- 英
- angiography
- 同
- 血管撮影、アンギオグラフィ
WordNet
- roentgenographic examination of blood vessels after injection of a radiopaque contrast medium; produces an angiogram
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/10/01 15:39:02」(JST)
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椎骨脳底の横断面血管造影図。椎骨動脈、脳底動脈、後大脳動脈などが見られる。
血管造影(けっかんぞうえい、英: angiogram)または血管造影法(けっかんぞうえいほう、英: angiography)は、生体器官(特に動脈、静脈、心腔など)の血管内部またはルーメンの状態を可視化する医用画像処理技術。一般に、体の大きな血管、たとえば足の付け根、肘、手首などの動脈からカテーテルという細い管を目的の臓器に誘導し、X線が透過しない造影剤(ヨード造影剤)を血管内に注入した後、蛍光透視法のようなX線を用いた画像処理を行う。血管や腫瘍などを詳しく検査する方法であると同時に、この手法を用いて治療を行うこともある。英語のAngiographyはギリシャ語の「angeion」(血管)と「graphein」(記述、記録)に由来する。日本では「アンギオ・グラフィー」もしくは単に「アンギオ」と呼ばれることもある。本来、血管造影はX線写真を意味していたが、現在ではCT血管造影や磁気共鳴血管造影などの新しい画像処理にも用いられる。
目次
- 1 歴史
- 2 Technique
- 3 カラー(DSA)
- 4 3D-DSA
- 5 使用例
- 5.1 冠動脈造影
- 5.2 ミクロ血管造影
- 5.3 神経血管造影
- 5.4 末梢血管造影
- 5.5 その他
- 6 合併症
- 7 関連項目
- 8 外部リンク
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歴史
1927年、ポルトガルの神経科医エガス・モニスは、像の陰影で脳の腫瘍や動静脈奇形などの神経性の病気の原因を診断する方法として脳血管造影法を開発した。モニスは一般にこの分野でのパイオニアとして語られる。彼は1927年に最初の脳血管造影をリスボンで行った。続いてレイナルド・C・ドス・サントス(Reynaldo Cid dos Santos)という医師が同じくリスボンで1929年に初の大動脈造影を行った。1953年に新たなカテーテル挿入法としてセルジンガー法が確立されてからは、鋭利な針を血管内に残す必要がなくなったため、施術の安全性が各段に増した。
Technique
造影の目的により、どの血管から造影剤を注入するかは異なる。心臓の左側や動脈系を見る場合には大腿動脈が最も頻繁に使われ、心臓の右側や静脈系を見る場合には内頸静脈や大腿静脈が使われる。血管にガイドワイヤーやカテーテルを挿入し、造影剤を注入する。X線を照射すると造影剤はX線を吸収して、そのままでは認識しづらい血管を影としてX線写真上に描き出す。X線画像は、蛍光増倍管や写真乾板上に静止画または動画として記録される。心臓を除く器官の画像は通常デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィー法(DSA)で撮影される。この手法では、1秒間に2~3フレームの画像が撮影され、撮影技師は血流の状態を調べることができる。骨やその他の器官など余分な像を「差し引く(サブトラクション)」ことで、造影剤が注入された血管のみを高いコントラストで見ることが可能になる。心臓の場合はDSAを用いない15~30フレーム/秒の撮影技術が使われる。DSAでは患者を静止させる必要があるため、心臓の撮影には適用できない。 放射科医は心臓医にとってこれらの手法は、血流を妨げ、痛みの原因となる血管内の狭窄を発見するのに有効である。
カラー(DSA)
カラー化によって血流量の動的な評価や、病状経過の比較、、外科手術の計画、手術後の経過についてより多くの情報が得られる。
3D-DSA
三次元血管造影からは血管の立体映像が得られ、血管同士が体内で空間的にどのように配置しているのかが明らかになるため、外科手術の計画に役立つ。
使用例
冠動脈造影
血管造影法が用いられる最も一般的な例は、冠動脈中の血液の視覚化である。カテーテルと呼ばれる、細長い柔軟なチューブを使って、X線造影剤を見たい領域に導入する。カテーテルは前腕の動脈から挿入され、動脈をたどって冠動脈へと先端が導かれる。冠動脈中の血液に流れてゆく造影剤のX線画像により内腔のサイズがわかる。動脈硬化の有無、血管内壁の蓄積物についてまでは明確に知ることはできない。
ミクロ血管造影
微細な血管を調べるために、ミクロ血管造影法が用いられる。
神経血管造影
神経血管造影は近年一般的になりつつある技法で、脳へ接続している動脈や静脈を視覚化するために用いられる。同時にコイルによる動脈瘤塞栓術、AVMに対する血管内塞栓術といった治療処置も可能である。
末梢血管造影
血管造影による検査は、下肢への血流不足により跛行や脚部の痙攣を起こしている患者、腎血管性高血圧症の原因となる腎動脈狭窄を持つ患者に対しても良く行われる。また、脳梗塞の診断と治療にも用いられる。これらの施術は大腿動脈を通して行われるのが常であるが、時に上腕動脈や腋窩動脈からカテーテルが挿入されることもある。狭窄が発見された場合、アテローム切除術により治療されることもある。
その他
その他の血管造影の使用例としては、糖尿病網膜症や黄斑変性などの網膜血管障害の診断が挙げられる。
合併症
冠動脈造影
冠動脈造影は一般的な検査で、深刻な合併症は稀であるが、可能性としては不整脈、腎不全、血栓、低血圧、心嚢水貯留が起こりうる。軽度の合併症としては、造影剤が注入された部位での出血、痣、造影剤に対するアレルギー、稀なケースではカテーテルが挿入された場所から心臓までの間の血管損傷が挙げられる。
脳血管造影
脳血管造影脳血管造影においても重度の合併症は稀であるが、麻酔薬、造影剤、その他の医薬品に対するアレルギーや、脳梗塞、血管の損傷、閉塞、血栓症、塞栓のリスクが挙げられる。軽度の合併症としては、造影剤が注入された部位での出血、痣がありうる。遅発性出血も稀に起こりうる。
関連項目
外部リンク
- 血管造影検査室 : 慶應義塾大学病院中央放射線技術室
- 頭部血管造影検査とは? : 病院の検査の基礎知識
- 血管造影法 : 藤田保健衛生大学
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 血管造影検査にかかわる急変 (特集 "治療・処置に伴う急変"を見抜く&防ぐ! 起こりがちな! 急変徴候への対応 : "もしかして…!?"すぐに気づいて迷わず動ける!)
- 胸部下行大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術中に生じたKounis症候群の1例
- 穐山 大治,久冨 一輝,坂本 一郎[他]
- 長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi 89(1), 44-48, 2014-03-25
- … 下行大動脈人工血管置換術後の末梢吻合部拡大に対するステントグラフト内挿術中に,造影剤が原因と考えられるアレルギー反応とこれに伴う冠動脈攣縮(Kounis症候群)を発症した症例を経験した.血管造影室で全身麻酔導入後,放射線科医師による処置開始後より徐々に血圧の低下と心拍数の上昇が生じた.心電図上で著明なST上昇と心室性期外収縮を認めたため,手術操作の中止と循環維持のための治療を開始した.診断目的 …
- NAID 110009804756
- 実験用豚を用いた3種の造影剤(ヨード、ガドリニウム、二酸化炭素)における腹腔・腎動脈血管造影(DSA: Digital Subtraction Angiography)の描出能の検討
Related Links
- 頭部血管造影検査とは、頭部の血管にX線を透さない造影剤を注入してX線撮影し、動脈、静脈、毛細血管の異常を観察する検査です。くも膜下出血や脳出血による出血部位の判定、また脳腫瘍の存在などを診断します。
- 血管造影はX線を用いて血管の詳細な画像を描出する検査で、CT血管造影や磁気共鳴血管造影と区別するために従来型血管造影と呼ぶこともあります。血管造影をしながら、医師が血管の障害を治療することも可能です。
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- 次の文を読み、53~55の問いに答えよ。
- 81歳の男性。発熱を主訴に来院した。
- 現病歴:5日前から37℃台の発熱が出現し、3日前から腰痛が出現した。腰痛は鈍痛で、運動時と安静時ともに自覚していた。自宅で様子をみていたが改善しないため受診した。
- 既往歴:61歳から糖尿病のため内服加療中。
- 家族歴:父親が胃癌。母親が大腸癌。
- 生活歴:妻との2人暮らし。海外渡航歴はない。
- 現症:意識は清明。身長165cm、体重57kg。体温38.2℃。脈拍96/分、整。血圧 138/80mmHg。呼吸数 22/分。SpO2 98%(room air)。眼瞼結膜と眼球結膜とに異常を認めない。頸部リンパ節を触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腰部正中に叩打痛を認める。足背動脈の触知は良好で左右差を認めない。下腿に浮腫を認めない。神経学的所見に異常を認めない。
- 検査所見:尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ケトン体1+、潜血(-)、沈渣に白血球を認めない。血液所見:赤血球 476万、Hb 12.9g/dL、Ht 40%、白血球 13,300(桿状核好中球 32%、分葉核好中球 54%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 2%、リンパ球 10%)、血小板 43万。血液生化学所見:総蛋白 7.5g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 0.9mg/dL、直接ビリルビン 0.3mg/dL、AST 30IU/L、ALT 28IU/L、LD 170IU/L(基準 176~353)、ALP 402IU/L(基準 115~359)、γ-GTP 49IU/L(基準 8~50)、アミラーゼ 121IU/L(基準 37~160)、CK 58IU/L(基準 30~140)、尿素窒素 19mg/dL、クレアチニン 1.0mg/dL、尿酸 7.1mg/dL、血糖 148mg/dL、HbA1c 8.5%(基準 4.6~6.2)、総コレステロール 199mg/dL、トリグリセリド 180mg/dL、Na 130mEq/L、K 4.4mEq/L、Cl 98mEq/L。CRP 3.2mg/dL。動脈血ガス分析(room air):pH 7.37、PaCO2 36Torr、PaO2 98Torr、HCO3- 20mEq/L。12誘導心電図で異常を認めない。胸部エックス線写真に異常を認めない。腹部CTに異常を認めない。腰部MRI(別冊No. 7A、B)を別に示す。
- 4時間後、検査室から血液検体でGram陽性球菌が検出されたとの報告があった。
- この時点で追加すべき検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109B053]←[国試_109]→[109B055]
[★]
- 48歳の女性。手関節と手指の腫れを主訴に来院した。6か月前から両側の手首や手指の関節の痛みを自覚していた。市販の消炎鎮痛薬と貼付剤とで様子をみていたが改善しないため受診した。朝起きてから約1時間は手指を動かしにくい。身長 155 cm、体重 45kg。体温 36.5℃。脈拍 72/分、整。血圧 132/74mmHg。両手関節、両手示指の中手指節関節(MP関節)および近位指節間関節(PIP関節)に腫脹と圧痛とを認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤血球 392万、Hb 12.1g/dL、Ht 36%、白血球 8,800、血小板 45万。血液生化学所見:総蛋白 7.2g/dL、アルブミン 3.7g/dL、クレアチニン 0.7mg/dL、Na 140mEq/L、K 3.8mEq/L、Cl 103mEq/L。免疫血清学所見:CRP 2.8mg/dL、リウマトイド因子(RF) 80IU/mL(基準 20未満)、抗CCP抗体 52U/mL(基準 4.5未満)、CH50 55U/mL(基準 30~50)、抗核抗体陰性、抗SS-A抗体陰性。手の単純エックス線写真で異常を認めない。
- この患者の早期の病変評価に有用な検査はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [110I077]←[国試_110]→[110I079]
[★]
- 54歳の男性。吐血を主訴に来院した。3日前から黒色便であったがそのままにしていたところ、今朝コップ1杯程度の吐血があったため救急外来を受診した。意識は清明。体温 36.4℃。脈拍 124/分、整。血圧 86/60mmHg。呼吸数 20/分。皮膚は湿潤している。四肢に冷感と蒼白とを認める。眼瞼結膜は軽度貧血様であるが、眼球結膜に黄染を認めない。腹部は平坦で、心窩部に圧痛を認めるが、筋性防御はない。まず急速輸液を開始し、脈拍 96/分、血圧 104/68mmHgとなった。
- 次に行うべきなのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112F053]←[国試_112]→[112F055]
[★]
- 42歳の女性。10年前から両足にびりびりするしびれ感が出現し、次第に上行した。4年前から下痢と便秘とを繰り返すようになり、半年前から立ちくらみが頻回に出現するようになったので、精査のために来院した。上下肢に、広範な筋萎縮、筋力低下および触圧覚低下を認める。腱反射は上下肢で消失。血圧は安静時臥位で120/80mmHg、起立3分後に90/54mmHgである。
- 診断上有用な検査はどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
[★]
- 65歳の男性。飲酒後の悪心と上腹部痛とを主訴に来院した。身長 165cm、体重 90kg。体温 37.5℃。脈拍 112/分、整。血圧 108/60mmHg。腹部は平坦で、上腹部に圧痛を認める。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液生化学所見:総ビリルビン 0.8mg/dL、AST 35U/L、ALT 30U/L、アミラーゼ 2,540U/L(基準 37~160)、尿素窒素 19mg/dL、クレアチニン 0.9mg/dL。腹部超音波検査を行ったが、消化管ガスのため上腹部の観察は困難であった。
- 次に行うべき検査はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D050]←[国試_112]→[112D052]
[★]
- 64歳の女性。乳がん検診のマンモグラフィで異常を指摘され来院した。左乳房に長径約 2 cmの腫瘤を触知する。腫瘤は境界不明瞭で硬く圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。マンモグラム (別冊 No. 29)を別に示す。
- 次に行うべき検査として適切なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [108A058]←[国試_108]→[108A060]
[★]
- 64歳の女性。乳がん検診のマンモグラフィで異常を指摘され来院した。左乳房に長径約2cmの腫瘤を触知する。腫瘤は境界不明瞭で硬く圧痛を認めない。乳頭からの分泌物を認めない。マンモグラム(別冊No. 36)を別に示す。
- 次に行うべき検査はどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [112A070]←[国試_112]→[112A072]
[★]
- 53歳の女性。朝からものが二重に見えることを主訴に来院した。意識は清明。右眼瞼下垂と右眼球運動障害とを認める。頭部単純MRIのT1強調像とT2強調像とを以下に示す。
- 診断の確定に必要なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A041]←[国試_101]→[101A043]
[★]
- 画像検査でヨード造影剤が用いられるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [101B091]←[国試_101]→[101B093]
[★]
- (1) 肝良性腫瘍のうちで最も多い
- (2) 黄疸を高率に認める
- (3) 腹部超音波検査で低エコー像を呈する
- (4) 腹部X線単純CTで高吸収を呈する
- (5) 血管造影で綿花状濃染像を認める
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
- 関
- angiographic、angiography
[★]
- 英
- arteriography
- 関
- 動脈造影法、血管造撮影、血管造影、脳血管造影
[★]
- 英
- vascular imaging
- 関
- 血管造影、血管イメージング
[★]
- 英
- vascular imaging
- 関
- 血管造影、血管画像法
[★]
- 英
- angiography
- 関
- 血管造影
[★]
- 英
- digital subtraction angiography, DSA
- 同
- デジタルサブトラクション血管造影術, デジタルサブトラクション血管造影法、ディジタルサブトラクションアンギオグラフィ
- 関
- サブトラクション法
[★]
- 英
- fluorescein fundus angiography
- ラ
- fundus angiographia fluorescens
- 同
- 蛍光眼底造影法
[★]
- 英
- fluorescein fundus angiography(SOP), fundus fluorescein angiography, FAG
[★]
- 英
- radionuclide angiography
- 関
- ラジオアイソトープ血管造影法
[★]
- 英
- blood vessel, blood vessels
構造
- 内皮細胞(単層扁平上皮細胞)
- 基底板
- 内皮下結合組織(内皮下層 subendothelial layer):疎性結合組織、縦走平滑筋
- 内弾性板
分類
[★]
- 英
- imaging
- 関
- イメージング、画像処理、画像診断、造影法、画像法
[★]
- 英
- shadow
- 関
- 陰影