出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2013/04/16 02:05:56」(JST)
大腸菌 | |||||||||||||||||||||
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大腸菌の電子顕微鏡写真
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Escherichia coli (Migula 1895) Castellani and Chalmers 1919 |
大腸菌(だいちょうきん, Escherichia coli)は、グラム陰性の桿菌で通性嫌気性菌に属し、環境中に存在するバクテリアの主要な種の一つである。この菌は腸内細菌でもあり、温血動物(鳥類、哺乳類)の消化管内、特に大腸に生息する。アルファベットで短縮表記でE. coliとすることがある(詳しくは#学名を参照のこと)。
バクテリアの代表としてモデル生物の一つとなっており、各種の研究で材料とされるほか、遺伝子を組み込んで有用な化学物質の生産にも利用される(下図)。
大腸菌のコロニー | グラム染色像 |
大腸菌はそれぞれの特徴によって「株」と呼ばれる群に分類することができる(動物でいう品種のような分類)。それぞれ異なる動物の腸内にはそれぞれの株の 大腸菌が生息していることから、環境水を汚染している糞便が人間から出たものか、鳥類から出たものかを判別することも可能である。大腸菌には非常に多数の株があり、その中には病原性を持つものも存在する。
目次
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大腸菌は、菌の表面にある抗原(O抗原とH抗原)に基づいて細かく分類されている[1]。O抗原は細胞壁由来のもので、H抗原はべん毛由来のものである。O抗原は現在約180種類ほどに分類されている[1]。例えば「O157(オーいちごーなな)」という名称は、O抗原としては157番目に発見されたものを持つ菌ということを意味しており[1]、「O111(オーいちいちいち)」はO抗原としては111番目に発見されたものを持つ、ということを意味する。 H抗原は約70種類に分類されている。 なお、さらに細かく分けるとO抗原とH抗原の両方を考慮した分類になる。例えばO157でも、H抗原に関する違いでさらに細かく分類することができ、H7のものとH抗原を持たないものがあるので、「O157:H7」と「O157:H-」という2種類に分けることができる[1]。
ほとんどの 大腸菌は無害だが、いくつかの場合では疾患の原因となることがある。
人体には、血液中や尿路系に侵入した場合に病原体となる。内毒素を産生するため、大腸菌による敗血症は重篤なエンドトキシンショックを引き起こす。敗血症の原因(明らかになる場合)として最も多いのは尿路感染症であるが、大腸菌は尿路感染症の原因菌として最も多いものである。
大腸菌の株は多数報告されており、一部では動物に害となりうる性質を持つものもある。大部分の健康な成人の持っている株では下痢を起こす程度で何の症状も示さないものがほとんどであるが、幼児や病気などによって衰弱している者、あるいはある種の薬物を服用している者などでは、特殊な株が病気を引き起こすことがあり、時として死亡に至ることもある。
大腸菌の株の中でも特に強い病原性を示すものは病原性大腸菌とよばれる。食品衛生学分野では病原大腸菌ともよぶ。
O(オー)111やO157などの腸管出血性大腸菌は牛の腸内に生息しているとされ、保健所は「内臓と他部位の肉は調理器具を使い分けるのが好ましい」としている。
O抗原に基づいた分類でいくつか挙げる。
これらの大腸菌は75度で1分間以上の加熱で死滅する。加熱した焼肉などが原因となる食中毒の感染経路として、「(加熱前の生肉をつまみ)大腸菌の付着した箸から、舐めることで、生肉に付着する菌を飲食してしまうことがある」と、注意喚起されている。
学名(ラテン語名)は Escherichia coli で、属名は発見者のオーストリア人医学者テオドール・エシェリヒ Theodor Escherich にちなみ、これに屈折語尾を加えてラテン語化したもの。種形容語はラテン語で大腸を意味する「colon」の属格「coli」である。学名の正式な読みというものは存在しないが、語源を重視するとエシェリヒア・コリー、語源を無視して属名もラテン語読みするとエスケリキア・コリーとなる。英語ではエシェリキア・コーライと読む。全体として「大腸のエシェリヒ菌」の意を表す。
属名を省略してE. coli(イー・コライ、イー・コリー)と略す表記もある。ただし正式には、これは Escherichia 属が既出の場合に認められる略記である。最初からE. coli と略すのは、文脈から Escherichia 属のことを言っているのが明らかでも、不適切である。
大腸菌属は腸内細菌科のタイプ属として指定されているが、腸内細菌科の学名はEscherichiaceaeではなく、Enterobacteriaceaeとなっている。
腸内に生息する菌であることから、この菌の存在は糞便による水の汚染を示唆し、河川、湖、海水浴場などの環境水の汚れの程度の指標として用いられる。
ヒト一人が一日に排泄する糞便中に含まれる菌体数は、平均で1011から1013個である。ただしヒトの消化管において、大腸菌が全体の微生物に占める割合は極めて少なく、ヒト腸内常在細菌の0.01%以下にすぎない(残りの大部分は、Bacteroides 属やEubacterium 属などの偏性嫌気性菌である)
水の浄化や汚水処理技術の分野では、培養可能な E. coli の量は人間の糞便の混入の程度を示唆するものとして、水の汚染レベルの指標としてかなり早い時期から用いられてきた。研究に使われている E. coli それ自体は無害であり、E. coli がこれらの指標に用いられるのは、他の病原性のある菌(サルモネラなど)よりもこれらの糞便由来の大腸菌の方が遥かに多く含まれるとされるためである。
また、日本の水道法により上水道の浄水からは「検出されてはならない」とされている。
詳細は「大腸菌群」を参照
大腸菌群とは細菌学用語ではなく衛生上の用語である。ラクトース発酵(乳糖分解し、酸とガスを発生)するグラム陰性、好気性・通性嫌気性で芽胞を形成しない桿菌の全てである。E. coliであってもこれに該当しないものが多く存在する。
その多くは汚水菌(クレブジエラ属菌、サイトロバクター属菌、エンテロバクター属菌)や土壌中の非常によく似た性質のバクテリア(よく知られたものとしてはAerobacter aerogenes)が大腸菌群として分類される。なお、病原性大腸菌はこの検査法での検出は非常に困難である。
また、水中に含まれる大腸菌群を数値化したものを大腸菌群数といい、水質汚濁の指標に用いられる。
食品衛生法では大腸菌群陰性とは加熱済み食品の加熱ができているか、加熱後の二次汚染がないかを確認するために食品の規格に規定されている。
また、食品衛生法の規格基準にある検査法(EC培地において44.5℃で増殖し、乳糖を分解してガスを産生するグラム染色陰性、無芽胞の桿菌)で検出する菌を E. coli と記述しているが E. coli であってもこれにあてはまらない菌も多く食品衛生上の行政用語である。これは検査法では大腸菌群の培養温度が異なるだけの糞便性大腸菌群とほぼ同一の内容である。
大腸菌及び大腸菌群の検査には用途に応じて多くの培地が使用される。以下に主な物を列挙する。
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E
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E
※国試ナビ4※ [107D048]←[国試_107]→[107D050]
BE
※国試ナビ4※ [108D049]←[国試_108]→[108D051]
D
※国試ナビ4※ [096A057]←[国試_096]→[096A059]
D
※国試ナビ4※ [102I068]←[国試_102]→[102I070]
C
※国試ナビ4※ [104D038]←[国試_104]→[104D040]
E
※国試ナビ4※ [101A037]←[国試_101]→[101A039]
D
※国試ナビ4※ [095B015]←[国試_095]→[095B017]
A
※国試ナビ4※ [099E017]←[国試_099]→[099E019]
D
※国試ナビ4※ [114E050]←[国試_114]→[114F002]
AD
※国試ナビ4※ [104B028]←[国試_104]→[104B030]
BC その他の正答:BE、
※国試ナビ4※ [106I028]←[国試_106]→[106I030]
B
※国試ナビ4※ [109B007]←[国試_109]→[109B009]
CD
※国試ナビ4※ [104A001]←[国試_104]→[104A003]
B
※国試ナビ4※ [111A010]←[国試_111]→[111A012]
AD
※国試ナビ4※ [102I019]←[国試_102]→[102I021]
AD
※国試ナビ4※ [103E015]←[国試_103]→[103E017]
BC
※国試ナビ4※ [101F072]←[国試_101]→[101F074]
4ヶ月未満 | B群溶連菌(50%) | 大腸菌(25%) | インフルエンザ菌(20%) | リステリア菌(1%) | |
4ヶ月~6歳未満 | インフルエンザ菌(70%) | 肺炎球菌(25%) | |||
6歳~50歳未満 | 肺炎球菌(65%) | インフルエンザ菌(10%) | 髄膜炎菌 | ||
50歳以上 | 肺炎球菌(80%) | 黄色ブドウ球菌 | |||
免疫不全者 | クレブシエラ | 連鎖球菌 | 緑膿菌 | 黄色ブドウ球菌 | 真菌 |
Newborn (0–6 mos) | Children (6 mos–6 yrs) | 6–60 yrs | 60 yrs + |
Streptococcus agalactiae | Streptococcus pneumoniae | Neisseria meningitidis | Streptococcus pneumoniae |
Escherichia coli | Neisseria meningitidis | Enteroviruses | Gram-negative rods |
Listeria | Haemophilus influenzae type B | Streptococcus pneumoniae | Listeria |
Enteroviruses | HSV |
1位 | 2位 | 3位 | |
新生児 | 大腸菌 | B群溶連菌 | リステリア菌 |
小児期(6歳以下) | インフルエンザ菌 | 肺炎球菌 | |
成人 | 肺炎球菌 | 髄膜炎菌 |
年齢 | 病原体 | ||
3ヶ月未満 | B群溶連菌 | 大腸菌 | リステリア菌 |
3ヶ月以上の乳小児 | インフルエンザ菌 | 肺炎球菌 | |
成人 | 肺炎球菌 | 髄膜炎菌 | |
高齢者 | 肺炎球菌 | グラム陰性桿菌 | リステリア菌 |
細菌性髄膜炎 | ウイルス性髄膜炎 | 結核性髄膜炎 | 真菌性髄膜炎 | 癌性髄膜炎 | |
外観 | 混濁 | clear | 水様~ キサントクロミー 日光微塵 |
clear~ 日光微塵 |
clear~ キサントクロミー |
圧 70-180 (mmH2O) |
↑↑ 200~800以上 |
↑ 200~300 |
↑ 200~800 |
↑ 200~800 |
↑ 200~300 |
細胞 0-5 (/mm3) |
500~数百万 | 10~1,000 | 25~1,000 | 25~1,000 | 25~500 |
好中球 | リンパ球 | リンパ球 | リンパ球 | 好中球 | |
タンパク 15-45 mg/dl |
↑↑ 50~1,500 |
↑ 正常~100 |
↑ 50~500 |
↑ 100~500 |
↑ 50~500 |
糖 50-80 mg/dl |
↓↓ 0~40 |
→ 正常 |
↓↓ ~40 |
↓↓ ~40 |
↓ ~40 |
乳児 | RSウイルス | インフルエンザウイルス | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | |
小児 | RSウイルス | インフルエンザウイルス | 肺炎球菌 | クラミジア・ニューモニエ | マイコプラズマ・ニューモニエ |
青年期 | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | マイコプラズマ・ニューモニエ | ||
成人 | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | |||
高齢者 | 肺炎球菌 | インフルエンザ菌 | レジオネラ・ニューモニエ | インフルエンザウイルス |
年齢階級 | 総数 | 15~ | 25~ | 35~ | 45~ | 55~ | 65~ | 75~ | 85~ | 90~ | |
19 | 29 | 39 | 49 | 59 | 69 | 79 | 89 | ||||
受療率 | 外来 | 6 | 3 | 4 | 3 | 3 | 6 | 7 | 14 | 21 | 21 |
入院 | 19 | 2 | 3 | 2 | 3 | 7 | 21 | 86 | 309 | 489 | |
死亡率 | 男性 | 76.4 | 0.5 | 0.5 | 1.5 | 4.6 | 15.2 | 69.2 | 339 | 2087 | 4317 |
女性 | 62.7 | 0.3 | 0.5 | 0.9 | 1.9 | 5.6 | 22.4 | 144 | 934 | 2291 | |
総数 | 69.4 | 0.4 | 0.5 | 1.2 | 3.2 | 10.3 | 44.6 | 249 | 1291 | 2787 |
学校の運営は意外と大変なのね
検査項目 | 基準 |
換気 | 換気の基準として、二酸化炭素は、1500ppm 以下であることが望ましい。 |
温度 | 10℃以上、30℃以下であることが望ましい。 |
相対湿度 | 30%以上、80%以下であることが望ましい。 |
浮遊粉じん | 0.10mg/m3 以下であること。 |
気流 | 0.5m/秒以下であることが望ましい。 |
一酸化炭素 | 10ppm 以下であること。 |
二酸化窒素 | 0.06ppm 以下であることが望ましい。 |
揮発性有機化合物 | |
ホルムアルデヒド | 100μg/m3 以下であること。 |
トルエン | 260μg/m3 以下であること。 |
キシレン | 870μg/m3 以下であること。 |
パラジクロロベンゼン | 240μg/m3 以下であること。 |
エチルベンゼン | 3800μg/m3 以下であること。 |
スチレン | 220μg/m3 以下であること。 |
ダニ又はダニアレルゲン | 100 匹/m2 以下又はこれと同等のアレルゲン量以下であること。 |
検査項目 | 基準 |
遊離残留塩素 | 0.4mg/.以上であること。また、1.0mg/.以下であることが望ましい。 |
pH値 | 5.8 以上8.6 以下であること。 |
大腸菌 | 検出されないこと。 |
一般細菌 | 1m.中200 コロニー以下であること。 |
有機物等 | 過マンガン酸カリウム消費量として12mg/.以下であること。 |
濁度 | 2度以下であること。 |
総トリハロメタン | 0.2mg/.以下であることが望ましい。 |
循環ろ過装置の処理水 | 循環ろ過装置の出口における濁度は、0.5 度以下であること。また、0.1 度以下であることが望ましい。 |
検査項目 | 基準 |
プール本体の衛生状況等 | :プール水は、定期的に全換水するとともに、清掃が行われていること。 :水位調整槽又は還水槽を設ける場合は、点検及び清掃を定期的に行うこと。 |
浄化設備及びその管理状況 | :循環浄化式の場合は、ろ材の種類、ろ過装置の容量及びその運転時間が、プール容積及び利用者数に比して十分であり、その管理が確実に行われていること。 :オゾン処理設備又は紫外線処理設備を設ける場合は、その管理が確実に行われていること。 |
消毒設備及びその管理状況 | :塩素剤の種類は、次亜塩素酸ナトリウム液、次亜塩素酸カルシウム又は塩素化イソシアヌル酸のいずれかであること。 :塩素剤の注入が連続注入式である場合は、その管理が確実に行われていること。 |
屋内プール | |
空気中の二酸化炭素 | 1500ppm以下が望ましい。 |
空気中の塩素ガス | 0.5ppm以下が望ましい。 |
水平面照度 | 200lx以上が望ましい。 |
系統 | 前投与抗菌薬 | 抗菌薬投与後に高頻度に検出される細菌 | |
自然耐性菌 | 獲得耐性菌 | ||
ペニシリン系 | アンピシリン | Klebsiella pneumoniae | 大腸菌、黄色ブドウ球菌(MSSA、MRSA) |
ピベラシリン | 緑膿菌 | ||
セフエム系(第1・2世代) | セフアゾリン、セフォチアム | 緑膿菌、腸球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、大腸菌 |
セフエム系(第3世代) | セフ卜リアキソン | 腸球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌、大腸菌 |
セフタジジム | |||
セフエビム | |||
カルバペネム系 | メロペネム | Stenotrophomonas maltophilia | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、緑膿菌 |
イミペネム | |||
アミノグリコシド系 | アミカシン | 腸球菌、嫌気性菌 | 緑膿菌, Serratia marcescens |
トブラマイシン | レンサ球菌、肺炎球菌 | ||
マクロライド系 | クラリスロマイシン | 腸内細菌科 | 黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、化膿性レンサ球菌 |
アジスロマシン | |||
テトラサイクリン系 | ミノサイクリン | Proteus mirabilis | 黄色ブドウ球菌(MRSA)、Brukholderia cepacia、Acinetobacter baumannii |
Morganella morganii | |||
Providencia rettgeri | |||
キノロン系 | レポフロキサシン | レンサ球菌 | 黄色ブドウ球菌(MRSA、大腸菌、緑膿菌 |
主な耐性菌 | 治療薬 |
緑膿菌 | アズトレオナム+ブラマイシン、シプロフロキサシン(感性株)、(コリスチン) |
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA) | バンコマイシン、テイコプラ二ン、アルベカシン、リネゾリド、(ST合剤、リファンピシン) |
ESBLs産生大腸菌 | ドリペネム、メロペネム、イミペネム、アミカシン、ST合剤 |
グルコース非発酵性グラム陰性桿菌 | ミノサイクリン、ピベラシリン、アンピシリン+スルバクタム、クロラムフェニコール、ST合剤、(コリスチン) |
バンコマイシン耐性腸球菌 | テイコプラ二ン(VanB型)、リネゾリド、キヌプリスチン/ダルホプリスチン |
()は多分保険適用かないか、日本では未発売 |
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