ジカディア
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IUPAC命名法による物質名 |
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IUPAC名 5-Chloro-N2-[2-isopropoxy-5-methyl-4-(4-piperidinyl)phenyl]-N4-[2-(isopropylsulfonyl)phenyl]-2,4-pyrimidinediamine |
臨床データ |
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販売名 |
Zykadia |
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Drugs.com |
Multum Consumer Information |
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胎児危険度分類 |
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法的規制 |
|
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投与方法 |
Oral |
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識別 |
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CAS番号
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1032900-25-6 |
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ATCコード |
L01XE28 (WHO) |
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PubChem |
CID: 57379345 |
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DrugBank |
DB09063 |
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ChemSpider |
29315053 |
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KEGG |
D10551 |
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ChEBI |
CHEBI:78432 |
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ChEMBL |
CHEMBL2403108 |
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別名 |
LDK378 |
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化学的データ |
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化学式 |
C28H36ClN5O3S |
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分子量 |
558.14 g/mol |
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SMILES
CC1=CC(=C(C=C1C2CCNCC2)OC(C)C)NC3=NC=C(C(=N3)NC4=CC=CC=C4S(=O)(=O)C(C)C)Cl
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InChI
InChI=1S/C28H36ClN5O3S/c1-17(2)37-25-15-21(20-10-12-30-13-11-20)19(5)14-24(25)33-28-31-16-22(29)27(34-28)32-23-8-6-7-9-26(23)38(35,36)18(3)4/h6-9,14-18,20,30H,10-13H2,1-5H3,(H2,31,32,33,34) Key:VERWOWGGCGHDQE-UHFFFAOYSA-N
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セリチニブ(Ceritinib)は一部の肺癌を対象とした治療薬の一つである[1]。未分化リンパ腫キナーゼ(英語版)(ALK)阻害作用を持つ[2]。米国では2014年4月に米国食品医薬品局(FDA)から、クリゾチニブ治療後の転移のあるALK 陽性非小細胞肺癌の治療薬として承認された[1]。日本では2016年3月に「クリゾチニブに抵抗性または不耐容のALK 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」を適応として承認された[3]。商品名ジカディア。開発コードLDK378。
副作用
添付文書に記載されている重大な副作用は、間質性肺疾患(1.4%)、肝機能障害(3.6%)、QT間隔延長(5.7%)、徐脈(0.7%)、重度の下痢(6.4%)、高血糖(0.7%)、糖尿病(0.7%)、膵炎(頻度不明)である[4]。これらの副作用は時に致死的であるので、患者の安全確保を目的とした留意事項(適正使用情報)が承認同日に厚生労働省から医療関係者に通知されている[5]。
他に20%以上の患者に食欲減退、悪心(77.9%)、下痢(77.1%)、嘔吐(58.6%)、腹痛、肝機能検査値異常(ALT(GPT)増加、AST(GOT)増加、血中ビリルビン増加等)、疲労が認められる。
作用機序
ALKは細胞の増殖を司るチロシンキナーゼの一種である。通常は休眠しているが、非小細胞肺癌の3〜5%ではALK 遺伝子と他の遺伝子の融合が見られ、ALK 遺伝子が恒常的に発現する事で細胞増殖シグナルが常にONになり、異常増殖が生じている[6]。この様な癌をALK 陽性(ALK+)非小細胞肺癌と言う。ALK阻害剤はこのキナーゼを阻害して増殖を止め、アポトーシスを誘導する。
出典
- ^ a b “FDA Approves Ceritinib for ALK-Positive Lung Cancer”. Medscape. (2014年4月29日). http://www.medscape.com/viewarticle/824305
- ^ Shaw AT, Kim DW, Mehra R, Tan DS, Felip E, Chow LQ, Camidge DR, Vansteenkiste J, Sharma S, De Pas T, Riely GJ, Solomon BJ, Wolf J, Thomas M, Schuler M, Liu G, Santoro A, Lau YY, Goldwasser M, Boral AL, Engelman JA (2014). “Ceritinib in ALK-Rearranged Non–Small-Cell Lung Cancer”. N Engl J Med 370: 1189-1197. doi:10.1056/NEJMoa1311107. PMID 24670165.
- ^ “ALK阻害剤「ジカディア」、ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺がんの治療薬として日本国内での製造販売承認を取得”. ノバルティス (2016年3月28日). 2016年5月20日閲覧。
- ^ “ジカディアカプセル150mg 添付文書” (2016年3月). 2016年7月1日閲覧。
- ^ 厚生労働省 (2016年3月28日). “セリチニブ製剤の使用に当たっての留意事項について (PDF)”. 日本臨床腫瘍薬学会. 2016年5月20日閲覧。
- ^ “ALK陽性肺がんに対する治療薬耐性の原因を発見 (PDF)”. 公益財団法人がん研究会 (2015年12月25日). 2016年5月20日閲覧。
UpToDate Contents
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- 1. 未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)融合癌遺伝子陽性非小細胞肺癌anaplastic lymphoma kinase alk fusion oncogene positive non small cell lung cancer [show details]
…percent of patients receiving crizotinib. Ceritinib is a second-generation TKI of ALK that is approximately 20 times more potent than crizotinib. Ceritinib is approved by the FDA for patients with metastatic …
- 2. アントラサイクリン系以外の抗がん剤の心毒性cardiotoxicity of non anthracycline cancer chemotherapy agents [show details]
…(QTc) interval prolongation. Less information is available with regard to ceritinib. In one report of 255 patients receiving ceritinib, bradycardia (heart rate <50 bpm) was reported as a new finding in only …
- 3. 非小細胞肺癌の脳転移brain metastases in non small cell lung cancer [show details]
…discussed elsewhere. Ceritinib – Ceritinib has been compared with platinum/pemetrexed chemotherapy in the front-line setting but not with crizotinib. Evidence of activity of ceritinib over chemotherapy in …
- 4. 全身性未分化大細胞型リンパ腫の治療treatment of systemic anaplastic large cell lymphoma [show details]
…We generally use sequential therapy starting with crizotinib and reserving ceritinib for crizotinib failures since ceritinib has demonstrated activity in patients with ALK rearranged lung cancers that …
- 5. 進行非小細胞肺癌に対する遺伝子型による個別治療personalized genotype directed therapy for advanced non small cell lung cancer [show details]
…rearrangement (ALK-positive NSCLC) strongly predicts for sensitivity to ALK TKIs (eg, crizotinib, ceritinib, alectinib), and treatment with these agents significantly prolongs progression-free survival (PFS) …
Japanese Journal
- クリゾチニブ投与後に複雑性腎嚢胞を発症したALK陽性肺癌に対し,アレクチニブ,セリチニブを投与した1例
- 濵井 宏介,玉本 聖佳,西田 紋子,谷本 琢也,庄田 浩康,石川 暢久
- 肺癌 59(3), 260-264, 2019
- … を受けたが,複雑性腎嚢胞を発症したために治療を中止した.殺細胞性抗癌剤による治療を行った後に,四次化学療法としてアレクチニブ,六次化学療法としてセリチニブを投与したが,複雑性腎嚢胞の再燃は認めなかった.<b>結論.</b>クリゾチニブ投与後に複雑性腎嚢胞を発症したが,その後アレクチニブおよびセリチニブを用いて治療可能であったALK陽性肺癌の1例を経験した.</p> …
- NAID 130007674493
- ALK阻害薬の使い分け (特集 肺癌治療の最前線) -- (進行・再発肺癌の最新治療)
- 堀池 篤,西尾 誠人
- 日本内科学会雑誌 106(6), 1101-1107, 2017
- … 伝子陽性肺癌は非小細胞肺癌の約5%を占め,ALK(anaplastic lymphoma kinase)阻害薬が著効する.現在,<i>ALK</i>融合遺伝子陽性肺癌に対して第1世代のALK阻害薬クリゾチニブと第2世代のアレクチニブ,セリチニブが承認され,実地臨床で使用可能となり,これらの薬剤をいかに使い分けるかが課題である.これまでの臨床試験結果および基礎的な研究から各薬剤の特徴を理解し,これら複数のALK阻害薬を使いこなす …
- NAID 130007395578
Related Links
- ジカディア(セリチニブ)の作用機序 ジカディアはALK融合遺伝子から合成された ALK融合タンパクを特異的に阻害 する薬剤です!ALK融合タンパクを阻害することでシグナル伝達を阻害させ、 がん細胞の増殖を抑制 するといった作用機序を
- 特徴 セリチニブはチロシンキナーゼ阻害薬と呼ばれ、がん細胞の増殖にかかわる分子を狙い撃ちする分子標的薬の一種です。肺がんのタイプの一つである非小細胞肺がんではEML4-ALK融合遺伝子 変異という、ALK遺伝子に変異を持つものが約5%存在することがわかっています。
- セリチニブの代謝に関与する主な代謝酵素はCYP3Aである(in vitro)。5) 放射性標識したセリチニブ750mgを健康成人(6例)に空腹時に単回経口投与したとき、血漿中の主な成分は未変化体で、放射能関連物質の82%を占めた。その
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ジカディアカプセル150mg
組成
成分・含量
添加物
- セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、無水ケイ酸
カプセル本体にゼラチン、酸化チタン、青色2号含有
禁忌
効能または効果
- ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- *十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。検査にあたっては、承認された体外診断薬を用いること。
- 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- **通常、成人にはセリチニブとして450mgを1日1回、食後に経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
- *本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるため、重度の肝機能障害患者では、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。(「慎重投与」、【薬物動態】の項参照)
- **副作用により本剤を休薬、減量、中止する場合には、以下の基準を考慮すること。また、1日150mgで投与継続が困難な場合は、本剤を中止すること。(「重要な基本的注意」、「副作用」の項参照)
副作用に対する休薬、減量及び中止基準
間質性肺疾患
- 基準注1)
Gradeを問わない
本剤の投与量調節
投与中止。
肝機能障害
- 基準注1)
・Grade 1以下のAST増加又はALT増加、かつGrade 2の血中ビリルビン増加
・Grade 2又は3のAST増加又はALT増加、かつGrade 1以下の血中ビリルビン増加
本剤の投与量調節
AST増加、ALT増加及び血中ビリルビン増加がGrade 1以下に回復するまで休薬する。投与再開時には、7日間以内に軽快した場合は休薬前と同じ投与量、7日間を超えて軽快した場合は投与量を150mg減量する。
肝機能障害
- 基準注1)
・Grade 1以下のAST増加又はALT増加、かつGrade 3の血中ビリルビン増加
・Grade 2以上のAST増加又はALT増加、かつ正常上限の1.5倍超、2倍以下の血中ビリルビン増加
本剤の投与量調節
AST増加、ALT増加及び血中ビリルビン増加がGrade 1以下に回復するまで休薬する。7日間以内に軽快した場合は、投与量を150mg減量して投与再開する。7日間以内に軽快しない場合は、投与中止する。
肝機能障害
- 基準注1)
・Grade 4のAST増加又はALT増加、かつGrade 1以下の血中ビリルビン増加
本剤の投与量調節
AST増加及びALT増加がGrade 1以下に回復するまで休薬する。投与再開時には、投与量を150mg減量する。
肝機能障害
- 基準注1)
・Grade 4の血中ビリルビン増加
・Grade 2以上のAST増加又はALT増加、かつ正常上限の2倍超の血中ビリルビン増加
本剤の投与量調節
投与中止。
QT間隔延長
- 基準注1)
QTc 500msec超が2回以上認められた場合
本剤の投与量調節
ベースライン又は481msec未満に回復するまで休薬する。投与再開時には、投与量を150mg減量する。
QT間隔延長
- 基準注1)
QTc 500msec超、又はベースラインからのQTc延長が60msec超、かつTorsade de pointes、多形性心室性頻脈又は重症不整脈の徴候・症状が認められた場合
本剤の投与量調節
投与中止。
徐脈
- 基準注1)
症候性で治療を要する重篤な場合
本剤の投与量調節
無症候性又は心拍数が60bpm以上に回復するまで休薬する。投与再開時には、投与量を150mg減量する。
徐脈
- 基準注1)
生命の危険があり緊急治療を要する場合
本剤の投与量調節
投与中止。
悪心・嘔吐・下痢
- 基準注1)
・Grade 3以上
・適切な制吐剤又は止瀉剤の使用にもかかわらずコントロールできない場合
本剤の投与量調節
Grade 1以下に回復するまで休薬する。投与再開時には、投与量を150mg減量する。
高血糖
- 基準注1)
適切な治療を行っても250mg/dLを超える高血糖が持続する場合
本剤の投与量調節
血糖がコントロールできるまで休薬する。投与再開時には、投与量を150mg減量して再開する。
リパーゼ又はアミラーゼ増加
- 基準注1)
Grade 3以上
本剤の投与量調節
Grade 1以下に回復するまで休薬する。投与再開時には、投与量を150mg減量する。
- 注1)GradeはCTCAE ver. 4に準じる。
慎重投与
- 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者〔間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。〕(「重要な基本的注意」、「副作用 重大な副作用」の項参照)
- *重度の肝機能障害のある患者〔安全性は確立していない。〕(〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
- QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者〔QT間隔延長が発現するおそれがある。〕(「重要な基本的注意」、「副作用 重大な副作用」の項参照)
重大な副作用
**,*間質性肺疾患(0.6%)
- 間質性肺疾患があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。(〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
**,*肝機能障害(4.2%)
- ALT(GPT)、AST(GOT)、総ビリルビン等の上昇を伴う肝機能障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
**,*QT間隔延長(7.5%)、徐脈(1.8%)
- QT間隔延長、徐脈があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。(〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
**,*重度の下痢(1.1%)
- 重度の下痢があらわれることがあるので、観察を十分に行い、脱水、電解質異常等の異常が認められた場合には、本剤を休薬、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。(〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
**,*高血糖(2.9%)・糖尿病(0.2%)
- 高血糖及び糖尿病があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、本剤を休薬、減量又は中止するなど適切な処置を行うこと。(〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
*膵炎(0.2%)
- 膵炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。(〈用法及び用量に関連する使用上の注意〉の項参照)
薬効薬理
- ALK遺伝子の転座/逆位により発現するALK融合タンパクでは、チロシンキナーゼ活性が異常に亢進する。ALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌では、ALK融合タンパクが腫瘍の増殖に関与する。
抗腫瘍効果
- セリチニブは、ALK融合タンパクを発現するヒト非小細胞肺癌由来NCI-H2228細胞株の増殖を阻害した。15)また、セリチニブは、NCI-H2228細胞株を皮下移植したマウス及びラット、並びにNCI-H2228細胞株由来のクリゾチニブ耐性腫瘍を皮下移植したマウスにおいて、腫瘍の増殖を抑制した。16,17,18)
作用機序
- セリチニブは、ALK融合タンパクのチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制する。19)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 5-Chloro-N 2-{5-methyl-4-(piperidin-4-yl)-2-[(propan-2-yl)oxy]phenyl}-N 4-[2-(propan-2-ylsulfonyl)phenyl]pyrimidine-2,4-diamine
分子式
分子量
性状
- 白色〜淡黄色又は淡褐色の粉末である。メタノールにやや溶けにくく、エタノール、2-プロパノール及びアセトニトリルに溶けにくく、水に極めて溶けにくい。
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬:
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- クリゾチニブに抵抗性又は不耐容のALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌を効能・効果とする新有効成分含有医薬品
【希少疾病用医薬品】