- 英
- nontuberculous mycobacteria, NTM
- 関
- 非定型抗酸菌
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非結核性抗酸菌(ひけっかくせいこうさんきん、non-tuberculous mycobacteria; NTM, mycobacteria other than tuberculosis; MOTT)[1][2])とは、結核菌群と癩菌群を除いた抗酸菌の総称。以前は非定型抗酸菌(atypical mycobacteria)とも呼ばれていた[2][3]。
目次
- 1 細菌学的特徴
- 2 病原性
- 3 検査
- 4 参照・引用
- 5 関連項目
細菌学的特徴[編集]
現在では分子生物学が発展し、DNAやRNAにより菌の遺伝学的性質や代謝について明確に分類できる。しかし、かつては培地・培養温度による発育の違い、化学物質の代謝の違いなどを用いる事でしか、菌を分類することができなかった。そのため結核菌と癩菌が典型的な抗酸菌であり、その他の抗酸菌は非定型な特殊な抗酸菌とみなされていた。 技術の発展に伴い、分子生物学的に多くの抗酸菌が分類されることとなり、むしろ結核菌群と癩菌群が特殊な菌であり、いわゆる「非定型抗酸菌」が抗酸菌としての一般的な性質をもつことが判明したため、「非結核性抗酸菌」と呼ばれるようになった。
- 小川培地
- ナイアシンテストを用いて小川培地上で培養すると、抗酸菌の種類により発色が異なる[4]。結核菌はナイアシン産生能が高いことを利用している。
病原性[編集]
- ヒトでは、全身のいずれの臓器でも感染する可能性はあるが、現実的には、日和見感染でない場合には、ほとんどが肺での感染症である。感染力は弱く、土壌からの感染が主と考えられている。ヒト→ヒト感染は、ほとんど無いとされている。
- 免疫不全状態での日和見感染症である場合には、全身での播種性非結核性抗酸菌症を発症することがある。
- 近年、日本でも癩病ではない皮膚非結核性抗酸菌症が散見されている(Mycobacterium marinum, Mycobacterium peregrinumなどによる)[5]。
検査[編集]
培地での培養には時間がかかり、またM. avium とM. intracellulareの区別がつかないなど、分別能に劣る点がある。しかし、薬剤耐性などは培養でなくては判別できないため、現在ではDNA/RNAを用いた検査を併用する[6]。
参照・引用[編集]
- ^ “非結核性抗酸菌症”. 病気を知る:肺と気道の病気. 慶應義塾大学病院 (2010年3月1日). 2011年3月21日閲覧。
- ^ a b 青木正和「シリーズかたき病:結核(10):非結核性抗酸菌症(1)」、『複十字』第319号、結核予防会、2008年1月、 p.10、2011年3月21日閲覧。
- ^ 遠藤美代子「非結核性抗酸菌による感染症」、『東京都微生物検査情報』第27巻第2号、東京都健康安全研究センター、2006年2月、 ISSN 0910-5352、2011年3月21日閲覧。
- ^ http://micro.fhw.oka-pu.ac.jp/microbiology/acid_fast/atypical.html
- ^ 日経メディカル No.520: 81-82。
- ^ http://www.hosp.go.jp/~eastt/02_06_shinryouka/kokyuukinaika/kokyuukinaika01.html
関連項目[編集]
- 非結核性抗酸菌症
- 結核菌
- 癩菌
- 後天性免疫不全症候群
- 日和見感染
UpToDate Contents
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Japanese Journal
- 3.興味ある気道病変を呈した播種性非結核性抗酸菌症の1例(第41回 日本呼吸器内視鏡学会中部支部会)
- 田中 博之,會田 洋子,小坂 顕司,濱中 理恵,西村 眞樹,横江 徳仁,高橋 歩,高橋 大輔,久保 昭仁,馬場 研二,山口 悦郎
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 33(5), 378, 2011-09-25
- NAID 110008750416
- 肺非結核性抗酸菌症診断における気管支洗浄液検査の有用性に関する検討
- 市木 拓,渡邉 彰,三好 愛,佐藤 千賀,阿部 聖裕,西村 一孝
- 気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 33(4), 232-235, 2011-07-25
- … 拡張型の胸部画像所見に遭遇した際には肺非結核性抗酸菌症の可能性を疑うが,喀痰からの菌検出が困難な症例も多い.目的.そのような症例での肺非結核性抗酸菌症診断における気管支洗浄液検査の有用性について検討した.方法.2002年5月から2009年12月までの間に当院を受診し,小結節・気管支拡張型の画像所見を呈して肺非結核性抗酸菌症が疑われた症例のうち,喀痰が出ず菌検査 …
- NAID 110008687248
Related Links
- 非結核性(非定型)抗酸菌症とはどんな病気か 結核の原因である結核菌の仲間を、抗酸菌(こうさんきん)といいます。結核菌以外の抗酸菌で引き起こされる病気が非結核性抗酸菌症です。かつては結核菌によるものを定型的と考えて ...
- 非結核性肺抗酸菌症 非結核性肺抗酸菌症は結核菌以外の抗酸菌による感染症で、肺に感染を起こします。わが国では抗酸菌の8割以上がマック菌、1割がカンザシ菌という菌であり、残りがその他の様々な菌で占められています。
- 103/2008 複十字 No.320 非結核性抗酸菌症 (NTM症)(2) 少数に過ぎません。そこで本編ではMAC症を中心 に診断,治療などを述べ, 症にも簡単に 述べたいと思います。 (*: と は類似した菌で,鑑別 ...
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★リンクテーブル★
[★]
- 60歳の女性。咳嗽を主訴に来院した。5年前から関節リウマチに対し、副腎皮質ステロイドとメトトレキサートの内服処方を受け、病状は安定している。1か月前から咳嗽が続いている。胸部エックス線写真(別冊No. 23A)及び胸部CT(別冊No. 23B)を別に示す。気管支鏡検査を行い、気管支洗浄液の抗酸菌検査で塗抹陽性で、非結核性抗酸菌が培養された。血液検査で抗MAC抗体(抗Mycobacterium avium complex抗体)が陽性であった。対応で適切なのはどれか。
- a 肺生検が必要である。
- b 接触者健康診断を行う。
- c 個室隔離のため入院させる。
- d 保健所への届出は不要である。
- e クラリスロマイシン単剤治療を行う。
[正答]
※国試ナビ4※ [114A052]←[国試_114]→[114A054]
[★]
- 英
- atypical mycobacteria
- 同
- 結核菌以外の抗酸菌 mycobacteria other than tubercle bacilli、非結核性抗酸菌 nontuberculous mycobacteria NTM
- 関
[★]
- 英
- atypical mycobacterial infection, nontuberculous mycobacterial disease, non-tuberculous mycobactenosis infecLion
- 関
- 非定型抗酸菌症、非定型マイコバクテリア感染、非定型マイコバクテリア感染症、非定型抗酸菌感染症
[★]
- 英
- nontuberculous mycobacterial infection, non-tuberculous mycobacterial infection
- 関
- 非結核性抗酸菌、抗酸菌
[★]
- 英
- tuberculosis, TB
- 同
- 結核症
- 関
- 結核菌 Mycobacterium tuberculosis、抗結核薬
- 肺結核、腸結核、脳結核腫
- 感染予防学 080423I,II
- first aid step1 2006 p.135,137,143,162,172,173,181
- Pott's disease = vertebral tuberculosis. constrictive pericarditis = tuberculosis
概念
病原菌
疫学
平成21年
- 参考3
- 結核患者の発生は未だ2万4千人以上である。結核罹患率は引き続き減少傾向にあるが、減少率は2%台と低い。
- 新登録結核患者数 24,170人
- 罹患率(人口10万人対の新登録結核患者数) 19.0 (対前年比0.4減)
- 80歳以上の結核罹患率は横ばいないし増加し、70歳以上の高齢結核患者は新登録結核患者の半数以上となった。
- 80歳以上の罹患率 88.3 (H20 87.6、H19 90.5、H18 93.0)
- 70歳以上の新登録結核患者の占める割合 50.1%(H20 48.9%、H19 47.9%、H18 47.0%)
- 世界的に見て、日本は依然として結核中まん延国である。
- 日本の罹患率(19.0)は、米国(4.3)の4.4倍、カナダ(4.7)の4.0倍、スウェーデン(5.4)の3.5倍、オーストラリア(5.5)の3.5倍。
感染の型
- SPU.178
一次感染
- 初感染患者に形成される初期変化群の増悪による病変:全身性血行性散布(粟粒結核など)、肺原発巣の空洞化、リンパ節の穿孔による吸引性結核性肺炎、結核性胸膜炎
二次感染
症状
結核の皮膚病変
検査
- 「喀痰の抗酸菌検査では1日1回、連続して3日間検査することが推奨されている。抗酸菌検査では通常、塗抹検査と培養検査の2項目をオーダーするが、結核の疑いが強い場合には、健康保険診療上、結核菌核酸増幅法検査を1回行うことができる。」(ガイドライン1より引用)
診断
- 結核菌の診断を行う上では、あくまでも細菌学的検査(塗沫検査、培養検査)によることが原則である。(IRE.1034)
- 結核の疑いが強い場合にはPCR法により確定して、直ちに保健所に届けるのがよい。
治療
- 標準治療法:最初2ヶ月間4剤、次の4ヶ月間2-3剤の計6ヶ月間の治療
- 例:INH,RFP,EB,PZAで2ヶ月間(bactericidal phase) → INH,RFP(,EB)で4ヶ月間(continuation phase)
- 多剤耐性結核菌:少なくともINHとRFPに同時耐性を示す菌株
2009年に厚生労働省告示
- ピラジナミド(PZA)を使用できる場合には、まずイソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)およびPZAにストレプトマイシン(SM)またはエタンブトール(EB)を加えた4剤併用療法を2カ月間行い、その後INHおよびRFPの2剤併用療法を4剤併用療法開始時から6カ月を経過するまで行う。
- PZAを使用できない場合には、まずINHおよびRFPの2剤にSMまたはEBを加えてた3剤併用療法を2ないし6ヵ月間行い、その後INHおよびRFPの2剤併用療法を3剤併用療法開始時から9ヶ月を経過するまでに行う。INHまたはRFPを使用できない場合、症状が著しく重い場合、治療開始から2カ月を経ても結核菌培養検査陽性の場合、糖尿病、じん肺、HIV感染症等の疾患を合併する場合、または副腎皮質ホルモン剤を免疫抑制剤を長期にわたり使用している場合、などでは治療期間を3ヵ月間延長できる。
感染経路
公衆衛生
参考
- http://www.kekkaku.gr.jp/
- http://www.jatahq.org/about_tb/index.html
- 3. 結核登録者情報調査【平成18年まで結核発生動向調査】|厚生労働省
- http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/kekkaku_tourokusya.html
ガイドライン
- 1. 結核診療ガイドライン(の要点抜粋) 山岸文雄 独立行政法人国立病院機構千葉東病院 病院長
- http://www.kekkaku.gr.jp/ga/ga-59.htm
国試
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- fast
- 英
- acid-fast bacterium, acid-fast bacteria, acid-fast bacillus, acid-fast bacilli
- 同
- マイコバクテリウム Mycobacterium
- グラム陽性桿菌
- GゲノムはCリッチ
- 細胞質は脂質に富み通常の染色では難染性であり、抗酸菌染色(チール-ネールゼン染色や蛍光染色など)で陽性に染色される。
- アニリン色素に難船色性、グラム染色陽性。いったん染色されると酸アルコールに脱色されにくい
- "抗酸性"を示す細菌(Mycobacterium属、Nocardia属、Corynebacterium属、Actinomyces属、Rhodococcus属)
[★]
- 英
- fungus、fungi、microbial
- 関
- 菌類、真菌、真菌類、微生物
[★]
- 英
- acid-fast
- 関
- 抗酸性
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- 英
- tuberculous
- 関
- 結核