- 英
- IgA nephropathy, immunoglobulin A nephrophathy
- 同
- IgAメサンギウム腎症 IgA mesangial nephropathy、免疫グロブリンA腎症 イムノグロブリンA腎症 immunoglobulin A nephropathy、IgA腎炎 IgA nephritis、IgA糸球体腎炎 IgA glomerulonephritis、Berger's disease、バージャー病 ベルガー病 ベルジェ病 Berger's disease Berger disease Berger病 Berger nephropathy
- 関
- 一次性糸球体疾患。
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- first aid step1 2006 p.385(Glomerular pathology)
定義
- → 同様の症状を示す、紫斑病性腎炎(Henoch-Schonlein purpura)、肝硬変、肺疾患とは区別する!!
疫学
- 日本-原発性糸球体腎炎の50-70% (約40%とする文献もある)。フランス-原発性糸球体腎炎の約20%
- 発症年齢:小児から成人まで認められる。20歳代に好発。男性が若干多い(男女比 3-6:1)
- 若年の新規透析患者の原因(約40%)として重要である。 → 透析導入原疾患の第2位
- 慢性糸球体腎炎のなかで最多(約半数)。
病因
- 免疫複合体型腎炎
- IgAを含む免疫複合体が糸球体に沈着し → 補体を活性化 → 腎炎
- 抗原:細菌、ウイルス、食物蛋白など
- begin as an episode of gross hematuria that occurs within 1 or 2 days of a nonspecific upper respiratory tract infection
病態
- 抗原と結合したIgAからなる免疫複合体が糸球体内皮下とメサンギウム領域に蓄積し腎炎像がみられる。(PRE.245) → 炎症により部分的に糸球体が破綻し血尿をきたす?
- 糸球体腎炎症状が主であって、蛋白尿は軽度。ネフローゼに至ることは稀
病理
- メサンギウム増殖性糸球体腎炎の像が見られる。
- 光学顕微鏡:メサンギウム増殖
- 蛍光顕微鏡:IgAが顆粒状にメサンギウムに沈着。C3, IgG, IgMの沈着が見られることがある
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メサンギウムにIgAが沈着する疾患
検査
- 蛋白尿は血尿に比べ軽度 ← ネフローゼ優位ではない?
診断
鑑別診断
治療
- 参考2
- 1. ACE阻害薬、アンジオテンシン受容体阻害薬
- 2. 糖質コルチコイド
- 3. 免疫抑制薬
- SPE.596
- 組織障害が軽い例:抗血小板薬、柴苓湯、ACE阻害薬、ARB
- 組織障害が強い例:副腎皮質ステロイド、抗凝固薬、抗血小板薬、免疫抑制薬の組み合わせ。
予後
- 著明な蛋白尿や腎機能低下をきたさない患者は完全に寛解するかもしれないが、ほとんどの患者ではゆっくり着実に進行する。
- 蛋白尿の持続 ± 高血圧 ± 血清Crの上昇 を下している患者は20年の経過で20-30%が末期腎不全に陥り、そのほかの20%は腎機能が低下する。
- 予後不良の腎組織像は、(稀)半月体の形成、糸球体の瘢痕化、尿細管質の萎縮、および間質の線維化である。
予後予測因子
- YN.E-43
- 血圧>160/95 mmHg、血清Cr>1.5 mg/dL、Ccr<50、尿蛋白>2g/日
予後不良因子
- 蛋白尿の持続、高血圧、高血清Cr、血清蛋白低値、高度な腎組織障害
参考
- http://www.jsn.or.jp/jsn_new/iryou/free/kousei/pdf/44_7.pdf
- 2. [charged] Treatment and prognosis of IgA nephropathy - uptodate [1]
国試
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WordNet
- the 9th letter of the Roman alphabet (同)i
PrepTutorEJDIC
- 『私は』私が
- iodineの化学記号
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/19 03:57:28」(JST)
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IgA腎症(アイジーエーじんしょう、英: IgA nephropathy)は、主に免疫グロブリンの一種であるIgAが免疫複合体を形成し、腎糸球体メサンギウム領域に沈着することを特徴とする疾患である。 1968年にフランスのベルジェらが提唱したことによりベルジェ病とも言われる。
目次
- 1 疫学
- 2 臨床像
- 3 病因・機序
- 4 病期分類
- 5 検査
- 6 診断
- 7 治療
- 8 予後
- 9 脚注
- 10 関連項目
- 11 外部リンク
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疫学
好発年齢は10代後半から30年代前半であるが10歳未満でも50歳以上でも発症することもある。患者は男性に多く、数倍の性差が存在する。日本における慢性糸球体腎炎の40%以上がIgA腎症を原因としている。この割合は、アジア太平洋地域、ヨーロッパ、北アメリカ、南アメリカの順に低くなる。治療中の患者数は国内で年間20,000〜30,000人と推計されており、特定疾患に指定されている。
臨床像
急性上気道感染症(風邪など)・消化管感染症や過労、寒冷暴露を伴った場合に、肉眼的血尿(コーラ色の血尿)が見られる。しかし実際には、初期段階は無症状であるため、学校健診や職場健診における検尿で顕微鏡的血尿を指摘されて偶然に発見されることが最も多い(このような蛋白尿・血尿をチャンス蛋白尿・チャンス血尿と呼ぶ。チャンスは「偶然」の意)。病態の進行・悪化速度は個人により実にさまざまであり、数年から数十年で末期腎不全に至るとされる。この過程で、高血圧や血液検査異常(尿素窒素・クレアチニンの上昇)が出現するので、これらを検診などで指摘されて初めてIgA腎症と診断されることもある。なお、経過中にネフローゼ症候群を呈することは稀である。
病因・機序
- 詳しいことは不明であり、今後の研究成果が期待される。病因として有力なものは、食物やウイルスを抗原とする免疫複合体の糸球体内沈着によって引き起こされるとする説である。機序としては、扁桃腺炎が反復することにより陰窩上皮が破壊され、これを抗原として認識したリンパ球がIgA抗体を産生すると考えられている。IgAサブクラス1の抗体ヒンジ領域の糖鎖異常を示唆する実験結果もある。また、IgA腎症の一部では明らかな家族内発症が見られることから、遺伝因子の関与も疑われる。レニン・アンギオテンシン系遺伝子やIgAクラススイッチ制御遺伝子の多型が本疾患の発症・進行に関与するとして注目されているものの、確定的な証拠は依然得られていない。
病期分類
国内では、腎生検の所見により4群に分類され、予後の予測と治療方針の決定に用いられる。経過中に他の群に移行することがある。
- 予後良好群:透析療法に至る可能性がほとんどないもの。
- 予後比較的良好群:透析療法に至る可能性が低いもの。
- 予後比較的不良群:5年以上・20年以内に透析療法に移行する可能性があるもの。
- 予後不良群:5年以内に透析療法に移行する可能性があるもの。
厚生省特定疾患進行性腎障害調査研究斑 社団法人日本腎臓学会 合同委員会『IgA 腎症診療指針』より引用
検査
経過や尿検査などからIgA腎症が疑われると、入院のうえで腎生検が行われ、その結果により診断が確定する。基本的に腎生検の病理診断以外に診断を確定できる検査所見はない。
- 尿所見
- 複数回の検尿を行い、尿定性(テープ試験)のみならず尿沈渣の鏡検を行う。
- 持続的顕微鏡的血尿(5個/HPF以上)を必発所見とする。
- 蛋白尿が間欠的あるいは持続的に見られる。
- 急性上気道・消化管感染症や過労、寒冷暴露を伴った場合などには、肉眼的血尿(コーラ色の血尿)が見られる。
- 腎生検
- 光学顕微鏡での所見ではメサンギウム増殖性腎炎を呈している。
- 蛍光抗体法での所見ではメサンギウム領域にIgAの顆粒状沈着が見られる。
- 電子顕微鏡での所見ではパラメサンギウム領域を主とする高電子密度物質沈着が見られる。
- 血液検査
- 血清IgA高値は感度・特異度も低く、本症の診断や病勢評価に必須ではない。2000年に発表された国内の多施設共同研究によれば、血清IgA値315mg/dlが成人IgA腎症の診断基準として示唆されている。
診断
腎生検の結果に基づく。紫斑病性腎炎、肝硬変症、ループス腎炎などのIgA腎症と同様にメサンギウムにIgA沈着をきたす疾患とは、各疾患に特有の全身症状の有無や検査所見によって鑑別を行う。
治療
- 病期分類により治療手段は変化する。
- 生活指導
- 上記の国内指針によれば、予後比較的不良群以降は過労は避け、妊娠・出産も避けることが望ましい。ただし、運動制限については賛否両論であり、過労が直接的に腎臓に悪影響を及ぼすデータはない。しかしながら、脱水状態を招くほどの激しい運動は腎機能の悪化につながることからやはり控えるべきである。また、妊娠分娩の結果は腎生検の結果よりも腎障害の程度により大きく異なり、中等度以上の腎機能が低下している場合には母体の将来的な腎不全悪化や妊娠中の合併症(妊娠高血圧症など)、生児の分娩率に影響が生じることから原則として勧められない。
- 食餌療法
- 低タンパク食療法も徹底度こそ施設間で異なるが、IgA腎症に限らず慢性腎臓病治療の一環として、広く行われている。また、カナダ、オーストラリアなどではフィッシュオイル(魚油)の服用が有効とされており、こうしたサプリメント摂取や成分中のω-3系と呼ばれる脂肪酸(DHA・EPAなど)の治療効果を支持する英語論文も散見されるが、国際的な評価は定まっていない。
- 薬物療法
- 患者背景や病理所見を含めた検査結果などから総合的に検討される。治療の主体は副腎皮質ステロイド薬とACE阻害剤・ARBである。腎生検で糸球体メサンギウム基質の増加や間質の線維化が軽度なもの、腎機能が比較的保たれているもの、尿蛋白が陽性であるものは、ステロイドの効果が得られやすいとする論文が多い。ACE阻害薬を主体とした降圧薬による十分な血圧コントロールが腎障害の進展を遅らせるという臨床試験結果も数多い。国内ではACE阻害薬以上にARBが消費されており、一部では両者の併用療法も行われている。このほか、ジピリダモール、塩酸ジラゼプ、ワーファリン、アザチオプリンなどを使うこともある。
- 扁桃腺摘出+ステロイドパルス療法
- 急性上気道炎、とくに扁桃腺炎の反復によりIgA腎症が惹起されるという考えに基づいて、国内の一部施設で積極的に行われている。一定の効果を上げているとされるが、有効性を客観的に示す学術論文がないため国際的評価は定まっていない。また、長期的な効果についてはステロイドパルス単独の治療と大差ない可能性も示唆されている。現在、国内有志の病院による比較試験が進行中である。
予後
一時期は予後良好の症例だと考えられていたが、1993年のフランス、日本におけるIgA腎症患者の予後20年の結果で40%前後が慢性糸球体腎炎を経て、末期腎不全に陥ると報告されたことにより予後の見直しが進められた。およその判断基準として、病院初診時の血清クレアチニンが高値であること、タンパク尿の陽性、高血圧の合併などは腎臓の良好な予後を示唆しない。また、腎生検で広範な糸球体の硬化と尿細管間質の障害がある場合も同様である。その一方で、肉眼的血尿を繰り返すだけの場合の予後は良好である。
脚注
関連項目
- 腎臓学
- アレルギー性紫斑病…同疾患の経過中に、IgA腎症と酷似した腎炎を発症することがある。
外部リンク
- 腎臓の働きについて(東京女子医科大学病院 泌尿器科)
- IgA腎症根治治療ネットワーク(扁摘パルス療法)
- IgA腎症の沿革と治療 - MediPress(メディプレス)腎移植
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Japanese Journal
- 日本のガイドラインと世界のガイドライン IgA腎症の治療 (第5土曜特集 腎臓病のすべて) -- (腎臓病各論 : 診断とエビデンスに基づいた治療)
- 日本における腎臓病の疫学 (第5土曜特集 腎臓病のすべて) -- (腎臓病臨床の現状)
- 腎臓 (特集 若手小児科医のための臨床研究入門) -- (小児専門領域における臨床研究の現状・トピックス)
- (平成23・24年度山川寿子研究奨励賞受賞者研究発表)IgA腎症の妊娠,出産の腎予後へ与える影響についての検討
- 清水 阿里
- 東京女子医科大学雑誌 84(1), 29-29, 2014-02-25
- 第349回東京女子医科大学学会例会 平成26年2月22日(土) 総合外来センター5階大会議室
- NAID 120005404365
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- 当ネットワークの目的は、扁摘パルス療法により、IgA腎症の寛解・治癒をめざす患者さんの羅針盤となる。わが国のIgA腎症による新規透析導入患者数を限りなくゼロに近づける。ことです。
- IgA腎症は、検尿で血尿や蛋白尿を認め、腎臓の糸球体に免疫グロブリンのIgAという蛋白が沈着する病気で多くは慢性の経過をたどります。従って腎臓の組織を一部採取し、顕微鏡で調べる検査(腎生検)で診断されます。
- IgA腎症の本質はなにか? IgA腎症は血尿と蛋白尿(初期には陰性のこともある)を呈する慢性糸球体腎炎の半数以上を占める頻度の高い疾患です。現在、末期腎不全のため透析導入が必要となる患者数としては糖尿病性腎症の次に多い ...
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- 48歳の女性。尿検査の異常を主訴に来院した。 2年前に健康診断で尿検査の異常を指摘されたが、受診しなかった。今年の健康診断でも同じ異常を指摘されたため精査目的で来院した。身長160cm.体重60kg。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧142/84mmHg。口蓋扁桃の腫大、発赤および白苔の付着を認める。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟。四肢に浮腫を認めない。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血3+、尿蛋白1.8g/日。血液所見:赤血球 380万、Hb 11.2g/dl、Ht 34%、白血球 6,600、血小板 18万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dl、アルブミン 3.8g/dl、IgG 1,560mg/dl(基準739-1,649)、IgA 360mg/dl(基準107-363)、尿素窒素 24mg/dl、クレアチニン 1.4mg/dl、尿酸 8.5mg/dl、Na 136mEq/l、K 4.0mEq/l、C1 104mEq/l。免疫学所見:CRP 0.3mg/dl、抗核抗体陰性。腎生検のPAS染色標本(別冊No.16A)、蛍光抗体IgA染色標本(別冊No.16B)及びC3染色標本(別冊No.16C)を別に示す。
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[正答]
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[★]
- 82歳の男性。歩行困難を主訴に来院した。IgA腎症による慢性腎不全で14年前から1回4時間、週3回の血液透析を受けている。2年前から歩行速度が低下し、最近は横断歩道を渡りきれないことがある。階段昇降も両手で手すりにつかまらないと困難で、通院以外の外出を控えるようになったという。体重は1年前から5kg減少し、このまま歩けなくなることを心配して受診した。身長 167cm、体重 47kg(透析直後体重 46kg)。脈拍 72/分、整。血圧 138/72mmHg。心音と呼吸音とに異常を認めない。浮腫はない。徒手筋力テストで両下肢とも4である。その他、神経診察に異常を認めない。両足背動脈は左右差なく触知する。血液所見:赤血球 338万、Hb 11.0g/dL、Ht 33%、白血球 5,200、血小板 14万。血液生化学所見:総蛋白 6.8g/dL、アルブミン 3.6g/dL、AST 22U/L、ALT 18U/L、LD 178U/L(基準 120~245)、CK 38U/L(基準 30~140)、尿素窒素 72mg/dL、クレアチニン 7.8mg/dL、尿酸 7.4mg/dL、Na 138mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 101mEq/L、Ca 9.2mg/dL、P 5.6mg/dL。CRP 0.1mg/dL。
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[正答]
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- 最も考えられるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [113A056]←[国試_113]→[113A058]
[★]
- 13歳の女子。下肢の浮腫を主訴に母親に連れられて来院した。半年前の学校検尿で蛋白尿と尿潜血とを指摘され、近くの小児科で専門医療機関の受診を勧められていたが、自覚症状がないため受診していなかった。身長 154cm、体重 53kg。脈拍 72/分、整。血圧 114/60mmHg。尿所見:蛋白3+、潜血2+、沈渣に赤血球 10~29/1視野、脂肪円柱3/1視野、尿蛋白 3.8g/日。血液所見:赤血球 510万、Hb 16.9g/dL、Ht 48%、白血球 9,600、血小板 25万。血液生化学所見:総蛋白 5.1g/dL、アルブミン 3.0g/dL、IgA 280mg/dL(基準 110~410)、尿素窒素 10mg/dL、クレアチニン 0.5mg/dL、尿酸 4.5mg/dL、総コレステロール 260mg/dL。C3 18mg/dL(基準 52~112)。腎生検のPAS染色標本(別冊No. 12A)と蛍光抗体C3染色標本(別冊No. 12B)とを別に示す。
- この患者の診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111I056]←[国試_111]→[111I058]
[★]
- 16歳の男子。眼瞼の浮腫と全身倦怠感とを主訴に来院した。
- これまで健康診断で異常を指摘されたことはない。2週前に上気道炎に罹患し、4日前から急に眼瞼の浮腫と全身倦怠感とが出現した。血圧148/92mmHg。眼瞼と下腿とに浮腫を認めるほかに身体所見に異常はない。尿所見:蛋白3+、糖(-)、潜血3+、沈渣に赤血球多数/1視野、赤血球円柱20~30/1視野を認める。
- 血清生化学所見:総蛋白6.8g/dl、クレアチニン1.5mg/dl。免疫学所見:ASO 640単位(基準250以下)、抗核抗体陰性、C3 12mg/dl(基準55~112)、C4 5mg/dl(基準16~51)。腎生検組織のH-E染色標本と蛍光抗体法抗C3染色標本とを以下に示す。
[正答]
※国試ナビ4※ [096D035]←[国試_096]→[096D037]
[★]
- 48歳の男性。1週前からの感冒症状後、尿が赤ぶどう酒色となったことを主訴に来院した。健康診断で5年前から尿潜血陽性を指摘されている。脈拍72/分、整。血圧110/62mmHg。尿所見:蛋白1+ 糖(-)、沈さに赤血球無数/1視野、白血球1~5/1視野、血液生化学所見:アルブミン4.0g/dl、尿素窒素18.0mg/dl、クレアチニン0.7mg/dl、尿酸5.8mg/dl、総コレステロール200mg/dl、Na134mEq/l、K3,8mEq/l、Cl1O2mEq/l、Ca9.0mg/dl。2か月後の腎生検で、軽度のメサンギウム増殖性糸球体腎炎であった。蛋白尿は0.2g/日、糸球体濾過値は140mg/分であった。
- 対応として適切なのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [102D050]←[国試_102]→[102D052]
[★]
- 28歳の女性。全身倦怠感を主訴に来院した。5年前から健康診断で尿蛋白と血尿とを指摘されていたが放置していた。血圧148/94mmHg。尿所見:蛋白2+、糖(-)、潜血2+、沈渣に赤血球10~15/1視野、白血球2~4/1視野、顆粒円柱1~5/1視野。血清生化学所見:総蛋白6.4g/dl、尿素窒素27mg/dl、クレアチニン1.6mg/dl。腎生検組織のPAS染色標本と蛍光抗体法免疫グロブリン染色標本とを以下に示す。治療効果の指標として有用なのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [098A035]←[国試_098]→[098A037]
[★]
- 35歳の男性。手足の発疹を主訴に来院した。半年前から、手掌と足蹠とに皮疹が出現した。苛性カリ検鏡法で真菌は陰性である。皮膚生検H-E染色標本を以下に示す。この疾患に合併しやすいのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [100H035]←[国試_100]→[100H037]
[★]
- 健康診断で尿異常を指摘されて来院した患者の尿沈渣の顕微鏡写真(別冊No.2)を別に示す。尿所見:蛋白1+、潜血3+。
- この患者の診断として可能性が高いのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [105G018]←[国試_105]→[105G020]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [107I014]←[国試_107]→[107I016]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [110E012]←[国試_110]→[110E014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100B040]←[国試_100]→[100B042]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [105D012]←[国試_105]→[105D014]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [112B020]←[国試_112]→[112B022]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101F043]←[国試_101]→[101F045]
[★]
- a. (1)(2)
- b. (1)(5)
- c. (2)(3)
- d. (3)(4)
- e. (4)(5)
[正答]
※国試ナビ4※ [097H037]←[国試_097]→[097H039]
[★]
- IgA腎症で腎機能低下の予測因子となるのはどれか。2つ選べ。
[正答]
※国試ナビ4※ [103D017]←[国試_103]→[103D019]
[★]
[★]
- 英
- urinary sediment
- 関
- 尿沈渣検査 urinary sediment examination、尿沈液
概念
- 尿中に含まれる各種の細胞、円柱、結晶、微生物などの有形成分。
- 尿沈渣の検査は腎・尿路系疾患の診断、進行度、予後の推定を目的に行う。
検体
- 検体は早朝起床時尿(早朝第一尿)の中間尿約10mL。早朝第一尿では円柱がみられやすい
- 検体は採尿後1時間以内になるべく早く観察 → 室温2時間以上放置すると細菌が増殖し、アルカリ化が進む。尿路感染が分からなくなるうえ、円柱や細胞が崩壊して観察できない。
- 古い尿やアルカリ性尿では血球、円柱、上皮細胞の崩壊が強く正しい判定ができないことがある。
- 女性の場合、月経時における血液の混入、腟分泌物の混入(中間尿を採るようにしてもらう)
方法
- 1. 新鮮尿10mLを尿沈渣用試験管にとり500Gで5分間遠心する
- 2. 上清を捨て残液約0.2mLとする
- 3. そのまま、あるいは尿沈渣用染色液を加えて混和する
- 4. 1滴(15μl)をスライドガラスに載せカバーガラスをかけ鏡検する
観察方法
- LPF(low power field 、弱拡大、100倍):3.14 mm2、7.27ul
- HPF(high power field、強拡大、400倍):0.196 mm2、0.45ul
病的所見
- 赤血球と白血球はそれぞれ5/HPF以上、硝子円柱は1/HPF以上、上皮細胞性円柱、顆粒円柱、蝋様円柱、脂肪円柱、赤血球円柱、白血球円柱の各種円柱類、異常結晶(ビリルビン、チロジン、ロイシン、コレステロール、シスチン、2,8-ジヒドロキシアデニンなど)、細菌、真菌、原虫、虫卵、腫瘍細胞の出現
判断基準
赤血球
|
≧5個/HPF
|
白血球
|
≧5個/HPF
|
上皮細胞(正常)
|
扁平上皮細胞をのぞく全て(移行上皮、尿細管上皮、円柱上皮)
|
上皮細胞(異常)
|
すべて(卵円系脂肪体、多核巨細胞、封入体細胞)
|
異型細胞
|
癌細胞
|
大食細胞
|
≧1個/HPF
|
円柱
|
<1個/HPFの硝子円柱をのぞく全て
|
粘液系
|
≧1+
|
結晶
|
病的結晶(シスチン、チロシン、ロイシン、ビリルビン、コレステロール、DHA結晶)。正常結晶(尿酸結晶)で≧2+の時
|
細菌
|
≧1+(>/HPFの桿菌)
|
真菌
|
すべて
|
原虫
|
すべて
|
寄生虫
|
すべて
|
OLM.53
尿沈渣成分の基準値
|
|
強拡大視野あたり(/HPF)
|
赤血球数
|
1/4-7≧
|
白血球数
|
1-2/4-7≧
|
上皮細胞数
|
1/10≧
|
円柱
|
1/20≧
|
結晶 (LAB.217)
- アルカリ性尿で見られる血症はウレアーゼ産生菌のプロテウスやクレブシエラなどによる尿路感染症でみられるが、正常尿でも見られうる。
病的意義のある結晶
急性腎不全を背景とする場合
円柱 (LAB.214)
- 硝子円柱は正常でも見られるので病的意義はない。尿量の少ないとき、運動後や利尿薬の使用時にみられる。
[★]
- 英
- IgA vasculitis IgAV
- 同
- アナフィラクトイド紫斑病、ヘノッホ・シェーンライン紫斑病 Henoch-Schönlein purpura, Henoch-Schonlein purpura, HSP, Schonlein-Henoch purpura, Schonlein-Henoch purpura
- ヘノッホ・シェンライン紫斑病、Henoch-Schonlein紫斑病、Henoch-Schonlein紫斑、シェンライン・ヘノッホ紫斑病、シェーンライン・ヘノッホ紫斑病、Schonlein-Henoch紫斑病
- アナフィラキシー様紫斑病 アナフィラクトイド紫斑病 アナフィラクトイド紫斑、anaphylactoid purpura、アレルギー性紫斑病 アレルギー性紫斑 allergic purpura purpura allergica、アレルギー性血管炎 allergic vasculitis、リウマチ性紫斑病 rheumatic purpura purpura rheumatica、ヘノッホ紫斑病
- 関
- IgA腎症。血管性紫斑病、皮膚小血管性血管炎、血管炎、劇症紫斑病、血小板非減少性紫斑病
まとめ
- 先行する上気道感染後に出現する紫斑が特徴的な血管炎である。IgAによる免疫複合体の血管壁への沈着、およびこれに次いで起こるIII型アレルギーが本態と考えられている。症状はG2AP、すなわち消化管症状、糸球体腎炎、関節痛、紫斑である。血液検査では軽度の好中球増多・好酸球増多がみられ、血液中のIgAも上昇するが、血小板、補体、IgG,IgEは変化しない。
定義
- CHCC2012
- IgA1優位の免疫沈着を伴い、小血管(主に毛細血管、細静脈または細動脈)を障害する血管炎。しばしば、皮膚、消化管、そして高頻度に関節炎を来す。IgA腎症と区別できない糸球体腎炎を生ずる。
概念
- 全身性疾患
- 血管炎(血管性紫斑病の一つである) ← 皮膚小血管性血管炎の特殊型
- 二次的にIgAによる免疫複合体がメサンギウムに沈着し糸球体腎炎を引き起こす
病因
- IgA免疫複合体が血管壁に沈着。III型アレルギーの機序により、補体や好中球による組織障害
- 1. 溶連菌感染
- 2. 薬剤(ペニシリン、アスピリン)、食物(牛乳、卵)
疫学
病理
症状 (PED.805, NDE.137)
- 皮膚(purpuric rash)、消化管(abdominal pain)、関節(arthritis)、腎臓(glomerulonephritis)
- HSPの症状は「GA2P」と覚えてみる?
- ほぼ全例
- 両側の下腿や足背を中心に、時には大腿~上肢~腹部にまで、直径数~10mm以内の浸潤をふれる点状出血・紫斑が播種状に生じる。ときに圧痛が見られる。(NDE.138)
- 丘疹状で触知可能(palpable purpura)
[show details]
- http://graphics8.nytimes.com/images/2007/08/01/health/adam/19832.jpg
- http://www.umm.edu/graphics/images/en/19831.jpg
- http://en.wikipedia.org/wiki/Henoch%E2%80%93Sch%C3%B6nlein_purpura
- 1/3の症例
- 一過性の限局性浮腫。東部、顔面、手足、陰嚢
消化管
- 約半数~80%
- 腹部の疝痛様疼痛、悪心や嘔吐、吐血、下血
関節
- 約2/3の症例
- 足、膝、手、肘などの関節炎症状。関節の腫脹、疼痛
腎臓
- 発症から一ヶ月以内人タンパク尿、血尿で始まる腎炎を合併。多くは顕微鏡的血尿。
- 急性腎炎~ネフローゼ
- 組織的にはメサンギウム増殖性腎炎を呈する。
診断
検査
- PED.805
- 血小板:正常~やや増加 ← 血管炎が紫斑の原因であって、血小板減少が原因ではない。
- PED.805
治療
国試
[★]
- 英
- kidney transplantation, renal transplantation RT
- ラ
- transplantatio renale
- 同
- 腎移植術
- 関
- 臓器移植
ドナーの分類
- ドナーは生存:生体腎移植
- ドナーは死亡:死体腎移植(脳死、心停止) 献腎ともいう
生体腎移植レシピエント、ドナー適応基準
- 参考5-1
- 生体腎移植ガイドライン(平成21年1月28日 日本臨床腎移植学会評議員会にて改訂)
I.腎移植希望者(レシピエント)適応基準
- 1.末期腎不全患者であること
- 2.全身感染症がないこと
- 3.活動性肝炎がないこと
- 4.悪性腫瘍がないこと
II.腎臓提供者(ドナー)適応基準
- a.全身性の活動性感染症
- b.HIV抗体陽性
- c.クロイツフェルト・ヤコブ病
- d.悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられるものを除く)
- 2.以下の疾患または状態が存在する場合は、慎重に適応を決定する
- a.器質的腎疾患の存在(疾患の治療上の必要から摘出されたものは移植の対象から除く)
- b. 70歳以上
死体腎移植ドナーの適応
- 1997年10月16日 厚生省保健医療局長通知
- 全身性の活動性感染症
- HIV抗体、HTLV-1抗体、HBs抗原、HCV抗体が陽性
- 悪性腫瘍(原発性脳腫瘍及び治癒したと考えられる物を除く)
- 血液生化学、尿所見などから器質的腎疾患が存在しない
- 年齢は70歳以下が望ましい
腎移植レシピエント選択基準
- 参考2
前提条件
- ABO式血液型:一致 or 適合
- リンパ球交叉試験陰性
優先順位
- 搬送時間(阻血時間)
- HLA-DR, HLA-A, HLA-Bのミスマッチ数
- 待機日数
- 小児待機患者
ABO血液型不適合例の移植
- 前処置(レシピエントの抗体を除去、免疫抑制薬強化、(かつては)脾臓摘出)をしたあとに腎移植を行う。
- 死体腎移植ではABO不適合移植は行われない!! (出典不明) ← 調査が必要
- 参考3
拒絶反応
hyperacute rejection
|
minutes to hours
|
antibody
|
Neutrophils, immunoglobulin, and complement in vessel walls
|
acute rejection
|
days
|
T cell(CD4,8)
|
T-cell intersititial infiltrate and edema
|
few manths
|
fibroblast, myocytes, and foamy marophages
|
Thickening of the blood vessel intima due to cellular proliferation
|
chronic rejection
|
4-6 months
|
|
Intimal fibrosis, interstitial fibrosis, and tubular atrophy
|
超急性拒絶反応
- 移植後24時間以内に起こり、抗HLA抗体(レシピエントのドナーに対する抗体、抗ドナー抗体)による。
- 移植腎への血流再開後から移植腎血管内皮細胞障害、血栓により血流が途絶
- 出典不明
- 移植後1-2週間以内に起こる
- 抗HLA抗体の存在による
- 糸球体炎、乏尿細管炎、C4d沈着が見られ、腎機能が低下する。治療は奏効しづらく、また慢性期には慢性抗体関連拒絶反応をきたす。
急性拒絶反応
- 移植後、1週間~3ヶ月までにおこる。
- 細胞性免疫による。
- 腎腫大・圧痛、腎機能低下、尿量減少、血清クレアチニン増加、発熱、体重増加などをきたす。
- 間質細胞浸潤、尿細管炎を特徴とする尿細管間質型と重症の血管型拒絶反応に分類される。
慢性拒絶反応
- 液性免疫による免疫反応で、ステロイドは無効である。
- 腎血管内皮細胞を障害し、徐々に腎機能が廃絶する。
生着率
- 参考1 p.29
- 生着率( 1年):生体腎=94.2%、献腎=83.6% ← 献腎では移植後初期の廃絶が多いため
- 生着率( 5年):生体腎=83.2%、献腎=67.2%
- 生着率(10年):生体腎=67.4%、献腎=52.0%
予後
参考
- http://www.asas.or.jp/jst/pdf/fact2010.pdf
- http://www.jotnw.or.jp/jotnw/law_manual/pdf/rec-kidney.pdf
- 3. ABO不適合腎移植の免疫抑制剤プロトコール - 名古屋第二赤十字病院
- http://www.nagoya2.jrc.or.jp/kidney-center/about_ishoku_geka/ishoku_data/ABOprotocol.html
- 4. ドナー適応基準 - 1997年10月16日 厚生省保健医療局長通知
- http://www.medi-net.or.jp/tcnet/DATA/donor.html
- http://www.jscrt.jp/
- 5-1. 生体腎移植ガイドライン - 日本臨床腎移植学会
- http://www.jscrt.jp/pdf_file/guideline.pdf
[★]
- 英
- poststreptococcal acute glomerulonephritis PSAGN
- 同
- 急性溶連菌性糸球体腎炎 acute poststreptococcal glomerulonephritis
- 連鎖球菌感染後糸球体腎炎 poststreptococcal glomerulonephritis poststrepococcal GN, post-streptococcal glomerulonephritis
- 猩紅熱腎炎 scarlatinal nephritis
- 関
- 非溶連菌性感染後急性糸球体腎炎、急性糸球体腎炎、糸球体腎炎。IgA腎症
[show details]
- first aid step1 2006 p.385(Glomerular pathology)
概念
- A群β溶血性連鎖球菌感染症後に1-2週間して発症するnephritic syndrome
疫学
病因
- A群β溶血性連鎖球菌感染後(上気道炎、皮膚膿痂疹)に続発
- 潜伏期:1-2週間 ← IgA腎症との鑑別点
病態
- 溶連菌成分を抗原とする抗体が産生されて免疫複合体が形成され、この免疫複合体が糸球体基底膜に沈着し(上皮側)、III型アレルギーの機序により補体活性化、多形白血球浸潤、ケミカルメディエーターの放出が起こる。
病理
- 糸球体の腫大、富核、白血球の浸潤 ← 白血球の浸潤と糸球体内の細胞の増殖による
- 蛍光抗体法:係蹄壁へのC3の顆粒状沈着
- 電顕:上皮細胞下沈着物(ハンプ) → subepithelial humps on EM
- typical electron-dense subepithelial(足細胞と基底膜の間) "hump" and intramembranous deposites.
症状
検査
- 糸球体係蹄壁への顆粒状C3の沈着、IgGの沈着は50-60%の例に認められる。
合併症
治療
- 急性期:安静、食事療法(水分制限、塩分制限、蛋白制限)
予後
- 良好。90%以上が1-3ヶ月で治癒。一部急性期に死亡/慢性腎不全への移行(SPE.596)
USMLE
参考
- 1. [charged] poststreptococcal-glomerulonephritis - uptodate [2]
国試