- 英
- ethambutol EB EMB
- 化
- 塩酸エタンブトール ethambutol hydrochloride
- 商
- エサンブトール、エブトール
- 関
- 抗結核薬、結核
特徴
- 結核菌に特異的に強い抗菌力を有する
- 他の抗結核薬と交差耐性を示さない。
- 多剤併用により耐性菌の発生を防ぐことができる
構造
作用機序
薬理作用
- 1. 結核菌に対して強い抗菌力を示し、人型結核菌H37Rv株に対し、1%小川培地、Dubos液体培地では2.5~5μg/mLで発育を阻止する8~10)。
- 2. イソニアジド、ストレプトマイシン等の他の抗結核薬との間に交叉耐性はない8~10)。
- 3. 結核菌の核酸合成を阻害し、細胞分裂を抑制することが認められている8~10)。
抗菌スペクトル
動態
- エブトール125mg錠/エブトール250mg錠
1. 血中濃度
- エブトール125mg錠を経口投与(4錠、エタンブトール塩酸塩500mg)した結果、最高血中濃度(Cmax)は1.7μg/mL(血漿中)、最高血中濃度到達時間(Tmax)は2.8時間であった (健康成人男子、空腹時投与) 1)。
- また、エタンブトール塩酸塩は血漿タンパクとはほとんど結合しない (in vitro )。なお、エタンブトール塩酸塩250mg経口投与時の血球内濃度は血清内濃度に比して高値を示した (肺結核患者) 2)。
2. 分布
- エタンブトール塩酸塩0.5g経口投与後、肺組織中濃度は血清中濃度に比して同等ないしは高値を示した (肺結核患者) 3)。
- 25mg/kg経口投与後、喀痰中に高濃度のエタンブトール塩酸塩が認められた (肺結核患者) 4)。
3. 代謝・排泄
- 14C-エタンブトール塩酸塩25mg/kg経口投与後の尿中累積排泄率は、24時間後54~61%、48時間後60~67%であった。糞中には48時間後までに12~19%が排泄された。
- 尿中代謝物の大部分が未変化体で、一部は酸化物であるアルデヒド体並びに酸であった (肺結核患者) 5)。
- (注) 本剤の承認された用量は1日量0.75~1gを1~2回に分けて経口投与である。
効能又は効果
- エブトール125mg錠/エブトール250mg錠
適応菌種
適応症
注意
禁忌
- エブトール125mg錠/エブトール250mg錠
原則禁忌
- エブトール125mg錠/エブトール250mg錠
- 1. 視神経炎のある患者[視力障害が増強するおそれがある(「眼障害予防の具体的方法」の(2)の項参照)。]
- 2. 糖尿病患者、アルコール中毒患者[既に視神経障害を起こしている場合があり、症状が増悪するおそれがある。]
- 3. 乳・幼児[視力障害の早期発見が極めて困難である。]
副作用
- 視力障害は用量依存性で、投与量50mg/kg/dayの患者では15%、投与量25mg/kg/dayの患者では5%、投与量10mg/kg/dayの患者では1%にみられる。視力障害の程度は投与期間と関連がある。副作用の発見するために定期的な視力検査と色覚検査を行う。エタンブトールの使用中止により視力障害から回復する。
添付文書
- http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/6225001F1036_1_10/6225001F1036_1_10?view=body
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出典(authority):フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』「2014/01/20 08:50:03」(JST)
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エタンブトール
|
IUPAC命名法による物質名 |
(2S,2′S)-2,2′-(ethane-1,2-diyldiimino)dibutan-1-ol |
臨床データ |
胎児危険度分類 |
B |
法的規制 |
? |
投与方法 |
Oral |
薬物動態的データ |
生物学的利用能 |
Well-absorbed from GI tract |
血漿タンパク結合 |
20 to 30% |
代謝 |
Liver |
半減期 |
3-4 hr (increased in impaired renal function) |
排泄 |
Renal |
識別 |
CAS登録番号 |
74-55-5 |
ATCコード |
J04AK02 |
PubChem |
CID 3279 |
DrugBank |
APRD00957 |
KEGG |
D07925 |
化学的データ |
化学式 |
C10H24N2O2 |
分子量 |
204.31 g/mol |
エタンブトール(英: ethambutol)とは結核の治療に処方される静菌性の抗抗酸菌薬の一つ。エタンブトールは一般にイソニアジド、ピラジンアミド、リファンピシンのような他の結核治療薬と併用される。1961年にアメリカ合衆国のWilkison、Thomasらによって合成された。[1]MyambutolやServambutol、日本ではエブトール(科研製薬)[1]、エサンブトール(サンド)[2]の商品名で市販されている。
副作用[編集]
体内の亜鉛とキレートを形成することから、亜鉛欠乏症により以下の副作用が引き起こされる。
- 視神経炎
- 赤緑色覚異常
- 末梢神経障害
- 関節痛
- 垂直性眼振
脚注[編集]
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 肺Mycobacterium szulgai感染症の1例
- 鈴木 洋祐,笹岡 彰一,澤田 格,林 右
- 2010-10-31
- 稀な抗酸菌であるMycobacterium szulgai(M. szulgai)感染症の1例を経験した。症例は61歳男性。自覚症状は特に認めなかったが、健診で胸部異常影を指摘され当科を受診。胸部X線で右肺尖部に辺縁不整な結節影を認め、経過の胸部X線および胸部CTで同結節影の内部が空洞化し、喀痰抗酸菌検査で塗抹陽性であったことから、肺結核の可能性を考え抗結核薬4剤による治療を開始した。しかし喀痰抗 …
- NAID 120003057448
- エタンブトール視神経症が合併し, 急速に進行したようにみえた正常眼圧緑内障の1例
- 井上 由希,中馬 秀樹,河野 尚子,中馬 智巳,直井 信久,沖田 和久
- 緑内障 : 日本緑内障学会雑誌 : journal of Japan Glaucoma Society 19(1), 83-86, 2009-12-25
- NAID 10027069490
- エタンブトール視神経症が合併し, 急速に進行したようにみえた正常眼圧緑内障の1例
- 井上 由希,中馬 秀樹,河野 尚子,中馬 智巳,直井 信久,沖田 和久
- あたらしい眼科 = Journal of the eye 26(6), 825-828, 2009-06-30
- NAID 10026255452
Related Links
- エブトール,エサンブトールとは?エタンブトールの効能,副作用等を説明,ジェネリックや薬価も調べられる(おくすり110番:薬事典版) ... 用法用量は医師・薬剤師の指示を必ずお守りください。 すべての副作用を掲載しているわけでは ...
- エサンブトール錠250mg,エタンブトール塩酸塩錠 ... 副作用 本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を実施していない。 1.重大な副作用(頻度不明)
- 謹啓 時下益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。 さて、エタンブトール製剤<エサンブトール錠(サンド)、エブトール錠(科研製薬)>は、多くの先生 方によってすぐれた抗結核薬として広くご使用頂き、MAC 症を含む非結核性抗酸菌症で ...
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Japan Pharmaceutical Reference
薬効分類名
販売名
エサンブトール錠125mg
組成
有効成分
含量(1錠中)
添加物
- トウモロコシデンプン、結晶セルロース、乳糖水和物、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン、乾燥乳状白ラック、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコール、サッカリンナトリウム水和物、リボフラビン
禁忌
効能または効果
<適応菌種
<適応症
- 肺結核及びその他の結核症、マイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)症を含む非結核性抗酸菌症
[肺結核及びその他の結核症]
- 通常成人は、エタンブトール塩酸塩として1日量0.75〜1gを1〜2回に分けて経口投与する。
年齢、体重により適宜減量する。
なお、他の抗結核薬と併用することが望ましい。
[MAC症を含む非結核性抗酸菌症]
- 通常成人は、エタンブトール塩酸塩として0.5〜0.75gを1日1回経口投与する。
年齢、体重、症状により適宜増減するが1日量として1gを超えない。
- 肺結核及びその他の結核症に対する本剤の使用にあたっては、耐性菌の発現等を防ぐため、原則として感受性を確認し、疾病の治療上必要な最小限の期間の投与にとどめること。
- 本剤をMAC症を含む非結核性抗酸菌症に使用する際には、投与開始時期、投与期間、併用薬等について国内外の各種学会ガイドライン1)〜3)等、最新の情報を参考にし、投与すること。
- 本剤の体重別1日投与量の目安は次表のとおりである。
参考:肺結核及びその他の結核症
参考:MAC症を含む非結核性抗酸菌症
慎重投与
- 腎障害のある患者[蓄積を起こすことが報告されている。]
重大な副作用
視力障害
頻度不明
- 視神経障害による視力低下、中心暗点、視野狭窄、色神異常等の視力障害があらわれ、発見が遅れ高度に進行すると非可逆的になることがあるので、視力検査等を定期的に行い、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止すること。
重篤な肝障害
頻度不明
- 劇症肝炎等の重篤な肝障害があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
ショック、アナフィラキシー様症状
頻度不明
- ショック、アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、全身潮紅、血管浮腫(顔面浮腫、喉頭浮腫等)、蕁麻疹等の異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
間質性肺炎、好酸球性肺炎
頻度不明
- 間質性肺炎、好酸球性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、咳嗽、呼吸困難、胸部X線異常等が認められた場合には投与を中止し、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
中毒性表皮壊死融解症(Toxic Epidermal Necrolysis:TEN)、皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、紅皮症(剥脱性皮膚炎)
頻度不明
- 中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群、紅皮症(剥脱性皮膚炎)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
血小板減少
頻度不明
- 血小板減少があらわれることがあるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
薬効薬理
- 結核菌に対して強い抗菌力を示し、人型結核菌H37RV株に対し、1%小川培地、Dubos液体培地では2.5〜5μg/mLで発育を阻止する。電子顕微鏡による観察では結核菌の核酸合成経路を阻害し、細胞分裂を抑制することが認められている。15),16)
- 既存の他の抗結核薬との間に交差耐性は認められていない。17)
有効成分に関する理化学的知見
一般名
- エタンブトール塩酸塩(Ethambutol Hydrochloride)
化学名
- 2,2'-(Ethylenediimino)bis[(2S)-butan-1-ol]dihydrochloride
分子式
分子量
性状
- 白色の結晶又は結晶性の粉末で、においはなく、味は苦い。
水に極めて溶けやすく、メタノール又はエタノール(95)にやや溶けやすく、ジエチルエーテルにほとんど溶けない。
水溶液(1→20)のpHは3.4〜4.0である。
融点
★リンクテーブル★
[★]
- 次の文を読み、60~62の問いに答えよ。
- 15歳の男子。通っている学習塾の講師が肺結核と診断されたため、保健所からの結核接触者検診の指示を受けて受診した。
- 現病歴:2週間前から微熱と咳嗽が続いている。痰が絡む咳嗽が1日中持続している。
- 既往歴:特記すべきことはない。
- 予防接種歴:BCG接種歴あり。
- 家族歴:父と母との3人暮らし。家族内に他に咳嗽のある者はいない。
- 現症:意識は清明。身長 166cm、体重 56kg。体温 37.6℃。脈拍 72/分、整。血圧 124/62mmHg。呼吸数 16/分。SpO2 98%(room air)。眼球結膜に黄染を認めない。咽頭に発赤を認めない。甲状腺と頸部リンパ節とを触知しない。心音と呼吸音とに異常を認めない。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。
- 検査所見:血液所見:赤血球 472万、Hb 13.5g/dL、Ht 39%、白血球 7,400(①分葉核好中球 56%、好酸球 1%、リンパ球 43%)、血小板 24万。血液生化学所見:総蛋白 7.6g/dL、アルブミン 3.8g/dL、総ビリルビン 0.6mg/dL、AST 26U/L、ALT 13U/L、LD 228U/L(基準 176~353)、γ-GTP 12U/L(基準 8~50)、尿素窒素 11mg/dL、クレアチニン 0.3mg/dL、血糖 96mg/dL、Na 140mEq/L、K 4.1mEq/L、Cl 102mEq/L。CRP 0.8mg/dL。②結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法(IGRA)は陽性。③喀痰塗抹Ziehl-Neelsen染色でGaffky 3号。④喀痰結核菌PCR検査は陽性。胸部エックス線写真で異常を認めない。⑤胸部CTで右下肺野に小葉中心性の粒状影を認める。
- 臨床経過と検査所見から肺結核と診断した。
- この患者に対する標準治療として使用しないのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [112C061]←[国試_112]→[112C063]
[★]
- 58歳の女性。咳と血痰とを主訴に来院した。2年前から咳と痕とが出るようになった。1か月前から咳が強くなり、3日前から血痰が出たため受診した。13歳時に副鼻腔炎で両側を手術した。体温37.2℃。両側の前胸下部に弱いfine cracklesを聴取する。血液所見:赤血球 420万、Hb 11.8g/dl、Ht 40 %、白血球 6,800、血小板 18万。血液生化学所見に異常を認めない。CRP O.8mg/dl。喀痰の抗酸菌塗抹検査が3回連続で陽性となったが、同時に行った結核菌PCR検査は陰性だった。胸部エックス線写真(別冊No.18A)と胸部単純CT(別冊No.18B)とを別に示す。止血剤の投与で血痰は消失したが、咳は増強し、1か月後の画像は増悪していた。抗菌薬を3剤用いて治療を開始することとした。
- リファンピシンとエタンブトールに加えて選択するのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [104D049]←[国試_104]→[104D051]
[★]
[正答]
※国試ナビ4※ [095A098]←[国試_095]→[095A100]
[★]
- 抗結核薬のうち副腎皮質ステロイドの効果を減弱させるのはどれか。
[正答]
※国試ナビ4※ [111E030]←[国試_111]→[111E032]
[★]
[★]
- 英
- hyperuricemia
- 同
- 尿酸過剰血症
- 関
- 尿酸 uric acid、血清尿酸、痛風
概念
- 尿酸の血漿中溶解度を考慮し、男女を問わず血清尿酸値7.0mg/dlを超える状態(医学事典)
病因
-
- von Gierke病
- 多血症、慢性骨髄性白血病 ← 乳酸過多による尿酸クリアランスの低下???、核酸分解産物の増加
- 続発性:利尿薬(サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬(フロセミド))
HIM.2445
-
ガイドライン
- http://www.tukaku.jp/tufu-GL2.pdf
治療
治療開始基準
- 腫瘍崩壊症候群の予防
- 無症候性持続性高尿酸血症(9mg/dl) ← これをトリガーにして治療するのは、ないわー、と言われている。
生活食事療法
回避すべき食習慣
- 肉(レバー、ホルモン、砂肝など)、魚類(エビ、カツオなど)、菓子パンの過剰摂取
- ビール、紹興酒など酒類: (禁酒週に2回。1日ビール500ml以下、日本酒1合以下、ウイスキー60ml以下
- 果糖/ジュースの採りすぎ
- カロリーの過剰摂取
尿酸を下げる食事
参考
- http://www.nmt.ne.jp/~nagioo/gout.htm
[★]
- 英
- antituberculous, antitubercular agent antituberculous agent antitubercular drug antituberculous drug antituberculosis drugs, antituberculotic
- 同
- 抗結核剤
- 関
- 結核
- first aid step1 2006 p.172
- 覚え方:INH-SM-PZA-INH-RFP-EB → INH-SPIRE(inspire)
- イソニアジドだけは予防薬として用いられる(first aid step1 2006 p.172)
- 2nd line drugとしてcycloserineがある。
作用点
- エタンブトール:アラビノース転位酵素を阻害してarabinogalactanの合成を阻害。静菌的に作用。
- ピラジナミド :ミコール酸合成を阻害(FAS1)
- イソニアジド :ミコール酸合成を阻害(FAS2)。殺菌的に作用。
抗結核薬の副作用
[★]
- 英
- retrobulbar neuritis, retrobulbar optic neuritis
- 同
- 後部視神経炎
- 関
- 視神経炎
概念
- 視神経炎のうち、「病変が視神経乳頭にない」もの
- 視神経乳頭を含む眼底所見がほとんど正常であり、中心暗点などの視野障害と視力・視覚障害など神経炎の症状と伴ったモノ(SOP.165)
- 多発性硬化症では球後視神経炎が初発症状となることが多い
原因
- SOP.165
シンナー、有機リン農薬)
分類
[★]
[★]
エタンブトール EB EMB
[★]
- 英
- ethambutol optic neuropathy