出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/02/17 23:40:08」(JST)
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は、漢方方剤の代表的な処方。
漢方の古典である中国の医書『内外傷弁惑論』(1247年)に記されている補気剤の代表的処方であり「医王湯」の別名を持つ。
金元時代の名医である李東垣(杲)(1180年-1251年)により『脾胃論』(1249年)において記された処方である。当時の中国は戦乱が続き民衆は飢えと疲労で心身ともに疲弊しきっていた。熱性疾患で多くの人が死亡した。その疾患を治療する目的で李東垣の師である張潔古の処方に工夫を加え完成したのが当薬であると言い伝えられる。
李東垣は、脾胃、すなわち消化器官および代謝機能を行う器官が人の健康維持に最も重要なものと考え、病気の回復、予防、その他の臓器の機能の正常化は、脾胃の機能にかかっていると考えた。熱性疾患も脾胃の調理を最優先すべきと考えその方法をとった。
補中の「中」とは、漢方では腹部を差す。中を補う、すなわち胃腸の働きをよくすることで体力を回復をさせ、疲れ、食欲不振、胃弱、胃アトニー、夏ばて、こじらせた風邪、痔、または病中、病後、手術後などの弱った体力を回復させる。また、内臓全体を持ち上げる作用があるとされる。
次の薬剤との併用により、偽アルドステロン症、ミオパシーが出現しやすくなる[1]。
次の副作用がある[1]。
間質性肺炎、偽アルドステロン症、ミオパシー、肝機能障害、黄疸
発疹、蕁麻疹、食欲不振、胃部不快感、悪心、下痢
以下の者は、服用に注意。
第十五改正の日本薬局方から、上記構成生薬を乾燥エキス化した「補中益気湯エキス」(Hochuekkito Extract)が収載された。[2]
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太虎堂の補中益気湯エキス散
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年齢 | 原因 |
乳児(生後3ヶ月未満) | 敗血症、細菌性髄膜炎、尿路感染症、肺炎、B群溶連菌感染、グラム陰性桿菌 |
乳児(生後3ヶ月以降) | ウィルス感染(突発性発疹などの発疹性疾患)、中耳炎、尿路感染症、消化器・呼吸器疾患、川崎病 |
幼児、学童期 | 溶連菌感染症、伝染性単核球症、膠原病、factitious fever(詐病)、学校での感染症の流行 |
see also step beyond resident 2 救急で必ず出会う疾患編 p.20
実熱 | 虚熱 | |
発病 | 急速に発病 | 緩徐に発病 |
症状 | 悪寒、高熱 顔面紅潮 苦痛あり、四肢運動多 声大きく明瞭 口渇強い 便秘 色調濃い尿 |
軽度悪寒、熱覚 顔面蒼白 苦痛少なく、静かに臥床 声小さい 口渇少ない 軟便、下痢 薄い色調の尿 |
脈 | 早く大きく、緊張 | 小さく早く、緊張なし |
舌苔 | 厚くて乾燥、白~黄~褐色 | 薄くて白い、無苔、鏡面舌 |
その他 | 頭痛、関節痛、無汗~発汗 | 倦怠感、眩暈感、盗汗 |
実熱 | 麻黄湯 | 悪寒、発熱、頭痛、関節痛 |
葛根湯 | 悪寒、発熱、頭痛、肩背部のこり | |
小柴胡湯 | 午後からの発熱、食欲不振、口の苦み | |
柴胡桂枝湯 | 詳細孤島の症状、関節痛、腹痛 | |
大柴胡湯 | 胆嚢炎、便秘 | |
柴陥湯 | 詳細孤島の症状、咳嗽、胸痛 | |
黄芩湯 | 発熱、腹痛、下痢 | |
虚熱 | 桂枝湯 | 発熱、軽度の頭痛、発汗 |
桂麻各半湯 | 発熱、発疹 | |
参蘇飲 | 発熱、食欲不振、咳嗽、あつがる | |
柴胡桂枝乾姜湯 | 微熱、上半身の自汗、盗汗、食欲不振、背部の冷汗 | |
竹じょ温胆湯 | 発熱、咳嗽、不眠 | |
補中益気湯 | 微熱、倦怠感、食欲不振、盗汗 | |
滋陰降火湯 | 微熱、下半身の脱力感、盗汗、咳嗽 | |
滋陰至宝湯 | 微熱、倦怠感、食欲不振、精神不安定状態 | |
真武湯 | 陰病、微熱、食欲不振、倦怠感、いつも寝ている | |
麻黄細辛附子湯 | 陰病、微熱、寒がる |
人参 | 黄耆 | 朮 | 当帰 | 甘草 | 茯苓 | 陳皮 | 生姜 | 遠志 | 大棗 | 黄柏 | 酸棗仁 | 木香 | 竜眼肉 | 柴胡 | 桂皮 | 地黄 | 芍薬 | 五味子 | その他 | |||||
半夏白朮天麻湯 | ○ | ○ | 白朮 | ○ | ○ | ○ | ○ | 半夏 | 麦芽 | 天麻 | 沢瀉 | 乾姜 | ||||||||||||
帰脾湯 | ○ | ○ | 白朮 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||
加味帰脾湯 | ○ | ○ | 白朮 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 山梔子 | ||||||||||
補中益気湯 | ○ | ○ | 朮 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 升麻 | ||||||||||||||
清暑益気湯 | ○ | ○ | 蒼朮 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 麦門冬 | |||||||||||||||
十全大補湯 | ○ | ○ | 蒼朮 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | 川芎 | ||||||||||||||
人参養栄湯 | ○ | ○ | 白朮 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
人参 | 乾姜 | 甘草 | 蒼朮 | 朮 | 生姜 | 茯苓 | 大棗 | 陳皮 | 半夏 | 黄耆 | 白朮 | 黄柏 | 麦芽 | 天麻 | 沢瀉 | 当帰 | 遠志 | 酸棗仁 | 木香 | 竜眼肉 | 柴胡 | 山梔子 | 升麻 | 五味子 | 麦門冬 | 桂皮 | 地黄 | 芍薬 | 川芎 | |
人参湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||||||||||||||
四君子湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||||||||||||
六君子湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||||||||||
半夏白朮天麻湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||||||
帰脾湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||||||||
加味帰脾湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||||
補中益気湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||||||||
清暑益気湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||||||||||||||
十全大補湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||||||||
人参養栄湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
人参 | 乾姜 | 甘草 | 蒼朮 | 朮 | 生姜 | 茯苓 | 大棗 | 陳皮 | 半夏 | 黄耆 | 柴胡 | 当帰 | 升麻 | 芍薬 | 桂皮 | 膠飴 | 桂枝 | |
人参湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||||
四君子湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
六君子湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||
補中益気湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
小建中湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
黄耆建中湯 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
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