出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/10 17:16:17」(JST)
骨髄炎(こつずいえん)は、骨髄の炎症。細菌感染によるものがほとんど。原因菌としてはブドウ球菌、緑膿菌、表皮ブドウ球菌、変形菌、MRSAなどがある。化膿性骨髄炎ともいわれる。急性と慢性に分かれる。
骨の組織に、細菌などの微生物が感染して化膿するもので、難治性の疾患である。
骨の外傷(開放性骨折、複雑骨折、粉砕骨折、外科手術、骨髄穿刺、銃による外傷等)などによって、細菌が骨髄に入って増殖して炎症を起こす場合や、血流に乗って細菌が骨髄に達して増殖(血行性感染)して骨髄炎となる場合がある。
そのほか、局所の血行障害(糖尿病、褥瘡)によって生じる皮膚の潰瘍では、バリアーである皮膚が破壊されて骨への感染が起こる場合もある。
血液検査とX線検査が基本となる。 血液検査では、白血球数の増加、赤血球沈降速度の亢進、C反応性蛋白(CRP)の陽性など、炎症性の変化を指標にすることが多い。 さらに、骨代謝をアルカリフォスファターゼなどの骨代謝マーカーで検討する場合もある。 急性化膿性骨髄炎の初期段階では、X線像では変化が現れにくく、その場合はMRIや骨シンチグラフィによる画像検査が有効である。 慢性化膿性骨髄炎では、X線検査、MRI、骨シンチグラフィ、瘻孔造影(うみが出ている孔から造影剤を注入)などで病変部の範囲を確認する。 また、問題のある箇所の骨やうみを採取し、創培養や血液培養を行い、原因となる菌を特定する。
新生児期や学童期に多くみられるが、外傷性の場合、成人にもみられる。多くは大腿骨や脛骨に起こる。かつては死亡する病気であったが、抗生物質の発達により今ではほとんど死亡することはなくなった。しかし近年、MRSAなどが感染し発病する場合もあり、治療の対応によっては、重篤な状態に陥ったり、慢性化して再発をくり返すこともある。成長に伴い下肢の変形や短縮などの問題がおこる場合もある。悪寒、高熱、局所の疼痛が主な症状である。亜急性とよばれるゆっくりとした症状もある。患部は腫れ、乳幼児では手足を動かそうとすることができなくなる。初期段階では、X線検査をしても変化が現われず、MRIや骨シンチグラフィーによる画像検査が有効とされる。一刻も早く治療開始することが重要である。
急性のものが慢性化するものと、最初から慢性型で発病し、骨腫瘍と疑われるようなものがある。慢性型は再発をくり返し、生涯続く場合もある。
一般的には、安静にし、抗生物質を4~8週間、静脈注射をする。抗生物質は原因菌に対する薬剤感受性検査を行い、感受性のある薬剤を使用する。 しかし、薬剤への耐性を獲得した耐性菌(MRSA等)が出現する場合もある。その場合は抗生物質の系統を変更し、投与を続ける。 こうした繰り返しの結果、殆どの抗生物質が効かない事態も出てくる。その場合、好中球の減少等、免疫力が低下し重篤になる場合も稀に起こりうる。 慢性化の場合、高圧酸素治療を行うこともある。
外科的治療は、感染部の異物や壊死した皮膚・腐骨組織を掻破、除去する。(デブリドマン) この時、縫合せず創を開放状態にし、患部に対し持続灌流(じぞくかんりゅう)を行うこともある。 持続灌流とは、生理食塩水を患部に流して洗浄するとともに、壊死に陥った組織を排出する目的で行うものである。 時間の経過とともに、欠損部の肉芽が自然に盛り上がってくるが、感染兆候が収まらない場合、再度、掻破、除去する。
骨欠損部が広範囲に渡るような場合には、骨を他の部位(腸骨等)から移植したり、変形や短縮が起こった場合にはイリザロフ創外固定術等により骨延長を行うこともある。 このような場合は治療期間が数年単位になる事も珍しくは無い。
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国試過去問 | 「112E041」 |
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拡張検索 | 「ガレー硬化性骨髄炎」「慢性化膿性骨髄炎」「ブドウ球菌骨髄炎」 |
関連記事 | 「骨髄」「炎」 |
C
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診断 | 診断診断例 n=192 |
早期診断例 n=67 |
中期診断例 n=38 |
後期診断例 n=87 | ||
感染症 | 57(29.7) | 25(37.3) | 12(31.6) | 20(23.0) | ||
細菌性 | 43 | 1.8 | 8 | 17 | ||
心内膜炎 | 11 | 9 | 1 | 1 | ||
結核 | 8 | 0 | 0 | 8 | ||
尿跨感染症(1) | 6 | 3 | 1 | 2 | ||
腹腔内膿瘍 | 5 | 2 | 2 | 1 | ||
骨・関節感染 | 4 | 2 | 1 | 1 | ||
その他の細菌感染 | 9 | 2 | 3 | 4 | ||
ウイルス性 | 10 | 5 | 3 | 2 | ||
CMV | 6 | 2 | 3 | 1 | ||
EpsteinーBarrウイルス | 3 | 3 | 0 | 0 | ||
HIV | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
寄生虫性(2) | 4 | 2 | 1 | 1 | ||
悪性新生物 | 29(15.1) | 5(7.5) | 6(15.8) | 18(20.7) | ||
血液疾患 | 22 | 2 | 6 | 14 | ||
非Hodgkinリンパ腫 | 9 | 0 | 2 | 7 | ||
Hodgkin病 | 5 | 1 | 1 | 3 | ||
白血病 | 6 | 0 | 3 | 3 | ||
血管免疫芽球性リンパ酔症 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
固形癌 | 7 | 3 | 0 | 4 | ||
腺癌 | 5 | 2 | 0 | 3 | ||
その他(3) | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
非感染性炎症性疾患 | 68(35.4) | 22(32.8) | .6) | 34(39.1) | ||
結合織疾患 | 35 | 15 | 6 | 14 | ||
成人Still病 | 18 | 5 | 4 | 9 | ||
SLE | 8 | 5 | 1 | 2 | ||
リウマチ性多発性筋痛症 | 3 | 3 | 0 | 0 | ||
関節リウマチ | 2 | 0 | 0 | 2 | ||
Sjogren症候群 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
その他(4) | 2 | 1 | 1 | 0 | ||
血管炎症候群 | 19 | 5 | 3 | 11 | ||
巨細胞性動脈炎 | 11 | 4 | 3 | 4 | ||
Wegener肉芽腫症 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
結節性多発性動脈炎 | 2 | 0 | 0 | 2 | ||
その他(5) | 4 | 0 | 0 | 4 | ||
肉芽腫性疾患 | 14 | 2 | 3 | 9 | ||
サルコイドーシス | 10 | 0 | 2 | 8 | ||
Crohn病 | 4 | 2 | 1 | 1 | ||
その他 | 39(18.1) | 15(22.4) | 8(21.1) | 15(17.2) | ||
亜急性甲状腺炎 | 6 | 3 | 1 | 2 | ||
Addison病 | 2 | 0 | 1 | 1 | ||
心筋梗塞後症候群 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
肺動脈塞栓症 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
習慣性高体温症 | 11 | 6 | 3 | 2 | ||
薬剤熱 | 4 | 3 | 0 | 1 | ||
詐熱 | 1 | 1 | 0 | 0 | ||
その他(6) | 10 | 0 | 3 | 7 |
年齢 | 原因 |
乳児(生後3ヶ月未満) | 敗血症、細菌性髄膜炎、尿路感染症、肺炎、B群溶連菌感染、グラム陰性桿菌 |
乳児(生後3ヶ月以降) | ウィルス感染(突発性発疹などの発疹性疾患)、中耳炎、尿路感染症、消化器・呼吸器疾患、川崎病 |
幼児、学童期 | 溶連菌感染症、伝染性単核球症、膠原病、factitious fever(詐病)、学校での感染症の流行 |
see also step beyond resident 2 救急で必ず出会う疾患編 p.20
実熱 | 虚熱 | |
発病 | 急速に発病 | 緩徐に発病 |
症状 | 悪寒、高熱 顔面紅潮 苦痛あり、四肢運動多 声大きく明瞭 口渇強い 便秘 色調濃い尿 |
軽度悪寒、熱覚 顔面蒼白 苦痛少なく、静かに臥床 声小さい 口渇少ない 軟便、下痢 薄い色調の尿 |
脈 | 早く大きく、緊張 | 小さく早く、緊張なし |
舌苔 | 厚くて乾燥、白~黄~褐色 | 薄くて白い、無苔、鏡面舌 |
その他 | 頭痛、関節痛、無汗~発汗 | 倦怠感、眩暈感、盗汗 |
実熱 | 麻黄湯 | 悪寒、発熱、頭痛、関節痛 |
葛根湯 | 悪寒、発熱、頭痛、肩背部のこり | |
小柴胡湯 | 午後からの発熱、食欲不振、口の苦み | |
柴胡桂枝湯 | 詳細孤島の症状、関節痛、腹痛 | |
大柴胡湯 | 胆嚢炎、便秘 | |
柴陥湯 | 詳細孤島の症状、咳嗽、胸痛 | |
黄芩湯 | 発熱、腹痛、下痢 | |
虚熱 | 桂枝湯 | 発熱、軽度の頭痛、発汗 |
桂麻各半湯 | 発熱、発疹 | |
参蘇飲 | 発熱、食欲不振、咳嗽、あつがる | |
柴胡桂枝乾姜湯 | 微熱、上半身の自汗、盗汗、食欲不振、背部の冷汗 | |
竹じょ温胆湯 | 発熱、咳嗽、不眠 | |
補中益気湯 | 微熱、倦怠感、食欲不振、盗汗 | |
滋陰降火湯 | 微熱、下半身の脱力感、盗汗、咳嗽 | |
滋陰至宝湯 | 微熱、倦怠感、食欲不振、精神不安定状態 | |
真武湯 | 陰病、微熱、食欲不振、倦怠感、いつも寝ている | |
麻黄細辛附子湯 | 陰病、微熱、寒がる |
Mechanism of action | Drugs | |
1 | Block cell wall synthesis by inhibition of peptidoglycan cross-linking | penicillin, ampicillin, ticarcillin, piperacillin, imipenem, aztreonam, cephalosporins |
2 | Block peptidoglycan synthesis | bacitracin, vancomycin, cycloserine |
3 | Disrupt bacterial/fungal cell membranes | polymyxins |
4 | Disrupt fungal cell membranes | amphotericin B, nystatin, fluconazole/azoles |
5 | Block nucleotide synthesis | sulfonamides, trimethoprim |
6 | Block DNA topoisomerases | quinolones |
7 | Block mRNA synthesis | rifampin |
8 | Block protein synthesis at 50S ribosomal subunit | chloramphenicol, erythromycin/macrolides, lincomycin, clindamycin, streptogramins (quinupristin, dalfopristin), linezolid |
9 | Block protein synthesis at 30S ribosomal subunit | aminoglycosides, tetracyclines, spectinomycin ATuSi → あつし |
感染臓器・臨床診断 | 原因菌 | 投与期間(抗菌薬) |
髄膜炎 | インフルエンザ菌 | 7-10日 |
肺炎球菌 | 10-14日 | |
髄膜炎菌 | 7-10日 | |
GBS,腸内細菌,リステリア | 21日 | |
中耳炎 | <2 歳 | 10日 |
2 歳≦ | 5-7日 | |
咽頭炎 | A 群連鎖球菌 | 10日(ペニシリン系薬) |
5日(セフェム系薬) | ||
肺炎 | 肺炎球菌,インフルエンザ菌 | 解熱後3-4日 |
黄色ブドウ球菌 | 3-4週間 | |
マイコプラズマ,クラミジア | 10-21日 | |
腎臓、膀胱炎、腎盂腎炎 | 大腸菌,プロテウス,腸球菌 | 3日 |
14日 | ||
骨髄炎 | 黄色ブドウ球菌 | 21日 |
連鎖球菌,インフルエンザ菌 | 14日 |
骨 | 骨髄炎 | 4-6週 | |
耳鼻咽喉 | 中耳炎 | 5-7日 | |
副鼻腔炎 | 5-14日 | ||
A群溶連菌咽頭炎 | 10日 | ||
肺 | 肺炎 | 肺炎球菌 | 7-10日 or 解熱後3日間 |
インフルエンザ菌 | 10-14日 | ||
マイコプラズマ | 14日(7-10日) | ||
レジオネラ | 21日 | ||
肺化膿症 | 28-42日 | ||
心臓 | 感染性心内膜炎 | α連鎖球菌 | 2-4週 |
黄色ブドウ球菌 | 4-6週 | ||
消化管 | 腸炎 | 赤痢菌 | 3日 |
チフス | 14日(5-7日) | ||
パラチフス | |||
腹膜炎 | 特発性 | 5日 | |
二次性 | 10-14日 | ||
胆肝膵 | 肝膿瘍 | 細菌性 | 4-8週 |
アメーバ性 | 10日 | ||
尿路 | 膀胱炎 | 3日 | |
急性腎盂腎炎 | 14日(7-10日) | ||
急性腎盂腎炎・再発 | 6週 | ||
慢性前立腺炎 | 1-3ヶ月 | ||
髄腔 | 髄膜炎 | インフルエンザ菌 | 7-10日 |
髄膜炎菌 | |||
肺炎球菌 | 10-14日 | ||
リステリア | 21日 | ||
敗血症 | 敗血症 | コアグラーゼ陰性ブドウ球菌 | 5-7日 |
黄色ブドウ球菌 | 28日(14日) | ||
グラム陰性桿菌 | 14日(7-14日) | ||
カンジダ | 血液培養陰性化後, 14日 |
【現病歴】 誘因、発生様式(突発、緩徐)、経時的変化(一定、動揺、増悪/寛解傾向)、部位(一番痛い部位、放散する部位)、軽快因子、増悪因子、(反復するエピソードあれば)前回との比較、随伴症状 【既往歴】基礎疾患(DM, HT, DL) 【嗜好】smoking, alcohl 【服用薬】 【職業】 【身体所見】 Appearance: Face anguish, Diaphoresis, Cyanosis Vital: Consciousness: BT , BP / , HR (L Arm/R Arm, Lower Extrimity), RR , SpO2 Lymphnode: swollen/no swollen, breath sound →/↑/↓ Chest Heart:Is →/↑/↓, IIs →/↑/↓, IIIs(±)/IVs(±), murmur, friction rub ± Lung: crackle/rale Abdomen: soft/hard, tenderness Extremity: cold/pulse/edema Skin: dry/wet/hot/cold 【検査】 ECG: ST segment change Blood test: biochemistry: CK-MB, Troponine T, AST, LDH, H-FABP Blood count: WBC Arterial blood gas: PaO2 torr A-aDO2 = 150 - PaCO2/ 0.8 (torr) - PaO2 (normal below 20 Torr) Chest XP: Heart echography:
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