クラリスロマイシン
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クラリスロマイシン
|
IUPAC命名法による物質名 |
(3R,4S,5S,6R,7R,9R,11R,12R,13S,14R)-6-{[(2S,3R,4S,6R) -4-(dimethylamino)-3-hydroxy-6-methyloxan-2-yl]oxy} -14-ethyl-12,13-dihydroxy-4-{[(2R,4S,5S,6S)-5-hydroxy -4-methoxy-4,6-dimethyloxan-2-yl]oxy}-7 -methoxy-3,5,7,9,11,13-hexamethyl -1-oxacyclotetradecane-2,10-dione |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
?
|
投与方法 |
経口、静脈注 |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
50% |
血漿タンパク結合 |
明確でない、
低いとされる |
代謝 |
肝臓、CYP2D6 |
半減期 |
3-4 時間 |
識別 |
CAS番号 |
81103-11-9 |
ATCコード |
J01FA09 |
PubChem |
CID 5284534 |
DrugBank |
DB01211 |
ChemSpider |
21112273 |
UNII |
H1250JIK0A |
KEGG |
D00276 |
ChEMBL |
CHEMBL143 |
化学的データ |
化学式 |
C38H69NO13 |
分子量 |
747.953 g/mol |
SMILES
- O=C3O[C@H](CC)[C@](O)(C)[C@H](O)[C@H](C(=O)[C@H](C)C[C@](OC)(C)[C@H](O[C@@H]1O[C@H](C)C[C@H](N(C)C)[C@H]1O)C([C@H](O[C@@H]2O[C@H]([C@H](O)[C@](OC)(C2)C)C)[C@H]3C)C)C
|
InChI
-
InChI=1S/C38H69NO13/c1-15-26-38(10,45)31(42)21(4)28(40)19(2)17-37(9,47-14)33(52-35-29(41)25(39(11)12)16-20(3)48-35)22(5)30(23(6)34(44)50-26)51-27-18-36(8,46-13)32(43)24(7)49-27/h19-27,29-33,35,41-43,45H,15-18H2,1-14H3/t19-,20-,21+,22?,23-,24+,25+,26-,27+,29-,30+,31-,32+,33-,35+,36-,37-,38-/m1/s1
Key:AGOYDEPGAOXOCK-LERDGGEFSA-N
|
クラリスロマイシンはマクロライド系抗生物質のひとつ。略号はCAM。咽頭炎、扁桃炎、慢性気管支炎の急性増悪、肺炎(特にマイコプラズマ肺炎とクラミジア肺炎)、皮膚感染症、非結核性抗酸菌、レジオネラによる感染症の治療などにしばしば用いられる。新しいところではヘリコバクター・ピロリの除菌療法でも標準的な治療法に組み込まれている。
商品名は、クラリス、クラリシッド、Biaxin、Klabax、Claripen、Claridar、Fromilid、Clacid、infex。
目次
- 1 歴史
- 2 作用機序
- 3 ファーマコキネティクス(薬物動態学)
- 4 適応
- 5 処方例
- 6 剤形
- 7 副作用
- 8 禁忌
- 9 脚注
- 10 外部リンク
歴史
1970年代に大正製薬が創製し、1991年にアメリカ合衆国のアボット社によって市販された。マクロライドの化学合成はたいへん難しく、クラリスロマイシンはエリスロマイシンの修飾によって生まれた半合成マクロライドである。
作用機序
クラリスロマイシンは微生物のリボゾームの、50Sサブユニットという部分に結合して、タンパク合成を阻害する(詳しくはマクロライドの項を参照)。マクロライドの作用は主に静菌的(=増殖の抑制)である。クラリスロマイシンは原型薬のエリスロマイシンと類似の抗菌活性を有しているが、レジオネラなど一部の菌にはより強い抗菌活性を持ち、ほぼ全ての点でエリスロマイシンよりも優れている。高濃度ではインフルエンザ菌、肺炎球菌、淋菌などの一部の菌に殺菌的にも作用する。
ファーマコキネティクス(薬物動態学)
エリスロマイシンとは異なり、クラリスロマイシンは酸に対して安定で、コーティングなどで胃酸から保護しなくても経口投与できる。ほとんどが腸から吸収され、かなり初回通過効果(肝臓での代謝)の影響を受けるので、生物学的利用度は50~55%である。これをわかりやすく言うと、口から投与した量の半分ぐらいが、クラリスロマイシンの作用点にあたる部位に到達して作用する、と考えればよい。最高血中濃度は、投与を開始してから2時間程度で得られる。
基本的にはエリスロマイシン同様に、時間依存性の抗生物質と考えられているので、徐放製剤も米国では利用できる(Biaxin XL:1日1回の投与でよい。日本では未認可)。白血球などの食細胞に蓄積する作用があるため、能動的に病変部へ輸送され、全身の組織内では血中濃度の10倍以上の濃度を得ることができる。もっとも高濃度になるのは肝臓と肺である。
主に肝臓で代謝されるが、代謝産物の中で14-ハイドロキシクラリスロマイシンはクラリスロマイシンのほぼ2倍の活性を持っている。クラリスロマイシンの半減期は5時間で、14-ハイドロキシクラリスロマイシンのそれは7時間である。これは、エリスロマイシンの血中半減期の数倍に相当する。従って、徐放化されていなくても一日2(~3)回の内服で良い。クラリスロマイシンとその代謝産物は、尿と胆汁へと排泄される。もっとも、相当重症(クレアチニンクリアランスで30未満)で無い限り、腎不全で投与量を修飾する必要は無い。
適応
クラリスロマイシンに限らず、マクロライドの基本的な用途はペニシリン系やキノロン系がアレルギーなどにより禁忌であるヒトに対する、連鎖球菌などのグラム陽性菌感染症の代替薬である。さらに、第一選択となる主なものにはベータラクタム系が無効のマイコプラズマ・リケッチア・クラミジアによる感染症がある。原型薬のエリスロマイシンがかなり臨床的な使いづらさのある薬剤(一日4~6回も飲まなければならない、消化器症状が強いなど)であるため、クラリスロマイシンは多くのマクロライドの用途において、アジスロマイシンなどと並んで「マクロライドの顔」として広く用いられている。ほか、インフルエンザ菌への活性はエリスロマイシンよりも優れている。
主な適応
- 咽頭炎・細菌性肺炎・急性中耳炎、副鼻腔炎などの、起因菌としてグラム陽性球菌が想定される感染症:基本的にはペニシリン系が用いられない場合に限るべき。静菌的な薬剤でもあり、臨床的な「切れ味(効果)」の面で明らかに劣る。
- 非定型肺炎:基本的には、マイコプラズマとクラミジアによる肺炎の総称。第一選択。ウィルス性肺炎と鑑別しがたい場合も、重症度によってはやむを得ず用いられる(抗生物質の投与が広く行われるようになっているので、症状がマイルドになり鑑別が難しくなっている面もある)。
- トラコーマ、性器クラミジア感染症などのクラミジア感染症:後者には服薬コンプライアンス面でアジスロマイシンが優れるとの考えが主流。
- 発疹チフスなどのリケッチア感染症、ツツガムシ病:基本的にはテトラサイクリン系を優先するが、小児や妊婦では第一選択になりうる。
- 百日咳(第一選択)
- カンピロバクター腸炎(第一選択)
- レジオネラ感染症(第一選択)
- 非結核性抗酸菌の予防・治療(第一選択) 2008年5月より保険適応となった。
- ヘリコバクター・ピロリの除菌療法(第一選択)。前述の様に呼吸器感染症の治療に用いられることから、小児のクラリスロマイシン耐性菌保有も見られる[1]。
アジスロマイシンやロキシスロマイシンとどちらが優れているかは大変難しい問題である。非定型抗酸菌やヘリコバクター・ピロリのようにクラリスロマイシンによる治療が確立しているものに、理由も無くアジスロマイシンを代替薬として用いる必要はないだろう(新しい薬がいい薬、とは限らない)。しかし、一方でアジスロマイシンの薬物動態学的特性(飲ませる期間が短く、回数も1日1回でよい、見かけの分布容積がとても大きい)は魅力的であり、マクロライドという服薬コンプライアンスが悪く(つまり味が悪く)、耐性菌の問題が深刻になっている薬剤では重要な利点である。時に、一般論としてアジスロマイシンの優位性を主張する識者も存在する。
処方例
成人での一日量は400mg/日。非結核性抗酸菌症に対しては800mg/日。
一般にはクラリス/クラリシッド錠(200mg) 2錠 一日2回(AIDS患者の非結核性抗酸菌症(NTM)の治療などでは増量)。
各感染症について、何日投与を続けるかは疾患や病状、医師により異なる。概して咽頭炎では10日が推奨されている。胃潰瘍・十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリの除菌で7日間他剤と併用が日本では保険適応とされている。期間も重要であるが、耐性菌の問題もあるので、服薬コンプライアンスに注意を払う必要がある。ことに解熱後の、症状がとれてきた時期が問題である。
小児:クラリス/クラリシッドドライシロップ(ないし錠剤)で10~15mg/kg/日 一日2~3回。
剤形
- クラリス/クラリシッド錠(200mg・50mg小児用)
- クラリス/クラリシッドドライシロップ(10%)小児用
その他、ジェネリック医薬品(後発医薬品)の各剤形が各社から発売されている。
副作用
- 他のマクロライドと同様で、重篤なものは少ない。多いのは消化器症状(下痢・悪心(吐き気)・嘔吐)である。消化器症状の頻度はエリスロマイシンよりも少なくなっている。
- まれに発疹・頭痛などを起こす。アレルギー反応はごくまれに重篤になるが、多くはない。
- クラリスロマイシンにより心臓死が増加することが報告されている。[2](ロキシスロマイシンでは同様の影響はみられなかった。)
禁忌
クラリスロマイシンの絶対禁忌は、本剤にアレルギー反応を持つ者と、エルゴタミン(カフェルゴット)などの一部の薬剤を投与中の患者ぐらいであり、基本的には使いやすい薬である。しかしCYP3Aの強力な阻害剤であり相互作用の問題からクラリスロマイシンを利用する患者は、市販薬も含めて全ての現在服用している薬剤を、おくすり手帳などを用いて医師・薬剤師に申告することが強く勧められる。
- 米国FDAの胎児危険度分類はクラス「C」である。禁忌ではない。動物実験レベルでクラリスロマイシンの催奇形性を示唆する報告が出ているが、大量投与を用いた実験であり臨床上の意義が明らかでない(一般的には、マクロライドは比較的安全である)。しかし、FDA基準ではアジスロマイシンやエリスロマイシンがクラス「B」としてより安全なクラスに入れてあるので、妊婦に対してアジスロマイシンやもっとも使用年数の長いエリスロマイシンの投与を優先することは十分考えうる選択肢である。
- FDAの授乳危険度分類は「2」。「注意深く用いること」である。禁忌ではない。
脚注
- ^ ヘリコバクター・ピロリの小児への感染とクラリスロマイシン耐性化 新潟医学会雑誌 118(11) pp.643-644 20041110
- ^ Svanström H et al. Use of clarithromycin and roxithromycin and risk of cardiac death: cohort study. BMJ. 2014;349:g4930.
外部リンク
- 医薬品医療機器情報提供ページ
- 添付文書をダウンロードできる。副作用などについての速報も全てここで入手できる。
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- クラリシッドドライシロップ10%小児用の熱変性(第2報)
- 小児のMycobacterium avium皮膚感染症の1例
- 坂井 博之,大坪 紗和,坂田 宏
- 旭川厚生病院医誌 14(1), 26-29, 2004-06-00
- … ライスキンであった.大腿の結節は非特異的肉芽腫性病変の像を呈し,PCR法および抗酸菌培養でMycobacterium avium(M.avium)を検出した.また,患児宅では24時間風呂を使用しており,自宅の湯からもM.aviumを検出した.クラリシッド,シプロフロキサシン,リファンプシンの併用により,約1年後には病変は治癒した.患児はアトピー性皮膚炎の治療中であり,感染には湿疹病変や皮膚バリア機能の障害が関与していたと思われた.慢性に経過 …
- NAID 120003037395
- 産婦人科領域におけるクラミジア感染症に対するClarithromycin(クラリシッド^( !R))の臨床効果
Related Links
- クラリス,クラリシッドとは?クラリスロマイシンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 成分(一般名) : クラリスロマイシン 製品例 : クラリス錠200、クラリス錠50小児用、クラリスドライ ...
- クラリシッド錠200mg[一般感染症・非結核性抗酸菌症](抗生物質製剤)を調べるならお薬検索QLife(キューライフ) ... クラリシッド錠200mg[一般感染症・非結核性抗酸菌症] 薬には効果(ベネフィット)だけでなく副作用(リスク)が ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
クラリシッド錠200mg
組成
成分・含量
- 1錠中 日局 クラリスロマイシン200mg (力価)
添加物
- カルボキシメチルスターチナトリウム,トウモロコシデンプン,ヒドロキシプロピルセルロース,ステアリン酸マグネシウム,カルナウバロウ,パラフィン,ショ糖脂肪酸エステル,ポリソルベート80,ポリビニルアルコール (部分けん化物),ヒプロメロース,酸化チタン,軽質無水ケイ酸
禁忌
- 本剤に対して過敏症の既往歴のある患者
- ピモジド,エルゴタミン含有製剤,タダラフィル[アドシルカ]を投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
- 肝臓又は腎臓に障害のある患者で,コルヒチンを投与中の患者〔「相互作用」の項参照〕
効能または効果
1.一般感染症
本剤に感性のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,モラクセラ (ブランハメラ)・カタラーリス,インフルエンザ菌,レジオネラ属,カンピロバクター属,ペプトストレプトコッカス属,クラミジア属,マイコプラズマ属
<適応症>
○表在性皮膚感染症,深在性皮膚感染症,リンパ管・リンパ節炎,慢性膿皮症
○外傷・熱傷及び手術創等の二次感染
○肛門周囲膿瘍
○咽頭・喉頭炎,扁桃炎,急性気管支炎,肺炎,肺膿瘍,慢性呼吸器病変の二次感染
○尿道炎
○子宮頸管炎
○感染性腸炎
○中耳炎,副鼻腔炎
○歯周組織炎,歯冠周囲炎,顎炎
- 通常,成人にはクラリスロマイシンとして1日400mg (力価) を2回に分けて経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.
2.非結核性抗酸菌症
本剤に感性のマイコバクテリウム属
<適応症>
マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス (MAC) 症を含む非結核性抗酸菌症
- 通常,成人にはクラリスロマイシンとして1日800mg (力価) を2回に分けて経口投与する.
なお,年齢,症状により適宜増減する.
3.ヘリコバクター・ピロリ感染症
本剤に感性のヘリコバクター・ピロリ
<適応症>
胃潰瘍・十二指腸潰瘍,胃MALTリンパ腫,特発性血小板減少性紫斑病,早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃におけるヘリコバクター・ピロリ感染症
- 通常,成人にはクラリスロマイシンとして1回200mg (力価),アモキシシリン水和物として1回750mg (力価) 及びプロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回,7日間経口投与する.なお,クラリスロマイシンは,必要に応じて適宜増量することができる.ただし,1回400mg (力価) 1日2回を上限とする.
- 本剤の使用にあたっては,耐性菌の発現等を防ぐため,原則として感受性を確認し,疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること.
- 非結核性抗酸菌症の肺マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス (MAC) 症及び後天性免疫不全症候群 (エイズ) に伴う播種性MAC症の治療に用いる場合,国内外の最新のガイドライン1)等を参考に併用療法を行うこと.
- 非結核性抗酸菌症に対する本剤の投与期間は,以下を参照すること.
疾患名
肺MAC症
投与期間
排菌陰性を確認した後,1年以上の投与継続と定期的な検査を行うことが望ましい。また,再発する可能性があるので治療終了後においても定期的な検査が必要である。
疾患名
後天性免疫不全症候群 (エイズ) に伴う播種性MAC症
投与期間
臨床的又は細菌学的な改善が認められた後も継続投与すべきである。
- 免疫不全など合併症を有さない軽症ないし中等症のレジオネラ肺炎に対し,1日400mg分2投与することにより,通常2〜5日で症状は改善に向う.症状が軽快しても投与は2〜3週間継続することが望ましい.また,レジオネラ肺炎は再発の頻度が高い感染症であるため,特に免疫低下の状態にある患者などでは,治療終了後,更に2〜3週間投与を継続し症状を観察する必要がある.なお,投与期間中に症状が悪化した場合には,速やかにレジオネラに有効な注射剤 (キノロン系薬剤など) への変更が必要である.
- クラミジア感染症に対する本剤の投与期間は原則として14日間とし,必要に応じて更に投与期間を延長する.
- ,*本剤をヘリコバクター・ピロリ感染症に用いる場合,プロトンポンプインヒビターはランソプラゾールとして1回30mg,オメプラゾールとして1回20mg,ラベプラゾールナトリウムとして1回10mg又はエソメプラゾールとして1回20mgのいずれか1剤を選択する.
- 進行期胃MALTリンパ腫に対するヘリコバクター・ピロリ除菌治療の有効性は確立していない.
- 特発性血小板減少性紫斑病に対しては,ガイドライン等を参照し,ヘリコバクター・ピロリ除菌治療が適切と判断される症例にのみ除菌治療を行うこと.
- 早期胃癌に対する内視鏡的治療後胃以外には,ヘリコバクター・ピロリ除菌治療による胃癌の発症抑制に対する有効性は確立していない.
慎重投与
- 他のマクロライド系薬剤に対して過敏症の既往歴のある患者
- 肝機能障害のある患者〔肝機能障害を悪化させることがある (「副作用」の項参照)〕
- 腎機能障害のある患者〔血中濃度が上昇するおそれがある (「薬物動態」の項参照),「相互作用」の項参照〕
- 心疾患のある患者〔QT延長,心室頻拍 (Torsades de pointesを含む),心室細動をおこすことがある (「副作用」の項参照)〕
- 高齢者〔「高齢者への投与」及び「薬物動態」の項参照〕
重大な副作用
ショック,アナフィラキシー様症状
(頻度不明)
- ショック,アナフィラキシー様症状 (呼吸困難,痙攣,発赤等) をおこすことがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
QT延長,心室頻拍 (Torsades de pointesを含む),心室細動
(頻度不明)
- QT延長,心室頻拍 (Torsades de pointesを含む),心室細動があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,QT延長等の心疾患のある患者には特に注意すること〔「慎重投与」の項参照〕.
劇症肝炎,肝機能障害,黄疸,肝不全
(頻度不明)
- 劇症肝炎,AST (GOT),ALT (GPT),γ-GTP,LDH,Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害,黄疸,肝不全があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
血小板減少,汎血球減少,溶血性貧血,白血球減少,無顆粒球症
(頻度不明)
- 血小板減少,汎血球減少,溶血性貧血,白血球減少,無顆粒球症があらわれることがあるので,定期的に検査を行うなど観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
皮膚粘膜眼症候群 (Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死融解症 (Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)
(頻度不明)
- 皮膚粘膜眼症候群 (Stevens-Johnson症候群),中毒性表皮壊死融解症 (Toxic Epidermal Necrolysis: TEN)があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
PIE症候群・間質性肺炎
(頻度不明)
- 発熱,咳嗽,呼吸困難,胸部X線異常,好酸球増多等を伴うPIE症候群・間質性肺炎があらわれることがあるので,このような症状があらわれた場合には,投与を中止し,副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと.
偽膜性大腸炎,出血性大腸炎
(頻度不明)
- 偽膜性大腸炎,出血性大腸炎等の重篤な大腸炎があらわれることがあるので,腹痛,頻回の下痢があらわれた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
横紋筋融解症
(頻度不明)
- 筋肉痛,脱力感,CK (CPK) 上昇,血中及び尿中ミオグロビン上昇を特徴とする横紋筋融解症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うとともに,横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること.
痙攣
(頻度不明)
- 痙攣 (強直間代性,ミオクロヌス,意識消失発作等) があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
急性腎不全,尿細管間質性腎炎
(頻度不明)
- 急性腎不全,尿細管間質性腎炎があらわれることがあるので,観察を十分に行い,乏尿等の症状や血中クレアチニン値上昇等の腎機能低下所見が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
アレルギー性紫斑病
(頻度不明)
- アレルギー性紫斑病があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.
薬剤性過敏症症候群2)
(頻度不明)
- 初期症状として発疹,発熱がみられ,さらに肝機能障害,リンパ節腫脹,白血球増加,好酸球増多,異型リンパ球出現等を伴う遅発性の重篤な過敏症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,このような症状があらわれた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.投与中止後も発疹,発熱,肝機能障害等の症状が再燃あるいは遷延化することがあるので注意すること.
薬効薬理
抗菌作用
- クラリスロマイシンは,グラム陽性菌29〜33)のブドウ球菌属,レンサ球菌属,肺炎球菌,グラム陰性菌29〜33)のモラクセラ (ブランハメラ)・カタラーリス,インフルエンザ菌,レジオネラ属,カンピロバクター属ならびにマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス (MAC)34),ヘリコバクター・ピロリ35),嫌気性菌36)のペプトストレプトコッカス属ならびにクラミジア属37),マイコプラズマ属38)に抗菌作用を示し,その作用は他のマクロライド系抗生物質と同等ないしはそれ以上である.
- クラリスロマイシンのヒトでの主代謝物14位水酸化体は,未変化体とほぼ同等の抗菌力を有する39)が,マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス (MAC)40)及びヘリコバクター・ピロリ35)に対しては未変化体より弱い.
作用機序
- 細菌の70Sのリボソームの50Sサブユニットと結合し,蛋白合成を阻害する41).
実験的感染に対する防御及び治療効果
- マウスの腹腔内感染 (防御効果)29,30,32,33,39),皮下感染 (防御効果)29,32,33,36),呼吸器感染症 (治療効果)29,30,33)に対し,抗菌力と組織移行性を反映した良好な効果を示す.
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- (2R ,3S ,4S ,5R ,6R ,8R ,10R ,11R ,12S ,13R )-5-(3,4,6-Trideoxy-3-dimethylamino-β-D-xylo -hexopyranosyloxy)-3-(2,6-dideoxy-3-C -methyl-3-O -methyl-α-L-ribo -hexopyranosyloxy)-11,12-dihydroxy-6-methoxy-2,4,6,8,10,12-hexamethyl-9-oxopentadecan-13-olide (日局に準拠)
略号
分子式
分子量
融点
性状
- 白色の結晶性の粉末で,味は苦い.アセトン又はクロロホルムにやや溶けやすく,メタノール,エタノール (95) 又はジエチルエーテルに溶けにくく,水にほとんど溶けない.
★リンクテーブル★
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商品
[★]
- 英
- clarithromycin, CAM
- 商
- クラリス、クラリシッド、クラロイシン、マインベース、ランサップ、リクモース、Biaxin
- 関
- 抗菌薬
-
特徴
構造