- 英
- focal glomerulosclerosis, FGS
- 関
- 巣状分節性糸球体硬化症、巣状分節状糸球体硬化症
概念
- 糸球体病変に対する病理診断名
- (1)IgM・C3が糸球体ループに沈着、(2)巣状、分節状の硬化性病変を形成。 → と言う意味で学術的には「巣状分節性糸球体硬化症」だが国試的には「巣状糸球体硬化症」・・・
- 治療に抵抗性のネフローゼ症候群を来す疾患。
病因
- 何らかの液性因子により糸球体基底膜の透過性が増加することが原因
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巣状糸球体硬化症 |
分類及び外部参照情報 |
ICD-10 |
N00-N08 (.1が最後に付く) |
ICD-9 |
581.1 |
OMIM |
603278 603965 607832 |
MedlinePlus |
000478 |
eMedicine |
med/2944 |
MeSH |
D005923 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 |
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巣状糸球体硬化症(そうじょうしきゅうたいこうかしょう、英: Focal glomerulosclerosis; FGS)とは、ネフローゼ症候群を生じる腎疾患の一つ。巣状分節性糸球体硬化症(Focal segmental glomerulosclerosis)とも呼ぶ。
原因
家族性、薬剤性、ウイルス感染など多種多様な原因が認められる。
糸球体上皮細胞障害の結果として引き起こされる糸球体病変である。
症状
多くはネフローゼ症候群を示すため、浮腫や高血圧を伴いやすい。
検査
- 尿検査
- 蛋白尿は必発。多種類の蛋白質が漏れ出てくる。多種類の蛋白質が漏れ出てくる事を尿蛋白の低選択性と言う。また、目では見えないほどの少量の赤血球が混じる。目では見えないほどの少量の赤血球が混じる事を顕微鏡的血尿と言う。
- 血液検査
- ネフローゼ症候群を呈すれば、低蛋白血症、低アルブミン血症がみられる。高脂血症やフィブリノゲン高値を認めることもある。
- 腎臓針生体検査(腎生検)
- まったく正常に見える糸球体と病変のある糸球体が混在する(巣状病変)。
- 病変のある糸球体では、病変は糸球体の一部に限局する(分節性病変)。
- 病変のある糸球体全体が硬化性病変に埋め尽くされていることもある(硝子化)。
- 正常な糸球体だけが生検で採取されるとMCNSとの鑑別が困難。
- 免疫染色では、有意な免疫複合体や抗体の沈着を認めない。
治療
ステロイド治療に抵抗性の場合は、ステロイドパルス療法や免疫抑制剤投与を行う。手術療法として腎臓移植を行うこともある。
近年、FGSの病理学的分類がなされ、組織型によって治療反応性に差があることが判明している。なお、FGSは移植腎での再発例が多いことでも知られ、何らかの液性因子の関与が考えられている。
予後
治療抵抗性の場合は、慢性腎不全となる場合が多い。
治療反応例では、蛋白尿は完全寛解または不完全寛解に至る。
寛解後に再発して治療抵抗性となった例では、腎予後は不良で進行性に末期腎不全に至る事が多い。
小児発症例のほうが、成人発症例よりも寛解率が高い、と言われている。
稀ではあるが、無治療での自然寛解例も報告されている。
腎・泌尿器系の疾患 |
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疾患 |
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糸球体病変
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急性糸球体腎炎 | IgA腎症 | 急速進行性糸球体腎炎 | 慢性糸球体腎炎
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ネフローゼ症候群
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原発性
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微小変化群 | 巣状糸球体硬化症 | 膜性腎症 | 膜性増殖性糸球体腎炎
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遺伝性腎炎
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アルポート症候群 | 良性家族性血尿
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尿細管機能障害
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ファンコニ症候群 | バーター症候群 | ギッテルマン症候群 | リドル症候群 | 尿細管性アシドーシス | 腎性糖尿 | 尿細管間質性腎炎
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続発性腎障害
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膠原病
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全身性エリテマトーデス | 全身性強皮症 | シェーグレン症候群
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糖尿病性腎症 | 痛風腎 | クリオグロブリン血症 | アミロイドーシス | 溶血性尿毒症症候群
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腎循環障害
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腎血管性高血圧症 | 腎梗塞 | クルミ割り現象
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泌尿器疾患
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機能障害
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膀胱尿管逆流 | 神経因性膀胱 | 水腎症 |
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先天異常
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多発性嚢胞腎(常染色体優性多発性嚢胞腎 | 常染色体劣性多発性嚢胞腎) | 尿管異所開口 | 重複腎盂尿管 |ポッター症候群
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感染症
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腎盂腎炎 | 腎膿瘍 | 膀胱炎 | 腎結核
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尿路結石
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膀胱結石
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腫瘍
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腎細胞癌 | 腎盂腫瘍 | 尿管腫瘍 | 前立腺肥大症 | 前立腺癌 | 精巣腫瘍 | 陰茎癌 |腎芽腫
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性器の疾患
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前立腺炎 | 停留精巣 | 精巣捻転 | 包茎 | 勃起不全
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病態・症状 |
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腎不全
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急性腎不全
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急性尿細管壊死
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慢性腎臓病
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慢性腎不全 | 尿毒症
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尿所見異常
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乏尿 | 無尿 |多尿 |頻尿 |血尿 | タンパク尿 | 尿円柱
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尿閉 |陰嚢腫大
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検査 |
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腎機能検査
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糸球体濾過量 | クレアチニンクリアランス | ナトリウムクリアランス | 尿中ナトリウム排泄率 | 腎不全指数
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腹部X線写真 | 腎盂造影 | レノグラム | 腎生検
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腎・泌尿器系の正常構造・生理 |
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腎臓 |
肉眼解剖
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尿細管
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近位尿細管 - ヘンレのループ(下行脚 - 細い上行脚 - 太い上行脚) - 遠位尿細管 - 集合管 - 腎盤 ( - 尿管)
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腎循環
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腎動脈 - 傍尿細管毛細血管 - 輸入細動脈 - (糸球体) - 輸出細動脈 - 直細動脈 - 腎静脈
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ゲロタ筋膜
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顕微解剖
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ネフロン
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腎小体
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糸球体
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毛細血管 | 糸球体内メサンギウム細胞 | ボーマン嚢
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傍糸球体装置
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緻密斑 | 傍糸球体細胞 | 糸球体外メサンギウム細胞
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尿細管
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生理学
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アシドーシスとアルカローシス | 膠質浸透圧 | 糸球体濾過量 | 腎血漿流量 | クレアチニンクリアランス
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生化学
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バソプレッシン | アルドステロン | 心房性ナトリウム利尿ペプチド | エリスロポエチン | レニン-アンジオテンシン系
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尿路 |
肉眼解剖
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尿管 - 膀胱 - 尿道
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顕微解剖
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移行上皮
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生殖器系 |
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女性器 |
尿道 - 陰核 - 陰裂 - 陰核亀頭 - 陰核亀頭冠 - 陰核包皮 - 陰核小帯 - Gスポット - 処女膜 - 陰唇 - 大陰唇 - 小陰唇 - 膣 - バルトリン腺 - スキーン腺 - 子宮頸部 - 子宮 - 子宮内膜 - 卵管 - 卵巣
|
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男性器 |
尿道 - 陰茎 - 陰茎亀頭 - 陰茎亀頭冠 - 海綿体 - 陰茎ワナ靭帯 - 陰茎包皮 - 陰茎小帯 - 陰嚢 - 精索 - 精巣上体 - 精細管 - セルトリ細胞 - 精巣輸入管 - 輸精管 - 精嚢 - 射精管 - 前立腺 - 尿道球腺 - 精巣網 - 精巣
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- ENUミュータジェネシス由来のKyoto rhinoラットは先天性脱毛と巣状糸球体硬化症を示す
- KURAMOTO Takashi,KUWAMURA Mitsuru,TAGAMI Fumi,MASHIMO Tomoji,NOSE Masato,SERIKAWA Tadao
- Experimental Animals 60(1), 57-63, 2011
- N-ethyl-N-nitrosourea (ENU) mutagenesis is an important tool for studying gene function and establishing human disease models. Here, we report the characterization of a novel hairless mutant rat strai …
- NAID 130000419266
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- 【概念】 巣状、分節状に傍髄質糸球体から硬化が生じ、次第に進行してゆく腎炎で、ネフローゼ症候群を呈することが多い。巣状とは全糸球体のうち80%以下で病変が認められることで、分節状とはひとつの糸球体の中で、部分的な病変 ...
- ネフローゼ症候群(特に巣状糸球体硬化症-FGS-)の方との情報交換を目的としたサイトです。アンケート有り。腎臓病・腎炎。 ... contents Na・食塩表 ネフローゼとは? 薬と副作用 Note 掲示板 FGS掲示板 FREE掲示板 注意事項 アンケート
- 旭化成メディカルが携わる疾患 - 巣状糸球体硬化症について > 患者さま・ご家族の皆さま > 私たちが携わる疾患 > 巣状糸球体硬化症 (FGS) (focal glomerular sclerosis)/ (FSGS) (focal segmental glomerular sclerosis) 血液と治療の話 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 44歳の女性。ふらふらする感じと両下腿の浮腫とを訴えて来院した。2年前から慢性的な食欲不振と嘔気とが出現し、3か月で体重が5㎏減少した。複数の医療機関を受診し、貧血と自律神経障害とを指摘されていた。6か月前に、両下腿の温度や痛みに対する感覚が鈍いことと浮腫とに気付いたが、様子をみていた。最近、浮腫がやや増強し、いつもふらふらする感じがある。意識は清明。身長162cm、体重43㎏。脈拍80/分、整。血圧:臥位110/74mmHg、坐位102/60mmHg、立位76/40mmHg。眼瞼結膜はやや蒼白だが、眼球結膜に黄染は認めない。胸部聴診所見に異常を認めない。肝臓を右肋骨弓下に2cm触知する。両下腿に軽度の浮腫はあるが、皮膚病変は認めない。両下肢で温痛覚と触覚とに低下を認める。尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血(-)、尿蛋白4g/日、沈渣に異常はない。血液所見:赤血球333万、Hb9.7g/dl、Ht29%、白血球3,800。血清生化学所見:HbA1c4.9%(基準4.3~5.8)、総蛋白5.0g/dl、アルブミン2.5g/dl、尿素窒素8mg/dl、クレアチニン0.6mg/dl、Na142mEq/l、K3.8mEq/l、Cl107mEq/l。免疫学所見:CRP陰性、CH50 35単位(基準30~40)。胸部エックス線写真でCTR45%、肺うっ血はなく、心電図で低電位を認める。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [098A036]←[国試_098]→[098A038]
[★]
- 50歳の女性。足の甲のむくみを主訴に来院した。 7年前に関節リウマチと診断され、以後メトトレキサートによる治療を継続している。 6か月前から腹痛と下痢とを認めるようになり、その頻度が増加してきた。 2週前に出現した足背の浮腫が改善しないため受診した。身長154cm、体重58kg(6か月前と比べて4kgの体重増加)。体温36.2℃。脈拍72/分、整。血圧128/68mmHg。呼吸数14/分。足背に圧痕を伴う浮腫を認める。両側肩関節、両側手関節、右第2-4中手指節間関節および両側膝関節に疼痛と腫脹とを認める。 尿所見:蛋白3+、糖(-)、ケトン体(-)、潜血1 +、沈渣に円柱を認めない。血液所見:赤血球328万、 Hb9.8g/dl、Ht27%、白血球11,800、血小板48万。血液生化学所見:総蛋白4.8g/dl、アルブミン2.0g/dl、尿素窒素28mg/dl、クレアチニン1.2mg/dl、総コレステロール328mg/dl、トリグリセリド182mg/dl。 CRP16mg/dl。直腸生検でコンゴーレッド染色陽性の沈着物を認めた。
- 腎病変として最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [106A037]←[国試_106]→[106A039]
[★]
- 7歳の男児。前夜からの激しい腹痛、関節痛および下腿の皮疹を訴えて来院し、入院した。入院時タール便を認めた。尿所見:蛋白1+、沈渣に赤血球多数/1視野。血液所見:赤血球430万、白血球9,600、血小板25万。出血時間、凝固時間およびプロトロンビン時間は正常,第7病日、顔面と下腿とに浮腫が出現した。血圧134/82mmHg。尿所見:蛋白3+、沈渣に赤血球無数/1視野、赤血球円柱(+)。血清生化学所見:総蛋白4.2g/dl、アルブミン2.6g/dl、尿素窒素17mg/dl、クレアチニン0.9mg/dl、総コレステロール350mg/dl。免疫学所見:ASO250単位(基準250以下)、抗核抗体陰性、血清抗体価正常。下腿の写真を以下に示す。考えられるのはどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096A036]←[国試_096]→[096A038]
[★]
- 16歳の男子。眼瞼の浮腫と全身倦怠感とを主訴に来院した。
- これまで健康診断で異常を指摘されたことはない。2週前に上気道炎に罹患し、4日前から急に眼瞼の浮腫と全身倦怠感とが出現した。血圧148/92mmHg。眼瞼と下腿とに浮腫を認めるほかに身体所見に異常はない。尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野、赤血球円柱20~30/1視野を認める。
- 血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、クレアチニン1.5mg/dl。免疫学所見:ASO 640単位(基準250以下)、抗核抗体陰性、C3 12mg/dl(基準55~112)、C4 5mg/dl(基準16~51)。腎生検組織のH-E染色標本と蛍光抗体法抗C3染色標本とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D035]←[国試_096]→[096D037]
[★]
- 65歳の男性。感冒症状のため近医を受診したところ、蛋白尿を指摘され精査のため来院した。尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血2+、沈渣に赤血球10~20/1視野、白血球3~5/1視野。血液所見:赤血球400万、Hb13.0g/dl、Ht39%。血清生化学所見:空腹時血糖90mg/dl、総蛋白6.4g/dl、アルブミン4.0g/dl、尿素窒素32mg/dl、クレアチニン4.0mg/dl、尿酸8.0mg/dl、総コレステロール200mg/dl。腹部超音波検査で腎臓の萎縮を認めない。腎生検の光顕PAS染色標本を以下に示す。最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [099A034]←[国試_099]→[099A036]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B040]←[国試_100]→[100B042]
[★]
- a. (1)(2)(3)
- b. (1)(2)(5)
- c. (1)(4)(5)
- d. (2)(3)(4)
- e. (3)(4)(5)
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105D012]←[国試_105]→[105D014]
[★]
- 抗好中球細胞質抗体(ANCA)が陽性となるのはどれか。
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [095B041]←[国試_095]→[095B043]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [096H038]←[国試_096]→[096H040]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101F043]←[国試_101]→[101F045]
[★]
[★]
[★]
- 英
- urinary sediment
- 関
- 尿沈渣検査 urinary sediment examination、尿沈液
概念
- 尿中に含まれる各種の細胞、円柱、結晶、微生物などの有形成分。
- 尿沈渣の検査は腎・尿路系疾患の診断、進行度、予後の推定を目的に行う。
検体
- 検体は早朝起床時尿(早朝第一尿)の中間尿約10mL。早朝第一尿では円柱がみられやすい
- 検体は採尿後1時間以内になるべく早く観察 → 室温2時間以上放置すると細菌が増殖し、アルカリ化が進む。尿路感染が分からなくなるうえ、円柱や細胞が崩壊して観察できない。
- 古い尿やアルカリ性尿では血球、円柱、上皮細胞の崩壊が強く正しい判定ができないことがある。
- 女性の場合、月経時における血液の混入、腟分泌物の混入(中間尿を採るようにしてもらう)
方法
- 1. 新鮮尿10mLを尿沈渣用試験管にとり500Gで5分間遠心する
- 2. 上清を捨て残液約0.2mLとする
- 3. そのまま、あるいは尿沈渣用染色液を加えて混和する
- 4. 1滴(15μl)をスライドガラスに載せカバーガラスをかけ鏡検する
観察方法
- LPF(low power field 、弱拡大、100倍):3.14 mm2、7.27ul
- HPF(high power field、強拡大、400倍):0.196 mm2、0.45ul
病的所見
- 赤血球と白血球はそれぞれ5/HPF以上、硝子円柱は1/HPF以上、上皮細胞性円柱、顆粒円柱、蝋様円柱、脂肪円柱、赤血球円柱、白血球円柱の各種円柱類、異常結晶(ビリルビン、チロジン、ロイシン、コレステロール、シスチン、2,8-ジヒドロキシアデニンなど)、細菌、真菌、原虫、虫卵、腫瘍細胞の出現
判断基準
赤血球
|
≧5個/HPF
|
白血球
|
≧5個/HPF
|
上皮細胞(正常)
|
扁平上皮細胞をのぞく全て(移行上皮、尿細管上皮、円柱上皮)
|
上皮細胞(異常)
|
すべて(卵円系脂肪体、多核巨細胞、封入体細胞)
|
異型細胞
|
癌細胞
|
大食細胞
|
≧1個/HPF
|
円柱
|
<1個/HPFの硝子円柱をのぞく全て
|
粘液系
|
≧1+
|
結晶
|
病的結晶(シスチン、チロシン、ロイシン、ビリルビン、コレステロール、DHA結晶)。正常結晶(尿酸結晶)で≧2+の時
|
細菌
|
≧1+(>/HPFの桿菌)
|
真菌
|
すべて
|
原虫
|
すべて
|
寄生虫
|
すべて
|
OLM.53
尿沈渣成分の基準値
|
|
強拡大視野あたり(/HPF)
|
赤血球数
|
1/4-7≧
|
白血球数
|
1-2/4-7≧
|
上皮細胞数
|
1/10≧
|
円柱
|
1/20≧
|
結晶 (LAB.217)
- アルカリ性尿で見られる血症はウレアーゼ産生菌のプロテウスやクレブシエラなどによる尿路感染症でみられるが、正常尿でも見られうる。
病的意義のある結晶
急性腎不全を背景とする場合
円柱 (LAB.214)
- 硝子円柱は正常でも見られるので病的意義はない。尿量の少ないとき、運動後や利尿薬の使用時にみられる。
[★]
- 英
- kidney transplantation, renal transplantation RT
- ラ
- transplantatio renale
- 同
- 腎移植術
- 関
- 臓器移植
ドナーの分類
- ドナーは生存:生体腎移植
- ドナーは死亡:死体腎移植(脳死、心停止) 献腎ともいう
生体腎移植レシピエント、ドナー適応基準
- 参考5-1
- 生体腎移植ガイドライン(平成21年1月28日 日本臨床腎移植学会評議員会にて改訂)
I.腎移植希望者(レシピエント)適応基準
- 1.末期腎不全患者であること
- 2.全身感染症がないこと
- 3.活動性肝炎がないこと
- 4.悪性腫瘍がないこと
II.腎臓提供者(ドナー)適応基準
- a.全身性の活動性感染症
- b.HIV抗体陽性
- c.クロイツフェルト・ヤコブ病
- d.悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられるものを除く)
- 2.以下の疾患または状態が存在する場合は、慎重に適応を決定する
- a.器質的腎疾患の存在(疾患の治療上の必要から摘出されたものは移植の対象から除く)
- b. 70歳以上
死体腎移植ドナーの適応
- 1997年10月16日 厚生省保健医療局長通知
- 全身性の活動性感染症
- HIV抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原、HCV抗体が陽性
- 悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられる物を除く)
- 血液生化学、尿所見などから器質的腎疾患が存在しない
- 年齢は70歳以下が望ましい
腎移植レシピエント選択基準
- 参考2
前提条件
- ABO式血液型:一致 or 適合
- リンパ球交叉試験陰性
優先順位
- 搬送時間(阻血時間)
- HLA-DR, HLA-A, HLA-Bのミスマッチ数
- 待機日数
- 小児待機患者
ABO血液型不適合例の移植
- 前処置(レシピエントの抗体を除去、免疫抑制薬強化、(かつては)脾臓摘出)をしたあとに腎移植を行う。
- 死体腎移植ではABO不適合移植は行われない!! (出典不明) ← 調査が必要
- 参考3
拒絶反応
hyperacute rejection
|
minutes to hours
|
antibody
|
Neutrophils, immunoglobulin, and complement in vessel walls
|
acute rejection
|
days
|
T cell(CD4,8)
|
T-cell intersititial infiltrate and edema
|
few manths
|
fibroblast, myocytes, and foamy marophages
|
Thickening of the blood vessel intima due to cellular proliferation
|
chronic rejection
|
4-6 months
|
|
Intimal fibrosis, interstitial fibrosis, and tubular atrophy
|
超急性拒絶反応
- 移植後24時間以内に起こり、抗HLA抗体(レシピエントのドナーに対する抗体、抗ドナー抗体)による。
- 移植腎への血流再開後から移植腎血管内皮細胞障害、血栓により血流が途絶
- 出典不明
- 移植後1-2週間以内に起こる
- 抗HLA抗体の存在による
- 糸球体炎、乏尿細管炎、C4d沈着が見られ、腎機能が低下する。治療は奏効しづらく、また慢性期には慢性抗体関連拒絶反応をきたす。
急性拒絶反応
- 移植後、1週間~3ヶ月までにおこる。
- 細胞性免疫による。
- 腎腫大・圧痛、腎機能低下、尿量減少、血清クレアチニン増加、発熱、体重増加などをきたす。
- 間質細胞浸潤、尿細管炎を特徴とする尿細管間質型と重症の血管型拒絶反応に分類される。
慢性拒絶反応
- 液性免疫による免疫反応で、ステロイドは無効である。
- 腎血管内皮細胞を障害し、徐々に腎機能が廃絶する。
生着率
- 参考1 p.29
- 生着率( 1年):生体腎=94.2%、献腎=83.6% ← 献腎では移植後初期の廃絶が多いため
- 生着率( 5年):生体腎=83.2%、献腎=67.2%
- 生着率(10年):生体腎=67.4%、献腎=52.0%
予後
参考
- http://www.asas.or.jp/jst/pdf/fact2010.pdf
- http://www.jotnw.or.jp/jotnw/law_manual/pdf/rec-kidney.pdf
- 3. ABO不適合腎移植の免疫抑制剤プロトコール - 名古屋第二赤十字病院
- http://www.nagoya2.jrc.or.jp/kidney-center/about_ishoku_geka/ishoku_data/ABOprotocol.html
- 4. ドナー適応基準 - 1997年10月16日 厚生省保健医療局長通知
- http://www.medi-net.or.jp/tcnet/DATA/donor.html
- http://www.jscrt.jp/
- 5-1. 生体腎移植ガイドライン - 日本臨床腎移植学会
- http://www.jscrt.jp/pdf_file/guideline.pdf
[★]
- 英
- chronic glomerulonephritis CGN
- 同
- 慢性腎炎 chronic nephritis, 慢性腎炎症候群 chronic nephritic syndrome、慢性糸球体腎炎症候群 chronic glomerulonephritic syndrome
概念
- 蛋白尿・血尿が1年以上持続する病態
- 透析導入原疾患の第2位をしめる。
疫学
- 参考1
- 慢性糸球体腎炎が減少し続ける理由:学校検尿・健康健診・人間ドックによる早期発見治療。治療の進歩、生活環境の清潔化、RAA系の抑制薬の登場、腎炎に関する知識の普及
原疾患
診断基準
参考
- http://www.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/kaiin/free/primers/pdf/CKDguide2009.pdf
[★]
- 英
- fluorescent antibody technique
- 同
- 免疫蛍光法 immunofluorescence technique
- 関
QB.E-173
[★]
- 英
- focal segmental glomerulosclerosis, FSGS, focal and segmental glomerulosclerosis
- 同
- 巣状硬化性糸球体腎炎 focal sclerosing glomerulonephritis
- 関
- 巣状糸球体硬化症 focal glomerulosclerosis, FGS
概念
- 本症は糸球体が巣状かつ分節状に硬化した疾患。
- ネフローゼの20-30%を占める
疫学
症状
成因
- 1. HIV感染、ヘロイン
- 2. 他の糸球体腎炎に続発
- 3. ネフロン喪失に続発するmaladaptation
- 4. 足細胞に発現する細胞骨格に関連する蛋白質(ネフリン)
病理
-
- メサンギウム基質、毛細管腔の閉塞、ヒアリン・脂質滴の沈着
- 蛍光抗体法…IgMと補体成分(特にC3)の沈着が認められる
- 電子顕微鏡…上皮細胞に足突起の融合が見られ、ところどころで上皮細胞そのものが脱落し、基底膜が丸出しになっている所見も認められる
予後
- 予後不良
- ステロイドが効かない
- 腎移植後の再発が多い
[★]
- 英
- glomerulus (Z)
- 関
- ボウマン嚢、腎小体、腎臓、輸出細動脈#調節
概念
- 1個の腎臓に100万個存在。
- 房状の毛細血管からなる
- 糸球体の毛細血管は有窓型毛細血管である
糸球体の微細構造 (SP.785)
詳細には
血流の調節 (HIM.1742)
- 輸入細動脈:autonomous vasoreactive reflex in afferent arteriole, tubuloglomerular feedback
- 緻密斑でのCl-の低下 = 原尿流速が早い → 腎灌流量の低下と解釈
- 腎灌流圧↑→輸入細動脈の平滑筋収縮
- 腎灌流圧↓→輸入細動脈の平滑筋弛緩
- 緻密斑はNaClの再吸収にとともにATP、(アデノシン)を細胞外に放出。細胞外のecto-5'-nucleotidaseがATPからアデノシンを産生。アデノシンが輸入細動脈のvasoconstrictorとして作用
- loop diureticsは緻密斑でのNaClの再吸収を妨げるので、尿細管糸球体フィードバックを阻害→糸球体濾過量は高レベルに保たれる
- アンジオテンシンIIと活性酸素種は尿細管糸球体フィードバックを増強 → 輸入細動脈収縮 → 糸球体濾過量低下
- NOは尿細管糸球体フィードバックを減弱 → 輸入細動脈弛緩 → 糸球体濾過量上昇
- 輸出細動脈:angiotensin II-mediated casoconstriction of the efferent arteiole
-
臨床関連
[★]
- 英
- consolidation、stiffening、curing、hardening、induration、sclerosis、harden、indurated
- 関
- 加硫、強化、硬化症、固定、治療、ハードニング、圧密、硬結
- コンソリデーション
[★]
- 英
- sclerosis、scleroma
- 関
- 硬化
- 臓器や組織が硬くなること。
- 皮膚 → 皮膚硬化症(強皮症など)
- 肝臓 → 肝硬変
[★]
- 英
- sis, pathy
[★]
- 英
- glomerulosclerosis
- 関
- 糸球体硬化症