出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2015/08/19 21:13:46」(JST)
IUPAC命名法による物質名 | |
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(RS)-2-[4-[1-ヒドロキシ-4-[4-(ヒドロキシ-ジフェニル-メチル)-1-ピペリジル]ブチル]フェニル]-2-メチル-プロピオン酸 | |
臨床データ | |
胎児危険度分類 |
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法的規制 |
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投与方法 | 経口 |
薬物動態的データ | |
血漿タンパク結合 | 60-70% |
代謝 | 肝臓(服用量の5%) |
半減期 | 14.4 時間 |
排泄 | 胆汁、便、腎臓 |
識別 | |
CAS番号 | 153439-40-8 |
ATCコード | R06A626 |
PubChem | CID 3348 |
DrugBank | APRD00349 |
KEGG | D07958 |
化学的データ | |
化学式 | C32H39NO4 |
分子量 | 501.656 |
SMILES
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フェキソフェナジン(fexofenadine)は、フランスのサノフィ(旧アベンティス[1])が創製した、アレルギー性疾患治療剤である。塩酸塩がアレグラ(Allegra)の商品名で市販されている。CAS登録番号は [83799-24-0]、塩酸塩は [153439-40-8]。
この項では、テルフェナジンについても記述する。
同薬効のテルフェナジンの後継としてアメリカでは1996年から、日本では2000年から日本法人のアベンティス・ファーマ(現:サノフィ)株式会社から発売されている。同社の主力商品の一つであり、クラリチン(ロラタジン、2002年日本発売)やジルテック(塩酸セチリジン、1998年日本発売)などと並び、世界で最も消費されている第二世代抗ヒスタミン薬の一つである。商品名はスペイン語でhappyやcheerfulを意味し、アレルギー症状からの離脱およびQOLの向上という製品イメージを表し、「アレルギーのグランドチャンプ」という意味も込められている。
日本では1996年頃からフェキソフェナジンの第I相臨床試験を開始。テルフェナジンの改良品という緊急性もあり日本で始めてブリッジング試験(海外の臨床試験データを承認申請に使う手法)により国内の第III相臨床試験を実施せず1999年に厚生省に製造承認申請し、2000年9月に製造承認を得て同年11月にアレグラ錠(現:60mg錠)の発売を開始した。
医療用医薬品として一錠中に塩酸フェキソフェナジンを60mg含有する「アレグラ錠60mg」・口腔崩壊錠の「アレグラOD錠60mg」と、30mg含有する小児向けの「アレグラ錠30mg」が発売されており、当該薬剤は指定医薬品・処方箋医薬品である。
特許の存続期間終了により2012年にジェネリック品の製造販売が始まった。その後、2件(第3041954号・第3037697号)の用途特許について専用実施権の侵害であるとして、後発3社に対し2012年10月にサノフィから提訴がなされていたが、2014年3月に和解が成立している。
2012年11月には日本でスイッチOTC(一般用医薬品)「アレグラFX」が久光製薬から発売された[2]。「FX」は主成分フェキソフェナジン塩酸塩に由来する。
2013年2月にはフェキソフェナジンと血管収縮作用を有するプソイドエフェドリンを配合した抗アレルギー薬ディレグラ配合錠を発売した[3]。
日本薬局方にも収載されている。
日本での医療用医薬品「フェキソフェナジン塩酸錠」としては、アレルギー性鼻炎(→花粉症)・蕁麻疹・皮膚疾患(湿疹・皮膚炎、皮膚瘙痒症、アトピー性皮膚炎)に伴う瘙痒に対し、その効能・効果が認められている。スイッチOTCの「アレグラFX」は、効能としてアレルギー性鼻炎の認可され、要指導医薬品として薬剤師と症状について相談しなければ購入できない。
副作用として眠気があらわれることが少なく、眠気の発現頻度がプラセボと比較しても有意な差が認められない点である。しかしながら承認時の国内のみのデータでは眠気発現率は8%程である。日本で承認されている抗ヒスタミン薬のうち、添付文書の重要な基本的注意の箇所に眠気を催すことがある旨のないものは、現在のところ塩酸フェキソフェナジンとロラタジンに限られている。
テルフェナジン(後項)由来の心毒性は無くなったが、テルフェナジンと同様に薬物代謝酵素が競合する薬剤(エリスロマイシンなど)を服用した場合、フェキソフェナジンの血中濃度が上昇したり肝障害が起きる可能性が否定できないので併用薬に注意する医師・薬剤師もいる(この製品に併用禁忌薬はない)。
また、大衆薬のほとんどの胃薬に制酸剤として含まれる水酸化マグネシウム・水酸化アルミニウムとの同時服用によりフェキソフェナジンがそれらに吸着されたり、グレープフルーツジュースなど果物のジュース類の飲用によるOATPsの阻害により効果が減弱するため、時間を空けて服用するのが望ましいとされる。
医療用医薬品では2000年の日本発売時よりハクション大魔王を広告キャラクターにし、壺の置時計やボックスティッシュ、患者向けのアレルギー解説本などの販促物に登場している。
スイッチOTCの「アレグラFX」では発売元の久光製薬が独自に設定したキャラクター「アレグラ人」(「サトシーラ」(演:大野智(嵐))、「サクラーバ」(演:桜庭和志)、「ハルカージョ」(演:大場はるか))が登場するテレビCMが2013年1月18日より放送されている。さらに2014年度版からこれらの3人組に加えて「タケージョ」(演:あき竹城)も登場している。2015年1月27日OA開始分からは「ハルカージョ」に代わって「ナオナオ」(演:奈緒)が登場している。
アレグラと同じ前々身のマリオン・メレル・ダウ社から、セルダン(一般名:テルフェナジン)という製剤が発売されていた。日本ではトリルダン錠の名称で1990年1月から発売された。
構造的にはフェキソフェナジンのカルボン酸をメチル基に置換したものである。
テルフェナジンは服用後、肝臓でカルボン酸型代謝物フェキソフェナジンに代謝されて血液中を循環し、効果を発揮する。「眠くならない抗ヒスタミン薬」として、機械のオペレーターやパイロット・乗り物の運転手などには需要があり、抗コリン作用で第一世代抗ヒスタミン薬が服用出来ない患者にも投与が推奨された。
しかしテルフェナジンには心臓に対する毒性や肝障害があり、また、テルフェナジンと肝臓の代謝酵素が競合する薬剤を併用した際、フェキソフェナジンに変換される過程で肝臓の代謝が阻害されるなどした場合、 テルフェナジンの未変化体が高濃度(強い毒性)のまま血液中を循環する事になるため、心室性不整脈や重篤なQT延長から不整脈を引き起こすことが有った。
その内、心停止や死亡した患者が現れたため、日本では当時の厚生省の指導により1995年に添付文書に警告欄を設け、同じく1997年には緊急安全性情報を出すこととなった。
なお、抗アレルギー剤で緊急安全性情報発出は異例で、報道では「花粉症治療薬で不整脈」などと報じられた。
その後、市民団体薬害オンブズパースン会議が当時の販売会社(ヘキスト・マリオン・ルセル株式会社)と厚生省に気管支喘息の適応取消や慎重投与の徹底を求める申請書を提出している。 (日本での適応症は現在のフェキソフェナジンに気管支喘息を足したものであり、気管支喘息を適応としているのは日本だけであった。)
これ以降、肝障害や他の薬剤を服用している等のハイリスク患者や小児・気管支喘息患者への投与は(売上が減少したため)大幅に減少したと推測される。
一方、アメリカのヘキスト・マリオン・ルセル社は、テルフェナジンのカルボン酸型代謝物(=テルフェナジンの活性代謝物)そのものであるフェキソフェナジンを製剤化。1996年からアレグラの発売を開始したため、1997年にFDAからテルフェナジンの承認取り下げの提案を受け、1998年にはアメリカでの発売を中止する。
日本ではアレグラ錠が2000年11月に発売されたことから、2001年にトリルダンの発売が中止された。
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リンク元 | 「抗ヒスタミン薬」「QT延長」「後天性QT延長症候群」「フェキソフェナジン」「アゾール系抗真菌薬」 |
鎮静性 | 世代 | 一般名 | 商品名 |
非鎮静性 | 第二世代 | フェキソフェナジン | アレグラ |
エピナスチン | アレジオン | ||
エバスチン | エバステル | ||
ロラタジン | クラリチン | ||
セチリジン | ジルテック | ||
オロパタジン | アレロック | ||
ベポタスチン | タリオン | ||
軽度鎮静性 | アゼラスチン | アゼプチン | |
メキタジン | ゼスラン | ||
セチリジン | ジルテック | ||
鎮静性 | オキサトミド | セルテクト | |
ケトチフェン | ザジテン | ||
第一世代 | d-クロルフェニラミン | ポララミン | |
ジフェンヒドラミン | レスタミンコーワ | ||
クレマスチン | タベジール | ||
ヒドロキシジン | アタラックス |
受容体括抗作用 | イオン電流阻害作用 | 血液脳関門透過性 | ||||||||||
H1 | ACh | NA | 5-HT | DA | PAF | LT | Ca | Na | K | |||
第 | ジフェンヒドラミン | ++ | + | + | + | + | + | ++ | ||||
一 | ||||||||||||
世 | プロメタジン | ++ | ++ | + | + | + | + | + | + | ++ | ||
代 | クロルフェニラミン | ++ | + | + | + | + | + | ++ | ||||
第 | ケトチフェン | ++ | + | + | + | + | + | + | ||||
二 | ||||||||||||
世 | アゼラスチン | ++ | + | + | + | + | + | + | ||||
代 | オキサトミド | ++ | + | + | + | + | + | + | + | |||
第 | テルフェナジン | +++ | + | + | + | + | + | - | ||||
三 | ||||||||||||
世 | アステミゾール | +++ | + | + | + | - | ||||||
代 | セチリジン | +++ | - |
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