- 英
- chloral hydrate
- ラ
- chlorali hydras
- 商
- エスクレ、抱水クロラール
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/1123001X1020_2_02/1123001X1020_2_02?view=body
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抱水クロラール |
|
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|
別称
トリクロロアセトアルデヒド一水和物
抱水クロラール
|
識別情報 |
CAS登録番号 |
302-17-0 |
PubChem |
2707 |
ChemSpider |
2606 |
KEGG |
D00265 |
|
- InChI=1/C2H3Cl3O2/c3-2(4,5)1(6)7/h1,6-7H
|
特性 |
化学式 |
C2H3Cl3O2 |
モル質量 |
165.403 g/mol |
外観 |
無色の固体 |
密度 |
1.91 g/cm3 |
融点 |
57 °C, 330 K, 135 °F
|
沸点 |
98 °C, 371 K, 208 °F
|
薬理学 |
生物学的利用能 |
吸収されやすい |
代謝 |
肝臓と腎臓でトリクロロエタノールに変換される。 |
消失半減期 |
血漿中で8 – 10時間 |
排泄 |
胆汁, 糞便, 尿 |
胎児危険度分類 |
C(US) |
危険性 |
MSDS |
External MSDS |
EU分類 |
有害 (Xn) |
Rフレーズ |
R22 R36 R37 R38 |
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。 |
抱水クロラール(ほうすいクロラール、Chloral hydrate)は示性式CCl3CH(OH)2で表される化合物。CCl3CHO・H2Oと表記されることもある。IUPAC名は2,2,2-トリクロロ-1,1-エタンジオール(2,2,2-trichloro-1,1-ethanediol)。CAS登録番号は302-17-0。融点57℃、沸点96.3度の無色か白色の結晶または結晶性粉末で、強い吸湿性がある。鼻を突く刺激臭があり、水に非常によく溶け、エタノール、ジエチルエーテルに溶けやすい。強酸化剤と激しく反応する。塩基と反応してクロロホルムおよびギ酸塩を生成する。日本では薬事法における習慣性医薬品に指定され[1]、また医薬品添付文書では劇薬である。
抱水クロラールは1832年に、ギーセン大学のユストゥス・フォン・リービッヒにより合成され、1869年にベルリン大学のオットー・リープライヒが不眠症を改善する薬としての有効性を認めた[2]。ブロムワレリル尿素と共にバルビツール以前の時代の薬である[3]。1900年ごろにバルビツール酸系薬が登場しとって代わられていった[4]。
一般的な脂肪鎖を有するアルデヒドの場合、ハイドレート(-CH(OH)2)よりアルデヒド(-CHO)のほうが安定でありアルデヒドとして存在するが、抱水クロラールはα位にある塩素原子の電子求引性効果によってアルデヒドよりもハイドレート体のほうが安定に存在している。
目次
- 1 合成
- 2 薬効
- 3 脚注
- 4 参考文献
- 5 関連項目
- 6 外部リンク
合成
エタノールを塩素化することで得られる。
- 4 Cl2 + C2H5OH + H2O → Cl3CCH(OH)2 + 5 HCl
薬効
抱水クロラールには沈静、催眠、抗けいれん作用があるため19世紀には用いられたが、20世紀にバルビツール酸系が登場すると使用が控えられていき、現在ではさらに安全性の高いベンゾジアゼピン系の薬剤も登場している[4]。依存や過量服薬での危険性の他、胸やけや発疹の副作用も多い[4]。また、麻酔作用も有しており、1853年に最初の静脈麻酔薬として用いられたが、その後はその安全域の狭さと作用の遅さのためにあまり使用されなかった。現在、動物用を除き麻酔に用いられることは無い。
非合法な使用法としては、体の自由を奪うため飲み物へ混入する事例が多い。
生物学分野では抱水クロラールとアラビアガム、グリセリンなどを混合して作るガム・クロラール系封入剤が、ダニや微小昆虫の形態観察のための半永久プレパラート作成に、盛んに用いられている。
農薬のDDTは抱水クロラールを出発物質として合成され、その反応の中間体として無水のクロラールが生成している。
脚注
- ^ 厚生省, “薬事法第50条第9号の規定に基づき習慣性があるものとして厚生労働大臣の指定する医薬品 通知本文” (プレスリリース), 厚生労働省, http://wwwhourei.mhlw.go.jp/cgi-bin/t_document.cgi?MODE=hourei&DMODE=CONTENTS&SMODE=NORMAL&EFSNO=627&PAGE=1 2014年2月16日閲覧。
- ^ エドワード・ショーター 『精神医学の歴史』 木村定(翻訳)、青土社、1999年10月、243頁。ISBN 978-4791757640。、A History of Psychiatry: From the Era of the Asylum to the Age of Prozac, 1997
- ^ 村崎光邦 「睡眠薬学の歴史と現在」『睡眠学』 朝倉書店、2009年2月、649-651頁。ISBN 978-4254300901。
- ^ a b c デイヴィッド・ヒーリー 『ヒーリー精神科治療薬ガイド』 田島治、江口重幸監訳、冬樹純子訳訳、みすず書房、2009年7月、第5版、264-265頁。ISBN 978-4-622-07474-8。、Psychiatric drugs explained: 5th Edition
参考文献
医薬品添付文書
- マイラン製薬 (2012-03) (pdf). 抱水クロラール「ホエイ」 (Report). 日本医薬情報センター. http://database.japic.or.jp/pdf/newPINS/00000780.pdf 2014年2月16日閲覧。.
関連項目
外部リンク
- 「健康食品」の安全性・有効性情報 厚生労働省と東京都が医薬品成分(抱水クロラール)を含む製品に注意喚起(080411) (独立行政法人 国立健康・栄養研究所)
睡眠導入剤と鎮静剤 (N05C) |
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GABAA
アゴニスト/PAM |
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GABAB
アゴニスト |
- 1,4-ブタンジオール
- アセブル酸
- GABOB
- GHB (ナトリウムオキシベート)
- GBL
- GVL
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H1 インバース
アゴニスト |
抗ヒスタミン系: |
- カプトジアミン
- シプロヘプタジン
- ジフェンヒドラミン
- ドキシルアミン
- ヒドロキシジン
- メタピリレン
- フェニルアミン
- プロメタジン
- プロピオマジン
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抗うつ薬 |
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抗精神病薬 |
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α1-アドレナリン
アンタゴニスト |
抗うつ薬 |
- セロトニンアンタゴニストと再取り込み阻害薬
- 三環系抗うつ薬
- 四環系抗うつ薬
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抗精神病薬 |
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その他: |
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α2-アドレナリン受容体
アゴニスト |
- 4-NEMD
- クロニジン
- デトミジン
- デクスメドエトミジン
- ロフェキシジン
- メデトミジン
- ロミフィジン
- チザニジン
- キシラジン
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5-HT2A
アンタゴニスト |
抗うつ薬 |
- セロトニンアンタゴニストと再取り込み阻害薬
- 三環系抗うつ薬
- 四環系抗うつ薬
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抗精神病薬 |
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その他: |
- エプリバンセリン
- ニアプラジン
- プルバンセリン
- ボリナンセリン
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メラトニン
アゴニスト |
- アゴメラチン
- LY-156,735
- メラトニン
- ラメルテオン
- タシメルテオン
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オレキシン
アンタゴニスト |
- アルモレキサント
- SB-334,867
- SB-408,124
- SB-649,868
- スボレキサント
- TCS-OX2-29
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その他 |
- アセカルブロマール
- アプロナール
- ブロミソバル
- カンナビジオール
- カルブロマール
- エンブトラミド
- エボキシン
- フェナジアゾール
- ガバペンチン
- カバラクロン
- メフェノキサロン
- オピオイド
- トケイソウ
- スコポラミン
- UMB68
- バルノクタミド
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Japanese Journal
- 鎮静・催眠薬 (特集 エキスパートが教える研修医のための薬の使いかた)
- 経験 小児のけいれん発作に対する抱水クロラール注腸用キット(エスクレ注腸用キット)の有用性--ジアゼパム坐剤(ダイアップ坐剤)との比較を含めて
Related Links
- 抱水クロラールとは?抱水クロラールの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけではありません。
- 抱水クロラール(ほうすいクロラール、Chloral hydrate)は示性式CCl 3 CH(OH) 2 で表される化合物。CCl 3 CHO・H 2 Oと表記されることもある。IUPAC名は2,2,2-トリクロロ-1,1-エタンジオール(2,2,2-trichloro-1,1-ethanediol)。CAS登録番号は ...
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Japan Pharmaceutical Reference
販売名
エスクレ注腸用キット「500」
組成
有効成分
含量(1キット・1340mg中)
添加物
禁忌
- 本剤の成分又はトリクロホスナトリウムに対して過敏症の既往歴のある患者[抱水クロラールは、生体内でトリクロロエタノールとなる。]
- 急性間けつ性ポルフィリン症の患者[ポルフィリン症の症状を悪化させる。]
効能または効果
- 理学検査時における鎮静・催眠
- 静脈注射が困難なけいれん重積状態
- 抱水クロラールとして、通常小児では30〜50mg/kgを標準とし、直腸内に注入する。
なお、年齢・症状・目的に応じ適宜増減する。
総量1.5gを越えないようにする。
慎重投与
- 肝障害、腎障害のある患者[抱水クロラールは肝臓において加水分解され、トリクロロエタノールとなり、また腎臓より排泄されるため、これらの患者では血中濃度の持続・上昇により副作用を増強するおそれがある。]
- 虚弱者[呼吸抑制を起こすおそれがある。]
- 呼吸機能の低下している患者[呼吸抑制を起こすおそれがある。]
- 重篤な心疾患又は不整脈のある患者[心機能抑制により症状を悪化させるおそれがある。]
重大な副作用
無呼吸、呼吸抑制
(頻度不明)
- 無呼吸、呼吸抑制が起こることがあり、心肺停止に至った症例も報告されているので、呼吸状態の観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
ショック
(頻度不明)
- ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、チアノーゼ、血圧低下、浮腫、全身発赤等があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
依存性
(頻度不明)
- 連用により薬物依存を生じることがあるので観察を十分に行い、用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること。
また、大量投与又は連用中の投与量の急激な減少ないし投与の中止により、まれに痙れん発作、せん妄、振戦、不安等の禁断症状があらわれることがあるので投与を中止する場合には、徐々に減量するなど慎重に行うこと。
薬効薬理
- 抱水クロラールは中枢神経系(大脳皮質)に作用し、中枢抑制・催眠作用ならびに抗けいれん作用をあらわす。抱水クロラールは、生体内でトリクロロエタノールに変化し、これが活性物質として中枢抑制作用を示すが、抱水クロラール自身にも中枢抑制作用があり、投与直後の作用は抱水クロラールによるもので、その後の作用はトリクロロエタノールによるものとされている。しかしながら、本剤の薬物動態検討結果及び薬効強度比の文献値(抱水クロラール:トリクロロエタノール=1:1.18)2)より、本剤の薬効発現本体はトリクロロエタノールと考えられた。
- イヌに抱水クロラール500mg/kgを直腸投与し、脳波を測定したところ、投与後20〜200分にわたり、麻酔第1〜3期の麻酔深度を示す自発脳波の変化がみられた。3)
- ウサギに抱水クロラール200〜250mg/kg又は500〜600mg/kg直腸投与により、I〜IV度(坂本の方法による麻酔深度)の麻酔効果が認められた。4)
- マウス又はラットを用い、抱水クロラール500mg/kgを直腸投与し、一般症状を観察したところ、数分以内に運動量の減少、眼瞼下垂、歩行失調及び正向反射の消失がみられた。3)
- マウス又はラットに抱水クロラールを直腸内前投与することにより、各種の実験的けいれん発現(電気ショック、ペンテトラゾール、ストリキニーネ、ニコチン)に対する抑制効果が認められた。3)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 2,2,2-trichloroethane-1,1-diol
分子式
性状
- 無色の結晶で、刺激性のにおいがあり、味は刺激性でやや苦い。水に極めて溶けやすく、エタノール(95)又はジエチルエーテルに溶けやすい。空気中で徐々に揮散する。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬:
[★]
- 英
- trichloroethanol
- 同
- トリクロロメチルカルビノール trichloromethylcarbinol
- 抱水クロラール(*CCl3CH(OH)2)の活性代謝物
- 示性式:CCl3CH2(OH)
- 中枢神経抑制薬・催眠薬として用いられていた。
- 縮瞳する。
参考
- 1. 2,2,2-Trichloroethanol - wiki en
[★]
- 英
- acetylglycinamide chloral hydrate