出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/06/27 21:31:51」(JST)
血管炎 | |
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分類及び外部参照情報 | |
ICD-10 | I77.6, I80, L95, M30-M31 |
ICD-9 | 446, 447.6 |
DiseasesDB | 13750 |
Patient UK | 血管炎症候群 |
MeSH | D014657 |
プロジェクト:病気/Portal:医学と医療 | |
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血管炎症候群(けっかんえんしょうこうぐん、英: Vasculitis Syndrome )は、自己免疫疾患の一群で、主として血管に炎症の主座がある症候群。血管のみが冒されるわけではなく、他の臓器にも病変がみられることもある[1]。
多くは慢性疾患である。血管は全身に分布している為、全身性疾患である事が多い。膠原病の一種に分類されるが、全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチ(RA)、シェーグレン症候群などに随伴する二次性血管炎以外は抗核抗体は診断に影響しない。
日本では、特定疾患(難病)として、国や都道府県による医療費支援制度の対象となっている疾患もある。
血管炎の分類には臨床症状の組み合わせから行う場合、血液検査、病理(肉芽腫の有無)、感染症、腫瘍といった病因といった分類法も知られているが血管炎はそのおかす血管のサイズが決まっている事から障害する血管の大きさによって分類することが多い[1]。血管の大きさは臓器によって異なり、腎臓ならば腎動脈などは大血管、弓状動脈は中血管、細動脈、糸球体は小血管とする場合が多い。
大血管を選択的に傷害するものである。大動脈炎症候群(高安動脈炎;TA)、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎;GCA)があげられる。
中小動脈を傷害するものである。 結節性多発動脈炎(PAN)、川崎病(KD)、中枢神経限局性血管炎(原発性肉芽腫性中枢神経系血管炎 PACNS)などがあげられる。
好酸球性多発血管炎性肉芽腫症,(アレルギー性肉芽腫性血管炎,チャーグ・ストラウス症候群;CSS)、多発血管炎性肉芽腫症(GPA, 旧称ウェゲナー肉芽腫症;WG)、顕微鏡的多発血管炎(MPA)があげられる。
小動脈、小静脈などの主に小血管の血管壁に免疫グロブリンや補体成分の沈着を伴う血管炎。抗GBM抗体関連疾患(Anti-GBM Disease, 旧称 Goodpasture症候群)、 クリオグロブリン血管炎(CV), IgA血管炎(IgAV)(旧称 Henoch-Schonlein紫斑病), 低補体蕁麻疹様血管炎(抗C1q血管炎)がある。
血管炎を疑う臨床所見は血管がつぶれる、血管が破れる、全身に炎症があるという3つに集約することができる。特に血管炎と臨床上類似する疾患としては動脈硬化、心臓粘液腫、血栓症(抗リン脂質抗体症候群、血栓性血小板減少性紫斑病)、感染性心内膜炎、薬剤性血管障害などがあげられる。
この場合は腹痛(intestinal angina)やLivedo疹、多発性単神経炎、皮膚壊死、失明、脈なし、筋肉痛、卵巣痛、睾丸痛、頭痛が起こることが知られている。
この場合は紫斑(紅斑と異なり圧迫しても消えない)、喀血、動脈瘤、下血、糸球体腎炎(血尿)が起こることが知られている。
多臓器疾患が認められること、発熱、倦怠感、体重減少が認められること、赤血球沈降速度、C反応性蛋白(CRP)といった炎症所見が認められることがあげられる。
一部の疾患はANCA関連血管炎と呼ばれ、以下の抗好中球細胞質抗体が検出されることがある[1]。
大血管炎では血管が大きいので出血、虚血が起こるのは進行してからと考えられている。皮膚の症状、胸部X線写真、尿所見の異常などが出にくいため注意しないと発見がしにくい。不明熱で若年女性ならば高安病、中年ならば結節性多発性動脈炎(PAN)、高齢者ならば側頭動脈炎が疑われるが、これらは検査を行わないとわからない。超音波検査による血流評価やMRA(磁気共鳴血管画像)による血管評価ののちに生検を行うことが多い。
特に重要となる疾患はANCA関連血管炎である。具体的には顕微鏡的多発血管炎(MPA)、チャーグ・ストラウス症候群(CSS)、ウェゲナー肉芽腫症(WG)があげられる。ANCAを測るときはMPA、WG、CSSを疑ったときであるため、急性ないし慢性の腎障害、持続性蛋白尿、原因のはっきりしない肺陰影、喀血、紫斑、多発性単神経炎、鼻中隔穿孔を認めたら測定する。血清における陽性率はCSSで50%、WGの活動期で90%、MPAで70%であるためANCA陰性であってもANCA関連血管炎の否定はできない。腎生検などによる免疫染色は若干陽性率が上がる傾向がある。
その他の疾患も含め、紫斑の皮膚生検にてIgAの沈着が認められればアレルギー性紫斑病、C型肝炎ウイルスの感染があればクリオグロブリン血症、好酸球の増加、喘息の既往、IgE高値が認められればCSS(生検で好酸球浸潤、肉芽腫、多発性単神経炎など)、副鼻腔炎の生検で肉芽腫が認められ肺に空洞病変が認められればWGが強く疑われる。それ以外ではMPA(免疫複合体陰性の糸球体腎炎や間質性肺炎、生検で肉芽腫を認めない)が多い傾向がある。
各疾患によって治療法が異なるが、ANCA関連血管炎ではリツキシマブの有用性が報告されている。[3][4]
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国試過去問 | 「108G013」「109I029」 |
リンク元 | 「結節性多発動脈炎」「不明熱」「側頭動脈炎」「大動脈炎症候群」「100Cases 34」 |
C
※国試ナビ4※ [108G012]←[国試_108]→[108G014]
D
※国試ナビ4※ [109I028]←[国試_109]→[109I030]
症状 | 検査 | 病理 | 治療 | |||
結節性多発動脈炎 | polyarteritis nodosa,PN | 細動脈に壊死性血管炎を引き起こす。糸球体腎炎なし。 | ① 全身症状あり ② 他臓器の虚血障害〈脳出血、肺出血、虚血性心疾患(心臓の冠動脈が虚血)〉 ③ 進行性腎機能低下、腎血管性高血圧(炎症動脈狭窄→レニン分泌) |
尿所見に乏しい進行性腎機能低下、腰痛 | ・ 腎臓を含む多臓器の動脈に炎症が生じる。 ・ 腎動脈造影で弓状動脈に生じた結節様病変、糸球体病変は軽度。 |
ステロイド&免疫抑制剤(シクロホスファミド) |
顕微鏡的多発動脈炎 | microscopic polyangitis,MPA | 小血管の炎症。糸球体腎炎あり。 | ①全身症状:発熱、体重減少、多発関節炎、筋肉痛 ②多臓器の虚血障害:肺出血(血痰) ③進行性腎機能低下(急性進行性糸球体腎炎)(高齢者のRPGNにMPAが多い) |
①RPGN症状が(血尿、蛋白尿、円柱、週単位での腎機能低下) ②MPO-ANCA陽性が85%を占める。 |
腎の微小血管と糸球体及び、肺の微小血管に炎症が生じる。 ① 半月体形成:糸球体係蹄壁の外側に増殖した細胞が半月状の形態をとる。 ② 免疫グロブリンや補体の沈着はなし。(p-ANCAがELIZA法で検出される。) |
病態 | レイノー現象 | 抗核抗体 | リウマトイド因子 | 抗好中球細胞質抗体 | 皮疹 | 皮下結節 | 関節炎 | 筋炎 | 漿膜炎 | 自己抗体 |
病理 | 壊死性血管炎 | 糸球体腎炎 | 間質性肺炎 | 心炎 | 唾液腺炎 | オニオンスキン病変 | ワイヤーループ病変 | ヘマトキシリン体 | LE細胞 | |
臓器系 | 有症率 | 臨床症状 |
腎臓 | 60 | 腎不全、腎性高血圧 |
筋骨格系 | 64 | 関節炎、関節痛、筋肉痛 |
末梢神経系 | 51 | 末梢神経ニューロパチー、多発性単神経炎 |
消化器系 | 44 | 複数、悪心・嘔吐、出血、腸梗塞・腸穿孔、胆嚢炎、肝梗塞、膵梗塞 |
皮膚 | 43 | 皮疹、紫斑、結節、皮膚梗塞、網状皮斑、レイノー現象 |
心臓 | 36 | うっ血性心不全、心筋梗塞、心膜炎 |
生殖器・泌尿器系 | 25 | 精巣・卵巣・精巣上体痛 |
中枢神経系 | 23 | 脳血管イベント、精神状態の変調、てんかん発作 |
-PN
診断 | 診断診断例 n=192 |
早期診断例 n=67 |
中期診断例 n=38 |
後期診断例 n=87 | ||
感染症 | 57(29.7) | 25(37.3) | 12(31.6) | 20(23.0) | ||
細菌性 | 43 | 1.8 | 8 | 17 | ||
心内膜炎 | 11 | 9 | 1 | 1 | ||
結核 | 8 | 0 | 0 | 8 | ||
尿跨感染症(1) | 6 | 3 | 1 | 2 | ||
腹腔内膿瘍 | 5 | 2 | 2 | 1 | ||
骨・関節感染 | 4 | 2 | 1 | 1 | ||
その他の細菌感染 | 9 | 2 | 3 | 4 | ||
ウイルス性 | 10 | 5 | 3 | 2 | ||
CMV | 6 | 2 | 3 | 1 | ||
EpsteinーBarrウイルス | 3 | 3 | 0 | 0 | ||
HIV | 1 | 0 | 0 | 1 | ||
寄生虫性(2) | 4 | 2 | 1 | 1 | ||
悪性新生物 | 29(15.1) | 5(7.5) | 6(15.8) | 18(20.7) | ||
血液疾患 | 22 | 2 | 6 | 14 | ||
非Hodgkinリンパ腫 | 9 | 0 | 2 | 7 | ||
Hodgkin病 | 5 | 1 | 1 | 3 | ||
白血病 | 6 | 0 | 3 | 3 | ||
血管免疫芽球性リンパ酔症 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
固形癌 | 7 | 3 | 0 | 4 | ||
腺癌 | 5 | 2 | 0 | 3 | ||
その他(3) | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
非感染性炎症性疾患 | 68(35.4) | 22(32.8) | .6) | 34(39.1) | ||
結合織疾患 | 35 | 15 | 6 | 14 | ||
成人Still病 | 18 | 5 | 4 | 9 | ||
SLE | 8 | 5 | 1 | 2 | ||
リウマチ性多発性筋痛症 | 3 | 3 | 0 | 0 | ||
関節リウマチ | 2 | 0 | 0 | 2 | ||
Sjogren症候群 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
その他(4) | 2 | 1 | 1 | 0 | ||
血管炎症候群 | 19 | 5 | 3 | 11 | ||
巨細胞性動脈炎 | 11 | 4 | 3 | 4 | ||
Wegener肉芽腫症 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
結節性多発性動脈炎 | 2 | 0 | 0 | 2 | ||
その他(5) | 4 | 0 | 0 | 4 | ||
肉芽腫性疾患 | 14 | 2 | 3 | 9 | ||
サルコイドーシス | 10 | 0 | 2 | 8 | ||
Crohn病 | 4 | 2 | 1 | 1 | ||
その他 | 39(18.1) | 15(22.4) | 8(21.1) | 15(17.2) | ||
亜急性甲状腺炎 | 6 | 3 | 1 | 2 | ||
Addison病 | 2 | 0 | 1 | 1 | ||
心筋梗塞後症候群 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
肺動脈塞栓症 | 2 | 1 | 0 | 1 | ||
習慣性高体温症 | 11 | 6 | 3 | 2 | ||
薬剤熱 | 4 | 3 | 0 | 1 | ||
詐熱 | 1 | 1 | 0 | 0 | ||
その他(6) | 10 | 0 | 3 | 7 |
発症時(%) | 経過中(%) | |
発熱 | 25 | 33 |
体重減少 | 24 | 26 |
側頭部痛 | 58 | 80 |
脳梗塞 | 2 | 12 |
咬筋跛行 | 6 | 15 |
リウマチ性多発筋痛症 | 28 | 30 |
視力障害 | 32 | 44 |
虚血性視神経炎 | 17 | 21 |
失明 | 3 | 7 |
http://www.nanbyou.or.jp/upload_files/File/041-201704-kijyun.pdf
我が国が世界でもっとも多いといわれている。でも少なくないようである。←日本語の意味が分からない
table 319-6 Frequency of Arteriographic Abnormalities and Potential Clinical Manifestations of Arterial Involvement in Takayasu's Arteritis | ||
動脈 | 動脈造影状の異常(%) | 来しうる症状 |
鎖骨下動脈 | 93 | 上肢の跛行(arm claudication)、レイノー症候群 |
総頚動脈 | 58 | 視覚の変化、失神、TIA、脳梗塞 |
腹部大動脈 | 47 | 腹痛、悪心、嘔吐 |
腎動脈 | 38 | 高血圧、腎不全 |
大動脈弓/大動脈根部 | 35 | 大動脈弁閉鎖不全症、うっ血性心不全 |
椎骨動脈 | 35 | 視覚の変化(visual change)、めまい |
腹腔動脈 | 18 | 腹痛、悪心、嘔吐 |
上腸間膜動脈 | 18 | 腹痛、悪心、嘔吐 |
腸骨動脈 | 17 | 下肢の跛行(leg claudication) |
肺動脈 | 10?40 | 非定型的な胸痛(atypical chest pain)、呼吸困難 |
冠状動脈 | <10 | 胸痛、心筋梗塞 |
表1 大動脈炎症候群の症状出現頻度 | |
症状 | 頻度(%) |
脳循環障害(めまい、頭痛、失神) | 60 |
眼症状 | 20 |
心症状(狭心症様症状) | 60 |
高血圧 | 50 |
四肢循環障害(しびれ、冷感、脈拍欠損) | 70 |
全身症状(発熱、倦怠感) | 70 |
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