トリクロルメチアジド
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Japanese Journal
- 降圧剤(ダイクロトライドS,エシドライ,フルイトラン)長期投与の血清Na,Kに及ぼす変動
- トリクロールメサイアザイド(フルイトラン)の降圧効果に関する臨床経験 : 第9回日本循環器学会中国・四国地方学会総会
- 宮西 通博,池田 一馬,岡本 勝,渡部 正誠
- Japanese circulation journal 27(8), 617-618, 1963-08-20
- NAID 110002588338
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- 塩野義製薬株式会社のフルイトラン錠1mg(循環器官用剤)、一般名トリクロルメ チアジド(Trichlormethiazide) の効果と副作用、写真、保管方法等を掲載。
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
フルイトラン錠1mg
組成
成分・含量:(1錠中):
添加物:
- 乳糖水和物,トウモロコシデンプン,結晶セルロース,低置換度ヒドロキシプロピルセルロース,ステアリン酸マグネシウム
禁忌
無尿の患者[本剤の効果が期待できない。]
急性腎不全の患者[腎機能を更に悪化させるおそれがある。]
体液中のナトリウム,カリウムが明らかに減少している患者[低ナトリウム血症,低カリウム血症等の電解質失調を悪化させるおそれがある。]
チアジド系薬剤又はその類似化合物(例えばクロルタリドン等のスルホンアミド誘導体)に対する過敏症の既往歴のある患者
効能または効果
高血圧症(本態性,腎性等),悪性高血圧,
心性浮腫(うっ血性心不全),腎性浮腫,肝性浮腫,
月経前緊張症
*通常,成人にはトリクロルメチアジドとして1日2〜8mgを1〜2回に分割経口投与する。
なお,年齢,症状により適宜増減する。
ただし,高血圧症に用いる場合には少量から投与を開始して徐々に増量すること。また,悪性高血圧に用いる場合には,通常,他の降圧剤と併用すること。
慎重投与
進行した肝硬変症のある患者[肝性昏睡を誘発することがある。]
重篤な冠硬化症又は脳動脈硬化症のある患者[急激な利尿があらわれた場合,急速な血漿量減少,血液濃縮を来し,血栓塞栓症を誘発するおそれがある。]
重篤な腎障害のある患者[腎機能を更に悪化させるおそれがある。]
肝疾患・肝機能障害のある患者[肝機能を更に悪化させるおそれがある。]
本人又は両親,兄弟に痛風,糖尿病のある患者[高尿酸血症,高血糖症を来し,痛風,血糖値の悪化や顕性化のおそれがある。]
下痢,嘔吐のある患者[電解質失調を起こすおそれがある。]
高カルシウム血症,副甲状腺機能亢進症のある患者[血清カルシウムを上昇させるおそれがある。]
ジギタリス剤,糖質副腎皮質ホルモン剤又はACTHの投与を受けている患者[「相互作用」の項参照]
減塩療法時の患者[低ナトリウム血症等の電解質失調を起こすおそれがある。]
高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
乳児[「小児等への投与」の項参照]
交感神経切除後の患者[本剤の降圧作用が増強される。]
- (3)〜(11)項は「副作用 (1)重大な副作用2),3)及び(3)その他の副作用 代謝異常」の項参照
重大な副作用
再生不良性貧血(0.1%未満):再生不良性貧血があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には投与を中止すること。
低ナトリウム血症(頻度不明):倦怠感,食欲不振,嘔気,嘔吐,痙攣,意識障害等を伴う低ナトリウム血症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど,直ちに適切な処置を行うこと。
低カリウム血症(頻度不明):倦怠感,脱力感,不整脈等を伴う低カリウム血症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,投与を中止するなど,直ちに適切な処置を行うこと。
薬効薬理
薬理作用
利尿作用
- 試験5日前より1日の食塩摂取量を10gに制限した健康成人(男性,35歳)に,早朝起床時より約60分間隔で2回の対照尿を採った後,トリクロルメチアジド8mgを少量の水と共に内服させ,以後約30分ごとに尿を採取した。
投与後100分以内に最大利尿を示し,利尿作用は約6〜7時間持続した。Na+,Cl-の尿中排泄増加はほぼ等しかった。K+の尿中排泄増加は少なかった 7)。
血圧日内変動リズム
- 軽・中等症本態性高血圧症患者36例にトリクロルメチアジド錠4mgを毎朝1回2週間経口投与し,血圧及び脈拍数の経日変動,最終日の脈拍数と日内変動を測定した。
血圧値はいずれも観察期に比して下降したが,脈拍数は差を認めなかった。
また,血圧日内変動リズムは観察期との差を認めなかった 8)。
作用機序
利尿作用
- 遠位尿細管曲部の管腔側に局在するNa+-Cl-共輸送体を阻害することによりNa+,Cl-の再吸収を抑制し,尿中への排泄を増加させる。これに伴って水の排泄が増加する 9)。
降圧作用
- 降圧剤としての作用機序は明らかではないが,トリクロルメチアジドの脱塩・利尿作用により,循環血液量を減少させる,あるいは交感神経刺激に対する末梢血管の感受性を低下させることにより,血圧が下降すると考えられている 10),11)。
有効成分に関する理化学的知見
一般的名称:
- トリクロルメチアジド(JAN)[日局]
Trichlormethiazide
化学名:
- (3RS)-6-Chloro-3-dichloromethyl-3,4-dihydro-2H-1,2,4-benzothiadiazine-7-sulfonamide 1,1-dioxide
分子式:
分子量:
化学構造式:
性状:
- 白色の粉末である。
N,N-ジメチルホルムアミド又はアセトンに溶けやすく,アセトニトリル又はエタノール(95)に溶けにくく,水にほとんど溶けない。
アセトン溶液(1→50)は旋光性を示さない。
融点:
分配係数:
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- 賦形剤
- 商
- ATP、dl-メチルエフェドリン塩酸塩、PL配合、アーチスト、アイデイト、アイデイトロール、アクタミン、アクトス、アクトネル、アコニンサン、アザニン、アスコルビン酸、アスゾール、アストモリジン配合、アスペノン、アスベリン、アセトアミノフェン、アテノート、アドリアシン、アトルバスタチン、アナストロゾール、アニスタジン、アプリトーン、アベマイド、アポプロン、アミサリン、アミプリン、アモペニキシン、アリーゼS配合、アリセプト、アリチア配合、アルフロシン、アレギサール、アレファリン、アレルギン、アロシトール、アロプリノール、アンブロン、イソパール・P配合、イダマイシン、イトプリド塩酸塩、イプリフラボン、イミダプリル塩酸塩、イミドール、イリコロンM配合、インヒベース、ウテメック、ウブテック、ウルサミック、ウルソ、ウルソトラン、ウルペティック、エイムゲン 、エースコール、エカテリシン、エクセラーゼ配合、エストリオール、エチゾラム、エチゾラン、エトドラク、エナラート、エナラプリルマレイン酸塩、エバスチン、エピカルスS配合、エピカルス配合、エビプロスタット配合、エフェドリン塩酸塩、エフォリン、エホチール、エリーテン、エルサメット配合、エレンタールP乳幼児用配合、エレンタール配合、エンセバック、エンテラーゼ配合、オーネスN配合、オーネスSP配合、オーネスST配合、オーネスSZ配合、オステン、おたふくかぜ生ワクチン、オフタルムK配合、カオルトーン、ガスイサン、ガスポート、カズマリン、ガスメット、ガスリック、ガスロンN、カプセーフ、ガモファー、カルスロット、カルタレチン、カルデナリン、カルバドゲン、カルベジロール、キョーリンAP2配合、クールスパン、クエチアピン、クバクロン、グペリース、クラリスロマイシン、グリクラジド、グリノラート、グリメピリド、クロポリジン、クロミッド、クロルフェニラミンマレイン酸塩、クロルプロマジン塩酸塩、グロント、ケイラーゼS 、ケトブン、ゲファルナート、ケルナック、ゴクミシン、コデインリン酸塩、コナン、コニール、コニプロス、コバステン、コバテンシン、コバマミド、コレキサミン、コレリット、コロキノン、コンスーン、コントール、コントミン、サアミオン、サニアーゼ配合、サラザック配合、サルポグレラート塩酸塩、ジアイナミックス、シェトラゾーナ、ジゴキシン、ジゴハン、ジソピラミド、ジヒドロコデインリン酸塩、ジピリダモール、ジフェニドール塩酸塩、シロスタゾール、シンベノン、シンレスタール、ストマルコン、スパクロミン、スパトニン、スピロノラクトン、ズファジラン、スルピリド、セエルカム、セチリジン塩酸塩、セドリーナ、セナプリド、セナプロスト、セファランチン、セフジニル、セフジニル、セブンイー・P配合、セラピエース、セラピナ配合、セルニルトン、セレガスロン、セレナミン、センセファリン、センブリ・重曹、ソクワール、ソビラール、ソルイルビン、ゾルピデム酒石酸塩、ソルファ、ダウンテンシン、タフマックE配合、タムスロシン塩酸塩OD、ダラシン、タンチパン配合、チウラジール、チョコラA、テオロング、テナキシル、デパス、テモカプリル塩酸塩、デュファストン、デラキシー配合、テルビナフィン、トーワチーム配合、ドキサゾシン、ドキソルビシン塩酸塩、ドネペジル塩酸塩、トフラニール、ドライアーゼ配合、トラベルミン配合、ドラマミン、トランコロンP配合、ドランジン、トリアゾラム、トリクロルメチアジド、トリドセラン配合、トリヘキシフェニジル塩酸塩、トリヘキシン、トリラホン、ドルナリン、トルブタミド、トレキサメット、トロキシン、ドンペリドン、ナーセット配合、ナテグリニド、ナトリックス、ナフトジール、ニセルゴリン、ニチファーゲン配合、ニトレジック、ニトロールR、ネオ・エフラーゼ配合、ネオアムノール配合、ノイダブル、ノイファン、ノイロビタン配合、ノズレン、ノバミン、ノンネルブ、ハーフジゴキシンKY、バイカロン、バイニロード、ハイフル配合、バイロテンシン、はしか生ワクチン、はしか風しん混合生ワクチン、パスターゼSA配合、バップベリン、パトコン、パパベリアン、パルギン、バルレール、ハロステン、ハロペリドール、バンコミック、パントテン酸カルシウム、パンピオチン、パンビタン末 、パンホリータ、ピーエイ配合、ピーゼットシー、ピオグリタゾン、ビオスミン配合、ビオスリー配合、ビオチン、ビオフェルミン、ビオフェルミンR、ビオフェルミン配合、ビカルタミド、ヒシロミン、ヒスタール、ビソテート、ビタミンB6、ビタメジン配合、ヒダントール、ヒダントールD配合、ビフロキシン配合、ビホープA、ピラミスチン、ピロラクトン、ファスティック、ファモガスト、ファモチジン、ファルプリル、ファンテゾール、フィオランス、フェニトイン、フェニルアラニン除去ミルク配合、フェノバルビタール、フェルターゼ配合、フォリアミン、フスコデ配合、フッコラート、プラコデ配合、プラノバール配合、プラバスタチンNa塩、プラバスタチンナトリウム、プラバメイト、プラメバン、プランルカスト、フルイトラン、プレドニゾロン、プレドニン、プレドハン、プレロン、プロスタリン、フロセミド、ブロチゾラム、プロノン、プロパフェノン塩酸塩、プロピベリン塩酸塩、ブロプレス、プロヘパール配合、プロモーション、プロルナー、ベイスン、ヘキサトロン、ベグリラート、ベゲタミン-A配合、ベザフィブラートSR、ベザリップ、ベスタミオン、ベスタリットL、ベストルナー、ベニジピン塩酸塩、ペニフォー、ベネット、ベハイドRA配合、ヘパンED配合、ペミラストン、ヘモリンガル、ベラストリン、ベラパミル塩酸塩、ペラプリン、ベラプロストNa、ベラプロストナトリウム、ベリチーム配合、ベルナール、ベルラー、ベロム、ボインリール、ボグシール、ボグリボース、ポリトーゼ、ボルトミー配合、マカシーA、マゴチロン、マサトン、マズレニンガーグル、マニカロット、マニジピン塩酸塩、マリレオンN、マレイン酸クロルフェニラミン、ミクトノーム、ミデナールL、ミラドール、メコバラミン、メサフィリン配合、メシル酸ドキサゾシン、メタヒスロン、メチルエルゴメトリンマイレン酸塩、メチルエルゴメトリンマレイン酸塩、メチルドパ、メチルホエドリン、メトプリック、メトリオン、メバトルテ、メバリッチ、メバロチン、メリシン、メリストラーク、メロキシカム、メントリース、モサプリドクエン酸塩、モミアロン、ユーリック、ユリロシン、ライドラース、ラクスパン、ラクデーン、ラクボン、ラックメロン、ラリルドン、ランソプラゾール、リウマトレックス、リスペリドン、リセドロン酸Na、リセドロン酸ナトリウム、リトドリン、リトドリン塩酸塩、リトメリン、リネステロン、リンドルフ、リントン、リン酸コデイン、リン酸ジヒドロコデイン、リン酸ピリドキサール、ルフレン配合、レスタス、レスポリート、レチコラン、レニベース、レバミピド、レビンベース、レプター、レベニン、レボフロキサシン、レモナミン、ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルク配合、ロキシーン、ロサルタンK、ロサルタンカリウム、ロラタジン、ワーファリン、ワーリン、ワルファリンK、ワルファリンカリウム、塩酸クロルプロマジン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸パパベリン、塩酸プロピベリン、塩酸ベニジピン、塩酸ミノサイクリン、乾燥弱毒生おたふくかぜワクチン、乾燥弱毒生風しんワクチン、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、強力ビスラーゼ、組織培養不活化狂犬病ワクチン 、乳糖、乳糖水和物、硫酸キニジン
[★]
- 英
- thiazide diuretic, benzothiazide diuretic
- 同
- サイアザイド系利尿薬
- 関
- 利尿薬、利尿薬の作用部位、sodium-chloride symporter inhibitor。ギテルマン症候群
特徴
- 安価である
- 有効率が高い
- 遠位尿細管前半部に作用するらしい
- Na+とCl-の共輸送体(NCCT)を阻害→Na+,Cl- の再吸収を阻害する
排泄される電解質の変化
- Na↑、K↑、H↑、Ca↓、Mg↑、Cl↑、HCO3↑、H2PO4↑
-
- チアジド系利尿薬の慢性使用により体液量が減少し、近位尿細管での再吸収が亢進するため (GOO.755) ??
- チアジド系利尿薬自体のDCTでの作用による;NCCTを阻害すると細胞内のNa濃度低下、これにより側底膜でのNa+-Ca2+交換系が亢進することでCa2+の再吸収↑ (GOO.755) → つまり管腔側から受動的に引き込まれるということ。
- ループ利尿薬と同様の機序による (GOO.755)
チアジド系利尿薬
効能・効果
禁忌
- 無尿(効果なし)
- 急性腎不全(腎機能悪化):緻密斑より下流にチアジド系利尿薬の作用部位があるため、GFRを増加させたい場合にフィードバックがかかりにくいため?(緻密斑は適正量のNaが排泄されていると検出し、GFRを低下させても、下流では想定より多くのNaを喪失し、hypovolemicになる?)
- 電解質異常
副作用
- 長期間の使用における副作用:低カリウム血症、高尿酸血症、高脂血症、耐糖能低下、光線過敏症、脂質代謝障害。高カルシウム血症(YN.C-62) → (利尿薬参照。ループ利尿薬との違いはカルシウムを排泄するかどうか)
低カリウム血症
- GOO.756
- カリウムは抗高血圧作用があるので、チアジド系利尿薬の利尿作用を打ち消してしまう。
耐糖能の低下
- GOO.756
- 低カリウム血症の関与が示唆されている。K+をチアジド系利尿薬と共に投与すると高血糖が改善されるから。
歴史
- 第二次世界大戦中、衛生状態の悪い兵士の間でシラミを介したバルトネラ属の感染症(塹壕熱、病原体はBartonella quintana)が流行していたが、この治療にサルファ剤が用いられていた。このサルファ剤が有する利尿作用に中臆して開発されたのがチアジド系利尿薬である。1957年にクロロチアジド、1959年に10倍の利尿作用を有するヒドロクロロチアジドが開発された。いずれも光線過敏症が副作用として知られている。日本では光線過敏症がより少ないと言われているトリクロルメチアジド(フルイトラン)がもっぱら用いられている。チアジド系利尿薬は日本では光線性白斑黒皮症と知られており、色素沈着と白斑を伴う。
- 参考:チアジド系利尿剤の副作用の歴史 日本医史学雑誌第58巻第2号(2012)p156
[★]
- 英
- diuretic、diuretic drug
- 関
- 利尿、利尿薬
商品
[★]
- 英
- trichlormethiazide
- ラ
- trichlormethiazidum
- 商
- フルイトラン
- アニスタジン、イントロメン、ウルソトラン、クバクロン、クロポリジン、トリクロルメチアジド、トラメトール、トリスメン、フルイトラン、フルトリア
- 関
- 利尿薬、チアジド系利尿薬。利尿剤