- 英
- alcoholic liver disease, alcoholic hepatopathy, alcoholic liver injury
分類
- 組織型により分類。
病態
- アルコール代謝の過程でNADHが蓄積し、脂肪の合成が亢進()、血糖低下(糖新生抑制、ATPが必要だから?)、乳酸の増加(NADH増加のため。また、おそらくTCA回路がNADH増加のために回しにくくなっているため)
- ミトコンドリア機能活性化により酸素消費の増大 + アルコール脱水素酵素ADH、アルデヒド脱水素酵素ALDHは、zone3(肝小葉中心部)に存在 → 虚血による障害を受けやすい → zone3はAST優位なのでAST>ALT、と思われる。
- アルデヒドがクッパー細胞、単核球などを刺激して放出されたサイトカインに対して、星細胞や線維芽細胞が活性化しコラーゲンを合成
症状
- アルコール性肝炎:腹痛、発熱、黄疸、悪心・嘔吐
- 重症型アルコール性肝炎:腹痛、発熱、黄疸、悪心・嘔吐 + 意識障害
検査
- トランスアミナーゼ↑(AST > ALT)、γ-GTP ↑、ALP↑、TG↑、尿酸↑
- IgA↑ (小腸のパイエル板におけるリンパ球の活性が亢進するため?。急性アルコール性肝炎では65 kDaの熱ショック蛋白に対するIgA抗体の産生が増加するという報告がある(参考4))
- アルコール性肝炎:白血球増加
- 重症型アルコール性肝炎:白血球著明に増加
- アルコール性肝硬変
参考
- 1. [charged] Pathogenesis of alcoholic liver disease - uptodate [1]
- 2. [charged] Clinical manifestations and diagnosis of alcoholic liver disease - uptodate [2]
- 3. [charged]Prognosis and treatment of alcoholic liver disease and alcoholic hepatitis - uptodate [3]
- 4. Circulating IgA antibody against a 65 kDa heat shock protein in acute alcoholic hepatitis.
- Winrow VR, Bird GL, Koskinas J, Blake DR, Williams R, Alexander GJ.SourceARC Bone and Joint Research Unit, London Hospital Medical College, UK.
- Journal of hepatology.J Hepatol.1994 Mar;20(3):359-63.
- Heat shock proteins are known to be immunogenic in a number of diverse conditions and can be induced by hypoxia, tumour necrosis factor and alcohol--all potential triggers in patients with acute alcoholic hepatitis. In the present study, sera from 23 patients with acute alcoholic hepatitis, 18 liver
- PMID 8014447
国試
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/02/13 22:27:05」(JST)
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アルコール性肝疾患(アルコールせいかんしっかん、英Alcoholic liver disease)または、アルコール性肝障害とは、アルコールによって引き起こされる一連の肝臓疾患のこと。
アルコール性脂肪肝、アルコール性肝炎、アルコール性肝硬変の順に進行する。
目次
- 1 病因
- 2 病理
- 3 臨床像
- 4 脚注
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
|
病因
飲酒によって血中に入ったアルコール(エタノール)は消化管で吸収され門脈を通って肝臓で代謝される。 肝臓では主に、以下によって代謝される。
- アルコール脱水素酵素(alcohol dehydrogenase:ADH)
- エタノール→アセトアルデヒドへと分解
- アセトアルデヒド脱水素酵素(aldehyde dehydrogenase:ALDH)
-
- ミクロゾームエタノール酸化系(Microsomal Ethanol-Oxidizing System:MEOS)
- エタノール→アセトアルデヒドまたはアセトアルデヒド→酢酸(アセチルCoA)へと分解
脂肪酸生合成はアセチルCoA(炭素数2)を出発物質として、ここにマロニルCoA(炭素数3)が脱炭酸的に結合していく経路である。すなわち、炭素数2個ずつ反応サイクルごとに増加し、任意の炭素鎖を持った脂肪酸が作成されることとなる(脂肪酸#脂肪酸生合成系参照)[1]。
アルコールを大量・持続飲用することで、上記の代謝経路によって分解が追いつかず、かつ、代謝・合成された脂肪が肝臓に蓄積され、肝細胞に障害を与えて行く。
病理
病理組織学的に以下へ進行していく
-
詳細は「脂肪肝」を参照
-
詳細は「肝炎」を参照
-
詳細は「肝硬変」を参照
臨床像
症状
基本的に肝硬変に至るまで目立った症状はない。またアルコール依存症である場合も多く、治療コンプライアンスが維持できないことも多い。
血液検査
- AST・ALT:AST優位の上昇を示すことが多い。
- γ-GTP:上昇傾向を示す
画像検査
脚注
- ^ 脂肪酸生合成
関連項目
外部リンク
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Japanese Journal
- アルコール性肝障害 (特集 Q&Aでまるわかり 肝臓疾患の栄養療法)
- シナカルセト投与後に著しい肝逸脱酵素の上昇をきたした維持透析患者の1例
- 花房 雄治,西川 公詞,奥瀬 紀晃,塩田 邦朗,原 威史,大房 馨,伊藤 悦行,山口 とく子,古屋 良恵,土屋 和仁,櫻田 和也,和田 晋太郎,進士 たまみ,田中 宏良信,儘田 文子,湯浅 光利,横山 良望
- 日本透析医学会雑誌 = Journal of Japanese Society for Dialysis Therapy 43(2), 201-207, 2010-02-28
- 症例は66歳,男性.慢性糸球体腎炎による慢性腎不全のため,24年前に透析導入となっている.高血圧および高尿酸血症を合併しており,また,両側手根管症候群に対して手術の既往を有している.さらに,シナカルセト投与前よりアルコールによる中等度の肝機能障害を認めていた.経過観察中にintact-PTHが371 pg/dLと上昇し,活性型ビタミンD3製剤の経口投与を行っているにもかかわらず,intact-PT …
- NAID 10026316461
Related Links
- gooヘルスケア 家庭の医学。アルコール性肝障害。どんな病気か アルコール性肝障害で 最初に生じるのはアルコール性脂肪肝です。それでもなお大量飲酒を続けると、約2割の 人にアルコール性肝炎が起こります。 アルコール性肝炎のなかには、肝性脳症(かん ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、19~21の問いに答えよ。
- 48歳の男性。全身倦怠感、食欲不振、尿の濃染および黒色便を訴えて来院した。
- 現病歴 : 5日間連続して毎日、日本酒5合以上を飲み体調を崩した。腹部の膨隆や両下肢の浮腫が次第に明瞭となり、今朝、黒色便を排出した。常習飲酒家である(3合/日)。
- 既往歴 : 27歳の時、交通事故で輸血を受けた。
- 現症 : 意識は清明。身長169cm、体重61kg。体温36.8℃。脈拍64/分、整。血圧142/86mmHg。眼瞼結膜はやや貧血様、眼球結膜には軽度の黄疸を認める。胸部に異常は認めない。腹部では腹壁に静脈怒張が認められ、肝を剣状突起下で3cm触知する。腹水と両下肢の浮腫とを認める。
- 検査所見 : 尿所見:蛋白(-)、糖(-)、ビリルビン1+。
- 血液所見:赤血球320万、Hb9.6g/dl、白血球4,200、血小板9.2万、プロトロンビン時間60%(基準80~120)。血清生化学所見:総蛋白6.6g/dl、アルブミン2.9g/dl、γーグロブリン34.5%、尿素窒素48mg/dl、クレアチニン0.8mg/dl、尿酸5.2mg/dl、総コレステロール126mg/dl、総ビリルビン2.8mg/dl、直接ビリルビン1.4mg/dl、AST224単位(基準40以下)、ALT185単位(基準35以下)、γーGTP462単位(基準8~50)。HCV抗体陽性。ICG試験(15分値)32.4%(基準10以下)。
[正答]
※国試ナビ4※ [097C018]←[国試_097]→[097C020]
[★]
- 61歳の男性。発熱、胸痛および呼吸困難を主訴に来院した。2週前から咳、痰および38℃台の発熱が出現し、自宅近くの診療所で風邪と診断されて治療を受けたが改善しなかった。4日前から胸痛と呼吸困難とが出現して増強するため受診した。42歳時にアルコール性肝障害を指摘された。喫煙は30本/日を32年間。飲酒は日本酒4台/日を36年間。体温38.4℃。聴診で左胸部の呼吸音が減弱し、同部の打診で濁音を認める。血液所見: 赤血球 430万、Hb 12.4g/dl、Ht 42%、白血球 14,800、血小板 23万。免疫学所見: CRP 22.8mg/dl、ツベルクリン反応陰性。胸部エックス線写真で左下肺野に陰影を認める。胸部造影CT(別冊No.21)を別に示す。胸腔試験穿刺を行って悪臭のある黄色膿性の液を採取した。
- 対応として適切なのはどれか。2つ選べ。
- a 抗菌薬静脈内投与
- b 気管支鏡下吸引
- c 穿刺ドレナージ
- d 左下葉切除
- e 放射線治療
[正答]
※国試ナビ4※ [104I068]←[国試_104]→[104I070]
[★]
- 40歳の女性。軽度の全身倦怠感と易疲労感とを主訴に来院した。5年前から1日3合の冷酒を飲むようになった。身長152cm、体重44kg。右肋骨弓下に表面平滑の肝を3cm触知し、圧痛を認めない。血清生化学所見:総ビリルビン1.0mg/dl、AST80IU/l、ALT50IU/l、γ-GTP580IU/l(基準8~50)。肝生検組織H-E染色標本を以下に示す。
- この疾患で正しいのはどれか。2つ選べ。
- a. 同一飲酒量では男性の方が罹患しやすい。
- b. 飲酒を続けても肝硬変には進展しない。
- c. γ-GTPは禁酒により速やかに改善する。
- d. 肝に蓄積しているのは中性脂肪である。
- e. 肝の組織学的変化は不可逆性である。
[正答]
※国試ナビ4※ [101G027]←[国試_101]→[101G029]
[★]
- 58歳の男性。2日前からの左膝関節痛と両足関節痛とを主訴に来院した。アルコール性肝障害を指摘され通院中である。意識は清明。体温37.0℃。脈拍92/分、整。血圧126/72mmHg。呼吸数20/分。左膝関節に熱感、腫脹および圧痛があったため膝関節穿刺を行った。穿刺で得られた関節液の写真(別冊No.6A)と顕微鏡写真(無染色)(別冊No.6B)とを別に示す。関節液の白血球数は2,125/μl、Gram染色で細菌を認めない。
- 診断はどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [107G045]←[国試_107]→[107G047]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [102D013]←[国試_102]→[102D015]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [101C015]←[国試_101]→[101C017]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [100E018]←[国試_100]→[100E020]
[★]
- 英
- fatty liver、steatosis、hepatic steatosis、liver steatosis
- 関
- 脂肪過多症、脂肪症、アルコール性肝障害
概念
病態生理
- see BPT.654 uptodate.2
原因
- YN.B-36改変 uptodate.1
検査
- AST・ALT:正常かやや上昇(ALT優位) (YN.B-36) ⇔ アルコール性脂肪肝ではAST優位
- 思うに、小葉辺縁(門脈域)にはALTが多いが、脂肪滴を蓄えた肝細胞はこの領域に多いのでは?だとすれば、lipid peroxidation productによる肝障害によりALTがleakしてALT優位となる説明がつくのだが。どうなの?
CT
- 脂肪肝:単純CTで肝実質のCT値が脾臓よりも低くなる。正常な肝臓は脈管より高CT値を示すが、脂肪肝の場合はより低CT値を示すようになる
- 肝臓CT値低下の鑑別診断:肝炎に伴う浮腫、肝臓の線維化、腫瘍浸潤(悪性リンパ腫、びまん性肝細胞癌)、アミロイドーシス
==参考==liver disease - wiki en
- http://en.wikipedia.org/wiki/Non-alcoholic_fatty_liver_disease
uptodate
- 1. [charged] 成人における甲状腺機能亢進症の臨床症状の概要 - uptodate [4]
- 2. [charged] 非アルコール性脂肪性肝疾患の病因 - uptodate [5]
[★]
[★]
- 英
- Mallory body
- 同
- アルコール硝子体、alcoholic hyaline alcoholic hyalin body、アルコール小体 alcoholic body
- HE染色で赤く染まる
- 毒物による肝細胞障害に伴うサイトケラチンを含む細胞骨格要素の細胞内蓄積による(APT.207)
臨床関連
参考
- http://kc.hospital.okayama-u.ac.jp/~pathology/1999/image1/okayama/b-32/0725/PIC00004.jpg
- http://kc.hospital.okayama-u.ac.jp/~pathology/1999/image1/okayama/b-32/0725/PIC00005.jpg
- http://www.kdcnet.ac.jp/hepatology/pathology/autoimmune/sl22.jpg
- http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/0/0b/Mallory_body_high_mag_cropped.jpg
- http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/d/d3/Mallory_body_intermed_mag.jpg
[★]
- 英
- alcoholic hepatitis
- 関
- アルコール性肝障害。肝障害
概念
- アルコールの過飲により生じた肝炎。
- 経過中に脂肪肝や肝硬変に至り、また肝細胞癌も発症し、最後には肝機能を失い(非代償性肝硬変)に至り死亡する
血液検査
- 典型的にはAST,ALTは300-500IU/L程度。
- AST優位:AST:ALT=2:1
重症度
- 血小板減少、鉄飽和度上昇、T-Bil上昇、PT-INR上昇は重症肝炎を示唆する。
- Maddrey discriminant function (DF, also known as the Maddrey score)
- DF = (4.6 x [prothrombin time (sec) - control prothrombin time (sec)]) + (serum bilirubin(mg/dl))
- DF value ≥32 or 脳症があるときはステロイド治療の適応。禁忌:慢性B型肝炎、敗血症、消化管出血
治療
[★]
- 英
- immunoglobulin A
- 同
- 免疫グロブリンA γA gamma A
- 関
- 免疫グロブリン Ig
概念
基準値
- 110-410 mg/dl (臨床検査法提要第32版)
臨床関連
[★]
- 英
- alcohol
- 関
- エタノール
アルコールによる酩酊の分類
-
-
- 0.5 mg/ml 以上で酒気帯び → 道路交通法(0.5 mg/ml以上で運転能力の低下、1.5 mg/ml以下では著しい低下。1.5-2.0 mg/mlがもっとも危険。これ以上では運転できない)
- 血中アルコール濃度と酩酊の状態
- 0.0-0.5 mg/ml::殆ど無症状か、わずかな熱覚、味覚や嗅覚の低下
- 0.5-1.0 mg/ml:弱度酩酊:顔面紅潮、抑制からの解放、陽気、多幸感、不安や緊張の緩和、反応時間の延長など
- 1.0-1.5 mg/ml:軽度酩酊:多弁、大胆、感覚の軽度麻痺、気分爽快、多弁など
- 1.5-2.5 mg/ml:中程度酩酊:眠気に襲われる、言語不明瞭、平衡感覚が鈍麻し、千鳥足になる、理解・判断力鈍麻など
- 2.5-3.5 mg/ml:強度酩酊:歩行困難、顔面蒼白、悪心、嘔吐、感覚麻痺、精神運動性興奮、言語不明瞭、諸反射の消失など
- 3.5-4.5 mg/ml:重度酩酊、泥酔:意識消失、筋力消失、呼吸困難、体温低下、昏睡状態
- 4.5- mg/ml:呼吸麻痺、心機能不全などで死亡する。
アルコールの慢性症状
- アルコール中毒の患者において、脳神経でchromatosisが見られるが、ニューロンの脱落は末期まで見られない。小脳では虫部のニューロンが優先的に脱落する。大脳辺縁系の乳頭体に強い病変が見られる → ウェルニッケ・コルサコフ症候群と関連
- 振戦譫妄
- アルコール幻覚症
- コルサコフ症候群
- アルコール痴呆
- アルコールてんかん
アルコールによる非精神症状
アルコールによる疾患
- 身体疾患:アルコール性肝疾患(脂肪肝)、膵炎(急性膵炎、慢性膵炎)、大腿骨頭壊死症、末梢神経障害
- 精神疾患:急性アルコール中毒、慢性アルコール中毒、アルコール依存症、アルコール精神病
- (国試)100B077、095B075
アルコールの摂取と疾患
- ホジキンリンパ腫:掻痒症を呈する患者もいるが、そのばあい飲酒をすると当該部位に痛みが出現する(APT.83)
- 急性膵炎:増悪
アルコールの胎児への影響
- SUB.260
アルコールの摂取量
- 21世紀における国民健康づくり運動の目標値では節度ある適度な飲酒とは1日平均純アルコールで20g程度としている。 → ビール(5%) 400ml、日本酒(15%) 133.3ml
- 脳卒中治療ガイドライン2009ではクモ膜下出血の発症予防には過度の飲酒(1週間に150g以上)を避けることが推奨されている。
アルコールの単位
- アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20g。
[★]
- 英
- disorder、impairment、dysfunction、damage、difficulty、(妨げ)barrier、impediment、obstacle、disturbance、foe、(化学)hindrance、disorder、impair、lesion
- 関
- 妨げ、撹乱、関門、機能障害、機能不全、困難、傷害、障壁、損なう、損傷、ダメージ、破壊、破損、バリヤー、病変、不安、妨害、乱れ、無秩序、機能異常症、敵、疾患、バリア、バリアー、機能異常、機能不全症
[★]
harm、hazard、injure
- 関
- 危険、損傷、ハザード、傷害を与える、害する