- 英
- leptin
- 関
- ホルモン
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/09 14:37:48」(JST)
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レプチン (leptin) は脂肪細胞によって作り出され、強力な飽食シグナルを伝達し、交感神経活動亢進によるエネルギー消費増大をもたらし、肥満の抑制や体重増加の制御の役割を果たす16kDaのペプチドホルモンであり、食欲と代謝の調節を行う[1]。ギリシャ語で『痩せる』を意味するλεπτός (leptos) から命名された。
1994年にマウスで発見された。ヒトでは7番染色体に Ob(Lep) 遺伝子が位置している。6種類の受容体 (LepRa, LepRb, LepRc, LepRd, LepRe, LepRf) と結合し、そのうちLepRbだけの細胞内シグナルドメインが機能する。これらの受容体は視床下部の多数の核に発現して効果を発揮している。レプチンはジャクソン研究所のマウスの集団内にランダムに発生した肥満マウスの研究でクローン化された。これらのマウスは非常に食欲過剰で肥満である。レプチン遺伝子の変異した人間も僅かながら存在し、多くは近親交配が原因である。かれらはほぼ常に食べ続けて7歳の時点で45kgを越える太りすぎになることがある。
レプチンは全身の脂肪細胞で作られ、食欲と代謝の調整のために大まかな体脂肪の量を脳へ伝える。レプチンは、神経ペプチドY (NPY) とアグーチ関連ペプチド (AgRP) が発現するニューロンの働きを抑制して、アルファ・メラノコルチン刺激ホルモン (α-MSH) の活性を増大する働きをもつ。
レプチンを過剰に発現させるマウスでは、尿中のストレスに反応するホルモンであるノルアドレナリン、アドレナリン排泄量が約2.5倍に増加し、持続的な交感神経活動亢進のため血圧が上昇することが確認されている。過剰なレプチンは交感神経の活動を亢進させ、血管を収縮させること等により、血圧を上昇させる[1]。
目次
- 1 肥満信号としてのレプチン
- 2 作用機構
- 3 脚注
- 4 関連項目
- 5 外部リンク
肥満信号としてのレプチン
- これまでに、レプチンとインスリンだけが肥満信号の基準を満たしている。
- レプチンは体脂肪に比例した水準で循環して、中枢神経系 (CNS) へ血漿中の濃度に比例して入る。
- 受容体はエネルギーの取入と消費の調節にかかわる脳のニューロンで見られる。
作用機構
レプチンが血液脳関門を越えるのに受容体ニューロンが必要なのかは分かっていない、なぜなら弓状核のある正中隆起のあたりには存在していないからである。血液脳関門を越えるとしても、それが受動的な過程を通して起こるのか、能動的な過程を通して起こるのか分からない。
中枢神経系と相互作用するために、レプチンはまず、血液脳関門を越えなければならないが、輸送体として機能する内皮細胞のレプチン受容体を通して関門を乗り越える。
レプチンが一旦Ob-Rb受容体に付くと、stat3が活性化して核の遺伝子発現を変えると考えられ、2つの効果があらわれる。
- 同化作用回路の食糧摂取量の減少およびエネルギーの消費の増加による抑制。視床下部でのレプチン作用はNPYとAgRPの負の調節作用を引き起こす。双方の強力な食欲促進分子がエネルギーの取り入れの増加を刺激する。数時間の測定では2つのうちNPYの方がより強力でだが、AgRPには、より長く続く効果がある。脳室内 (i.c.v.) 投薬による過食症の測定実験は、AgRPの効果が1週間持続すること、AgRPを一度の脳室内注入後のエネルギー取り込みの累増によって、より強力な食欲促進因子であること示す。この理由が完全に理解されているというわけではなく、AgRPが異化α-MSH反応を妨げ、その寿命の原因となるのかもしれないと考えられている。
- 異化作用回路の活性化もまた、食糧摂取量とエネルギーの消費の低下を引き起す。レプチンがプロオピオメラノコルチン (POMC) 先駆分子の分割に必要である。これは、ホルモンのアルファ・メラノコルチン刺激ホルモン (α-MSH) を作り出すことができる様にする。エネルギー取り込みを刺激して、低いα-MSH水準はメラノコルチン拒食症経路を活性化。したがって、α-MSHの増加はエネルギー取り込みを抑制する。
両方の経路で、反応は弓状核から室傍核までに投射される。そこから、中枢自律神経の経路は肝臓と胃から迷走神経の信号と合同した後脳の弧束核(NTS)までの信号を運ぶ。弧束核からのネットニューロンの出力はエネルギー取り込みと消費を変化させ、体重に影響を引き起こす。また、レプチンは適切な体重になった女性の思春期を開始させる役目を果たす。
レプチンに活性化される他の細胞内シグナル経路があるが、その効果については少ししか知られていない。レプチンへの反応で、受容体ニューロンは興奮するシナプスの数と種類の再構成が見られる。
マウスでは雌雄両方の生殖に要求される。
脚注
- ^ a b レプチンと心血管病変 小川佳宏:日本内科学会雑誌 Vol.90 (2001) No.4 P705-710
関連項目
外部リンク
- 蛋白質構造データバンク 今月の分子149:レプチン(Leptin)
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) |
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視床下部 - 脳下垂体 |
視床下部
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GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH
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脳下垂体後葉
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バソプレッシン - OXT
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脳下垂体中葉
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MSH(インテルメジン)
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脳下垂体前葉
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αサブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - エンドルフィン - リポトロピン)
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副腎 |
副腎髄質
|
副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン)
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副腎皮質
|
副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA)
|
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甲状腺 |
甲状腺
|
甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン)
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副甲状腺
|
PTH
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生殖腺 |
精巣
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テストステロン - AMH - インヒビン
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卵巣
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エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時)
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その他の内分泌器 |
膵臓
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グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン
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松果体
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メラトニン
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内分泌器でない器官 |
胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質
|
|
誘導タンパク質 |
NGF - BDNF - NT-3
|
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- Up-to-Date Historical Overview ナトリウム利尿ペプチドとレプチン : 基礎研究を臨床へ
- レプチンによる摂食調節機構 (特集 ホルモンによる摂食調節)
Related Links
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[正答]
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[★]
- 英
- hormone
古典的な定義
- 特定の内分泌腺から分泌され、血行によって運ばれ、遠隔部の特定の標的器官に作用して特異的効果を現す物質(PT.403)
例外
- 消化管ホルモン (PT.403)
- 視床下部ホルモン (PT.403)
- 甲状腺濾胞ホルモン?
- カルシトニン?
ホルモンの一覧表
[★]
- 英
- follicle stimulating hormone, FSH
- 同
- 濾胞刺激ホルモン、フォリトロピン follitropin
- 関
- 卵胞
分類
性状
産生組織
標的組織
生理作用 (QB.Q-212)
作用機序
分泌調節
- ネガティブフィードバック:卵巣から分泌されるインヒビンにより下垂体からのFSHの分泌が抑制される。
促進
- ゴナドトロピン放出ホルモン GnRH:視床下部由来の
- レプチン:脂肪細胞から分泌される。やせている場合にはFSHが低下。肥満している状態では視床下部に作用して基礎代謝をあげると共に食欲を抑制する
抑制
月経・性周期との関連
- 卵胞期に高く、黄体期に低い。
- 排卵期にピークを示す。
基準値
HIM.A-5
女性
- 卵胞期 :2.0-20.0 mIU/ml
- 排卵期 :9.0-26.0 mIU/ml
- 黄体期 :1.0-12.0 mIU/ml
男性
検査の本
女性
- 卵胞期初期 :2.7-10.2 mIU/ml
- 排卵期ピーク:2-23 mIU/ml
- 黄体期 :1.0-8.4 mIU/ml
- 妊娠時 :≦1 mIU/ml
- 閉経後 :9.2-124.7 mIU/ml
男性
- 思春期前:≦4 mIU/ml
- 成年期 :1.2-15 mIU/ml
- 老年期 :≧15 mIU/ml
ホルモン>:ホルモン
[★]
- 英
- insulin-resistant, insulin resistance
- 関
- インスリン
定義
- 組織におけるインスリン作用の発現が十分になされない状態。
病態生理
- インスリン抵抗性はcommon disease発症と関連がある。糖尿病、高脂血症、高血圧、動脈硬化などと関係がある。
- 脂肪細胞によるTNFα過剰分泌やアディポネクチンの分泌低下がインスリン抵抗性と関係があるらしい。
- TNFαはIRS-1のチロシンリン酸化を抑制してsingnal transduction↓
- 高インスリン血症→交感神経の興奮・血管平滑筋の過形成(インスリンの作用、血管平滑筋のPDGFに対する感受性の増大)→血管抵抗性の増大→高血圧 (PHD.317)
- PDGFには血管平滑筋の成長因子としても作用する (PHD.317)
- インスリン抵抗性は骨格筋や肝臓内の脂肪酸過剰と関係がある。チアゾリジン薬は肝臓の脂肪含量を低下させる作用がある。(DMR.112)
妊娠とインスリン抵抗性 (NGY.297)
- hPLの作用。またhPLは遊離脂肪酸を増加させ、プロゲステロン、エストロゲンもこれに関わっているとされる。インスリン抵抗性は妊娠中期より上昇し始め、妊娠末期には初期の4倍となる
[★]
- 英
- obese gene product、ob gene product
- 関
- レプチン、OBタンパク質、ob遺伝子産物
[★]
- 英
- OB protein
- 関
- レプチン、肥満遺伝子産物
[★]
会社名
塩野義製薬
薬効分類
他に分類されないホルモン剤(抗ホルモン剤を含む)(脂肪萎縮症用薬)
[★]
- 英
- leptin receptor
- 関
- レプチン受容体
[★]
- 英
- roentgen equivalent physical
- 関
- ラド rad