- 英
- olanzapine
- 商
- ジプレキサ Zyprexa
- 関
- 抗精神病薬、非定型抗精神病薬。精神神経用剤
-
-
- SDA:Serotonin Dopamine Antipsychotics あるいは ドパミンD2受容体阻害薬、セロトニン5-HT2A受容体阻害薬+その他の受容体阻害薬
特徴
- 5HT2受容体、D2受容体の遮断作用。そのほか多くの受容体に作用。
- 催眠作用が強い。
- 錐体外路症状を生じにくい。
- 統合失調症に対して広範な薬理作用を示す。
- 抗うつ作用もある
- 体重増加、血糖上昇が問題
- 口腔内で崩壊するため、拒薬経口の患者に有効(ジプレキサ)
構造
作用機序
薬理作用
動態
適応
適応外
注意
禁忌
- 1)昏睡状態(悪化)
- 2)バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制薬の強い影響下(中枢神経抑制作用が増強)
- 3)本剤の成分に過敏症の既往歴
- 4)エピネフリンを投与中
- 5)糖尿病、糖尿病の既往歴
副作用
相互作用
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オランザピン
|
|
IUPAC命名法による物質名 |
2-methyl-4-(4-methyl-1-piperazinyl)-
10H-thieno[2,3-b][1,5]benzodiazepine |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
|
投与方法 |
oral, intramuscular |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
87% [1] |
代謝 |
Hepatic (direct glucuronidation and CYP mediated oxidation) |
半減期 |
21–54 hours |
排泄 |
urine 57%, feces 30% |
識別 |
CAS番号 |
132539-06-1 |
ATCコード |
N05AH03 |
PubChem |
CID 4585 |
DrugBank |
APRD00138 |
ChemSpider |
10442212 |
KEGG |
D00454 |
化学的データ |
化学式 |
C17H20N4S |
分子量 |
312.439 |
SMILES
- CN1CCN(CC1)C1=c2cc(C)sc2=Nc2ccccc2N1
|
物理的データ |
融点 |
195 °C (383 °F) |
水への溶解量 |
Practically insoluble in water mg/mL (20 °C) |
オランザピン(Olanzapine、商品名:ジプレキサ)は、アメリカFDAで承認された2番目の非定型抗精神病薬で、アメリカ国内で最も多く使用されている非定型抗精神病薬のひとつ。1996年に発売された。略称はOLZ。CAS登録番号は132539-06-1。オランザピンは日本国内では統合失調症治療薬として承認されている。アメリカでは統合失調症に加え、双極性障害の躁病相の治療と予防、プロザックとの合剤、Olanzapine-fluoxetine combination(OFC、シンビアックス)は双極性障害のうつ病相の治療、難治性うつ病の治療においてもFDAから承認を受けている。
オランザピンはイーライリリー社によって製造販売されている。商品名はジプレキサである。日本においては、2.5mg錠で1錠あたり135.5円と、薬価が非常に高い薬である。第二世代抗精神病薬に分類される。
目次
- 1 種類
- 2 薬理
- 3 日本での経緯
- 4 禁忌
- 5 副作用
- 6 訴訟
- 7 脚注
- 8 参考文献
- 9 外部リンク
種類
- 錠剤:2.5mg,5mg,10mgの錠剤
- 細粒1%
- ザイディス錠(口腔内崩壊錠)5mg,10mg
- 筋注製剤:10mg(2012/12/3本邦発売)
薬理
化学構造式からD1~D5アゴニストである。 オランザピンの構造はクロザピンに似ており、チエノベンゾジアゼピン系に分類される。オランザピンはドパミン受容体、セロトニン受容体に対し高い親和性を有している。他の非定型抗精神病薬と同様、オランザピンは、ヒスタミン、抗コリン作用、ムスカリン性、αアドレナリン受容体に対しては低い親和性を有している。
オランザピンの作用機序は明らかにはなっていないが、オランザピンの抗精神作用はドパミン受容体、特にドパミンD2受容体への拮抗作用に因るものと考えられている。セロトニン拮抗作用もまたオランザピンの有効性に影響している可能性があるが、研究者の間でも5-HT2A拮抗作用については議論が続いている。ムスカリン、ヒスタミン及びαアドレナリン受容体への拮抗性がオランザピンの副作用(抗コリン性副作用、体重増加、過鎮静、起立性低血圧等)の一部を説明できると考えられる。またオランザピンは陰性症状や認知機能障害に有効でありさらに再発率も抗精神病薬のデータのなかで最も低く神経保護作用もあることから統合失調症にとって有用な薬物と考えられる。[要出典]
日本での経緯
2000年12月にジプレキサ錠が承認され、2001年6月4日に発売された。その後、2001年11月29日に細粒が承認され、2004年5月に発売された。Catalent Pharma Solutions社のフリーズドライ技術「ザイディス」を採用した、ジプレキサザイディス錠は、2005年3月に承認され、同年の7月1日に発売となった。
精神障害者関連団体による早期承認陳情
精神障害者のうち、統合失調症や気分障害などの者の家族らでつくる精神障害者家族会のかつてあった全国連合会組織、全国精神障害者家族会連合会(全家連)が1999年4月に早期に承認するよう厚生大臣と有力国会議員へ陳情を行っている。詳細は全国精神障害者家族会連合会の項を参照[2]。
禁忌
- 昏睡状態の患者
- 中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者
- アドレナリンを投与中の患者
- 糖尿病の患者、あるいは糖尿病の既往歴のある患者
副作用
主な副作用は不眠、眠気、体重増加、アカシジア、ジスキネジア、振戦、倦怠感不安・焦燥、興奮・易刺激性。また、主な臨床検査値異常はALT(GPT)上昇、プロラクチン上昇、AST(GOT)上昇、トリグリセリド上昇である。
他の非定型精神病薬と比べ、特に注意が必要とされている副作用が体重増加と耐糖異常(糖尿病)である。
もともと社会的に肥満が問題になっているアメリカでは、オランザピンによる体重増加はすぐに心筋梗塞など致死的な疾患に結びつきかねないので、特に注意が必要とされている。
また、日本においては、オランザピンと因果関係が否定できない重篤な高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡が9例(死亡例2例)報告されており、厚生省より注意喚起がなされた[1](2002/4)。これに対し、発売元の日本イーライリリーでは、糖尿病患者やその既往歴のある患者に対する患者への投与を禁忌に入れ、ドラッグ・インフォメーション上で目立つように警告を発するなどの対応をとった。
訴訟
ジプレキサ(オランザピン)は1996年に市場に出たが、服用後に糖尿病やほかの病気になったとの訴えがあり、2005年には8000件の訴訟に対して7億ドル、2007年には18000件の訴訟に対して5億ドル支払っている[3]。
2009年、イーライリリーは、非定型抗精神病薬ジプレキサ(オランザピン)を、体重増加などの副作用の情報を告知せず、また常用量で死亡リスクを高める老人への睡眠薬としての利用を勧める「午後5時に5mg」などの違法なマーケティングにより14億ドルの罰金が科された[4]
脚注
- ^ Burton, Michael E.; Shaw, Leslie M.; Schentag, Jerome J.; Evans, William E. (May 1, 2005). Applied Pharmacokinetics & Pharmacodynamics: Principles of Therapeutic Drug Monitoring. Lippincott Williams & Wilkins; Fourth Edition edition. pp. 815. ISBN 978-0781744317.
- ^ 霞ヶ関の犯罪「お上社会」腐蝕の構造 本澤二郎 リベルタ出版 2002年 ISBN 9784947637772 p196
- ^ Alex Berenson (2007年1月4日). “Lilly to Pay Up to $500 Million to Settle Claims”. The New York Times. http://www.nytimes.com/2007/01/04/business/04cnd-drug.html 2013年3月15日閲覧。
- ^ Maia Szalavitz Sept (2012年9月17日). “Top 10 Drug Company Settlements”. TIME.com. http://healthland.time.com/2012/09/17/pharma-behaving-badly-top-10-drug-company-settlements/ 2013年2月23日閲覧。
参考文献
- 上島国利 編『オランザピン100の報告 ひとりひとりの治療ゴールへ』 星和書店 2003年。
- 上島国利 編『オランザピン急性期の報告 ――ひとりひとりの治療ゴールへ』 星和書店 2004年。
外部リンク
- 製剤の日本語版公式サイト(医療関係者向け)
- ジプレキサ錠-オランザピン(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
抗精神病薬 (N05A) |
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定型抗精神病薬 |
ブチロフェノン系: アザペロン Benperidol ブロムペリドール Droperidol Fluanisone ハロペリドール Lenperone Moperone ピパンペロン スピペロン Trifluperidol; Diphenylbutylpiperidines: Clopimozide Fluspirilene Penfluridol Pimozide; フェノチアジン系: アセプロマジン Acetophenazine Butaperazine Carphenazine Chlorproethazine クロルプロマジン Cyamemazine Dixyrazine フルフェナジン レボメプロマジン Mesoridazine Perazine プロペリシアジン ペルフェナジン Piperacetazine Pipotiazine Prochlorperazine プロマジン プロメタジン Propiomazine Sulforidazine Thiethylperazine Thiopropazate Thioproperazine Thioridazine Trifluoperazine Triflupromazine; Thioxanthenes: Chlorprothixene Clopenthixol Flupentixol Thiothixene Zuclopenthixol; Tricyclics: アモキサピン Butaclamol Carpipramine Loxapine Metitepine/Methiothepin Octoclothiepin; Others: Molindone Oxypertine Prothipendyl
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非定型抗精神病薬 |
Azapirones: ペロスピロン Tiospirone; ベンザミド系: Amisulpride Levosulpiride ネモナプリド Remoxipride スルピリド スルトプリド Tiapride Veralipride; ブチロフェノン系: Cinuperone Setoperone; Tricyclics: Asenapine Clotiapine クロザピン Fluperlapine Metitepine/Methiothepin モサプラミン オランザピン クエチアピン Tenilapine ゾテピン; Others: Amperozide アリピプラゾール Bifeprunox ブロナンセリン Cariprazine Iloperidone ルラシドン Ocaperidone パリペリドン Pardoprunox Pimavanserin リスペリドン Sertindole Ziprasidone
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Others |
Cannabidiol D-Cycloserine Mifepristone Reserpine Rimcazole Secretin Talnetant Tetrabenazine Vabicaserin
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UpToDate Contents
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Japanese Journal
- HepG2細胞のグリコーゲン代謝に及ぼすオランザピンの影響
- オランザピンによる体重・摂食量増加における視床下部AMPK活性の役割
- 統合失調症急性期患者を対象としたパリペリドン徐放錠とオランザピンのオープンラベル無作為化試験 (特集 パリペリドン徐放錠の基礎と臨床)
Related Links
- オランザピン(Olanzapine、商品名:ジプレキサ)はアメリカFDAで承認された2番目の非 定型抗精神病薬で、アメリカ国内で最も多く使用されている非定型抗精神病薬のひとつ 。1996年に発売された。CAS登録番号は132539-06-1。オランザピンは日本国内では ...
- ジプレキサとは?オランザピンの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる( おくすり110番:薬事典版)
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ジプレキサザイディス錠5mg
組成
成分・含量
(1錠中):
添加物:
- ゼラチン、D‐マンニトール、アスパルテーム(L‐フェニルアラニン化合物)、パラオキシ安息香酸メチルナトリウム、パラオキシ安息香酸プロピルナトリウム
禁忌
- 昏睡状態の患者[昏睡状態を悪化させるおそれがある。]
- バルビツール酸誘導体等の中枢神経抑制剤の強い影響下にある患者[中枢神経抑制作用が増強される。]
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- アドレナリンを投与中の患者[「相互作用」の項参照]
- 糖尿病の患者、糖尿病の既往歴のある患者
効能または効果
- 統合失調症、双極性障害における躁症状の改善
- 統合失調症:通常、成人にはオランザピンとして5?10mgを1日1回経口投与により開始する。維持量として1日1回10mg経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。ただし、1日量は20mgを超えないこと。
- 双極性障害における躁症状の改善:通常、成人にはオランザピンとして10mgを1日1回経口投与により開始する。維持量は年齢、症状により適宜増減するが、1日量は20mgを超えないこと。
- 本剤は口腔内で速やかに崩壊することから唾液のみ(水なし)でも服用可能であるが、口腔粘膜からの吸収により効果発現を期待する製剤ではないため、崩壊後は唾液又は水で飲み込むこと。
双極性障害における躁症状の改善の場合
- 躁症状が改善した場合には、本剤の投与継続の要否について検討し、本剤を漫然と投与しないよう注意すること。
慎重投与
- 尿閉、麻痺性イレウス、閉塞隅角緑内障のある患者[抗コリン作用により症状を悪化させることがある。]
- てんかん等の痙攣性疾患又はこれらの既往歴のある患者[痙攣閾値を低下させることがある。]
- 肝障害のある患者又は肝毒性のある薬剤による治療を受けている患者[肝障害を悪化させることがある。]
- 高齢者[「高齢者への投与」の項参照]
- 本剤のクリアランスを低下させる要因(非喫煙者、女性、高齢者)を併せ持つ患者[本剤の血漿中濃度が増加することがある。]
- 糖尿病の家族歴、高血糖あるいは肥満等の糖尿病の危険因子を有する患者[「重要な基本的注意」の項参照]
重大な副作用
- 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡:高血糖があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡から死亡に至るなどの致命的な経過をたどることがあるので、血糖値の測定や、口渇、多飲、多尿、頻尿等の観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、インスリン製剤の投与を行うなど、適切な処置を行うこと。
- 低血糖:低血糖があらわれることがあるので、脱力感、倦怠感、冷汗、振戦、傾眠、意識障害等の低血糖症状が認められた場合には、投与を中止し適切な処置を行うこと。
- 悪性症候群(Syndrome malin):無動緘黙、強度の筋強剛、脈拍及び血圧の変動、発汗等が発現し、それに引き続き発熱がみられる場合は、投与を中止し、水分補給、体冷却等の全身管理とともに、適切な処置を行うこと。本症発症時には、血清CK(CPK)の上昇や白血球の増加がみられることが多い。また、ミオグロビン尿を伴う腎機能の低下に注意すること。なお、高熱が持続し、意識障害、呼吸困難、循環虚脱、脱水症状、急性腎不全へと移行し、死亡した例が報告されている。
- 肝機能障害、黄疸:AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP、Al-Pの上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 痙攣:痙攣(強直間代性、部分発作、ミオクロヌス発作等)があらわれることがあるので、異常が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 遅発性ジスキネジア:長期投与により、不随意運動(特に口周部)があらわれ、投与中止後も持続することがある。
- 横紋筋融解症:横紋筋融解症があらわれることがあるので、筋肉痛、脱力感、CK(CPK)上昇、血中及び尿中ミオグロビン上昇等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。また、横紋筋融解症による急性腎不全の発症に注意すること。
- 麻痺性イレウス:腸管麻痺(食欲不振、悪心・嘔吐、著しい便秘、腹部の膨満あるいは弛緩及び腸内容物のうっ滞等の症状)を来し、麻痺性イレウスに移行することがあるので、腸管麻痺があらわれた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 無顆粒球症、白血球減少:無顆粒球症、白血球減少があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
- 肺塞栓症、深部静脈血栓症:抗精神病薬において、肺塞栓症、静脈血栓症等の血栓塞栓症が報告されているので、観察を十分に行い、息切れ、胸痛、四肢の疼痛、浮腫等が認められた場合には、投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- オランザピンはチエノベンゾジアゼピン骨格を有する非定型抗精神病薬である。非臨床薬理試験において定型抗精神病薬とは異なる薬理学的特徴が明らかにされている。
薬理作用
統合失調症諸症状の動物モデルでの選択的作用
- オランザピンは、カタレプシー9)(錐体外路系副作用の指標)を惹起する用量よりも低い用量で、条件回避反応9)(陽性症状の指標)、プレパルスインヒビション10)(陰性症状及び認知障害の指標)、社会的接触減少11)(陰性症状の指標)、コンフリクト9),12)(陰性症状及び不安の指標)あるいは強制水泳(うつ症状の指標)などの統合失調症諸症状の動物モデルにおいて改善作用を示す。
中脳辺縁系及び大脳皮質前頭前野への選択性
- オランザピンは、電気生理学的試験13)や組織学的試験14)において、錐体外路系副作用に関与している黒質線条体系よりも、抗精神病活性と関係する中脳辺縁系及び大脳皮質前頭前野への選択性を示す。
統合失調症に関わる不均衡な神経系との特異的相互作用
- 統合失調症では大脳皮質前頭前野でのドパミンD1系の機能低下やグルタミン神経系の伝達障害が仮説化されているが、オランザピンは大脳皮質前頭前野でドパミンとノルアドレナリンの遊離を増加させ15)、グルタミン酸神経系の伝達障害を回復させる10),11)。
作用機序
- オランザピンは多数の神経物質受容体に対する作用を介して統合失調症の陽性症状のみならず、陰性症状、認知障害、不安症状、うつ症状などに対する効果や錐体外路症状の軽減をもたらし(多元作用型:multi-acting)、また、多くの受容体に対する作用が脳内作用部位への選択性につながる(受容体標的化:receptor-targeting)と考えられる16)?18)。オランザピンは、ドパミンD2タイプ(D2、D3、D4)、セロトニン5-HT2A,2B,2C、5-HT6、α1-アドレナリン及びヒスタミンH1受容体へほぼ同じ濃度範囲で高い親和性を示すが、ドパミンD1タイプ(D1、D5)やセロトニン5-HT3受容体へはやや低い親和性で結合する19),20)。またムスカリン(M1、M2、M3、M4、M5)受容体への親和性はin vitroと比較してin vivoでは弱い21)。オランザピンはこれらの受容体に対し拮抗薬として働く22)。さらにオランザピンによる大脳皮質前頭前野でのドパミンとノルアドレナリンの遊離増加15)や、グルタミン酸神経系の伝達障害の回復10),11)も、オランザピンと複数の受容体との相互作用より引き起こされている可能性がある17)。
有効成分に関する理化学的知見
一般名:
化学名:
- 2-Methyl-4-(4-methylpiperazin-1-yl)-10H-thieno[2,3-b][1,5]benzodiazepine
分子式:
分子量:
- 312.43
- 1.8(pH5、緩衝液-オクタノール系)
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬:
[★]
- 同
- NMLS
- クロザピン、オランザピン、およびリスペリドンを含む非定型抗精神病薬は非定型的な悪性症候群様症状?(neuroleptic malignant?like syndrome, NMLS)と結びついており、筋固縮を伴わない発熱や譫妄が顕著である(GOO)。