrodysostosisの男児例
- 日本のガイドラインと世界のガイドライン CKD-MBD (第5土曜特集 腎臓病のすべて) -- (腎臓病各論 : 診断とエビデンスに基づいた治療)
Related Links
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- 甲状腺疾患専門病院「伊藤病院」のサイト。甲状腺に関する情報を詳しくご紹介しています。 ... 甲状腺の病気と遺伝について どれくらいの確率で遺伝するのか バセドウ病、橋本病、ある種の甲状腺腫瘍は、ある程度遺伝と関係がある ...
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Japan Pharmaceutical Reference
販売名
チラーヂン末
組成
成分・含量
- 日局乾燥甲状腺
甲状腺に特異な有機性化合体としてヨウ素0.30〜0.35%
添加物
禁忌
- 新鮮な心筋梗塞のある患者
[基礎代謝の亢進により心負荷が増大し,病態が悪化することがある.]
効能または効果
- 粘液水腫,クレチン病,甲状腺機能低下症(原発性及び下垂体性),甲状腺腫,慢性甲状腺炎,甲状腺機能障害による習慣性流産及び不妊症
- 乾燥甲状腺として通常,成人1日15〜40mgから開始し,維持量として1日40〜200mgを経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.
慎重投与
- 狭心症,陳旧性心筋梗塞,動脈硬化症,高血圧症等の重篤な心・血管系の障害のある患者
[基礎代謝の亢進による心負荷により,病態が悪化するおそれがあるので,投与する場合には少量から開始し,通常より長期間をかけて増量し維持量は最小必要量とすること.]
- 副腎皮質機能不全,脳下垂体機能不全のある患者
[副腎クリーゼを誘発し,ショック等を起こすことがあるので,副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること.]
- 糖尿病患者
[血糖コントロールの条件が変わることがあるので,投与する際にはこの点に十分配慮すること.](「相互作用」の項参照)
- 高齢者(「高齢者への投与」の項参照)
重大な副作用
狭心症(頻度不明)
- 狭心症があらわれることがある.このような場合には過剰投与のおそれがあるので,減量,休薬等適切な処置を行うこと.
肝機能障害,黄疸(頻度不明)
- AST(GOT),ALT(GPT),γ-GTP等の著しい上昇,発熱,けん怠感等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと.
副腎クリーゼ(頻度不明)
- 副腎皮質機能不全,脳下垂体機能不全のある患者では,副腎クリーゼがあらわれることがあるので,副腎皮質機能不全の改善(副腎皮質ホルモンの補充)を十分にはかってから投与すること.全身けん怠感,血圧低下,尿量低下,呼吸困難等の症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと.
薬効薬理
- 乾燥甲状腺に含まれる甲状腺ホルモンは次の作用を示す.
- 組織の酸素消費を高め基礎代謝を上昇させる.(甲状腺機能低下症患者8),9),ラット10)〜12))
- 成長,発育を促進するが,大量では抑制する.(ラット12),13))
- 蛋白同化を促進するが,大量では蛋白異化を起こす.(甲状腺機能低下症患者,健康成人14),ラット15),16))
- 血中脂質,特にコレステロール量を減少させる.(ラット17),イヌ18))
- 肝グリコーゲンの分解を促進する.(ラット19))
- 水,電解質の排出を増加させる.(甲状腺機能低下症患者,健康成人20))
有効成分に関する理化学的知見
一般名
性 状
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、56~58の問いに答えよ。
- 72歳の女性。発熱、咽頭痛および咳嗽を主訴に来院した。
- 現病歴:2日前から37℃台の発熱、咽頭痛および咳嗽が出現した。風邪をひいたと考え市販の感冒薬を服用したが、内服後6時間程度で再び発熱したため受診した。咳をすると両側のこめかみと腰に軽度の痛みを感じる。腹痛と下痢はない。
- 既往歴:45歳時に胆石症と胆嚢炎とで手術。60歳から変形性腰椎症と骨粗鬆症とで総合病院の整形外科を定期受診している。
- 生活歴:40歳まで縫製工場で工員、その後65歳まで同工場の給食調理。現在は家族の炊事を担当するとともに、地域のボランティア活動などに参加している。夫、娘夫婦および11歳と6歳の孫の6人家族。喫煙歴はないが夫が喫煙者。飲酒は機会飲酒。ペットは飼っていない。海外渡航歴はない。
- 現症:意識は清明。身長 154cm、体重 68kg。体温 37.3℃。脈拍 80/分、整。血圧 126/62mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 96%(room air)。皮膚は軽度に汗ばんでいる。両側の眼瞼結膜と咽頭後壁とに発赤を認める。後鼻漏を認める。両側の下顎角直下のリンパ節に軽度の圧痛を認める。項部硬直を認めない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。頭頸部、体幹および四肢に皮疹を認めない。両側下腿に軽度の圧痕を残す浮腫を認める。
- この患者の病態を検討するのに、有用な所見が得られる可能性が高い身体診察はどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [111B056]←[国試_111]→[111B058]
[★]
- 次の文を読み、47、48の問いに答えよ。
- 22歳の男性。全身の脱力のため救急車で搬入された。
- 現病歴:3か月前から運動時の動悸を自覚していた。1か月前にテニスをしたところ、翌日起床時にベッドから起き上がりづらく、4時間ほど休んでいたら元に戻った。昨日は特別な運動をしなかったが、焼き肉店で遅くまで友人と大量に飲食したのち、30分程度歩いて帰ったという。本日起床時ベッドから立ち上がろうとして力が入らず、次第に上肢にも力が入らなくなってきたため救急車を要請した。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 生活歴:大学生で実家暮らし。喫煙歴はない。飲酒は機会飲酒。
- 家族歴:特記すべきことはない。
- 現症:意識は清明。身長 172cm、体重 55kg。体温 37.8℃。脈拍 104/分、整。血圧 96/44mmHg。呼吸数 22/分。皮膚は著明に湿潤している。瞳孔と眼球運動とに異常を認めない。構音に異常はない。徒手筋力テストで近位筋優位の筋力低下を認める。四肢腱反射は低下しているが、左右差は認めない。筋萎縮は認めない。感覚系に異常は認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤血球 515万、Hb 17.3g/dL、Ht 48%、白血球 5,900、血小板 20万。血液生化学所見:総蛋白 7.0g/dL、AST 20U/L、ALT 25U/L、CK 120U/L(基準 30~140)、尿素窒素 28mg/dL、クレアチニン 0.5mg/dL、血糖 85mg/dL、Na 139mEq/L、K 2.4mEq/L、Cl 101mEq/L。
- この病態の原因として最も考えられる臓器はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114B046]←[国試_114]→[114B048]
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 45歳の女性。動悸と体重減少とを主訴に来院した。
- 現病歴:1か月前から動悸、発汗および手指振戦が出現し改善しないため受診した。食欲は普通だが1か月間で体重が5kg減少した。口渇、多飲および多尿は自覚していない。
- 既往歴:9歳で虫垂炎。
- 生活歴:喫煙歴と飲酒歴とはない。
- 家族歴:姉が脂質異常症で治療中。
- 現症:意識は清明。身長 163cm、体重 58kg。体温 37.1℃。脈拍 102/分、不整。血圧 116/64mmHg。眼瞼結膜は貧血様でない。眼瞼短縮を伴う眼球突出を認める。甲状腺はびまん性に腫大している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮膚は湿潤。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 470万、Hb 12.9g/dL、Ht 40%、白血球 4,800、血小板 21万。血液生化学所見:ALP 478IU/L(基準 115~359)、空腹時血糖 92mg/dL、総コレステロール 122mg/dL、TSH 0.02μU/mL未満(基準 0.4~4.0)、FT4 8.5ng/dL(基準 0.8~1.8)。
- 診断のために追加すべき検査項目はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109C029]←[国試_109]→[109C031]
[★]
- 32歳の女性。甲状腺の検査を希望して来院した。5か月前に第2子を出産した。妊娠前に受けた検査で抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)強陽性であったため、妊娠期間中にも定期的に甲状腺ホルモン検査を受けていたが、これまでに異常を指摘されたことはなく自覚症状もない。体温 36.7℃。脈拍 84/分、整。血圧 126/86mmHg。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。びまん性のやや硬い甲状腺腫を触れるが圧痛はない。胸腹部に異常を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(±)、ケトン体(-)。血液所見:赤血球 420万、Hb 12.3g/dL、Ht 40%、白血球 6,700、血小板 21万。血液生化学所見:アルブミン 4.0g/dL、AST 13IU/L、ALT 15IU/L、クレアチニン 0.4mg/dL、血糖 146mg/dL、HbA1c 5.4%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 170mg/dL、トリグリセリド 90mg/dL、Na 137mEq/L、K 4.3mEq/L、Cl 102mEq/L、TSH 0.02μU/mL未満(基準 0.4~4.0)、FT4 2.0ng/dL(基準 0.8~1.8)。CRP 0.3mg/dL未満。
- この時点での方針として正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109D044]←[国試_109]→[109D046]
[★]
- 次の文を読み、30、31の問いに答えよ。
- 45歳の女性。動悸と体重減少とを主訴に来院した。
- 現病歴:1か月前から動悸、発汗および手指振戦が出現し改善しないため受診した。食欲は普通だが1か月間で体重が5kg減少した。口渇、多飲および多尿は自覚していない。
- 既往歴:9歳で虫垂炎。
- 生活歴:喫煙歴と飲酒歴とはない。
- 家族歴:姉が脂質異常症で治療中。
- 現症:意識は清明。身長 163cm、体重 58kg。体温 37.1℃。脈拍 102/分、不整。血圧 116/64mmHg。眼瞼結膜は貧血様でない。眼瞼短縮を伴う眼球突出を認める。甲状腺はびまん性に腫大している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。皮膚は湿潤。下腿に浮腫を認めない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 470万、Hb 12.9g/dL、Ht 40%、白血球 4,800、血小板 21万。血液生化学所見:ALP 478IU/L(基準 115~359)、空腹時血糖 92mg/dL、総コレステロール 122mg/dL、TSH 0.02μU/mL未満(基準 0.4~4.0)、FT4 8.5ng/dL(基準 0.8~1.8)。
- 内服治療の開始早期に、変動に最も注意すべき検査項目はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109C030]←[国試_109]→[109D001]
[★]
- 23歳の女性。嘔吐と意識障害のため搬入された。付き添ってきた友人によると数日前から嘔吐が始まり、今朝から「錯乱状態となっている」という。高校生のころ甲状腺の病気で一時通院したが、薬疹が出たため中止したという。閉眼のまま身体をねじらせてうなるだけで呼びかけに反応しない。体温37.4℃。脈拍180/分、整。血圧104/60mmHg。眼球突出とびまん性の甲状腺腫大とを認める。著明な発汗を認める。血液所見:赤血球480万、Hb 14.5g/dl、Ht 46%、白血球9,000、血小板31万。血液生化学所見:尿素窒素34mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、総コレステロール119mg/dl、ALT 187IU/l、FT4 13.8ng/dl(基準0.8~1.7)。
- 治療として適切でないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107A047]←[国試_107]→[107A049]
[★]
64歳の女性。 2週前から、家庭用血圧計で測定した脈拍が毎分90回を超えるようになったことを心配して来院した。 1週前から、 2階まで階段を昇ると息切れを自覚するようになった。食生活に偏りはなく、過去1年の体重は一定しており、便通は5日に1回程度、黒色調であったという。体温36.2℃。脈拍96/分、整。血圧132/72mmHg。呼吸数24/分。眼瞼結膜は蒼白である。眼球結膜に黄染を認めない。甲状腺の腫大を認めない。胸骨左縁第3肋間を最強点とするⅡ/Ⅵ度の収縮期雑音を聴取する。呼吸音に異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腹部に腹痛や圧痛を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [106C020]←[国試_106]→[106C022]
[★]
- 28歳の女性。嘔吐と腹痛とを主訴に来院した。「数日前から風邪でおなかをこわしていて食べられない。喉も渇く」と言う。半年前に受けた職場の健康診断で異常はなかった。意識は清明。身長 154 cm、体重 47 kg(1か月前は 50 kg)。体温 37.2℃。脈拍 100/分、整。血圧 102/80 mmHg。舌は乾燥している。甲状腺は軽度に腫大しているが結節や圧痛はない。心音と呼吸音とに異常を認めない。臍から下腹部に軽度の圧痛を認める。尿所見:蛋白 (-)、糖 3+、ケトン体 3+。
- まず考えるべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [108G048]←[国試_108]→[108G050]
[★]
- 51歳の女性。顔面の発汗を主訴に来院した。半年前から疲れやすさを自覚し、発作性の発汗、後頸部の熱感および肩こりが増強してきたという。身長 162cm、体重 56kg。体温 36.0℃。脈拍 72/分、整。血圧 124/76mmHg。1年前から月経はない。身体診察で明らかな異常を認めない。血液所見:赤血球 387万、Hb 12.8g/dL、Ht 39%、白血球 6,300、血小板 21万。血液生化学所見:AST 24U/L、ALT 20U/L、TSH 1.2μU/mL(基準 0.2~4.0)、FT4 1.1ng/dL(基準 0.8~2.2)、FSH 38mIU/mL(閉経後の基準 30以上)。心電図で異常を認めない。
- この病態の原因となっているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [114D017]←[国試_114]→[114D019]
[★]
- 23歳の女性。無月経を主訴に来院した。初経以来月経に異常はなかったが、半年前から無月経となった。1年前からダイエットを始め体重は10kg減少したが、現在もダイエットを続けている。性格は明るく、職場や家庭においても人間関係は良好である。身長158cm、体重44kg。
- 無月経の原因として最も考えられる部位はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G043]←[国試_105]→[105G045]
[★]
- 34歳の女性。無月経を主訴に来院した。8年前に正常分娩し、その後月経に異常はなかったが. 1年ほど前から稀発月経となり半年前から無月経となっていた。診察時に乳頭部の圧迫を行った後の写真(別冊No.9)を別に示す。
- 疾患に関与するのはどれか。3つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [104E051]←[国試_104]→[104E053]
[★]
- a 頸部を後屈して行う。
- b 甲状腺は甲状軟骨と舌骨との間に触知する。
- c 唾液を嚥下すると甲状腺は頭側へ移動する。
- d 甲状腺の血管性雑音は頸動脈分岐部分で聴取する。
- e 甲状腺を触知すれば甲状腺腫大があると診断する。
[正答]
※国試ナビ4※ [110H007]←[国試_110]→[110H009]
[★]
- 67歳の男性。進行喉頭癌と診断され、昨日、甲状腺全摘を含む拡大手術を受けた。今朝から両手のしびれ感を訴えている。手指の有痛性筋痙攣を認める。
- 輸液に加えるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105D057]←[国試_105]→[105D059]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [103E022]←[国試_103]→[103E024]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [106D015]←[国試_106]→[106D017]
[★]
- 内分泌器官と分泌されるホルモンの組合せで正しいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [096G046]←[国試_096]→[096G048]
[★]
- ホルモンと産生組織の組合せで誤っているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097G042]←[国試_097]→[097G044]
[★]
- a 甲状軟骨の前面にある。
- b 触知すれば異常である。
- c 高齢者ほど頭側に位置する。
- d 正常では嚥下で移動しない。
- e 側面からの視診も有用である。
[正答]
※国試ナビ4※ [105H002]←[国試_105]→[105H004]
[★]
- 頸部造影CT(別冊No. 3)を別に示す。このスライスレベルで確認できないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111G025]←[国試_111]→[111G027]
[★]
- 頭部診察の写真を以下に示す。
- 触診しているのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097E020]←[国試_097]→[097E022]
[★]
- 英
- hormone
古典的な定義
- 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)
例外
- 消化管ホルモン (PT.403)
- 視床下部ホルモン (PT.403)
- 甲状腺濾胞ホルモン?
- カルシトニン?
ホルモンの一覧表
[★]
- 英
- acute pancreatitis
- 関
- 膵炎、慢性膵炎
概念
- 種々の原因で膵酵素が膵内で活性化され、組織を自己消化して起こる急性炎症。
- 原因としてはアルコールと胆石が一般的と思われる。
- 突然上腹部痛を呈し、 種々の腹部所見(軽度の圧痛から反跳痛まで)が見られる。
- 症候、身体所見、および検査値異常として、嘔吐、発熱、頻脈、白血球増加、血中・尿中の膵酵素の上昇を見る。
- 重症急性膵炎は特定疾患治療研究事業の対象疾患である(公費対象)
病因
- アルコール
- 胆石症
- 特発性
- 医原性
- 外傷
- 慢性膵炎急性増悪
- 膵・胆道奇形
- 代謝・栄養障害
- SSUR.626
- アルコール、胆石症、ERCP、手術、薬剤、脂質異常症、副甲状腺亢進症
小児の急性膵炎
- YN.B-82
発症機序
- SSUR.626
- 共通管説:胆石性膵炎
- 膵外分泌亢進-膵管閉塞説:アルコール性膵炎:アルコール化量摂取が膵外分泌を亢進させ、乳頭部の浮腫や痙攣を惹起して膵液の相対的流出障害を起こす。
- Oddi括約筋の痙攣、不溶性蛋白栓の沈殿による膵導管の閉塞、および 膵プロテアーゼの活性化が考えられている(ガイドイラン1)。
- 十二指腸液逆流説:小腸閉塞、Billroth II法再建胃切除術後の輸入脚症候群における急性膵炎
分類
障害組織による分類
- 浮腫性膵炎:炎症に伴いびまん性または限局性に膵臓は腫大し、壊死を伴わないもの。造影CTで不染領域をみとめないもの
- 壊死性膵炎:びまん性または限局性に膵実質が壊死に陥ったもの。壊死組織は造影CTで造影不良をみる。膵壊死組織への細菌感染の有無が予後を規定する。
疫学
- 発生頻度は27.7/10 万人/年
- 男女比=2:1
- アルコール性膵炎は男性に多く、胆石性膵炎は女性に多い。
病態
- SSUR.626
- 膵酵素の膵実質障害 → 炎症反応惹起 → (炎症が高度の場合)高サイトカイン血症 → 活性化された顆粒球による多臓器障害
- 膵酵素、エンドトキシン、顆粒球やマクロファージから産生されたホスホリパーゼA2により肺胞が障害される。
- 膵臓からの滲出液の後腹膜腔への貯留 + サイトカイン血症による血管透過性の亢進 → 血液量減少
症状
- 上腹部腹痛から背部痛、悪心嘔吐、腹部膨満感、発熱。
合併症
- 早期合併症:(重症化例で)DIC、ショック、呼吸不全、腎不全、MODS
- 後期合併症:膵仮性嚢胞(2-3%の症例にみられる)、膵膿瘍、腹腔内膿瘍、出血、重症感染症
検査
CT
- (浮腫性膵炎)単純CTで膵臓の浮腫による腫大、炎症の波及による膵周囲脂肪織の濃度上昇。
- (壊死性膵炎)浮腫性膵炎の所見に加え、造影CTで造影不良領域が認められる。
血液一般検査・生化学
- 白血球:増加
- Plt:低下 (なぜ? DICが存在するのであれば、想像できるが)
- Ht:増加(浸出液増加による血液濃縮)
- Ca:↓(重症のサイン。鹸化壊死で消費) ← また、血中グルカゴン上昇により、カルシトニンが甲状腺より遊離されるため(QB.B-349) おかしくない???
- 血糖:上昇(ランゲルハンス島の破壊)
- BUN:上昇(腎機能障害)
- LDH:上昇(重症例で。組織破壊)
- TG?:血中リパーゼ濃度が上昇し、脂肪が分解されるため、らしい。
逸脱酵素
- 血清アミラーゼ:高値。発症数時間で上昇。3日程度で正常化。尿中アミラーゼは持続日数が長い。鑑別:高アミラーゼ血症
- 血清トリプシン:高値。特異性高い。
- 血清リパーゼ:高値。特異性高い。
- 血清エラスターゼ-I:高値。特異性高い。高値が持続する。膵臓に特異的らしい。アミラーゼ、リパーゼに比べ正常化が遅れるため、経過を見るのに適す(YN.B-80)。
肝機能・胆道系酵素
画像検査
診断
重症度
- 重症度は血清カルシウム、血糖値、BUNで判定できる。血清アミラーゼは参考にならない。
ガイドライン1
- 予後因子3点と造影CT Grade 2以上の場合に重症と判定される。
予後因子(各1点)
- 1. Base Excess≦-3 mEq/L, またはショック(収縮期血圧≦80 mmHg) 代謝性アシドーシス
- 2. PaO2≦60 mmHg (roomair), または呼吸不全(人工呼吸管理が必要) 換気機能低下
- 3. BUN≧40 mg/dL (or Cr≧2 mg/dL), または乏尿(輸液後も1 日尿量が400 mL 以下) 腎機能低下
- 4. LDH≧基準値上限の2 倍 組織障害
- 5. 血小数≦10 万/mm3 血小板の消費
- 6. 総Ca≦7.5 mg/dL 脂肪壊死
- 7. CRP≧15 mg/dL 炎症
- 8. SIRS 診断基準における陽性項目数≧3 全身性の炎症
- 9. 年齢≧70 歳 ストレスに対する適応能力低下
- SIRS診断基準項目:(1)体温>38℃または<36℃,(2)脈拍>90 回/分,(3)呼吸数>20 回/分またはPaCO2<32 torr,(4)白血球数>12,000/mm3か<4,000 mm3または10%幼若球出現
造影CT Grade
- 前腎傍腔 0点
- 結腸間膜根部 1点
- 腎下極以遠 2点
- 膵を便宜的に3 つの区域(膵頭部, 膵体部, 膵尾部) に分け判定する。
- 各区域に限局している場合,または膵の周辺のみの場合 0点
- 2つの区域にかかる場合 1点
- 2つの区域全体を占める,またはそれ以上の場合 2点
- 1点以下 Grade 1
- 2点 Grade 2
- 3点以上 Grade 3
治療
- SSUR.627
- 血液量減少:急速輸液
- 膵臓を休ませる?:高カロリー輸液
- 感染防止:抗菌薬
- 組織障害抑制:膵酵素阻害薬
- 多臓器不全:人工呼吸、血漿交換、腹膜透析、血液透析
- (胆石性膵炎では)膵炎の治療の前に内視鏡的乳頭切開術による胆石除去を行う
- 手術療法:壊死膵組織が感染して膵膿瘍、敗血症となった場合に限り適応。膵壊死部摘除術、膵切除術、open drainageを行い、壊死巣を除去する。
手術適応
- B.352
- 緊急手術を要する疾患と鑑別が困難な場合(穿孔性腹膜炎など)
- 保存治療が奏功しない場合
- 胆道疾患が合併するとき
- 合併症が存在するとき(膿瘍、血腫、仮性嚢胞、慢性膵炎)
ガイドライン
- 1. 日本膵臓学会 - 急性膵炎診療ガイドライン2010
- http://www.suizou.org/APCGL2010/APCGL2010.pdf
- 2. 急性膵炎GL2010改訂出版委員会編/医療・GL(10年)/ガイドライン
- http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0011/1/0011_G0000243_GL.html
参考
- 1. 急性膵炎の重症度判定基準 - 日本メディカルセンター
- http://www.nmckk.jp/pdf.php?mode=puball&category=CLGA&vol=23&no=10&d1=2&d2=0&d3=0
- http://www.jslm.org/books/guideline/19.pdf
- 3. 難病情報センター | 重症急性膵炎(公費対象)
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/271
国試
- 英
- acute pancreatitis
- 同
- acute pancreatitis
[★]
- 英
- hyperthyroidism
- 同?
- 甲状腺中毒症 thyrotoxicosis
- 関
- 甲状腺、甲状腺ホルモン、甲状腺腫。甲状腺機能低下症
定義
- 甲状腺においてホルモンの合成と分泌が増加し、そのために甲状腺ホルモン過剰の症状が出現している病態
分類
-
- グレーブス病 :びまん性 :fT3↑、fT4↑、TSH↓
- 甲状腺機能性結節 toxic multinodular goitar
- TSH産生下垂体腫瘍 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
- 下垂体型甲状腺ホルモン不応症 :fT3↑、fT4↑、TSH↑
- 胞状奇胎、絨毛腫瘍
- ヒト絨毛性ゴナドトロピンhCGがTSH様甲状腺刺激物質として作用するため、甲状腺でのホルモン分泌、合成が亢進する。血中甲状腺ホルモンは高値となるが、TSHは低値を示す。hCGは妊娠初期にも分泌され、一過性の甲状腺機能亢進状態になることもある。
- 卵巣の奇形腫(teratoma)で、腫瘍内に過機能性甲状腺腫が存在し、甲状腺中毒症状を呈す。
- 甲状腺ホルモンの過剰投与、痩せ薬としての服用などにより、甲状腺中毒症状が出現する。血中TSH値は抑制され、サイログロブリンは低値を示すことが特徴的。
-
疫学
- 参考1
症状
YN.D-30
- 全身症状:全身倦怠感、易疲労感、体重減少、体重増加もあり、微熱
- 消化器症状:食欲亢進、排便回数の増加、軟便、下痢
- 循環器症状:動悸、息切れ、頻脈、心房細動、高血圧(収縮期血圧上昇、拡張期血圧低下、脈圧増大)
- 神経筋症状:手指振戦、下肢近位筋の筋力低下、筋萎縮
- 皮膚症状:発汗過多、皮膚湿潤、色素沈着、脱毛、皮膚掻痒感、手掌紅斑、爪甲剥離(Plummer爪)
- 精神症状:神経過敏、易刺激性、不眠、多動
- 性腺症状:月経異常(月経過少、無月経)
甲状腺機能亢進症と褐色細胞腫
- 血圧:収縮期血圧↑/収縮期血圧↓ ⇔ 収縮期血圧↑/収縮期血圧↑
- 消化器症状:下痢 ⇔ 便秘
眼症状
- 甲状腺眼症においては、球後軟部組織の炎症性病変すなわち眼窩症が眼症発症の背景にある。
- したがって、球後脂肪織炎による眼球突出と、外眼筋炎を伴う眼球突出がある。
- Basedow病発症のピークを示す20歳前後の世代では脂肪織炎のみによる眼球突出のみによる眼球突出が高頻度に見られるのに対して、もう一つの山である40歳代の中高年層では外眼筋肥大を伴う例が多い。
- 薬物治療:副腎皮質ステロイドホルモンのパルス療法あるいは漸減法を行う。
- 特徴的所見:眼瞼後退、Graefe徴候(下方視の際に上眼瞼の下方への動きが遅れる)、Kocher徴候(目が凝視または驚いたように見える状態)
合併症
検査
など
- Ca:高値 → 甲状腺ホルモンによる骨吸収・骨形成亢進のため? 骨粗鬆症が出現する症例はない、あるいは少ないのか?
- P: 高値
- 食後:高血糖
- AST:上昇
- ALT:上昇
治療
- ICU.762
- β遮断薬
- 抗甲状腺薬:メチマゾール(MMI)(PTUより早く血漿fT4濃度を低減させるし、顆粒球減少の頻度がより低い)、プロピルチオウラシル(PTU)
- ヨウ素剤:重症の場合は抗甲状腺薬に加えて使用する。ヨウ素は甲状腺からのT4放出を抑制する。
参考
- http://www.thyroid.jp/pdf/dr_TRAb.pdf
uptodate
- 1. [charged] 成人における甲状腺機能亢進症の臨床症状の概要 - uptodate [1]
- 2. [charged] 潜在性甲状腺機能亢進症 - uptodate [2]
- 3. [charged] 甲状腺機能亢進症の原因となる疾患 - uptodate [3]
- 4. [charged] 小児期および思春期における甲状腺機能亢進症の臨床症状および診断 - uptodate [4]
- 5. [charged] 甲状腺機能亢進症およびバセドウ病の神経学的症状 - uptodate [5]
- 6. [charged] 甲状腺機能亢進症の心血管系への影響 - uptodate [6]
- 7. [charged] 甲状腺機能亢進症の診断 - uptodate [7]
- 8. [charged] バセドウ病(グレーブス甲状腺機能亢進症)の治療 - uptodate [8]
[★]
- 英
- hypothyroidism
- 同
- 甲状腺機能不全症
- 関
- 粘液水腫、甲状腺ホルモン、甲状腺
- 甲状腺機能亢進症
概念
- 甲状腺ホルモンの合成、分泌が低下し、血液中の甲状腺ホルモンが不足している状態である。
病因
病態
- 参考1
- → 代謝の低下
- → 多くの組織の組織間隙にグリコサミノグリカンが蓄積
症候
- 全身:全身倦怠感、易疲労感、体重増加、低体温、嗄声、
貧血(EPO↓)、滲出液貯留(心膜液貯留(約30%の症例で見られる)、胸水貯留 ←血管透過性の亢進による)
- 消化器:絶肥大、便秘、食欲低下
- 循環器:粘液水腫心、心拍出量の低下?
- 骨格筋:こむらがえり、アキレス腱反射の子癇層の遅延(Lamberts徴候)、筋力低下(骨格筋ミオパチー)、筋肥大(Hoffmann症候群)、筋痛
- 皮膚 :四肢・顔面の粘液水腫、発汗減少、皮膚乾燥、頭皮脱毛、眉毛外1/3の脱毛、皮膚の黄染
- 神経 :末梢神経と中枢神経のいずれも影響が生じる。 (参考1)
- 橋本脳症:疾患概念についてはcontroversial
- 粘液水腫性昏睡(ICU.762)(低体温、浮腫性皮膚、意識レベル低下)
- 手根管症候群:よく見られる合併症。ホルモン療法により軽快。 ← 組織間質にグリコサミノグリカンが蓄積して手根管を狭窄せしめるのか
- 精神 :記銘力低下、計算力低下、言語緩慢、活動性低下
- 生殖系:月経不順(月経過多、無月経)。不妊、流産。 ← 初期に月経過多、後期に無月経を起こす(出典不明)。
- その他:乳汁分泌(三次性以外。TRH↑)、難聴、貧血。 ← 甲状腺ホルモンがエリスロポエチンの分泌を亢進させるので
生殖系の異常
月経前の婦人集団
|
集団サイズ(人)
|
患者全体に占める割合(%)
|
月経周期正常
|
無月経・希発月経
|
過多月経
|
甲状腺機能低下症
|
171
|
77
|
16
|
7
|
健常者
|
214
|
92
|
7
|
1
|
検査
胸部単純X線写真
心電図
血液検査
- AST,LDH,CKなど筋酵素が増加
- (1)心拍出量の低下 → 頚動脈圧受容器 → ADH分泌 (時に尿Na濃度が低下せず、SIADHの基準を満たす例がある)
- (2)GFR低下((1)の影響?) → ヘンレループの上行脚(diluting segment)に至る尿量減少 → 排泄できる自由水減少
診断基準
- a)かつb)を満たすもの
- 無気力、易疲労感、眼瞼浮腫、寒がり、体重増加、動作緩慢、嗜眠、記憶力低下、便秘、嗄声等いずれかの症状
治療
参考
- 1. [charged] 甲状腺機能低下症の臨床症状 - uptodate [9]
- 2. [charged] 甲状腺機能低下症における低ナトリウム血症 - uptodate [10]
- 3. [charged] 甲状腺機能低下症の治療 - uptodate [11]
- 4. [charged] 甲状腺機能低下性ミオパチー - uptodate [12]
- 5. 甲状腺機能低下症 - 甲状腺疾患診断ガイドライン
- http://www.japanthyroid.jp/doctor/guideline/japanese.html#teika
[★]
- 英
- parathyroid hormone, PTH
- 同
- 上皮小体ホルモン, パラソルモン parathormone
- 関
- 上皮小体、カルシトニン
- 副甲状腺、甲状腺
- カルシウム
- 「血中カルシウムイオンの低下」により分泌され、「血中カルシウムイオン濃度を上げる」ホルモン
分類
性状
産生組織
標的組織
作用
2007年度後期生理学授業プリント
-
- リン酸の再吸収↓ ← ビタミンDはリン酸の再吸収↑
- HCO3-排出↑ → 原発性副甲状腺機能亢進症では代謝性アシドーシスを起こす
- 活性ビタミンD3産生↑ (副甲状腺に対してネガティブフィードバックをかける)
-
- カルシウム再吸収↑
- 活性ビタミンD3存在下で、腸管からのカルシウム取り込み↑
YN.D46
- 1. 遠位尿細管でのCa2+再吸収↑→血中Ca↑
- 2. 近位尿細管でのP再吸収↓→血中P↓
- 3. 近位尿細管でのHCO3-再吸収↓→排泄↑→高Cl性代謝性アシドーシス
- 4. 近位尿細管で1α水酸化酵素活性化→1,25-(OH)2-D産生↑→腸管でのCaとPの吸収↑
- 5. 骨芽細胞に作用は破骨細胞の形成・機能↑→Ca2+遊離→血中Ca2+, P, H+↑
骨の形成と吸収 YN.D46
分泌の調節 (2007年度後期生理学授業プリント)
- 血中カルシウムイオン濃度↓→PTH分泌↑
- 血中カルシウムイオン濃度↑→PTH分泌↓
分泌調節のポイント:カルシトニン ←Ca2+ + protein binding Ca 。 副甲状腺ホルモン ←Ca2+
分子機構
臨床関連
臨床関連