- ラ
- polyarteritis nodosa PAN PN
- 関
- 特定疾患、血管炎
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疾患概念
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症状
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検査
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病理
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治療
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結節性多発動脈炎
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polyarteritis nodosa,PN
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細動脈に壊死性血管炎を引き起こす。糸球体腎炎なし。
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① 全身症状あり ② 他臓器の虚血障害〈脳出血、肺出血、虚血性心疾患(心臓の冠動脈が虚血)〉 ③ 進行性腎機能低下、腎血管性高血圧(炎症動脈狭窄→レニン分泌)
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尿所見に乏しい進行性腎機能低下、腰痛
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・ 腎臓を含む多臓器の動脈に炎症が生じる。 ・ 腎動脈造影で弓状動脈に生じた結節様病変、糸球体病変は軽度。
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ステロイド&免疫抑制剤(シクロホスファミド)
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顕微鏡的多発動脈炎
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microscopic polyangitis,MPA
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小血管の炎症。糸球体腎炎あり。
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①全身症状:発熱、体重減少、多発関節炎、筋肉痛 ②多臓器の虚血障害:肺出血(血痰) ③進行性腎機能低下(急性進行性糸球体腎炎)(高齢者のRPGNにMPAが多い)
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①RPGN症状が(血尿、蛋白尿、円柱、週単位での腎機能低下) ②MPO-ANCA陽性が85%を占める。
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腎の微小血管と糸球体及び、肺の微小血管に炎症が生じる。 ① 半月体形成:糸球体係蹄壁の外側に増殖した細胞が半月状の形態をとる。 ② 免疫グロブリンや補体の沈着はなし。(p-ANCAがELIZA法で検出される。)
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症候スペクトル
- HIM.2125より
定義
- 中程度の筋性血管を冒す全身性の壊死性血管炎。抗好中球抗体とは無関係。(参考1)
- 多発動脈炎は1866年にKussmaulとMaierによって記載された。結節性多発動脈炎は複数の臓器に分布する小~中程度の筋性動脈に壊死性血管炎を起こす。典型的には腎臓や内臓の血管が冒される。結節性多発動脈炎では肺動脈は冒されないが、気管支の血管は冒されることがある。肉芽腫、著明な好酸球増多、あるいはアレルギー素因は見られない。
罹患率(incidence)と有病率(prevalence)
- 米国でのしっかりした統計はない。非常にまれな病気に感じられる。
- (日本では特定疾患に指定されており、登録患者数は5,753名(2007年時点)。10万人あたり患者が4~5名とまれな病気である)
病理と病因
- 結節性多発動脈炎の血管病変は中小の筋性動脈における壊死性血管炎である。病変は節性で(とびとびに存在する。つまり連続性ではない)、血管の分岐部や分岐した枝を冒す傾向がある。病変は動脈周囲に広がり近くの静脈も冒すかもしれないが、細静脈は冒さない。もし冒されていれば、顕微鏡的多発血管炎(MPA)である。病期の初期では多核白血球が血管壁の全層と血管周囲領域に浸潤する。これにより血管内膜の増殖と血管壁の変性が起こる。病変が亜急性から慢性に進むと、単核球はその病変部位に浸潤してくる。血管のフィブリノイド壊死は血管腔を傷つけ、血栓を形成し、血液を供給している臓器に梗塞を起こし、症例によっては出血をきたす。病変が治癒すると、コラーゲンが蓄積する。これはさらに血管腔を閉塞させるかもしれない。血管の病変部位に沿って1cm程度までの血管瘤の拡大が結節性多発動脈炎の特徴である。肉芽腫や好酸球の組織浸潤を伴う顕著な好酸球増多は特徴的ではなく、この場合はチャーグ-ストラウス症候群を疑う。
- 複数の臓器が影響を受け、臨床病理所見は血管病変の程度や部位、あるいは結果としての虚血性変化を反映する。前述したように肺の血管は影響を受けないし、気管支動脈の損傷はよく見られるわけではない。古典的結節性多発動脈炎の病理は糸球体腎炎を伴わない腎臓の血管炎である。著明納高血圧をともなう患者では糸球体硬化の典型的な病理像が見られる。加えて高血圧の続発としての病理像が体のどこかで見られるかもしれない。
- 循環血液中に、B型肝炎の抗原と面隙グロブリンの免疫複合体が単離され、また血管壁におけるB型肝炎抗原、IgM、補体の免疫蛍光により証明される事にくわえ、全身性の血管炎、特に結節性多発動脈炎タイプの血管炎を有する患者の10-30%にB型肝炎の抗原血症が見られとこれは結節性多発動脈炎の疾患の原因として免疫現象が関わっていることを示唆している。発病のメカニズムは不明だが、ヘアリー細胞白血病も結節性多発動脈炎と関係している。
臨床症状と検査所見
- 非特異的な徴候が結節性多発動脈炎の特徴である(つまり、診断しづらい)。半分以上の症例で発熱、体重減少、倦怠感がある。患者は普通脱力、倦怠感、頭痛、腹痛、および筋痛のような漠然とした症状を訴えて受診する。このような症状は急激に劇症の病態に進展することがある。特定の臓器系に関わる血管と関連した特異的な主訴もまた結節性多発動脈炎の全経過と同様来院時の病像を左右する。結節性多発動脈炎では、一般的に腎病変は高潔悦、腎不全あるいは微小血管瘤による出血として現れる。
- 結節性多発動脈炎の診断を付けることができる血清学的な検査はない。75%以上の患者で好中球優位の白血球増多が見られる。好酸球増多は希であり、もし高レベルに増加していればチャーグ-ストラウス症候群を示唆する。慢性の経過では貧血が見られるかもしれない、またESRの上昇は常に見られる。他の主要な検査所見は特定の臓器の関与を反映している。高ガンマグロブリン血症が見られることがあり、また30%までの患者はHBs抗原陽性である。MPO-ANCAやPR3-ANCAは結節性多発動脈炎で陽性になることは希である。
診断
- 結節性多発動脈炎の診断は病変部位の臓器を生検し、そこに特徴的な血管炎を証明することが基となる(つまり、一番大切な所見である)。生検で簡単に到達できる組織が無いときは、病変部位の血管を動脈造影して病変をとらえる。特に、人道、肝臓、あるいは内臓の中小動脈における動脈瘤を証明することは診断するのに十分である。動脈瘤は結節性多発動脈炎に特徴的なものではない。さらに、動脈瘤はいつも存在するわけでないし、血管造影所見は血管の狭窄や閉塞に限られるかもしれない。結節性の皮膚病変、有痛性の精巣、あるいは神経/筋のような症状が出ている臓器は最も診断的な結果を与えてくれる。
治療
- 未治療の結節性多発動脈炎の予後はきわめて悪く、5年生存率は10-20%である。死亡する場合、大抵胃腸合併症、特に腸梗塞、腸穿孔、そして心血管原性のもの原因となる。難治性の高血圧は肝臓、心臓、あるいは中枢神経系のような他の臓器における機能不全を複合しており、晩期における罹患率と死亡率に相加的に作用する。治療の導入によって生存率は著しく向上する。結節性多発動脈炎の良好な治療結果はプレドニゾンとシクロホスファミドの組み合わせで報告されている。比較的重症でない症例では、グルココルチコイド単剤で寛解に至っている。B型肝炎が関係する結節性多発動脈炎の治療ではグルココルチコイド、血漿交換に抗ウイルス薬を組み合わせて良好な治療結果が得られている。高血圧に対して慎重に治療することで、腎臓、心臓、中枢神経に関連した急性期と晩期の有病率と死亡率を低減させることができる。良好な治療の継続で、結節性多発動脈炎の再発は10%の患者でのみ起こると見積もられている。
古典的結節性多発動脈炎にともなう臓器病変とその症候
- HIM. Table 319-5より
参考
- 1. [charged]Clinical manifestations and diagnosis of polyarteritis nodosa - uptodate [1]
-PN
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/11/30 12:24:07」(JST)
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結節性多発動脈炎(けっせつせいたはつどうみゃくえん、Polyarteritis nodosa; PNまたはPAN)は全身性の炎症性疾患である。血管炎の一つであるが、中でも最も古くから知られており代表的な疾患である。
目次
- 1 概念
- 2 歴史
- 3 疫学
- 4 病因
- 5 症状
- 6 検査所見
- 7 病理所見
- 8 診断
- 9 治療
- 10 予後
- 11 外部リンク
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概念
原因は不明だが、血管に炎症がおこる慢性疾患である。血管は人体の全身に分布しているので、必然的に全身疾患となる。血管炎というものはいずれも特定のサイズの血管のみを傷害することが知られているが、本症は中小動脈を特異的におかす疾患である。
歴史
本症の発見の歴史は有名である。19世紀、西洋医学界は死亡例の剖検を行う事によって新たな病気を次々と発見していたが、その中の一つがこの結節性多発動脈炎であった。世界ではじめて内視鏡を行ったことでも有名なアドルフ・クスマウルは1866年、原因不明に死亡した患者を解剖したところ、血管が数珠上にボコボコと結節状に腫れている(動脈瘤を形成している)のを発見したのである。顕微鏡で観察したところこれが炎症性の病変である事が判明し、血管周囲の炎症によって結節ができたことから結節性動脈周囲炎Periarteritis nodosaと名づけた。20世紀に入ると、本症として診断されていたもののうち中小動脈にのみ血管炎をおこすものと細小動脈に血管炎をおこすものに分類できる事が明らかとなり、前者を結節性多発動脈炎、後者を顕微鏡的多発血管炎と称して現在に至る。
疫学
ごく最近まで本症と顕微鏡的多発血管炎は混同される事が多かったので正確な情報は得づらいが、ヨーロッパでは100万人あたり数人の頻度であるとの報告がある。いずれにせよきわめてまれな疾患である。通常中年から壮年に発症し、やや男性に多い。
病因
不明である。B型肝炎ウイルスやヘアリーセル白血病の関与が示唆されているが、いずれも認めないものも多い。
症状
基本的には中小動脈があるところならどこにでも血管炎がおきうるので、病変は多彩ではあるが、それでも病変がおきやすい臓器というものはある。
- 高血圧
- 腎病変にもとづく高血圧が高頻度に見られる。
- 皮膚
- 皮膚を栄養する血管に血管炎が生じ、網状皮斑、皮膚潰瘍、紫斑、結節性紅斑がみられる。
- 腎臓
- 顕微鏡的多発血管炎やウェゲナー肉芽腫症にあるような半月体形成性糸球体腎炎ではなく、中小動脈の血管壁の炎症細胞浸潤が特徴である。腎血管の障害が本態であるので高血圧をおこしやすく、最終的には腎不全に至る事も多い。腎生検が、診断に結びつくことは多い。
- 神経
- 神経を栄養する血管に血管炎がおこると、末梢神経障害を生じる。系統だっていない多発単神経炎のかたちをとりやすい。
- 中枢神経の血管炎は頻度が低いが、おこってしまうと脳梗塞や脳出血をおこし経過は重篤である。
- 消化管
- 腸を栄養する血管に血管炎が起こると(腸間膜動脈血管炎)、血便や消化管潰瘍の原因となる。大量の下血により生命の危機におちいる事もある。大腸内視鏡による潰瘍部の生検が診断に結びつく事がある。
- 心臓
- 心臓を栄養する血管に血管炎が起こると(冠動脈血管炎)、これはきわめて重篤な心筋梗塞を起こす。通常の治療には反応せず、突然死の原因となることもある。
- 筋肉
- 筋肉を栄養する血管に血管炎が起こると、筋肉痛の原因となる。クレアチンキナーゼも上昇する。ただし本病変については、通常皮膚筋炎・多発性筋炎ほどの重症度ではない。
- 目
- 眼動脈に血管炎を起こすと、黒内障といって突然失明することがあるがまれである。
検査所見
白血球、CRPの上昇など非特異的な炎症所見が得られる。顕微鏡的多発血管炎においてはきわめて診断的なMPO-ANCAがあるのとは対照的に、本症では診断の手がかりとなるような検査所見は存在しない。
血管造影をおこなうと、特徴的な数珠上にはれた動脈瘤をみることがある。
病理所見
診断は、生検による病理学的検査によって得られる。生検による診断がなくても診断する事はあるが、可能ならば病理学的検査による確認があることが望ましい。中小動脈の動脈壁には好中球や単核球といった炎症細胞の浸潤がみられ、一部はフィブリノイド壊死をおこしている。内・外弾性板の断裂がみられ、これが動脈瘤の形成の原因と考えられている。顕微鏡的多発血管炎と鑑別する為、細小動脈の壊死性血管炎がないこと、静脈の炎症がないことを確認する必要がある。
診断
特定疾患の認定基準が、診断にも用いられる。上記のような症状に発熱・体重減少をくわえたうちから2つ以上と病理学的検査結果があるものを「確実」、症状2つと血管造影または発熱・体重減少を含む症状6つ以上があるものを「疑い」とする。
本症は、当初の受診のきっかけが消化管出血、心筋梗塞、脳梗塞などである場合、診断までに時間がかかる事がある。いっぽう、発熱が当初の主症状であると、わりと鑑別診断には挙がってくることになる。
治療
治療には、ステロイドを用いる。しかも、上記のように生命にかかわることが多く、また比較的難治性の自己免疫疾患であることを考えると、当初より高用量のステロイドを投与する事が通常である。効果がないと思ったら、シクロフォスファミドをはじめとする免疫抑制剤の投与もためらわず行う。また、重篤な臓器病変が生じたらそれに応じた治療も行う。たとえば心筋梗塞に対する冠動脈形成術や腎不全に対する透析治療などである。腎不全については、可能なら腎移植も考慮される。高血圧は積極的に治療した方が良いと思われ、ACE阻害薬が効果的である。
予後
治療法が開発されるまではきわめて不良であったが、現在では適切な治療により長期生存が充分見込まれる。しかし重篤な臓器病変がおこれば、疾患そのものの勢いをおさえることに成功したとしても、生命の危機におちいる事はまれではない。
外部リンク
- 難病情報センター:結節性動脈周囲炎(1)結節性多発動脈炎
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 結節性多発動脈炎に合併したと考えられた間質性肺炎の1例
- 石井 寛,河端 美則,岡 宏亮,小宮 幸作,岩田 敦子,門田 淳一
- 日本呼吸器学会雑誌 = The journal of the Japanese Respiratory Society 49(4), 298-303, 2011-04-10
- NAID 10029087994
- 顕微鏡的多発血管炎・結節性多発動脈炎 (皮膚科セミナリウム(第75回)紫斑・血管炎)
- 血管炎の腎病変 (特集 全身性疾患と腎障害) -- (全身性疾患に伴う腎障害の診断と治療の実際)
- 血管炎の皮膚病変 (内科医がおさえておくべき皮膚科の基本) -- (膠原病の皮疹のみかた)
Related Links
- 2011年5月22日 ... 理由は、結節性多発動脈炎と顕微鏡的多発血管炎の両疾患を従来から結節性動脈 周囲炎として一括して取り扱ってきたからです。県ベースの成績を参考に推測しますと、 年間新規発症患者数は全国で50人、全国の患者数は250人程度と ...
- 結節性動脈周囲炎(Periarteritis nodosa : PN)は、2005年から結節性多発動脈炎( Polyarteritis nodosa : PAN)と顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis : MPA )の2疾患に分離されました。その理由は、2疾患の間に病因、臨床症状、病理組織所見 、 ...
- 1994年にChapl Hillで開かれた国際会議において、これまで結節性多発動脈炎(PAN) と診断されていた症例のうち、中型の筋性動脈に限局した壊死性血管炎のみを古典的 結節性多発動脈炎と定義され、小血管(毛細血管、細小動・静脈)を主体とした壊死性 ...
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★リンクテーブル★
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- 83歳の男性。咳嗽と喀痰とを主訴に来院した。約1か月前に咳嗽と喀痰が出現し、1週間前には血痰も出現したため受診した。体温 36.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 140/76mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 92%(room air)。心音に異常を認めないが、呼吸音は右背下部にcracklesを聴取する。神経学的所見に異常を認めない。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血1+。血液所見:赤血球 284万、Hb 7.8g/dL、Ht 24%、白血球 6,000(桿状核好中球 12%、分葉核好中球 55%、好酸球 3%、単球 5%、リンパ球 25%)、血小板 29万、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:AST 29U/L、ALT 24U/L、LD 189U/L(基準 176~353)、尿素窒素 19mg/dL、クレアチニン 1.7mg/dL。免疫血清学所見:CRP 9.2mg/dL、MPO-ANCA 267U/mL(基準 3.5未満)、PR3-ANCA 3.5U/mL未満(基準 3.5未満)、抗核抗体陰性、抗GBM抗体陰性。気管支鏡によって採取した気管支肺胞洗浄液は肉眼的に血性であった。腎機能障害が進行したため腎生検を施行した結果、壊死性半月体形成糸球体腎炎を認めた。胸部エックス線写真(別冊No. 20A)と胸部CT(別冊No. 20B)とを別に示す。
- 最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D040]←[国試_112]→[112D042]
[★]
- 29歳の女性。発熱と左上肢の倦怠感とを主訴に来院した。2週間前から37℃台の発熱が続いていた。市販の感冒薬を内服していたが、改善しなかった。7日前から左上肢の倦怠感を自覚するようになった。3日前から発熱が38℃台となったため受診した。体温 38.1℃。脈拍 88/分、整。血圧:右上肢 92/46mmHg、左上肢 64/34mmHg。呼吸数 16/分。左頸部に血管雑音を聴取する。橈骨動脈の触知に左右差があり、左が減弱している。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。圧痛を認めない。皮疹を認めない。尿所見に異常を認めない。血液所見:赤血球 403万、Hb 10.0g/dL、Ht 30%、白血球 10,900(桿状核好中球 28%、分葉核好中球 47%、好酸球 1%、好塩基球 1%、単球 7%、リンパ球 16%)、血小板 46万。血液生化学所見:尿素窒素 13mg/dL、クレアチニン 0.5mg/dL。免疫血清学所見:CRP 11mg/dL、抗核抗体 陰性、リウマトイド因子(RF) 陰性。胸部造影CTの水平断像(別冊No. 24A)及び冠状断像(別冊No. 24B)を別に示す。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A054]←[国試_113]→[113A056]
[★]
- 47歳の女性。歩行困難を主訴に来院した。最近、全身倦怠感、発熱、下肢のしびれ感および下肢遠位部の筋力低下による歩行困難が出現した。約2年前から気管支喘息の治療を受けている。意識は清明。身長160cm、体重52kg。体温37.2℃。呼吸数22/分。脈拍84/分、整。血圧126/78mmHg。呼吸音に軽度の喘鳴を聴取する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。赤沈48mm/1時。血液所見:白血球 12,000(桿状核好中球3%、分葉核好中球38%、好酸球30%、好塩基球1%、単球2%、リンパ球26%)、血小板 22万。血液生化学所見:空腹時血糖 98mg/dl、総蛋白 6.7g/dl、アルブミン 4.5g/df、尿素窒素 10mg/dl、クレアチニン 0.8mg/dl、尿酸 4.8mg/dl、総コレステロール 210mg/dl、総ビリルビン 0.8mg/dl、AST 28IU/l、ALT 25IU/l、LD 186IU/l(基準176-353)、ALP210 IU/l(基準115-359)、Na 142mEq/l、K 4.0mEq/l、Cl 98mEq/l、免疫学所見: CRP 1.2mg/dl、IgE 1,200IU/ml(基準120以下)。胸部エックス線写真に異常を認めない。
[正答]
※国試ナビ4※ [104A051]←[国試_104]→[104A053]
[★]
- 43歳の男性。発熱と下腿の痛みを伴うしこりとのため来院した。2か月前から夕方に38℃台の発熱、鼻汁および鼻閉が出現し、副鼻腔炎と診断された。1週前から両下腿に有痛性の紅斑が出現した。意識は清明。身長182cm、体重7lkg。体温37.8℃。脈拍88/分、整。血圧122/88mm}{g。眼瞼結膜に貧血はなく、眼球結膜に黄疸はない。リンパ節腫脹はない。心雑音はなく、胸部にラ音を聴取しない。肝・脾を触知しない。両下腿に径1cmの有痛性結節性紅斑を数個認める。尿所見:蛋白2+、潜血1+。血液所見:赤血球423万、Hb12.1g/dl、Ht36%、白血球10,800、血小板39万、血清生化学所見:総蛋白7.4g/dl、クレアチニン0.7mg/dl、AST14単位、ALT19単位、LDH129単位(基準176~353)。免疫学所見:CRP7.5mg/dl、CH50 60単位(基準30~40)、抗好中球細胞質抗体要請。胸部エックス線写真で両肺に多発性の結節陰影を認める。診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099G051]←[国試_099]→[099G053]
[★]
- 67歳の女性。発熱と四肢の痛みとを主訴に来院した。1か月前、早朝に両側の肩から上腕にかけてこわぱりと疼痛とが出現し、次第に増強するとともに腰から大腿にも痛みが拡大し、日常生活動作が困難となってきた。1週前から発熱を伴うようになった。視力の異常は自覚していない。体温38.2℃。脈拍72/分、整。血圧142/84mmHg。胸・腹部に異常所見を認めない。四肢腱反射に異常はなく感覚障害を認めない。尿所見:蛋白(-)、糖(-)、潜血(-)。血液所見:赤沈95mm/1時間、赤血球336万、Hb11.5g/dl、Ht31%、白血球8,700、血小板35万。血清生化学所見:総蛋白7.6g/dl、アルブミン4.1g/dl、尿素窒素20mg/dl、AST35単位(基準40以下)、LDH330単位(基準176~353)、CK35単位(基準10~40)。免疫学所見:CRP12mg/dl(基準0.3以下)、リウマトイド因子陰性、抗核抗体陰性。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097D053]←[国試_097]→[097D055]
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- 25歳の女性。頭痛を訴えて来院した。身長151cm、体重48kg。脈拍80/分、整。血圧220/130mmHg、左右差はない。心雑音や肺のラ音は聴取しない。血管雑音を頚部には聴取しないが、心窩部に聴取する。下腿に浮腫はない。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血(-)。血清生化学所見:尿素窒素20mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl、Na145mEq/l、K3.5mEq/l、Cl102mEq/l、アルドステロン24ng/dl(基準5~10)、血漿レニン性6.0ng/ml/時間(基準1.2~2.5)。腹部大動脈造影写真と選択的右腎動脈造影写真とを以下に示す。正しい診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [097A021]←[国試_097]→[097A023]
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- 52歳の男性。胸やけを主訴に来院した。半年前から食後に約30分続く胸やけがあり1か月前から増悪してきたため受診した。数年前から寒冷時に指が白くなることに気付いていた。1年前から両手指、手背および前腕の皮膚がつまめなくなり、両手の指腹に小潰瘍を認めていた。手の写真(別冊No. 23)を別に示す。
- 最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [109I065]←[国試_109]→[109I067]
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- 36歳の女性。2週前からの微熱と下肢のしびれ感とを主訴に来院した。1年前から喘鳴を伴う呼吸困難発作が出現し、気管支喘息で近医に通院加療中であった。尿蛋白(-)。血液所見:赤血球423万、白血球12,300(分葉核好中球42%、好酸球34%、好塩基球2%、単球4%、リンパ球18%)、血小板26万。IgE410IU/ml(基準50~300)。MPO-ANCA陽性。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [101A053]←[国試_101]→[101A055]
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- 56歳の男性。2ヶ月前から発熱、関節痛および筋肉痛が持続している。1週前から手足の痺れ感も出現したために来院した。体温38.5℃。神経学的に多発単神経炎の所見を認める。尿所見:蛋白1+、糖(-)、残渣に赤血球20-30/1視野、白血球5-6/1視野。血液所見:赤沈102mm/1時間、赤血球350万、Hb 9.2g/dl、Ht 30%、白血球 12,500(桿状核好中球 14%、分葉核好中球 56%、好酸球 10%、単球 2%、リンパ球 18%)、血小板 55万。血清生化学所見:尿素窒素 36mg/dl、クレアチニン 2.0mg/dl、CRP 9.6 mg/dl。抗核抗体陰性
- 最も考えられるのはどれか?
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- 18歳の女子。1か月前から微熱と関節痛とが続くため来院した。上肢で測定した血圧は右128/70mmHg、左96/56mmHgである。左上胸部、頚部両側および上腹部に血管雑音を聴取する。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。血液所見:赤沈50mm/1時間、赤血球420万、白血球10,200。血清生化学所見:総蛋白7.2gノdl、アルブミン3.6g/dl、尿素窒素14mg/dl、クレアチニン0.5mg/dl。CRP5.2mg/dl。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099H018]←[国試_099]→[099H020]
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- 疾患と皮膚所見の組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [102I030]←[国試_102]→[102I032]
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[正答]
※国試ナビ4※ [103I029]←[国試_103]→[103I031]
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[正答]
※国試ナビ4※ [097H063]←[国試_097]→[097H065]
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- 抗好中球細胞質抗体(ANCA)が陽性となるのはどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095B041]←[国試_095]→[095B043]
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※国試ナビ4※ [105I010]←[国試_105]→[105I012]
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※国試ナビ4※ [111I001]←[国試_111]→[111I003]
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- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[★]
[★]
- 英
- granulomatosis with polyangiitis GPA
- 同
- (国試)ウェゲナー肉芽腫症 Wegener肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫 Wegener's granulomatosis, Wegener granulomatosis, WG
- 関
- 難病、血管炎、小型血管炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎 antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis AAV
概念
- 難病であり、特定疾患治療研究事業に指定されている。
- 全身性に小動脈以下に壊死性肉芽腫性血管炎を生じる疾患で、特に鼻、肺、腎に出現する上気道症状、下気道症状、腎症が三主徴とされる
- 病理的には上気道・肺に壊死性肉芽腫、腎臓では半月体形成腎炎が認められる。
- PR3-ANCA陽性が特徴的である。
定義
- CHCC 2012
通常、上気道および下気道を障害する壊死性肉芽腫性炎症で、主に小型血管から中型血管(例えば毛細血管、細静脈 または細動脈、動脈そして静脈)も障害する壊死性血管炎。壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる。
疫学
- 性別:男女比1:1で性差はなし。
- 年齢:中年に多い。男性では30-60歳代、女性では50-60歳代が多い
病因
病型
- 全身型:以下の症状が全て出現
- 限局型(不全型?):以下の症状の一部が出現
病理
- 参考2
- 1. 上気道、肺、腎臓の巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎
- 2. 免疫グロブリン沈着を伴わない壊死性半月体形成腎炎
- 3. 小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎
経過
- 参考2
- 症状はELKの順に出現し、難治性の鼻炎、副鼻腔炎に続いて咳嗽、血痰、胸痛を来たし、発熱、体重減少、腎不全を呈するようになる。
症状
- 参考2
上気道の症状
- E
- 鼻:鞍鼻(鼻中隔の破壊による)、膿性鼻漏、出血
- 眼:眼痛、視力低下、眼球突出(副鼻腔の骨破壊が起きた場合) 「肉芽腫性強膜ぶどう膜炎」も起こる。眼球炎、頭蓋骨の骨破壊も起きうる。
- 耳:中耳炎
- 口腔・咽頭:潰瘍、嗄声、気道閉塞 咽喉頭潰瘍も起きうる。
肺の症状
- L
- 壊死性肉芽腫性病変の多発による結節影や空洞の形成。肺炎様陰影、血性胸水などもみられる。
腎の症状
- K
- 急速進行性糸球体腎炎(病理的には巣状分節状糸球体腎炎~半月体形成性糸球体腎炎)による症状
その他症状
- 全身症状:発熱、体重減少
- 紫斑、多関節炎、上強膜炎、多発神経炎、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、消化管出血(吐血、下血)、胸膜炎
検査
- 白血球:増加
- CRP:上昇
- BUN:上昇
- クレアチニン:上昇
- 胸部単純X線写真:結節性陰影
- 胸部単純CT:結節性陰影
治療
- 免疫抑制薬(シクロホスファミド、アザチオプリン)と大量の副腎皮質ステロイドを併用。
- (副作用)シクロホスファミド:骨髄抑制、出血性膀胱炎。副腎皮質ステロイド:種々
予後
- 未治療で数ヵ月から1-2年で死亡
- 発症早期の免疫抑制療法による加療で高率に寛解
症候スペクトル
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/210
- http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/006_s.pdf
[★]
- 英
- pyrexia
- 同
- 熱 fever, thermogenesis
- 関
- 熱型、≠高体温(体温調節機構の破綻による)、不明熱
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
概念
分類
- 微熱:37.5℃以上 37.0~37.9℃(YN.)
- 発熱:38.0℃以上
- ジェネラリスト診療が上手になる本 p.9
- 37.1~38.0℃:微熱
- 38.1~38.5℃:軽度発熱
- 38.6~39.0℃:中等度発熱
- 39.1℃~:高熱
小児
病態生理
- 発熱サイトカイン(IL-1, TNF)が視床下部に作用してPGE2の産生を亢進し、PGE2により体温調節中枢を司る細胞内のcAMP濃度が上昇することでの体温セットポイントがあがる。
熱源の精査
- 咽頭、肺、胆道系、泌尿器系、皮膚・軟部組織(蜂窩織炎、褥瘡)
疾患と発熱
膠原病と発熱
発熱40℃(PMID 8107744)
発熱の後に関節炎(PMID 8107744)
原因不明の熱の鑑別
- 感染症
- 腫瘍
- 膠原病
- 薬剤熱 → 比較的元気、比較的徐脈、比較的CRP
- 体温1℃上昇に付き心拍数20上がる。これ以上の上昇が見られる場合、敗血症を疑う。 ← 1℃に付き10上がるという資料もあり(比較的徐脈)
発熱を伴う内科的緊急疾患
- 内科レジデントの鉄則 第2版 p.6
院内における発熱の鑑別疾患
- 感染性 :肺、泌尿器、褥瘡、クロストリジウム・ディフィシル感染症、カテーテル関連感染症
- 非感染性:薬剤熱、偽痛風、深部静脈血栓症
小児科における発熱の原因
年齢
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原因
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乳児(生後3ヶ月未満)
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敗血症、細菌性髄膜炎、尿路感染症、肺炎、B群溶連菌感染、グラム陰性桿菌
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乳児(生後3ヶ月以降)
|
ウィルス感染(突発性発疹などの発疹性疾患)、中耳炎、尿路感染症、消化器・呼吸器疾患、川崎病
|
幼児、学童期
|
溶連菌感染症、伝染性単核球症、膠原病、factitious fever(詐病)、学校での感染症の流行
|
- 乳児における中耳炎、尿路感染症は症状が発熱であることが多く原因が追及しづらい。鼓膜を観察したり、尿の培養をすることが重要かもしれない。
小児における発熱
- SPE.63
新生児・乳児における発熱
see also step beyond resident 2 救急で必ず出会う疾患編 p.20
- 3ヶ月未満は免疫力が弱く重症細菌感染症にかかりやすい。
- 生後 :対処
- 0-1ヶ月 :入院。血液検査・各種培養検査を。
- 2-3ヶ月 :外来で小児科医が診察し、血液検査で細菌感染が疑われれば入院
- 4-6ヶ月 :外来で小児科医が診察し、発熱以外に所見がなければ、十分な水分摂取を指示し、翌日再診を。
- 6ヶ月以降:食欲・機嫌がよければ、翌日再診を。
漢方医学
[show details]
- 臨床医の漢方治療指針より
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実熱
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虚熱
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発病
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急速に発病
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緩徐に発病
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症状
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悪寒、高熱 顔面紅潮 苦痛あり、四肢運動多 声大きく明瞭 口渇強い 便秘 色調濃い尿
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軽度悪寒、熱覚 顔面蒼白 苦痛少なく、静かに臥床 声小さい 口渇少ない 軟便、下痢 薄い色調の尿
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脈
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早く大きく、緊張
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小さく早く、緊張なし
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舌苔
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厚くて乾燥、白~黄~褐色
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薄くて白い、無苔、鏡面舌
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その他
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頭痛、関節痛、無汗~発汗
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倦怠感、眩暈感、盗汗
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実熱
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麻黄湯
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悪寒、発熱、頭痛、関節痛
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葛根湯
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悪寒、発熱、頭痛、肩背部のこり
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小柴胡湯
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午後からの発熱、食欲不振、口の苦み
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柴胡桂枝湯
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詳細孤島の症状、関節痛、腹痛
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大柴胡湯
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胆嚢炎、便秘
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柴陥湯
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詳細孤島の症状、咳嗽、胸痛
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黄芩湯
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発熱、腹痛、下痢
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虚熱
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桂枝湯
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発熱、軽度の頭痛、発汗
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桂麻各半湯
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発熱、発疹
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参蘇飲
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発熱、食欲不振、咳嗽、あつがる
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柴胡桂枝乾姜湯
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微熱、上半身の自汗、盗汗、食欲不振、背部の冷汗
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竹じょ温胆湯
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発熱、咳嗽、不眠
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補中益気湯
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微熱、倦怠感、食欲不振、盗汗
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滋陰降火湯
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微熱、下半身の脱力感、盗汗、咳嗽
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滋陰至宝湯
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微熱、倦怠感、食欲不振、精神不安定状態
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真武湯
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陰病、微熱、食欲不振、倦怠感、いつも寝ている
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麻黄細辛附子湯
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陰病、微熱、寒がる
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[★]
- 英
- vomiting, emesis
- ラ
- vomitus
- 関
- 悪心、嘔気 nausea、悪心・嘔吐 nausea and vomiting
概念
- 胃の内容物をはき出す現象。
- 胃または腸内容が食道を経て口腔より吐出される現象。
嘔吐中枢
嘔吐中枢の近傍に存在するもの
- 呼吸中枢、血管運動中枢、消化管運動中枢、唾液分泌中枢、前庭神経核
随伴症状
- 発汗、唾液分泌、顔面蒼白、脈拍微弱、徐脈、頻脈、血圧の動揺、めまいなど
症状の出現形式と原因の所在
噴水状、噴射状嘔吐
- projectile vomiting is where stomach contents 'shoot out' (like a fountain) to a distance sometimes many feet away.
嘔吐に関わる経路
- IMD.351
- 1. 嘔吐中枢(延髄網様体背側神経背側核近傍)への直接刺激(脳圧亢進、循環障害)
- 2. 化学受容体誘発帯(CTZ; 第四脳室底)への刺激(代謝異常や中毒による化学物質の作用) → 1.
- 3. 大脳皮質(中枢神経など高位中枢)からの入力 → 1.
- 4. 求心性迷走神経や交感神経を介する入力 → 1.
原因
小児科で遭遇する嘔吐の原因
[★]
- 英
- microscopic polyangiitis, MPA
- 同
- 顕微鏡的多発性血管炎、顕微鏡的多発動脈炎 microscopic polyarteritis
- 関
- 血管炎。MPO-ANCA、ANCA関連血管炎
概念
- 古典的なクスマウル・マイアー型(Kussmaul-Maier)の多発動脈炎に対し、分節状壊死性糸球体腎炎のような微小血管炎を伴う多発動脈炎を顕微鏡型と称したのに由来する。
- 小血管の炎症であるので、小血管が集まった臓器が冒される、腎臓(急速進行型糸球体腎炎 RPGN)、肺(間質性肺炎)
定義
- CHCC 2012
- 免疫沈着を全くまたはほとんど認めない壊死性血管炎。主に小型血管(すなわち毛細血管、細静脈、または細動脈)を侵す。壊死性血管炎は小型動脈や中型動脈にも認めることがある。壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる。肺毛細血管炎もしばしば生じる。肉芽腫性炎症は認めない。
症状
- https://www.nanbyou.or.jp/entry/245
全身症状
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約70%
|
高血圧
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約30%
|
皮疹
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約60%
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多発性単神経炎
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約60%
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関節痛
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約50%
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筋痛
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約50%
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間質性肺炎
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約25%
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肺胞出血
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約10%
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心不全
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約18%
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消化管病変
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約20%
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検査
尿検査
治療
- ANCA関連血管炎 診療ガイドライン2017
- https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0094/G0000931
- ベースとなるのはステロイドであるが、単独で使われるより、組み合わせて使われていることが多い。
- どの治療が最適化は議論中のようである。
- GC
- GC+POCY/IVCY
- GC+RTX
- GC+MTX
- GC+MMF
国試
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症状
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検査
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病理
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治療
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結節性多発動脈炎
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polyarteritis nodosa,PN
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細動脈に壊死性血管炎を引き起こす。糸球体腎炎なし。
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① 全身症状あり ② 他臓器の虚血障害〈脳出血、肺出血、虚血性心疾患(心臓の冠動脈が虚血)〉 ③ 進行性腎機能低下、腎血管性高血圧(炎症動脈狭窄→レニン分泌)
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尿所見に乏しい進行性腎機能低下、腰痛
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・ 腎臓を含む多臓器の動脈に炎症が生じる。 ・ 腎動脈造影で弓状動脈に生じた結節様病変、糸球体病変は軽度。
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ステロイド&免疫抑制剤(シクロホスファミド)
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顕微鏡的多発動脈炎
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microscopic polyangitis,MPA
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小血管の炎症。糸球体腎炎あり。
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①全身症状:発熱、体重減少、多発関節炎、筋肉痛 ②多臓器の虚血障害:肺出血(血痰) ③進行性腎機能低下(急性進行性糸球体腎炎)(高齢者のRPGNにMPAが多い)
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①RPGN症状が(血尿、蛋白尿、円柱、週単位での腎機能低下) ②MPO-ANCA陽性が85%を占める。
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腎の微小血管と糸球体及び、肺の微小血管に炎症が生じる。 ① 半月体形成:糸球体係蹄壁の外側に増殖した細胞が半月状の形態をとる。 ② 免疫グロブリンや補体の沈着はなし。(p-ANCAがELIZA法で検出される。)
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