レンビマ
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レンバチニブ
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IUPAC命名法による物質名 |
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IUPAC名 4-[3-chloro-4-(cyclopropylcarbamoylamino)phenoxy]-7-methoxy-quinoline-6-carboxamide |
臨床データ |
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法的規制 |
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投与方法 |
経口 |
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識別 |
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CAS番号
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417716-92-8 |
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ATCコード |
none |
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PubChem |
CID: 9823820 |
---|
ChemSpider |
7999567 |
---|
UNII |
EE083865G2 |
---|
KEGG |
D09919 |
---|
ChEBI |
CHEBI:816009en:Template:ebicite |
---|
ChEMBL |
CHEMBL1289601en:Template:ebicite |
---|
化学的データ |
---|
化学式 |
C21H19ClN4O4 |
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分子量 |
426.853 g/mol |
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SMILES
C4CC4NC(=O)Nc3ccc(cc3Cl)Oc1ccnc(cc2OC)c1cc2C(=O)N
|
InChI
InChI=1S/C21H19ClN4O4/c1-29-19-10-17-13(9-14(19)20(23)27)18(6-7-24-17)30-12-4-5-16(15(22)8-12)26-21(28)25-11-2-3-11/h4-11H,2-3H2,1H3,(H2,23,27)(H2,25,26,28) Key:WOSKHXYHFSIKNG-UHFFFAOYSA-N
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レンバチニブ(Lenvatinib)は、エーザイが開発したマルチキナーゼ阻害薬であり、様々ながんの治療に用いられ得る。VEGFR2(英語版)キナーゼおよびVEGFR3(英語版)キナーゼを阻害する[1]。商品名レンビマ。開発コードE7080。
放射性ヨウ素による治療に抵抗性の甲状腺癌の治療薬として希少疾病用医薬品に指定されている(日米で2012年、欧州で2013年)[2]。
効能・効果
根治切除不能な甲状腺癌
臨床試験
レンバチニブは2006年に第I相臨床試験で有効性が示された後[3]、肝細胞癌[4]、甲状腺髄様癌[5]など、いくつかの第II相臨床試験が実施された。放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺癌に対する第III相国際共同臨床試験(SELECT試験)が実施され、無増悪生存期間(括弧内は中央値)の有意な延長(レンバチニブ群:18.3ヶ月 vs.偽薬群:3.6ヶ月)が確認された[6][7]。この結果に基づいて日本で2018年6月[8]に、米国・欧州で2014年8月[9]に承認申請された。日本では2015年1月[10]に薬食審に承認了承された後、2015年3月に厚労省に承認された[11]。米国では2015年2月[12]に承認された。
扁平上皮細胞癌を除く非小細胞肺癌を対象とした第II相臨床試験(703試験)の結果、登録患者の67%に全生存イベントが発生した際に実施された主要解析結果では偽薬を対象として有意差を示す事ができなかった(全生存中央値 レ群:38.4週、偽群:24.1週、p=0.065)が、登録患者の90%にイベントが発生した際に実施された探索的解析では有意差がついた(p=0.029)[13]。
副作用
治験時に見られた主な有害事象は、高血圧、下痢、食欲減退、体重減少、嘔気であった。
出典
- ^ Matsui, J.; Funahashi, Y.; Uenaka, T.; Watanabe, T.; Tsuruoka, A.; Asada, M. (2008). “Multi-Kinase Inhibitor E7080 Suppresses Lymph Node and Lung Metastases of Human Mammary Breast Tumor MDA-MB-231 via Inhibition of Vascular Endothelial Growth Factor-Receptor (VEGF-R) 2 and VEGF-R3 Kinase”. Clinical Cancer Research 14 (17): 5459–65. doi:10.1158/1078-0432.CCR-07-5270. PMID 18765537.
- ^ “Phae III trial shows lenvatinib meets primary endpoint of progression free surival benefit in treatment of radioiodine-refactory differentiated thyroid cancer”. Eisai. (2014年2月3日). http://www.eisai.com/news/enews201407pdf.pdf
- ^ Glen, H; D. Boss; T. R. Evans; M. Roelvink; J. M. Saro; P. Bezodis; W. Copalu; A. Das et al. (2007). “A phase I dose finding study of E7080 in patients (pts) with advanced malignancies”. Journal of Clinical Oncology, ASCO Annual Meeting Proceedings Part I 25 (18S): 14073. http://www.asco.org/ASCOv2/Meetings/Abstracts?&vmview=abst_detail_view&confID=47&abstractID=32665.
- ^ 臨床試験番号 NCT00946153 研究名 "Study of E7080 in Patients With Advanced Hepatocellular Carcinoma (HCC)" - ClinicalTrials.gov
- ^ “A phase II trial of the multitargeted kinase inhibitor lenvatinib (E7080) in advanced medullary thyroid cancer (MTC).”. ASCO. 2015年1月26日閲覧。
- ^ “抗がん剤「レンバチニブ」が放射性ヨウ素治療抵抗性の分化型甲状腺がんを対象とした臨床第III相試験において無増悪生存期間を指標とする主要評価項目を達成”. エーザイ (2014年2月3日). 2015年1月26日閲覧。
- ^ “抗がん剤「レンバチニブ」が放射性ヨウ素治療抵抗性分化型甲状腺がんを対象とした臨床第III相試験において無増悪生存期間を顕著に改善”. エーザイ (2014年5月31日). 2015年1月26日閲覧。
- ^ “日本において、抗がん剤「レンバチニブ」の新薬承認申請を世界に先駆けて提出”. エーザイ (2014年6月26日). 2015年1月26日閲覧。
- ^ “抗がん剤「レンバチニブ」米国・欧州において新薬承認を同時申請”. エーザイ (2014年8月18日). 2015年1月26日閲覧。
- ^ “薬食審・第二部会 新薬4製品を審議、承認了承 エーザイの新規抗がん剤など”. ミクス (2015年1月22日). 2015年1月26日閲覧。
- ^ “新薬18製品が承認 経口C型肝炎薬ソバルディ、週1回DPP-4阻害薬ザファテックなど”. ミクス (2015年3月27日). 2015年3月27日閲覧。
- ^ “【エーザイ】抗がん剤「レンバチニブ」を米承認‐20年には売上10億ドル”. 薬事日報 (2015年2月19日). 2015年2月20日閲覧。
- ^ “lenvatinibの肺癌対象フェーズ2の最新探索的追加解析でOSの延長が示唆”. 日経メディカル (2015年2月25日). 2015年2月28日閲覧。
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- 1. 標準療法に対し難治性の甲状腺分化癌:化学療法differentiated thyroid cancer refractory to standard treatment chemotherapy [show details]
…randomized trials, such as lenvatinib. Sorafenib is an alternative option. Lenvatinib is an inhibitor of VEGFR, RET, and fibroblast growth factor receptor kinases 1 to 4. In 2015, lenvatinib was approved by the …
- 2. 進行性肝細胞癌への全身治療systemic treatment for advanced hepatocellular carcinoma [show details]
…sorafenib, given the longer duration of experience with this drug than with lenvatinib, the lack of a survival benefit for lenvatinib over sorafenib in the REFLECT trial, and the approval of two second-line …
- 3. 腎不全患者に生じる抗がん剤の腎毒性と用量調整:分子標的治療薬chemotherapy nephrotoxicity and dose modification in patients with renal insufficiency molecularly targeted agents [show details]
…failure or impairment can occur in patients treated with lenvatinib : Renal impairment occurred in 14 percent of patients receiving lenvatinib (initial dose 24 mg daily) in the SELECT trial (disseminated …
- 4. 分子標的薬である血管新生阻害剤の毒性:心血管系への影響toxicity of molecularly targeted antiangiogenic agents cardiovascular effects [show details]
…described with vandetanib, lenvatinib, and sunitinib, but not with other antiangiogenic TKIs. Specific guidelines for managing QTc prolongation during vandetanib and lenvatinib therapy are available. …
- 5. アントラサイクリン系以外の抗がん剤の心毒性cardiotoxicity of non anthracycline cancer chemotherapy agents [show details]
…cardiovascular risk profile has also been observed as has been reported with sunitinib and sorafenib. Lenvatinib is another multi-targeted TKI that targets VEGFR, KIT, RET, platelet-derived growth factor receptor …
Japanese Journal
- レンバチニブ投与後に縦隔と交通する前胸部皮膚瘻をきたした甲状腺乳頭癌の2例
- 今井 篤志,岡村 純,望月 大極,山口 裕貴,増田 守,三澤 清,細川 誠二,峯田 周幸
- 耳鼻咽喉科臨床 112(8), 543-549, 2019
- <p>We report two cases of thyroid papillary carcinoma with anterior chest wall fistula communicated with the mediastinum caused by lenvatinib. Both patients had previously undergone mediastinal …
- NAID 130007686379
- 肝細胞がんに対するレンバチニブ(レンビマカプセル4 mg)の抗腫瘍メカニズムと臨床試験成績
- 渡辺 達夫,小山 則行
- 日本薬理学雑誌 153(5), 242-248, 2019
- … <p>レンバチニブメシル酸塩(以下,レンバチニブ)は,経口投与可能な受容体チロシンキナーゼ阻害薬であり,血管内皮増殖因子受容体1~3,線維芽細胞増殖因子受容体1~4,血小板由来増殖因子受容体α,rearranged during transfectionチロシンキナーゼ,幹細胞因子受容体を阻害する.肝細胞がんに対するin vitro及びマウスモデルでの抗腫瘍効果の解析から,レンバチニブは血管内 …
- NAID 130007649447
- 木下 崇,大熊 雄介,佐々原 剛,佐々木 慶太
- 頭頸部外科 28(3), 329-333, 2019
- … 切除不能甲状腺癌患者に対するレンバチニブ治療中に生じた急性胆道炎の3例を報告する。 … レンバチニブ投与開始後12,100および212日後に右季肋部痛もしくは心窩部痛にて発症。 … レンバチニブ休止にていずれも軽快し,減量再開をしている。 …
- NAID 130007632078
Related Links
- レンビマカプセル4mg(一般名:レンバチニブメシル酸塩)の効能効果に「切除不能な肝細胞がん」を追加することが2018年3月23日に承認されました。 製薬会社 製造販売元:エーザイ(株)
- レンバチニブ(商品名:レンビマ)の特徴 複数のがんに対しての治療効果を期待できる薬がレンバチニブ(商品名:レンビマ)です。これらがんの中でも、最初に承認されたのは甲状腺がんに対しての適応です。 甲状腺がんを治療するとき、甲状腺を切除したり放射性ヨウ素を服用したりし ...
- レンバチニブメシル酸塩 4.90mg(レンバチニブと して4mg) 1カプセル中 レンバチニブメシル酸塩 12.25mg(レンバチニブと して10mg) 添加剤 結晶セルロース、タルク、 沈降炭酸カルシウム、低置 換度ヒドロキシプロピルセ ルロース ...
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
レンビマカプセル4mg
組成
- カプセル4mg:本剤は、1カプセル中にレンバチニブメシル酸塩4.90mg(レンバチニブとして4mg)を含有する上下とも黄赤色不透明な硬カプセル剤である。
添加物として結晶セルロース、タルク、沈降炭酸カルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、D-マンニトール、ラウリル硫酸ナトリウムを含有する。
禁忌
- 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
- 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人
〔「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」の項参照〕
効能または効果
レンビマカプセル4mg
レンビマカプセル10mg
効能・効果
用法・用量
- 通常、成人にはレンバチニブとして1日1回24mgを経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
レンビマカプセル4mg
効能・効果
用法・用量
- 通常、成人には体重にあわせてレンバチニブとして体重60kg以上の場合は12mg、体重60kg未満の場合は8mgを1日1回、経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
根治切除不能な甲状腺癌
- 放射性ヨウ素による治療歴のない分化型甲状腺癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
- 臨床試験に組み入れられた患者の病理組織型等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
〔「臨床成績」の項参照〕
切除不能な肝細胞癌
- 局所療法(経皮的エタノール注入療法、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、肝動脈塞栓療法/肝動脈化学塞栓療法、放射線療法等)の適応となる肝細胞癌患者に対する本剤の有効性及び安全性は確立していない。
- 臨床試験に組み入れられた患者の肝機能障害の程度等について、「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分理解した上で、適応患者の選択を行うこと。
〔「臨床成績」の項参照〕
- 本剤と他の抗悪性腫瘍剤との併用について、有効性及び安全性は確立していない。
- 重度の肝機能障害患者では、本剤の血中濃度が上昇するとの報告があるため、減量を考慮するとともに、患者の状態をより慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
〔「慎重投与」及び「薬物動態」の項参照〕
根治切除不能な甲状腺癌
- 副作用があらわれた場合は、症状、重症度等に応じて以下の基準を考慮して、本剤を減量、休薬又は中止すること。減量して投与を継続する場合には、1日1回20mg、14mg、10mg、8mg又は4mgに減量すること。
減量、休薬及び中止基準
副作用
程度*
- 収縮期血圧140mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上のとき
処置
程度*
- 降圧治療にも係らず、収縮期血圧160mmHg以上又は拡張期血圧100mmHg以上のとき
処置
- 収縮期血圧150mmHg以下及び拡張期血圧95mmHg以下になるまで本剤を休薬し、降圧剤による治療を行う。
本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
程度*
処置
副作用
程度*
- 忍容性がないGrade 2又はGrade 3の副作用が発現した場合
処置
- 本剤の投与開始前の状態又はGrade 1以下に回復するまで休薬する(悪心・嘔吐・下痢に対しては休薬の前に適切な処置を行い、コントロールできない場合に本剤を休薬すること)。
本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
程度*
- Grade 4の副作用が発現した場合
(生命を脅かさない臨床検査値異常の場合は、Grade 3の副作用と同じ処置とする)
処置
- 本剤の投与を中止する。
- *:GradeはCTCAE(Common Terminology Criteria for Adverse Events)version 4.0に準じる。
切除不能な肝細胞癌
- 臨床試験において、中等度(Child-Pughスコア7〜8)の肝機能障害を有する肝細胞癌患者に対する最大耐用量は1日1回8mgであることが確認されている。中等度の肝機能障害を有する肝細胞癌患者に対しては減量を考慮するとともに、患者の状態を慎重に観察し、有害事象の発現に十分注意すること。
〔「慎重投与」の項参照〕
- 副作用があらわれた場合は、症状、重症度等に応じて以下の基準を考慮して、本剤を減量、休薬又は中止すること。
減量段階基準
開始用量
1段階減量
2段階減量
3段階減量
開始用量
1段階減量
2段階減量
3段階減量
減量、休薬及び中止基準
副作用
程度*
- 収縮期血圧140mmHg以上又は拡張期血圧90mmHg以上のとき
処置
程度*
- 降圧治療にも係らず、収縮期血圧160mmHg以上又は拡張期血圧100mmHg以上のとき
処置
- 収縮期血圧150mmHg以下及び拡張期血圧95mmHg以下になるまで本剤を休薬し、降圧剤による治療を行う。
本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
程度*
処置
副作用
程度*
- Grade 3の副作用が発現した場合
(臨床的に意義がない臨床検査値異常の場合を除く)
処置
- 本剤の投与開始前の状態又はGrade 2以下に回復するまで休薬する。
本剤の投与を再開する場合、初回の副作用発現時は減量せず、2回目以降の副作用発現時は1段階減量する。
程度*
処置
- 本剤の投与開始前の状態又はGrade 2以下に回復するまで休薬する。
本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
副作用
程度*
処置
- 本剤の投与開始前の状態若しくはGrade 1以下に回復するまで休薬する、又は本剤の投与量を1段階減量して投与を継続する(悪心・嘔吐・下痢・甲状腺機能低下に対しては休薬又は減量の前に適切な処置を行い、コントロールできない場合に本剤を休薬又は減量すること)。
本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
程度*
- Grade 3の副作用が発現した場合
(臨床的に意義がない臨床検査値異常の場合を除く)
処置
- 本剤の投与開始前の状態又はGrade 1以下に回復するまで休薬する(悪心・嘔吐・下痢・甲状腺機能低下に対しては休薬の前に適切な処置を行い、コントロールできない場合に本剤を休薬すること)。
本剤の投与を再開する場合、1段階減量する。
程度*
- Grade 4の副作用が発現した場合
(生命を脅かさない臨床検査値異常の場合は、Grade 3の副作用と同じ処置とする)
処置
- 本剤の投与を中止する。
- *:GradeはCTCAE version 4.0に準じる。
慎重投与
- 高血圧症の患者
〔高血圧が悪化するおそれがある。「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照〕
- 重度の肝機能障害のある患者
〔血中濃度が上昇するおそれがある。「用法・用量に関連する使用上の注意」及び「薬物動態」の項参照〕
- 中等度の肝機能障害のある肝細胞癌患者
〔臨床試験において、中等度(Child-Pughスコア7〜8)の肝機能障害を有する肝細胞癌患者に対する最大耐用量は1日1回8mgであることが確認されている。また、中等度(Child-Pughスコア9)及び重度の肝機能障害を有する肝細胞癌患者への使用経験はない。「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照〕
- 脳転移のある患者
〔転移部位からの出血があらわれるおそれがある。「重大な副作用」の項参照〕
- 血栓塞栓症又はその既往歴のある患者
〔血栓塞栓症が悪化又は再発するおそれがある。「重大な副作用」の項参照〕
- 外科的処置後、創傷が治癒していない患者
〔創傷治癒遅延があらわれることがある。「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照〕
- 頸動脈・静脈等への腫瘍浸潤のある患者
〔腫瘍縮小・壊死に伴う頸動脈露出、頸動脈出血、腫瘍出血があらわれることがある。「重要な基本的注意」及び「重大な副作用」の項参照〕
- 肺転移を有する患者
〔気胸が発現するおそれがある。「重大な副作用」の項参照〕
重大な副作用
高血圧
- 高血圧(49.7%)、高血圧クリーゼ(頻度不明)等があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。なお、コントロールできない高血圧が認められた場合には減量・休薬すること。また、高血圧クリーゼがあらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
出血
- 鼻出血、血尿、喀血、肺出血、消化管出血、脳出血、腫瘍出血等の出血(14.9%)があらわれることがある。また、甲状腺癌患者において、腫瘍縮小・壊死に伴う頸動脈出血、腫瘍出血があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量や休薬等の適切な処置を行うこと。重篤な出血があらわれた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
動脈血栓塞栓症
- 心筋梗塞、脳血管発作、脾臓梗塞等の動脈血栓塞栓症(2.0%)があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止等の適切な処置を行うこと。
静脈血栓塞栓症
- 肺塞栓症、深部静脈血栓症、網膜静脈血栓症、門脈血栓症等の静脈血栓塞栓症(2.4%)があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止等の適切な処置を行うこと。
肝障害
- AST、ALT等の上昇を伴う肝障害(16.8%)、アルブミン低下(6.5%)、肝性脳症(2.4%)、肝不全(0.8%)等があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
急性胆嚢炎
- 無石胆嚢炎を含む急性胆嚢炎(頻度不明)があらわれることがあり、胆嚢穿孔に至った例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬等の適切な処置を行うこと。
腎障害
- 蛋白尿(27.0%)、腎機能障害(0.8%)、腎不全(0.4%)、ネフローゼ症候群(0.3%)等があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止等の適切な処置を行うこと。
消化管穿孔、瘻孔形成、気胸
- 腸管穿孔(頻度不明)、痔瘻(0.1%)、腸膀胱瘻(0.1%)、気胸(頻度不明)等があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、中止等の適切な処置を行うこと。
可逆性後白質脳症症候群
- 可逆性後白質脳症症候群(0.3%)があらわれることがあるので、痙攣、頭痛、錯乱、視覚障害、皮質盲等が認められた場合には投与を中止し、血圧のコントロールを含め、適切な処置を行うこと。
心障害
- 心電図QT延長(5.0%)、駆出率減少(1.8%)、心房細動・粗動(0.5%)、心不全(0.3%)等があらわれることがある。十二誘導心電図検査の実施等、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止等の適切な処置を行うこと。
手足症候群
- 手掌・足底発赤知覚不全症候群(28.4%)等があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止等の適切な処置を行うこと。
感染症
- 気道感染(1.6%)、肺炎(1.2%)、敗血症(0.4%)等があらわれることがある。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止等の適切な処置を行うこと。
骨髄抑制
- 血小板減少(17.9%)、白血球減少(9.0%)、好中球減少(8.7%)、リンパ球減少(3.7%)、貧血(3.5%)等があらわれることがある。定期的に血液検査を行うなど患者の状態を十分に観察し、異常が認められた場合には、減量、休薬又は中止等の適切な処置を行うこと。
低カルシウム血症
- 低カルシウム血症(2.7%)があらわれることがあり、副甲状腺機能低下症の既往歴がある患者で高発現したことが報告されている。観察を十分に行い、異常が認められた場合には、血清カルシウム濃度を確認し、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与等の適切な処置を行うこと。また必要に応じて、減量、休薬又は中止を考慮すること。
創傷治癒遅延
- 治癒不良(0.4%)、創離開(0.1%)があらわれることがある。創傷治癒遅延があらわれた場合には、創傷が治癒するまで本剤の投与を中止すること。
薬効薬理
作用機序
- レンバチニブは、腫瘍血管新生及び腫瘍増殖等に関与する、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体(VEGFR1-3)、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体(FGFR1-4)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)α、幹細胞因子受容体(KIT)、Rearranged During Transfectionがん原遺伝子(RET)等の受容体チロシンキナーゼを阻害した。また、レンバチニブは、VEGF及びFGFによって誘導される血管内皮細胞の血管様管腔構造の形成を阻害した。15)16)
抗腫瘍効果
- レンバチニブは、ヒト甲状腺乳頭癌由来細胞株(K1)、ヒト甲状腺濾胞癌由来細胞株(RO82-W-1)、ヒト甲状腺髄様癌由来細胞株(TT)、ヒト甲状腺未分化癌由来細胞株(8305C)、ヒト甲状腺由来扁平上皮癌由来細胞株(SW579)、ヒト肝細胞癌由来細胞株(Hep 3B2.1-7、LIXC-012及びPLC/PRF/5)及び肝細胞癌患者の腫瘍組織片(LI0050及びLI0334)を移植したマウスにおいて、腫瘍増殖抑制作用を示した。17)18)
有効成分に関する理化学的知見
一 般 名
- レンバチニブメシル酸塩(Lenvatinib Mesilate)
化 学 名
- 4-{3-Chloro-4-[(cyclopropylcarbamoyl)amino]phenoxy}-7-methoxyquinoline-6-carboxamide monomethanesulfonate
分 子 式
分 子 量
構 造 式
性 状
- レンバチニブメシル酸塩は白色〜うすい帯赤黄色の粉末である。
本品は水、メタノール又はN-メチルピロリドンに溶けにくく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
融 点
分配係数
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬:
[★]
商品名
会社名
成分
薬効分類
薬効
- 根治切除不能な甲状腺癌を効能・効果とする新有効成分含有医薬品
【希少疾病用医薬品】