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風邪 (Common Cold) | |
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ヒトライノウイルスの表面分子構造
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分類及び外部参照情報 | |
ICD-10 | J00.0 |
ICD-9 | 460 |
DiseasesDB | 31088 |
MedlinePlus | 000678 |
eMedicine | med/2339 |
Patient UK | 風邪 |
MeSH | D003139 |
風邪(かぜ、common cold, nasopharyngitis, rhinopharyngitis, acute coryza, a cold)とは、呼吸器系の炎症性の症状のこと。またその状態を表す総称である。正式名称は、「感冒(かんぼう)」や「急性上気道炎」医学的には「風邪症候群」と呼ばれる。
風邪とは、主にウイルスの感染によって上気道(鼻腔や咽頭等)が炎症性の疾病に掛かった状態のことであり、咳嗽、咽頭痛、鼻汁、鼻づまりなど局部症状(カタル症状)、および発熱、倦怠感、頭痛などの全身症状が出現した状態のことである。 鼻汁は通常、風邪の初期はさらさらとした水様で、徐々に粘々とした膿性に変化する。
医学的な定義は文献によって異なっている。多くの場合、単に風邪と言えば急性上気道炎(普通感冒)を指し、それ以外を風邪と呼ぶことは少ない。西洋医学的には「風邪症候群」と呼ぶことが多い。 俗称として、消化管のウイルス感染によって嘔吐、下痢、腹痛などの腹部症状と上記全身症状を来した状態を、「感冒性胃腸炎」「お腹の風邪」(もしくは胃腸かぜ、一部地方では腸感冒)と呼ぶこともある。
「風邪」の語源は定かではない。中国医学における風の邪気、すなわち「風邪」(ふうじゃ)によって引き起こされる、発熱や寒気等の症状を来す病名としての概念が日本に伝わっているが、中国医学の定義は前述の定義と異なっている。
俳句では冬の季語として扱われる。
風邪の多様な症状は、様々な病因によって発生し、稀に淋病が喉粘膜に発生することでも、風邪によく似た症状が出る。この他にも風邪と紛らわしい初期症状を示す病気は数多くあり、これらを風邪として扱ってしまいがちなことが「風邪は万病のもと」と言われる所以となっている[1]。
インフルエンザ(流行性感冒)やマイコプラズマ肺炎等の症状も、風邪に含める場合もある。 特にインフルエンザについては風邪と呼ばれるケースが多い。「インフルエンザを風邪と呼ぶべきではない」とする者もいるが、これは「インフルエンザは命にかかわる病気なので油断すべきではない」という警鐘である。歴史的にも「スペインかぜ」や「アジアかぜ」など、大勢の死者を出した大規模なインフルエンザのパンデミックは「風邪(かぜ)」と呼ばれている。
医学的に言えば、インフルエンザは疾患・疾病名であり、風邪は症状名であり、概念が異なる。
風疹、麻疹、流行性耳下腺炎などは、症状が非常に特徴的であり、疾患名が特定しやすいので、いわゆる風邪には含めない(ただし流行性耳下腺炎は、俗に『おたふくかぜ』と称する)。
以下のものは成人についてのものであり、乳幼児、高齢者、ぜんそくその他のハイリスクの病態のある者には当てはまらない。
症状は、「風邪症候群」と表現されるように、微熱、頭痛、発熱、悪寒、鼻汁の過分泌、咽頭痛、咳、嗄声、食欲不振、下痢、嘔吐など。
急性期 | 亜急性期 | 回復期 | |
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丈夫 | 西洋薬 | (自然治癒が多い) | |
ふつう | 西洋・漢方を併用 | 漢方薬 | |
虚弱 |
東洋医学でも西洋医学でも一般に、安静にして睡眠をしっかりとることは風邪の治癒に良いとされている。
東洋医学と西洋医学とでは、健康や病気に関する考え方が異なる部分が多く、風邪の場合の予防法・治療法にも差異が見られる。
東洋医学において風邪にもっともしばしば用いられる処方の流れを以下に示す[2]。
急性期・亜急性期には西洋医薬との併用が有効である[2]。
東洋医学において、小児がかぜをひきにくくなる、というのは、体の免疫機能が高められていることを意味する。かぜをひきにくくする、ということは虚弱体質の改善と関係があると考え、次のような漢方処方が代表的なものだとも言われている[3]。
西洋医学系の医師は、個々の症状を緩和する薬(対症療法)を採用し、総合感冒薬や解熱剤、咳止めなどの薬を、複数処方することが多い(主にパラセタモール(アセトアミノフェン)やアスピリン、イブプロフェンなどの非ステロイド系抗炎症剤 (NSAIDs) を処方することが多い。昇圧薬としてはフェニレフリンなどのアドレナリン作動薬などが含まれるものもある)。昨今は西洋医学系の医師の中にも漢方薬の良さを理解し「葛根湯」「小青竜湯」「麻黄湯」などを薬効に応じて処方する医師も増加している[要出典]。
抗生物質(狭義の抗菌剤)は抗「菌」作用しか持たないため、多種のウイルスによって引き起こされる風邪には効果が無い[7]。その副作用のため有害であるにもかかわらず、未だに頻繁に処方されている[7][8]。処方してしまう理由には、人々の抗生物質に対する期待、薬品メーカーの需要、処方に対しての空気など複雑に絡み合う事情が一般的であるとされる[9]。ただし合併症の予防、及び発症後に正当な理由で処方されることもある。抗ウイルス薬の処方も、風邪の原因ウイルスが多種に及ぶため現実的な効果は無いが、いくつかの予備試験ではベネフィットが示されている[10][11]。
風邪というとすぐに抗生物質を処方する医者も多いが、多くの場合、風邪の原因はその多くがウイルスであるので、細菌を対象とした抗生物質は効果がない、と(医師・医療関係者の集団の)メディカルブレインや(元医学部教員の)米山公啓らによって指摘されている[12][13]。
実際、抗生物質を飲んでも飲まなくても、風邪をひいている期間は同じだという調査結果がある[12]。"抗生物質が、風邪をひいている期間を短くする"などという科学的論文は存在しない[12]、つまり、普通の風邪であれば、結局、抗生物質を飲まなくても治っているのであり[12]、患者は薬で風邪を治しているつもりでも、実際に風邪を治しているのは、人体が本来持っている自然治癒力なのである[12]、と米山は述べている。
どうして風邪に抗生物質がやたらと使われるかと言えば、その答えは医者が「儲かるから」である[13]、とメディカル・ブレインによって指摘されている。
(医療現場で行われている悪慣行に一石を投じる形で、ようやく)2003年6月に、日本呼吸器学会が、成人気道感染症の指針のなかに、「風邪への抗生物質はできるだけ控えるべき」と明記した[14]。2004年5月の改訂版では「風邪に抗生物質は無効。細菌性二次感染の予防目的の投与も必要ない」とした[15]。それにもかかわらず、臨床の現場では、風邪に抗生物質が処方されている、この傾向はアメリカでも同様である、と米山公啓は2005年出版の本で指摘した[16]。
例外を言えば、風邪をこじらせた結果 細菌性の肺炎や気管支炎になってしまった場合は抗生物質は意味がありはする、だがそれ以外は使っても無駄かむしろ有害であり、「これは抗生物質ですから、○○○の症状が出たときだけ飲んでください」とはっきりと伝えて処方するならばともかく、ただ、「一日何回飲め」というのでは、わざわざ抗生物質の副作用を出させているようなものである[13]、と指摘されている。抗生物質も人体に害を及ぼす面があるのであり、これについて説明すると、我々の体の中では常在菌と呼ばれる細菌が共存共栄しているが[13]、抗生物質を飲むとこれらの細菌のバランスが崩れてしまい、大腸炎になり下痢をしたり[13]、ひどい場合には偽膜性大腸炎で血便が混じることもあり[13]、(女性の場合に多いが、抗生物質の影響で)カンジダと呼ばれるカビが増えて膣炎を起こしドロドロの液体が膣から流れ出ることもある[13]、と指摘された。また、安易な抗生物質使用は耐性菌を出現させるばかりであるので、細菌感染であることが明確なときにのみ使用すべきであるともされている。風邪でやみくもに抗生物質を処方する医者は考えものである(藪医者)[13]、とメディカルブレインよって指摘されもした。 また、抗生剤は腸内細菌のバランスを崩すため、クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患にかかりやすくなると言われている。[17]
いわゆる風邪薬というのは症状の緩和させるもの(つまり対症療法を行なう薬)であるが、これが、治癒に関してはむしろ逆効果になっている場合がある。
発熱は一種の生体防御反応であり、人体というのは、あえて体温を高めることで免疫力を上げているということも明らかになってきている。例えば、白血球は、病原菌に対する貪食(どんしょく)・殺菌能などを有しているが、その白血球は、体温が平熱よりも1度下がると30%以上 働きが低下し、逆に平熱より1度上昇すると5 - 6倍の働きをするということが明らかになった[18]と石原結実は述べている。西洋医学系の医師の多くは、対症療法を採用し、患者の体温が多少上昇するだけでも、すぐに解熱剤を処方してしまうことが多い。だが、これが不適切で、免疫の働き(自然治癒力)を低下させて風邪を長引かせている可能性がある、と指摘されているわけである。 実際にロキソニンは有意ではないものの、平均で風邪の治癒を1日遅らせる。[19]
ただし、体温の上昇が極端に激しい場合は例外であり、危険回避のために解熱剤を使用することは正しい。また、幼児や児童などの場合は、体温の上昇には大人以上に注意を払う必要がある。
また、解熱剤には副作用として「脳炎」を発症することもあり、使用には慎重を期すべきである。
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他にもあらゆるウイルス、マイコプラズマ、クラミジア、細菌が風邪の原因となり、その数は200種類以上といわれる。風邪となる病原は非常に多く、またライノウイルスを例に挙げると、数百種類の型が存在するためワクチンを作ることは事実上不可能であり、どのウイルスまたは細菌が原因なのか診断するのも困難である。
病原体の割合としては季節にもよるが、ライノウイルスが20%-30%で最も多く、その後にコロナウイルスとインフルエンザウイルスが10%程度と続く。[20]
もうひとつの側面として、症状が軽度であるなら原因を診断する前に治癒に至るので、その必要が無いとも言える。 逆に言えば、病原となるウィルスまたは細菌が特定できた場合は、それらはそれぞれの疾患名で呼ぶべきであり、風邪という症状名で呼ぶのは適切ではないということになる。例えばインフルエンザウイルスによる風邪に関しては、特に症状が重いことと、検査方法が確立していることから、原因が特定され、その場合は「インフルエンザ」という疾患名で呼ばれることとなる。それについて次項参照。
風邪の病原体の9割はウイルス性であるが、残り1割は細菌性である。細菌性の場合は、抗生物質が有効である。細菌性の場合は、ウイルス性の場合よりも症状が長期に及び、症状も局所的に出やすいという特徴がある。
細菌性の感染かウイルス性の感染かは血液検査を行い、CRP値と白血球数を参考にする。
上述の通り、風邪の原因となるウイルス・細菌の種類は極めて多く、原因が特定されない場合が多いが、原因が特定できた場合においては、その原因によって疾患名が確定する。
また「風邪は万病の元」と言われるが、あらゆる疾患の初期症状は「風邪」として片づけられることも多く見られる。そして疾患が進むと、風邪症状の範疇には収まらない、その疾患の特有の症状が発現することになる。
このため、数日で軽快しない場合は、「あらゆる疾患」が鑑別にあがる。
以下にあるのはその一部分である。
病原体の感染経路には、以下の3種類がある。
次のようなことは一般に広く言われている。
手洗いについては、外出からの帰宅時には、自宅の家具などに触れる前に念入りに手洗いを行い、家外から持ち帰ったウイルスを屋内の家具・寝具・食器などに付着させないことが勧められている。これを行なうだけでも、感染率が減る。
うがいについては、緑茶が効果的。水道水でも効果がある。ただし、ヨード入りのうがい薬などを使うとかえって風邪予防の効果が低下する、との調査結果がある(→うがいで参照可)。まれに、書籍や番組によっては、のどのうがいを行なうだけでなく、"鼻うがい"も同時に行なうのがよい、としていることもある。また、インフルエンザについては効果は期待できない。
マスクを着用する。 自分自身は風邪をひいていない段階で、先手を打ってマスクをしておくことも有効だと言われている。ウイルスが直接に口中に飛び込んでくることを防止できる他に、マスクが適度に湿ることにより、のど奥の粘膜が乾燥することを防ぎ、それが結果として(仮にウイルスが口中に飛び込んでも)ウイルスの極端な増殖を防ぐためだと言われている。
また上気道のカタル症状に気付いた段階でも、マスクを常時着用し、気道粘膜が冷えたり乾燥したりしないようにする(気道粘膜の感染防御能保護のため)[22]。
病原体に対しては、皮膚や粘膜が物理的防壁として、涙、唾液、咳、排尿、排便などが生理的排出機構として、更には免疫機構が重要な役割を演じている。根本的な風邪薬が無い現在、これら自然に備わった感染防御機構をいかに上手に働かせるか、が重要となる。
冷気に身体を曝す・身体が冷えることが風邪の原因である(あるいは感染・発病を助長する)とする考えもあるが、近年では無関係とする見解も存在する。
風邪に対する民間療法には様々なものがあり、中には相矛盾するものもある。一般的には免疫活動を活発化させると良いと考えられているが、必ずしもそれに繋がらないものもある。
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国試過去問 | 「096H017」「095A072」 |
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年齢 | 原因 |
乳児(生後3ヶ月未満) | 敗血症、細菌性髄膜炎、尿路感染症、肺炎、B群溶連菌感染、グラム陰性桿菌 |
乳児(生後3ヶ月以降) | ウィルス感染(突発性発疹などの発疹性疾患)、中耳炎、尿路感染症、消化器・呼吸器疾患、川崎病 |
幼児、学童期 | 溶連菌感染症、伝染性単核球症、膠原病、factitious fever(詐病)、学校での感染症の流行 |
see also step beyond resident 2 救急で必ず出会う疾患編 p.20
実熱 | 虚熱 | |
発病 | 急速に発病 | 緩徐に発病 |
症状 | 悪寒、高熱 顔面紅潮 苦痛あり、四肢運動多 声大きく明瞭 口渇強い 便秘 色調濃い尿 |
軽度悪寒、熱覚 顔面蒼白 苦痛少なく、静かに臥床 声小さい 口渇少ない 軟便、下痢 薄い色調の尿 |
脈 | 早く大きく、緊張 | 小さく早く、緊張なし |
舌苔 | 厚くて乾燥、白~黄~褐色 | 薄くて白い、無苔、鏡面舌 |
その他 | 頭痛、関節痛、無汗~発汗 | 倦怠感、眩暈感、盗汗 |
実熱 | 麻黄湯 | 悪寒、発熱、頭痛、関節痛 |
葛根湯 | 悪寒、発熱、頭痛、肩背部のこり | |
小柴胡湯 | 午後からの発熱、食欲不振、口の苦み | |
柴胡桂枝湯 | 詳細孤島の症状、関節痛、腹痛 | |
大柴胡湯 | 胆嚢炎、便秘 | |
柴陥湯 | 詳細孤島の症状、咳嗽、胸痛 | |
黄芩湯 | 発熱、腹痛、下痢 | |
虚熱 | 桂枝湯 | 発熱、軽度の頭痛、発汗 |
桂麻各半湯 | 発熱、発疹 | |
参蘇飲 | 発熱、食欲不振、咳嗽、あつがる | |
柴胡桂枝乾姜湯 | 微熱、上半身の自汗、盗汗、食欲不振、背部の冷汗 | |
竹じょ温胆湯 | 発熱、咳嗽、不眠 | |
補中益気湯 | 微熱、倦怠感、食欲不振、盗汗 | |
滋陰降火湯 | 微熱、下半身の脱力感、盗汗、咳嗽 | |
滋陰至宝湯 | 微熱、倦怠感、食欲不振、精神不安定状態 | |
真武湯 | 陰病、微熱、食欲不振、倦怠感、いつも寝ている | |
麻黄細辛附子湯 | 陰病、微熱、寒がる |
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