- 英
- granulomatosis with polyangiitis GPA
- 同
- (国試)ウェゲナー肉芽腫症 Wegener肉芽腫症、ウェゲナー肉芽腫 Wegener's granulomatosis, Wegener granulomatosis, WG
- 関
- 難病、血管炎、小型血管炎、抗好中球細胞質抗体関連血管炎 antineutrophil cytoplasmic antibody-associated vasculitis AAV
概念
- 難病であり、特定疾患治療研究事業に指定されている。
- 全身性に小動脈以下に壊死性肉芽腫性血管炎を生じる疾患で、特に鼻、肺、腎に出現する上気道症状、下気道症状、腎症が三主徴とされる
- 病理的には上気道・肺に壊死性肉芽腫、腎臓では半月体形成腎炎が認められる。
- PR3-ANCA陽性が特徴的である。
定義
- CHCC 2012
通常、上気道および下気道を障害する壊死性肉芽腫性炎症で、主に小型血管から中型血管(例えば毛細血管、細静脈 または細動脈、動脈そして静脈)も障害する壊死性血管炎。壊死性糸球体腎炎は非常によくみられる。
疫学
- 性別:男女比1:1で性差はなし。
- 年齢:中年に多い。男性では30-60歳代、女性では50-60歳代が多い
病因
病型
- 全身型:以下の症状が全て出現
- 限局型(不全型?):以下の症状の一部が出現
病理
- 参考2
- 1. 上気道、肺、腎臓の巨細胞を伴う壊死性肉芽腫性炎
- 2. 免疫グロブリン沈着を伴わない壊死性半月体形成腎炎
- 3. 小・細動脈の壊死性肉芽腫性血管炎
経過
- 参考2
- 症状はELKの順に出現し、難治性の鼻炎、副鼻腔炎に続いて咳嗽、血痰、胸痛を来たし、発熱、体重減少、腎不全を呈するようになる。
症状
- 参考2
上気道の症状
- E
- 鼻:鞍鼻(鼻中隔の破壊による)、膿性鼻漏、出血
- 眼:眼痛、視力低下、眼球突出(副鼻腔の骨破壊が起きた場合) 「肉芽腫性強膜ぶどう膜炎」も起こる。眼球炎、頭蓋骨の骨破壊も起きうる。
- 耳:中耳炎
- 口腔・咽頭:潰瘍、嗄声、気道閉塞 咽喉頭潰瘍も起きうる。
肺の症状
- L
- 壊死性肉芽腫性病変の多発による結節影や空洞の形成。肺炎様陰影、血性胸水などもみられる。
腎の症状
- K
- 急速進行性糸球体腎炎(病理的には巣状分節状糸球体腎炎~半月体形成性糸球体腎炎)による症状
その他症状
- 全身症状:発熱、体重減少
- 紫斑、多関節炎、上強膜炎、多発神経炎、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、消化管出血(吐血、下血)、胸膜炎
検査
- 白血球:増加
- CRP:上昇
- BUN:上昇
- クレアチニン:上昇
- 胸部単純X線写真:結節性陰影
- 胸部単純CT:結節性陰影
治療
- 免疫抑制薬(シクロホスファミド、アザチオプリン)と大量の副腎皮質ステロイドを併用。
- (副作用)シクロホスファミド:骨髄抑制、出血性膀胱炎。副腎皮質ステロイド:種々
予後
- 未治療で数ヵ月から1-2年で死亡
- 発症早期の免疫抑制療法による加療で高率に寛解
症候スペクトル
参考
- http://www.nanbyou.or.jp/entry/210
- http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/006_s.pdf
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/12/23 19:44:52」(JST)
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ウェゲナー肉芽腫症 |
分類及び外部参照情報 |
免疫染色におけるc-ANCAの沈着像。
|
ICD-10 |
M31.3 |
ICD-9 |
446.4 |
DiseasesDB |
14057 |
MedlinePlus |
000135 |
eMedicine |
med/2401 |
MeSH |
D014890 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
テンプレートを表示 |
ウェゲナー肉芽腫症(英語: Wegener's granulomatosis)は全身性の血管炎で、中~小型動脈を傷害する疾患。1939年ドイツの病理学者 Wegenerにより報告された。
鼻やのどの傷害からはじまるので最初は風邪のようでもあるが、急速に間質性肺炎、急速進行性糸球体腎炎をきたす。したがって症状は、咳、呼吸困難、浮腫などである。軽度の発熱もおこる。鼻に関しても内部構造が破壊され、つぶれて鞍鼻を呈することがある。眼球突出、ぶどう膜炎、角膜潰瘍など眼科的疾患も起こることがある。そのほか皮膚(有痛性紅斑)、神経、脳をおかしうる。 血液検査ではc-ANCA(PR3-ANCA)が特異的に上昇する。ステロイド剤などの治療をもってしても90%以上が死亡するきわめて重篤な疾患であったが、免疫抑制剤であるシクロフォスファミド(エンドキサン®)が治療応用されて以来、比較的予後はよくなってきている。
現在多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with polyangiits; GPA)との名称変更が検討されている。[1]
目次
- 1 疫学
- 2 臨床症状
- 3 病理学的所見
- 4 治療
- 5 引用・参照
- 6 外部リンク
疫学[編集]
30代から50代にかけて男性と、50代から60代の女性に多い傾向があるが、発症例は5歳から80歳までと広範囲にわたる。
臨床症状[編集]
- 発熱
- 関節痛
- 副鼻腔炎 (鼻出血や膿性鼻汁)
- 蛋白尿
- 肺結節病変 (時に空洞を伴う)
病理学的所見[編集]
- 巨細胞性肉芽腫
-
- 鼻、眼、耳、上気道、肺にみられる。主に鼻粘膜にみられる。これにより鼻閉や鼻出血がみられる。壊死性肉芽腫形成炎症ともいえる。
- フィブリノイド型血管炎
-
- 壊死性血管炎が気道全般に見られる。これらによって肺炎の症状がみられる。喘息がみられないのがチャーグ・ストラウス症候群とは異なる点である。好酸球の量が鑑別の参考となる。
- 半月体形成性腎炎
-
- 急速進行性糸球体腎炎(RPGN)をおこす。肺と腎に病変を起こす疾患としてはグッドパスチャー症候群があるが、こちらは鼻出血どころではなく喀血するまでに及ぶ。また20代男性に多いという特徴がある。
治療[編集]
- ステロイド
- 免疫抑制剤 - 現在、寛解が80%以上得られるシクロフォスファミドが欧米では標準治療である。[2]
- 分子標的治療薬 - リツキシマブによるリンパ球(B細胞)抑制が現在希望視されている[3]。日本では健康保険適応はない。
引用・参照[編集]
- ^ 厚生省難治性血管炎調査研究班/中・小型血管炎臨床分科会, 2011.7.1.
- ^ JAMA 2007; 298: 655-669
- ^ Rituximab versus cyclophosphamide for ANCA-associated vasculitis. N Engl J Med 2010; 363: 221-232.
外部リンク[編集]
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ウィキメディア・コモンズには、ウェゲナー肉芽腫症に関連するカテゴリがあります。 |
- 難病情報センター|ウェゲナー肉芽腫症 特定疾患情報
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 研究・症例 筋MRIが診断のきっかけとなった好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例
- 症例 慢性C型肝炎に合併したPR3-ANCA陽性の好酸球性多発血管炎性肉芽腫症の1例
- 血管炎症候群 (特集 リウマチ学 : 診断と治療の進歩) -- (関節リウマチ以外の膠原病,話題の疾患)
Related Links
- 多発血管炎性肉芽腫症は、以前はウェゲナー肉芽腫症と称されていた疾患で、病理組織学的に(1)全身の壊死性・肉芽腫性血管炎、(2)上気道と肺を主とする壊死性肉芽腫性炎、(3)半月体形成腎炎を呈し、その発 症機序に抗好中球細胞質 ...
- 多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with Polyangitis: GPA)(旧名 ウェゲナー肉芽腫症、Wegener肉芽腫症)|大阪大学 免疫 ... 多発血管炎性肉芽腫症(Granulomatosis with Polyangitis: GPA) (旧名 ウェゲナー肉芽腫症 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 83歳の男性。咳嗽と喀痰とを主訴に来院した。約1か月前に咳嗽と喀痰が出現し、1週間前には血痰も出現したため受診した。体温 36.5℃。脈拍 84/分、整。血圧 140/76mmHg。呼吸数 18/分。SpO2 92%(room air)。心音に異常を認めないが、呼吸音は右背下部にcracklesを聴取する。神経学的所見に異常を認めない。尿所見:蛋白1+、糖(-)、潜血1+。血液所見:赤血球 284万、Hb 7.8g/dL、Ht 24%、白血球 6,000(桿状核好中球 12%、分葉核好中球 55%、好酸球 3%、単球 5%、リンパ球 25%)、血小板 29万、PT-INR 1.0(基準 0.9~1.1)。血液生化学所見:AST 29U/L、ALT 24U/L、LD 189U/L(基準 176~353)、尿素窒素 19mg/dL、クレアチニン 1.7mg/dL。免疫血清学所見:CRP 9.2mg/dL、MPO-ANCA 267U/mL(基準 3.5未満)、PR3-ANCA 3.5U/mL未満(基準 3.5未満)、抗核抗体陰性、抗GBM抗体陰性。気管支鏡によって採取した気管支肺胞洗浄液は肉眼的に血性であった。腎機能障害が進行したため腎生検を施行した結果、壊死性半月体形成糸球体腎炎を認めた。胸部エックス線写真(別冊No. 20A)と胸部CT(別冊No. 20B)とを別に示す。
- 最も考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112D040]←[国試_112]→[112D042]
[★]
- 英
- crescentic glomerulonephritis CrGN
- 同
- 半月体性糸球体腎炎
- 関
- 半月体、急速進行性糸球体腎炎、糸球体腎炎
[show details]
概念
- 糸球体腎炎の病理診断名の一つ
- 糸球体の炎症の首座が、血管ではなく(管外性、係蹄外)、尿腔にあり、正常であれば一層であるボーマン嚢上皮が二層以上に増殖することで見られる管外性増殖性糸球体腎炎である。
- 臨床病名として急速進行性糸球体腎炎で見られる。
- 糸球体腎炎を引きおこす免疫機序により3種類に分類されている;抗糸球体基底膜抗体、免疫複合体、抗好中球細胞質抗体
- 糸球体係蹄の障害により、フィブリノイド壊死/変性が生じ、基底膜の融解や破綻を来す。好中球やマクロファージ、およびフィブリンが血管外に移動し、その結果としてボーマン嚢上皮が増殖する。これが病理像として半月体として観察される。
病理
- 半月体:ボーマン嚢の障害を受けた壁側上皮細胞(parietal epithelial cell)の増殖、および単球やマクロファージの浸潤による。ボーマン嚢上皮が増殖することでボーマン腔(尿腔)は圧迫される。急性期には炎症性細胞が目立つが(細胞性半月)、次第に細胞外基質に置き換えられ、線維性半月と呼ばれるようになる。
- 糸球体:基底膜は融解し、係蹄外にフィブリノイド壊死を生じる。増殖したボーマン嚢上皮による半月体により圧排される。
免疫学的所見に基づく分類
- BPT.557
- type III:ANCA関連(Pauci-Immune)
参考
- http://www.juntendo.ac.jp/hospital/clinic/zinzo/img/kyusoku01.jpg
- http://www.mh.nagasaki-u.ac.jp/career/course/image/n_jinzo/jinzou_3.jpg
国試
[show details]
[★]
- 英
- rhinorrhea, nasal flow, nasal discharge
- ラ
- rhinorrhoea
- 同
- 鼻汁 nasal secretion
- 鼻汁が前鼻孔、後鼻孔から出ること。前者はrhinorrhea, 後者はpostnasal dripと表現され、総称してnasal dischargeと呼ばれる
治療
-
- PL配合、ピーエイ(インフルエンザ罹患時には好んで出さない方が良いかも)
- (上気道炎そのものの治療として)麻黄湯(特にインフルエンザに)、葛根湯
原因
- ウイルス:インフルエンザ、麻疹
- 細菌:百日咳
- 真菌
解剖
分泌液の種類
- 漿液性:感染初期やアレルギーが関与する場合に見られる
- 膿性:細菌感染でみられる
[★]
- 英
- small vessel vasculitis SVV
- 関
- 血管炎
小型血管炎
抗好中球細胞質抗体関連血管炎
免疫複合体性小型血管炎
[★]
[★]
多発血管炎性肉芽腫症
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- 英
- eosinophilic granulomatosis with polyangiitis EGPA
定義
- CHCC 2012
- 好酸球に富む壊死性肉芽腫性炎症でしばしば気道、主に小型血管から中型血管を障害し、喘息と好酸球増多症を伴う。ANCAは糸球体腎炎がある時に高頻度である。
[★]
- 英
- angiitis
- 関
- 脈管炎 vasculitis vasculitides、血管内膜炎、血管炎症候群
分類
- CHCC2012
参考
- 血管炎症候群 - 日本内科学会雑誌第103巻第10号
- http://www.j-circ.or.jp/guideline/pdf/JCS2008_ozaki_h.pdf
- 血管炎・血管障害診療ガイドライン 2016 年改訂版 - 日本皮膚科学会
- https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/vasculitisGL.pdf
[★]
- 英
- blood vessel, blood vessels
構造
- 内皮細胞(単層扁平上皮細胞)
- 基底板
- 内皮下結合組織(内皮下層 subendothelial layer):疎性結合組織、縦走平滑筋
- 内弾性板
分類
[★]
- 英
- granuloma
- 関
- 肉芽腫症
分類
- NDE.34
肉芽腫を形成する疾患
- 抗酸菌(結核、、らい菌)
- 真菌(クリプトコッカス、アスペルギルス、ヒストプラズマ、ブラストミセス、コクシジオイデスなど)
- トレポネーマ(梅毒)
- その他の菌(ネコひっかき病など)
- 炎症性疾患(サルコイドーシス、クローン病、血管炎・膠原病、過敏性肺臓炎など)
- 異物(ベリリウム、バリウム、縫合糸)
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- multiple
- 関
- 多発性、複数、多重、マルチプル