- 英
- mycophenolate mofetil, MMF
- 商
- セルセプト CellCept Cellcept
- 関
- ミコフェノール酸
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ミコフェノール酸モフェチル
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
2-Morpholin-4-ylethyl (E)-6-(4-hydroxy-6-methoxy-7-methyl-3-oxo-1H-2-benzofuran-5-yl)-4-methylhex-4-enoate
|
臨床データ |
販売名 |
CellCept |
Drugs.com |
monograph |
ライセンス |
EMA:リンク、US FDA:リンク |
法的規制 |
|
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
128794-94-5 |
ATCコード |
L04AA06 (WHO) |
PubChem |
CID: 5281078 |
DrugBank |
DB00688 |
ChemSpider |
4444535 |
KEGG |
C07908 |
ChEBI |
CHEBI:8764 |
ChEMBL |
CHEMBL1456 |
化学的データ |
化学式 |
C23H31NO7 |
分子量 |
433.49474 g/mol |
SMILES
-
CC1=C(C(=C(C2=C1COC2=O)O)CC=C(C)CCC(=O)OCCN3CCOCC3)OC
|
InChI
-
InChI=1S/C23H31NO7/c1-15(5-7-19(25)30-13-10-24-8-11-29-12-9-24)4-6-17-21(26)20-18(14-31-23(20)27)16(2)22(17)28-3/h4,26H,5-14H2,1-3H3/b15-4+
-
Key:RTGDFNSFWBGLEC-SYZQJQIISA-N
|
ミコフェノール酸
|
IUPAC命名法による物質名 |
IUPAC名
(4E)-6-(4-ヒドロキシ-6-メトキシ-7-メチル-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2-ベンゾフラン-5-イル)-4-メチルヘキサ-4-エノン酸
|
臨床データ |
ライセンス |
EMA:リンク、US FDA:リンク |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- S4 (Au), POM (UK), ℞-only (U.S.)
|
投与方法 |
経口, IV |
薬物動態データ |
生物学的利用能 |
94% (モフェチル), 72% (ナトリウム) |
血漿タンパク結合 |
97% |
代謝 |
肝臓 |
半減期 |
16–18 時間 |
排泄 |
腎臓 93% |
識別 |
CAS番号
(MeSH) |
24280-93-1 |
ATCコード |
L04AA06 (WHO) |
PubChem |
CID: 446541 |
KEGG |
D05096 |
化学的データ |
化学式 |
C17H20O6 |
分子量 |
320.34 g.mol−1 |
SMILES
-
COc1c(C\C=C(/C)\CCC(=O)O)c(O)c2C(=O)OCc2c1C
|
ミコフェノール酸モフェチル(Mycophenolate mofetil)とは、(E)-6-(1,3-ジヒドロ-4-ヒドロキシ-6-メトキシ-7-メチル-3-オキソ-5-イソベンゾフラニル)-4-メチルヘキセン酸 2-(4-モルフォリニル)エチルエステルのことである。免疫抑制剤のプロドラッグ。代謝拮抗薬に分類される薬剤でもあり、細胞において核酸の材料の1つであるプリン塩基のデ・ノボ合成(英語版)(生体内でプリン塩基を新たに作り出すこと)を阻害する。片仮名表記ではマイコフェノール酸モフェチルなどと書かれることもある。
目次
- 1 効能・効果
- 2 副作用
- 3 発見
- 4 作用機序
- 5 申請
- 6 注釈
- 7 出典
効能・効果
- 腎移植後の難治性拒絶反応の治療。
- 腎移植、心移植、肝移植、肺移植、膵移植 における拒絶反応の抑制。
- 自己免疫疾患の1種である全身性エリテマトーデスに合併するループス腎炎の治療。ただし、原則として副腎皮質ステロイド剤を併用する。
副作用
重大な副作用として知られているものは、以下の通りである。
- 感染症、進行性多巣性白質脳症(PML)、BKウイルス腎症、アレルギー反応、難聴(0.1%)
- 汎血球減少(1.4%)、好中球減少(0.6%)、無顆粒球症、白血球減少(12.0%)、血小板減少(1.7%)、貧血(5.8%)、赤芽球癆(0.1%)、悪性リンパ腫(0.2%)、リンパ増殖性疾患(0.7%)、悪性腫瘍(特に皮膚がん[注釈 1])(0.7%)
- 消化管潰瘍(1.1%)、消化管出血(0.3%)、消化管穿孔(0.1%)、イレウス(0.4%)、重度の下痢
- アシドーシス、低酸素症、糖尿病(0.5%)、脱水症(0.2%)
- 血栓症(0.2%)
- 重度の腎障害
- 心不全(0.3%)、狭心症(0.1%)、心停止、不整脈(期外収縮、心房細動、心房粗動、上室性・心室性頻脈など)(0.1%)、肺高血圧症、心嚢液貯留
- 肝機能障害(AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P、ビリルビン、LDHの上昇)(1.8%)、黄疸(0.2%)
- 肺水腫(0.1%)、無呼吸、気胸(0.1%)、アシドーシス、低酸素症、糖尿病(0.5%)、脱水症(0.2%)
- 痙攣(0.3%)、錯乱、幻覚、精神病
なお、頻度未記載の副作用は、出現頻度が不明のものである。
1990年から1991年にかけて米国で実施された腎移植患後の免疫抑制を目的にした第I/II相臨床試験では77例中64例が移植腎が生着した(生着率83.1%)一方53例(68.8%)に副作用が見られた。主な副作用は次の通りであった[1]。
- 消化管症状 - 下痢 (37.7%)、嘔吐 (18.2%)
- 血液障害 - 白血球減少 (22.1%)、貧血 (23.4%)
臨床試験においては同副作用は投与中止後速やかに回復した。
ミコフェノール酸モフェチルには催奇形性があるので、妊娠の可能性がある患者に投与する前には妊娠検査で陰性を確認し、投与終了後6週間まで避妊を継続することが求められる[2]。
発見
ミコフェノール酸は1896年にアオカビ属の発酵生産物の1つとして発見され、抗ウイルス作用、免疫抑制作用を持つことが明らかにされてきた。米国シンテックス社はミコフェノール酸体内動態を改善する目的で、プロドラッグであるミコフェノール酸モフェチルRS-61443を開発した。ミコフェノール酸モフェチルの2-モルフォリノエチルエステルは体内で加水分解され、ミコフェノール酸へと変じ作用を顕す。
作用機序
ミコフェノール酸モフェチルはプロドラッグであり、これをヒトに対して経口投与すると、分子内のエステル結合が加水分解されて2-モルホリノエタノール部分が脱離し、ミコフェノール酸となって薬理作用を発揮する。生体内でプリン塩基が必要となった時、ヒトなどでは新たに核酸塩基を生合成するデ・ノボ合成(英語版)(新生合成などとも言う)と、すでに生体内に存在していた核酸塩基を再利用するサルベージ経路とを利用して、必要な核酸塩基を調達する。ミコフェノール酸は、これらのうちプリン塩基をデ・ノボ合成する際の律速酵素であるIMPデヒドロゲナーゼを可逆的に不競合阻害する[3]。これに対してミコフェノール酸は、核酸塩基のサルベージ経路には影響を与えないとされている[3]。体内で免疫を担っているリンパ球でのプリン塩基の供給は、他の生体組織の細胞に比べてデ・ノボ合成に強く依存しているために、ミコフェノール酸が存在すると細胞内のグアノシン ヌクレオシド プールが枯渇することで、活性化Tリンパ球およびBリンパ球に対して代謝抑制効果が強く現れる。グアノシン ヌクレオシド プールの枯渇はDNA合成を抑制するため、リンパ球は細胞周期の細胞分裂期であるG1期からS期で増殖を停止する[4]。したがって、リンパ球の増殖が選択的に抑制されるので、免疫が抑制される。
申請
日本においては日本シンテックス社(現、日本ロシュ社)が腎移植後の難治性拒絶反応の治療を効能として輸入申請を行い、1994年7月に厚生省が稀少病用医薬品指定を与えた後、1999年に「腎移植後の難治性拒絶反応の治療(既存の治療薬が無効または副作用などのため投与できず、難治性拒絶反応と診断された場合)」について承認した。
その後、2003年に「心移植、肝移植、肺移植における拒絶反応の抑制」、2005年に「膵移植における拒絶反応の抑制」について承認され、2011年には公知申請により「腎移植における拒絶反応の抑制」の小児用法・用量が認められた[5]。またループス腎炎に対する承認も要望され[6]、2015年7月31日薬事・食品衛生審議会にて承認された[7]。
注釈
- ^ 皮膚がん発症防止のため、ミコフェノール酸モフェチル使用中は紫外線への曝露避けることが望ましい。
出典
- ^ “セルセプトカプセル250/セルセプト懸濁用散31.8% 添付文書” (2016年5月). 2016年11月6日閲覧。
- ^ “セルセプトカプセル250 セルセプトの催奇形性に関する情報および適正使用のお願い”. 中外製薬 (2015年7月). 2015年8月28日閲覧。
- ^ a b 『ミコフェノール酸モフェチル製剤 インタビューフォーム(第20版)』 中外製薬 2016年5月 (「薬効や栗に関する項目」を参照のこと)
- ^ セルセプトカプセル250(ミコフェノール酸モフェチル)に関する資料 (PDF)
- ^ “セルセプトカプセル250 インタビューフォーム (PDF)”. 中外製薬 (2013年2月). 2015年8月2日閲覧。
- ^ “ループス腎炎に対するミコフェノール酸モフェチル使用に関するステートメント”. 日本リウマチ学会、日本腎臓学会、日本小児リウマチ学会、日本小児腎臓病学会 (2015年2月21日). 2015年8月2日閲覧。
- ^ ミコフェノール酸モフェチルの「ループス腎炎」に対する適正使用のお願い 日本小児リウマチ学会 (2015年8月8日)
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ミコフェノール酸モフェチル (特集 膠原病・リウマチ性疾患の治療の現状と展望) -- (免疫抑制薬・抗リウマチ薬)
- ループス腎炎の免疫抑制療法--この10年の進歩 (AYUMI 腎炎・ネフローゼの免疫抑制療法--さらなる有効性と安全性を求めて)
Related Links
- ファイザー株式会社がご提供するエスタブリッシュ医薬品に関する情報ページです。医療関係者の方に 免疫抑制剤 ミコフェノール酸モフェチル「ファイザー」(一般名 ミコフェノール酸モフェチル)がご提供する付加価値をご紹介 ...
- セルセプトとは?ミコフェノール酸モフェチルの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけでは ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
セルセプトカプセル250
組成
成分(1カプセル中)有効成分・含有量
成分(1カプセル中)添加物
- 内容物:アルファー化デンプン、クロスカルメロースナトリウム、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム
カプセル:ゼラチン、酸化チタン、食用青色2号、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、ラウリル硫酸ナトリウム
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等ヘの投与」の項参照)
効能または効果
○腎移植後の難治性拒絶反応の治療
- (既存の治療薬が無効又は副作用等のため投与できず、難治性拒絶反応と診断された場合)
○下記の臓器移植における拒絶反応の抑制
腎移植の場合
○腎移植後の難治性拒絶反応の治療
- 通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
○腎移植における拒絶反応の抑制
- 成人:通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回1,000mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日3,000mgを上限とする。
- 小児:通常、ミコフェノール酸 モフェチルとして1回300〜600mg/m2を1日2回12時間毎に食後経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減するが、1日2,000mgを上限とする。
心移植、肝移植、肺移植、膵移植における拒絶反応の抑制の場合
- 通常、成人にはミコフェノール酸 モフェチルとして1回500〜1,500mgを1日2回12時間毎に食後経口投与する。
しかし、本剤の耐薬量及び有効量は患者によって異なるので、最適の治療効果を得るために用量の注意深い増減が必要である。
- 重度の慢性腎不全患者(糸球体濾過率<25mL/分/1.73m2)では血中濃度が高くなるおそれがあるので、1回投与量は1,000mgまで(1日2回)とし、患者を十分に観察すること。
慎重投与
- 重篤な消化器系疾患のある患者[症状を増悪させるおそれがある。]
- 重度の慢性腎不全患者[血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。]
- 腎移植後臓器機能再開遅延患者[血中濃度が上昇し、副作用があらわれるおそれがある。]
重大な副作用
感染症(頻度不明)
- 免疫抑制療法は、二次的感染症に対し感受性を高め、日和見感染を起こす可能性がある。サイトメガロウイルス感染症、非定型抗酸菌感染症、アスペルギルス感染症、カンジダ感染症、ムコール感染症、ニューモシスティス感染症、パルボウイルス感染症、ノカルジア感染症、黄色ブドウ球菌感染症、リステリア感染症、結核等があらわれることがある。また、肺炎、敗血症、感染性心内膜炎、帯状疱疹、単純疱疹、上気道感染、気管支炎、感冒、髄膜炎、創感染、腹膜炎、食道炎、腸炎、胆管炎、膿瘍があらわれることがある。また、B型肝炎ウイルスの再活性化による肝炎やC型肝炎の悪化があらわれることがある。本剤を投与する場合は観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量・休薬、抗生物質、抗ウイルス剤の投与等の適切な処置を行うこと。
進行性多巣性白質脳症(PML)(頻度不明)
- 進行性多巣性白質脳症(PML)があらわれることがあるので、本剤の治療期間中及び治療終了後は患者の状態を十分に観察し、意識障害、認知障害、麻痺症状(片麻痺、四肢麻痺)、言語障害等の症状があらわれた場合は、MRIによる画像診断及び脳脊髄液検査を行うとともに、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
BKウイルス腎症(頻度不明)
- BKウイルス腎症があらわれることがあるので、このような場合には減量又は投与を中止し、適切な処置を行うこと。
汎血球減少(0.5%)、好中球減少(0.3%)、無顆粒球症(頻度不明)、白血球減少(12.5%)、血小板減少(1.6%)、貧血(7.1%)、赤芽球癆(頻度不明)
- このような症状があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
悪性リンパ腫(0.1%)、リンパ増殖性疾患、悪性腫瘍(特に皮膚)(以上0.5%)
- 他の免疫抑制剤と併用する場合に、過度の免疫抑制により発現の可能性が高まることがある。
消化管潰瘍(1.4%)、消化管出血(0.2%)、消化管穿孔(0.1%)、イレウス(0.4%)
- このような症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重度の下痢(頻度不明)
- 重度の下痢があらわれることがあり、脱水症状に至った症例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、患者の状態により止瀉薬の投与、補液等の適切な処置を行うこと。また、必要に応じて減量又は休薬を考慮すること。
アシドーシス、低酸素症(以上頻度不明)、糖尿病(0.4%)、脱水症(0.2%)
- このような症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
血栓症(0.3%)
- 脳梗塞、網膜静脈血栓症、動脈血栓症があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
重度の腎障害(頻度不明)
- 腎不全、腎尿細管壊死、水腎症、腎機能障害があらわれることがあるので、頻回に臨床検査(クレアチニン、BUN、クレアチニンクリアランス、尿蛋白等)を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
心不全(0.3%)、狭心症(0.1%)、心停止(頻度不明)、不整脈(期外収縮、心房細動、心房粗動、上室性・心室性頻脈等)(0.2%)、肺高血圧症、心嚢液貯留(以上頻度不明)
- このような症状があらわれることがあるので、使用に際しては心電図、心エコー、胸部X線検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肝機能障害(2.0%)、黄疸(0.1%)
- AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-P、ビリルビン、LDHの上昇、黄疸があらわれることがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
肺水腫(0.1%)、無呼吸、気胸(以上頻度不明)
- このような症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
痙攣(0.2%)、錯乱、幻覚、精神病(以上頻度不明)
- このような症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、神経学的検査やCT、MRIによる画像診断を行うとともに投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
アレルギー反応(頻度不明)、難聴(0.1%)
- このような症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
作用機序26−30)
- ミコフェノール酸 モフェチルは、生体内で速かにMPAに加水分解される。MPAは、de novo系、salvage系2つのプリン生合成経路の内、de novo経路の律速酵素であるイノシンモノホスフェイト脱水素酵素を不競合的、可逆的かつ特異的に阻害することにより、GTP、デオキシGTPを枯渇させ、DNA合成を抑制する。T、Bリンパ球細胞は核酸合成を主としてde novo系に依存するのに対して、免疫系以外の細胞はde novo、salvage両系に依存している。MPAはsalvage系酵素には影響しないため、結果的にリンパ球細胞の増殖を選択的に抑制し、臓器移植後に発症する拒絶反応の形成不全を誘導する。
免疫薬理作用
in vitro試験30−32)
- ヒトリンパ球系細胞株の増殖、マイトジェン刺激したヒト末梢血リンパ球及び脾臓Bリンパ球の増殖や抗体産生、並びにヒトリンパ球の混合リンパ球反応を強力に抑制した。一方、ヒト線維芽細胞、臍帯内皮細胞の増殖抑制は軽度であった。
in vivo試験2,32−34)
- マウス細胞傷害性Tリンパ球の誘導抑制、感作マウス及びラット脾臓の抗体産生抑制、脾臓摘出ラットの血中自然抗体産生能低下、感作マウスリンパ節、脾臓のDNA合成の特異的抑制を示した。
移植免疫抑制作用35−43)
- 動物の同種臓器移植において、進行性急性拒絶反応の改善を認めた(イヌ腎臓、ラット心臓・小腸)。また、急性拒絶反応を抑制し、移植臓器片の生着・生存期間を延長させ、他剤との併用投与により免疫抑制作用を増強した(イヌ腎臓・肝臓、ラット心臓・小腸、マウス膵臓)。さらに、ラット脈管炎モデルでの冠状動脈炎、内膜増殖・肥厚を抑制した。
有効成分に関する理化学的知見
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、アセトニトリルにやや溶けやすく、メタノールにやや溶けにくく、エタノール(95)及びジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
融解範囲
- 94〜98℃(融解開始点と融解終点の差は2.5℃以内)
★リンクテーブル★
[★]
- 英
- microscopic polyangiitis, MPA
- 同
- 顕微鏡的多発性血管炎、顕微鏡的多発動脈炎 microscopic polyarteritis
- 関
- 血管炎。MPO-ANCA、ANCA関連血管炎
概念
- 古典的なクスマウル・マイアー型(Kussmaul-Maier)の多発動脈炎に対し、分節状壊死性糸球体腎炎のような微小血管炎を伴う多発動脈炎を顕微鏡型と称したのに由来する。
- 小血管の炎症であるので、小血管が集まった臓器が冒される、腎臓(急速進行型糸球体腎炎 RPGN)、肺(間質性肺炎)
定義
- CHCC 2012
- 免疫沈着を全くまたはほとんど認めない壊死性血管炎。主に小型血管(すなわち毛細血管、細静脈、または細動脈)を侵す。壊死性血管炎は小型動脈や中型動脈にも認めることがある。壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる。肺毛細血管炎もしばしば生じる。肉芽腫性炎症は認めない。
症状
- https://www.nanbyou.or.jp/entry/245
全身症状
|
約70%
|
高血圧
|
約30%
|
皮疹
|
約60%
|
多発性単神経炎
|
約60%
|
関節痛
|
約50%
|
筋痛
|
約50%
|
間質性肺炎
|
約25%
|
肺胞出血
|
約10%
|
心不全
|
約18%
|
消化管病変
|
約20%
|
検査
尿検査
治療
- ANCA関連血管炎 診療ガイドライン2017
- https://minds.jcqhc.or.jp/n/med/4/med0094/G0000931
- ベースとなるのはステロイドであるが、単独で使われるより、組み合わせて使われていることが多い。
- どの治療が最適化は議論中のようである。
- GC
- GC+POCY/IVCY
- GC+RTX
- GC+MTX
- GC+MMF
国試
|
|
症状
|
検査
|
病理
|
治療
|
結節性多発動脈炎
|
polyarteritis nodosa,PN
|
細動脈に壊死性血管炎を引き起こす。糸球体腎炎なし。
|
① 全身症状あり ② 他臓器の虚血障害〈脳出血、肺出血、虚血性心疾患(心臓の冠動脈が虚血)〉 ③ 進行性腎機能低下、腎血管性高血圧(炎症動脈狭窄→レニン分泌)
|
尿所見に乏しい進行性腎機能低下、腰痛
|
・ 腎臓を含む多臓器の動脈に炎症が生じる。 ・ 腎動脈造影で弓状動脈に生じた結節様病変、糸球体病変は軽度。
|
ステロイド&免疫抑制剤(シクロホスファミド)
|
顕微鏡的多発動脈炎
|
microscopic polyangitis,MPA
|
小血管の炎症。糸球体腎炎あり。
|
①全身症状:発熱、体重減少、多発関節炎、筋肉痛 ②多臓器の虚血障害:肺出血(血痰) ③進行性腎機能低下(急性進行性糸球体腎炎)(高齢者のRPGNにMPAが多い)
|
①RPGN症状が(血尿、蛋白尿、円柱、週単位での腎機能低下) ②MPO-ANCA陽性が85%を占める。
|
腎の微小血管と糸球体及び、肺の微小血管に炎症が生じる。 ① 半月体形成:糸球体係蹄壁の外側に増殖した細胞が半月状の形態をとる。 ② 免疫グロブリンや補体の沈着はなし。(p-ANCAがELIZA法で検出される。)
|
|
[★]
ミコフェノール酸モフェチル mycophenolate mofetil
[★]
ミコフェノール酸モフェチル
[★]
ミコフェノール酸モフェチル
[★]
- 英
- phenol
- ラ
- phenolum
- 同
- 石炭酸 carbolic acid、ヒドロキシベンゼン hydroxybenzene
- 商
- ウインタミン、エキザルベ 、カチリ、キャンフェニック、セルセプト、パオスクレー、フェノール・カンフル歯科用消毒液、フェノール・亜鉛華リニメント 、フェノール水、ポステリザン、ポステリザンF、メトコール、ラニチジン、ルゴール、レトン、レプチラーゼ、一般診断用精製ツベルクリン、液状フェノール 、乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥弱毒生麻しんワクチン、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、強力ポステリザン、歯科用フェノール・カンフル 、治療用アレルゲンエキス、診断用アレルゲン皮内エキス、組織培養不活化狂犬病ワクチン 、複方ヨード・グリセリン 、複方ヨード・グリセリンFM 、複方ヨードグリセリン
- 関
- 消毒薬
- 消毒薬としては、最近に有効であるが、芽胞、ウイルスには無効。
- 大腸菌とかのプラスミド抽出するときに、蛋白成分を変性凝固させて遠沈させるために用いる。
[★]
- 英
- acid
- 関
- 塩基
ブランステッド-ローリーの定義
ルイスの定義
[★]
- 英
- mycophenolic acid, mycophenolate, MPA