出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/11/01 14:35:20」(JST)
この項目では、鎮咳去痰薬について記述しています。ロックバンドについては「コデイン (バンド)」をご覧ください。 |
IUPAC命名法による物質名 | |
---|---|
(5α,6α)-7,8-didehydro-4,5-epoxy-3-methoxy-17-methylmorphinan-6-ol | |
臨床データ | |
MedlinePlus | a682065 |
胎児危険度分類 | C(US) |
法的規制 | Controlled (S8) (AU) Schedule I (CA) POM (UK) Schedule II (US) |
投与方法 | 経口、直腸 |
薬物動態的データ | |
生物学的利用能 | 90%(経口) |
代謝 | 肝臓、CYP2D6 |
半減期 | 2.5 - 3時間 |
排泄 | 48時間までに約95%が尿中に排泄 |
識別 | |
CAS登録番号 | 76-57-3 |
ATCコード | R05DA04 combinations: N02AA59 , N02AA79 |
PubChem | CID 5284371 |
IUPHAR ligand ID | 1673 |
DrugBank | DB00318 |
ChemSpider | 4447447 |
UNII | Q830PW7520 |
KEGG | C06174 |
ChEBI | CHEBI:16714 |
ChEMBL | CHEMBL485 |
化学的データ | |
化学式 | C18H21NO3 |
分子量 | 299.364 g/mol |
SMILES
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InChI
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コデイン(英: Codeine)またはメチルモルヒネは局所麻酔、鎮咳、および下痢止めの作用を持つμ受容体アゴニストのオピオイドである。塩である硫酸コデインもしくはリン酸コデイン(英: Codeine phosphate)として製品化されている。
リン酸コデインは鎮痛剤や下痢止めとして用いられるが、コデインを還元して製造したジヒドロコデインを鎮咳薬として風邪薬に配合するのが一般的である。
コデインは1832年にフランスの薬学者Pierre Jean Robiquetによって、アヘンからテバインと共に単離されたことで発見された。アヘン由来の天然化合物ベンジルイソキノリン型アルカロイドだが、コデインはアヘン中のアルカロイドとして0.7 - 2.5%ほどしか含まれない。化学構造上モルヒネに類似し、フェノール環3位のOH基がメチル置換されたメチルモルヒネであるため、アメリカ合衆国内で使用されているコデインはモルヒネをO-メチル化して合成されている。
WHO方式がん性痛治療法の第二段階の弱オピオイドの第1選択薬に指定されている。コデインはプロドラッグであり、グルクロン酸抱合及びO-脱メチル化された代謝産物のみが薬効薬理を発揮する。代謝産物の約10%がモルヒネとなり、鎮痛力価はモルヒネの半分にも満たないとされる。
厚生労働省において認可されている使用方法は以下のようになっている。
現在の投与方法は主に経口で、形状は錠、散、シロップなどがある。錠剤ではコデインはしばしばアセトアミノフェン、アスピリン、イブプロフェンと共に調合される。これらの組み合わせは、それぞれ単体での使用よりも良い疼痛コントロールが可能となる。1日に純粋なコデインの使用量が240mgを超えてしまった場合、コデインには天井効果が存在するため副作用が増強される恐れがある。
コデインは肝臓で全代謝の約80%がグルクロン酸抱合され、約10%はCYP2D6を触媒としたO-脱メチル化を受け、残りはN-脱メチル化される。この内、O-脱メチル化された代謝物が主に薬効を発現する。 シトクロムP450酵素によってO-脱メチル化されたコデインはモルヒネに代謝される。さらにこのモルヒネがグルクロン酸抱合受けてできるmorphine-6-glucuronide(以降M-6-G)がモルヒネと共にオピオイド受容体に作用し、下降性疼痛を抑制することで鎮痛作用の主体を担っている。一方、グルクロン酸抱合によってコデインはcodeine-6-glucuronide(以降C-6-G)に代謝される。C-6-Gは全代謝の約80%を占めるが、μ受容体への結合が弱く、鎮痛には関与していないとされる。しかし一部鎮痛に関与しているとの報告もある。N-脱メチル化されたコデインは、ノルコデインになり、最後はノルモルヒネに代謝される。
モルヒネと極めて類似した化学構造と薬理作用を有するが、モルヒネに比べ作用は弱く、力価は鎮痛作用は1/6、鎮静・催眠作用は約1/4、呼吸抑制作用も1/4程度とされている。反面、鎮咳作用量でモルヒネに比べ便秘、悪心・嘔吐等の副作用が少なく、依存性形成も弱いので、主として鎮咳の目的に使用される。論理的には30mgのモルヒネ(経口)と同じ鎮痛作用を期待するには、約200mgのコデイン(経口)の投与が必要である[2]。しかし実際には1回60mg、24時間につき240mg以上は投与されない。これは天井効果により、投与量を多くしても効果は投与量に比例して大きくならないからである。反対に副作用が強くなる恐れがある。
本邦においてコデインは散、錠、シロップといった経口での投与がある。健康な成人男性にコデインリン酸塩水和物として65mg経口投与したとき、血中濃度は約1時間後にCmaxに達する。その後、3-4時間で半減期を迎える。30mgを経口で投与した場合、48時間以内に約95%が尿中に排泄される。
カフカス人種(コーカサス地方)の約6-10%、アジア人種の約2%、アラビア人種の約1%は酵素欠損により殆ど機能しないCYP2D6を持っており、コデインは鎮痛効果をほとんど持たない。しかし、依然としてほとんどの副作用は起こりうる。また医薬品によってはCYP2D6を阻害しコデインの有効性を損なったり失わせたりする。これらには選択的セロトニン再取り込み阻害薬 などがある。
日本では低濃度のコデインが含まれる医薬品は処方箋なしで入手する事が可能であるが、単体のコデインは指定医薬品であるため購入は医師の処方箋によるものでなければならない。
コデインはアメリカ合衆国では規制薬物法 (Controlled Substances Act) で規制されている。コデインを単独で含む鎮痛剤はスケジュールII規制薬物である。アスピリンもしくはアセトアミノフェンとの組み合わせではスケジュールIIIである。コデインはアメリカ合衆国外では液体鎮咳剤の形で非処方箋医薬品(Schedule V)として入手可能である。国際的にはコデインは麻薬に関する単一条約でスケジュールII薬物と指定されている。
イギリスでは、コデインはMisuse of Drugs ActでClass B薬物に指定されている。ただし、Co-codamolなどの低濃度のコデインが含まれる医薬品は処方箋なしで入手する事が可能である。
オーストラリアとカナダでは、コデインは規制されているが、許可された薬剤師による最大15mg/錠での調合による入手が処方箋なしで可能である。
コデインそのものはμ-オピオイド受容体に弱い親和力を示す。主要な鎮痛作用はμ-オピオイド受容体へのモルヒネの親和性による。しかし他の作用または副作用は他のオピオイド受容体への作用による。
一般的な副作用は次の通りである: 掻痒感、吐き気、嘔吐、眠気、口内乾燥感、瞳孔縮小、起立性低血圧、排尿障害、便秘。(Rossi, 2004)
ほとんどの副作用への耐性、および作用への耐性は長期連用と共に形成する。これは作用または副作用毎に形成される速度は異なる。たとえば便秘を含む作用への耐性形成は、遅い。
潜在的に深刻な副作用は他のオピオイドと同様に呼吸抑制である。この抑制は用量依存であり、この呼吸抑制が過量服用時に深刻な結果をもたらす。
コデインはしばしば乱用される事があり、これは入手の容易性によるものと推定される。しかしコデインを過量に服用し続けると、薬物依存に陥る。
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リン酸コデイン散1%「ホエイ」
(頻度不明)
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