- 英
- idiopathic portal hypertension, IPH
- 同
- バンチ症候群 Banti's syndrome Banti syndrome
- 関
- 門脈圧亢進症
まとめ
- 原因不明の肝内末梢門脈枝の閉塞をきたす肝疾患であり、肝内性、前類洞性の門脈圧亢進症を呈する。中年女性に多い。腹腔鏡では肝臓の外観は表面平滑、もしくは波打ち状である。肝静脈造影では肝静脈枝相互間吻合し、しだれ柳状所見がみとめられる。門脈圧は亢進しているが、閉塞感静脈圧は正常化軽度上昇にとどまる。門脈造影あるいはMRAで門脈末梢枝の走行異常・分岐異常が認められ、病理所見では、軽度から中等度の線維化が見られるが、実質はほぼ正常であり、特に肝内門脈末梢枝のつぶれ像が特徴的である。肝機能は正常であり、肝硬変、慢性肝炎の所見は認められない。予後は比較的良好で、10年生存率は70-80%程度である。
(YN.B-59 SSUR.644)
疫学
- 中年女性に多い(男女=1:3で40歳代に最も多い) (YN.B-59)
病理
病態
- 門脈圧の亢進:30cmH2Oを越えない(YN.B-59)
- 閉塞肝静脈圧は正常
検査
- 確定診断のために門脈造影、肝静脈カテーテル法、腹腔鏡、肝生検を行う(YN .B-59) ← 肝硬変などを除外診断するのため?
腹腔鏡
肝静脈造影
閉塞性肝静脈圧
- 肝内性、前類洞性の門脈圧亢進症の所見
- 正常~中等度上昇 (検査の本)
- 正常~軽度上昇 (SSUR.645)
治療
- 脾機能亢進、門脈圧亢進、食道静脈瘤に対する治療を行う。
予後
- 10年生存率:70-80% (SSUR.645)
- 年死亡率約1%(YN.B-60)
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 薬剤師が知っておくべき臓器別画像解析の基礎知識(54)9.肝臓分野(6)肝硬変症(他の門脈圧亢進症を含む)の画像診断
- 肝疾患に発症した胃前庭部毛細血管拡張症に対するアルゴンプラズマ凝固療法と内視鏡的結紮術
- 佐藤 隆啓,山崎 克,赤池 淳
- 日本消化器内視鏡学会雑誌 57(2), 185-192, 2015
- … 療法(APC)を34例中22例に,内視鏡的結紮術(EBL)を12例に施行した.<BR>【結果】34例全例に鉄欠乏性貧血を認めこのうち,21例に黒色便が観察された.基礎疾患は肝硬変26例,肝癌合併肝硬変6例,特発性門脈圧亢進症2例であった.肝予備能はChild A 6例,Child B 21例,Child C 7例であった.内視鏡観察時,胃の蠕動運動亢進は34例全例で認められた.APCを施行した22例では観察期間中,15例(68.2%)に再発が認められた.7 …
- NAID 130004811863
- 症例報告 EOB-MRI肝細胞相で高信号を呈する結節性再生性過形成様の多発結節を認めた特発性門脈圧亢進症の一例
- EOB-MRI肝細胞相で高信号を呈する結節性再生性過形成様の多発結節を認めた特発性門脈圧亢進症の一例
- 川村 梨那子,関 寿人,井口 亮輔,山口 隆志,中橋 佳嗣,池田 耕造,岡崎 和一,中島 収,隈部 力
- 肝臓 55(11), 698-705, 2014
- … 症例は38歳女性.混合性結合組織病(Mixed Connective Tissue Disease:MCTD)の経過観察中に,特発性門脈圧亢進症(Idiopathic portal hypertension:IPH)をきたし,肝内にGadolinium-ethoxybenzyl-diethylenetriamine pentaacetic acid:Gd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)肝細胞相で高信号を呈する結節性再生性過形成(Nodular regenerative hyperplasia:NRH)様の多発結節を認めたので報告する. …
- NAID 130004705850
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- 肝臓や門脈(小腸からの栄養分を多く含む肝臓に流入する血管)に特別な病変が存在しないにもかかわらず、門脈の圧が上昇し、食道静脈瘤が発生したり、脾臓の腫大、貧血等の症状を呈する疾患のことです。
- Q1:特発性門脈圧亢進症とは、どのような病気ですか? Q2:特発性門脈圧亢進症の症状は、どのようなものがありますか? Q3:特発性門脈圧亢進症の発生頻度は、どのくらいですか? Q4:特発性門脈圧亢進症の予後は ...
- 肝線維症などを証明し得ない疾患をいう。通常、肝硬変に至ることはなく、肝細胞癌の発癌母地にはならない。
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★リンクテーブル★
[★]
- 70歳の女性。自宅近くの診療所で初めて受けた血液検査で異常を指摘され来院した。飲酒歴はない。輸血歴はない。常用薬はない。意識は清明。身長158cm、体重74kg.腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。血液所見:赤血球 310万、Hb 10.9g/dl、Ht 31%、白血球 4,200、血小板 9.7万、PT 68%(基準80-120)、血液生化学所見:HbA1c 6.8%(基準4.3-5.8)、アルブミン 3.3g/dl、IgG 2,614mg/dl(基準739-1,649)、IgM 82mg/dl(基準46-260)、総コレステロール 122mg/dl、トリグリセリド 140mg/dl、AST 84IU/l、ALT 98IU/l、γ-GTP 62IU/l(基準8-50)。免疫学所見: HBs抗原、HBs抗体陰性、HBc抗体陰性、HCV抗体陰性、抗核抗体陰性、抗ミトコンドリア抗体陰性。腹部超音波検査で肝表面の凹凸不整、肝腎コントラストの明瞭化および軽度の脾腫を認める。
- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105I045]←[国試_105]→[105I047]
[★]
- 23歳の男性。健康診断で食道の異常を指摘され、精査を希望して来院した。自覚症状はない。身体所見では軽度の脾腫を認める以外に特記すべき異常はない。食道内視鏡写真と経動脈性門脈造影写真とを以下に示す。考えられる疾患はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [095G021]←[国試_095]→[095G023]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [114A006]←[国試_114]→[114A008]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
[★]
[★]
[★]
- 英
- portal hypertension
- 同
- 門脈高圧症
- 関
- 門脈圧、門脈、閉塞肝静脈圧
- 正常範囲:100-150mmH2O。200mmH2O以上は異常 (YN.B-58) → 7.4-11mmHg (cf. 静脈圧 2-8 mmHg (PHD.61))
分類
部位による
- 参考1.
- 肝前性:肝前性門脈圧亢進症:門脈圧(PVP)>閉塞肝静脈圧(WHVP)
- 門脈血流↑:動脈・門脈シャント、腹部臓器血流増加、腹腔臓器肉腫
- 門脈閉塞:肝外門脈閉塞症、門脈血栓、脾静脈血栓、門脈圧排
- 肝内性:肝内性門脈圧亢進症:類洞前性は肝前性、類洞後性は肝後性と同じ:
門脈圧亢進症をきたす疾患
- 参考1 SSUR.644改変
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肝前性
|
肝内性
|
肝後性
|
肝外門脈閉塞症
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特発性門脈圧亢進症
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肝硬変
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Budd-Chiari症候群
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extrahepatic portal obstruction
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idiopathic portal hypertension
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liver cirrhosis
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門脈圧亢進症に占める割合
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2-5%
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90%以上
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閉塞肝静脈圧 vs 門脈圧
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小
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小
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大
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大
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閉塞部位
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肝外門脈
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肝内門脈 類洞前
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肝内肝静脈 類洞後
|
肝外肝静脈
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疫学
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(一次性)小児期に発症
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中年女性に多い
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病因
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(一次性)原因不明(新生児臍帯炎) (二次性)腫瘍病変
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原因不明
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|
(一次性)原因不明 (二次性)血栓説
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症状
|
肝機能はほぼ正常 食道胃静脈瘤、脾腫、汎血球減少
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肝機能は良好な事が多い 巨脾、食道胃静脈瘤、汎血球減少、脾機能亢進
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進行例で肝機能低下 腹水、下腿浮腫、下肢静脈瘤、難治性下腿 胸腹壁の上行性皮下静脈怒張 食道胃静脈瘤、脾腫、汎血球減少
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肝臓の外観
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表面平滑or波打ち状
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再生結節により表面に凹凸を認める
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|
血管検査
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(肝静脈造影)肝静脈枝相互吻合、しだれ柳状
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|
(下大静脈造影)膜様閉塞 or 完全閉塞
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病理
|
海綿状血管増生
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肝内門脈末梢枝のつぶれ像
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肝小葉構造の改築
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肝静脈周囲のうっ血と壊死。進行すれば肝硬変
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予後
|
(一次性)10年生存率90%
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10年生存率70-80% 肝硬変より良好
|
|
(一次性)10年生存率40%
|
症状
- 食道静脈瘤:肝硬変の60-80%に合併。
- 胃静脈瘤:肝硬変の8-60%に合併。
- 異所性静脈瘤
- 十二指腸静脈瘤、消長静脈瘤、結腸静脈瘤、直腸静脈瘤、人工肛門静脈瘤、胆管静脈瘤
参考
- http://shutoku.fc2web.com/special_subjects/study_room/benkyoukai/liver2.doc
- http://jsge.or.jp/cgi-bin/yohgo/index.cgi?type=50on&pk=D79
[★]
- 英
- wedged hepatic venous pressure WHVP, hepatic venous wedge pressure
- 同
- 閉塞性肝静脈圧
- 関
- 特発性門脈圧亢進症、門脈圧亢進症
[show details]
概念
- 肝静脈が下大静脈に流入する部位で閉塞させたときに測定される圧。
- カテーテルを下大静脈から肝静脈に嵌入させて末端圧を測定する。
- 類洞における血流が完全に停止するのに必要な圧にほぼ比例する。(参考3)
- 肝静脈末端圧。
- 正常では門脈圧 PVP ≒ 類洞内圧 ≒ 閉塞肝静脈圧 WHVP
病態との関連
正常値
参考
- http://blog.livedoor.jp/idiacorp/archives/1605441.html
- http://suuchan.net/note/Chapter-040803.html
- http://blog.livedoor.jp/idiacorp/archives/1605441.html
[★]
- 英
- splenectomy
- 同
- 摘脾、脾摘、脾臓摘出、脾摘出、(国試)脾摘術、脾臓摘出術
適応
注意
- 血小板増加による血栓症 → 脾摘後血栓症
- 免疫能低下
- 易感染性
- 莢膜を持つ菌に感染しやすくなる→脾網内系はIgMを産生する場らしい?
- 脾摘後重症感染症症候群 脾摘後敗血症
[★]
[★]
- 英
- pulse pressure, PP
- 関
- 血圧、脈圧低下 脈圧狭小
- 収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最小血圧)の差。
脈圧の上昇
- 血管壁の硬直によるウインドケッセル効果?の消失による
脈圧の低下
- 拡張期の短縮 → 心室に血液が充分充満しないうちに駆出されるため
[★]
- 英
- portal vein PV
- ラ
- vena portae hepatis, vena portae
門脈の側副路
-門脈&側副路
KH. 154
-門脈系の側副循環路
KH. 249
-門脈の側副路(門脈大静脈吻合)
N.302
- 食道 :left gastric vein - esophageal venous plexus - azygos vein, hemiazygos vein
- 臍傍 :paraumbilical vein - superior epigastric vein, inferior epigastric vein
- 直腸 :superior rectal vein - middle rectal vein, inferior rectal vein
- 腹膜後:colic vein, splenic vein - renal vein, veins of the posterior body wall
Henry Gray (1825-1861). Anatomy of the Human Body. 1918.
臨床関連
[★]
- 英
- portal vein pressure PVP, portal pressure
- 正常範囲:100-150mmH2O。200mmH2O以上は異常 (YN.B-58) → 7.4-11mmHg
- 20cmH2Oを超えると食道静脈瘤、胃静脈瘤が形成されやすくなる
臨床関連
[★]
- 英
- facilitation、enhancement、facilitate、enhance
- 関
- 強化、促進、促通、増強、強める
[★]
- 英
- idiopathy、idiopathic、cryptogenic、agnogenic, essential
- 同
- 本態性
- 関
- 原因不明