- 英
- endothelin ET
- 関
- 血管内皮細胞
- SP.615
- 21残基からなるペプチド。3つのアイソフォームからなる。
- 生合成:ビッグエンドセリンが産生され、エンドセリン変換酵素により切り出されエンドセリンとなる。
- 産生:血管内皮細胞で産生され、傍分泌を行う
- 作用:アンジオテンシンIIの1/10量で長時間に渡って血管を収縮させる
- 産生の誘因:血管が伸展されたり、低酸素になったりすると放出され、まわりの平滑筋細胞を収縮させる
Wikipedia preview
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/06/10 19:04:06」(JST)
[Wiki ja表示]
エンドセリン (endothelin) は、血管内皮細胞由来のペプチドで、強力な血管収縮作用を有する。
発見
エンドセリンは1988年、当時筑波大学基礎医学系薬理学教室の大学院生であった柳沢正史(テキサス大学サウスウェスタン医学センター教授)、真崎知生教授(当時)らのグループによって発見された。ブタ大動脈の血管内皮細胞培養上清から、強力な血管収縮作用を有する生理活性物質として、単離、精製、および遺伝子の同定がなされた。この物質をラットに静注すると、1時間以上も持続する強力な昇圧反応が観察された。その様子は「ラットは血の涙を流した」として知られている。
構造と作用
エンドセリンは21個のアミノ酸で構成され、分子内に2個のジスルフィド結合を有する。203個のアミノ酸より成る前駆体がプロセッシングされることにより生成する。多くの哺乳類には、異なる遺伝子によってコードされる ET-1, ET-2, ET-3 という3種のペプチド異性体が存在する。
エンドセリンは一過性の血管拡張作用と、それに引き続く持続的な血管収縮作用を有する。ただしET-3の血管拡張作用は他の2種に比べ非常に弱い。
エンドセリンの受容体はETAとETBの2種類が存在する。ETAはET-1とET-2に高い親和性が高く、ET-3に対しては低い親和性をしめす。ETBは3種のアイソペプチドに同等の親和性をしめす。血管系においてはETAは血管収縮作用、ETBは血管内皮細胞におけるNOの放出を介した血管拡張作用に関与しているとされているが、一部の血管ではETB受容体も血管収縮に関与している。
エンドセリンは肺高血圧、心不全、腎不全といった病態との関連が指摘されている。エンドセリン受容拮抗薬(ETA受容体とETB受容体の両方を阻害する)である "bosentan" は肺動脈性肺高血圧症の治療薬として使用されている。
また、神経堤由来組織の胚発生において重要な役割を演じていることが示唆されている。ETB受容体の異常は一部のヒルシュスプルング病(ワールデンブルグ症候群)の原因である。
循環器系の正常構造・生理 |
|
心臓 |
肉眼解剖
|
基本構造
|
左心
|
左心房 - 僧帽弁 - 左心室 - 大動脈弁
|
|
右心
|
右心房 - 三尖弁 - 右心室 - 肺動脈弁
|
|
心房中隔 - 心室中隔 - 卵円窩 - - 乳頭筋 - 腱索
|
|
|
冠動脈系
|
バルサルバ洞 - 冠動脈 - 右冠動脈 - 左冠動脈前下行枝 - 左冠動脈回旋枝
|
|
刺激伝導系
|
洞結節 - 房室結節 - ヒス束 - プルキンエ線維
|
|
|
顕微解剖
|
心内膜 | 心筋 | 介在板 | ギャップ結合 | 心膜
|
|
生理学
|
電気
|
心電図 | P波 | PQ時間
|
|
物理
|
心雑音 | 心拍数 | 心拍出量 | 心係数 | ベインブリッジ反射 | スターリングの法則 | 血圧反射機能
|
|
|
生化学
|
ANP | BNP | エンドセリン | 昇圧剤 | 高血圧治療薬 | アドレナリン作動薬
|
|
|
血管 |
肉眼解剖
|
動脈系
|
大動脈
|
上行大動脈 - 大動脈弓 - 胸大動脈 - 下行大動脈 - 腹部大動脈 - 総腸骨動脈
|
|
頭頸部の動脈 |
|
総頸 |
外頸
|
上甲状腺
|
上喉頭 · 胸鎖乳突筋枝 · 舌骨下枝 · 輪状甲状枝 · 腺枝
|
|
上行咽頭
|
後硬膜 · 咽頭枝 · 下鼓室
|
|
舌
|
舌骨上枝 · 舌背枝 · 舌深 · 舌下
|
|
顔面
|
頸枝 (上行口蓋, 扁桃, オトガイ下, 腺枝) · 顔枝 (下唇, 上唇 / 鼻中隔, 外側鼻, 眼角)
|
|
後頭
|
胸鎖乳突筋 · 硬膜 · 後頭枝 · 耳介 · 下行枝
|
|
後耳介
|
茎乳突孔 · アブミ骨枝 · 耳介枝 · 後頭枝
|
|
浅側頭
|
顔面横 · 中側頭 (頬骨眼窩) · 前耳介枝 · 前頭枝 · 頭頂枝
|
|
顎
|
1st part: 前鼓室 · 深耳介 · 中硬膜 (上鼓室, 岩様部枝) · 副硬膜 · 下歯槽 (オトガイ, 顎舌骨筋)
2nd part: 咀嚼筋 (深側頭, 翼突筋枝, 咬筋) · 頬
3rd part: 後上歯槽 · 眼窩下 (前上歯槽) · 下行口蓋 (大口蓋, 小口蓋) · 翼突管 · 蝶口蓋 (後鼻中隔枝, 外側後鼻)
|
|
|
内頸
|
頸部
|
頸動脈洞
|
|
錐体部
|
翼突管 · 頚鼓
|
|
海綿静脈洞部/
眼
|
眼窩: 後篩骨 · 前篩骨 (前鼻中隔枝, 外側前鼻枝, 前硬膜枝) · 涙腺 (外側眼瞼) · 内側眼瞼 · 末端 (眼窩上, 滑車上, 鼻背)
目: 網膜中心 · 毛様体 (短後毛様体, 長後毛様体, 前毛様体) · 下垂体 (上下垂体, 下下垂体)
|
|
大脳動脈輪
|
前大脳 (前交通, 前内側視床線条体) · 中大脳 (前外側視床線条体, 眼窩前頭, 前頭前, 上皮質枝, 下皮質枝, 前側頭葉) · 後交通 · 前脈絡叢
|
|
|
|
鎖骨下 |
椎骨
|
硬膜枝 · 脊髄 (後脊髄, 前脊髄) · 脳底: 橋 · 迷路 · 小脳 (後下小脳, 前下小脳, 上小脳) · 大脳 (後大脳)
|
|
甲状頸
|
下甲状腺
|
下喉頭 · 気管枝 · 食道枝 · 上行頸 · 咽頭枝 · 腺枝
|
|
頸横
|
浅枝 · 背側肩甲
|
|
肩甲上
|
肩峰枝
|
|
|
肋頸
|
深頸 · 最上肋間
|
|
|
|
上肢
|
鎖骨下動脈 - 腋窩動脈 - 上腕動脈 - 浅掌動脈弓 - 深掌動脈弓
|
|
胸部
|
胸部大動脈 - 食道動脈 - 肋間動脈 - 上横隔動脈 - 気管支動脈
|
|
腹部
|
腹部大動脈 - 下横隔動脈 - 腹腔動脈 - 上腸間膜動脈 - 腎動脈 - 下腸間膜動脈 - 腰動脈
|
|
下肢
|
外腸骨動脈 - 大腿動脈 - 膝窩動脈 - 前脛骨動脈 - 後脛骨動脈 - 腓骨動脈 - 足背動脈 - 弓状動脈
|
|
|
静脈系
|
大静脈
|
上大静脈系
|
腕頭静脈 - 鎖骨下静脈 - 静脈角 - 内頸静脈
|
|
下大静脈系
|
総腸骨静脈 - 外腸骨静脈 - 大腿静脈
|
|
|
頭頸部の静脈・静脈洞 |
|
外頸 |
下顎後: 顎 · 浅側頭 (前耳介)
後耳介
頸横 - 肩甲上 - 前頸 (頸静脈弓)
|
|
内頸 |
板間/脳
|
大脳: 上大脳 · 浅中大脳 · 下大脳 · 大大脳 · 内大脳 (脳底, 上視床線条体)
小脳: 上小脳 · 下小脳
静脈洞交会: 上矢状 · 直 (下矢状) · 後頭
海綿: 蝶形骨頭頂 · 海綿間
上眼 (篩骨, 網膜中心, 鼻前頭) · 下眼 · 渦
内頸: S状: 横 (側頭錐体鱗部) · 上錐体
下錐体 (脳底静脈叢, 内耳) · 顆導出
|
|
その他
|
総顔面 · 顔面 (前頭葉, 眼窩上, 眼角, 上唇, 下唇, 深顔面) · 翼突筋
舌 (舌背, 舌深, 舌下) · 咽頭 · 甲状腺 (上甲状腺/上喉頭, 中甲状腺)
|
|
|
椎骨静脈 |
後頭葉 (後頭導出) · 後頭下
深頸
|
|
腕頭 |
下甲状腺 (下喉頭) - 胸腺
|
|
|
上肢
|
上腕静脈 - 橈側皮静脈 - 尺側皮静脈 - 前腕正中皮静脈 - 橈骨静脈 - 尺骨静脈
|
|
胸部
|
奇静脈 - 半奇静脈 - 副半奇静脈 - 気管支静脈
|
|
腹部
|
肝静脈 - 腎静脈
|
|
下肢
|
大伏在静脈 - 膝窩静脈 - 小伏在静脈 - 前脛骨静脈 - 後脛骨静脈 - 足背静脈弓
|
|
|
肺循環系
|
肺動脈 - 肺静脈
|
|
肝循環系
|
肝門脈 - 下垂体門脈
|
|
腎循環
|
腎動脈 - 輸入細動脈 - 糸球体 - 輸出細動脈 - 腎静脈
|
|
|
顕微解剖
|
血管内皮
|
|
生理学
|
圧受容器 | 頚動脈洞反射 | 脈波伝播速度 | 傍糸球体装置
|
|
生化学
|
レニン-アンジオテンシン系 | 血管内皮細胞増殖因子 | 内皮由来弛緩因子
|
|
|
UpToDate Contents
全文を閲覧するには購読必要です。 To read the full text you will need to subscribe.
Japanese Journal
- 増澤 浩一/堀 貞夫
- 東京女子医科大学雑誌 82(E1), E71-E77, 2012-01-31
- … 極めて強力で持続的な血管収縮作用を示すペプチドであるエンドセリンは、その発見から約20年が経過し、この間に各分野での研究が進んだ。 … 最近、抗エンドセリン薬が肺高血圧症に対する適応で市販化されたが、糖尿病における抗エンドセリン薬は抗VEGF薬にはない利点を持つため、今後、糖尿病網膜症の増殖化抑制のための薬剤としても適応の拡大が期待される。 …
- NAID 110008767955
- 吉川 雄一郎,佐々木 富男,平野 真弓,平野 勝也,Kikkawa Yuichiro,Sasaki Tomio,Hirano Mayumi,Hirano Katsuya,キッカワ ユウイチロウ,ササキ トミオ,ヒラノ マユミ,ヒラノ カツヤ
- 福岡医学雑誌 102, 325-332, 2011-12-25
- … 子機構を明らかにすることが重要と思われる.脳血管攣縮の発症メカニズムは,攣縮誘発因子の産生と血管反応性の増大という二つの側面からとらえることができる.トロンビン,オキシヘモグロビン,エンドセリン(ET-1),トロンボキサンA2(TXA2),血小板由来増殖因子(PDGF),スフィンゴシン-1 リン酸(S1P)など,動物モデルなどで血管収縮作用が認められる様々な血液および血小板由来物質が髄液中に増加し,脳動脈 …
- NAID 120003678722
Related Links
- エンドセリン系による血管収縮の調節 血管の収縮は、循環している血管拡張物質と血管収縮物質の相互関係により正常に調節されています。健康な人のET-1濃度は非常に低く、血管収縮を適切なレベルに維持するのに役立っています。
- デジタル大辞泉 エンドセリンの用語解説 - 血管内皮細胞から形成・放出される強力な血管収縮因子。昭和63年(1988)、真崎知生らにより発見された。21個のアミノ酸からなるペプチド。
- マピオン大百科へようこそ。このページはエンドセリンに関する情報を掲載しています。気になる人物、知りたい事件があったらすぐに検索! ... エンドセリン (endothelin) は、血管内皮細胞由来のペプチドで、強力な血管収縮作用を有する ...
Related Pictures
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- hormone
古典的な定義
- 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)
例外
- 消化管ホルモン (PT.403)
- 視床下部ホルモン (PT.403)
- 甲状腺濾胞ホルモン?
- カルシトニン?
ホルモンの一覧表
[★]
- 英
- vascular endothelial cell
- 関
- 内皮細胞
血管内皮で産生される血管収縮因子と血管弛緩因子
- SP.614
[★]
[★]
- 英
- endothelin-1 ET-1
- 関
- エンドセリン
[★]
- 英
- endothelin A receptor
- 関
- エンドセリンA受容体
[★]
- 英
- endothelin B receptor
- 関
- エンドセリンB受容体
[★]
- 英
- endothelin receptor
- 関
- エンドセリン受容体
[★]
- 英
- endothelin-3、ET-3
- 関
- エンドセリン3
[★]
- 英
- endothelin-converting enzyme
[★]
- 英
- phosphorus P
- 関
- serum phosphorus level
分子量
- 30.973762 u (wikipedia)
- 単体で化合物としてはP4、淡黄色を帯びた半透明の固体、所謂黄リンで毒性が高い。分子量124.08。
基準値
- 血清中のリンおよびリン化合物(リン酸イオンなどとして存在)を無機リン(P)として定量した値。
- (serum)phosphorus, inorganic 2.5–4.3 mg/dL(HIM.Appendix)
- 2.5-4.5 mg/dL (QB)
代謝
- リンは経口的に摂取され、小腸から吸収され、細胞内に取り込まれる。
- 骨形成とともに骨に取り込まれる。
- 腎より排泄される。
尿細管での分泌・再吸収
- 排泄:10%
尿細管における再吸収の調節要素
臨床検査
- 無機リンとして定量される。
基準範囲
血清
- 小児:4-7mg/dL
- 閉経後女性は一般集団より0.3mg/dL高値となる
尿
測定値に影響を与える要因
臨床関連
参考
- http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%83%B3
[★]
- 英
- serine, Ser, S
- 同
- 2-アミノ-3-ヒドロキシプロピオン酸 2-amino-3-hydroxypropionic acid
- 関
- アミノ酸
- 極性。無電荷。
- ヒドロキシル基(hydroxyl group)を有する。
- アラニンの側鎖にヒドロキシル基が付いた形をしている。
- 側鎖:
-CH2-OH
- Kinaseの標的となり、リン酸イオンが結合する。
-CH2-O-H2PO3