- 英
- crizotinib
- 商
- ザーコリ
- 関
- その他の腫瘍用薬
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クリゾチニブ
|
IUPAC命名法による物質名 |
3-[(1R)-1-(2,6-dichloro-3-fluorophenyl)ethoxy]-5-(1-piperidin-4-ylpyrazol-4-yl)pyridin-2-amine |
臨床データ |
商品名 |
Xalkori |
MedlinePlus |
a612018 |
ライセンス |
EMA:リンク、US FDA:リンク |
胎児危険度分類 |
|
法的規制 |
- AU: Prescription Only (S4)
- CA: ℞-only
- UK: POM
- US: ℞-only
|
投与方法 |
Oral |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
43% |
血漿タンパク結合 |
91% |
代謝 |
Hepatic (CYP3A4/CYP3A5(英語版)-mediated) |
半減期 |
42 hours |
排泄 |
Faeces (63%), urine (22%) |
識別 |
CAS番号 |
877399-52-5 |
ATCコード |
L01XE16 |
PubChem |
CID 11626560 |
DrugBank |
DB08700 |
ChemSpider |
9801307 |
UNII |
53AH36668S |
KEGG |
D09731en:Template:keggcite |
ChEBI |
CHEBI:64310en:Template:ebicite |
ChEMBL |
CHEMBL601719en:Template:ebicite |
別名 |
PF-02341066
1066 |
PDB ligand ID |
VGH (PDBe, RCSB PDB) |
化学的データ |
化学式 |
C21H22Cl2FN5O |
分子量 |
450.337 g/mol |
SMILES
- C1(=C(C=CC(=C1[C@H](OC2=C(N=CC(=C2)C3=C[N](N=C3)C4CCNCC4)N)C)Cl)F)Cl
|
InChI
-
InChI=1S/C21H22Cl2FN5O/c1-12(19-16(22)2-3-17(24)20(19)23)30-18-8-13(9-27-21(18)25)14-10-28-29(11-14)15-4-6-26-7-5-15/h2-3,8-12,15,26H,4-7H2,1H3,(H2,25,27)/t12-/m1/s1
Key:KTEIFNKAUNYNJU-GFCCVEGCSA-N
|
クリゾチニブ(Crizotinib、商品名:ザーコリ、開発コード:PF-02341066)はALK(未分化リンパ腫リン酸化酵素(英語版))及びROS1(癌原遺伝子チロシンプロテインキナーゼSrc)阻害薬[1][2][3]であり、ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に用いられる。未分化大細胞型リンパ腫、神経芽細胞腫、その他固形進行癌の治療での安全性及び有効性について臨床試験が実施されている[4]。
目次
- 1 警告欄
- 2 副作用
- 3 作用機序
- 4 耐性
- 5 臨床試験
- 6 関連項目
- 7 参考資料
警告欄
クリゾチニブに因り間質性肺疾患、劇症肝炎、肝不全が発現し、死亡した例が報告されている[5]。
副作用
添付文書に記載されている重大な副作用は、間質性肺疾患、劇症肝炎、肝不全、肝機能障害、QT間隔延長、徐脈、好中球減少症、白血球減少症、リンパ球減少症、血小板減少症である[5]。
20%以上に視覚障害(視力障害、光視症、霧視、硝子体浮遊物、複視、羞明、視野欠損、視力低下等)、悪心、下痢、嘔吐、便秘、浮腫(末梢性浮腫、顔面浮腫、眼窩周囲浮腫等)、疲労が発現する。
作用機序
非小細胞肺癌の6.7%の患者で遺伝子が組み換わってEML4(英語版)とALKが融合(英語版)し、キナーゼ活性を有する異常蛋白質が生成して発癌性と悪性の表現型を示すと思われる[7]事が日本から報告された。この融合遺伝子が陽性の患者は主に、若年者、非喫煙者、且つEGFR遺伝子・K-Ras遺伝子変異陰性である[8][9]。ALK陽性の非小細胞がん患者は全世界で年間4万5千人程度であると推定される[10][11]。ALK変異は又、神経芽細胞腫の約15%にも発生して悪性化に寄与していると思われるが小児の末梢神経系腫瘍では稀である[12]。
クリゾチニブはアミノピリジン(英語版)骨格を持ち、標的となるEML4–ALK融合キナーゼのATP結合部位に競合的に結合して阻害効果を発揮する[8]。又、様々な悪性腫瘍で発現する癌遺伝子であるc-Met(英語版)/肝細胞増殖因子受容体(英語版)(HGFR)チロシンキナーゼを阻害する[13]。クリゾチニブは、現在、腫瘍細胞の増殖、遊走、浸潤の調節を介してその効果を発揮すると考えられている[13][14]。他にも、クリゾチニブが悪性腫瘍内の血管新生を阻害しているとする研究も有る[15]。
耐性
EML4-ALK融合型チロシンキナーゼ阻害剤の投与を継続すると、遺伝子に2ヶ所の付加変異が生じ[16]、最終的に大多数の症例が薬剤耐性となる[17]。
臨床試験
クリゾチニブは82名のALK融合遺伝子陽性の患者の内90%で腫瘍の縮小又は増大阻止効果を示した[9][10]。又、治療した患者の57%で30%以上の縮小効果を示した。[10][18]その殆どが腺癌で、非喫煙者又は現禁煙者であった[9]。患者はクリゾチニブ以前に平均3剤を投与されていたが、標準治療が奏効した患者は10%に過ぎなかった[9][19]。クリゾチニブ250mg×2回/日を6ヶ月間(投与期間中央値)投与[9]した処、凡そ50%の患者で嘔気、嘔吐、下痢等、少なくとも1つの副作用が発現した[19]。副作用は長いもので15ヶ月間継続した[19] 。
第III相臨床試験(PROFILE 1007[20])では、ALK陽性非小細胞肺癌患者でクリゾチニブと標準二次化学治療(ペメトレキセド又はドセタキセル)が比較された[4][11][21]。加えて、第II相臨床試験(PROFILE 1005)では、過去に1つ以上の化学療法を受けた事の有る患者に対してPROFILE 1007と同様の比較がなされた[11]。
2011年8月、米国FDAはクリゾチニブを終末期(局所進行又は転移性の)ALK変異陽性非小細胞肺癌に対して使用する事を承認した[22]。承認条件として、EML4-ALKの検出テストを事前に実施して結果が陽性である事を確認するよう定められた。
2012年3月、日本で「ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌」についての承認を取得した[23]。
2012年10月、欧州で「成人を対象とした既治療の未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)陽性進行NSCLC」について承認を取得した[24]。
クリゾチニブは肺癌の他、進行性播種性の未分化大細胞型リンパ腫[13]や神経芽細胞腫[25]に対しても臨床試験が実施されている。
関連項目
- ALK阻害剤(英語版)
- 神経芽細胞腫に於ける分子標的治療法(英語版)
参考資料
- ^ Forde PM, Rudin CM (2012). "Crizotinib in the treatment of non-small-cell lung cancer". Expert Opin Pharmacother 13 (8): 1195–201. doi:10.1517/14656566.2012.688029. PMID 22594847.
- ^ Roberts PJ (2013). "Clinical use of crizotinib for the treatment of non-small cell lung cancer". Biologics 7: 91–101. doi:10.2147/BTT.S29026. PMC 3643289. PMID 23671386.
- ^ Sahu A, Prabhash K, Noronha V, Joshi A, Desai S (2013). "Crizotinib: A comprehensive review". South Asian J Cancer 2 (2): 91–7. doi:10.4103/2278-330X.110506. PMC 3876666. PMID 24455567.
- ^ a b ClinicalTrials.gov NCT00932451 An Investigational Drug, PF-02341066, Is Being Studied In Patients With Advanced Non-Small Cell Lung Cancer With A Specific Gene Profile Involving The Anaplastic Lymphoma Kinase (ALK) Gene
- ^ a b “ザーコリカプセル200mg/ザーコリカプセル250mg 添付文書” (2014年7月). 2015年3月7日閲覧。
- ^ Cui JJ, Tran-Dubé M, Shen H, Nambu M, Kung PP, Pairish M, Jia L, Meng J, Funk L, Botrous I, McTigue M, Grodsky N, Ryan K, Padrique E, Alton G, Timofeevski S, Yamazaki S, Li Q, Zou H, Christensen J, Mroczkowski B, Bender S, Kania RS, Edwards MP (2011). "Structure based drug design of crizotinib (PF-02341066), a potent and selective dual inhibitor of mesenchymal-epithelial transition factor (c-MET) kinase and anaplastic lymphoma kinase (ALK)". J. Med. Chem. 54 (18): 6342–63. doi:10.1021/jm2007613. PMID 21812414.
- ^ "Identification of the transforming EML4–ALK fusion gene in non-small-cell lung cancer". Nature 448: 561-566. 2007. doi:10.1038/nature05945. PMID 17625570. Retrieved 2015-03-07.
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- ^ a b c Winslow, Ron (2010年6月7日). “Advances Come in War on Cancer”. The Wall Street Journal. http://online.wsj.com/article/SB10001424052748704002104575291103764336126.html?mod=WSJ_WSJ_US_News_3 2010年6月7日閲覧。
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- ^ Janoueix-Lerosey I, Schleiermacher G, Delattre O (2010). "Molecular pathogenesis of peripheral neuroblastic tumors". Oncogene 29 (11): 1566–79. doi:10.1038/onc.2009.518. PMID 20101209.
- ^ a b c ClinicalTrials.gov NCT00585195 A Study Of Oral PF-02341066, A c-Met/Hepatocyte Growth Factor Tyrosine Kinase Inhibitor, In Patients With Advanced Cancer
- ^ Christensen JG, Zou HY, Arango ME, Li Q, Lee JH, McDonnell SR, Yamazaki S, Alton GR, Mroczkowski B, Los G (2007). "Cytoreductive antitumor activity of PF-2341066, a novel inhibitor of anaplastic lymphoma kinase and c-Met, in experimental models of anaplastic large-cell lymphoma". Mol. Cancer Ther. 6 (12 Pt 1): 3314–22. doi:10.1158/1535-7163.MCT-07-0365. PMID 18089725.
- ^ Zou HY, Li Q, Lee JH, Arango ME, McDonnell SR, Yamazaki S, Koudriakova TB, Alton G, Cui JJ, Kung PP, Nambu MD, Los G, Bender SL, Mroczkowski B, Christensen JG (2007). "An orally available small-molecule inhibitor of c-Met, PF-2341066, exhibits cytoreductive antitumor efficacy through antiproliferative and antiangiogenic mechanisms". Cancer Res. 67 (9): 4408–17. doi:10.1158/0008-5472.CAN-06-4443. PMID 17483355.
- ^ "ALK耐性メカニズム―阻害剤耐性を誘導するEML4-ALK内の二次変異の発見―". 医学のあゆみ 237 (12): 1125-1127. 2011. Retrieved 2015-03-07.
- ^ “クリゾチニブ耐性肺癌に新薬 【米国癌学会】”. m3 (2013年10月28日). 2015年3月7日閲覧。
- ^ Helwick (2010年). “Novel Agent Demonstrates Striking Activity in ALK-positive NSCLC”. 2015年3月7日閲覧。 NB Fig 1.
- ^ a b c “Gene-based lung cancer drug shows promise”. MSNBC.com (2010年5月7日). 2010年6月7日閲覧。
- ^ “Crizotinib Clinical Trials – Currently Ongoing and/or Enrolling”. Fact Sheet. Pfizer. 2015年3月7日閲覧。
- ^ ClinicalTrials.gov NCT00932893 An Investigational Drug, PF-02341066 Is Being Studied Versus Standard Of Care In Patients With Advanced Non-Small Cell Lung Cancer With A Specific Gene Profile Involving The Anaplastic Lymphoma Kinase (ALK) Gene
- ^ “FDA approves Xalkori with companion diagnostic for a type of late-stage lung cancer”. U.S. Food and Drug Administration. 2015年3月7日閲覧。
- ^ “ALK 融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌治療剤「ザーコリ®カプセル200mg/250mg」の製造販売承認を取得”. ファイザー (2012年3月30日). 2015年3月7日閲覧。
- ^ “ファイザーの「ザーコリ®」、EUにおいて条件付き承認取得~欧州委員会より、既治療のALK 融合遺伝子陽性進行非小細胞肺がんを適応とした成人用治療薬として~”. ファイザー (2012年10月26日). 2015年3月7日閲覧。
- ^ Wood AC, Laudenslager M, Haglund EA, Attiyeh EF, Pawel B, Courtright J, Plegaria J, Christensen JG, Maris JM, Mosse YP (2009). "Inhibition of ALK mutated neuroblastomas by the selective inhibitor PF-02341066". J Clin Oncol. 27 (15s. suppl; abstr 10008b).
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 新薬くろ~ずあっぷ(142)ザーコリカプセル200mg,250mg(クリゾチニブ)
- ALK陽性肺がん (抗がん剤治療の最前線 : 分子標的薬剤の使用による進歩(後篇)) -- (各臓器別の最新治療と新薬の動向)
Related Links
- XALKORI ® (クリゾチニブ) の第 3 相試験について 市販後に義務づけられる試験の一環として、ファイザー社は無作為化・非盲検の検証的第 3 相試験で XALKORI ® (一般名クリゾチニブ: crizotinib )の評価を続けています。PROFILE 1007 ...
- 米ニューヨーク州ニューヨーク発、2011年8月26日-本日、ファイザー社は、未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)を標的とした世界初の治療薬であるXALKORI ® (一般名:クリゾチニブ)カプセルを米国食品医薬品局(FDA:Food and Drug ...
Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
ザーコリカプセル200mg
組成
1カプセル中:
有効成分
添加物
- 軽質無水ケイ酸、結晶セルロース、無水リン酸水素カルシウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム
(カプセル本体)
酸化チタン、三二酸化鉄
禁忌
効能または効果
- ALK融合遺伝子陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺癌
- 十分な経験を有する病理医又は検査施設における検査により、ALK注)融合遺伝子陽性が確認された患者に投与すること。
- 本剤の術後補助化学療法における有効性及び安全性は確立していない。
- 「臨床成績」の項の内容を熟知し、本剤の有効性及び安全性を十分に理解した上で、本剤以外の治療の実施についても慎重に検討し、適応患者の選択を行うこと。
- 注:Anaplastic Lymphoma Kinase(未分化リンパ腫キナーゼ)
- 通常、成人にはクリゾチニブとして1回250mgを1日2回経口投与する。なお、患者の状態により適宜減量する。
- 副作用により、本剤を休薬、減量、中止する場合には、副作用の症状、重症度等に応じて、以下の基準を考慮すること。[「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照]
グレード注1):1
副作用
- 血液系注2):同一投与量を継続
グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇:同一投与量を継続
グレード2-4の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇注5):同一投与量を継続
間質性肺疾患:投与を中止する。
QT間隔延長:同一投与量を継続
グレード注1):2
副作用
- 血液系注2):同一投与量を継続
グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇:同一投与量を継続
グレード2-4の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇注5):投与を中止する。
間質性肺疾患:投与を中止する。
QT間隔延長:同一投与量を継続
グレード注1):3
副作用
- 血液系注2):グレード2以下に回復するまで休薬する。回復後は休薬前と同一投与量で投与を再開する。
グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇:グレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後は200mg1日2回から投与を再開する注4)。
グレード2-4の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇注5):投与を中止する。
間質性肺疾患:投与を中止する。
QT間隔延長:グレード1以下に回復するまで休薬する。回復後は200mg1日2回から投与を再開する注4)。
グレード注1):4
副作用
- 血液系注2):グレード2以下に回復するまで休薬する。回復後は200mg1日2回から投与を再開する注3)。
グレード1以下の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇:グレード1以下又はベースラインに回復するまで休薬する。回復後は200mg1日2回から投与を再開する注4)。
グレード2-4の血中ビリルビン増加を伴うALT又はAST上昇注5):投与を中止する。
間質性肺疾患:投与を中止する。
QT間隔延長:投与を中止する。
- 注1:グレードはNCI-CTCAEによる。
- 注2:日和見感染症等の臨床的事象を伴わないリンパ球減少症を除く。
- 注3:再発の場合は、グレード2以下に回復するまで休薬すること。回復後は250mg1日1回に減量して投与を再開する。その後グレード4の再発が認められる場合は投与を中止する。
- 注4:再発の場合は、グレード1以下に回復するまで休薬すること。回復後は250mg1日1回に減量して投与を再開する。その後グレード3以上の再発が認められる場合は投与を中止する。
- 注5:胆汁うっ滞又は溶血がある場合を除く。
慎重投与
- 間質性肺疾患のある患者又はその既往歴のある患者[間質性肺疾患が発現又は増悪するおそれがある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]
- 肝機能障害のある患者[安全性は確立していない。]
- QT間隔延長のおそれ又はその既往歴のある患者[QT間隔延長が起こるおそれがある。(「重要な基本的注意」、「重大な副作用」の項参照)]
- 重度の腎機能障害のある患者[安全性は確立していない。(「薬物動態」の項参照)]
重大な副作用
間質性肺疾患(1.7%)
- 間質性肺疾患があらわれることがあり、死亡に至った症例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」の項参照]
劇症肝炎、肝不全、肝機能障害
- 劇症肝炎(頻度不明注))、肝不全(0.1%)、ALT(GPT)、AST(GOT)、ビリルビン、Al-P等の上昇を伴う肝機能障害(29.1%)があらわれることがあり、劇症肝炎、肝不全により死亡に至った症例も報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」の項参照]
QT間隔延長(2.7%)、徐脈(6.4%)
- QT間隔延長、徐脈(随伴症状:低血圧、失神、めまい等)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」の項参照]
血液障害
- 好中球減少症(16.5%)、白血球減少症(8.2%)、リンパ球減少症(2.1%)、血小板減少症(1.1%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、休薬又は減量するなど適切な処置を行うこと。[「用法・用量に関連する使用上の注意」、「重要な基本的注意」の項参照]
心不全(0.1%)
- 心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、体液貯留(肺水腫、胸水、心嚢液貯留等)、急激な体重増加、心不全症状(息切れ、呼吸困難、浮腫等)が認められた場合には、休薬、減量又は投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
抗腫瘍効果23,24)
- クリゾチニブは、ALK遺伝子座の転座/逆位により、ALK融合蛋白質を発現するヒト非小細胞肺癌由来細胞株(NCI-H3122細胞株及びNCI-H2228細胞株)の増殖を抑制した。また、NCI-H3122細胞株を免疫不全マウスに移植した異種移植モデルにおいて、腫瘍の増殖を抑制した。
作用機序23,24)
- クリゾチニブはALK、肝細胞増殖因子受容体(c-Met/HGFR)、及びRecepteur d’Origine Nantais(RON)に対するチロシンキナーゼ阻害剤である。クリゾチニブは、ALKの発がん性変異体であるALK融合蛋白質のチロシンキナーゼ活性を阻害することにより、腫瘍の増殖を抑制すると考えられている。
有効成分に関する理化学的知見
一般名
化学名
- 3-[(1R)-1-(2,6-Dichloro-3-fluorophenyl)ethoxy]-5-[1-(piperidin-4-yl)-1H-pyrazol-4-yl]pyridin-2-amine
分子式
分子量
性状
- 本品は白色〜微黄色の粉末である。N,N-ジメチルアセトアミドにやや溶けやすく、メタノール及びエタノール(95)にやや溶けにくく、アセトニトリルに溶けにくく、水にほとんど溶けない。本品は0.1mol/L塩酸試液に溶ける。
分配係数(log D)
★リンクテーブル★
[★]
- 関
- QT延長症候群、QT間隔
原因
- 洞結節機能不全
- 房室ブロック:2度房室ブロック、3度房室ブロックアンドロゲン遮断療法(GnRHアゴニスト/アンタゴニスト療法または両側性精巣摘除術)
- 利尿薬:低マグネシウム血症・低カリウム血症の誘発による
- 鎮吐薬: