- 英
- Shy-Drager syndrome, SDS
- 同
- シャイ-ドレーガー症候群 Shy-Drager症候群、特発性起立性低血圧 idiopathic orthostatic hypotension
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2012/11/20 15:16:50」(JST)
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シャイ・ドレーガー症候群(Shy-Drager syndrome:SDS)は、自律神経症状を主要症状とする脊髄小脳変性症の中の病型のひとつである。
多系統萎縮症(MSA)のひとつで、他にオリーブ橋小脳萎縮症(OPCA)や線条体黒質変性症(SND)がある。1986年1月1日以降、特定疾患に認定されている。(現在はオリーブ橋小脳萎縮症、線条体黒質変性症とともに多系統萎縮症として、特定疾患に27番目の疾患として認定されている。)
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目次
- 1 概要
- 2 症状
- 3 治療
- 3.1 起立性低血圧の対策
- 3.2 排尿障害の対策
- 3.3 錐体外路症状および小脳機能症状の対策
- 4 原因と予後
- 5 リンク
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概要
人口10万人対0.31人、厚生省特定疾患運動失調症調査研究班の全国調査では、146名がこの疾患と認められている。脊髄小脳変性症に占める割合は、6.8%とされている。主に40~60代の中高年者が発症し、男性が女性の3倍~5倍発症しやすいといわれている。全例が孤発性であり、遺伝する例の報告は現段階ではない。
症状
自律神経症状がゆるやかに、かつ潜行性にはじまり、次第に多彩かつ顕著になるのが特徴である。さらに小脳症状、錐体外路症状も加わり、進行していくのが特徴である。
- 自律神経系の症状
- 起立性低血圧:立ちくらみ、めまいが初期症状。進行すると失神をきたすようになり、ときに失神に伴う痙攣発作が現れることがある。食後低血圧を起こすことも多い。
- 分泌異常:汗、涙、唾液の分泌の減少。
- 排尿障害:頻尿、夜間尿、排尿困難に始まり、尿失禁や膀胱内に尿が貯まっているにも関わらず尿が出ない症状(=尿閉)が見られるようになる。
- インポテンス:勃起不全
- 便秘
- これらは初期症状で見られることが多い。
- 小脳機能に関する病状
- 歩行障害:歩行時にふらつく。
- 書字障害:字を書くことが以前より困難になる。書いた文字が乱れる。
- 言語障害:言葉が不明瞭になる。
- これらは発病後1年半以降に現れる症状である。
- 錐体外路症状
- 筋固縮:他人が関節を動かすと固く感じられる。
- 動作緩慢:着脱衣、寝返り、食事動作といった動作が全般的に遅くなる。
- 振戦:自分の意思とは関係なく、勝手に手が震える。
- これらはパーキンソン病と同じ症状であり、原因は線条体・黒質系の病変であると考えられる。
- ※その他、物忘れやいびき、嚥下障害、睡眠時の無呼吸、視力の低下が見られる。
治療
この病気は他の脊髄小脳変性疾患と同じく、根本的な治療法が確立されていないのが現状である。よって、現れる症状にあわせた対症療法を行って症状を軽減するのが現段階でできる、最大の治療である。とくに、起立性低血圧には細心の注意を払わなければならない。
起立性低血圧の対策
- 薬物療法
- ジヒドロエルゴタミン:血管の拡張をおさえる薬。血管の緊張を保ち、血圧の低下を防ぐ。立ちくらみ、めまい、頭重感に有効。
- ドロキシドパ(ドプス):細動脈収縮により血圧を保つ。また、不足しているノルエピネフリンを補充する効能もあり、併発しやすいパ-キンソニズムにも効果がある。
- ミドドリン:血管にある交感神経を刺激し、血管を収縮させて血圧を上げます。おだやかに長く効く。おもに、骨格筋や内臓の血管に作用。
- アメジニウム:交感神経を亢進させる神経伝達物質・ノルアドレナリンを増やす作用があり、この作用によって血圧を上昇させる効果がある。
- ※これらは薬物の飲み合わせ等の問題もあるため、医師の管理下のもとで服用すること。
- 食事療法
- 生活上の注意
- 四肢の運動(特に起き上がる前に臥位のまま両下肢の運動)を行ない、ウオ-ムアップを行ってから起きあがること。
- 食事を少量にすること。また、食後はしばらくの間、横になること。
- 下肢に弾力包帯、弾力ストッキングを使用すること。
- 入浴時、浴槽から上がる時は特には注意すること。下半身に冷水をかけることで、のぼせからくる起立性定血圧を改善できる。
- 排尿は座った姿勢で(=洋式便所を利用して)行うのを習慣づけること。
- 車椅子はリクライニング式にし、エレーベーテイング式レッグレストを備えておくこと。ヘッドレスト、後方転倒防止装置も必ず付けること。
- 極度の暑さを避けること。
- 飲酒を控えること。
排尿障害の対策
- 薬物療法(α交感神経遮断薬の使用)
- 膀胱の収縮を強める:ウブレチッド、ベサコリン
- 膀胱の収縮を弱める薬物:ポラキス、バップフォー、プロバンサイン
- 膀胱括約筋の働きを弱める薬物:ミニプレス、ハルナール
- ※これらは排尿障害の特徴にあわせて、医師の管理下のもとで服用すること。
- 間歇的自己導尿法
- 患者自身や家族により尿道カテーテルを用いて、1日に数回排尿する方法。
- 持続的導尿法
- フォーレ尿道カテーテルを膀胱内に留置し、膀胱から尿を持続的に排出する方法。毎日ないし2~3日毎に膀胱洗浄を行う必要がある。また、フォーレ尿道カテーテルを挿入する代わりに膀胱瘻を作ることも勧められる。カテーテルの留置は医療従事者への依頼が必要。
錐体外路症状および小脳機能症状の対策
- 錐体外路症状の薬物療法(抗パーキンソン薬の投与)
- L-ドーパ:不足しているドーパミンを補充する。血管内にL-ドーパを分解する酵素があるため、ベンゼラジドやカルビドパといったL-ドーパ分解阻害剤を併用するケースが多い。
- 抗コリン剤:活動が高まっているアセチルコリンを活用する神経細胞を抑えるために使用。パーキンソン症状のうち特に振戦(ふるえ)に効果あり。商品名はアーテンやパーキンなど。
- 塩酸アマンタジン:ドーパミンを使う神経細胞からドーパミンを放出させる作用がある。商品名はシンメトレル。
- ドーパミン受容体作動薬:ドーパミン受容体を刺激するために、ドーパミンと同じように刺激を伝達できる作用がある。メシル酸ブロモクリプチン、カベルゴリン、メシル酸ペルゴリド(以上が麦角系)、塩酸タリペキソール、プラミペキソール(非麦角系)の5種類が用いられる。症状が軽いうちはこれらの薬を単独で服用し、症状の改善が見られない場合はL-ドーパを併用する。
- 塩酸セレギリン:MAO-B阻害薬。選択的なモノアミン酸化酵素B型(MAO-B)を阻害して、ドーパミンの分解を抑制してドーパミン量の減少を抑える効果がある。商品名はエフピー錠。
- L-ドプス:→ドプス参照
- ※これらの薬は副作用や飲み合わせに十分注意する必要がある。また、パーキンソン病の患者と同等の効用を見せることはない。
- 小脳機能症状の薬物療法
- TRH(甲状腺ホルモン分泌促進ホルモン):歩行障害や会話障害といった運動失調に効果がある。
原因と予後
- この病気は、自律神経を主とする神経細胞の変性によって起きる病気である。最近の研究でグリア細胞内の異常な封入体が原因であることが判明している。(詳細は脊髄小脳変性症の『原因と予後』の欄を参照していただきたい)
- この病気の予後は決してよいとはいえない。他の脊髄小脳変性症と同じく、緩慢ながらも徐々に進行していく。起立性低血圧のために起き上がれなくなることが多くなり、小脳症状や失神による転倒、薬物の副作用といった合併症により、発病から7~10年で患者は死亡する。
リンク
- 国立療養所神経筋難病グループ/神経筋難病情報サービス
- 難病情報センター|多系統萎縮症
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 症例報告 著明な起立性低血圧に対し,様々な対処法を試みたシャイドレーガー症候群患者の1症例
- 木本 明,西井 美佳,古土井 春吾,竹内 純一郎,南川 勉,渋谷 恭之,古森 孝英
- 障害者歯科 32(3), 429, 2011-09-30
- NAID 10030299789
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★リンクテーブル★
[★]
[★]
- 日
- げんうん、めまい
- 英
- vertigo, dizziness
- ラ
- vertigo
- 同
- めまい発作 dizzy spell
- 関
- めまい、耳鳴り
めまいの分類
IMD. 276
- SOD.134
原因部位による分類
めまいをきたしうる疾患
- IMD.277
原因部位と眼振
原因部位の鑑別
- 研修医当直御法度 症例帳 p.22
- IMD.279
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末梢前庭性めまい
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中枢性めまい
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性状
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回転性が多い
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回転性は少ない
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強さ
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強い
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軽度
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持続時間
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数日まで
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数日以上
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眼振の方向
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一方向性
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注視方向性
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自発眼振の性状
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水平回旋性が多
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純回旋性、垂直性
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固視の影響
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抑制される
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抑制されない
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注視眼振の増強する方向
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健側
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患側
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蝸牛症状
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多い
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稀
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中枢神経症候
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なし
|
あり
|
悪心・嘔吐
|
軽度~重度
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ない or 軽度
|
疫学
- IMD.277
- 1. 末梢前庭性眩暈:4-5割 → 良性発作性頭位眩暈が多い。
- 2. 中枢性眩暈 :3割
眩暈、難聴をきたす疾患
検査
参考
- 1. [charged] Benign paroxysmal positional vertigo - uptodate [1]
[★]
- 英
- parkinsonian syndrome
- 同
- Parkinson症候群
- 関
- パーキンソニズム parkinsonism
[show details]
分類
中枢神経変性疾患 - パーキンソンニズムを主徴とする疾患
[★]
- 英
- orthostatic hypotension
- 同
- 体位性低血圧 postural hypotension、起立性調節障害 orthostatische dysregulation OD
- 関
- 低血圧、失神
定義
- 起立により静脈還流が減少し、心拍出量が減少するために血圧が低下する状態
- 起立して3分以内に収縮期血圧20mmHg以上、拡張期血圧10mmHg以上低下を来す場合 (BAT.916)
分類
病因
- 起立により静脈系が弛緩することにより低血圧になりやすく、頭部への血液供給のためには血圧を上昇させる必要がある。
- 種々の原因により、血圧が維持できない時に起立性低血圧を呈する。
-
- antihypertensives, diuretics, vasodilators(nitrates, hydralazine), alpha-blocking agents, beta-blocking agents, CNS sedatives(barbiturates, opiates), tricyclic antidepressants, phonothiazines
症状
- 参考2
- 脳の低灌流状態、全身脱力、眩暈・ふらつき感、visual blurringや眼前暗黒感、(重症)失神。まれに狭心痛や梗塞もある。
参考
- http://www.mymed.jp/di/c8i.html
- 2. Mechanisms, causes, and evaluation of orthostatic and postprandial hypotension - uptodate [2]
診察
- 10分間臥位で安静にしてもらい、血圧を測定。その後、起立してもらい、3分以内に血圧を測定する。
- 立位3分以内に収縮期血圧が20mmHg以上、または拡張期血圧が10mmHg以上低下する場合
[★]
- 英
- autonomic failure with multiple systematrophy
- 同
- AF with MSA
- 関
- シャイ・ドレーガー症候群
[★]
- 英
- syndrome, symptom-complex
- 同
- 症状群
- 関
- [[]]
- 成因や病理学的所見からではなく、複数の症候の組み合わせによって診断される診断名あるいは疾患。
内分泌
先天的代謝異常
高プロラクチン血症
- 分娩後の視床下部障害によるプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制のため、高プロラクチン血症を呈する。
- 分娩に関係なくプロラクチン分泌抑制因子の分泌抑制をきたし、高プロラクチン血症を呈する。
性腺機能低下
- 嗅覚の低下・脱出、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症
- 肥満、網膜色素変性症、知能低下、低ゴナドトロピン性性器発育不全、多指症、低身長
性早熟
- 思春期早発症、多発性線維性骨異形成症、皮膚色素沈着
- 女性型の肥満、性器の発育障害の2主徴を示し、視床下部に器質的障害をもつ疾患群。
脳神経外科・神経内科
[★]
- 英
- group
- 関
- グループ、集団、分類、群れ、基、グループ化
[★]
- 英
- symptom and sign
- 関
- 症状, 徴候 兆候