多発血管炎性肉芽腫症
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ウェゲナー肉芽腫症 |
分類及び外部参照情報 |
免疫染色におけるc-ANCAの沈着像。
|
ICD-10 |
M31.3 |
ICD-9 |
446.4 |
DiseasesDB |
14057 |
MedlinePlus |
000135 |
eMedicine |
med/2401 |
Patient UK |
ウェゲナー肉芽腫症 |
MeSH |
D014890 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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ウェゲナー肉芽腫症(英語: Wegener's granulomatosis)は全身性の血管炎で、中~小型動脈を傷害する疾患。1939年ドイツの病理学者 Wegenerにより報告された。
鼻やのどの傷害からはじまるので最初は風邪のようでもあるが、急速に間質性肺炎、急速進行性糸球体腎炎をきたす。したがって症状は、咳、呼吸困難、浮腫などである。軽度の発熱もおこる。鼻に関しても内部構造が破壊され、つぶれて鞍鼻を呈することがある。眼球突出、ぶどう膜炎、角膜潰瘍など眼科的疾患も起こることがある。そのほか皮膚(有痛性紅斑)、神経、脳をおかしうる。 血液検査ではc-ANCA(PR3-ANCA)が特異的に上昇する。ステロイド剤などの治療をもってしても90%以上が死亡するきわめて重篤な疾患であったが、免疫抑制剤であるシクロフォスファミド(エンドキサン®)が治療応用されて以来、比較的予後はよくなってきている。
現在多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with polyangiits; GPA)との名称変更が検討されている。[1]
目次
- 1 疫学
- 2 臨床症状
- 3 病理学的所見
- 4 治療
- 5 引用・参照
- 6 外部リンク
疫学
30代から50代にかけて男性と、50代から60代の女性に多い傾向があるが、発症例は5歳から80歳までと広範囲にわたる。
臨床症状
- 発熱
- 関節痛
- 副鼻腔炎 (鼻出血や膿性鼻汁)
- 蛋白尿
- 肺結節病変 (時に空洞を伴う)
病理学的所見
- 巨細胞性肉芽腫
-
- 鼻、眼、耳、上気道、肺にみられる。主に鼻粘膜にみられる。これにより鼻閉や鼻出血がみられる。壊死性肉芽腫形成炎症ともいえる。
- フィブリノイド型血管炎
-
- 壊死性血管炎が気道全般に見られる。これらによって肺炎の症状がみられる。喘息がみられないのがチャーグ・ストラウス症候群とは異なる点である。好酸球の量が鑑別の参考となる。
- 半月体形成性腎炎
-
- 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)をおこす。肺と腎に病変を起こす疾患としてはグッドパスチャー症候群があるが、こちらは鼻出血どころではなく喀血するまでに及ぶ。また20代男性に多いという特徴がある。
治療
- ステロイド
- 免疫抑制剤 - 現在、寛解が80%以上得られるシクロフォスファミドが欧米では標準治療である。[2]
- 分子標的治療薬 - リツキシマブによるリンパ球(B細胞)抑制が現在希望視されている[3]。日本では2013年に健康保険の適応となった。
引用・参照
- ^ 厚生省難治性血管炎調査研究班/中・小型血管炎臨床分科会, 2011.7.1.
- ^ JAMA 2007; 298: 655-669
- ^ Rituximab versus cyclophosphamide for ANCA-associated vasculitis. N Engl J Med 2010; 363: 221-232.
外部リンク
|
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- 難病情報センター|ウェゲナー肉芽腫症 特定疾患情報
|
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Japanese Journal
- P2-05-5 耳鼻咽喉科におけるウェゲナー肉芽腫症についてのアンケート全国調査(P2-05 自己免疫疾患5,ポスターセッション,第23回日本アレルギー学会春季臨床大会)
- 長門 利純,岸部 幹,駒林 優樹,高原 幹,片山 昭公,國部 勇,片田 彰博,林 達哉,原渕 保明
- アレルギー 60(3・4), 482, 2011-04-10
- NAID 110008594614
- 膠原病と臓器障害(第4回)膠原病と耳鼻咽喉科領域の障害
- Wegener肉芽腫症による軟口蓋全欠損に対しスピーチエイドを装着した1例
- 陰茎部腫瘤の生検から確定診断に至った Wegener 肉芽腫症の1例
- 宮内 康行,山岡 伸好,岡添 誉,森 由弘,厚井 文一,香月 奈穂美,筧 善行
- 西日本泌尿器科 72(9), 508-512, 2010-09-20
- NAID 10026929779
Related Links
- ウェゲナー肉芽腫症(英語: Wegener's granulomatosis)は全身性の血管炎で、中~ 小型動脈を傷害する疾患。1939年ドイツの病理学者 Wegener ... 現在多発血管炎性 肉芽腫症(Granulomatosis with polyangiits; GPA)との名称変更が検討されている。
- そこで、発見者の名前をとってWegener(ウェゲナー)肉芽腫症と呼ばれるようになりまし た。発熱、全身倦怠感、食欲不振などの炎症を思わせる症状と、鼻、眼、耳、咽喉頭など の上気道および肺、腎の3つの臓器の炎症による症状が、一度にあるいは次々に ...
- 家庭医学館 ウェゲナー肉芽腫症の用語解説 - [どんな病気か] ウェジナー肉芽腫症とも いい、血管炎(けっかんえん)の1つです。鼻腔(びくう)などの上気道(じょうきどう)、肺 などの下気道(かきどう)に、血管の炎症により血管が腫(は)れたり閉塞(へいそく)し、 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 61歳の男性。血痰を主訴に来院した。 1か月前から全身倦怠感を自覚し、食欲が低下していた。 2日前から尿量が少なくなり、下腿に浮腫が出現した。今朝から尿が赤くなり、血痰が出るようになった。体温37.8℃。脈拍104/分、整。血圧182/108 mmHg。皮膚に出血斑を認めない。両側肺野にcoarse cracklesを聴取する。下腿に浮腫を認める。尿所見:肉眼的血尿、蛋白2+、糖(-)、潜血3+。血液所見:赤血球 250万、 Hb 7.8g/dl, Ht 23%、白血球 8,500、血小板 21万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dl、アルブミン 4.9g/dl、尿素窒素 72mg/dl、クレアチニン 5.5mg/dl、尿酸 9.2mg/dl、Na 141mEq/l、K 5.9mEq/l、Cl 102mEq/l。免疫学所見:CRP 3.2mg/dl、抗基底膜抗体陰性。
- アレルギー反応のCoombs分類で、この疾患と同じ型に属するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105B043]←[国試_105]→[105B045]
[★]
- 英
- granulomatosis with polyangiitis GPA
- 同
- (国試)ウェゲナー肉芽腫症 Wegener肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫 Wegener's granulomatosis, Wegener granulomatosis, WG
- 関
- 難病、血管炎、小型血管炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎 antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis AAV
概念
- 難病であり、特定疾患治療研究事業に指定されている。
- 全身性に小動脈以下に壊死性肉芽腫性血管炎を生じる疾患で、特に鼻、肺、腎に出現する上気道症状、下気道症状、腎症が三主徴とされる
- 病理的には上気道・肺に壊死性肉芽腫、腎臓では半月体形成腎炎が認められる。
- PR3-ANCA陽性が特徴的である。
定義
- CHCC 2012
通常、上気道および下気道を障害する壊死性肉芽腫性炎症で、主に小型血管から中型血管(例えば毛細血管、細静脈 または細動脈、動脈そして静脈)も障害する壊死性血管炎。壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる。
疫学
- 性別:男女比1:1で性差はなし。
- 年齢:中年に多い。男性では30-60歳代、女性では50-60歳代が多い
病因
病型
- 全身型:以下の症状が全て出現
- 限局型(不全型?):以下の症状の一部が出現
病理
- 参考2
- 1. 上気道、肺、腎臓の巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎
- 2. 免疫グロブリン沈着を伴わない壊死性半月体形成腎炎
- 3. 小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎
経過
- 参考2
- 症状はELKの順に出現し、難治性の鼻炎、副鼻腔炎に続いて咳嗽、血痰、胸痛を来たし、発熱、体重減少、腎不全を呈するようになる。
症状
- 参考2
上気道の症状
- E
- 鼻:鞍鼻(鼻中隔の破壊による)、膿性鼻漏、出血
- 眼:眼痛、視力低下、眼球突出(副鼻腔の骨破壊が起きた場合) 「肉芽腫性強膜ぶどう膜炎」も起こる。眼球炎、頭蓋骨の骨破壊も起きうる。
- 耳:中耳炎
- 口腔・咽頭:潰瘍、嗄声、気道閉塞 咽喉頭潰瘍も起きうる。
肺の症状
- L
- 壊死性肉芽腫性病変の多発による結節影や空洞の形成。肺炎様陰影、血性胸水などもみられる。
腎の症状
- K
- 急速進行性糸球体腎炎(病理的には巣状分節状糸球体腎炎~半月体形成性糸球体腎炎)による症状
その他症状
- 全身症状:発熱、体重減少
- 紫斑、多関節炎、上強膜炎、多発神経炎、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、消化管出血(吐血、下血)、胸膜炎
検査
- 白血球:増加
- CRP:上昇
- BUN:上昇
- クレアチニン:上昇
- 胸部単純X線写真:結節性陰影
- 胸部単純CT:結節性陰影
治療
- 免疫抑制薬(シクロホスファミド、アザチオプリン)と大量の副腎皮質ステロイドを併用。
- (副作用)シクロホスファミド:骨髄抑制、出血性膀胱炎。副腎皮質ステロイド:種々
予後
- 未治療で数ヵ月から1-2年で死亡
- 発症早期の免疫抑制療法による加療で高率に寛解
症候スペクトル
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/210
- http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/006_s.pdf
[★]
- 英
- pneumocystis pneumonia, pneumocystis jirovecii pneumonia pneumocystis jirovecn pneumonia
- 同
- カリニ肺炎 carinii pneumonia、Pneumocystis肺炎
- ニューモシスチス・カリニ肺炎 pneumocystis carinii pneumonia PCP、ニューモシスチス・カリニ肺炎、ニューモシステイスカリニ肺炎
- 関
- ニューモシスチス症 pneumocystosis
病原体
病因
- IMD.1083
- 剖検例で悪性リンパ腫の1/4、成人T細胞白血病の1/10、全身性エリテマトーデスの1/20 に認められる。
- AIDSに高率に合併。
リスク因子
非HIV
- 別の易感染性の原因を有するグルココルチコイド投与患者
- 他の免疫抑制薬
- 細胞性免疫不全
- 悪性腫瘍(特に造血系悪性腫瘍)
- 造血幹細胞移植(HCT、特にallogeneic HCT)
- 固形臓器の臓器移植
- 拒絶反応に対する治療
- 炎症状態に対する治療(例えば、多発血管炎を伴う肉芽腫症など(ウェゲナー肉芽腫症)
- 重症の低栄養(特に低蛋白)
- 一次性免疫不全(特に重症複合免疫不全)
- 未熟児
症状
検査
- 末梢血液検査:リンパ球数減少。
- 胸部X線検査:肺門から両肺野にかけて微細な網状から索状影を認め、徐々にすりガラス様陰影となる。
- 呼吸機能検査:PaO2 が基準値の 1/2~1/3 に低下。PaCO2 は上昇することもある。
- (USMLE:first aid step1 2006 p.147)
- diagnosed by lung biopsy or lavage
- identified by methenamine silver stain of lung tissue
胸部X線写真
治療
予後
国試
[★]
- 英
- autoantibody
- 関
- 抗体
疾患特異的自己抗体
- 抗Sm抗体-SLE
- 抗RNA抗体-SLE,MCTD(overlap syndrome)
- 抗SS-B抗体-シェーグレーン症候群
- 抗Scl-70抗体-強皮症
- 抗セントロメア抗体-強皮症(手足限局型)
- 抗Jo-1抗体-多発性筋炎
- 抗白血球細胞質抗体(ANCA)
- C-ANCA-Wegener肉芽腫
- P-ANCA-壊死性半月体形成性腎炎、顕微鏡的多発血管炎、チャーグ-ストラウス症候群(アレルギー性肉芽腫性血管炎)
特異的自己抗体 NDE.178
[★]
- 英
- auscultation
- 頚部:総頚動脈、甲状腺
- 胸部:肺、心臓
- 腹部:腸蠕動音、大動脈雑音
- 下肢:大腿動脈雑音
肺音の聴診
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=yiVbKc4-CH0</youtube>
<youtube>http://www.youtube.com/watch?v=oCsNpzEQ4OA</youtube>
[★]
- 関
- 空洞形成、空洞
空洞性肺病変の鑑別
- IRE.527
- 肺化膿症で実質の破壊が進展し膿が貯留して肺膿瘍を形成する。この場合にも空洞性肺病変を生じうる。
[★]
- 英
- granuloma
- 関
- 肉芽腫症
分類
- NDE.34
肉芽腫を形成する疾患
- 抗酸菌(結核、、らい菌)
- 真菌(クリプトコッカス、アスペルギルス、ヒストプラズマ、ブラストミセス、コクシジオイデスなど)
- トレポネーマ(梅毒)
- その他の菌(ネコひっかき病など)
- 炎症性疾患(サルコイドーシス、クローン病、血管炎・膠原病、過敏性肺臓炎など)
- 異物(ベリリウム、バリウム、縫合糸)
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- granulomatosis、granulomatous disease
- 関
- 肉芽腫性疾患
[★]
- 英
- bulbil、brood bud
- 関
- ムカゴ、鱗芽
[★]
- 英
- blastoma
- 関
- 芽細胞腫