-母指
出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2019/02/05 03:18:59」(JST)
「ゆび」はこの項目へ転送されています。同名の漫画については「ゆび (漫画)」を、松本清張の短編小説およびそれを原作とするテレビドラマについては「指 (松本清張)」をご覧ください。 |
指(ゆび)は、一般的に人間の身体の一部で、手や足の末端部にある突出部で、中に関節のある骨格を含む。人が日常的に使う部位だけに様々な意味合いを持つ言葉に発展し、慣用句でも多用されている。相同な構造は四肢動物全般に見られ、四肢の形成の初期から存在する物である。
大和言葉としての「ゆび」は手足両方を指すが、漢字の「指」は手偏が付いていることからもわかるとおり、本来は手の「ゆび」を意味する。英語などのゲルマン語や中国語では手の「ゆび」と足の「ゆび」を区別する。「finger」と「toe」、「Finger」と「Zehe」、「手指」と「脚趾」など[1]。英語では日本語の指と同様に親指を含めてfinger(s)と呼ぶ場合と、親指を除いた4本のみをfingerとする場合がある[2]。日本語でも、医学用語では「指」と「趾」を区別する。
一方、仏doigt・西dedo・伊ditoなどは「ゆび」と同様、手足ともに用いられる。
指はそれを所有する人間、動物によっては構成要素や構造が様々であり、その機能に見合った生活をしている。基本的には四肢を持つ脊椎動物に存在するもので、それ以外の動物の場合、類似の構造をこう呼ぶ場合があるが、普遍性のあるものはない。
人を含め左右の手あるいは腕や足にそれぞれ生物固有の本数と形状で備わり、付属器官として爪、指紋、外分泌器などがあり、外部への攻撃やモノの把持、触覚、歩行における体重移動の補助機関などとして働く。
形態学的に指は多くの関節と腱と筋肉から構成され、複雑な動きに耐えるモノが多い。また、その先端には角質化した爪があり、これも様々な形があって、指の働きを補助する。
霊長類、人の手の皮膚は無毛皮と有毛皮とで組成されており、共通して掌は無毛皮、手の甲は有毛皮である。無毛皮には高い密度で触覚に関する感覚細胞が配置し、敏感な触覚器となっている。無毛皮は独特の皮膚紋を持ち、指のそれを指紋と呼んでいる。
動物の種によって、また生まれ付いての突然変異によって指の本数は変わってくる。
人の指の数は主として5本であり、それ以外は奇形として扱われ、多指症、合指症、欠指症などの名称で呼ばれている。
動物の指の数は進化の分岐と共に分かれ、種によって指の本数が異なる。偶蹄目は第二趾・第三趾が発達し他は退化、奇蹄目とされるウマは第三趾のみ発達し他は退化。鳥類はダチョウが2本の指で、走行を主とした機能を果たしている。それに対し他の鳥の多くが4本指で前後逆向きについており、指でモノを挟むことができるようになっている。パンダは5本に加え、こぶが1本あり、指が6本あるように見える。イヌは親指の爪は狼爪と呼んでいる。バクは前肢4本後肢3本、サイは3本と、種によって指の本数は大きく変わる。
四肢は魚類から両生類が進化する過程において、胸びれと腹びれ、いわゆる対鰭を支える柄の部分から発達したものである。その際、その外側に配置した骨から生じたのが指である。これは、足が地面を掻く際の引っかかりになるように発達したものであろう。
ごく初期の両生類においては、5本より多くの指を持つ例がいくつか知られているが、この時期に次第に整理され、最終的には前後とも5本の指があるのが定型となった。したがって、それ以降の脊椎動物の各群においても5本が基本であり、そこからの特殊化の過程において、様々な本数、形態のものが生じた。特に変化の激しいのが鳥類であり、前足は飛行のための翼となり、その過程において、親指を除いて独立の指は見られない。後肢は多くのものでは4本であるが、内の1本が完全に後ろを向く。
当初の指は足の先端のわずかな突起であったようであるが、動物の陸上進出、それにつれてのニッチの拡大にしたがって、その形態も多様化した。
細長い指は、関節で折り曲げることで物を掴む機能を持つ。樹上生活においては、細い枝を持つのに適した構造となる。樹上性のカエルや、サル類においてこれは著しく見られる。また、食物を掴むなど、さらに細かい動作もこのような指によって可能となる。なお、物を掴んで操作するという点ではヒトの親指のように掌側に曲げられる指は貴重である。しかしこれを持つものは少ない。パンダの6本目というのはこのような機能を持たせたものである。
地上を走るという機能から考えた場合、むしろ長い指は邪魔であり、短くしっかりしたものが望ましい。イヌやネコなどは指を短く折り畳むようにしてこれを実現する。しかし、よりしっかりと長距離を走るには、さらに固める方が望ましく、ほとんど区別できない指に固くて厚い爪を装備する。ダチョウや有蹄類のものが有名で、これらの動物ではさらに指の減少傾向がはっきりと見られる。
水中生活には、指の間に水かきを広げて、水を掻く能力をつける(カエル・カモノハシ・アヒルなど)。より遊泳力をつけるために、指全体を厚く肉が被ってオールのような形になる例もある(ウミガメ・クジラ)。空を飛ぶためにも、指の間に水かきを発達させる例がある(トビガエル・コウモリなど)。
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日本語の指の名称は多様である。
標準 | 親指(おやゆび) | 人差し指(ひとさしゆび) | 中指(なかゆび) | 薬指(くすりゆび) | 小指(こゆび) |
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医学(番号) | 第一指(だいいちし)[8] | 第二指(だいにし)[8] | 第三指(だいさんし)[8] | 第四指(だいしし)[8] | 第五指(だいごし)[8] |
医学(名称) | 母指(ぼし)[8] | 示指(じし)[8] | 中指(ちゅうし)[8] | 薬指(やくし)[8] 環指(かんし) |
小指(しょうし)[8] |
漢語 | 拇指(ぼし)[9] | 食指(しょくし)[10] | 中指(ちゅうし)[11] | 無名指(むめいし)[12] | 小指(しょうし) |
幼児語 | お父さん指(おとうさんゆび) | お母さん指(おかあさんゆび) | お兄さん指(おにいさんゆび) | お姉さん指(おねえさんゆび) | 赤ちゃん指(あかちゃんゆび) |
その他 | 塩嘗め指(しおなめゆび)[13] | 高々指(たかたかゆび)[14] 丈高指(たけたかゆび)[15] |
薬師指(くすしゆび)[16] 名無し指(ななしゆび)[17] |
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ピアノの運指番号 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
ギターの運指番号
/運指記号 (指板側/爪弾き側) |
T(まれ)/p | 1/i | 2/m | 3/a | 4/c(まれ) |
医学、生物学などでは、指を番号で呼ぶ。
下肢のものには漢字に「趾(し)」を用い、第一趾、第二趾、第三趾、第四趾、第五趾と書く。第一趾と第五趾は、それぞれ母趾、小趾とも呼ぶ。
医学では、手の親指が外側(がいそく)、小指が内側(ないそく)であり、日常語の外側(そとがわ)、内側(うちがわ)と紛らわしい。このため、親指側を橈側、小指側を尺側と呼ぶ。足は親指が内側(ないそく)、小指が外側(がいそく)であり、日常語の内側(うちがわ)、外側(そとがわ)と一致する。足の親指側を脛側、小指側を腓側とも呼ぶ。
指は手の付属器官として、健康については手を基調に語られることが多いが、知覚神経や運動神経が鋭敏である指の固有の働きは、人の日常生活に欠かすことのできないものが多く、その重要性は高い。
付属器官である爪は代謝が早く、また、爪の裏には毛細血管が走っており、その色が日常的に観察しやすいために、その時々の体調を現しやすく、様々な健康診断の指標となり、健康のバロメーターとも呼ばれる。
また、指には固まりやすい関節部が多いため、指は使わないと1週間ほどで動きがかなり鈍くなってしまう。老化に伴い、関節部の代謝は悪くなるため、老後もその機能を保持するためには、こまめに動かすことが求められる。
指にはめる道具として、サック、手袋、軍手などがあり、装飾や保護の役割を果たす。サックは事務用途として、書類をめくりやすくする目的で用いられることがある。
また爪に着ける道具として、付け爪、マニキュアなどがあり、ネイルケアとして装飾や保護の役割を果たす。
裁縫を行う時に針の頭を押すために指貫を用いることもある。金属、プラスチック、革などがある。
ウィキメディア・コモンズには、指に関連するメディアがあります。 |
ウィクショナリーにゆびの項目があります。 |
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