出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/31 01:07:33」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)-6-{[(2S,3R,4S,6R) -4-(dimethylamino)-3-hydroxy-6-methyloxan-2-yl]oxy} -14-ethyl-12,13-dihydroxy-4-{[(2R,4S,5S,6S)-5-hydroxy -4-methoxy-4,6-dimethyloxan-2-yl]oxy}-7 -methoxy-3,5,7,9,11,13-hexamethyl -1-oxacyclotetradecane-2,10-dione | |
臨床データ | |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
?
|
投与方法 | 経口、静脈注 |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 50% |
血漿タンパク結合 |
明確でない、 |
代謝 | 肝臓、CYP2D6 |
半減期 | 3-4 時間 |
識別 | |
CAS番号 | 81103-11-9 |
ATCコード | J01FA09 |
PubChem | CID 5284534 |
DrugBank | DB01211 |
ChemSpider | 21112273 |
UNII | H1250JIK0A |
KEGG | D00276 |
ChEMBL | CHEMBL143 |
化学的データ | |
化学式 | C38H69NO13 |
分子量 | 747.953 g/mol |
SMILES
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InChI
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クラリスロマイシンはマクロライド系抗生物質のひとつ。略号はCAM。咽頭炎、扁桃炎、慢性気管支炎の急性増悪、肺炎(特にマイコプラズマ肺炎とクラミジア肺炎)、皮膚感染症、非結核性抗酸菌、レジオネラによる感染症の治療などにしばしば用いられる。新しいところではヘリコバクター・ピロリの除菌療法でも標準的な治療法に組み込まれている。
商品名は、クラリス、クラリシッド、Biaxin、Klabax、Claripen、Claridar、Fromilid、Clacid、infex。
1970年代に大正製薬が創製し、1991年にアメリカ合衆国のアボット社によって市販された。マクロライドの化学合成はたいへん難しく、クラリスロマイシンはエリスロマイシンの修飾によって生まれた半合成マクロライドである。
クラリスロマイシンは微生物のリボゾームの、50Sサブユニットという部分に結合して、タンパク合成を阻害する(詳しくはマクロライドの項を参照)。マクロライドの作用は主に静菌的(=増殖の抑制)である。クラリスロマイシンは原型薬のエリスロマイシンと類似の抗菌活性を有しているが、レジオネラなど一部の菌にはより強い抗菌活性を持ち、ほぼ全ての点でエリスロマイシンよりも優れている。高濃度ではインフルエンザ菌、肺炎球菌、淋菌などの一部の菌に殺菌的にも作用する。
エリスロマイシンとは異なり、クラリスロマイシンは酸に対して安定で、コーティングなどで胃酸から保護しなくても経口投与できる。ほとんどが腸から吸収され、かなり初回通過効果(肝臓での代謝)の影響を受けるので、生物学的利用度は50~55%である。これをわかりやすく言うと、口から投与した量の半分ぐらいが、クラリスロマイシンの作用点にあたる部位に到達して作用する、と考えればよい。最高血中濃度は、投与を開始してから2時間程度で得られる。
基本的にはエリスロマイシン同様に、時間依存性の抗生物質と考えられているので、徐放製剤も米国では利用できる(Biaxin XL:1日1回の投与でよい。日本では未認可)。白血球などの食細胞に蓄積する作用があるため、能動的に病変部へ輸送され、全身の組織内では血中濃度の10倍以上の濃度を得ることができる。もっとも高濃度になるのは肝臓と肺である。
主に肝臓で代謝されるが、代謝産物の中で14-ハイドロキシクラリスロマイシンはクラリスロマイシンのほぼ2倍の活性を持っている。クラリスロマイシンの半減期は5時間で、14-ハイドロキシクラリスロマイシンのそれは7時間である。これは、エリスロマイシンの血中半減期の数倍に相当する。従って、徐放化されていなくても一日2(~3)回の内服で良い。クラリスロマイシンとその代謝産物は、尿と胆汁へと排泄される。もっとも、相当重症(クレアチニンクリアランスで30未満)で無い限り、腎不全で投与量を修飾する必要は無い。
クラリスロマイシンに限らず、マクロライドの基本的な用途はペニシリン系やキノロン系がアレルギーなどにより禁忌であるヒトに対する、連鎖球菌などのグラム陽性菌感染症の代替薬である。さらに、第一選択となる主なものにはベータラクタム系が無効のマイコプラズマ・リケッチア・クラミジアによる感染症がある。原型薬のエリスロマイシンがかなり臨床的な使いづらさのある薬剤(一日4~6回も飲まなければならない、消化器症状が強いなど)であるため、クラリスロマイシンは多くのマクロライドの用途において、アジスロマイシンなどと並んで「マクロライドの顔」として広く用いられている。ほか、インフルエンザ菌への活性はエリスロマイシンよりも優れている。
アジスロマイシンやロキシスロマイシンとどちらが優れているかは大変難しい問題である。非定型抗酸菌やヘリコバクター・ピロリのようにクラリスロマイシンによる治療が確立しているものに、理由も無くアジスロマイシンを代替薬として用いる必要はないだろう(新しい薬がいい薬、とは限らない)。しかし、一方でアジスロマイシンの薬物動態学的特性(飲ませる期間が短く、回数も1日1回でよい、見かけの分布容積がとても大きい)は魅力的であり、マクロライドという服薬コンプライアンスが悪く(つまり味が悪く)、耐性菌の問題が深刻になっている薬剤では重要な利点である。時に、一般論としてアジスロマイシンの優位性を主張する識者も存在する。
成人での一日量は400mg/日。非結核性抗酸菌症に対しては800mg/日。
一般にはクラリス/クラリシッド錠(200mg) 2錠 一日2回(AIDS患者の非結核性抗酸菌症(NTM)の治療などでは増量)。
各感染症について、何日投与を続けるかは疾患や病状、医師により異なる。概して咽頭炎では10日が推奨されている。胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌で7日間他剤と併用が日本では保険適応とされている。期間も重要であるが、耐性菌の問題もあるので、服薬コンプライアンスに注意を払う必要がある。ことに解熱後の、症状がとれてきた時期が問題である。
小児:クラリス/クラリシッドドライシロップ(ないし錠剤)で10~15mg/kg/日 一日2~3回。
その他、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の各剤形が各社から発売されている。
クラリスロマイシンの絶対禁忌は、本剤にアレルギー反応を持つ者と、エルゴタミン(カフェルゴット)などの一部の薬剤を投与中の患者ぐらいであり、基本的には使いやすい薬である。しかしCYP3Aの強力な阻害剤であり相互作用の問題からクラリスロマイシンを利用する患者は、市販薬も含めて全ての現在服用している薬剤を、おくすり手帳などを用いて医師・薬剤師に申告することが強く勧められる。
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クラリスロマイシン錠50小児用 「MEEK」
なお、年齢、症状により適宜増減する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
(頻度不明)
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ブドウ球菌属、レンサ球菌属などの好気性グラム陽性菌、モラクセラ (ブランハメラ)・カタラーリス、インフルエンザ菌、百日咳菌、カンピロバクター属などの一部のグラム陰性菌、マイコプラズマ属、クラミジア属及びMycobacterium avium complexに対する抗菌作用は他のマクロライド系抗生物質と同等以上であり、良好な組織移行性を反映して、各種感染症モデルですぐれた防御及び治療効果を示す。ヒトの主代謝物である14位水酸化体は、ブドウ球菌属などに対して未変化体とほぼ同等の抗菌力を有するが、Mycobacterium avium complexに対しては未変化体よりも弱い。3)
アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく、メタノール、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。
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系統 | 前投与抗菌薬 | 抗菌薬投与後に高頻度に検出される細菌 | |
自然耐性菌 | 獲得耐性菌 | ||
ペニシリン系 | アンピシリン | Klebsiella pneumoniae | 大腸菌、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSA) |
ピベラシリン | 緑膿菌 | ||
セフエム系(第1・2世代) | セフアゾリン、セフォチアム | 緑膿菌、腸球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌 |
セフエム系(第3世代) | セフ卜リアキソン | 腸球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、大腸菌 |
セフタジジム | |||
セフエビム | |||
カルバペネム系 | メロペネム | Stenotrophomonas maltophilia | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌 |
イミペネム | |||
アミノグリコシド系 | アミカシン | 腸球菌、嫌気性菌 | 緑膿菌, Serratia marcescens |
トブラマイシン | レンサ球菌、肺炎球菌 | ||
マクロライド系 | クラリスロマイシン | 腸内細菌科 | 黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、化膿性レンサ球菌 |
アジスロマシン | |||
テトラサイクリン系 | ミノサイクリン | Proteus mirabilis | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、Brukholderia cepacia、Acinetobacter baumannii |
Morganella morganii | |||
Providencia rettgeri | |||
キノロン系 | レポフロキサシン | レンサ球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA、大腸菌、緑膿菌 |
主な耐性菌 | 治療薬 |
緑膿菌 | アズトレオナム+ブラマイシン、シプロフロキサシン(感性株)、(コリスチン) |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) | バンコマイシン、テイコプラ二ン、アルベカシン、リネゾリド、(ST合剤、リファンピシン) |
ESBLs産生大腸菌 | ドリペネム、メロペネム、イミペネム、アミカシン、ST合剤 |
グルコース非発酵性グラム陰性桿菌 | ミノサイクリン、ピベラシリン、アンピシリン+スルバクタム、クロラムフェニコール、ST合剤、(コリスチン) |
バンコマイシン耐性腸球菌 | テイコプラ二ン(VanB型)、リネゾリド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン |
()は多分保険適用かないか、日本では未発売 |
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